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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20230124BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20230124BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20230124BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20230124BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20230124BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20230124BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W4/44
H04W4/46
H04W4/80
H04W16/26
H04W88/04
H04Q9/00 311H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019002237
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020113855
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】寺西 裕一
(72)【発明者】
【氏名】木全 崇
(72)【発明者】
【氏名】河合 栄治
(72)【発明者】
【氏名】原井 洋明
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077143(JP,A)
【文献】特開2010-140072(JP,A)
【文献】特開2018-082300(JP,A)
【文献】Ian Ku, et al.,Towards Software-Defined VANET: Architecture and Services,2014 13th Annual Mediterranean Ad Hoc Networking Workshop (MED-HOC-NET),2014年07月08日,pp.103-110
【文献】井上 友二, 松本 隆明,IT融合時代のクルマの 役割について考える,SEC journal,2013年03月01日,第9巻, 第1号,pp.2-5
【文献】Vasco N. G. J. Soares, et al.,A Layered Architecture for Vehicular Delay-Tolerant Networks,2009 IEEE Symposium on Computers and Communications,2009年08月18日,pp.122-127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04Q 9/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体から生成されたデータを収集する無線通信システムであって、
長距離無線通信を介し、制御装置が複数の前記移動体におけるデータ転送の条件を制御する第1通信手段と、
短距離無線通信を介し、前記移動体と中継部との間、又は複数の前記移動体の間における通信を、蓄積転送型のDTN(Delay Tolerant Network)を用いて行う第2通信手段と、
有線通信又は前記長距離無線通信を介し、前記制御装置と、前記中継部との間における通信を行う第3通信手段と、
を備え、前記第1通信手段は、
前記移動体から前記制御装置に対し、前記移動体の通信可能な状態を示す存在通知データを周期的に送信する生存確認手段と、
前記存在通知データを受信した前記制御装置から前記移動体に対し、センサの種類、データの識別子、及び送信期限を含む生成指示データを送信する生成指示手段と、
を有すること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2通信手段は、前記生成指示データを受信した前記移動体から前記中継部又は他の前記移動体に対し、前記生成指示データに基づき生成されたメッセージを送信するメッセージ送信手段を有し、
前記第3通信手段は、前記メッセージを受信した前記中継部から前記制御装置に対し、前記メッセージを送信する中継手段を有すること
を特徴とする請求項記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第3通信手段は、前記制御装置が、前記生成指示データに基づき生成された前記メッセージを受信した場合、前記メッセージに紐づく前記識別子を、予め構築された配信済み識別子リストに追加して保存する保存手段を有すること
を特徴とする請求項記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1通信手段は、前記配信済み識別子リストを前記移動体が取得するリスト取得手段を有し、
前記リスト取得手段のあと、前記配信済み識別子リストに含まれる前記識別子に紐づく前記メッセージが、前記移動体の有する蓄積用バッファに記憶されている場合、前記蓄積用バッファに記憶されている前記メッセージを削除する削除手段をさらに備えること
を特徴とする請求項記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1通信手段は、前記配信済み識別子リストを前記移動体が取得するリスト取得手段を有し、
前記第2通信手段は、前記リスト取得手段のあと、前記配信済み識別子リストを取得した前記移動体に、前記配信済み識別子リストに含まれる前記識別子に紐づく前記メッセージが送信される場合、前記メッセージの受信を拒否する拒否手段を有すること
を特徴とする請求項記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体から生成されたデータを収集する無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等の移動体に搭載される通信装置として、例えば特許文献1のような通信装置が提案されている。
【0003】
特許文献1の通信装置では、データ通信網に接続する広域通信部と、他の車両に搭載された通信装置と直接通信を行う車車間通信部と、所定の条件により車車間通信部を用いたデータの送信を許可する車車間通信制御装置、すなわち演算処理部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-133882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数の移動体から生成されたデータは、様々な用途で活用できるよう収集する必要がある。しかし、例えば広域通信を用いた場合では、データ転送量の制約があり、車車間通信を用いた場合では、バッファ量の制約があり、このような制約のもとでデータを効率的に収集することが課題として挙げられている。この点、特許文献1の通信装置では、車車間通信における輻輳の発生を抑制できるに過ぎず、データを効率的に収集することが難しい。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、データを効率的に収集することが可能となる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述した問題点を解決するために、複数の移動体から生成されたデータを収集する無線通信システムを発明した。無線通信システムは、第1通信手段と、第2通信手段と、第3通信手段とを備える。第1通信手段は、長距離無線通信を介し、制御装置が複数の移動体におけるデータ転送の条件を制御する。第2通信手段は、短距離無線通信を介し、移動体と中継部との間、又は複数の移動体の間における通信を、蓄積転送型のDTN(Delay Tolerant Network)を用いて行う。第3通信手段は、有線通信又は長距離無線通信を介し、制御装置と、中継部との間における通信を行う。第1通信手段は、移動体から制御装置に対し、移動体の通信可能な状態を示す存在通知データを周期的に送信する生存確認手段と、存在通知データを受信した制御装置から移動体に対し、センサの種類、データの識別子、及び送信期限を含む生成指示データを送信する生成指示手段と、を有する。
【0008】
第1発明に係る無線通信システムは、複数の移動体から生成されたデータを収集する無線通信システムであって、長距離無線通信を介し、制御装置が複数の前記移動体におけるデータ転送の条件を制御する第1通信手段と、短距離無線通信を介し、前記移動体と中継部との間、又は複数の前記移動体の間における通信を、蓄積転送型のDTN(Delay Tolerant Network)を用いて行う第2通信手段と、有線通信又は前記長距離無線通信を介し、前記制御装置と、前記中継部との間における通信を行う第3通信手段と、を備え、前記第1通信手段は、前記移動体から前記制御装置に対し、前記移動体の通信可能な状態を示す存在通知データを周期的に送信する生存確認手段と、前記存在通知データを受信した前記制御装置から前記移動体に対し、センサの種類、データの識別子、及び送信期限を含む生成指示データを送信する生成指示手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
発明に係る無線通信システムは、第発明において、前記第2通信手段は、前記生成指示データを受信した前記移動体から前記中継部又は他の前記移動体に対し、前記生成指示データに基づき生成されたメッセージを送信するメッセージ送信手段を有し、前記第3通信手段は、前記メッセージを受信した前記中継部から前記制御装置に対し、前記メッセージを送信する中継手段を有することを特徴とする。
【0011】
発明に係る無線通信システムは、第発明において、前記第3通信手段は、前記制御装置が、前記生成指示データに基づき生成された前記メッセージを受信した場合、前記メッセージに紐づく前記識別子を、予め構築された配信済み識別子リストに追加して保存する保存手段を有することを特徴とする。
【0012】
発明に係る無線通信システムは、第発明において、前記第1通信手段は、前記配信済み識別子リストを前記移動体が取得するリスト取得手段を有し、前記リスト取得手段のあと、前記配信済み識別子リストに含まれる前記識別子に紐づく前記メッセージが、前記移動体の有する蓄積用バッファに記憶されている場合、前記蓄積用バッファに記憶されている前記メッセージを削除する削除手段をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
発明に係る無線通信システムは、第発明において、前記第1通信手段は、前記配信済み識別子リストを前記移動体が取得するリスト取得手段を有し、前記第2通信手段は、前記リスト取得手段のあと、前記配信済み識別子リストを取得した前記移動体に、前記配信済み識別子リストに含まれる前記識別子に紐づく前記メッセージが送信される場合、前記メッセージの受信を拒否する拒否手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、第1通信手段は、長距離無線通信を介し、制御装置が複数の移動体におけるデータ転送の条件を制御する。また、第2通信手段は、短距離無線通信を介し、移動体と中継部との間、又は複数の移動体の間における通信を行う。また、第3通信手段は、制御装置と、中継部との間における通信を行う。このため、各移動体は、長距離無線通信を介さずに、データの送受信を行うことができる。これにより、データを効率的に収集することが可能となる。
【0015】
また、第1発明によれば、第2通信手段は、蓄積転送型のDTNを用いて行われる。このため、中継部との通信が難しい位置に存在する移動体から生成されたデータに対しても、他の移動体を介して受信することができる。これにより、広範囲に存在する複数の移動体を対象とした場合においても、データの収集効率の低下を抑制することが可能となる。
【0016】
また、第発明によれば、第1通信手段は、生存確認手段と、制御装置から移動体に対して生成指示データを送信する生成指示手段とを有する。このため、移動体の通信状況を考慮した上で、移動体のデータ転送の条件を制御することができる。これにより、さらに効率的なデータ収集を実現することが可能となる。
【0017】
特に、第発明によれば、第3通信手段は、中継部から制御装置に対し、メッセージを送信する中継手段を有する。すなわち、短距離無線通信とは独立した通信手段を介して、制御装置にメッセージが収集される。このため、複数の移動体から直接制御装置にメッセージを送信する場合に比べて、容易にメッセージ(データ)を収集することができる。これにより、さらに効率的なデータ収集を実現することが可能となる。
【0018】
特に、第発明によれば、第3通信手段は、メッセージに紐づく識別子を、配信済み識別子リストに追加して保存する保存手段を有する。このため、移動体によって生成されたメッセージの管理を、制御装置を用いて容易に実現できる。これにより、移動体から受信
したデータの管理を容易にすることが可能となる。
【0019】
特に、第発明によれば、削除手段は、配信済み識別子リストに含まれる識別子に紐づくメッセージが、移動体の有する蓄積用バッファに記憶されている場合、蓄積用バッファに記憶されているメッセージを削除する。このため、制御装置への送信が完了したメッセージが、DTN転送機能に用いられる蓄積用バッファを占有することを制御することができる。これにより、送信完了のメッセージ(データ)による冗長トラヒック量の抑制を実現することが可能となる。
【0020】
特に、第発明によれば、第2通信手段は、配信済み識別子リストに含まれる識別子に紐づくメッセージの受信を拒否する拒否手段を有する。このため、制御装置への送信が完了したメッセージが、DTN転送機能に用いられる蓄積用バッファを占有することを防ぐことができる。これにより、送信完了のメッセージ(データ)による冗長トラヒック量の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態における無線通信システムの概要の一例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態における無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、実施形態における無線通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態における無線通信システムの動作の第1変形例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態における無線通信システムの動作の第2変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態:無線通信システム100)
以下、本発明の実施形態としての無線通信システム100について詳細に説明する。図1は、本実施形態の無線通信システム100における概要の一例を示す模式図である。
【0023】
無線通信システム100は、複数の移動体2から生成されたデータを収集するために用いられる。無線通信システム100は、例えば図1に示すように、制御装置1と、複数の移動体2と、中継部3とを備える。
【0024】
無線通信システム100は、例えば利用者9の要求に応じて、制御装置1から複数の移動体2に対してデータ生成の指示を送信する。その後、中継部3を介して、複数の移動体2から生成されたデータ(メッセージ)を、制御装置1に収集する。なお、図1では、利用者9からの「要求」を(request)で示し、収集されたデータを利用者9に「送信」する動作を(response(collected data))で示す。
【0025】
無線通信システム100で収集されるデータとして、例えば移動体2が車の場合、交通情報(車の密集度)、車に備え付けられたセンサの情報、道路の形状等の情報、天気(雨、雹、雪、風等)、運転者又は車の状態(エンジン状態、運転者の反応時間等)や、偶発的な現象(霧、洪水、地震、動物の侵入等)が用いられ、利用者9の要求に応じて予め設定することができる。
【0026】
制御装置1として、例えばクラウドサーバが用いられる。制御装置1は、例えば複数の移動体2との通信を行う基地局1bを有してもよい。移動体2として、車が用いられるほか、例えばIoT(Internet of Things)デバイス、スマートフォン等の端末が用いられてもよい。無線通信システム100では、例えば利用者9の要求に応じて移動体2の構成を設定してもよい。中継部3として、例えば固定された路側機が用いられるほか、例えば移動体2と同様に車等が用いられてもよい。
【0027】
無線通信システム100では、長距離無線通信Lnを介し、制御装置1と複数の移動体2との間における通信が行われ、例えば制御装置1が複数の移動体2におけるデータ転送の条件を制御する。
【0028】
長距離無線通信Lnとして、例えばLPWA(Low Power Wide Area)等の公知の通信方式が用いられ、例えば公衆通信網(インターネット4)と接続されてもよい。なお、図1では、長距離無線通信Lnの通信経路を、破線矢印(Control plane)で示す。
【0029】
データ転送の条件は、例えば制御装置1が生成する生成指示データによって制御され、移動体2が生成するデータや、転送する期限等の条件が含まれる。生成指示データには、データ転送の条件を制御するための情報が含まれる。
【0030】
制御装置1は、例えばクラウド部1aと、基地局1bとを有してもよい。この場合、複数の移動体2は、長距離無線通信Lnを介して基地局1bと通信を行い、基地局1bは、インターネット4を介してクラウド部1aと通信を行う。
【0031】
無線通信システム100では、短距離無線通信Snを介し、移動体2と中継部3との間、又は複数の移動体2の間における通信が行われる。短距離無線通信Snとして、例えばIEEE802.11pの公知の通信方式が用いられる。なお、図1では、短距離無線通信Snの通信経路を、実線矢印で示す。
【0032】
移動体2と中継部3との間、又は複数の移動体2の間における通信は、蓄積転送型のDTN(Delay Tolerant Network)を用いて行われ、また、経路制御としてエニーキャスト方式(any cast)を用いて行われる。DTNのプロトコルとして、例えば移動モデル等に依存しないEpidemic routingプロトコル等が用いられる。
【0033】
例えば移動体2は、近接する他の移動体2に対してデータの通信を行う。送信の対象となるデータは、さらに他の移動体2から受信して蓄積されたデータに、自ら生成したデータを加えたデータ群が用いられる。このため、複数の移動体2の間における通信を行う毎に、データ群に含まれるデータの種類が増加し、最終的に中継部3へ送信される。これにより、移動体2毎に中継部3へデータを送信する場合に比べて、データの収集効率を向上させることができる。なお、例えば図1のように、中継部3が複数設けられる場合、データ群は各中継部3の何れかに送信されるように設定される。
【0034】
無線通信システム100では、有線通信Wc又は長距離無線通信Lnを介し、制御装置1と、中継部3との間における通信が行われる。有線通信Wcとして、例えば光ファイバ通信等の公知の通信方式が用いられる。なお、図1では、有線通信Wcの通信経路を、一点鎖線の矢印(Data plane)で示す。
【0035】
制御装置1は、例えば有線通信Wcを介し、インターネット4を経由したデータ群を中継部3から受信する。なお、例えば有線通信Wcの代わりに、長距離無線通信Lnを介してデータ群の送受信が行われてもよい。
【0036】
次に、制御装置1、移動体2、及び中継部3における構成について説明する。図2は、制御装置1、移動体2、及び中継部3における構成の一例を示す模式図である。
【0037】
制御装置1は、制御部11と、長距離無線通信部12と、有線通信部13と、記憶部14とを有し、各構成は内部バスにより接続される。制御部11において、例えばクラウド部1aが制御部11、有線通信部13、及び記憶部14を有し、基地局1bが長距離無線通信部12を有してもよい。この場合、クラウド部1a及び基地局1bは、図示しないインターネット通信部を有し、互いにインターネット4を介して接続される。
【0038】
制御部11は、制御装置1全体の動作制御や、移動体2に送信するための生成指示データ等を生成する。制御部11として、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが用いられる。
【0039】
長距離無線通信部12は、長距離無線通信Lnを介し、複数の移動体2と通信を行う。長距離無線通信部12は、例えば生成指示データを複数の移動体2に送信する。これにより、制御装置1が複数の移動体2におけるデータ転送の条件を制御することができる。
【0040】
有線通信部13は、有線通信Wcを介し、中継部3と通信を行う。有線通信部13は、例えばデータ群を中継部3から受信する。これにより、複数の移動体2から生成された複数のデータを効率的に収集することが可能となる。
【0041】
記憶部14には、複数の移動体2が生成したデータ(メッセージ)等が記憶される。記憶部14として、例えばHDD(Hard Disk Drive)のほか、SSD(solid state drive)等のデータ保存装置が用いられる。記憶部14には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、制御装置1により実行されるプログラム等が記憶される。なお、制御装置1により実行される各機能は、制御部11が、RAMを作業領域として、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
【0042】
移動体2は、制御部21と、長距離無線通信部22と、短距離無線通信部23と、生成部24と、DTN転送部25と、記憶部26とを有し、各構成は内部バスにより接続される。
【0043】
制御部21は、移動体2全体の動作制御等を行う。制御部21として、例えばCPU等のプロセッサが用いられる。
【0044】
長距離無線通信部22は、長距離無線通信Lnを介し、制御装置1と通信を行う。長距離無線通信部22は、例えば生成指示データを制御装置1から受信する。
【0045】
短距離無線通信部23は、短距離無線通信Snを介し、中継部3又は他の移動体2と通信を行う。このとき、DTNを用いてデータの送受信が行われる。
【0046】
生成部24は、生成指示データに基づくデータを生成する。生成部24は、例えば取得部24aを有し、取得部24aによって得られた信号等からデータを生成する。取得部24aとして、例えばジャイロセンサ、エンジン温度センサ、ステアリングハンドル状態センサ等のセンサ装置のほか、例えばカメラ等の撮像装置が用いられる。
【0047】
DTN転送部25は、DTNによる通信の制御を行う。DTN転送部25は、生成部24によって生成されたデータが記憶された蓄積用バッファ25aを有する。蓄積用バッファ25aには、複数の移動体2によって生成された複数のデータが記憶される。DTN転送部25の一部には、例えばCPU等のプロセッサが用いられてもよく、例えば制御部21と一体に具現化されてもよい。蓄積用バッファ25aとして、例えばHDDのほか、SSD等のデータ保存装置が用いられる。
【0048】
記憶部26には、制御装置1が生成した生成指示データ等が記憶される。記憶部26として、例えばHDDのほか、SSD等のデータ保存装置が用いられ、例えば蓄積用バッファ25aと一体に具現化されてもよい。記憶部26には、例えばRAM及びROMを含み、移動体2により実行されるプログラム等が記憶される。なお、移動体2により実行される各機能は、制御部21が、RAMを作業領域として、記憶部26に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。記憶部26には、例えば蓄積用バッファ25aと同様のデータが記憶されてもよい。
【0049】
中継部3は、制御部31と、有線通信部32と、短距離無線通信部33と、DTN転送部34と、記憶部35とを有し、各構成は内部バスにより接続される。
【0050】
制御部31は、中継部3全体の動作制御等を行う。制御部31として、例えばCPU等のプロセッサが用いられる。
【0051】
有線通信部32は、有線通信Wcを介し、制御装置1と通信を行う。有線通信部32は、例えば移動体2から受信したデータ群を制御装置1に送信する。
【0052】
短距離無線通信部33は、短距離無線通信Snを介し、移動体2と通信を行う。このとき、DTNを用いてデータの送受信が行われ、移動体2の有する蓄積用バッファ25aに記憶されたデータ群を受信する。
【0053】
DTN転送部34は、DTNによる通信の制御を行う。DTN転送部34は、受信したデータ群が記憶された蓄積用バッファ34aを有する。DTN転送部34の一部には、例えばCPU等のプロセッサが用いられてもよく、例えば制御部21と一体に具現化されてもよい。蓄積用バッファ34aとして、例えばHDDのほか、SSD等のデータ保存装置が用いられる。
【0054】
記憶部35には、例えば蓄積用バッファ34aと同様のデータが記憶されてもよい。記憶部35として、例えばHDDのほか、SSD等のデータ保存装置が用いられ、例えば蓄積用バッファ34aと一体に具現化されてもよい。記憶部35には、例えばRAM及びROMを含み、中継部3により実行されるプログラム等が記憶される。なお、中継部3により実行される各機能は、制御部31が、RAMを作業領域として、記憶部35に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
【0055】
(実施形態:無線通信システム100の動作の一例)
次に、本実施形態における無線通信システム100の動作について説明する。図3は、本実施形態における無線通信システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
<第1通信手段S110>
先ず、長距離無線通信Lnを介し、制御装置1が複数の移動体2におけるデータ転送の条件を制御する(第1通信手段S110)。第1通信手段S110では、長距離無線通信Lnを介して、制御装置1の長距離無線通信部12と、各移動体2の長距離無線通信部12との通信が行われ、制御装置1から複数の移動体2に対して、生成指示データが送信される。これにより、移動体2におけるデータ転送の条件を制御することができる。なお、第1通信手段S110では、例えばインターネット4を経由した通信を行ってもよい。
【0057】
生成指示データは、例えば利用者9等の要求に基づき、制御装置1の制御部11によって生成される。この場合、制御装置1は、例えば利用者9から受信した移動体2のアドレスに基づき、対象となる移動体2に対して、生成指示データを送信する。
【0058】
生成指示データには、データとして収集するセンサの種類、データの識別子、及びTTL(Time To Live:送信期限)等の情報が含まれる。センサの種類には、例えば移動体2の周辺環境、移動体2(例えば車体)の種類、平均速度等の計測条件を限定する情報が含まれてもよい。識別子として、例えば所定の長さを有する乱数が用いられる。なお、生成指示データには、例えば移動体2におけるデータ生成のほか、データ転送、転送終了(待機)等のデータ転送の条件の制御に関する情報を含ませてもよい。
【0059】
制御装置1の記憶部14には、例えば生成された生成指示データ、又は生成指示データに含まれる識別子等が記憶される。これにより、収集されたデータ(メッセージ)の識別が可能となる。なお、制御装置1から生成指示データが送信される移動体2の数、頻度、及び期間は、任意である。
【0060】
第1通信手段S110では、例えば生成指示データに基づき、移動体2側でデータを生成するか否かを判断できるようにしてもよい。この場合、例えば移動体2のDTN転送部25は、受信した生成指示データに含まれるセンサの種類等に基づき、移動体2によって生成できるか否かを判断してもよい。
【0061】
<第2通信手段S120>
次に、短距離無線通信Snを介し、移動体2と中継部3との間、又は複数の移動体2の間における通信を、蓄積転送型のDTNを用いて行う(第2通信手段S120)。第2通信手段S120では、短距離無線通信Snを介して、各移動体2の短距離無線通信部23と、中継部3の短距離無線通信部33との通信が行われる。
【0062】
第2通信手段S120では、データ送受信が蓄積転送型のDTNを用いてデータ送受信が行われるため、各移動体2間のデータ送受信が行われる度にデータが蓄積され、データ量が大きくなる。蓄積されたデータ(データ群)は、最終的に中継部3に送信される。このため、中継部3との通信が難しい位置に存在する移動体2から生成されたデータに対しても、他の移動体2を介して受信することができる。なお、データを受信した移動体2及び中継部3は、それぞれ蓄積用バッファ25a、34aにデータを記憶する。なお、中継部3として、一部の移動体2が用いられてもよい。
【0063】
<第3通信手段S130>
次に、有線通信Wc又は長距離無線通信Lnを介し、制御装置1と、中継部3との間における通信を行う(第3通信手段S130)。第3通信手段S130では、有線通信Wcを介して、制御装置1の有線通信部13と、中継部3の有線通信部32との通信が行われる。なお、有線通信Wcの代わりに長距離無線通信Lnが用いられる場合、中継部3には有線通信部32の代わりに、長距離無線通信部が設けられるほか、中継部3として移動体2が用いられてもよい。また、第3通信手段S130では、例えばインターネット4を経由した通信を行ってもよい。
【0064】
第3通信手段S130では、中継部3の蓄積用バッファ34aに記憶されたデータ群を、制御装置1に送信する。データ群を受信した制御装置1は、記憶部14にデータ群を記憶する。その後、状況に応じて利用者9へデータ群を送信する。なお、制御装置1は、例えば生成した生成指示データに含まれる識別子を記憶する場合、受信したデータ群に紐づく識別子と、記憶された識別子とを比較した上で、記憶された識別子と一致する識別子に紐づくデータのみを受信するようにしてもよい。
【0065】
これにより、本実施形態における無線通信システム100の動作が終了する。なお、第3通信手段S130のあと、例えば第1通信手段S110等が再び行われてもよい。
【0066】
(実施形態:無線通信システム100の動作の第1変形例)
次に、本実施形態における無線通信システム100の動作の第1変形例について説明する。図4は、本実施形態における無線通信システム100の動作の第1変形例を示すフローチャートである。
【0067】
第1変形例では、主に、移動体2が生成する存在通知データに基づき、生成指示データの生成及び送信が行われる。
【0068】
図4に示すように、第1通信手段S110は、例えば生存確認手段S111と、生成指示手段S112とを有する。この場合、移動体2の通信状況を考慮した上で、移動体2のデータ転送の条件を制御することができる。
【0069】
第2通信手段S120は、例えばメッセージ生成手段S121と、メッセージ送信手段S122とを有する。この場合、生成指示データに基づいて生成されたメッセージ(データ)を、効率良く中継部3に収集させることができる。
【0070】
第3通信手段S130は、例えば中継手段S131、及び保存手段S132の少なくとも何れかを有する。中継手段S131を有することで、複数の移動体2から直接制御装置1にメッセージを送信する場合に比べて、容易にメッセージ(データ)を収集することができる。また、保存手段S132を有することで、移動体2によって生成されたメッセージの管理を、制御装置1を用いて容易に実現できる。
【0071】
<<生存確認手段S111>>
生存確認手段S111では、各移動体2から制御装置1に対し、移動体2自身の通信可能な状態を示す存在通知データを周期的に送信する。存在通知データは、例えば移動体2の制御部21により生成され、送信される頻度、及び周期は任意である。
【0072】
<<生成指示手段S112>>
生成指示手段S112では、存在通知データを受信した制御装置1から、存在通知データを送信した移動体2に対し、生成指示データを送信する。制御装置1の制御部11は、受信した存在通知データに基づき、生成指示データを生成する。
【0073】
存在通知データは、例えば移動体2毎のアドレスを含む。この場合、制御装置1は、存在通知データに基づき、生成指示データを移動体2に送信するか否かを判断する。
【0074】
存在通知データは、アドレスのほか、例えば移動体2の周辺環境、種類、平均速度等の計測条件等を限定する情報を含んでもよい。この場合、制御装置1は、存在通知データに基づき、データとして収集する価値のある条件が整っている移動体2を選別することができる。これにより、データ収集の効率を向上させることが可能となる。
【0075】
<<メッセージ生成手段S121>>
メッセージ生成手段S121では、生成指示データに基づきメッセージを生成する。移動体2の生成部24は、生成指示データに含まれる識別子、及びTTL、並びに、指定されたセンサの種類に対応するセンサデータを含むメッセージを生成する。センサデータは、例えば取得部24aにより取得された信号に基づき、生成される。
【0076】
<<メッセージ送信手段S122>>
メッセージ送信手段S122では、移動体2から中継部3又は他の移動体2に対し、メッセージを送信する。メッセージ送信手段S122では、例えばエニーキャスト方式によって移動体2間でメッセージの送受信が行われる。例えば移動体2からメッセージを受信した他の移動体2では、蓄積用バッファ25aにメッセージが保存される。その後、蓄積用バッファ25aに蓄積されたメッセージに加え、生成部24によって生成された他のメッセージが加えられたメッセージ群(データ群)が、さらに他の移動体2へ送信される。すなわち、移動体2間のデータ転送が行われる度に、各移動体2で生成されたメッセージが蓄積されたデータ群が転送される。蓄積されたデータ群は、最終的に中継部3に送信される。
【0077】
<<中継手段S131>>
中継手段S131では、メッセージ群を受信した中継部3から制御装置1に対し、メッセージ群を送信する。制御装置1の制御部11は、例えば受信したメッセージ群に含まれる複数の識別子と、生成指示データに含まれた識別子とを比較する。制御部11は、各識別子が一致する場合、生成指示データに基づき生成されたメッセージと判断し、一致した識別子を含むメッセージを受信する。
【0078】
<<保存手段S132>>
保存手段S132は、制御装置1が、生成指示データに基づき生成されたメッセージを受信した場合、メッセージに紐づく識別子を、予め構築された配信済み識別子リストに追加して保存する。制御部11は、例えば受信したメッセージ群に含まれる複数のTTLのうち、現在時刻よりも早いTTLを含むメッセージを選択し、メッセージに含まれる識別子を配信済み識別子リストに追加し、記憶部14に保存する。なお、制御部11は、例えば受信したメッセージ群に含まれる複数のTTLのうち、現在時刻よりも遅いTTLを含むメッセージを確認した場合、削除又は受信を拒否してもよい。
【0079】
これにより、本実施形態における無線通信システム100の動作の第1変形例が終了する。なお、保存手段S132のあと、例えば第1通信手段S110等が再び行われてもよい。
【0080】
(実施形態:無線通信システム100の動作の第2変形例)
次に、本実施形態における無線通信システム100の動作の第2変形例について説明する。図5は、本実施形態における無線通信システム100の動作の第2変形例を示す模式図である。
【0081】
第2変形例では、主に、配信済み識別子リストに基づき、移動体2の蓄積用バッファ25aに記憶されたデータ(図5ではDTN buffer)が変更される。
【0082】
第2変形例では、例えば図5に示すように、第1通信手段S110は、配信済み識別子リストDSV(DSV:Delivery Status Vector)を各移動体2が取得するリスト取得手段S113を有する。リスト取得手段S113は、例えば上述した保存手段S132のあとに行われる。
【0083】
リスト取得手段S113では、制御装置1と通信可能な移動体2(図5では2a、2b、2d)が、配信済み識別子リストDSVを取得する。移動体2は、取得した配信済み識別子リストDSVを、蓄積用バッファ25a又は記憶部26に記憶する。リスト取得手段S113では、例えば有線通信Wc又は長距離無線通信Lnを介して、制御装置1から中継部3に対して配信済み識別子リストDSVを送信してもよい。
【0084】
なお、リスト取得手段S113は、例えば生存確認手段S111と同時に行ってもよく、各手段のタイミングは任意である。また、制御装置1から移動体2に対して、配信済み識別子リストDSVが送信される頻度、及び周期は、任意である。
【0085】
第2変形例において、無線通信システム100は、リスト取得手段S113のあとに削除手段S140をさらに備えてもよい。削除手段S140は、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子に紐づくメッセージが、移動体2の蓄積用バッファ25aに記憶されている場合、蓄積用バッファ25aに記憶されているメッセージを削除する。移動体2のDTN転送部25は、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子と、蓄積用バッファ25aに記憶されたメッセージに含まれる識別子とを比較する。DTN転送部25は、各識別子が一致する場合、一致した識別子を含むメッセージを削除する。
【0086】
削除手段S140を行うことで、蓄積用バッファ25aに記憶された複数のメッセージのうち、制御装置1に収集されたメッセージを容易に削除することができる。また、削除手段S140を行ったあと、例えば第2通信手段S120を行うことで、例えば移動体2bから移動体2cに対して送信されるメッセージ群Dbの量を、削減することができる。
【0087】
第2変形例では、第2通信手段S120は、拒否手段S123を有してもよい。拒否手段S123は、リスト取得手段S113のあとに行われる。
【0088】
拒否手段S123では、配信済み識別子リストDSVを取得した移動体2(例えば図5の移動体2d)に、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子に紐づくメッセージが送信される場合、メッセージの受信を拒否する(図5ではreject)。移動体2のDTN転送部25は、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子と、移動体2に送信されたメッセージ群D(例えば図5のメッセージ群Dc)に含まれた識別子とを比較する。DTN転送部25は、各識別子が一致する場合、一致した識別子を含むメッセージの受信を拒否する。
【0089】
拒否手段S123を行うことで、受信するメッセージ群Dのデータ容量を、削減することができる。なお、拒否手段S123は、例えば配信済み識別子リストDSVを取得していない移動体2(例えば図5の移動体2c)から送信されたメッセージ群Dcを受信する場合に、特に顕著な効果を得ることができる。
【0090】
なお、上述した削除手段S140及び拒否手段S123は、例えば中継部3が行ってもよい。この場合、中継部3から制御装置1に送信されるメッセージ群D3の容量を抑制することもできる。
【0091】
本実施形態によれば、第1通信手段S110は、長距離無線通信Lnを介し、制御装置1が複数の移動体2におけるデータ転送の条件を制御する。また、第2通信手段S120は、短距離無線通信Snを介し、移動体2と中継部3との間、又は複数の移動体2の間における通信を行う。また、第3通信手段S130は、制御装置1と、中継部3との間における通信を行う。このため、各移動体2は、長距離無線通信Lnを介さずに、データの送受信を行うことができる。これにより、データを効率的に収集することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態によれば、第2通信手段S120は、蓄積転送型のDTNを用いて行われる。このため、中継部3との通信が難しい位置に存在する移動体2から生成されたデータに対しても、他の移動体2を介して受信することができる。これにより、広範囲に存在する複数の移動体2を対象とした場合においても、データの収集効率の低下を抑制することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態によれば、第1通信手段S110は、生存確認手段S111と、制御装置1から移動体2に対して生成指示データを送信する生成指示手段S112とを有する。このため、移動体2の通信状況を考慮した上で、移動体2のデータ転送の条件を制御することができる。これにより、さらに効率的なデータ収集を実現することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態によれば、第3通信手段S130は、中継部3から制御装置1に対し、メッセージを送信する中継手段S131を有する。すなわち、短距離無線通信Snとは独立した通信手段を介して、制御装置1にメッセージが収集される。このため、複数の移動体2から直接制御装置1にメッセージを送信する場合に比べて、容易にメッセージ(データ)を収集することができる。これにより、さらに効率的なデータ収集を実現することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態によれば、第3通信手段S130は、メッセージに紐づく識別子を、配信済み識別子リストDSVに追加して保存する保存手段S132を有する。このため、移動体2によって生成されたメッセージの管理を、制御装置1を用いて容易に実現できる。これにより、移動体2から受信したデータの管理を容易にすることが可能となる。
【0096】
また、本実施形態によれば、削除手段S140は、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子に紐づくメッセージが、移動体2の有する蓄積用バッファ25aに記憶されている場合、蓄積用バッファ25aに記憶されているメッセージを削除する。このため、制御装置1への送信が完了したメッセージが、DTN転送機能に用いられる蓄積用バッファ25aを占有することを制御することができる。これにより、送信完了のメッセージ(データ)による冗長トラヒック量の抑制を実現することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第2通信手段S120は、配信済み識別子リストDSVに含まれる識別子に紐づくメッセージの受信を拒否する拒否手段S123を有する。このため、制御装置1への送信が完了したメッセージが、DTN転送機能に用いられる蓄積用バッファ25aを占有することを防ぐことができる。これにより、送信完了のメッセージ(データ)による冗長トラヒック量の増加を抑制することが可能となる。
【0098】
なお、上述した実施形態における無線通信システム100は、例えばデータサイズが比較的大きく、データ生成が頻繁に行われ、移動体2のDTN転送機能が有するバッファサイズがあまり大きくない場合、また、長距離無線通信Lnの帯域が小さく、頻繁に繋がらなくなる場合等において、特に効果を得ることができる。また、コネクテッドカーから大容量データ(例えば故障診断、異常検知、ハザードマップ作成等)を収集する際に、本実施形態における無線通信システム100を用いることで、特にデータを効率的に収集することが可能となる。上記に加え、例えば発展途上国等の通信設備が整っていない環境においても、本実施形態における無線通信システム100を用いることで、データを効率的に収集することが可能となる。
【符号の説明】
【0099】
1 :制御装置
1a :クラウド部
1b :基地局
11 :制御部
12 :長距離無線通信部
13 :有線通信部
14 :記憶部
2 :移動体
21 :制御部
22 :長距離無線通信部
23 :短距離無線通信部
24 :生成部
24a :取得部
25 :DTN転送部
25a :蓄積用バッファ
26 :記憶部
3 :中継部
31 :制御部
32 :有線通信部
33 :短距離無線通信部
34 :DTN転送部
34a :蓄積用バッファ
35 :記憶部
4 :インターネット
9 :利用者
100 :無線通信システム
DSV :識別子リスト
Ln :長距離無線通信
Sn :短距離無線通信
Wc :有線通信
S110 :第1通信手段
S120 :第2通信手段
S130 :第3通信手段
図1
図2
図3
図4
図5