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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 651
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022022313
(22)【出願日】2022-02-16
(62)【分割の表示】P 2018070975の分割
【原出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2022059039
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 優
【審査官】高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】特許第7043133(JP,B2)
【文献】特開2018-038645(JP,A)
【文献】特開2015-198692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者にとって有利な押し順ナビが実行される遊技状態であるアシストタイムを発生するか否かを抽選する抽選手段を備え、遊技者の開始操作に基づきゲームを開始可能とする一方、遊技者による停止操作に基づき前記ゲームの結果を導出するとともに前記ゲームを終了可能とした遊技機において、
複数の情報を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の表示制御が可能な表示制御手段と、
前記抽選手段における前記アシストタイムの当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、所定の表示態様からなり、前記抽選制御手段で制御されている前記確率段階が前記複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを前記表示手段に表示させる制御が可能なステージ制御手段を備え、
前記ステージ制御手段は、
前記確率段階が所定の確率段階であることを示唆可能な第1ステージと、前記第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも前記当選確率が高い確率段階を示唆可能な第2ステージとを前記表示手段に表示させることを可能とし、
前記ゲームにおいて前記ステージの切り替えを制御可能とするとともに、前記第1ステージから前記第2ステージに切り替わる第1の切替と、前記第2ステージから前記第1ステージに切り替わる第2の切替と、が前記ゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるように前記ステージの切り替え時期を制御可能なステージ切替制御手段を備え、
前記ステージ切替制御手段は、
前記ステージの切り替えを行うと決定した場合に、前記ゲームの結果が導出される前においては、前記第2の切替よりも前記第1の切替の方が高い確率で実行されるように制御する一方、前記ゲームの結果が導出されてから次のゲームが実行されるまでの間においては、前記第1の切替よりも前記第2の切替の方が高い確率で実行されるように制御可能とし、
前記第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、前記第1の切替を実行可能とし
当該遊技機の電源投入から予め定められた複数回のゲームが実行される特定期間においては、前記ステージの切り替えの実行を、前記特定期間以外とは異なる確率で制御可能とした
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者にとって有利な押し順ナビが実行される遊技状態であるアシストタイムを発生するか否かを抽選する抽選手段を備え、遊技者の開始操作に基づきゲームを開始可能とする一方、遊技者による停止操作に基づき前記ゲームの結果を導出するとともに前記ゲームを終了可能とした遊技機において、
複数の情報を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の表示制御が可能な表示制御手段と、
前記抽選手段における前記アシストタイムの当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、所定の表示態様からなり、前記抽選制御手段で制御されている前記確率段階が前記複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを前記表示手段に表示させる制御が可能なステージ制御手段を備え、
前記ステージ制御手段は、
前記確率段階が所定の確率段階であることを示唆可能な第1ステージと、前記第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも前記当選確率が高い確率段階を示唆可能な第2ステージとを前記表示手段に表示させることを可能とし、
前記ゲームにおいて前記ステージの切り替えを制御可能とするとともに、前記第1ステージから前記第2ステージに切り替わる第1の切替と、前記第2ステージから前記第1ステージに切り替わる第2の切替と、が前記ゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるように前記ステージの切り替え時期を制御可能なステージ切替制御手段を備え、
前記ステージ切替制御手段は、
前記ステージの切り替えを行うと決定した場合に、前記ゲームの結果が導出される前においては、前記第2の切替よりも前記第1の切替の方が高い確率で実行されるように制御する一方、前記ゲームの結果が導出されてから次のゲームが実行されるまでの間においては、前記第1の切替よりも前記第2の切替の方が高い確率で実行されるように制御可能とし、
前記第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、前記第1の切替を実行可能とし
前記表示制御手段は、
所定期間前記ゲームが実行されていなかった場合に、呼込み演出を前記表示手段に表示させることが可能な呼込み表示制御手段を備え、
前記ステージ切替制御手段は、
前記呼込み表示制御手段により前記呼込み演出が前記表示手段に表示されている状態から最初のゲームが実行された際には、前記第2ステージを表示する場合であっても、前記最初のゲームの実行条件であるベット入力に基づき前記第1ステージを一旦表示してから、その後前記最初のゲームの開始に基づき前記第2ステージに切り替える
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
遊技者にとって有利な押し順ナビが実行される遊技状態であるアシストタイムを発生するか否かを抽選する抽選手段を備え、遊技者の開始操作に基づきゲームを開始可能とする一方、遊技者による停止操作に基づき前記ゲームの結果を導出するとともに前記ゲームを終了可能とした遊技機において、
複数の情報を表示可能な表示手段と、
前記表示手段の表示制御が可能な表示制御手段と、
前記抽選手段における前記アシストタイムの当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、所定の表示態様からなり、前記抽選制御手段で制御されている前記確率段階が前記複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを前記表示手段に表示させる制御が可能なステージ制御手段を備え、
前記ステージ制御手段は、
前記確率段階が所定の確率段階であることを示唆可能な第1ステージと、前記第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも前記当選確率が高い確率段階を示唆可能な第2ステージとを前記表示手段に表示させることを可能とし、
前記ゲームにおいて前記ステージの切り替えを制御可能とするとともに、前記第1ステージから前記第2ステージに切り替わる第1の切替と、前記第2ステージから前記第1ステージに切り替わる第2の切替と、が前記ゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるように前記ステージの切り替え時期を制御可能なステージ切替制御手段を備え、
前記ステージ切替制御手段は、
前記ステージの切り替えを行うと決定した場合に、前記ゲームの結果が導出される前においては、前記第2の切替よりも前記第1の切替の方が高い確率で実行されるように制御する一方、前記ゲームの結果が導出されてから次のゲームが実行されるまでの間においては、前記第1の切替よりも前記第2の切替の方が高い確率で実行されるように制御可能とし、
前記第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、前記第1の切替を実行可能とし
前記ステージ制御手段は、
前記確率段階が最も低い確率段階であることを示唆可能となるように前記第1ステージを前記表示手段に表示させることを可能とし、
前記確率段階が最も高い確率段階であることを示唆可能となるように前記第2ステージを前記表示手段に表示させることを可能とし、
前記ステージ切替制御手段は、
前記確率段階が最も高い確率段階で前記第2ステージが前記表示手段に表示されている状態において、前記確率段階が最も低い確率段階に移行した場合でも、前記第2ステージから前記第1ステージへの切り替えを不能とする
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機として、複数のリールを備え、遊技者の開始操作に基づき該複数のリールを変動表示させてゲームを実行し、遊技者の停止操作に基づき複数のリールを停止させて、該複数のリールの停止表示態様によりゲームの結果を導出するようにしたスロットマシンが知られている。
また、近年のスロットマシンにおいては、複数の情報を表示可能な画像表示装置を備えて、ゲームの結果に関連して種々の情報を表示することで、ゲームの演出を行うようにしている。
また、ゲームの演出を行う場合に、背景や登場するキャラクタ等が異なる複数のステージを備えて、複数のステージ上で各種演出を実行するようにして大当たりの期待感に変化を出させるようにした遊技機も知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-095203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の遊技機は、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技者にとって有利な押し順ナビが実行される遊技状態であるアシストタイムを発生するか否かを抽選する抽選手段を備え、遊技者の開始操作に基づきゲームを開始可能とする一方、遊技者による停止操作に基づき前記ゲームの結果を導出するとともに前記ゲームを終了可能とした遊技機において、複数の情報を表示可能な表示手段と、前記表示手段の表示制御が可能な表示制御手段と、前記抽選手段における前記アシストタイムの当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、所定の表示態様からなり、前記抽選制御手段で制御されている前記確率段階が前記複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを前記表示手段に表示させる制御が可能なステージ制御手段を備え、前記ステージ制御手段は、前記確率段階が所定の確率段階であることを示唆可能な第1ステージと、前記第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも前記当選確率が高い確率段階を示唆可能な第2ステージとを前記表示手段に表示させることを可能とし、前記ゲームにおいて前記ステージの切り替えを制御可能とするとともに、前記第1ステージから前記第2ステージに切り替わる第1の切替と、前記第2ステージから前記第1ステージに切り替わる第2の切替と、が前記ゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるように前記ステージの切り替え時期を制御可能なステージ切替制御手段を備え、前記ステージ切替制御手段は、前記ステージの切り替えを行うと決定した場合に、前記ゲームの結果が導出される前においては、前記第2の切替よりも前記第1の切替の方が高い確率で実行されるように制御する一方、前記ゲームの結果が導出されてから次のゲームが実行されるまでの間においては、前記第1の切替よりも前記第2の切替の方が高い確率で実行されるように制御可能とし、前記第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、前記第1の切替を実行可能とし、当該遊技機の電源投入から予め定められた複数回のゲームが実行される特定期間においては、前記ステージの切り替えの実行を、前記特定期間以外とは異なる確率で制御可能とした構成にした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遊技機の外観を示す概略正面図である。
図2】遊技機の制御構成を示すブロック図である。
図3】遊技機の遊技の流れを説明する図である。
図4】遊技機のリール周辺を正面視左側からみた断面図である。
図5】遊技機のリール周辺を正面視左側からみた断面図である。
図6】遊技機のリールと役物装置の動作を説明するための斜視図である。
図7】遊技機のリールと役物装置の動作、及びサブ表示器の表示を説明するための斜視図である。
図8】遊技機のリールと役物装置の動作、及び表示器とパネル表示器の表示を説明するための断面図と正面図である。
図9】ステージA~Dに滞在中における各ステージへの移行率をCZ状態の当選確率毎に説明する図表である。
図10】CZ状態の当選確率状態が通常確率状態から高確率状態に移行した場合、及び高確率状態を維持した場合のステージの状態を説明するためのタイミングチャートである。
図11】CZ状態の当選確率状態が高確率状態から通常確率状態に移行した場合、及び超高確率状態から通常確率状態に移行した場合のステージの状態を説明するためのタイミングチャートである。
図12】CZ状態の当選確率状態が高確率状態を維持した場合のステージの状態を説明するためのタイミングチャートである。
図13】CZ状態の当選確率状態が高確率状態を維持した場合のステージの状態を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここでは、本発明にかかる遊技機の適例としてのスロットマシンについて説明を行う。
【0008】
まず、スロットマシン1の全体構成について、図1図2を参照して説明する。
スロットマシン1は、遊技場等に設置されるものである。
図1図2に示すように、スロットマシン1は、本体1a、メダル投入口2、ベットボタン2a、演出ボタン2c、スタートレバー3、停止ボタン5(停止操作手段)、表示窓6、メダル払出口7b、表示器8(表示手段、第1表示手段)、スピーカ9(音声出力手段)、前面パネル10、ランプ11、メダルセレクタ11a、ナビランプ12、有利状態ランプ13、上部構成枠17、役物装置18、メダル払出装置19、確率設定装置20、リール27、主制御基板25、副制御基板26を備える。
【0009】
なお、スロットマシン1は、主制御基板25、副制御基板26に設けられた記憶部、制御部を備え、各種演算処理、各種制御が可能な装置であり、コンピュータの概念に含まれる。各記憶部は、各スロットマシン1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する半導体メモリ素子等の記憶装置を備える。各制御部は、CPU等を備える。各制御部は、各記憶部に記憶された各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
【0010】
図1に示すように、スロットマシン1を手前側から見た状態で、本体1aの上部における左右方向の中央の位置には、液晶表示装置等からなる表示器8が配置される。表示器8は、後述するように演出(画像演出)に係る情報等、複数の情報を表示可能となっている。
本体1aの上部であって表示器8の前方には、中央に開口部17aを有する上部構成枠17が配設され、表示器8は、上部構成枠17の開口部17aから表示面が前方に臨んだ状態で配設される。
【0011】
開口部17aの縁となる矩形状の四辺の各々からは、後方側に延在して断面ロ字状となるような壁部17bが設けられ、各壁部17bの後端に表示面が隣設するように表示器8が設けられている。左右の壁部17bの間隔は、後述する役物装置18の役物本体18aの左右幅よりも大きくなるように設定されている。また、各壁部17bの前後の長さは、役物本体18aが表示器8の前方において前後方向に十分に動作可能な程度に設定されている。また、上下の壁部17bの間隔は、役物本体18aが上下方向に動作可能であって、役物本体18aの上下幅よりも大きくなるように設定されている。
したがって、表示器8の前方は、表示器8の表示面を底面とするとともに断面ロ字状の壁部17bを上下左右の側面とした前方開口の凹室状となっていて、凹室内部の空間部17c(図4参照)において、役物本体18aが前後及び上下に動作可能となっている。
なお、本体1aは、島設備(図示省略)に取り付けられるベース体と、ベース体に開閉可能に軸着される前扉体(図示省略)とから構成されるが、表示器8の前方に空間部17cが形成できれば、表示器8を前扉体に配設してもよいし、ベース体に配設してもよい。表示器8を前扉体に配設した場合、表示器8は上部構成枠17とともに開閉することとなり、表示器8をベース体に配設した場合、前扉体の閉鎖により、上部構成枠17の壁部17bの後端部が、表示器8の表示面に隣設されることで空間部17cが形成されることとなる。
【0012】
表示器8の左右の各々には、スピーカ9が配設され、例えば、表示器8で表示される演出に対応する効果音を出力可能となっている。
また、表示器8の左右の各々には、ランプ11が配設され、例えば、表示器8で表示される演出に対応する発光態様の光を出力可能となっている。
【0013】
表示器8の上方には、役物装置18が配設される。
役物装置18は、上部構成部材17の後方に配設されるモータ等の駆動源18bと、LED等の発光源を内蔵して発光装飾が可能な役物本体18aと、駆動源18bと役物本体18aとを連結して役物本体18aを変換動作させるための連結部cとから構成されている。
【0014】
役物装置18は、常態(非作動状態、第1状態)においては、役物本体18aが表示器8の表示面よりも上方であって上部構成枠17の後方に隠れてスロットマシン1の前方からは視認できない位置に収納されている。そして、駆動源18bの作動により作動状態(第2状態)に変換されると、役物本体18aが下方及び前方に移動することにより表示器8の表示面の前面側に現出するようになっている。したがって、役物本体18aは表示器8前方の空間部17cにおいて変換動作が可能となっている。
役物本体18aが、作動状態に変換されると、内部の発光源が発光して装飾効果を高めるようになっている。また、役物本体18aが作動状態に変換される際には、後方の表示器8で役物本体18aの変換に応じた画像が表示される。役物本体18aの作動タイミング等の詳細は後述する。
【0015】
スロットマシン1における本体1aの上下方向中央には、表面に装飾や各種機能表示が施された平板状の前面パネル10が配設される。
前面パネル10の略中央には、リール27に付された図柄を視認可能な透光性を有する部材からなる表示窓6が形成される。
【0016】
リール27は、左右方向に並んで配設される左リール27a、中リール27b、右リール27cから構成され、各リール27a~27cの回転軸は左右方向に延在して、回転中心が同一に設定されている。リール27(27a~27c)は、周面に連続する図柄(識別情報)を有し、これらの図柄が表示窓6を透して機外から識別可能に構成され、リール27が一方向に回転すると、表示窓6内において、例えば、図柄が上から下に変動表示可能に構成されている。各リール27a~27cの図柄は、複数(例えば20個)表されている。図柄の種類は、例えば、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」、「7」、「BAR」等である。
なお、リール27の形態は、これに限定されず、例えば、周面の図柄の個数は、20個以外でもよい。
【0017】
前面パネル10における表示窓6の上部には、後述する停止ボタン5の停止順序を報知可能なナビランプ12a、12b、12cが各リール27a、27b、27cに対応して配設される。
また、前面パネル10における表示窓6の下部左側には、例えば、LEDから構成される有利状態ランプ13が配設される。有利状態ランプ13は、有利区間(後述する)中に点灯するように制御される。なお、スロットマシン1は、有利状態ランプ13に代えて、例えば、メダルの払出数を表示する払出数表示部等を構成する7セグメントディスプレイ(「7セグ」ともいう)の「ドット」部分等を、点灯するように制御してもよい。
【0018】
前面パネル10の下方には、前方に突出する段部が形成され、段部の上面にメダル投入口2、ベットボタン2a及び演出ボタン2cが配設されている。
メダル投入口2は、遊技者がメダル(遊技媒体)を投入する部分である。メダル投入口2の内部には、メダル投入口2に投入されたメダルを検出するセンサ等であるメダルセレクタ11a(メダル検出手段)が備えられている。
ベットボタン2aは、ゲームの開始条件となるベット数の入力を遊技者が行うための押圧式のボタンであり、1操作によりスロットマシン1で許容された最大ベット数を入力可能となっている。
【0019】
演出ボタン2cは、上下方向に移動する押圧式のボタンであり、演出ボタン2cの押圧操作は、非接触型のセンサ等によって検出されて、演出ボタン2cの操作情報として副制御基板26に出力される。また、演出ボタン2cの内部には、LED等からなる発光部材(図示省略)が備えられ、発光部材の発光により演出ボタン2cの操作が有効である旨を報知可能にしている。
【0020】
段部の前面には、スタートレバー3及び停止ボタン5が配設される。
スタートレバー3は、ゲームを開始させるために遊技者が操作するレバーであり、ベット数の入力後、スタートレバー3が有効となりゲームが開始可能となる。
停止ボタン5は、前後方向に移動する押圧式のボタンで構成され、リール27a、27b、27cに対応して停止ボタン5a、5b、5cが横方向に所定間隔で配設される。
【0021】
スロットマシン1における本体1aの下方には、メダル払出装置19から払い出されたメダルが排出されるメダル払出口7bが配設される。
【0022】
図2は、スロットマシン1における制御系のブロック図を示している。
図2に示すように、スロットマシン1には、役の抽選や遊技の進行制御等を行う主制御基板25と、主制御基板25と通信可能に構成され主制御基板25からの制御情報に基づき各種演出制御等を行う副制御基板26と、を備えている。主制御基板25と副制御基板26との制御情報の伝達は、主制御基板25から副制御基板26に対して一方向のみに制限され、主制御基板25への不正を防止している。
【0023】
主制御基板25は、メダルセレクタ11a、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5、確率設定装置20(設定手段)、メダル払出装置19、リール27及び有利状態ランプ13と通信ケーブルで接続されており各機器を制御可能となっている。また、主制御基板25には、記憶部25a、制御部25bが備えられている。
【0024】
確率設定装置20は、ボーナス役の当選確率を複数段階(例えば、6段階)に変更可能にするもので、主制御基板25は、確率設定装置20における確率設定操作に基づき、ボーナス役の当選確率を確率の異なる複数の確率値のうちの何れか1つの確率値に設定する処理を行う。確率設定装置20で設定される設定値は、設定1が最も低い確率値となり、大きい数字ほど確率値が高くなり設定6が最も高い確率値となっている。なお、ボーナス役の他に、所定の小役(例えば、ベル役)の当選確率を複数段階(例えば、6段階)に変更可能にしてもよい。また、後述するCZ(CZ状態)、ART(ART状態)の両方、或いは何れか一方の移行抽選確率を、確率設定装置20の設定値に応じて変更可能に構成してもよいし、確率設定装置20での設定には影響は受けずに、常に固定の確率値で移行抽選を行うように構成してもよい。
メダル払出装置19は、ホッパ(図示せず)に貯留されたメダルを、メダル払出口7bに払い出す装置である。
【0025】
記憶部25aは、遊技に関する遊技プログラム、小役やボーナス役の抽選を行うためのテーブル等の各種情報等を記憶する。
制御部25bは、記憶部25aのプログラムによって動作する。これにより、制御部25bは、スロットマシン1の遊技の進行に関する処理等を行う。
【0026】
また、制御部25bは、スタートレバー3からの信号に基づき、ゲームの開始処理や、乱数発生器(図示省略)からの乱数をサンプリングする処理等を行う。そして、制御部25bは、サンプリングされた乱数に基づき役の抽選処理を行う。また、制御部25bは、記憶部25aの制御プログラムに従って、例えば、所定タイミングで乱数を更新することで、乱数の生成処理を行い、生成された乱数に基づきART状態の移行抽選処理や、ART状態中の上乗せ抽選処理等を行う。すなわち、主制御基板25は、ゲームの実行結果として小役やボーナス役の抽選、CZ状態に移行抽選、ART状態の移行抽選及びART状態中のゲーム数の上乗せ抽選を行う抽選手段を構成する。なお、乱数を使用した抽選パターンは、前述したパターン以外でもよく、ソフト的に生成された乱数に基づき役の抽選を行い、乱数発生器で生成された乱数に基づきART状態の移行抽選や上乗せ抽選を行うようにしてもよいし、全ての抽選をソフト的に生成された乱数、或いは乱数発生器で生成された乱数で行うようにしてもよい。
【0027】
また、制御部25bは、スタートレバー3からの信号に基づきリール27の回転制御を行う。制御部25bは、各リール27a、27b、27cに備えられているセンサ(図示省略)からの信号に基づき、各リール27a、27b、27cの回転位置を検出して、各リール27a、27b、27c上の図柄の回転位置を把握可能となっている。そして、停止ボタン5からの信号に基づき、所望の図柄を表示窓6内に停止させる制御を行う。
【0028】
また、制御部25bは、スタートレバー3等の操作部の操作に応じて、内部抽選処理等をともなうゲーム進行処理、記憶部25aに記憶した各種情報の管理、また、メダル払出装置19等の装置を制御することにより、スロットマシン1の遊技を実現する。
制御部25bの詳細な処理は、後述する。
【0029】
副制御基板26は、演出ボタン2c、ランプ11、スピーカ9、表示器8(表示手段、第1表示手段)、役物装置18(駆動源18b)と、通信ケーブルで接続されており通信可能である。副制御基板26は、主制御基板25からの制御情報に応じて、これらの装置を制御する。また、副制御基板26には、記憶部26a、制御部26bが備えられている。
【0030】
記憶部26aは、演出に関するプログラム、演出画像データ、音声データ等の各種情報等を記憶する。
制御部26bは、主制御基板25の制御部25bからのコマンド(制御情報)に応じて、スロットマシン1の遊技に同期した演出等の処理を行う。例えば、遊技状態の移行を示す画像演出、役物本体18aの状態変換に応じた画像演出(演出表示)、効果音の出力、ランプ演出等を、表示器8、ランプ11、スピーカ9等を制御して行う。また、役物装置18の駆動源18bの駆動制御を行い、役物本体18aを常態から作動状態への変換動作を行う。
また、制御部26bは、演出ボタン2cからの信号に基づき、各演出の切替タイミングを制御可能となっている。
主制御基板25及び副制御基板26のうちの何れか一方或いは両方で、抽選手段、抽選制御手段、制御手段、表示制御手段(第1表示制御手段)、第2表示制御手段、第3表示制御手段、ステージ制御手段、ステージ切替制御手段、演出制御手段、呼込み表示制御手段が構成される。
制御部26bの詳細な処理は、後述する。
【0031】
次に、スロットマシン1の基本動作について説明する。
主制御基板25、副制御基板26は、以下のように、ゲームの基本動作を行う。
最初に、基本的な遊技状態であるRT、AT、ART(ART状態)について説明する。
RTは、リプレイタイムの略称である。実施形態では、リプレイ役の当選確率が定められた低RT状態、高RT状態がRT種別として存在する。
低RT状態の状態は、内部抽選処理におけるリプレイ役の当選確率が低い低リプレイ確率であり、遊技を継続しても、遊技者の獲得メダルが増加しにくい遊技状態(リプレイ低確率遊技状態)である。
【0032】
高RT状態の状態は、低RT状態よりもリプレイ役の当選確率が高い高リプレイ確率であり、遊技者の獲得メダルが増加しやすい遊技状態(リプレイ高確率遊技状態)である。
低RT状態から高RT状態へは、昇格リプレイ役に当選し昇格リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示されることにより移行する。同様に、高RT状態から低RT状態へは、転落リプレイ役に当選し転落リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示されることにより移行する。
【0033】
なお、設定リセット時等には、低リプレイ確率である初期RT状態に設定してもよい。初期RT状態から低RT状態へは、例えば、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせの停止表示(押し順ベル等の停止表示)、又は所定の当選役に対応しない図柄の組み合わせの停止表示(押し順ベル等のこぼし目の停止表示)等によって、容易に移行するようになっている。
【0034】
ATは、アシストタイムの略称であり、小役やリプレイ役の当選時において、例えば、目押しの目安となる図柄が報知されたり、停止ボタン5a~5cの操作順がナビゲートされたりして、小役やリプレイ役等の入賞をアシストする遊技状態である。
ARTは、アシストリプレイタイムの略称であり、RTとATとが組み合されることにより、リプレイ役の当選確率が高く設定されつつ、小役やリプレイ役等の入賞をアシストされる遊技状態となっている。
【0035】
各ゲームの開始時には、メダル(クレジットメダルも含む)を用いてベット数の設定を行う。
ベット数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下操作して設定する方法とがある。
【0036】
メダル投入口2からメダルを投入する方法では、投入分のメダル枚数に対応するベット数(ただし、メダル3枚に対応するベット数「3」が上限)が設定されることになる。
なお、ベット数の上限は、「1」、「2」、又は「4」以上でもよい。
【0037】
ベットボタン2aを押下操作する方法は、ベット数の設定に係る遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例である。ベットボタン2aが操作されると、クレジットメダルから、所定数(例えば、3枚)のメダル数が減算され、減算された分がベット数として設定されることになる。クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、内部データとしてメダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0038】
このように、メダル投入口2へのメダル投入やベットボタン2aの押下操作により設定されたベット数は、主制御基板25の記憶部25aに記憶される。
そして、ベット数が所定数(例えば、3枚)になったときに、1回の遊技を実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0039】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。この有効な状態において、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始される。ゲームの開始操作に応じて、リール27a~27cが変動を開始するとともに、リプレイ役、小役等の複数の当選役(ハズレを含む)のなかから今回ゲームの抽選結果をリール27a~27cの停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
内部抽選処理では、複数の当選役の中から今回ゲームの当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。
なお、本実施形態では、内部抽選処理は、リール27a~27cが定常回転に達する前に完了するものとするが、リール27a~27cが回転を開始する前に完了するようにしてもよい。
【0040】
各リール27a~27cは、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。このような定常回転に達すると、各リール27a~27cに対応して設けられた停止ボタン5a~5cが停止操作可能な状態(停止ボタン操作の有効化)となる。
【0041】
停止ボタン5a~5cは、リール27a~27cの停止操作を行うための停止操作手段の一例であり、例えば、停止操作可能な状態となると停止ボタン5a~5cに内蔵されたLED等の発光手段が点灯して停止操作可能な状態が報知されることとなる。このような状態において各停止ボタン5が停止操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組み合わせで停止するように、各リール27a~27cが停止制御される。停止ボタン5は、各リール27a~27cに対応して設けられており、図柄を停止するための操作を受け付け可能である。
【0042】
そして、第3リール停止操作後に、遊技(ゲーム)の結果として入賞ライン上に停止(導出)した図柄の組み合わせを判定した結果、所定の図柄の組み合わせであるときに入賞と判定され、図柄の組み合わせに応じた遊技価値が付与される。
なお、第3リールとは、3つのリール27a~27cの停止操作が各1回ずつ計3回された場合において、その最後である3操作目に停止操作をされたリールをいう。また、第3リール停止操作後とは、遊技者が第3リールを停止するために停止操作した停止ボタン5から指等を離した時点後のことをいう。
【0043】
遊技価値の一例として、小役に対応する図柄の組み合わせの停止により、小役入賞が判定され、メダル払出装置19が駆動制御されることにより、メダル払出口7bに所定数のメダルが払い出される。
なお、メダルの払出は、クレジットメダルの上限数を超える分のみが払い出されるように構成することもできるが、所定のボタン等を事前に操作することにより、入賞が発生するごとに、入賞に対応するメダルが払い出されるように構成することもできる。
【0044】
停止状態では、リール27a~27cそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が機外から視認可能に停止(「停止表示」ともいう)し、このときの停止表示態様に基づいて入賞の有無が判定される。
制御部25bは、中段(上下方向に連続する3つの図柄のうち中央)の入賞ライン上に停止した図柄の組み合わせに基づいて、入賞の判定を行う。なお、入賞ラインは、これに限定されず、例えば、上段、中段、下段3つのラインと斜め2つのラインの計5ラインにしてもよく、また、これら5ラインのうち1以上の任意のラインにしてもよい。
【0045】
判定される図柄の組み合わせは、例えば、小役、リプレイ役等に対応するものである。
小役に対応する図柄の組み合わせとして、例えば、ベル役、レア役等を有する。
ベル役に対応する図柄の組み合わせとして、入賞ライン上の「リール27a(左)・リール27b(中)・リール27c(右)」の順に、「ベル・ベル・ベル」が設定されている。ベル役については、ART中において、1ゲーム当りメダルが1.4枚増加するような当選確率に設定されていてもよい。
【0046】
さらに、ベル役については、押し順に関係なく図柄の組み合わせが揃う共通ベル役、押し順に従うことにより図柄の組み合わせが揃う押し順ベル役(後述する)等を有する。
レア役に対応する図柄の組み合わせとして、例えば、チェリー役、スイカ役等が設定されている。チェリー役の図柄の組み合わせは、「チェリー・ANY・ANY」(ただしANYは任意の図柄)、スイカ役の図柄の組み合わせは、「スイカ・スイカ・スイカ」である。また、チェリー役には、左リール27aの中段に「チェリー」の図柄が停止する中段チェリー役と、左リール27aの上段若しくは下段に「チェリー」の図柄が停止する上・下段チェリー役が設定されている。
【0047】
リプレイ役に対応する図柄の組み合わせの停止により、リプレイ入賞が判定され、次回ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく、すなわち、メダルを費やすことなく遊技可能な状態となる。
リプレイ役に対応する図柄の組み合わせは、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」(通常リプレイ役)、「BAR・BAR・BAR」(昇格リプレイ役)、「リプレイ・リプレイ・ベル」(転落リプレイ役)などがある。なお、各リール27a~27cにおける「BAR」図柄の数によっては、昇格リプレイ役を入賞させるために「BAR」図柄の目押し操作が必要となるが、この場合に、代替え図柄の組合せとして、例えば、「リプレイ・ベル・リプレイ」も昇格リプレイ役に設定することで、目押し操作に失敗して「BAR・BAR・BAR」の図柄の組み合わせが入賞しなかった場合に、「リプレイ・ベル・リプレイ」の図柄の組み合わせが入賞するようにしてもよい。
【0048】
次に、押し順について説明する。
押し順とは、停止ボタン5a~5cに対する操作順序である。
ベル役は、押し順を報知する当選役として、複数の押し順(例えば、「5a→5b→5c」、「5c→5b→5a」等)のうちの1通りの押し順に従って操作することにより、ベル役に対応した図柄の組み合わせ(「ベル・ベル・ベル」)が停止する押し順ベル役を有する。
さらに、押し順ベル役は、例えば、6通りの押し順に対応する押し順ベル役1~6を設けることができる。この場合、各押し順ベル役1~6に当選したときのそれぞれに対応する押し順の報知は、ART中(AT中を含む)に行われる。
なお、AT中には、押し順ベル役の当選に基づいて、停止ボタン5a~5cの操作順序が報知され、ART中には、これに加えて、リプレイ役が揃いやすい状態になる。
【0049】
押し順の報知例として、例えば、ART、AT中において、押し順ベル役1~6のうち押し順ベル役1に当選したとき(停止ボタン5が「5a→5b→5c」の順に操作(特別操作)がされると、押し順ベル役1に対応する図柄の組み合わせが停止する場合)には、表示器8及びナビランプ12は、左から右に向けて「1」、「2」、「3」等を報知する表示を行い、スピーカ9は、「左」、「中」、「右」の順でそれぞれの音声を出力する。なお、実施形態では、表示器8等に表示される操作表示を、押し順ナビともいう。
このように、表示器8、ナビランプ12、スピーカ9等の操作情報報知手段は、停止ボタン5に対する操作をナビゲートする。
遊技者が、このナビゲートに応じて、停止ボタン5を操作することにより、「押し順ベル1」に対応する図柄の組み合わせが停止表示され、規定枚数のメダルが払い出され、遊技者に利益が付与される。
【0050】
一方、押し順ベル役1~6に当選したときに、上記のようなナビゲートに従わずに、停止ボタン5を操作したときには、押し順ベル役1~6に対応する図柄の組み合わせが停止されず、規定枚数のメダルが払い出されないことになる。
【0051】
同様に、リプレイ役は、停止ボタン5a~5cに対する複数の押し順のうちの1通りの押し順によって、そのリプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示する押し順リプレイ役を有する。
さらに、押し順リプレイ役は、例えば、6通りある押し順それぞれに対応する押し順リプレイ役1~6を設けることができる。この場合、各押し順リプレイ役1~6に当選したときのそれぞれに対応する押し順の報知は、ART中(AT中を含む)に行われる。
そして、ART中において、各押し順リプレイ役に当選した場合に、それぞれに対応する押し順の報知を、前述した押し順ベル役と同様な方法によって行うことができる。
この場合にも遊技者がこのナビゲートに応じて停止ボタン5を操作することにより、押し順リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示され、遊技者に利益が付与される。
【0052】
なお、前述した昇格リプレイ役の当選時に一の押し順で停止表示された場合には、昇格リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示され、他の押し順で停止表示された場合には、通常リプレイ役の当選時に停止する図柄の組み合わせと同一の図柄の組み合わせが停止表示される。
また、前述した転落リプレイ役の当選時に一の押し順で停止表示された場合には、転落リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止表示され、他の押し順で停止表示された場合には、通常リプレイ役の当選時に停止する図柄の組み合わせと同一の図柄の組み合わせが停止表示される。
【0053】
なお、このように遊技者の操作によって当選役に対応した図柄の組み合わせが停止表示する態様は、押し順に限定されず、例えば、目押しをともなうものでもよい。この場合には、これらに対応する図柄を、表示器8等に表示すればよい。そして、遊技者が各リール27a~27cの停止操作を、表示器8等に表示された図柄と同じ図柄が入賞ライン上に停止するタイミングで行うことにより、制御部25bは、当選役に対応する図柄の組み合わせを停止表示する。
【0054】
次に、スロットマシン1の遊技の流れについて、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係るスロットマシン1における遊技状態を説明するための図である。
主制御基板25、副制御基板26は、スロットマシン1を、複数の遊技状態に制御可能であり、各遊技状態における各種処理、遊技状態間の移行の制御(以下単に「移行」ともいう)等を、以下のように行う。
【0055】
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1の遊技は、通常状態、ボーナス状態、CZ状態、ART状態の複数の遊技状態から構成される。主制御基板25、副制御基板26は、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御可能である。
通常状態、ボーナス状態、CZ状態では、非ARTに制御される。CZ状態では、基本的にATに制御される。ART状態では、基本的にARTに制御される。
【0056】
また、スロットマシン1の遊技は、通常区間、有利区間を有する。これらの区間は、遊技状態によって区分される。
通常区間は、通常状態において遊技可能な区間が含まれる。
有利区間は、通常区間から他の遊技状態に移行後、再度通常区間に戻るまで継続して滞在する。
有利区間は、ボーナス状態、CZ状態、CZ状態の抽選の高確率状態(超高確率状態)、ART状態の前兆状態、ART状態において遊技可能な区間が含まれる。制御部25bは、有利区間に滞在中に、連続して実行されたゲームの回数をカウント(計数)する。遊技状態が有利区間中である場合には、有利状態ランプ13が点灯される。なお、有利状態ランプ13は、CZ状態、ART状態、ボーナス状態等の実際に遊技者が有利(メダルの増加が可能な状態)となっている間に点灯するようにしてもよい。
【0057】
有利区間に移行後、有利区間を終了するためには、ゲームの抽選結果等により通常区間へ移行した場合の他、「有利区間での連続ゲーム回数が所定回数に到達したこと」若しくは「有利区間中に獲得したメダル数が所定枚数に到達したこと」の何れかの条件の成立が設定され、有利区間として特定される各状態からなる一連の有利区間中に獲得できるメダル数を制限する制限手段(所謂リミッター)が設けられている。
なお、有利区間の上記終了条件は、一例であり、例えば、「少なくとも1回の押し順ベルの報知がされたこと」を含めてもよい。また、有利区間の上記終了条件は、例えば、「ボーナス役に対応した図柄の組み合わせが停止表示されたこと」、「第一種特別役物(レギュラーボーナス)の当選役に対応した図柄の組み合わせが停止表示されたこと」等を含めてもよい。また、有利区間での連続ゲーム回数の上限は、1000回や1500回等、任意の数であればどのような回数でもよく、獲得メダル数の上限は、1000枚や2400枚等、任意の数であればどのような枚数でもよい。
【0058】
次に、主制御基板25及び副制御基板26の制御により実行される各遊技状態(通常状態、CZ状態、ART状態、ボーナス状態)、遊技状態間の移行処理、及び移行処理に伴って発生する各種演出等について、遊技状態毎に詳細に説明する。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行時点は、基本的に、移行条件が成立した遊技の第3リール停止操作後である。但し、これに限定されず、移行条件が成立後、次ゲームから移行してもよい。なお、RT種別は、同じ遊技状態に滞在中であっても、昇格リプレイ等によって変化するが、基本的には、以下のように設定されている。
【0059】
(通常状態)
通常状態のRT種別は、基本的に低RT状態である。つまり、通常状態は、低RT状態に滞在しやすい遊技状態である。このため、通常状態の遊技は、遊技者にとっては、不利である。
図3に示すように、主制御基板25は、通常状態に滞在中には、CZ状態、ART状態、ボーナス状態への移行抽選処理を行う。なお、スロットマシン1の仕様等に応じて、通常状態からART状態に直接移行しないようにしてもよい。
【0060】
・通常状態からART状態への移行処理(図3の矢印a)
主制御基板25は、通常状態においては、所定のレア役の当選に基づいて、ART状態への移行抽選処理を行う。例えば、中段チェリー役当選時の所定の確率(例えば、10%)で、ART状態への移行処理を行う。ART状態への移行条件が成立した場合には、基本的な遊技状態がATに制御され、昇格リプレイ役に当選して、昇格リプレイ役に対応する図柄の組み合わせが停止するとARTに制御される。また、遊技者にART状態の移行権利としてのセット数が1つ付与されるとともに、ART状態中の実行可能ゲーム数として初期ゲーム数(例えば、50ゲーム)が付与される。なお、主制御基板25は、付与する初期ゲーム数を複数の異なるゲーム数のうちからいずれか1つを抽選する抽選処理を行ってもよい。
【0061】
また、ART状態への移行抽選に当選した場合には、遊技者のART状態への移行に対する期待感を高めるためにART状態の前兆状態が設定され、最終的にART状態に移行することを報知する所定ゲーム数(例えば、10~15ゲーム)のART前兆演出が表示器8において実行される。したがって、ART状態への移行抽選に当選しても、直ぐにはART状態へは移行せず、ART前兆演出を経てART状態へ移行することとなる。
【0062】
また、所定のレア役(例えば、中段チェリー役)に当選したが、ART状態への移行抽選に当選しなかった場合にも、最終的にART状態へ移行しないことを報知する所定ゲーム数(例えば、10~15ゲーム)のARTガセ前兆演出が表示器8において実行される。ART前兆演出とARTガセ前兆演出は、基本的には登場するキャラクタ等は同様に設定されていて、最終的に報知する内容を異ならせることで、遊技者の期待感を最後まで引き付けることができるようになっている。
【0063】
・通常状態からCZ状態への移行処理(図3の矢印c)
主制御基板25は、通常状態においては、所定のレア役に当選したことに基づいて、CZ状態への移行抽選処理を行う。例えば、上・下段チェリー役当選時、中段チェリー役当選時に所定の確率でCZ状態への移行処理を行う。CZ状態へ移行条件は、この移行抽選に当選したことである。
【0064】
また、通常状態においては、CZ状態への当選確率状態が異なる通常確率状態、高確率状態、超高確率状態を有している。CZ状態への移行抽選の当選確率は、超高確率状態の方が高確率状態よりも高く、高確率状態の方が低確率状態よりも高い。各確率状態の移行は、例えば、スイカ役当選時の30%の確率で、通常確率状態から高確率状態に移行し、スイカ役当選時の10%の確率で、高確率状態から超高確率状態に移行するようになっている。なお、通常確率状態から超高確率状態へ直接移行することはない。一方、所定の転落条件として、例えば、リプレイ役当選時、ベル役当選時、及びハズレ時の5%の確率で、超高確率状態から高確率状態、高確率状態から低確率状態へ各々移行するようになっている。また、超高確率状態中には、例えば、リプレイ役当選時、ベル役当選時、及びハズレ時の5%の確率で、超高確率状態から通常確率状態に移行するようになっている。
【0065】
CZ状態の当選確率状態は、通常確率状態においては、上・下段チェリー役当選時の5%の確率、中段チェリー役当選時の30%の確率で設定されている。また、高確率状態においては、上・下段チェリー役当選時の30%の確率、中段チェリー役当選時の50%の確率で設定されている。また、超高確率状態においては、上・下段チェリー役当選時の50%の確率、中段チェリー役当選時の100%の確率で設定されている。
【0066】
また、後述するように通常状態においては、主制御基板25及び副制御基板26により、CZ状態の当選確率状態に対する報知制御が行われる。報知制御は、各確率状態を直接的に報知する形態ではなく、その時点での確率状態がどの状態であるかを、表示器8の表示内容を変化させることで遊技者が予測できる程度に行われ、遊技の興趣を高めるようになっている。
なお、確率設定装置20において、ボーナス役の当選確率を変更した場合や、主制御基板25のシステムリセットが行われた場合には、通常確率状態により遊技が開始可能となるが、確率設定装置20での設定値毎に、所定の確率で高確率状態(或いは超高確率状態)により遊技を開始可能としてもよい。
【0067】
CZ状態への移行抽選に当選した場合には、CZ状態への移行までの前兆ゲーム数が所定回数(例えば、25~30ゲーム)決定される。また、前兆ゲーム数の後半のゲームでは、遊技者のCZ状態への移行に対する期待感を高めるために、最終的にCZ状態に移行することを報知する所定ゲーム数(例えば、10~15ゲーム)のCZ前兆演出が表示器8において実行される。したがって、CZ状態への移行抽選に当選しても、直ぐにはCZ状態へは移行せず、前兆ゲーム数分移行が遅延されるとともに、その遅延中の何れかのゲームからCZ前兆演出が開始され、最終的にCZ前兆演出を経てCZ状態へ移行することとなる。
【0068】
また、CZ状態への移行契機となるレア役(例えば、上・下段チェリー役、或いは中段チェリー役)に当選したが、CZ状態への移行抽選に当選しなかった場合にも、CZ状態に当選したときと同様に、遅延ゲーム数が決定されるとともに、最終的にCZ状態へ移行しないことを報知する所定ゲーム数(例えば、10~15ゲーム)のCZガセ前兆演出が表示器8において実行される。CZ前兆演出とCZガセ前兆演出は、基本的には登場するキャラクタ等は同様に設定されていて、最終的に報知する内容を異ならせることで、遊技者の期待感を最後まで引き付けることができるようになっている。
【0069】
なお、CZ前兆演出及びCZガセ前兆演出は、CZ状態への移行契機となるレア役に当選した場合に直ぐに発生させるようにしてもよい。また、CZガセ前兆演出は、CZ状態への移行契機となるレア役に当選した場合に、必ず発生させるようにしてもよいし、所定確率で発生させるようにしてもよい。
【0070】
・通常状態からボーナス状態への移行処理(図3の矢印f)
主制御基板25は、ボーナス役の抽選を行う抽選手段として機能し、ゲームの実行に基づき、ボーナス役の抽選を所定の確率で行う。ボーナス役の抽選確率値は、確率設定装置20で設定可能な設定1~6に応じた複数段階の確率値(例えば、設定1の1/250~設定6の1/200)で制御可能であり、確率設定装置20で設定されている確率値に基づく抽選により、ボーナス役に当選すると、リール27においてボーナス役に対応した図柄の組み合わせである「7・7・7」を停止可能となり、遊技者の操作によりボーナス役に対応した図柄の組み合わせが停止すると、ボーナス状態への移行処理が行われる。
【0071】
また、ボーナス役に当選した場合、最終的にボーナス役に当選したことを報知する所定ゲーム数(例えば、1~3ゲーム)のボーナス発生演出が表示器8において実行されて、遊技者のボーナス役の当選に対する期待感が高められる。
なお、ボーナス役の当選は、ボーナス役に単独で当選する他、所定の小役(例えば、中段チェリー役)に当選した場合の一部で、ボーナス役に重複当選するようにしてもよい。この場合、所定の小役に当選してもボーナス役には当選しなかった場合に、最終的にボーナス役に当選しなかったことを報知するボーナスのガセ発生演出を実行すれば、遊技の興趣性を高めることができるようになる。
【0072】
(CZ状態)
CZ状態のRT種別は、基本的に低RT状態である。但し、CZ状態は、押し順リプレイ役当選時には押し順ナビを報知しないものの、押し順ベル役当選時には押し順ナビを報知するATに制御される。また、CZ状態滞在中は、各ゲームにおいてART移行抽選処理(後述する)が行われるので、通常状態に滞在中よりも、ART状態へ移行しやすい。このため、一連の遊技の流れにおいて、CZ状態は、通常状態よりも有利に位置付けられている。
【0073】
CZ状態に滞在中は、通常状態に滞在中よりも、ART状態に移行しやすいので、CZ状態は、一連の遊技の流れにおいて、チャンスゾーンとして位置付けられている。
CZ状態の遊技可能回数は、最大で5回である。
なお、制御部25bは、CZ状態では、ATに制御されるが、昇格リプレイ役に当選した場合でも、押し順を報知しないので、基本的に低RT状態が維持される。
CZ状態中においては、主制御部10から副制御部20に対して、CZ状態に関する制御情報が送信され、主制御基板25及び副制御基板26の制御により、表示器8において、CZ状態中の各種演出、残ゲーム数が、表示器8に表示される。
【0074】
・CZ状態からART状態への移行処理(図3の矢印e)
CZ状態では、各ゲームにおいて、ART移行抽選処理を行う。
ART移行抽選処理の当選確率は、各ゲームの当選役に応じて、当選確率が設定されている。ART移行抽選処理の当選確率は、例えば、ボーナス役当選時が100%、レア役当選時が90%、ベル役当選時及びリプレイ役当選時が30%、ハズレ役当選時が5%である。ART移行抽選はCZ状態中のゲーム毎に行われるが、ART状態への移行の有無はCZ状態の最終ゲームで行われ、最終ゲームでART状態への移行が報知された場合には、通常状態のときと同様に、遊技状態がART状態へ移行することとなる。
【0075】
なお、各当選役の一部又は全部についてのART移行抽選処理の当選確率は、上記以外でもよい。また、ベル役の当選時にART移行抽選処理を行うようにしたが、ベル役に対応する図柄が入賞することに基づいてART移行抽選処理を行うようにしてもよい。また、ボーナス役に当選した場合には、100%の確率で当該ボーナス状態の終了後にART状態へ移行するようにして遊技者の期待感を高めるようにしているが、確率設定装置20で当選確率が変更可能なボーナス役に関しては、ART移行抽選処理を行わないようにして遊技店と遊技者との利益バランスが大きく崩れないようにしてもよい。
【0076】
また、CZ状態中は、遊技の興趣を高めるために、所定のキャラクタが登場するCZ演出が表示器8で表示される。CZ演出においてはCZ状態の最終ゲームで主人公キャラクタと敵キャラクタとが対戦する演出が実行され、ART移行抽選に当選していた場合には、主人公キャラクタが勝利してART状態へ移行することが報知される。また、CZ状態中においては、その間に実行されたゲームの当選内容に応じて演出の背景が変化して、ART状態への移行に対する期待感に変化を与えるようになっている。また、CZ状態における残ゲーム数は表示器8に表示され、残ゲーム数は、ゲームを実行するごとに減算されていく。
【0077】
・CZ状態から通常状態への移行処理(図3の矢印d)
CZ状態において、ART移行抽選に当選しなかった場合には、CZ状態中のゲーム数の実行の後、通常状態に移行する。このとき、CZ演出において、主人公キャラクタが敗北してART状態へ移行しないことが報知される。
【0078】
CZ状態から通常状態へ移行した場合には、CZ状態の当選確率状態は、通常確率状態となるように制御される。なお、このとき確率設定装置20での設定毎に、所定の確率で高確率状態(或いは超高確率状態)に移行させるようにしてもよい。
また、CZ状態の終了後に高確率状態(或いは超高確率状態)に移行させる場合には、当該高確率状態中に、前述した制限手段による制限制御が行われる可能性があるが、高確率状態中に制限制御が行われた場合には、通常確率状態に移行させる。
【0079】
・CZ状態からボーナス状態への移行処理(図3の矢印h)
CZ状態においては、前述した通常状態と同様にゲーム毎にボーナス役の抽選が行われる。したがって、主制御基板25は、通常状態と同様に確率設定装置20での設定値に基づいてボーナス役の抽選を行い、ボーナス役に当選すると、リール27においてボーナス役に対応した図柄の組み合わせである「7・7・7」を停止可能な状態となる。このとき、CZ状態は一旦中断され、遊技者の操作によりボーナス役に対応した図柄の組み合わせが停止すると、遊技状態がボーナス状態への移行することとなる。なお、CZ状態中にボーナス役に当選した場合に、ART状態の移行抽選を行わない場合には、一旦中断されたCZ状態は、ボーナス状態の終了後に復帰するようにしてもよい。
また、ボーナス役に当選した場合、通常状態とは異なりボーナス発生演出は行われずに、ボーナス役に当選したゲームにおいてボーナス役に当選したことの報知が表示器8において実行される。
【0080】
(ART状態)
ART状態へ最初に移行した時点でのRT種別は、基本的に低RT状態であるが、ART状態では、昇格リプレイ役の入賞によって、高RT状態に昇格しやすい。高RT状態は、獲得メダルの増加が見込めるため、ART状態は、遊技者にとっては、通常状態、CZ状態よりも有利である。
なお、ART状態における押し順リプレイ役の当選確率は、基本的に、高RT状態に対応した一定の確率となる。
【0081】
ART状態中は、ART状態の移行時に付与された初期ゲーム数(例えば、50ゲーム)がゲーム毎に減算され、残ゲーム数が無くなるまでART状態は継続される。また、残ゲーム数は所定条件の成立により上乗せされて、その分ART状態の継続期間が延長されるようになっている。
ART状態中においては、主制御部10から副制御部20に対して、ART状態に関する制御情報が送信され、副制御基板26の制御により、表示器8において、ART状態中の各種演出の画像表示が行われる。また、ART状態中の、残ゲーム数、一連のART状態中に獲得したメダルの総数、ART状態中に実行された総ゲーム数が、表示器8に表示される。
【0082】
・ART状態から通常状態への移行処理(図3の矢印b)
ART状態において、ART状態を継続させる残ゲーム数が無くなるとART状態は終了し、遊技状態は通常状態に移行することとなる。
ART状態から通常状態へ移行した場合には、CZ状態の当選確率状態は、通常確率状態となるように制御される。なお、このとき確率設定装置20での設定毎に、所定の確率で高確率状態(或いは、超高確率状態)に移行させるようにしてもよい。
また、ART状態の終了後に高確率状態(或いは超高確率状態)に移行させる場合には、当該高確率状態中に、前述した制限手段による制限制御が行われる可能性があるが、高確率状態中に制限制御が行われた場合には、通常確率状態に移行させる。
【0083】
・ART状態からボーナス状態への移行処理(図3の矢印k)
ART状態においては、前述した通常状態、CZ状態と同様にゲーム毎にボーナス役の抽選が行われる。したがって、主制御基板25は、通常状態、CZ状態と同様に確率設定装置20での設定値に基づいてボーナス役の抽選を行い、ボーナス役に当選すると、リール27においてボーナス役に対応した図柄の組み合わせである「7・7・7」を停止可能な状態となる。このとき、ART状態は一旦中断され、遊技者の操作によりボーナス役に対応した図柄の組み合わせが停止すると、遊技状態がボーナス状態への移行することとなる。なお、一旦中断されたART状態は、ボーナス状態の終了後に復帰することとなる。
【0084】
また、ART状態中にボーナス役に当選した場合、最終的にボーナス役に当選したことを報知する所定ゲーム数(例えば、1~3ゲーム)のボーナスの発生演出が表示器8において実行されて、遊技者のボーナス役の当選に対する期待感が高められる。
なお、ART状態中にボーナス役に当選した場合には、ART状態の継続可能ゲーム数の上乗せを行うようにしてもよい。
【0085】
また、ART状態中は、所定のレア役(例えば、上・下段チェリー役、スイカ役、中段チェリー役)に当選した場合に、ART状態の継続可能ゲーム数の上乗せ抽選が行われるとともに、ゲーム数の上乗せに対する期待感を高めるための上乗せ演出が、表示器8において実行される。上乗せ演出は、例えば、1~3ゲーム間実行され、演出内容に応じて上乗せに対する期待度が異なるようになっていて、上乗せ演出の最終ゲームで当否の報知が行われるとともに上乗せゲーム数が報知される。
【0086】
(ボーナス状態)
ボーナス状態は、各ゲームにおいてベル役の抽選が高確率で行われ、遊技者が多数のメダルを獲得可能な状態となる。また、前述したようにCZ状態中のボーナス役の当選時は、ART状態の移行抽選は行われるが、通常状態中のボーナス役の当選時も所定の確率でART状態の移行抽選を行うようにしてもよい。ただし、ボーナス役の当選からボーナス状態が発生するまでの間のゲームにおいてはART状態の移行抽選は行われない。なお、ボーナス状態中に実行されるゲーム毎に、ART状態の移行抽選を行うようにしてもよい。
また、主制御部10から副制御部20に対して、ボーナス状態に関する制御情報が送信され、副制御基板26の制御により、表示器8において、ボーナス状態中の各種演出、獲得枚数情報等の画像表示が行われる。
【0087】
・ボーナス状態から通常状態への移行処理(図3の矢印g)
ボーナス状態中において、払い出されたメダル数が所定数(例えば、200枚)に達した場合、ボーナス状態は終了して、遊技状態がボーナス状態から通常状態に移行される。
また、ボーナス状態の終了時には、所定期間(例えば、5秒)のエンディング状態が設定され、エンディング状態中においては、主制御基板25及び副制御基板26の制御により、確率設定装置20で設定された設定値を示唆可能な設定関連情報が報知手段により報知される。例えば、所定の画像が表示器8により表示されるとともに、所定の音声がスピーカ9により出力される。
【0088】
ボーナス状態から通常状態へ移行した場合には、CZ状態の当選確率状態は、通常確率状態となるように制御される。なお、このとき確率設定装置20での設定毎に、所定の確率で高確率状態(或いは、超高確率状態)に移行させるようにしてもよい。
また、ボーナス状態の終了後に高確率状態(或いは超高確率状態)に移行させる場合には、当該高確率状態中に、前述した制限手段による制限制御が行われる可能性があるが、高確率状態中に制限制御が行われた場合には、通常確率状態に移行させる。
【0089】
・ボーナス状態からART状態への移行処理(図3の矢印j)
ART状態から移行したボーナス状態中において、払い出されたメダル数が所定数(例えば、200枚)に達した場合、ボーナス状態は終了して、遊技状態がボーナス状態からART状態に移行される。この場合、ART状態は中断された時点の状態から再開することとなる。したがって、ART状態の中断時の残ゲーム数からART状態が再開することとなる。また、獲得メダル数は、ART状態とボーナス状態が一連して発生した場合には、それらの総数となるので、ART状態の再開時には、ボーナス状態中に獲得したメダル数が加算されて獲得メダル数が表示される。
【0090】
また、ART状態から移行したボーナス状態の終了時にも、所定期間のエンディング期間が設定され、エンディング期間中においては、主制御基板25及び副制御基板26の制御により、確率設定装置20で設定された設定値を示唆可能な設定関連情報が報知手段により報知される。例えば、所定の画像が表示器8により表示されるとともに、所定の音声がスピーカ9により出力される。
以上のようにスロットマシン1において遊技状態の移行が行われる。
【0091】
次に、図4図6を参照して、役物装置18の動作について説明する。
図4は、役物装置18の動作状態を示す図であり、スロットマシン1を、側方側(正面視左側)から見た断面図である。なお、説明上、役物装置18の動作状態とは直接的に関係していない部材の図示は省略している。図4(a)は、役物装置18(役物本体18a)の非作動状態(第1状態)を示し、図4(b)は、主制御基板25及び副制御基板26の制御による駆動源18bの作動により、役物装置18(役物本体18a)が作動状態(第2状態)に変換した状態を示している。
【0092】
図4(a)に示すように、スロットマシン1におけるリール27の上方側であって、リール27よりも後方側に窪んだ位置に、表示手段(第1表示手段)としての表示器8がその表示面を前方に向けた状態で配設される。したがって、表示器8の前方側には、前述したように、上部構成枠17の壁部17b(図1参照)及び表示器8の表示面で囲まれた前方開口の凹室が形成され、その凹室内には、前後幅(奥行き)がリール27の前後幅と略同一であって、左右幅及び上下幅が役物本体18aよりも大きく設定された空間部17cが形成される。なお、図4及び図5においては、空間部17cを形成する上部構成枠17(壁部17b)の図示は省略して、空間部17cと役物装置18との関係を分かり易くしている。
【0093】
表示器8は、表示面がリール27の後端部よりも後方となるように配設されているが、役物本体18aの変換動作が可能な空間部17cを形成できる程度の後方位置に配設されていれば、リール27の前端部よりも後方であってリール27の後端部よりも前方位置に配設されていてもよい。
【0094】
役物装置18は、空間部17cの上方の位置となるように上部構成枠17の裏面側に取り付けられている。また、上部構成枠17の上面の壁部17bには、役物装置18を収納する収納部(図示省略)が形成されている。
また、役物装置18には、役物本体18a、駆動源18b、連結部18cが備えられ、連結部18cの一端には回転中心が左右方向に設定された回転軸18dが形成される一方、他端には役物本体18aが備えられている。そして、回転軸18dを中心に役物本体18aが、回転動作可能に構成されている。すなわち、可動部材としての役物本体18aは、複数のリールの上方側に設けられている。
【0095】
リール27の前方には、前面パネル10が配設され、前面パネル10に形成された表示窓6を透してリール27上の図柄が視認可能となっている。
また、前面パネル10の上方には、前面パネル10よりも前方に膨出して透光性を有する前方膨出状のカバー部材30が配設される。カバー部材30は空間部17cの前方の位置に上部構成枠17に取り付けられた状態で配設され、カバー部材30を透して表示器8の表示や役物装置18等を視認可能となっている。
なお、カバー部材30の膨出範囲は、少なくともリール27よりも前方に膨出していることが好ましく、スロットマシン1の上方に配設されている各種部材の最前方に膨出するようにしてもよい。
【0096】
役物装置18は、駆動源18bが作動していない常態(非作動状態、第1状態)においては、図4(a)に示すように、役物本体18aが回転軸18dの後方に位置するように連結部18cが略水平となった状態に維持される。この状態においては、役物装置18全体が上部構成枠17の後方に隠れて、スロットマシン1の前方からは視認できないようになっている。
【0097】
一方、役物装置18の駆動源18bの作動が完了した作動状態(第2状態)においては、図4(b)に示すように、役物本体18aが回転軸18dの略真下に位置するように連結部18cが略垂直となった状態まで変換される。このとき、役物本体18aの前端部は、カバー部材30に近接して、リール27の前端部の位置mよりも前方に位置するようになっている。
【0098】
また、役物本体18aが非作動状態から作動状態に変換する際には、回転軸18dを中心にした回転動作により変換するので、役物本体18aは、上方から下方に移動しつつ、後方から前方に移動するような円弧状に変換動作が行われるようになっている。また、役物本体18aの前後方向の変換範囲は、役物本体18aの回転中心から最も離れた端部が、リール27の後端部よりも後方から、リール27の前端部よりも前方まで移動する範囲となっている。
【0099】
すなわち、役物本体18a(可動部材)は、役物本体18aの所定部の前後位置がリール27の前端部よりも後方側となるように設定された非作動状態(第1状態)から、役物本体18aの所定部の前後位置がリール27の前端部よりも前方側となるように設定された作動状態(第2状態)に状態変換可能となっていて、状態変換する際には、役物本体18aが空間部17cの上方から侵入し、表示器8の前方における空間部17c内で状態変換が行われる。
【0100】
役物装置18(役物本体18a)の状態変換は、制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26が駆動源18bを作動させることで実行され、制御手段に備えられる抽選手段の抽選結果が所定の抽選結果となったことに基づき、役物本体18aが、非作動状態(第1状態)から作動状態(第2状態)に変換される。例えば、抽選結果がART状態に当選した場合のART前兆演出において、その最終ゲームでART状態の発生を報知する際に、役物本体18aが前方に移動して演出動作が行われることとなる。
【0101】
また、役物本体18aが作動状態に変換した際には、第1表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26により、表示器8において、状態変換に応じた演出表示が行われる。例えば、宇宙空間の画像表示から爆発をイメージした画像に移行する演出表示が行われる。また、役物本体18aの発光、及びスピーカ9からの装飾音の出力も同様に行われて、例えば、ART状態の発生が装飾報知される。
【0102】
このように、役物本体18aの状態変換により演出動作が行われるので、興趣性の高い演出が可能となるのである。また、役物本体18aが非作動状態から作動状態に変換すると、スロットマシン1の前方からは、隠れていた役物本体18aが現出するとともに、リール27の奥側から遊技者の近くまで移動することとなり、極めて迫力ある演出が行え、興趣を向上させることが可能となるのである。さらに、役物本体18aの変換動作は、表示器8の前方で行われるので、表示器8での画像とともに変換状態を遊技者に視認させることが可能となり、より演出効果を高めることが可能となるのである。
【0103】
なお、役物本体18aが非作動状態のときに、役物本体18aの回転中心から最も離れた端部が、リール27の最後端(後端部)よりも後方となるようにしているが、空間部17cの後方側から役物本体18aが現出できればそれ以外でもよく、例えば、役物本体18aの端部が、リール27の中心よりも後方であって、リールの後端部よりも前方の位置になるように設定してもよい。
【0104】
また、役物本体18aが作動状態となった場合には、役物本体18a全体がリール27よりも前方の位置に変換されるようにしてもよい。
また、役物本体18aが作動状態となった場合には、役物本体18aの所定部(全部或いは一部)の位置は、空間部17c内であってもよいし、空間部17cよりも前方に飛び出した位置であってもよい。
【0105】
次に、図5は、スロットマシン1に、表示器8の他に、第2表示手段として例示するサブ表示器31を備えた場合の変形例を示している。
サブ表示器31は、スロットマシン1の上方側であって、表示器8の側方側(正面視右側)に配設され、表示器8よりも表示面積が小さい液晶表示装置から構成されている。また、サブ表示器31は、表示器8よりも前後方向の配設位置が前方側となるように配設される。なお、サブ表示器31を備えたこと以外の構成や制御に関しては、前述した実施形態と同様となっている。
【0106】
図5(a)は、上記したようなサブ表示器31を備えたスロットマシン1において、役物本体18aの非作動状態を示している。役物本体18aが非作動状態のときは、役物本体18aの全体が、サブ表示器31の上方であって、その前後位置がサブ表示器31の後端部よりも後方となる位置に維持される。
【0107】
図5(b)は、役物本体18aの作動状態を示している。
役物本体18aが作動状態に変換すると、役物本体18aがサブ表示器31の後方から前方の位置まで変換されるようになっている。このとき、役物本体18aの全体がサブ表示器31の前端部よりも前方となる。また。サブ表示器31には、第2表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26の制御により、役物本体18aの状態変換に応じた演出画像が表示される。
【0108】
したがって、サブ表示器31上の演出画像の表示とともに、役物本体18aがサブ表示器31の後方から前方まで変換することとなり、サブ表示器31を基準にして、役物本体18aの前後方向への移動を遊技者に見せることができ、より立体感のある演出が実行可能となるのである。
なお、役物本体18aが非作動状態のときには、役物本体18aの全体の他、その一部のみがサブ表示器31の後端部よりも後方となるようにしてもよい。また、役物本体18aが作動状態に変換した際には、役物本体18aの全体の他、その一部がサブ表示器31の前端部よりも前方に移動するようにしてもよい。
【0109】
本実施形態のスロットマシン1における、役物本体18aの非作動状態から作動状態への変換時期は、主制御基板25及び副制御基板26の制御により決定され、前述したART前兆演出中以外に、例えば、CZ前兆演出、ボーナス発生演出における当否の結果を報知するタイミングで変換することが好ましい。また、当否の結果を報知するゲームの終了後に、表示器8における所定のエフェクト画像の表示とともに役物本体18aを作動状態に変換すれば、より演出効果の高い報知が行え、遊技者の達成感をより高めることが可能となる。
【0110】
なお、役物本体18aの作動状態への変換時期は、上記したもの以外でもよく、ART状態中にゲーム数の上乗せに当選した際、所定のレア役(例えば、中段チェリー役)に当選した際、等遊技者の期待感を高めるときに変換するようにしてもよい。また、ゲームにおける変換タイミングに関しても、ゲーム終了後に限らず、ボーナス役或いは所定のレア役(中段チェリー役)に当選したゲームの開始直後に役物本体18aを作動状態に変換するようにしてもよい。
【0111】
また、役物本体18aを作動状態へ変換する際に、所定の初動動作を行うようにしてもよく、例えば、役物本体18aを作動状態へ変換するゲームの開始時に、やや小さい角度(例えば、10度)の範囲内で、役物本体18aを所定回数往復運動させるような変換動作を行い、ゲーム終了後に最大角度(例えば、90度)まで変換させるようにしてもよい。
また、当否の結果を報知するゲームの終了後に、一旦演出ボタン2cの操作を促す操作画像を表示器8に表示し、遊技者による演出ボタン2cの操作に基づき役物本体18aを作動状態に変換するようにしてもよい。
【0112】
また、役物本体18aを作動状態に変換させる場合の動作態様は、回転動作以外でもよく、例えば、空間部17cの上面に前後方向に延在するレールを設け、このレール下に前後動可能に役物本体18aを設けることで、役物本体18aを前後方向に変換動作可能に構成してもよい。
また、役物本体18aを変換させる際の変換速度(移動速度)に関しては、ゲームの進行状態や抽選手段による抽選結果に応じて適宜決定するようにしてもよい。例えば、以下の図6に示すように、リール27の回転速度に応じて役物本体18aを変換させるようにしてもよい。
【0113】
図6は、主制御基板25及び副制御基板26の制御により、中リール27bの回転態様と、役物本体18aの変換態様を同調させた場合の例を示している。
図6(a)は、主制御基板25により、例えば、ART状態の当選が決定された場合の演出として、ゲームの開始時に一旦ゲームを中断(例えば、ゲーム開始時に中断)させて、リール27をゲームとは無関係にスロー回転させるとともに、特定の図柄32(例えば、「7」図柄)を表示窓6内に停止表示させることで、リール27の回転によりART状態の発生を報知する、所謂フリーズ演出中の状態を示している。なお、スロー回転は、通常の回転よりもリール27の回転速度が遅くなり、回転中でもリール27上の図柄が認識できる程度の回転態様である。
【0114】
図6(a)に示すように、スロー回転する中リール27bと、役物本体18aの変換を同調させる場合には、中リール27bの図柄32が中リール27bの後方から前方に回転移動することに応じて、中リール27b上の図柄32の位置nと前後位置が略同じ位置となるように役物本体18aを後方から前方に移動させて変換動作が行われる。すなわち、中リール27b(所定のリール)の回転に応じて、役物本体18aが非作動状態(第1状態)から作動状態(第2状態)へ変換制御される。このような制御は、リール27の回転情報を管理している主制御基板25からの制御情報に基づき副制御基板26が役物装置18の変換制御を行うことで実行される。
【0115】
中リール27bの図柄32が後方から前方に移動して、最終的に表示窓6内に停止表示した場合には、図6(b)に示すように、役物本体18aの所定部(前端部)がリール27の前端部より前方となる位置まで移動して、中リール27b上の図柄32と略同じ位置となるように、役物本体18aが変換されることとなる。この時点で、役物本体18aの発光、表示器8での装飾表示、及びスピーカ9からの装飾音の出力が行われて、ART状態の発生が装飾報知される。その後、一旦中断したゲームが再開されることで、フリーズ演出が終了することとなる。
【0116】
このように、中リール27bの回転態様と、役物本体18aの変換態様を同調させることで、よりリール27の回転と役物装置18の動作を関連付けた効果的な演出が可能となり、興趣性を向上させることが可能となる。特に、役物本体18aはリール27の後方から前方まで移動するようになっているので、リール27の動きを広範囲で対応することができ、よりダイナミックな演出が可能となる。
【0117】
なお、上記した役物本体18aの変換態様とリール27の回転態様とを同調させる制御は、ART状態の発生を報知する場合以外に行ってもよく、CZ状態やボーナス状態の発生を報知する場合に行ってもよい。
【0118】
また、役物本体18aの変換態様とリール27の回転態様とを同調させる制御は、所謂フリーズ演出中に行うことに限らず、通常のゲーム中のリール27の回転に応じて役物本体18aの変換動作を行うようにしてもよく、例えば、左リール27aと右リール27c上の各々に「7」図柄が停止表示して、所謂テンパイ状態となった後に行ってもよい。この場合、遊技者の停止操作により、中リール27bにも図柄32(「7」図柄)を停止表示させる場合に、中リール27b上の図柄32(「7」図柄)の移動に合わせて役物本体18aを変換させる。このようにすれば、ボーナス役に対応する図柄の停止を効果的に演出することが可能となり、遊技の興趣を高めることが可能となる。また、役物本体18aの変換がリール27の通常回転と同じように素早く行われることとなるので、遊技者を驚嘆させることも可能となる。
【0119】
次に、図6で説明した役物本体18aの変換態様とリール27の回転態様とを同調させる制御を行う場合に、表示器8の側方(正面視右側)に側方表示器33を配設した変形例について図7を参照して説明する。図7の側方表示器33における演出画像の表示は、主制御基板25及び副制御基板26において表示制御される。
【0120】
図7に示した側方表示器33は、前述の図5で説明したサブ表示器31とは、スロットマシン1に対する取り付けの仕方が異なっている。すなわち、サブ表示器31は、その表示面がスロットマシン1の真正面に向いた状態で配設されているのに対して、側方表示器33は、その表示面をやや正面視左側に向けて(空間部17c側に向けて)傾斜した状態で配設されている。
傾斜角度に関しては、スロットマシン1の正面から側方表示器33の表示内容が十分に視認できる程度であれば何れの角度でもよいが、役物本体18aの移動幅に対応する前後幅に跨るように表示面が臨むような傾斜角度が好ましい。また、前述した実施形態において、表示器8の前方の空間部17cを形成する上部構成枠17の右側の壁部17bの替わりに側方表示器33が配設される。
【0121】
図7(a)は、前述の図6で説明した場合と同様の変換態様により、役物本体18aを変換させた場合の変換途中の図を示している。
図7(a)に示すように、役物本体18aが中リール27b上の図柄32に対応して、役物本体18aが後方から前方に移動する場合に、主制御基板25及び副制御基板26の制御により側方表示器33において、役物本体18aに対応する影画像34が表示される。そして、役物本体18aの移動に応じて影画像34もその形状や位置を変化させるように表示される。すなわち、役物本体18aの右側にあたかも発光源が存在して、その光により側方表示器33に役物本体18aの影が映し出されて移動するような演出が行われるのである。
また、側方表示器33には、影画像34の他に、例えば流星群を模した装飾画像35も表示され、役物本体18aの移動に対応した方向に装飾画像35も移動表示される。
【0122】
図7(b)は、役物本体18aの変換動作が完了して、役物本体18aが最前方に移動した状態を示している。このとき、影画像34も側方表示器33の側方に移動して、役物本体18aの状態に対応した起立状態で表示される。また、このとき装飾画像35の移動表示は継続して表示される。
【0123】
このように、図7に示す変形例においては、役物本体18aの移動範囲に対応して、その表示面が空間部17cに臨むように配設された側方表示器33により、役物本体18aの変換に対応する演出画像が表示されるので、スロットマシン1の前後方向に移動する役物本体18aに対して、よりリアリティのある演出が行え、演出効果をより高めることが可能となるのである。
なお、図示は省略したが、側方表示器33において影画像34を表示する際には、表示器8においても、役物本体18aの変換を演出する演出画像として、例えば、宇宙空間をイメージするような画像が表示される。
【0124】
次に、図8は、前述した実施形態におけるスロットマシン1の前面パネル10に形成された表示窓6の位置に、第3表示手段としてのパネル表示器36を配設した場合の変形例を示している。
パネル表示器36は、前面パネル10に形成されることから、リール27の前面に配設されるので、リール27を挟んで表示器8の前方の位置に配設されることとなる。したがって、役物本体18aの前後方向の変換動作は、表示器8とパネル表示器36の間で行われる。
【0125】
パネル表示器36は、常態においては、透光性を有していて後方のリール27上の図柄を視認可能となっているが、パネル表示器36を構成する導光板(図示省略)の端部のうち、特定の端部から光を入射させることで、導光板に形成された反射溝に光が反射し導光され、所定の情報として、例えば、キャラクタの顔等の装飾画像が視認可能に浮き出てくるような周知技術の機器から構成されている。
【0126】
図8は、パネル表示器36を備えたスロットマシン1おいて、前述の図6で説明した役物本体18aの変換態様とリール27の回転態様とを同調させる制御を行う場合の図を示している。パネル表示器36の表示制御は、第3表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26により行われる。
まず、図8(a)に示すように、リール27の回転がスロー回転を開始する直前である、役物本体18aが作動状態への変換を開始する直前には、役物本体18aが図柄32と前後方向の位置が同じとなる位置nとなっている。このとき、役物本体18aは、上部構成枠17の後に隠れてスロットマシン1の前方からは視認できないようになっている。また、表示器8には、装飾画像37として、例えば、流星群が後方から前方に流れてくるような初期演出画像が表示され、役物本体18aの現出に対する期待感を高めるようになっている。
また、パネル表示器36は透光性を有する状態を維持し、後方のリール27の図柄を視認できるようになっている。
【0127】
次に、図8(b)に示すように、役物本体18aの変換途中では、図柄32の前後位置に対応する位置nに役物本体18aが移動するように連結部18cがやや傾斜した状態に変換される。このとき、役物本体18aは、上部構成枠17から現出してスロットマシン1の前方から視認できるようになる。ただし、このときには役物本体18aは、まだ後方の位置であり、役物本体18aが正面に向いた姿勢とはなっていない。また、表示器8には、装飾画像37が初期演出画像よりも星の流れが速くなるような途中演出画像に変換されて表示される。
また、パネル表示器36は透光性を有する状態を維持し、後方のスロー回転中のリール27上の図柄32を視認できるようになっている。
【0128】
次に、図8(c)に示すように、役物本体18aの変換が完了したときには、図柄32が表示窓6内に停止表示して、その前後位置nがリール27の前端部である位置mと同じ位置となり、役物本体18aの前後位置も位置n(m)と同じ位置で移動が停止する。このとき、役物本体18aは、上部構成枠17から完全に現出して役物本体18aが正面を向いた姿勢となり、内部の発光源が発光される。また、表示器8には、役物本体18aが現出したことを演出する所定の演出画像が表示される。
【0129】
また、パネル表示器36は、透光性を有する状態から表示が浮き出る状態に変換され、例えば、爆発をイメージするような演出画像38が表示されることで、役物本体18aが現出したことを演出するような表示が行われる。また、スピーカ9から役物本体18aが現出したことを演出する音として、例えば、爆発音が出力される。
【0130】
したがって、可役物本体18aが非作動状態においては、表示制御手段(第1表示制御手段)としての主制御基板25及び副制御基板26が、表示手段(第1表示手段)としての表示器8に所定の演出表示として装飾画像37を表示するとともに、役物本体18aが作動状態に変換した後において、第3表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26が、第3表示手段としてのパネル表示器36に所定の演出表示として演出画像38を表示するのである。
【0131】
このように、リール27の前方にパネル表示器36が配設されることから、リール27を挟んでその前後に表示器8とパネル表示器36が配設されることとなり、より立体感のある演出表示が可能となる。また、表示器8とパネル表示器36における前後の間には、役物本体18aが動作する空間部17cが形成されるので、スロットマシン1の奥行きを利用した演出が行え、より効率よく立体的な演出が可能となるのである。
さらに、役物本体18aの変換当初は表示器8で演出表示を行い、変換後はパネル表示器36で演出表示を行うので、役物本体18aの前後方向への変換動作がより顕著になるような演出表示となり、遊技者の期待感は遊技の興趣を向上させることが可能となる。
【0132】
なお、役物本体18aが作動状態に変換した際には、役物本体18aの所定部がリール27の前端部よりも前方となるようにすれば、役物本体18aがパネル表示器36よりも後方となるようにしてもよいし、役物本体18aの全部或いは一部がパネル表示器36よりも前方となるようにしてもよい。
また、役物本体18aの変換時期や変換速度は、前述した以外でもよく、図6での説明同様、適宜変更可能である。
以上のように、役物装置18の動作が行われる。
【0133】
次に、図9を参照して、表示器8で表示されるステージについて説明する。
前述したように、本実施形態のスロットマシン1では、通常状態においては、特典としてのCZ状態の抽選を行うが、CZ状態の当選確率(難易度)は主制御基板25により複数段階で制御されている。すなわち、CZ状態の当選確率状態は、一番低い確率段階である通常確率状態では、上・下段チェリー役当選時の5%の確率、中段チェリー役当選時の30%の確率で各々設定されている。
【0134】
また、通常確率状態よりも高い確率段階である高確率状態においては、上・下段チェリー役当選時の30%の確率、中段チェリー役当選時の50%の確率で各々設定されている。また、高確率状態よりもさらに高い確率段階である超高確率状態においては、上・下段チェリー役当選時の50%の確率、中段チェリー役当選時の100%の確率で各々設定されている。
すなわち、主制御基板25は、抽選手段における特典の当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段を備えている。
【0135】
主制御基板25及び副制御基板26の制御により、通常状態中において、抽選手段の抽選に応じた演出が表示器8において行われる。これらの演出は、例えば、所定の背景画像や、その背景画像上に登場するキャラクタ画像等を表示することで行われ、背景画像やキャラクタ画像を種々切り替えることにより、遊技の進行状態等に変化を持たせるようになっている。すなわち、背景画像或いはキャラクタ画像からなるステージを切り替えることにより遊技者の期待感を変化させるようになっているのである。
【0136】
本実施形態においては、背景画像或いは登場するキャラクタ画像が異なる複数のステージ(ステージA~D)が設定されていて、一のステージから他のステージへの移行は所定条件の成立により行われるが、抽選制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26の制御により、CZ状態の当選確率状態に応じてステージの移行(切替)が行われる。また、表示器8に表示されるステージの移行は、CZ状態の当選確率状態に応じた所定の確率での移行抽選により行われるので、CZ状態の当選確率状態は確実には認識できないが、遊技者に示唆する程度で行われる。
なお、ステージA~Dは、背景画像或いは登場キャラクタ画像を異ならせる以外でもよく、例えば、表示するアイテムを異ならせたり、画像の明るさを異ならせたり等、遊技者が認識できるものであれば何れでもよい。
【0137】
図9(a)は、第1ステージとして例示するステージA滞在中における各ステージへの移行率を示す図表である。なお、スロットマシン1への電源投入時には、必ずステージA移行している。また、他のステージの移行は、抽選手段の抽選結果が、リプレイ役、ベル役の何れかに当選した場合、及びハズレとなった場合に抽選される。
【0138】
まず、図9(a)に示すように、ステージAに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態中においては、ステージBへの移行が5%、ステージCへの移行が2%、ステージDへの移行が0%、ステージAへの移行が93%(移行無し)、の確率で各々決定される。
また、ステージAに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が高確率状態中においては、ステージBへの移行が7%、ステージCへの移行が10%、ステージDへの移行が0%、ステージAへの移行が83%、の確率で各々決定される。
また、ステージAに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が超高確率状態中においては、ステージBへの移行が8%、ステージCへの移行が10%、ステージDへの移行が5%、ステージAへの移行が77%、の確率で各々決定される。
【0139】
次に、図9(b)に示すように、第1ステージとして例示するステージBに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態中においては、ステージAへの移行が5%、ステージCへの移行が2%、ステージDへの移行が0%、ステージBへの移行が93%(移行無し)、の確率で各々決定される。
また、ステージBに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が高確率状態中においては、ステージAへの移行が3%、ステージCへの移行が10%、ステージDへの移行が0%、ステージBへの移行が87%、の確率で各々決定される。
また、ステージBに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が超高確率状態中においては、ステージAへの移行が2%、ステージCへの移行が10%、ステージDへの移行が5%、ステージBへの移行が77%、の確率で各々決定される。
【0140】
次に、図9(c)に示すように、第2ステージとして例示するステージCに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態中においては、ステージAへの移行が10%、ステージBへの移行が0%、ステージDへの移行が0%、ステージCへの移行が90%(移行無し)、の確率で各々決定される。
また、ステージCに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が高確率状態中においては、ステージAへの移行が5%、ステージBへの移行が5%、ステージDへの移行が0%、ステージCへの移行が90%、の確率で各々決定される。
また、ステージCに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が超高確率状態中においては、ステージAへの移行が3%、ステージBへの移行が3%、ステージDへの移行が5%、ステージCへの移行が89%、の確率で各々決定される。
【0141】
次に、図9(d)に示すように、第2ステージとして例示するステージDに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態中においては、ステージAへの移行が0%、ステージBへの移行が0%、ステージCへの移行が60%、ステージDへの移行が40%(移行無し)、の確率で各々決定される。
また、ステージDに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が高確率状態中においては、ステージAへの移行が0%、ステージBへの移行が0%、ステージCへの移行が30%、ステージDへの移行が70%、の確率で各々決定される。
また、ステージDに滞在中で、CZ状態の当選確率状態が超高確率状態中においては、ステージAへの移行が0%、ステージBへの移行が0%、ステージCへの移行が2%、ステージDへの移行が98%、の確率で各々決定される。
【0142】
以上のような各移行確率でステージの切り替えが行われるので、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態の場合には、ステージA及びステージBに滞在し易く、高確率状態の場合には、ステージCに移行し易くなる。また、若干ではあるが高確率状態の場合には、ステージAよりもステージBに移行し易くなっている。
【0143】
また、通常確率状態及び高確率状態中には、ステージDには移行しないので、ステージDに移行した時点(少なくとも移行した当該ゲーム)では、超高確率状態が確定することとなる。また、超高確率状態でステージDに滞在中は、ステージA及びステージBへは移行しないようになっていて、ステージD滞在中に他の確率状態に移行した場合でも、直接ステージA及びステージBには移行せずに、ステージCへの移行を経由してから他のステージに移行するようになっている。
また、高確率状態中には、ステージCからステージBへ移行しないようになっているので、ステージCからステージBへのステージダウンが行われても、通常確率状態の滞在が否定されることとなる。
【0144】
したがって、ステージA及びステージBが表示器8に表示されている場合には、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態であることの示唆となり、ステージCが表示されている場合には、高確率状態であることの示唆となり、ステージDが表示されている場合には、超高確率状態であることの示唆となるのである。
すなわち、表示手段(表示器8)の表示制御を実行可能な表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、所定の表示態様からなり、抽選制御手段(例えば、主制御基板25)で制御されている確率段階が複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを表示器8に表示させる制御が可能なステージ制御手段を備えることとなる。
【0145】
また、ステージ制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、確率段階が所定の確率段階(通常確率状態)であることを示唆可能な第1ステージ(例えば、ステージA)と、第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも当選確率が高い確率段階(高確率状態或いは超高確率状態)を示唆可能な第2ステージ(ステージC或いはステージD)とを表示手段に表示させることが可能となる。
【0146】
各ステージの移行は、図9に示した確率で移行制御が基本的に行われるが、後述するように、各移行確率は、ゲームの進行状態やステージの移行状態、或いは抽選手段の抽選結果等により所定期間変化するような移行制御も行われる。
【0147】
次に、スロットマシン1のゲームの進行中に、主制御基板25及び副制御基板26の制御により、CZ状態の当選確率状態に応じて、各ステージA~Dがどのように移行するかを図10図13を例示して説明する。
ステージを移行させる場合には、主制御基板25及び副制御基板26に備えられるステージ切替制御手段の制御により決定されたタイミングで、ステージの切り替え(第1の切替としてのステージアップ、或いは第2の切替としてのステージダウン)が行われる。
【0148】
図10(a)は、CZ状態の当選確率状態が、通常確率状態から高確率状態に移行した場合のステージの移行状態を示している。
図10(a)に示すように、通常確率状態におけるゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、スイカ役に当選して確率状態の移行抽選に当選すると、当該ゲームの終了時点で、CZ状態の当選確率状態が高確率状態に移行する。この時点ではステージAに滞在している。
その後のゲームの進行中において、タイミングt2に示すゲームの開始時に、ステージの移行抽選に当選すると、ステージがステージAからステージCに移行(ステージアップ、第1の切替)することとなるが、このとき当該ゲームの開始時点でステージCへの移行が行われる。
【0149】
また、ステージが、ステージAからCZ状態の当選確率状態に対する期待度の高いステージCへ移行(ステージアップ、第1の切替)した場合には、その時点から所定ゲーム数(例えば、10ゲーム)のゲームが実行される間は、ステージの移行抽選確率が通常とは異なる値に変更される第1特定抽選期間(特定期間)が設定され、期待度の低いステージへの移行(ステージダウン、第2の切替)は行われ難くなるような抽選制御が行われる。
例えば、通常では、5%の確率でステージダウンを行うが、第1特定抽選期間中は2%の確率でステージダウンが行われる。
【0150】
このように、CZ状態の当選確率状態が高確率状態に移行した場合でも、直ぐにはステージの移行(ステージアップ、第1の切替)は行われないので、ステージが期待度の低いステージであっても、CZ状態の当選確率状態が高確率状態であることへの可能性は残せるので、遊技者の期待感を高めることが可能となるのである。
【0151】
また、主制御基板25及び副制御基板26に備えられるステージ切替制御手段により、ステージをより期待度の高いステージに切り替える(移行させる)場合には、ゲームの開始時点で切り替えるので、当該ゲームの実行から遊技者の期待感を高めることが可能となる。
また、ステージ切替制御手段は、表示器8に期待度の高いステージ(第2ステージ)が表示されている場合に、所定条件の成立として、ステージアップが行われた時点から、ステージダウン(第2の切替)の実行確率を所定期間低める制御を第1特定抽選期間が経過するまで実行するので、ステージアップしたにも拘わらず直ぐにステージダウンしてしまうことを防止でき、遊技者の期待感が低下してしまうことを防止できる。
【0152】
なお、図10(a)では、通常確率状態から高確率状態へ移行した場合の例を示したが、高確率状態から超高確率状態へ移行した場合でも同様のステージの移行抽選が行われ、ステージDへ移行する場合には、ゲームの開始時点でステージアップが行われ、その時点から第1特定抽選期間が設定される。
また、図10(a)では、ステージAの滞在からのゲーム進行であるが、ステージBの滞在からのゲーム進行においてもステージA同様にステージアップはゲーム開始時点で行われる。
【0153】
また、第1特定抽選期間中は、ステージダウンを完全に無効にしてもよい。また、ステージダウンの抽選のみ無効にしてステージアップは有効にしてもよいし、ステージの移行抽選自体を無効にしてもよい。
また、本実施形態では、ステージアップを行う際には、ゲームの開始時点で行うようにしているが、遊技者にステージアップしたことを早い時期に報知できれば、ゲームの開始時点でなくてもよく、例えば、リール27の回転が開始した時点、停止ボタン5の停止操作が有効となった時点、停止ボタン5のうち最初に停止操作を行った時点、等のゲームが終了する前の時点であれば何れでもよい。すなわち、ステージ切替制御手段による第1の切替は、ゲームの結果が導出される前に実行されればよいのである。
【0154】
図10(b)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態を維持している状態におけるステージの移行状態を示している。なお、図10(b)でのゲーム開始時点では、図10(a)で説明した第1特定抽選期間は既に終了している。
図10(b)に示すように、高確率状態におけるゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、スイカ役に当選して超高確率状態への移行が行われなかった場合、確率状態はそのまま高確率状態が維持される。この時点のステージはステージCに滞在しているが、タイミングt1から特定期間として第2特定抽選期間が所定ゲーム数(例えば、10ゲーム)の間設定され、図10(a)での説明した特定期間中の制御と同様に、ステージダウン(ステージA或いはステージBへの移行)が行われ難い移行制御が行われる。
したがって、その後のゲームの進行中において、例えば、タイミングt2では、ステージダウンが行われ難いステージの特定抽選が行われる。
【0155】
このように、既に高確率状態となっている間に、再度当選確率状態の移行契機役であるスイカ役に当選した場合には、第2特定抽選期間が設定される。すなわち、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、抽選制御手段としての主制御基板25により特典(ART状態)の当選確率が高い確率段階(高確率状態)に変更される条件の成立(スイカ役の当選)に基づき、第2の切替(ステージダウン)の実行確率が低められる所定期間としての第2特定抽選期間を設定するのである。
【0156】
したがって、高確率状態中に再度スイカ役に当選したのに拘わらず、直ぐにステージダウンしてしまうことを防止でき、遊技者の不満感の増大や期待感の低下を防止することができる。
なお、高確率状態中においてステージA(或いはステージB)に滞在中に、再度スイカ役に当選した場合には、ステージアップする確率を通常よりも高めるようにしてもよいし、この場合には、当該ゲーム或いは次ゲームで強制的にステージアップを行うようにしてもよい。
【0157】
図11(a)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態から通常確率状態に移行した場合のステージの移行状態を示している。
図11(a)に示すように、高確率状態におけるゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、リプレイ役に当選して確率状態の移行抽選に当選すると、当該ゲームの終了時点で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態に移行する。この時点ではステージはステージCに滞在している。
その後のゲームの進行中において、タイミングt2に示すゲームの開始時に、ステージの移行抽選に当選すると、ステージがステージCからステージAに移行(ステージダウン、第2の切替)することとなるが、このとき当該ゲームの終了時点であるタイミングt3においてステージAへの移行が行われる。
【0158】
このように、CZ状態の当選確率状態が高確率状態から通常確率状態に移行した場合でも、直ぐにはステージの移行(ステージダウン、第2の切替)は行われないので、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態に移行した場合でも、直ぐにはステージダウンは行われず、遊技者の期待感をある程度維持させることが可能となるのである。また、ステージを期待度の低いステージに移行させる場合には、ゲームの終了時点で移行させるので、当該ゲーム分だけ遊技者の期待感を維持させることが可能となるし、仮にそのゲームで遊技者が遊技を終了しようとしていた場合には、ステージダウンを確認した後、遊技者が不満感を残さずに遊技を終了することが可能となる。
【0159】
なお、本実施形態における、ステージダウンを行う際のゲームの終了時点は、停止ボタン5のうち遊技者が最後に停止操作を行った停止ボタン5から指等を離した時点、或いは当該ゲームでメダルの払い出しが行われた場合には、そのメダルの払い出しが終了した時点、等リール27での結果が導出された以降であれば何れの時点でもよい。また、停止ボタン5から指等を離した時点、或いはメダルの払い出しが終了した時点から所定時間(例えば、0.5秒)経過後であってもよい。すなわち、ステージ切替制御手段による第2の切替は、ゲームの結果が導出された以降に実行されればよいのである。
【0160】
図11(b)は、CZ状態の当選確率状態が、超高確率状態から通常確率状態に移行した場合のステージの移行状態を示している。
図11(b)に示すように、超高確率状態におけるゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、リプレイ役に当選して確率状態の移行抽選に当選すると、当該ゲームの終了時点で、CZ状態の当選確率状態が通常確率状態に移行する。この時点ではステージはステージDに滞在している。
【0161】
その後のゲームの進行中において、タイミングt2に示すゲームの開始時に、ステージの移行抽選に当選するとステージダウンが行われるが、この場合には、図9(d)で説明したように、ステージA及びステージBへの移行確率は0%となっているので、ステージDからステージCに移行することとなる。このとき当該ゲームの終了時点であるタイミングt3においてステージCへの移行が行われる。
さらに、その後のゲームの進行中において、タイミングt4に示すゲームの開始時に、ステージの移行抽選に当選すると、ステージがステージCからステージAに移行することとなるが、このとき当該ゲームの終了時点であるタイミングt5においてステージAへの移行が行われる。
【0162】
このように、CZ状態の当選確率状態が、超高確率状態から通常確率状態に移行してステージDからのステージダウンを行う場合でも、ステージDから直接期待度の低いステージAへの移行は行われず、期待度の高いステージCを経由してステージダウンが段階的に行われるので、遊技者の期待感が急激に低下してしまうことを防止できる。
【0163】
なお、上記したステージCを経由してステージダウンを段階的に行う段階制御を行っている間は、ステージの移行抽選確率を通常とは異なる確率に設定してもよく、例えば、ステージCからステージAへの移行確率を、通常の10%の確率から20%の確率に変更してもよい。
また、通常では、ステージCからステージBへの移行は、高確率状態或いは超高確率状態中のみ行われるが、段階制御中は、ステージCからステージBへの移行を可能としてもよい。
【0164】
図12(a)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態を維持している間に、ステージの移行抽選に連続して当選した場合にステージの移行状態を示している。
図12(a)に示すように、高確率状態でステージDでのゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、ステージの移行抽選に当選(ステージダウンに当選)すると、タイミングt2に示す当該ゲームの終了時点でステージCからステージAへの移行が行われる。
そして、タイミングt3に示す次のゲームの開始時に、再びステージの移行抽選に当選(ステージアップに当選)すると、当該ゲームの開始時点でステージAからステージCへの移行が再び行われる。
【0165】
このように、ステージ切替制御手段は、第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、第1の切替を実行可能としたので、連続するゲームにおいて、一旦ステージダウンした直後にステージアップが行われることとなるが、この場合に、ステージダウンはゲームの終了時点で行われて、ステージアップは次のゲームの開始時点で直ぐに行われることとなるので、前のゲームが終了してから短期間で再び期待度の高いステージに復帰することとなり、遊技者の落胆感を防止して期待感を高めることが可能となるのである。
【0166】
一方、連続するゲーム中において、ステージアップした直後にステージダウンが行われる場合には、ステージアップはゲームの開始時点で行われて、ステージアダウンは次のゲームの終了時点で行われることとなるので、少なくとも次のゲームを開始する際には期待度の高いステージのままゲームを実行できることとなり、遊技者の期待感を極力高めることが可能となるのである。
【0167】
なお、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、ステージアップした際には、特定期間として第1特定抽選期間を設定するようにしているが、ステージダウンした場合にも、所定期間(例えば、10ゲームの間)次のステージアップの移行確率を高めるような特定期間を設けるようにしてもよい。例えば、高確率状態中においては、ステージAからステージCへの移行は、10%の確率で行われるが、特定期間中は、15%の確率でステージCへの移行が行われるようにすることで、ステージダウンにより落胆した遊技者の期待感を直ぐに高められるような制御を行ってもよい。
また、特定期間中は、その時点でのステージ中の所定の画像を変化させることで、ステージアップの移行確率が高くなっていることを報知するようにしてもよい。
【0168】
図12(b)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態を維持している間に、ステージの移行抽選に連続して当選した場合にステージの移行状態を示している。なお、図12(b)に示す例においては、中段チェリー役に当選した場合には、CZ状態の抽選とともに、ボーナス役の抽選を行うようにしている。例えば、中段チェリー役に当選した場合には、CZ状態の当選確率状態に関わらず10%の確率でボーナス役に当選するようにしている。そして、中段チェリー役の当選を契機にボーナス発生演出(或いは、ボーナスのガセ発生演出)を表示器8に表示可能としている。図12(b)に示す例では、ボーナスのガセ発生演出を表示するようにしている。
【0169】
すなわち、表示制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、遊技者にとって有利な特定遊技状態(ボーナス状態)が発生するか否かの結果を導出可能な特定演出(ボーナス発生演出、ボーナスガセ発生演出)を表示手段としての表示器8に表示させる制御が可能な演出制御手段を備えているのである。
【0170】
図12(b)に示すように、高確率状態でステージAでのゲームの進行中において、タイミングt1に示すゲームの開始時に、中段チェリー役に当選すると、当該ゲームからボーナスのガセ発生演出(連続演出)が3ゲーム間表示器8において行われる。
そして、ボーナスのガセ発生演出が3ゲーム目のゲームの終了まで継続し、そのゲームの終了から次のゲームの開始までの間にボーナス役の非当選が報知される。また、4ゲーム目のゲームが開始されるタイミングt2に示す時点で、ステージの移行抽選が行われることとなるが、このときの移行抽選は、通常とは異なる確率で行われる。例えば、高確率状態中の移行抽選は、通常では10%の確率でステージアップ(ステージCへの移行)が行われるが、ガセ発生演出直後のゲームでは通常よりも高い確率(例えば、20%)でステージアップが行われる。
ステージの移行抽選が通常よりも高い確率で行われた結果、ステージの移行抽選に当選した場合には、タイミングt2でステージがステージAからステージCに移行することとなる。
【0171】
前述したように、CZ状態の移行契機であるレア役(中段チェリー役)に当選した場合には、CZ状態の当否が報知されるまでの遅延期間として前兆ゲームが実行されるが、タイミングt2でステージアップが行われることにより、前兆ゲームが期待感の高いステージで行われることとなる。
また、タイミングt1での中段チェリー役の当選時に、ボーナス役に当選していた場合には、連続演出はボーナス発生演出となるので、連続演出後はボーナス状態の移行待機状態となるのでステージの移行抽選は行われない。
【0172】
このように、連続演出が終了した後において、ステージアップする確率を高めるようにしている。すなわち、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、特定演出(ボーナスガセ発生演出)が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、第1の切替(ステージアップ)を実行可能とするのである。
【0173】
したがって、仮に連続演出でボーナス役に当選しないことが報知された場合でも、次の特典の獲得に対する期待感が高まるようにしているので、連続演出の結果による遊技者の落胆感を防止できるのである。
また、CZ状態の移行契機であるレア役に当選後、CZ状態の前兆演出(或いはガセ前兆演出)が発生する前の前兆ゲーム中に、ステージアップが行われることとなり、遊技者の期待感を段階的に高めることが可能となる。
【0174】
なお、高確率状態中にCZ状態の移行契機であるレア役に当選した場合に、ステージアップの確率を高めるようにしているが、通常確率状態中のレア役当選による連続演出後にステージアップの確率を高めるようにしてもよい。
また、上記した連続演出後のステージアップの確率変更制御は、CZ状態とボーナス状態に対して、別のレア役(中段チェリー役)を当選契機とした場合に行ってもよい。例えば、中段チェリー役をボーナス状態のみの当選契機とする一方、上・下段チェリー役をCZ状態のみの当選契機役に設定し、中段チェリー役の当選後のガセ発生演出後にステージアップの確率を高めるようにしてもよい。このようにすれば、ボーナス役に当選しなかったことに対する補償としてステージアップが行え、正確なCZ状態の当選確率状態を報知することができる。
【0175】
図13(a)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態でステージCに滞在している間に、表示器8において呼び込み表示(呼込み演出)が行われた場合のステージの移行状態を示している。
呼び込み表示は、主制御基板25及び副制御基板26に備えられる呼込み表示制御手段により、所定期間前記ゲームが実行されていなかった場合に表示される呼込み演出のことで、図13(a)に示すように、タイミングt1のゲーム終了から所定時間(例えば、1分)経過しても、次のゲームが実行されなかった場合に、タイミングt2から表示器8において表示される。
呼び込み表示中は、所定のキャラクタの表示とともに当該スロットマシン1の機種名の表示等が行われる。
【0176】
そして、呼び込み表示中に次のゲームが行われる場合には、呼び込み表示の前に表示されていたステージCの画像に復帰することとなるが、この際に、直ぐにステージCの画像に復帰せずに、別の画像を表示させた後にステージCに移行するようになっている。
図13(a)に示すように、次のゲームの開始条件であるベット数が入力(ベット入力)されたタイミングt3において、まず、ステージAの画像を表示した後、その後ゲームが開始されたタイミングt4の時点で、ステージCに移行するようになっている。したがって、ベット入力による呼び込み表示の終了により、ゲームの開始条件が成立したことは認識できるが、ベット入力だけでは、その時点のステージがどのステージに滞在していたかを正確に認識できないようになっている。
【0177】
すなわち、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、呼込み演出(呼び込み表示)が表示手段としての表示器8に表示されている状態からゲームが実行された際には、第2ステージ(例えば、ステージC)を表示する場合であってもゲームの実行条件であるベット入力に基づき第1ステージ(例えば、ステージA)を一旦表示するのである。
【0178】
本実施形態のスロットマシン1に限らず、ベット入力後に所定のキャンセル操作を行えば、入力したベット数は解除されて、その分のメダルが遊技者に返却されるキャンセル機能は一般的に備えられている。この機能を利用して、ベット入力後に、表示されたステージを確認して、そのステージが期待度の低いものであった場合に、キャンセル操作を行うことで、期待度の高いステージのみを狙って遊技を行うようなことも可能となり、他の遊技者が不満感を持つような状況が生じる可能性がある。
【0179】
このような課題を解決するために、本実施形態においては、呼び込み表示後、ベット入力だけでは、滞在しているステージを正確に把握できないようにして、実際にゲームが実行されたことを条件に本来のステージに復帰するようにしている。したがって、一部の遊技者だけが有利に遊技を行うことを防止できるのである。
また、呼び込み表示直後に行われるゲームにおいて、ステージダウンの移行抽選に当選した場合でも、ステージダウンは当該ゲームの終了時点で行われるので、ゲーム開始時には、呼び込み表示前に滞在していたステージを認識することが可能となる。
【0180】
なお、呼び込み表示の終了直後に行われるゲームにおいては、ステージダウンの移行抽選確率を通常よりも低くするようにしてもよい。
また、高確率状態で期待度の低いステージ(ステージA或いはステージB)に滞在中に、呼び込み表示が行われた場合に、呼び込み表示の終了直後に行われるゲームにおいては、ステージアップの移行抽選確率を通常よりも高くするようにしてもよく、このようにすれば、空き台に対する遊技者の遊技意欲を高めることが可能となる。また、ステージアップはゲーム開始時に直ぐに行われるので、遊技開始直後から期待度の高いステージに移行させることが可能となる。
また、タイミングt3において、クレジットが無い状態でのベットボタン2aの操作(所謂空操作)でも呼び込み表示を終了するようにしてもよい。
【0181】
図13(b)は、CZ状態の当選確率状態が、高確率状態でスロットマシン1への電源が遮断された後、電源が投入された場合のステージの移行状態を示している。
本実施形態のスロットマシン1においては、電源遮断時においても、主制御基板25及び副制御基板26における記憶部25a、26aの記憶情報はバックアップ機能により、記憶保持されるようになっているため、電源遮断時のCZ状態の当選確率状態は記憶保持され、電源投入時にも同一の当選確率状態から再開されるようになっている。一方、電源投入時に確率設定装置20により確率設定値が変更された場合、及び主制御基板25のシステムリセットが行われた場合には、通常確率状態から再開されるようになっている。
また、電源投入時のステージは、確率設定値の変更が行われたか否かに関わらず、必ずステージAから再開されるようになっている。
【0182】
図13(b)に示すように、スロットマシン1においては、電源投入から所定ゲーム数(例えば、20ゲーム)が実行される期間は、特定期間として第3特定抽選期間が設定され、ステージの移行抽選確率が通常(第3特定抽選期間以外)とは異なる確率で制御される。図13(b)に示す例では、第3特定抽選期間中は、ステージの移行抽選確率が通常(第3特定抽選期間以外)よりも高められるような移行抽選制御が行われ、高確率状態中においては、ステージAからステージCへの移行が10%から20%の確率に高められて制御されるとともに、通常確率状態中においては、ステージAからステージCへの移行が2%から4%の確率に高められて制御される。
【0183】
したがって、第3特定抽選期間中であるタイミングt2のゲーム開始時に、通常よりも高められた確率でステージの移行抽選が行われた結果、ステージの移行抽選に当選した場合には、ステージがステージAからステージCに移行することとなる。
すなわち、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、遊技機(スロットマシン1)の電源投入から予め定められた特定期間(第3特定抽選期間)においては、ステージの切り替えを、特定期間以外とは異なる確率で制御可能とするのである。
【0184】
このように、スロットマシン1の電源投入時から所定期間は、ステージアップの確率が高められることで、例えば、遊技店の開店当初に遊技者が遊技を行う場合に、ステージアップする可能性が高まるので、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0185】
なお、第3特定抽選期間中においては、期待度の高いステージから期待度の低いステーへステージダウンする確率を通常よりも低めるようにしてもよい。
また、電源投入時の特定期間として、ステージの移行確率を通常よりも低めるような移行制御を行うようにしてもよい。このようにすれば、電源投入当初はステージAに滞在する可能性が高くなり、確率設定装置20での設定変更操作が行われたか否かを遊技者に分かり難くすることができる。すなわち、前回の閉店時に高確率状態に滞在していた状態のまま当日の開店を迎えた場合でも、ステージAに滞在し易くなるので、確率設定装置20での設定変更操作を行った結果、通常確率状態で開店を迎えた場合と見分けが付けにくくなり、遊技店と遊技者との利益バランスを取ることが可能なる。
【0186】
以上、図10図13で説明したように、主制御基板25及び副制御基板の制御により、ステージの切り替えを行う場合には、ゲームにおける所定の時期として、ゲーム開始時には、ステージダウン(第2の切替)よりもステージアップ(第1の切替)の方が高い確率で実行される。一方、ゲームにおける所定の時期として、ゲーム終了時には、ステージアップ(第1の切替)よりもステージダウン(第2の切替)の方が高い確率で実行される。
【0187】
すなわち、ステージ切替制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、第1ステージ(例えば、ステージA)から第2ステージ(例えば、ステージC)に切り替わる第1の切替(ステージアップ)と、第2ステージから第1ステージに切り替わる第2の切替(ステージダウン)と、がゲームにおける所定の時期(ゲーム開始時、或いはゲーム終了時)において異なる確率で実行されるようにステージの切り替え時期を制御するのである。
【0188】
したがって、ステージの切り替え内容に応じて、ステージの切り替え時期が種々変化するような興趣性の高い遊技を実行可能となり、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
なお、上記実施形態では、ゲームの開始時点では、ステージダウンは行われず、ゲームの終了時点ではステージアップが行われないようにしているが、ステージアップとステージダウンがゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるようになれば、それ以外でもよく、例えば、ステージアップを行う際には、ゲームの開始時点で80%、ゲームの終了時点で20%となるような割合で実行されるようにし、一方、ステージダウンを行う際には、ゲームの開始時点で20%、ゲームの終了時点で80%となるような割合で実行されるようにしてもよい。
以上にように、表示器8で表示されるステージの移行(切替)が行われる。
【0189】
以上、説明したように、本発明においては、遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを抽選する抽選手段(主制御基板25)を備え、遊技者の開始操作に基づきゲームを開始可能とする一方、遊技者による停止操作に基づき、抽選手段の抽選結果に応じたゲームの結果を導出するとともにゲームを終了可能とした遊技機(スロットマシン1)において、複数の情報を表示可能な表示手段(表示器8)と、表示手段の表示制御が可能な表示制御手段(主制御基板25及び副制御基板26)と、抽選手段における特典(例えば、CZ状態)の当選確率を確率の異なる複数の確率段階で制御可能な抽選制御手段(主制御基板25)と、を備え、表示制御手段は、所定の表示態様からなり、抽選制御手段で制御されている確率段階が複数の確率段階のうちのいずれであるかを示唆可能な複数のステージを表示手段に表示させる制御が可能なステージ制御手段(主制御基板25及び副制御基板26)を備え、ステージ制御手段は、確率段階が所定の確率段階であることを示唆可能な第1ステージ(例えば、ステージA)と、第1ステージにより示唆可能な確率段階よりも当選確率が高い確率段階を示唆可能な第2ステージ(例えば、ステージC)とを表示手段に表示させることを可能とし、ゲームにおいてステージの切り替えを制御可能とするとともに、第1ステージから第2ステージに切り替わる第1の切替(ステージアップ)と、第2ステージから第1ステージに切り替わる第2の切替(ステージダウン)と、がゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるようにステージの切り替え時期を制御可能なステージ切替制御手段を備えた構成とした。
【0190】
ここで、抽選手段、表示制御手段、抽選制御手段、ステージ制御手段、ステージ切替制御手段は、主制御基板25が備えるものであってもよいし副制御基板26が備えるものであってもよい。また、主制御基板25と副制御基板26の協働により構成されるものであってもよい。
また、特典としては、CZ状態、ボーナス状態、ART状態、ART状態中におけるゲーム数の上乗せ、等が例示される。
また、ステージは、背景画像やキャラクタ画像等からなる場面設定を構成する表示画像で、背景画像やキャラクタ画像等を変更することで、場面設定を変更可能とするものである。場面設定の変更は、背景画像やキャラクタ画像の変更の他、キャラクタ画像の動作態様(動作方向や動作速度)の変更や画面の明るさの変更等で行ってもよい。
【0191】
したがって、第1の切替と、第2の切替とがゲームにおける所定の時期において異なる確率で実行されるようにステージの切り替え時期を制御が行われるので、ステージの切り替えパターンが豊富となり、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
また、ゲームにおける異なる時期で、遊技者の期待感に変化を持たせることができるようなゲームを実行することが可能となる。
【0192】
また、ステージ切替制御手段は、第1の切替をゲームの結果が導出される前に実行する一方、第2の切替をゲームの結果が導出された以降に実行する構成とした。
【0193】
ここで、ゲームの結果が導出される前とは、ゲームが開始される時点の他、ゲームが開始されてからゲームの結果が導出されるまでの間の何れの時点でもよい。また、ゲームの結果が導出された以降とは、ゲームの終了される時点の他、ゲームの結果が導出されてから次のゲームが開始されるまでの間の何れの時点でもよい。
【0194】
したがって、第1の切替はゲームにおける早い時期で行われ、一方、第2の切替はゲームにおける遅い時期で行われることとなり、結果、期待度の高い第2ステージの滞在期間を長くすることが可能となり、遊技者の期待感を向上させることが可能となる。
【0195】
また、ステージ切替制御手段は、第1の切替をゲームの開始時に実行する構成とした。
したがって、ゲームの開始時に期待度の高い第2ステージへの切り替えが行われることとなり、ゲームの開始時点から遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0196】
また、ステージ切替制御手段は、第2の切替が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、第1の切替を実行可能とした構成とした。
したがって、第2の切替がゲームの終了以降に行われても、当該ゲームの次ゲームで直ぐに第1の切替が行われることとなるので、遊技者の期待感の低い第1ステージの滞在期間がより短くなり、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0197】
また、ステージ切替制御手段は、表示手段に第2ステージが表示されている場合に、所定条件の成立に基づき、第2の切替の実行確率を所定期間低める制御を実行可能とした構成とした。
したがって、第2ステージの滞在期間を長くすることが可能となり、遊技者の期待感を高めることが可能となる。また、第2ステージへの切り替えが行われた時点から所定期間を設定するようにすれば、第2ステージへの切り替えが行われた直後に期待度の低い第1ステージに切り替えられてしまうことを防止でき、遊技者の落胆感を防止することが可能となる。
【0198】
また、ステージ切替制御手段は、抽選制御手段により特典の当選確率が高い確率段階に変更される条件の成立に基づき、第2の切替の実行確率が低められる所定期間を設定可能とした構成とした。
【0199】
ここで、特典の当選確率が高い確率段階に変更される条件の成立は、レア役の当選の他、所定の小役(例えば、ベル役)の当選でもよい。また、レア役の当選を条件とした場合には、全てのレア役の当選でもよいし、レア役のうちの一部のレア役の当選でもよい。また、ボーナス役の当選を条件の成立としてもよい。
したがって、第2の切替が実行されて、期待度の高い第2ステージに滞在している間に、再び特典の当選確率が高い確率段階に変更される条件が成立した場合、すなわち、期待度の高い第2ステージの滞在中に、再度ステージアップの契機となる条件が成立した場合に、直ぐにステージダウンが行われてしまうことを防止でき、遊技者が不満感を持つことを防止することが可能となる。
【0200】
また、表示制御手段は、遊技者にとって有利な特定遊技状態が発生するか否かの結果を導出可能な特定演出を表示手段に表示させる制御が可能な演出制御手段(主制御基板25及び副制御基板26)を備え、ステージ切替制御手段は、演出制御手段により特定演出が行われたゲームの次に実行されるゲームにおいて、第1の切替を実行可能とした構成とした。
【0201】
ここで、演出制御手段は、主制御基板25と副制御基板26の協働により構成されるものの他、主制御基板25が備えるものであってもよいし副制御基板26が備えるものであってもよい。
また、特定遊技状態は、ボーナス状態、ART状態等が例示される。
また、特定演出は、キャラクタ画像の動作表示により当否結果を導出する画像演出であり、1ゲームで完結する演出の他、救数ゲームに跨って実行される演出も含まれる。
【0202】
したがって、特定演出が、特定遊技状態が発生しない結果を導出した場合でも、次のゲームで直ぐにステージアップが可能となるので、特定演出の結果に落胆した遊技者の期待感を再び高めることが可能となる。
【0203】
また、表示制御手段は、所定期間前記ゲームが実行されていなかった場合に、呼込み演出を表示手段に表示させることが可能な呼込み表示制御手段(主制御基板25及び副制御基板26)を備え、ステージ切替制御手段は、呼込み表示制御手段により呼込み演出が表示手段に表示されている状態からゲームが実行された際には、第2ステージを表示する場合であってもゲームの実行条件であるベット入力に基づき前記第1ステージを一旦表示する構成とした。
【0204】
ここで、呼込み表示制御手段は、主制御基板25と副制御基板26の協働により構成されるものの他、主制御基板25が備えるものであってもよいし副制御基板26が備えるものであってもよい。
また、呼込み演出は、所定のキャラクタ画像や機種名等の表示からなる画像の他、省エネ対策として表示される文字情報の表示や、消灯表示(バックライトの消灯)等も含む。
【0205】
したがって、呼び込み演出中に、ベット入力が行われただけでは、第1ステージが表示されて、滞在しているステージを正確に把握できないようにして、実際にゲームが実行された場合に第2ステージに切り替えられるので、ベット入力だけで滞在ステージを確認する確認行為を防止でき、一部の遊技者だけが有利に遊技を行うことを防止可能となる。
また、呼び込み演出直後に行われるゲームにおいて、ステージダウンの移行抽選に当選した場合でも、ステージダウンは当該ゲームの終了時点で行われるので、ゲーム開始時には、呼び込み表示前に滞在していたステージを遊技者に認識させることも可能となる。
【0206】
また、ステージ切替制御手段は、遊技機の電源投入から予め定められた特定期間においては、ステージの切り替えを、特定期間以外とは異なる確率で制御可能とした構成とした。
したがって、特定期間においてステージアップの確率を高めるようにすれば、例えば、遊技店の開店当初に遊技者が遊技を行う場合に、ステージアップする可能性が高まるので、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0207】
一方、ステージアップの確率を低めるようにすれば、電源投入当初は第1ステージに滞在する可能性が高くなり、確率設定装置での設定変更操作が行われたか否かを遊技者に分かり難くすることができる。すなわち、前回の閉店時に特典の当選確率が高い確率段階に滞在していた状態のまま当日の開店を迎えた場合でも、第1ステージに滞在し易くなるので、確率設定装置での設定変更操作を行った結果、特典の当選確率が低い確率段階で開店を迎えた場合と見分けが付けにくくなり、遊技店と遊技者との利益バランスを取ることが可能なる。
【0208】
一方、特許文献1には、ゲームの演出を行う場合に、背景や登場するキャラクタ等が異なる複数のステージを備えて、複数のステージ上で各種演出を実行するようにして大当たりの期待感に変化を出させるようにした遊技機が開示されている。
しかしながら、従来の遊技機においては、予め定められているタイミングでステージの切り替えを行うだけであることから、単調な遊技性になってしまいゲームの進行に応じて遊技者の期待感を十分に高めるものではなかった。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべき、このような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0209】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、特典としてART状態(ART)を付与するものとしたが、AT又はRTを付与するようにしてもよい。
【0210】
また、本実施形態では、ART状態のタイプとして、ART状態中の残りゲーム数が無くなった場合に終了するようなタイプにしているが、所定のゲーム数単位で実行されるART状態を複数回継続可能なタイプにしてもよい。この場合、前ラウンドのART状態から次ラウンドのART状態に継続することを報知する際に、表示器8における所定の報知画像とともに、役物本体18aを非作動状態から作動状態に変換するようにしてもよい。また、この際に、演出ボタン2cの操作により役物本体18aを作動状態に変換するようにしてもよい。このようにすれば、ART状態が継続したことに対して遊技者を歓喜させることが可能となる。
【0211】
また、ステージ切替制御手段により第2の切替(ステージアップ)が行われる際に、役物本体18aを非作動状態から作動状態に変換するようにしてもよい。このようにすれば、期待度の高いステージへの切り替えを効果的に演出することが可能となり、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0212】
また、サブ表示器31を備えた場合に、例えば、ステージAに滞在しているが、CZ状態の当選確率状態が高確率状態(或いは超高確率様態)であった場合には、サブ表示器31にステージアップし易いことを示唆する所定の画像を表示することで、その後のゲームでステージアップした場合の予告表示を行うようにしてもよく、このようにすれば、遊技者のステージアップに対する期待感を高めることが可能となる。
【0213】
また、演出ボタン2cの操作により、特典が付与される旨を表示器8で報知(報知画像の表示)するようにしてもよく、特典の付与を報知するための各種演出(CZ前兆演出、ART前兆演出、ボーナス発生演出)における最後のゲームで演出ボタン2cの操作により特典が付与される旨を報知するようにしてもよい。また、演出ボタン2cの操作により特典の付与の報知を行う場合に、役物本体18aを非作動状態から作動状態に変換するようにしてもよい。
【0214】
また、演出ボタン2cの操作により、ステージアップを行うようにしてもよい。この場合、ゲーム開始時に演出ボタン2cの操作を促す所定の画像を表示器8に表示し、演出ボタン2cの操作によりステージアップを行うようにする。また、この際に演出ボタン2cが操作されなかった場合には、停止ボタン5a~5cのうち最初のボタンが停止操作された場合にステージアップすればよい。
【0215】
また、演出ボタンとして、その操作により特典の付与の報知が行われ易い期待度の高い演出ボタンと、報知が行われ難い期待度の低い演出ボタンとを設けてもよい。このようにすれば、演出ボタン2cの操作と役物本体18aの変換動作とにより遊技の興趣をより高めることが可能となる。
【0216】
さらに、演出ボタンとして、期待度の高い演出ボタンと、期待度の低い演出ボタンとを設ける場合に、例えば、期待度の高い演出ボタンを操作対象とした操作演出が実行された際に、期待度の低い演出ボタンを代用操作手段として、この期待度の低い演出ボタンも有効として、期待度の低い演出ボタンに基づいても、所定の報知画像(ART状態の当選確定報知等)の表示や、役物本体18aの作動状態への変換を行うようにしてもよく、このようにすれば、期待度の低い演出ボタンを比較的操作がし易い位置に配設することで、この期待度の低い演出ボタンの操作でも所定の画像の表示や、役物本体18aの作動状態への変換が行われることとなり、遊技に慣れている熟練者や、遊技を迅速に進行させたい遊技者にとっては、満足感の高い機能となる。
【0217】
一方、期待度の低い演出ボタンを操作対象とした操作演出が実行された際には、期待度の高い演出ボタンの操作は有効とはせずに、期待度の高い演出ボタンに基づいては、所定の画像の表示や、役物本体18aの作動状態への変換は行われないようにすることが好ましい。これは、遊技者の期待感を高められる期待度の高い演出ボタンを、期待度の低い演出ボタンが表示されたときでも有効としてしまうと、期待度の高い演出ボタンに対する遊技者の期待感が低下してしまうことを防止するためである。
【0218】
また、演出ボタン2cにモータ等の作動により振動する振動手段を内蔵して、遊技者が操作する際に振動手段を作動させるようにしてもよい。この際には、特典が付与される旨を報知(ART状態の当選確定報知等)する場合に、振動手段を作動させることが好ましい。このようにすれば、さらに遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0219】
また、本体1aにモータやスピーカ等の作動により当該本体1aを振動させる振動手段を設けて、役物本体18aが作動状態に変換する際や、ステージアップが行われる際に振動手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
また、本体1aに遊技者に向けて風を吹き付ける送風手段を設けて、役物本体18aが作動状態に変換する際や、ステージアップが行われる際に送風手段を作動させることで、遊技者の期待感を高めるようにしてもよい。
また、ステージアップを行う場合に、前述のフリーズ演出を行うようにしてもよい。
【0220】
また、遊技者の手が演出ボタン2cに近づいたことを検出可能な検出センサ(例えば、赤外線センサ)を設け、検出センサの検出信号に基づき、役物本体18aを所定の変換が行われるように作動させるようにしてもよい。例えば、検出センサの検出信号に基づき、役物本体18aを小さい角度だけ作動させる初期動作を行い、演出ボタン2cが操作された場合には作動状態を完了させるようにしてもよい。このようにすれば、演出ボタン2cを押圧操作する直前に、役物本体18aが変化するので、従来にない斬新な演出が可能となる。
【0221】
また、役物本体18aに、当該役物本体18a自体の形状が変化(例えば、外形が大きくなる等)する状態変換手段を設け、役物本体18aが作動状態に変換した際に、役物本体18aの形状を常態時とは異なる形状に変化させることで、興趣性を高めるようにしてもよい。
【0222】
また、役物本体18aが第2状態に変換した際に、役物本体18aの所定部が、スタートレバー3の前端部よりも前方位置となるようにしてもよいし、スロットマシン1を構成する部材のうち最前方に配設される部材の前端部よりも前方位置となるようにしてもよい。このようにすれば、役物本体18aが遊技者により近づくこととなり、興趣を向上させることが可能となる。
【0223】
また、カバー部材30を設けずに、役物本体18aを遊技者が操作可能な操作手段として構成し、役物本体18aが第2状態に変換された際に、遊技者が役物本体18aを所定方向に操作可能に構成してもよい。この場合、役物本体18aが操作されたことを副制御基板26により検出可能にして、演出ボタン2cの操作時と同様の機能を設けるようにしてもよい。このようにすれば、役物本体18aが第2状態に変換された際の遊技の興趣を向上させることができる。
【0224】
また、役物本体18aが最前方に移動した位置から、さらに上方に移動可能に構成して、表示器8や本体18aよりも上方となる位置まで移動した状態を第2状態としてもよい。このようにすれば、当該スロットマシン1で遊技している遊技者以外の遊技者にも、役物本体18aが第2状態に変換されたことをアピールすることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
【0225】
また、役物本体18aが第2状態に変換された際に、リール27の所定部を隠蔽可能な位置に役物本体18aの所定部が移動するようにしてもよい。このようにすれば、例えば、リール27の停止とともに役物本体18aを第2状態に変換する等のリール27の変動表示態様に応じた変換動作が行え、遊技の興趣を向上させることが可能となる。なお、ゲームの実行中に役物本体18aを第2状態に変換する際には、リール27における有効ラインを隠蔽しないようにすることが好ましい。
【0226】
また、役物本体18aをゲームの終了時に第2状態に変換する際には、次ゲームが終了する前に役物本体18aが第1状態に復帰するように制御することが好ましい。すなわち、制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、ゲームの終了に基づき役物本体18aを第2状態に変換した際に、役物本体18aが第2状態に変換された状態において次ゲームが開始された場合には、次ゲームが終了する前に、役物本体18aを第1状態に変換(復帰)するように制御する。この場合の復帰時間は、例えば、1ゲームの最短実行可能時間として規定されている時間(4.1秒)よりも短い時間にする。このようにすれば、次ゲームの開始時に、役物本体18aに隠れて表示器8での表示を見逃してしまうことを防止できる。
【0227】
さらに、上記の役物本体18aの第1状態への復帰時間の設定は、ART状態に中に役物本体18aを第2状態に変換する際に適用してもよい。例えば、ART状態中に前述した所定ゲーム数の上乗せ演出を行う場合の最終ゲームにおいて、ゲーム数が上乗せされる旨を報知するときに役物本体18aを第2状態に変換する際に適用する。
【0228】
ART状態中においては、表示器8に押し順ナビが表示される可能性が高くなるが、上乗せ演出の最終ゲームで役物本体18aを第2状態に変換した場合には、次ゲームの開始で当該ゲームの押し順ナビが表示器8に表示されることとなり、前ゲームの終了時に第2状態に変換された役物本体18aの表示器8の前方への存在により、押し順ナビの視認性を阻害してしまう可能性があるが、上記の復帰時間の設定により、次ゲームの終了前には確実に役物本体18aは第1状態に復帰するので、遊技者が押し順ナビを確認できずに次ゲームを終了してしまうことを防止できるのである。
【0229】
また、ART状態中に表示器8で表示される押し順ナビを表示面の下方に設定するとより効果的となる。これは、役物本体18aが第1状態に復帰する際には、役物本体18aは後方への移動とともに最終的に上方に移動して、上部構成枠17の収納部に収納することとなるので、この上方への移動により表示器8の下方に表示された押し順ナビを早期に遊技者に見せることも可能となるからである。
また、例えば、表示器8に押し順ナビが表示された状態で役物本体18aを第1状態から第2状態に変換した場合でも、変換初期時には役物本体18aが上方から下方に移動することとなるので、この間に表示器8の下方に表示された押し順ナビを確認する期間を確保することも可能となる。
【0230】
また、表示器8に押し順ナビが表示された状態で役物本体18aが第2状態に変換されていたとしても、役物本体18aの後方には空間部17cが形成されているので、遊技者は、左右に少し視線をずらせば容易に役物本体18aの後方に表示されている押し順ナビを見ることも可能となる。
【0231】
すなわち、主制御基板25及び副制御基板26で構成される表示制御手段は、ゲームにおいて特定結果としてのベル役の図柄組み合わせを導出するための操作画像(押し順ナビ)を表示器8の表示領域に表示可能とし、役物本体18aは、表示器8の近傍に設けられ、駆動源18bの作動により第1状態から表示器8の表示領域前方位置となる第2状態に変換可能とし、表示制御手段は、操作画像を、表示器8の表示領域における下方部に表示する一方、役物本体18aは、表示器8の表示領域の上方から下方に向けて、第1状態から第2状態に変換するように構成されるとともに、第2状態に変換された状態においてゲームが開始された場合には、当該ゲームが終了する前に、第1状態に復帰するように構成されることとなる。
【0232】
また、役物本体18aをゲームの終了時に第2状態に変換する際には、次ゲームにおいて、演出ボタン2cの操作を伴う演出の実行確率を低める(或いは実行させない)ようにしてもよい。これは、演出ボタン2cの操作を伴う演出を行う場合には、表示器8に演出ボタン2cの操作を促す演出操作画像を表示することが一般的であるが、役物本体18aが表示器8の前方に存在すると、次ゲームの開始時に演出操作画像を見落としてしまう可能性があり、このようなことを防止するためである。
【0233】
また、制御手段としての主制御基板25及び副制御基板26は、役物本体18aを第2状態から第1状態に復帰させる際には、第2状態に変換した時点から所定時間(例えば、1秒)経過後に第1状態への変換を開始させる。また、役物本体18aをゲームの終了時(リール27の停止以降)に第2状態に変換した後に、第1状態に復帰させる際にも、第2状態に変換した時点から所定時間(例えば、1秒)経過後に第1状態への変換を開始させるが、所定時間経過前に次ゲームが開始した場合には、次ゲームの開始時点で第1状態への変換を開始させる。
【0234】
また、前述した有利区間中のメダルの獲得数を制限する制限手段を主制御基板25に設けた場合に、ゲーム結果が制限値に達したことに基づき、確率設定装置20での設定値を示唆する情報を表示器8で報知するようにしてもよい。また、このとき設定値がボーナス役の当選確率が比較的高い場合や最も高い場合には、表示器8での報知とともに、役物本体18aを作動状態に変換するようにしてもよい。このようにすれば、遊技者の期待感を向上させることが可能となる。
【0235】
また、主制御基板25及び副制御基板26に、予め定められた時間を計時可能な計時手段と、計時結果を表示器8に表示可能な計時制御手段とを備え、計時手段による計時結果と、ステージ切替制御手段によるステージの切り替え制御を関連付けるようにしてもよい。例えば、計時手段により所定時間が計時される間は、ステージが切り替えられる確率を通常とは異なる確率にしてもよい。
このようにすれば、表示器8に初期タイマー値を表示するとともにタイマー値を減算表示して、その減算表示間で演出表示を継続するような所謂タイマー演出中に、ステージの切り替え態様が変化することとなり、例えば、タイマー演出中はステージアップの確率が高まるように制御すれば、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0236】
また、主制御基板25及び副制御基板26に、予め定められた時間を計時可能な計時手段と、計時結果を表示器8に表示可能な計時制御手段とを備えてタイマー演出を実行する場合に、ステージアップの実行を事前に決定するが、実際のステージアップは直ぐには実行せずに保留するものとし、ステージアップの事前決定に基づき、計時手段が所定時間(残り時間)を決定するとともに所定時間までの計時を開始し、計時手段による計時結果が所定時間となるまでに実行された所定のゲームにおいて、実際のステージアップを行うようにしてもよい。
ステージアップするゲームは、予め決定された実行回数番目のゲームや、予め決定された当選し易い役(例えば、リプレイ役)に当選したゲーム、等何れでもよい。
このようにすれば、タイマー演出を行う際に、タイマー値の減算表示間において、確実にステージアップが行われることとなり、遊技者の期待感を高めることが可能となる。
【0237】
また、主制御基板25及び副制御基板26に、予め定められた時間を計時可能な計時手段と、計時結果を表示器8に表示可能な計時制御手段と、計時手段が所定時間を計時するまでの間に実行されるゲーム結果を監視する監視手段を備えてタイマー演出を実行する場合に、計時手段の計時結果が所定時間となるまでに実行された全てのゲーム結果を監視し、その間に実行された複数のゲームの結果に応じて、所定時間が経過した後に実行されるゲームにおいてステージの切り替えを行うようにしてもよい。このようにすれば、複数のゲームの結果を纏めて判定できるので、ステージアップの可能性も高くなり、興趣の向上とともに遊技者の期待感も向上させることができる。
【0238】
また、主制御基板25及び副制御基板26に、予め定められた時間を計時可能な計時手段と、計時結果を表示器8に表示可能な計時制御手段と、計時手段が所定時間を計時するまでの間に実行されるゲーム結果を監視する監視手段を備えてタイマー演出を実行する場合に、計時手段が所定時間となった時点が、ゲームの実行期間中であった場合には、当該実行中のゲームの結果も監視手段の監視対象とすることが好ましい。
このようにすれば、ゲーム実行中に所定時間が経過しても、そのゲームの結果は、監視手段に対して有効なものとなるので、遊技者の不満感を防止できる。
【0239】
また、スロットマシン1に計時手段を備える場合には、計時の実行をゲームが実行されている間のみに行うようにすれば、ゲーム終了から次のゲームの開始までの間においては計時を中断することができ、遊技者の遊技速度等に計時結果が影響し辛くなるので、技量の低い遊技者や、スロットマシン1の不具合が生じてゲームを開始できなくなった遊技者等が不満感を覚えることを防止できる。
【0240】
また、本実施形態における特定期間を計時手段が計時する所定時間としてもよく、この場合には、所定時間を第1特定抽選期間、第2特定抽選期間、第3特定抽選期間の各々で変化させるようにしてもよい。
【0241】
また、本実施形態では、抽選手段などの各種手段としての動作を主制御基板25が行ったが、副制御基板26がその一部又は全部を行い、副制御基板26が各種手段として動作することもできる。
また、反対に、副制御基板26が実行する動作を、主制御基板25がその一部又は全部を行い、主制御基板25が各種手段として動作することもできる。
【0242】
また、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0243】
1:スロットマシン
3:スタートレバー
5:停止ボタン
8:表示器
25:主制御基板
26:副制御基板
27:リール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13