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特許7215799検査用継手部材及び検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法。
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  • 特許-検査用継手部材及び検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】検査用継手部材及び検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法。
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/28 20060101AFI20230124BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20230124BHJP
   F16L 41/16 20060101ALN20230124BHJP
   F16L 41/02 20060101ALN20230124BHJP
【FI】
G01M3/28 D
E03C1/12 E
F16L41/16
F16L41/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185903
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020056619
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕史
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-024618(JP,A)
【文献】特開2013-155583(JP,A)
【文献】特開2000-080692(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215482(JP,U)
【文献】特開2016-142521(JP,A)
【文献】特開平06-273258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 - 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の途中に配置され、前記配管の流路を形成すると共に、部材を交換することで流路を閉塞し、前記配管の密閉性を試験する検査用継手部材であって、
流体の流路を形成する管本体、前記管本体内部に備えられ上流側及び下流側の前記配管と連通する収納部、前記管本体の側面に設けられた前記収納部と連通する開口部、からなる継手本体と、
前記収納部内に配置可能で、前記配管の流路を閉塞する閉塞部、前記開口部に取り付ける閉塞用蓋部、前記閉塞用蓋部を貫通して前記配管内の流路に連通する操作用流路、からなる閉塞部材と、
前記閉塞部を前記収納部内に配置した状態で前記閉塞用蓋部を前記開口部に取り付けることにより、前記閉塞部が前記管本体の流路を閉塞し、前記閉塞用蓋部が前記開口部を閉塞した状態となる閉塞機構を備えたことを特徴とする検査用継手部材。
【請求項2】
前記検査用継手部材において、前記閉塞部材に替えて、
前記管本体の流路を確保した状態で前記開口部を閉塞する通行用蓋部を有する通行部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査用継手部材。
【請求項3】
前記検査用継手部材において、前記閉塞機構を、
前記閉塞部と前記閉塞用蓋部とを一体に設け、前記収納部または前記閉塞部のいずれか一方、または両方に前記閉塞部を前記収納部に収納する方向に対して傾斜する傾斜面を設け、前記閉塞用蓋部が前記開口部に対して水密的に固定されると、前記傾斜面によって、前記閉塞部を前記収納部に収納する方向の応力を、前記閉塞部が前記配管との連通部分を閉塞する方向への応力に変換する機構により構成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の検査用継手部材。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法であって、
前記配管の検査箇所の開口をすべて閉塞した上で前記配管内に液体を溜めることで前記配管上の漏れの有無を検査すると共に、検査後に前記操作用流路より前記配管内の液体を抜き取ることを特徴とする、検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法。
【請求項5】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法であって、
前記配管の検査箇所の開口をすべて閉塞した上で前記操作用流路より前記配管内に気体を送り込んで高圧とすることで前記配管上の漏れの有無を検査すると共に、検査後に前記操作用流路より前記配管内の気体を排気することを特徴とする、検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体など流体の流路を形成する配管について、配管内部の流体が配管外部に漏れる、という配管施工の不具合の有無の確認を確認するための、検査用継手部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体や気体等の流体を通過させるため、管体や継手部材を組み合わせて配管を行う配管構造が知られている。これらの配管構造は、直線状の管体や屈曲させた管体と、これら管体を接続する継手部材等を接続させて構成される。
上記のように配管は内部を気体や液体など流体が通過するように構成されており、配管内の流体が配管外に漏れることは不具合である。しかし、配管は管体や継手部材を組み合わせ接続させて構成されており、接続部分から接続不良による流体漏れが発生しやすく、また視認しただけでは接続部分が適正に接続できているのか、それとも漏れを生じる不適切な接続なのかを判断することはほぼ不可能である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されたような、配管上に備えられた検査用継手部材を利用して、配管に対し流体の漏れを検査する方法が知られている。
特許文献1に記載の検査用継手部材は、流体である排水を通過させる排水用の配管に対して用いられる検査用継手部材であって、以下に記載する継手本体と閉塞部材とから構成される。
継手本体は、流体の流路を形成する管本体、管本体内部に備えられ上流側及び下流側の配管と連通する、上下に段差部を備えた収納部、管本体の側面に設けられた収納部と連通する開口部、からなる。
閉塞部材は、2枚の円盤と、該円盤の間に配置したネジを利用し伸縮する軸部を備えてなる。
【0004】
上記検査用継手部材は、排水用の配管上に施工されてなり、配管上に流体である排水の漏れの有無を確認する場合には、収納部内の段差部の間に閉塞部材を配置し、ネジの回転を利用して軸部を伸長させる。ネジを回転させ、閉塞部材の軸部を充分に伸長させると、収納部の上流側の配管との連通部分を、閉塞部材の上方の円盤部分が覆い、検査用継手部材内の流路を閉塞する。
また、検査を行う配管上において、他に排水口など開口部分がある場合はそれらも閉塞する。
これらの閉塞作業の完了後、配管の上流側から給水を行い、検査を行う配管内を満水状態とする。
検査用に設定された任意の時間が経過した後、配管内の水位の変化を確認し、水位の降下が規定値未満であれば漏水はない(または許容範囲)であり、規定値以上に水位が降下していた場合は実用に支障が生じる程度の漏水があると判断することができる。
【0005】
特許文献1に記載の発明では、配管上の流路を閉塞した上で、配管の上流側に給水を流し配管内に溜めることで配管の漏水箇所を検査しているが、他の方法として、気体の圧力を利用し配管の漏れを検査する方法もある。
特許文献2に記載した配管の漏れの検査装置による検査方法では、給水用の配管において、検査を行う範囲の配管の開口を閉塞した上で、ポンプなどによって配管内に空気を送り込んで配管内を高圧とし、加圧直後と一定時間経過後との配管内の空気圧を比較することで、配管の漏れの有無を検査する方法が記載されている。この特許文献2の発明では、時間経過に対する空気圧の変化についての基準値を設定して、空気圧の低下が、基準値よりも激しく低下した場合には漏れを生じたものと判定する。
【0006】
【文献】特開2008-285920号公報
【文献】特開平5-79943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の配管の漏れの検査方法について、配管の漏れ検査を行うためには、配管内を流れる流体が気体であれ液体であれ、検査を行う範囲の配管の開口を閉塞する必要がある。
しかし、検査のための配管の閉塞が不適切であると、配管の施工が適切であっても、閉塞部分から漏れが生じ水位や気圧が降下してしまい、検査の結果が誤ったものとなるため、配管の開口部分の閉塞は確実に行わなければならない。しかし、検査のための配管の開口部分の閉塞は、あくまで検査を行うために一時的に閉塞を行うものであって、接着など確実性が高いが開放状態に復帰不可能な方法を採用することは出来ない。
このため、特許文献1では、ネジによって伸縮する軸部を備えた閉塞部材を利用し、ネジを利用した強力な押圧により配管内の流路の閉塞を行っている。
【0008】
特許文献1に記載の発明の場合、ネジを利用した強力な押圧により、閉塞部材は流路の閉塞を確実に行うことができる一方で、その取り付けには手間と困難が伴う。
具体的には、継手本体内部内に閉塞部材を収納した後、狭い継手本体内部でネジを回転させる必要がある。ネジ回転を行うため、ネジを回すための取っ手は継手本体の内径(半径)よりも充分に短くしなければならない。ネジを回すための取っ手を短くすると、その分回転させるために必要な力が大きくなりネジ回転が困難になる。また、この作業は継手本体の側面に設けた開口部から、狭い継手本体内部に手を入れて作業を行わなければならず、この狭い箇所で作業を行うことも、取り付け作業の困難さを増すこととなっていた。
また、検査終了後には、検査に利用した配管内の液体や気体を排出する必要があるが、特許文献1に記載の検査用継手部材の場合、液体を用いて検査を行うと、閉塞部材を取り外した際に液体が開口部から配管外に漏れて周囲を汚してしまう、といった問題があった。また、気体を用いて検査を行うと、閉塞部材を取り外した際に配管内の気体の圧力が開放されて閉塞部材などが吹き飛んでしまう、といった問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、閉塞部材を利用して配管の漏れ検査を行う検査用継手部材について、閉塞部材による配管の閉塞を、容易に行うことができるようにすると共に、検査を行った後、検査後に配管内部の液体や気体の処理を容易にできるようにした、検査用継手部材及び検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、 配管の途中に配置され、前記配管の流路を形成すると共に、部材を交換することで流路を閉塞し、前記配管の密閉性を試験する検査用継手部材であって、流体の流路を形成する管本体、前記管本体内部に備えられ上流側及び下流側の前記配管と連通する収納部、前記管本体の側面に設けられた前記収納部と連通する開口部、からなる継手本体と、前記収納部内に配置可能で、前記配管の流路を閉塞する閉塞部、前記開口部に取り付ける閉塞用蓋部、前記閉塞用蓋部を貫通して前記配管内の流路に連通する操作用流路、からなる閉塞部材と、前記閉塞部を前記収納部内に配置した状態で前記閉塞用蓋部を前記開口部に取り付けることにより、前記閉塞部が前記管本体の流路を閉塞し、前記閉塞用蓋部が前記開口部を閉塞した状態となる閉塞機構を備えたことを特徴とする検査用継手部材である。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、前記検査用継手部材において、前記閉塞部材に替えて、前記管本体の流路を確保した状態で前記開口部を閉塞する通行用蓋部を有する通行部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査用継手部材である。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、前記検査用継手部材において、前記閉塞機構を、
前記閉塞部と前記閉塞用蓋部とを一体に設け、前記収納部または前記閉塞部のいずれか一方、または両方に前記閉塞部を前記収納部に収納する方向に対して傾斜する傾斜面を設け、前記閉塞用蓋部が前記開口部に対して水密的に固定されると、前記傾斜面によって、前記閉塞部を前記収納部に収納する方向の応力を、前記閉塞部が前記配管との連通部分を閉塞する方向への応力に変換する機構により構成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の検査用継手部材である。
【0013】
請求項に記載の本発明は、前記請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法であって、前記配管の検査箇所の開口をすべて閉塞した上で前記配管内に液体を溜めることで前記配管上の漏れの有無を検査すると共に、検査後に前記操作用流路より前記配管内の液体を抜き取ることを特徴とする、検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法である。
【0014】
請求項に記載の本発明は、 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法であって、
前記配管の検査箇所の開口をすべて閉塞した上で前記操作用流路より前記配管内に気体を送り込んで高圧とすることで前記配管上の漏れの有無を検査すると共に、検査後に前記操作用流路より前記配管内の気体を排気することを特徴とする、検査用継手部材を用いた配管の漏れ検査方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明では、継手本体に閉塞部を挿入し、閉塞用蓋部を取り付けるだけで管本体上の流路を閉塞することができ、検査を行うための流路の閉塞を行う作業が大変容易となる。又、閉塞用蓋部に設けた操作用流路を利用し、配管内に操作を行うことができる。
請求項2に記載の本発明では、閉塞部材を用いて漏れの検査を行った後、閉塞部材から通行部材に差し替えることで、配管を通水または通気可能な構成とすることができる。
請求項3に記載の本発明では、閉塞機構の構成を明確にすることができる。
請求項に記載の本発明では、液体を利用した配管の漏れ検査において、操作用流路を利用し、配管内に溜まった液体を簡単に抜き取ることができる。
請求項に記載の本発明では、気体を利用した配管の漏れ検査において、操作用流路を利用し、配管内を加圧/減圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一実施例の検査時の施工状態を示す参考図である。
図2】第一実施例の検査時の部材構成を示す断面図である。
図3】第一実施例の通水時の施工状態を示す参考図である。
図4】第一実施例の通水時の部材構成を示す断面図である。
図5】第一実施例の検査状態を示す、各部を概略とした参考図である。
図6】第二実施例の検査時の施工状態を示す参考図である。
図7】第二実施例の検査時の部材構成を示す断面図である。
図8】第二実施例の通水時の施工状態を示す参考図である。
図9】第二実施例の通水時の部材構成を示す断面図である。
図10】第一実施例の検査状態を示す、各部を概略とした参考図である。
【実施例
【0017】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。図1乃至図5に示した、本発明の第一実施例の検査用継手部材は、液体である水を利用して配管Hの漏れを確認する、排水配管用の検査用継手部材であって、以下に説明する、継手本体1、通行部材5、閉塞部材6、から構成される、尚、以下の実施例の検査用継手部材の記載においては、説明を容易にするため、上流側を「上」、下流側を「下」と記載するが、実際の施工においては水平方向等に配置される場合もある。
継手本体1は、略直線状にして排水の流路を形成する管本体2を備えてなり、該管本体2の中間部分に後述する通行部材5の通行部5a、または閉塞部材6の閉塞部6aを収納する収納部2aを備えてなる。収納部2aは管本体2の上流側端部に設けられた、他の配管Hとの接続部である上流側接続部2c、及び管本体2の下流側端部に設けられた、他の配管Hとの接続部である下流側接続部2dに連通するように構成されてなる。
また、管本体2の側面に、収納部2aに連通する開口部2bを備えてなり、該開口部2bを介して通行部5aまた閉塞部6aを収納部2aの内外に出し入れすることができる。開口部2bには後述する通行用蓋部5cまたは閉塞用蓋部6bと水密的に係合する、被係合部4を備えてなる。
また、本実施例の収納部2aには、開口部2bに連通する溝部分であって、開口部2bに対して側面となる方向に平坦面を備え、また開口部2b側ほど幅広となると共に、上方の面が、開口部2b側ほど上側に向かう傾斜面3aと、下方の面が、開口部2b側ほど下側に向かう傾斜面3bとを備える被ガイド部3を備えてなる。
通行部材5は、検査用継手部材を、通常の排水用配管として使用する場合、すなわち管本体2内において、上流側から下流側に排水が流れるように流路を形成する場合に使用する部材であって、使用時には収納部2a内に配置され、その内部に流路を形成する通行孔5bを備えた通行部5aと、該通行部5aに一体に成型された、開口部2bを閉塞する通行用蓋部5cと、該通行用蓋部5cに回転自在に軸着された、開口部2bにて回転させることで開口部2bの被係合部4と係合し、通行用蓋部5cを開口部2bに水密的に当接した状態で固定する係合部7aを有するロック部材7を備えてなる。
閉塞部材6は、検査用継手部材を、流体である排水の漏れの有無を確認する漏水試験に使用する場合に用いる部材であって、使用時には収納部2a内に配置され、その上面は上流側接続部2cからの流路の開口周縁に当接して上流側接続部2cからの流路を閉塞すると共に、その側面に、上記収納部2aの被ガイド部3と合致する形状のガイド部6eを備える閉塞部6aと、該閉塞部6aに一体に設けられた閉塞用蓋部6b、及び閉塞用蓋部6bを開口部2bに水密的に押圧して固定するための、被係合部4と係合する係合部7aを備えたロック部材7と、を備えてなる。
また、閉塞部材6はその上面から閉塞用蓋部6bにかけて閉塞用蓋部6bより配管H内の流体を排出するための操作用流路6cと、該操作用流路6cの開閉を操作する操作部6dとを備えてなる。
尚、特に詳述しないが、閉塞部材6の閉塞用蓋部6b、通行部材5の通行用蓋部5c、及び閉塞部材6の閉塞部6a上面は、パッキング等を備えてなり、使用時においては、他の部材との接続箇所を水密及び気密的に閉塞する。
【0018】
上記した排水配管用の検査用継手部材において、以下のようにして配管Hに漏れがあるかどうかの検査を行う。
まず、上記した排水配管用の検査用継手部材において、継手本体1の上流側接続部2cおよび下流側接続部2dに排水用の配管Hを接続し、継手本体1の配管Hが完了した状態とする。
この状態において、排水に対する漏れ試験を行う場合、開口部2bより閉塞部材6の閉塞部6aを、閉塞部材6のガイド部6eが収納部2aの被ガイド部3内に合致するように挿入する。
すると、被ガイド部3と、これに合致する形状に構成されたガイド部6eによって、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aを上流側の流路との開口部分に押圧する応力に変換され、上流側の流路を閉塞部6aが覆うこととなる。
具体的には、被ガイド部3の上側の傾斜面3aにより、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aと上流側の流路との開口部分とが押圧される応力に変換される。また、被ガイド部3の下側の傾斜面3bにより、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aを上側に押し上げ、閉塞部6aを上流側の流路との開口部分に押圧する応力に変換される。このようにして、被ガイド部の傾斜面3a、3bにより、上流側の流路を閉塞部6aが覆うこととなる。
即ち、本実施例の検査用継手部材の閉塞機構は、閉塞部6aを収納部2aに収納する方向の応力を、閉塞部6aが配管Hとの連通部分を閉塞する方向への応力に変換する構成の閉塞機構である。
次にロック部材7を用い、開口部2bに閉塞用蓋部6bが水密的に閉塞された状態で開口部2bに閉塞用蓋部6bを固定する。
更に、閉塞部材6の操作部6dに操作を加え、操作用流路6cを閉塞することで、閉塞部6aにより、管本体2内の流路が閉塞される。
また、検査を行う配管H上において、他に排水口Dなど開口部分がある場合はそれらも閉塞する。
これらの閉塞作業の完了後、排水配管の上流側から給水を行い、検査を行う配管H内を満水状態とする。
検査用に設定された任意の時間が経過した後、配管H内の給水の水位の変化を確認し、給水の水位の降下が規定値未満であれば漏水はない、または許容範囲であり、規定値以上に水位が降下していた場合は実用に支障が生じる程度の漏水があると判断できる。
検査終了後、操作用流路6cからの配管Hを、ホースなどを介し下水側または水受け槽等に案内した状態で操作部6dに操作を加え、操作用流路6cを開放することで、検査の際に配管H内に溜まった検査用の給水を排出する。
【0019】
検査用の給水の排出完了後、ロック部材7に操作を加え、開口部2bとロック部材7の係合を解除し、閉塞部材6を継手本体1より取り外す。
検査が完了し、配管Hに漏水の問題が無いものと判断された場合、開口部2bより通行部材5の通行部5aを挿入し、通行用蓋部5cを開口部2bに当接させた上で、ロック部材7を回転させ開口部2bの被係合部4とロック部材7の係合部7aを係合させて、通行用蓋部5cを開口部2bに水密的に当接した状態で固定し、通常の排水用の配管Hとすることで、本実施例の排水用の配管Hとしての検査と施工が完了する。
【0020】
上記実施例においては、閉塞機構により、閉塞用蓋部6bを開口部2bに取り付ける操作が、そのまま管本体2の流路を閉塞する操作となり、流路を閉塞する際に、収納部2a内など継手本体1内で作業を行わなくても管本体2の流路を閉塞することができる。また、操作用流路6cを介して試験に用いた給水を回収することで、床面上等に試験に用いた給水を流してしまい床面上を汚す、といった問題を解消することができる。
【0021】
以下に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。図6乃至図10に示した、本発明の第二実施例の検査用継手部材は、気体である空気を利用して配管Hの漏れを確認する、排水配管用の検査用継手部材であって、以下に説明する、継手本体1、通行部材5、閉塞部材6、から構成される、尚、以下の実施例の検査用継手部材の記載においては、説明を容易にするため、上流側を「上」、下流側を「下」と記載するが、実際の施工においては水平方向等に配置されるなど、必ずしも「上」側が上方に向かって配置されるとは限らない。
継手本体1は、略直線状にして排水の流路を形成する管本体2を備えてなり、該管本体2の中間部分に後述する通行部材5の通行部5a、または閉塞部材6の閉塞部6aを収納する収納部2aを備えてなる。収納部2aは管本体2の上流側端部に設けられた、他の配管Hとの接続部である上流側接続部2c、及び管本体2の下流側端部に設けられた、他の配管Hとの接続部である下流側接続部2dに連通するように構成されてなる。
また、管本体2の側面に、収納部2aに連通する開口部2bを備えてなり、該開口部2bを介して通行部5aまた閉塞部6aを収納部2aの内外に出し入れすることができる。開口部2bには後述する通行用蓋部5cまたは閉塞用蓋部6bと水密的に係合する、被係合部4を備えてなる。
また、本実施例の収納部2aには、開口部2bに連通する溝部分であって、開口部2bに対して側面となる方向に平坦面を備え、また開口部2b側ほど幅広となると共に、上方の面が、開口部2b側ほど上側に向かう傾斜面3aと、下方の面が、開口部2b側ほど下側に向かう傾斜面3bとを備える被ガイド部3を備えてなる。
通行部材5は、検査用継手部材を、通常の排水用配管として使用する場合、すなわち管本体2内において、上流側から下流側に排水が流れるように流路を形成する場合に使用する部材であって、使用時には収納部2a内に配置され、その内部に流路を形成する通行孔5bを備えた通行部5aと、該通行部5aに一体に成型された、開口部2bを閉塞する通行用蓋部5cと、該通行用蓋部5cに回転自在に軸着された、開口部2bにて回転させることで開口部2bの被係合部4と係合し、通行用蓋部5cを開口部2bに水密的に当接した状態で固定する係合部7aを有するロック部材7を備えてなる。
閉塞部材6は、検査用継手部材を、流体である排水の漏れの有無を確認する漏水試験に使用する場合に用いる部材であって、使用時には収納部2a内に配置され、その下面は下流側接続部2dからの流路の開口周縁に当接して下流側接続部2dへの流路を閉塞すると共に、その側面に、上記収納部2aの被ガイド部3と合致する形状のガイド部6eを備える閉塞部6aと、該閉塞部6aに一体に設けられた閉塞用蓋部6b、及び閉塞用蓋部6bを開口部2bに水密的に押圧して固定するための、被係合部4と係合する係合部7aを備えたロック部材7と、を備えてなる。
また、閉塞部材6は、閉塞用蓋部6bを介して配管H内の流体を排出するための操作用流路6cと、該操作用流路6cの開閉を操作する操作部6dとを備えてなる。
尚、特に詳述しないが、閉塞部材6の閉塞用蓋部6b、通行部材5の通行用蓋部5c、及び閉塞部材6の閉塞部6a上面は、パッキング等を備えてなり、使用時においては、他の部材との接続箇所を水密及び気密的に閉塞する。
【0022】
上記した排水配管用の検査用継手部材において、以下のようにして配管Hに漏れがあるかどうかの検査を行う。尚、この漏れの検査に際しては、上記検査用継手部材の他に、操作用流路6cに接続可能で、操作用流路6cを介しポンプにより配管H内に空気を送り込むと共に、操作用流路6cを介し配管H内の空気圧を計測可能な検査装置Tを使用する。
まず、継手本体1の上流側接続部2cおよび下流側接続部2dに排水用の配管Hを接続し、継手本体1の配管Hが完了した状態とする。
この状態において、排水に対する漏れ試験を行う場合、開口部2bより閉塞部材6の閉塞部6aを、閉塞部6aのガイド部6eが収納部2aの被ガイド部3内に合致するように挿入する。
すると、被ガイド部3と、これに合致する形状に構成されたガイド部6eによって、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aを下流側の流路との開口部分に押圧する応力に変換され、下流側の流路を閉塞部6aが覆うこととなる。
具体的には、被ガイド部3の上側の傾斜面3aにより、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aを下側に押し下げ、閉塞部6aを下流側の流路との開口部分に押圧する応力に変換される。
また、被ガイド部3の下側の傾斜面3bにより、閉塞部6aを開口部2bより奥側(管本体2の軸に対して垂直となる方向)へ押圧する応力が、閉塞部6aと下流側の流路との開口部分に押圧される応力に変換される。
このようにして、被ガイド部の傾斜面3a、3bにより、上流側の流路を閉塞部6aが覆うこととなる。
即ち、本実施例の検査用継手部材の閉塞機構は、閉塞部6aを収納部2aに収納する方向の応力を、閉塞部6aが配管Hとの連通部分を閉塞する方向への応力に変換する構成の閉塞機構である。
次にロック部材7を用い、開口部2bに閉塞用蓋部6bが水密的に閉塞された状態で開口部2bに閉塞用蓋部6bを固定する。
更に、閉塞部材6の操作部6dに操作を加え、操作用流路6cを開放状態とした上で、操作用流路6cに検査装置Tを接続する。
また、検査を行う配管H上において、他に排水口Dなど開口部分がある場合はそれらも閉塞し、検査する範囲の配管Hの開口をすべて閉塞する。
これらの閉塞作業の完了後、検査装置Tを操作し、操作用流路6cから空気を送り込み、配管H内を配管H外と比べ充分に高い気圧とする。
検査用に設定された任意の時間が経過した後、検査装置Tにより配管H内の気圧の変化を確認し、気圧の降下が規定値未満であれば漏水等につながる漏れはない、または許容範囲であり、規定値以上に気圧が降下していた場合は実用に支障が生じる程度の漏水等につながる漏れがあると判断できる。
検査終了後、検査装置Tに操作を行い、配管H内の空気を開放し、配管H内の気圧を配管H外と等しい圧力まで低下させる。
【0023】
配管H内の空気の開放の完了後、ロック部材7に操作を加え、開口部2bとロック部材7の係合を解除し、閉塞部材6を継手本体1より取り外す。
検査が完了し、配管Hに漏水の問題が無いものと判断された場合、開口部2bより通行部材5の通行部5aを挿入し、通行用蓋部5cを開口部2bに当接させた上で、ロック部材7を回転させ開口部2bの被係合部4とロック部材7の係合部7aを係合させて、通行用蓋部5cを開口部2bに水密的に当接した状態で固定し、通常の排水用の配管Hとすることで、本実施例の排水用の配管Hとしての検査と施工が完了する。
【0024】
上記実施例においては、閉塞機構により、蓋部材を開口部2bに取り付ける操作が、そのまま管本体2の流路を閉塞する操作となり、流路を閉塞する際に、収納部2a内など継手本体1内で作業を行わなくても管本体2の流路を閉塞することができる。また、操作用流路6cを介して配管H内の空気を排気できるため、検査が完了し、配管H内の空気を開放する際に、閉塞部材6等が飛び出して破損する、といった問題を解消することができる。
【0025】
本発明の実施例は上記のようであるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、発明の主旨を変更しない範囲で自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、閉塞機構として傾斜面3aを備えた被ガイド部3と、被ガイド部3に合致するガイド部6eとを備えてなるが、閉塞機構は上記実施例に限定されるものではなく、例えば閉塞用蓋部6bの、配管H内側となる側に回転に連動して動作する凹凸を設け、この凹凸によって閉塞機構を配管Hの軸方向に移動させて開口に押し当て、閉塞を行うような構成としてもよい。
また、上記実施例では、配管Hは液体である排水を流すための排水配管であったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、気体を通過させるための配管Hであっても構わない。
また、第一実施例の検査用継手を、気体を利用した第二実施例の検査に使用しても良く、逆に、第二実施例の検査用継手を、液体を利用した第一実施例の検査に使用しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 継手本体 2 管本体
2a 収納部 2b 開口部
2c 上流側接続部 2d 下流側接続部
3 被ガイド部 3a 傾斜面
4 被係合部 5 通行部材
5a 通行部 5b 通行孔
5c 通行用蓋部 6 閉塞部材
6a 閉塞部 6b 閉塞用蓋部
6c 操作用流路 6d 操作部
6e ガイド部 7 ロック部材
7a 係合部 D 排水口
H 配管 T 試験装置
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