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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20230124BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230124BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L21/88 J
H01L21/28 301R
H01L21/28 301B
H01L21/302 105A
H01L29/80 H
H01L29/80 L
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019027429
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020136459
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】倉知 俊介
(72)【発明者】
【氏名】駒谷 務
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232513(JP,A)
【文献】特許第6448865(JP,B1)
【文献】特開2002-151478(JP,A)
【文献】特開2006-196764(JP,A)
【文献】特開2013-098274(JP,A)
【文献】特表2020-521329(JP,A)
【文献】特開平07-183313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 21/3065
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
SiC基板の主面上に形成された窒化物半導体層上に絶縁膜を堆積する工程と、
第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極を、前記絶縁膜の前記ソース電極及び前記ドレイン電極に対応する各開口内に形成する工程と、
記窒化物半導体層上における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に位置するゲート電極を、前記絶縁膜の前記ゲート電極に対応する開口内に形成する工程と
記ソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に位置しNi層を含む第1金属膜を、前記絶縁膜の前記第1金属膜に対応する開口内に形成する工程と、
前記絶縁膜上に設けられ、前記ソース電極と前記第1金属膜とに接し、前記ソース電極と前記第1金属膜とを電気的に接続する第2金属膜を形成する工程と、
前記SiC基板の裏面から前記第1金属膜に達する孔を形成する工程と、
前記裏面から前記第1金属膜に達する金属ビアを前記孔内に形成する工程と、
を含
前記ソース電極は、前記第1方向に並ぶ第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第1金属膜は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に形成され、
前記第1金属膜と前記第1及び第2の部分との間には前記絶縁膜が存在する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ソース電極は開口を有し、前記第1金属膜を前記開口内に形成する、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体装置の製造方法であって、
SiC基板の主面上に形成された窒化物半導体層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
Ni層及び前記Ni層上のAu層を含む積層構造を有するゲート電極を、前記窒化物半導体層上における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に形成し、前記ゲート電極と同じ積層構造を有する第1金属膜を、前記ソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に形成する工程と、
前記ソース電極と前記第1金属膜とに接する第2金属膜を形成する工程と、
前記SiC基板の裏面から前記第1金属膜に達する孔を形成する工程と、
前記裏面から前記第1金属膜に達する金属ビアを前記孔内に形成する工程と、
を含み、
前記ソース電極の平面形状はU字状であり、前記第1金属膜を該U字状の内側に形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記孔を形成する工程では、フッ素系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより前記SiC基板をエッチングしたのち、塩素系ガスを用いた反応性イオンエッチングにより前記窒化物半導体層をエッチングする、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記孔を形成する工程では、前記フッ素系ガスに由来するフッ素イオンを前記SiC基板に向けて間欠的に照射する、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記孔を形成する工程では、前記塩素系ガスに由来する塩素イオンを前記窒化物半導体層に向けて間欠的に照射する、請求項またはに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極は積層構造を有し、
前記第1金属膜は前記ゲート電極と同じ積層構造を有し、
前記積層構造は、前記Ni層及び前記Ni層上のAu層を含む構造、または、前記Ni層、前記Ni層上のAu層、及び前記Ni層と前記Au層との間Pd層を含む構造である、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程は、Alを含む多層金属を500℃~600℃の範囲内の温度で合金化する工程を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
SiC基板と、
前記SiC基板の主面上に設けられた窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に設けられた、第1方向に並ぶソース電極及びドレイン電極と、
前記窒化物半導体層上における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、Ni層及び前記Ni層上のAu層を含む積層構造を有するゲート電極と、
前記窒化物半導体層上において前記ソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に設けられ、Ni層を含む第1金属膜と、
前記窒化物半導体層上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられ、前記ソース電極と前記第1金属膜とに接し、前記ソース電極と前記第1金属膜とを電気的に接続する第2金属膜と、
前記SiC基板の孔内に設けられ、前記SiC基板の裏面から前記第1金属膜に達する金属ビアと、
を備え、
前記ソース電極は、前記第1方向に並ぶ第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第1金属膜は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に形成され、
前記第1金属膜と前記第1及び第2の部分との間には前記絶縁膜が存在する、半導体装置。
【請求項10】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極はAlを含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ソース電極は開口を有し、前記第1金属膜は前記開口内に設けられている、請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
SiC基板と、
前記SiC基板の主面上に設けられた窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に設けられた、ソース電極及びドレイン電極と、
前記窒化物半導体層上における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、Ni層及び前記Ni層上のAu層を含む積層構造を有するゲート電極と、
前記窒化物半導体層上において前記ソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に設けられ、前記ゲート電極と同じ積層構造を有する第1金属膜と、
前記ソース電極と前記第1金属膜とに接する第2金属膜と、
前記SiC基板の孔内に設けられ、前記SiC基板の裏面から前記第1金属膜に達する金属ビアと、
を備え、
前記ソース電極の平面形状はU字状であり、前記第1金属膜は該U字状の内側に設けられている、半導体装置。
【請求項13】
前記ソース電極は少なくとも30μmの幅を有する、請求項9~12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置の製造方法が開示されている。この文献に記載された方法は、第1の孔と、第1の孔よりも小さい径を有する第2の孔とを備えるビアホールを、表面側に化合物半導体積層構造を備える半導体基板の裏面側から形成する工程を含む。ビアホール形成工程は、ドライエッチングによって、エッチング底面が曲面となり、エッチング底面を、その中央部が化合物半導体積層構造となり、エッチング底面の外周部を半導体基板とする、半導体基板に第1の孔を形成する工程と、ウェットエッチングによって、エッチング底面の外周部の半導体基板をマスクとして、化合物半導体積層構造に第2の孔を形成する工程とを含む。
【0003】
特許文献2には、半導体装置の構造が開示されている。この文献に記載された半導体装置は、半導体素子と、阻止膜と、第1のビア配線と、第2のビア配線とを備える。半導体素子は、半導体基板の第1の面に形成される。阻止膜は、半導体基板の第1の面に凹状に形成される第1のビアホール内に設けられる。阻止膜は、少なくとも1種類以上の第8族元素を含む。第1のビア配線は、阻止膜に接して半導体素子の電極に接続される。第2のビア配線は、半導体基板の第1の面と対向する第2の面に阻止膜に達し凹状に形成される第2のビアホール内に形成される。第2のビア配線は、阻止膜を介して第1のビア配線と電気的に接続され、第2の面に形成される配線の一部となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-191763号公報
【文献】特開2008-085020号公報
【文献】特開2012-033690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体技術の進展により、半導体素子サイズの縮小と、それに伴う内部構成要素の微細化が求められている。また、トランジスタにおいては、高周波特性の改善(具体的にはソースインダクタンスの低減によるゲインの改善及び安定化)のため、ソースフィンガの直下にビアを形成する、いわゆるアイランドソースビア(ISV)が有効である。しかし、窒化物系の半導体装置の場合、一般的にビアのためのホール形成には塩素系ガスを用いるが、ソース電極の主材料であるAlは、塩素系ガスにより容易にエッチングされる。従って、ソース電極の直下にビアを形成することは難しい。
【0006】
本発明は、ソースフィンガの直下にビアを容易に形成することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体装置の製造方法であって、SiC基板の主面上に形成された窒化物半導体層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、Ni層及びNi層上のAu層を含む積層構造を有するゲート電極を、窒化物半導体層上におけるソース電極とドレイン電極との間に形成し、ゲート電極と同じ積層構造を有する第1金属膜を、ソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に形成する工程と、ソース電極と第1金属膜とに接する第2金属膜を形成する工程と、SiC基板の裏面から第1金属膜に達する孔を形成する工程と、裏面から第1金属膜に達する金属ビアを孔内に形成する工程と、を含む。
【0008】
また、一実施形態に係る半導体装置は、SiC基板と、SiC基板の主面上に設けられた窒化物半導体層と、窒化物半導体層上に設けられた、ソース電極及びドレイン電極と、窒化物半導体層上におけるソース電極とドレイン電極との間に設けられ、Ni層及びNi層上のAu層を含む積層構造を有するゲート電極と、窒化物半導体層上においてソース電極と間隔をあけて隣り合う領域に設けられ、ゲート電極と同じ積層構造を有する第1金属膜と、ソース電極と第1金属膜とに接する第2金属膜と、SiC基板の孔内に設けられ、SiC基板の裏面から第1金属膜に達する金属ビアとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明による半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、ソースフィンガの直下にビアを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタ1Aの構成を示す平面図である。
図2図2は、図1に示されたトランジスタ1Aの一部を拡大して示す平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図5図5は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図6図6は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図7図7は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図8図8は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図9図9は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
図10図10は、一変形例に係るトランジスタ1Bの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法および半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタ1Aの構成を示す平面図である。図2は、図1に示されたトランジスタ1Aの一部を拡大して示す平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図1図3に示すように、トランジスタ1Aは、SiC基板3、窒化物半導体層4、絶縁膜5~8、ゲート電極(ゲートフィンガ)21、ソース電極22、ドレイン電極23、ゲート配線31、ソース配線32、ドレイン配線33、フィールドプレート35、金属膜42、及び金属ビア44を備える。
【0013】
SiC基板3は、平坦な主面3aと、主面3aの反対側に位置する平坦な裏面3bとを有する、SiCからなる基板である。SiC基板3は、窒化物半導体層4のエピタキシャル成長のために用いられる。SiC基板3の厚さは、例えば50~120μmの範囲内であり、一例では100μmである。
【0014】
窒化物半導体層4は、SiC基板3の主面3a上に形成されたエピタキシャル層である。トランジスタ1Aが高電子移動度トランジスタ(HEMT)である場合、窒化物半導体層4は、例えば、主面3aに接するAlNバッファ層と、AlNバッファ層上に設けられたGaNチャネル層と、GaNチャネル層上に設けられたAlGaN(若しくはInAlN)バリア層と、バリア層上に設けられたGaNキャップ層とを有する。場合によってはGaNキャップ層を省略することもできる。AlNバッファ層はアンドープであり、その厚さは例えば10~30nmの範囲内である。GaNチャネル層はアンドープであり、その厚さは例えば0.3~2.0μmの範囲内である。バリア層の厚さは例えば10~30nmの範囲内である。但し、InAlNバリア層の場合、その厚さは20nmよりも小さく設定される。GaNキャップ層はn型であり、その厚さは例えば1.5~5nmである。
【0015】
絶縁膜5~8は、窒化物半導体層4上に位置する絶縁性の積層構造体を構成する。例えば絶縁膜5~8は、例えばSiN、SiO2、SiONといったシリコン化合物からなる。なお、本実施形態では絶縁膜5~8は互いに接しているが、少なくとも1つの層間に他の層が設けられることを妨げない。絶縁膜5~8がSiN層である場合、絶縁膜5の厚さは例えば10~30nmの範囲内であり、絶縁膜6の厚さは例えば30~90nmの範囲内であり、絶縁膜7の厚さは例えば150~500nmの範囲内であり、絶縁膜8の厚さは例えば100~1000nmの範囲内である。
【0016】
ソース電極22は、窒化物半導体層4の活性領域上に複数設けられており、窒化物半導体層4とオーミック接触を成す。図2に示されるように、複数のソース電極22は主面3aに沿う方向D1に沿って並んでおり、各ソース電極22の平面形状は、方向D1と交差する方向D2を長手方向とする長方形状を呈する。また、ソース電極22は、一または複数(図では2つ)の開口22aを有する。2つの開口22aは、例えば方向D2を長手方向とする長方形状若しくは長円形状を呈しており、方向D2に沿って並んでいる。ソース電極22は、例えばTi層、Al層及びTi層(又はTa層、Al層及びTa層)からなる積層構造が合金化されて成り、主にAlを含む。ソース電極22は、短手方向である方向D1において、少なくとも30μmの幅を有する。
【0017】
ドレイン電極23は、窒化物半導体層4の活性領域上に複数設けられており、窒化物半導体層4とオーミック接触を成す。図2に示されるように、複数のドレイン電極23は、方向D1に沿ってソース電極22と交互に並んでおり、各ドレイン電極23の平面形状は、方向D2を長手方向とする長方形状を呈する。ドレイン電極23もまた、例えばTi層、Al層及びTi層(又はTa層、Al層及びTa層)からなる積層構造が合金化されて成り、主にAlを含む。
【0018】
ゲート電極(ゲートフィンガ)21は、窒化物半導体層4の活性領域上において複数設けられている。各ゲート電極21は、方向D2に沿って延びており、ソース電極22とドレイン電極23との間に位置する。これらのゲート電極21は、窒化物半導体層4とショットキ接触を成す。ゲート電極21と窒化物半導体層4との方向D1における接触幅(ゲート長)は、例えば0.5μmである。ゲート電極21は、Ni層と、該Ni層上のAu層とを含む積層構造を有する。一例ではNi層は窒化物半導体層4に接しており、Au層はNi層に接している。或いは、Ni層とAu層との間にPd層が介在してもよい。この場合、Ni層の厚さは例えば50~100nmであり、Pd層の厚さは例えば20~70nmであり、Au層の厚さは例えば100~500nmである。
【0019】
フィールドプレート35は、ゲート電極21に沿って設けられる金属膜である。フィールドプレート35とゲート電極21との間には、絶縁膜7が介在している。フィールドプレート35は、例えばTi層(又はTa層)とAu層との積層構造を有する。Ti層の厚さは例えば3~10nmの範囲内であり、Au層の厚さは例えば100~500nmの範囲内である。
【0020】
金属膜42は、本実施形態における第1金属膜である。金属膜42は、窒化物半導体層4上においてソース電極22と間隔をあけて隣り合う領域に設けられ、ゲート電極21と同じ積層構造を有する。すなわち、ゲート電極21がNi/Auの積層構造を有する場合、金属膜42もまたNi/Auの積層構造を有する。或いは、ゲート電極21がNi/Pd/Auの積層構造を有する場合、金属膜42もまたNi/Pd/Auの積層構造を有する。Ni層、Pd層及びAu層の各厚さもゲート電極21と同じである。
【0021】
本実施形態では、金属膜42は開口22a内に設けられている。金属膜42の平面形状は開口22aの相似形であり、例えば方向D2を長手方向とする長方形状若しくは長円形状である。金属膜42の方向D2における寸法は例えば20~100μmの範囲内であり、方向D1における寸法は例えば10~50μmの範囲内である。金属膜42の外縁とソース電極22の開口22aの内縁との距離は、例えば1~5μmの範囲内である。
【0022】
ゲート配線31は、ゲート電極21の一部であって窒化物半導体層4の不活性領域上に延び出した領域を覆う金属膜である。本実施形態では、複数のゲート配線31が、窒化物半導体層4の活性領域に対し、方向D2の一方側に並んで設けられている。各ゲート配線31は、それぞれ二以上のゲート電極21と接続されてゲートパッドを構成し、トランジスタ1Aの外部配線とボンディングワイヤを介して電気的に接続される。そのため、各ゲート配線31の表面は最表面の保護膜(図示せず)の開口から露出している。各ゲート配線31は、例えばTiW層と、TiW層上のAu層とを含む積層構造を有する。
【0023】
ソース配線32は、本実施形態における第2金属膜であり、対応するソース電極22及び金属膜42を覆っており、該ソース電極22の上面、及び該金属膜42の上面に接している。各ソース配線32は、ゲート配線31と同様の積層構造、例えばTiW層と、TiW層上のAu層とを含む積層構造を有する。各ソース配線32は、例えば方向D2を長手方向とする長方形状を呈している。
【0024】
ドレイン配線33は、金属膜であり、窒化物半導体層4の活性領域上のドレイン電極と重なり、当該ドレイン電極から不活性領域上にわたって設けられている。すなわち、ドレイン配線33は、活性領域上に設けられた複数のフィンガ部33aと、不活性領域上に設けられた複数のパッド部33bとを有する。ドレイン配線33は、ゲート配線31及びソース配線32と同様の積層構造、例えばTiW層と、TiW層上のAu層とを含む積層構造を有する。各フィンガ部33aは、対応するドレイン電極23を覆っており、該ドレイン電極23の上面に接している。各フィンガ部33aは、例えば方向D2を長手方向とする長方形状を呈している。複数のパッド部33bは、窒化物半導体層4の活性領域に対し、方向D2の他方側(ゲート配線31とは反対側)に並んで設けられている。各パッド部33bは、それぞれ二以上のフィンガ部33aと接続され、トランジスタ1Aの外部配線とボンディングワイヤを介して電気的に接続される。そのため、各パッド部33bの表面は最表面の保護膜(図示せず)の開口から露出している。
【0025】
金属ビア44は、SiC基板3及び窒化物半導体層4を貫通する孔11内に設けられた金属膜であり、SiC基板3の裏面3b上から金属膜42に達し、金属膜42に接している。金属ビア44は、裏面3b上に設けられる裏面金属膜45とソース電極22とを、ソース配線32及び金属膜42を介して互いに電気的に接続するために設けられる。グランド電位(基準電位)に接続されたマウント部材上にトランジスタ1Aが実装される際、該マウント部材と裏面3b上の裏面金属膜45とは、半田等の導電性接着材を介して電気的に接続される。これにより、ソース電極22にグランド電位が与えられる。
【0026】
以上に説明した構成を備える本実施形態のトランジスタ1Aを作製する方法について説明する。図4図9は、トランジスタ1Aの作製方法に含まれる各工程を示す断面図である。
【0027】
まず、図4の(a)に示すように、SiC基板3を準備する。SiC基板3の厚さは例えば500μmである。SiC基板3の主面3a上に、窒化物半導体層4をエピタキシャル成長する。窒化物半導体層4の詳細は前述した通りである。続いて、窒化物半導体層4上に絶縁膜5を堆積する。例えば絶縁膜5がSiN等のシリコン化合物からなる場合、絶縁膜5をプラズマCVD法または減圧CVD(LPCVD)法により堆積する。前述したように、絶縁膜5の厚さは例えば10~30nmの範囲内である。
【0028】
続いて、図4の(b)に示すように、ソース電極22およびドレイン電極23に対応する開口を絶縁膜5に形成する。具体的には、絶縁膜5上に当該開口に対応する開口パターンを有するレジストマスクを形成し、該開口パターンを通じて絶縁膜5をエッチングすることにより、開口を形成する。その後、リフトオフ法を用いてソース電極22およびドレイン電極23を開口内に形成する。すなわち、上記レジストマスクを残した状態で、ソース電極22およびドレイン電極23のための各金属層(例えばTi/Al/Ti、またはTa/Al/Ta)を、蒸着などの方法を用いて順に堆積する。各Ti層(またはTa層)の厚さは例えば10~30nmの範囲内であり、Al層の厚さは例えば200~400nmの範囲内である。すなわち、この時点でのソース電極22およびドレイン電極23は、Alを主に含む多層金属である。
【0029】
レジストマスク上に堆積した金属材料をレジストマスクとともに除去したのち、500~600℃の温度で熱処理(アニール)を行い、前工程で堆積した多層金属の合金化を行う。500~600℃の範囲内の温度を維持する時間は、例えば1分である。
【0030】
続いて、図4の(c)に示すように、絶縁膜5、ソース電極22及びドレイン電極23を覆う絶縁膜6を堆積する。例えば絶縁膜6がSiN等のシリコン化合物からなる場合、絶縁膜6をプラズマCVD法により堆積する。
【0031】
続いて、図5の(a)に示すように、ゲート電極21及び金属膜42を形成する。まず、絶縁膜6上にゲート電極21及び金属膜42のための開口を有するフォトレジストを形成する。ゲート電極21のための開口パターンを、ソース電極22とドレイン電極23との間に形成する。また、金属膜42のための開口パターンを、ソース電極22と間隔をあけて隣り合う領域(例えばソース電極22に形成された開口内)に形成する。
【0032】
次に、フォトレジストの開口パターンを介して絶縁膜6及び絶縁膜5を連続してエッチングすることにより、絶縁膜5,6を貫通する開口を形成して窒化物半導体層4を露出する。その後、リフトオフ法を用いて、ゲート電極21および金属膜42を、対応する絶縁膜5,6の各開口内に形成する。すなわち、フォトレジストを残した状態で、ゲート電極21および金属膜42のための各金属層(例えばNi/AuまたはNi/Pd/Au)を、蒸着などにより順に堆積する。前述したように、Ni層の厚さは例えば50~100nmの範囲内であり、Pd層の厚さは例えば20~70nmの範囲内であり、Au層の厚さは例えば100~500nmの範囲内である。その後、フォトレジスト上に堆積した金属材料をフォトレジストとともに除去する。
【0033】
続いて、図5の(b)に示すように、絶縁膜6、ゲート電極21及び金属膜42を覆う絶縁膜7を堆積する。例えば絶縁膜7がSiN等のシリコン化合物からなる場合、絶縁膜7をプラズマCVD法により堆積する。
【0034】
続いて、図5の(c)に示すように、ゲート電極21に沿ってフィールドプレート35を形成する。この工程では、フィールドプレート35を例えばリフトオフ法を用いて形成する。すなわち、フィールドプレート35の平面形状に対応する開口パターンを有するレジストマスクを形成し、フィールドプレート35のための各金属層(例えばTi/Au)を、蒸着などの方法を用いて順に堆積する。その後、レジストマスク上に堆積した金属材料をレジストマスクとともに除去する。
【0035】
続いて、図6の(a)に示すように、絶縁膜7及びフィールドプレート35を覆う絶縁膜8を堆積する。例えば絶縁膜8がSiN等のシリコン化合物からなる場合、絶縁膜8をプラズマCVD法により堆積する。
【0036】
続いて、図6の(b)に示すように、金属膜42上の絶縁膜7,8をエッチングにより除去して開口を形成し、金属膜42を露出させる。同時に、ソース電極22およびドレイン電極23上の絶縁膜6,7,8をエッチングにより除去して開口を形成し、ソース電極22およびドレイン電極23をそれぞれ露出させる。また、同時に、ゲート配線31と、ドレイン配線33のパッド部33bとにそれぞれ対応する領域の絶縁膜5~8をエッチングにより除去して開口を形成し、窒化物半導体層4を露出させる。
【0037】
続いて、図6の(c)に示すように、ゲート配線31、ソース配線32、及びドレイン配線33を並行して同時に形成する。具体的には、絶縁膜8、及び絶縁膜5~8に形成された開口から露出した金属膜42、ソース電極22、ドレイン電極23、及び窒化物半導体層4を覆うシード金属層(TiW/Au)をスパッタ法により形成する。そして、ゲート配線31、ソース配線32、及びドレイン配線33を形成する領域に開口を有するレジストマスクをシード金属層上に形成する。その後、めっき処理を行い、Au層をレジストマスクの開口内に形成する。このとき、Au層の厚さは例えば5μmである。めっき処理の後、レジストマスクを除去する。
【0038】
続いて、主面3a上の全面に保護膜(パシべーション膜)を形成し、ゲート配線31上及びドレイン配線33のパッド部33b上に開口を形成して、ゲート配線31及びパッド部33bを露出させる。以上により、主面3a側のプロセスが完了する。
【0039】
続いて、図7の(a)に示すように、主面3a上に保護用のレジスト51をスピンコートにより形成し、該レジスト51によって主面3a上の全ての構成物を覆う。次に、図7の(b)に示すように、レジスト51に支持基板52を貼り付ける。支持基板52は例えばガラス板である。続いて、SiC基板3の裏面3bの研磨を行い、SiC基板3を薄化する。このとき、例えば厚さ500μmのSiC基板3を100μmまで薄くする。
【0040】
続いて、図7の(c)に示すように、SiC基板3の裏面3b上及び側面上に、シード金属膜53(例えばTiW/Au)を例えばスパッタ法により形成する。そして、図8の(a)に示すように、金属膜42と対向する位置にレジストパターン55を形成したのち、Niのめっき処理を行うことによりNiマスク54を形成する。その後、図8の(b)に示すように、レジストパターン55を除去し、露出したシード金属膜53をエッチングして除去する。これにより、金属膜42と対向する裏面3bの領域が、Niマスク54の開口を通じて露出する。なお、シード金属膜53がTiW/Auからなる場合、フッ素系ガスによる反応性イオンエッチング(RIE)によりシード金属膜53を容易に除去できる。
【0041】
続いて、図8の(c)に示すように、Niマスク54の開口を介して、SiC基板3及び窒化物半導体層4のエッチングを行うことにより、SiC基板3及び窒化物半導体層4を貫通する孔11を形成する。この孔11は、SiC基板3の裏面3bから金属膜42に達する。これにより、孔11を通じて金属膜42が裏面3b側に露出する。
【0042】
この工程では、間欠的にエッチングを行う、いわゆるパルスエッチングにより孔11を形成する。エッチング方法は例えばRIEである。具体的には、まずフッ素系ガスを用いたRIEによりSiC基板3をエッチングしたのち、反応性ガスを変更し、塩素系ガスを用いたRIEにより窒化物半導体層4をエッチングする。そして、SiC基板3をエッチングする際には、フッ素系ガスに由来するフッ素イオンをSiC基板3に向けて間欠的に照射する。また、窒化物半導体層4をエッチングする際には、塩素系ガスに由来する塩素イオンを窒化物半導体層4に向けて間欠的に照射する。なお、窒化物半導体層4をエッチングする際、SiC基板3から連続してフッ素系ガスによりエッチングを行い、そのスパッタリング効果によって窒化物半導体層4をエッチングしてもよい。その場合においても、フッ素系ガスに由来するフッ素イオンを窒化物半導体層4に向けて間欠的に照射するとよい。
【0043】
金属膜42はNi層及びNi層上のAu層を含んでおり、窒化物半導体層4のエッチングが進行すると先ずNi層が露出する。このとき、Ni層は塩素系ガスによって僅かにエッチングされるが、塩素系ガスによるNiのエッチング速度は、塩素系ガスによる窒化物半導体のエッチング速度よりも格段に小さい。故に、金属膜42においてエッチングを停止することができる。なお、スパッタ効果によりNi層が除去されたとしても、Ni層よりも格段に厚いAu層がNi層上に設けられているので、塩素系ガスによるエッチングはAu層において確実に停止する。
【0044】
ここで、上記のエッチング工程では、SiC基板3を全てエッチングした段階でNiマスク54を除去し、次いで塩素系ガスにより窒化物半導体層4をエッチングしてもよい。Niマスク54は次の工程までに除去される必要があるが、孔11を形成した直後では、孔11内において金属膜42のNi層が露出している。その状態でNiマスク54の除去工程を実施すると、金属膜42のNi層も同時に除去されることとなる。故に、金属膜42のNi層が露出する前、すなわちSiC基板3のエッチングが終了後且つ窒化物半導体層4のエッチング開始前に、Niマスク54を除去する。なお、Niマスク54は例えば希硝酸を用いて除去される。
【0045】
続いて、図9の(a)に示すように、SiC基板3の裏面3b上及び孔11の内面上(露出した金属膜42上を含む)に、シード金属膜56(例えばTiW/Au)を例えばスパッタ法により形成する。そして、図9の(b)に示すように、スクライブラインと重なる領域にレジストパターン57を形成する。その後、レジストパターン57から露出したシード金属膜56に対してめっき処理を行うことにより、裏面金属膜45を裏面3b上に形成し、裏面3bから金属膜42に達する金属ビア44を孔11内に形成する。その後、図9の(c)に示すように、レジストパターン57を除去し、露出したシード金属膜56をエッチングして除去する。
【0046】
最後に、保護用のレジスト51を除去してSiC基板3の主面3a側の構成物と支持基板52とを分離する。取り出されたSiC基板3及び窒化物半導体層4を含む基板生産物を洗浄したのち、スクライブラインに沿ってダイシングを行い、個々のチップを相互に分離する。以上の工程を経て、本実施形態のトランジスタ1Aが完成する。
【0047】
以上に説明した本実施形態のトランジスタ1A及びその製造方法によって得られる効果について説明する。本実施形態では、ソース電極22と間隔をあけて隣り合う領域に金属膜42を形成する。金属膜42は、Ni層及びNi層上のAu層を含む積層構造を有する。そして、この金属膜42とソース電極22とがソース配線32を介して接続し、SiC基板3の裏面3bから延びる金属ビア44が金属膜42に接する。これにより、ソースフィンガ(ソース配線32)の直下に金属ビア44を実現することができ、高周波特性の改善(具体的にはソースインダクタンスの低減によるゲインの改善及び安定化)が可能となる。
【0048】
また、塩素系ガスを用いて金属ビア44のための孔11を窒化物半導体層4に形成する際、金属膜42のNi層は塩素系ガスに対して高いエッチング耐性を有するので、金属膜42をエッチング停止膜として利用することができる。従って、ソースフィンガ(ソース配線32)の直下に孔11を容易に形成することができる。すなわち、金属ビア44を容易に形成することができる。
【0049】
更に、本実施形態では、金属膜42がゲート電極21と同じ積層構造を有し、ゲート電極21と金属膜42とを同時に形成する。この場合、金属膜42を形成する為の工程を追加する必要が無く、工程数を削減することができる。
【0050】
本実施形態のように、孔11を形成する工程では、フッ素系ガスを用いたRIEによりSiC基板3をエッチングしたのち、塩素系ガスを用いたRIEにより窒化物半導体層4をエッチングしてもよい。この場合、SiC基板3及び窒化物半導体層4のそれぞれを容易にエッチングすることができる。また、この場合、フッ素系ガスに由来するフッ素イオンをSiC基板3に向けて間欠的に照射してもよい。同様に、塩素系ガスに由来する塩素イオンを窒化物半導体層4に向けて間欠的に照射してもよい。
【0051】
近年、トランジスタ1Aの小型化に伴い、金属ビア44にも微細化が求められている。金属ビア44の微細化の為には孔11の微細化が必要となるが、孔11の内径が小さくなるほどアスペクト比が大きくなる。孔11のアスペクト比が大きくなると、エッチングの際に分解・再生成した分子やイオンが孔11内から排出されにくくなる。従って、エッチング種が孔11内に入り込みにくくなり、エッチングレートが大きく低下する。また、窒化物半導体といった広いバンドギャップを有する半導体に対してエッチングを施す際には、化学的エッチングだけでなく、物理的エッチングの要素が必要となる。従って、エッチングの際に高いパワーが必要となり、入射イオンの影響によって孔11の底部周辺が帯電してしまう。孔11の底部周辺が帯電すると、物理的エッチングの作用が弱まり、エッチングレートが大きく低下する。このような傾向は、孔11のアスペクト比が大きいほど顕著である。
【0052】
本実施形態のように、フッ素系ガスに由来するフッ素イオン、及び塩素系ガスに由来する塩素イオンをそれぞれSiC基板3及び窒化物半導体層4に向けて間欠的に照射する、いわゆるパルスエッチング法を用いることによって、エッチングの際に分解・再生成した分子やイオンが孔11内から排出され易くなり、また、孔11の底部周辺の帯電を緩和できる。従って、エッチングレートの低下を抑制して、アスペクト比が大きい孔11を容易に形成することができる。
【0053】
本実施形態のように、金属膜42をソース電極22の開口22a内に形成してもよい。この場合、ソース電極22の一対の側面それぞれをゲート電極21と対向させることができ、各電極を効率よく配置してトランジスタ1Aを小型化することができる。
【0054】
本実施形態のように、ゲート電極21及び金属膜42の積層構造は、Ni層とAu層との間にPd層を含んでもよい。この場合、Ni層とAu層との密着性が増し、ゲート電極21及び金属膜42をより強固に形成することができる。
【0055】
本実施形態のように、ソース電極22及びドレイン電極23を形成する工程は、Alを主に含む多層金属を500℃~600℃の範囲内の温度で合金化する工程を含んでもよい。仮に、Alを主に含むソース電極22に向けて孔11を形成した場合、ソース電極22は塩素系ガスによって容易にエッチングされてしまう。塩素系ガスに対するAl及び窒化物半導体のエッチング速度は互いにほぼ同程度だからである。従って、Alを主に含むソース電極22の直下に孔11を形成することは難しい。本実施形態では、金属膜42に向けて孔11を形成するので、このような問題を回避し、孔11を容易に形成することができる。
【0056】
(変形例)
ソース電極22は、金属膜42と間隔をあけて隣り合ってさえいれば、どのような平面形状を有してもよい。図10は、上記実施形態の一変形例に係るトランジスタ1Bの拡大平面図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、ソース電極の形状である。上記実施形態のソース電極22は一又は複数の開口22aを有するが、本変形例のソース電極24は、方向D2における一端側が解放されたU字状といった平面形状を有する。そして、一又は複数の金属膜42は、該U字状の内側に設けられている。トランジスタ1Bを作製する際には、ソース電極24をU字状に形成した後、一又は複数の金属膜42を、該U字状の内側に形成する。このような態様であっても、上記実施形態の効果を同様に得ることができる。
【0057】
本発明による半導体装置の製造方法および半導体装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では孔11をパルスエッチングにより形成しているが、孔11のアスペクト比が小さい場合等には、フッ素系ガスに由来するフッ素イオン、及び塩素系ガスに由来する塩素イオンをそれぞれSiC基板及び窒化物半導体層に向けて連続的に照射してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B…トランジスタ、3…SiC基板、3a…主面、3b…裏面、4…窒化物半導体層、5~8…絶縁膜、11…孔、21…ゲート電極、22,24…ソース電極、22a…開口、23…ドレイン電極、31…ゲート配線、32…ソース配線、33…ドレイン配線、33a…フィンガ部、33b…パッド部、35…フィールドプレート、42…金属膜、44…金属ビア、45…裏面金属膜、51…レジスト、52…支持基板、53…シード金属膜、54…Niマスク、55…レジストパターン、56…シード金属膜、57…レジストパターン、D1,D2…方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10