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  • 特許-噴霧用組成物および噴霧製品 図1
  • 特許-噴霧用組成物および噴霧製品 図2
  • 特許-噴霧用組成物および噴霧製品 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】噴霧用組成物および噴霧製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20230124BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230124BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/02
A61K8/34
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018141492
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020015703
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 紀宏
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0101609(US,A1)
【文献】特表2014-523928(JP,A)
【文献】特開2012-162497(JP,A)
【文献】特表2017-513711(JP,A)
【文献】特開2017-206286(JP,A)
【文献】特開2016-033121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水とアルコールとハイドロフルオロオレフィンとを含み、均一相を形成する原液と、圧縮ガスとからなり、
前記ハイドロフルオロオレフィンの沸点は、5~30℃である、噴霧用組成物(ただし、沸点が-30~-5℃であるハイドロフルオロオレフィンが含まれる場合を除く)
【請求項2】
前記水の含有量は、原液中、5~45質量%である、請求項1記載の噴霧用組成物。
【請求項3】
前記アルコールの含有量は、原液中、25~90質量%である、請求項1または2記載の噴霧用組成物。
【請求項4】
前記アルコールの含有量は、原液中、35~90質量%である、請求項3記載の噴霧用組成物。
【請求項5】
前記ハイドロフルオロオレフィンは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである、請求項1~のいずれか1項に記載の噴霧用組成物。
【請求項6】
前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量は、原液中、5~70質量%である、請求項1~のいずれか1項に記載の噴霧用組成物。
【請求項7】
水とアルコールとハイドロフルオロオレフィンとを含み、均一相を形成する原液と、圧縮ガスとからなり、
前記ハイドロフルオロオレフィンの沸点は、5~30℃であり、
前記アルコールの含有量は、原液中、35~90質量%である、噴霧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧用組成物および噴霧製品に関する。より詳細には、本発明は、液化ガス(35℃において圧力が0.2MPaを超えるもの)を使用していないにも関わらず、適度な冷感が持続して得られる噴霧用組成物および噴霧製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、適用箇所に噴霧することにより、冷感を得るための噴霧製品が開発されている。特許文献1には、沸点が5~30℃の第1のハイドロフルオロオレフィンと沸点が-30~-5℃の第2のハイドロフルオロオレフィンとを含むエアゾール組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-33121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエアゾール組成物は、噴霧された内容物が氷結物を形成し、優れた冷却効果を発揮する。しかしながら、用途によっては、特許文献1に記載のエアゾール組成物が発揮するような強い冷却効果ではなく、幾分マイルドな冷却効果が求められる場合がある。また、特許文献1に記載のエアゾール組成物は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン以外に、液化ガスとして沸点が-30~-5℃であるハイドロフルオロオレフィンが併用されている。そのため、エアゾール組成物は、温度上昇に伴い圧力が高くなりやすい。
【0005】
本発明は、このような従来技術とは異なり、液化ガス(35℃において圧力が0.2MPaを超えるもの)を使用していないにも関わらず、強すぎない適度な冷感が持続して得られる噴霧用組成物および噴霧製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)水とアルコールとハイドロフルオロオレフィンとを含み、均一相を形成する原液と、圧縮ガスとからなり、前記ハイドロフルオロオレフィンの沸点は、5~30℃である、噴霧用組成物。
【0008】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、液化ガス(35℃において圧力が0.2MPaを超えるもの)を使用していないにも関わらず、特定沸点のハイドロフルオロオレフィンを水とアルコールと共に配合して均一相を形成することで適用箇所において気化しやすく、優れた冷却効果が得られる。また、噴霧用組成物は、温度上昇に伴う圧力上昇が小さく安全性が優れる。
【0009】
(2)前記水の含有量は、原液中、5~45質量%である、(1)記載の噴霧用組成物。
【0010】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、適度な冷感が持続しやすい。
【0011】
(3)前記アルコールの含有量は、原液中、25~90質量%である、(1)または(2)記載の噴霧用組成物。
【0012】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、均一相を形成しやすい。
【0013】
(4)前記ハイドロフルオロオレフィンは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである、(1)~(3)のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【0014】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、適用箇所(たとえば皮膚の表面)において気化しやすく、適度な冷感が得られやすく、かつ、持続しやすい。
【0015】
(5)前記ハイドロフルオロオレフィンの含有量は、原液中、5~70質量%である、(1)~(4)のいずれかに記載の噴霧用組成物。
【0016】
このような構成によれば、噴霧用組成物は、適度な冷感が長時間に渡って得られやすい。また、噴霧された内容物は、乾燥性が優れ、適用箇所において、垂れ落ちにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、強すぎない適度な冷感が持続して得られる噴霧用組成物および噴霧製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態の噴霧製品の模式的な断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態の噴霧製品の拡大された断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態の噴霧製品の拡大された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<噴霧用組成物>
本発明の一実施形態の噴霧用組成物は、原液と圧縮ガスとからなる。原液は、水とアルコールとハイドロフルオロオレフィンとを含み、均一相を形成する。ハイドロフルオロオレフィンの沸点は、5~30℃である。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
(原液)
原液は、水とアルコールとハイドロフルオロオレフィンとを含む。
【0021】
・水
水は、噴霧用組成物の乾燥性を調整し、冷却効果を持続させる等の目的で配合される。
【0022】
水は特に限定されない。一例を挙げると、水は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等である。
【0023】
水の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、水は、原液中、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、水は、原液中、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、適度な冷却効果を長時間にわたり持続させることができる。また、噴霧用組成物は、分離しにくく、均一相が維持されやすい。
【0024】
・アルコール
アルコールは、噴霧用組成物を均一な組成にする等の目的で配合される。
【0025】
アルコールは特に限定されない。一例を挙げると、アルコールは、エタノール、イソプロパノール等の炭素数が2~3個の1価アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコールである。
【0026】
アルコールの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、アルコールの含有量は、原液中、25質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。また、アルコールの含有量は、原液中、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、均一相を形成しやすく、かつ、温度上昇に伴う圧力上昇が小さく安全性が高い。
【0027】
・ハイドロフルオロオレフィン
ハイドロフルオロオレフィンは、強すぎない適度な冷感を付与したり、噴霧用組成物の乾燥性を調整したり、適用箇所における液ダレを防止する等のために配合される。
【0028】
ハイドロフルオロオレフィンは沸点が5~30℃であり、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(沸点19℃)であることが好ましい。このようなハイドロフルオロオレフィンが使用され、原液が均一相を形成し、これを噴霧することにより、適用箇所(たとえば皮膚)に付着してから揮発しやすくなり、強すぎない適度な冷感が得られやすい。ハイドロフルオロオレフィンの沸点が5℃未満である場合、噴霧用組成物は、冷却効果が強くなりすぎたり、冷感が持続しにくい傾向がある。また、噴霧用組成物は、温度上昇に伴い圧力上昇が大きくなる傾向がある。一方、ハイドロフルオロオレフィンの沸点が30℃を超える場合、噴霧用組成物は、冷却効果が不充分になりやすい。
【0029】
沸点が5~30℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、沸点が5~30℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、原液中、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、沸点が5~30℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量は、70質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましい。沸点が5~30℃のハイドロフルオロオレフィンの含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、均一相を形成しやすく、分離しにくい。また、噴霧用組成物は、適度な冷感が得られやすく、適用箇所において乾燥性がよい。
【0030】
・任意成分
原液は、上記水、ハイドロフルオロオレフィン、アルコールのほかに、適宜、有効成分、界面活性剤、水溶性高分子、油剤、パウダー等の任意成分を含んでもよい。
【0031】
有効成分は、製品の用途や目的などに応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料;l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;N,N-ジエチル-m-トルアミド(ディート)、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、p-メンタン-3,8-ジオール、3-[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボン酸1-メチルプロピルなどの害虫忌避剤;クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤等である。
【0032】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、有効成分を配合することによる効果が得られやすく、かつ、噴霧用組成物は、分離しにくい。
【0033】
界面活性剤は、帯電防止効果、トリートメント効果、洗浄効果等を得るために好適に配合される。
【0034】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、ラウリルリン酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアルキルリン酸塩、POEラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、POEラウリルエーテル酢酸カリウム、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸カリウム、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤;N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN-アシルグリシン塩、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミンなどのN-アシルアラニン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアシルアラニン塩などのアミノ酸型アニオン性界面活性剤;POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、トリイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN-オキシド、オレイルジメチルアミンN-オキシドなどのアミンオキシド型などの両性界面活性剤等である。界面活性剤は併用されてもよい。
【0035】
界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、所望する効果が得られやすく、かつ、べたつきにくく使用感がよい。
【0036】
水溶性高分子は、噴霧される噴霧用組成物の粒子径を大きくして使用者が噴霧粒子を吸入しないようにしたり、適用箇所に付着しやすくしたり、冷感の持続性を調整する等の目的で好適に配合される。
【0037】
水溶性高分子は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子は、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム4)、塩化ジメチルジアクリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリオクタニウム7)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム10)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム22)、塩化-O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリオクタニウム24)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム39)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液(ポリクオタニウム51)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール(ポリクオタニウム52)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム61)、メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ナトリウム(ポリクオタニウム65)などのカチオン性ポリマー;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガムなどのガム質;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー等である。
【0038】
水溶性高分子が配合される場合、水溶性高分子の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水溶性高分子の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、水溶性高分子の含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。水溶性高分子の含有量が上記範囲内であることにより、噴霧用組成物は、水溶性高分子を配合することによる効果が得られやすく、かつ、原液の粘度が高くなり過ぎず、噴霧しやすい。
【0039】
油剤は、噴霧された噴霧用組成物の肌触りを良くしたり、櫛通りをよくする等の目的で好適に配合される。
【0040】
油剤は特に限定されない。一例を挙げると、油剤は、ジメチコン、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;流動パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素油;ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ-2-エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロシキシステアリン酸エチルヘキシルなどのエステル油;オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂;イソステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸;オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール等である。
【0041】
油剤が配合される場合、油剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、油剤の含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、油剤の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。油剤の含有量が上記範囲内であることにより、油剤を配合することによる効果が得られやすい。また、噴霧用組成物は、乾燥性が低下しにくく、べたつきを生じにくい。
【0042】
パウダーは、サラサラ感を付与するなど、使用感を向上させるために好適に配合される。
【0043】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0044】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、原液中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が上記範囲内であることにより、パウダーを配合することによる効果が得られやすく、かつ、噴霧用組成物は、吐出される際に、吐出通路において詰まりを生じにくい。
【0045】
原液の調製方法は特に限定されない。原液は、従来公知の方法により調製することができる。たとえば、原液は、任意成分を溶解性に応じて水やアルコールに添加して水性基材を調製し、これにハイドロフルオロオレフィンを添加して均一相を形成することにより調製され得る。
【0046】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは、原液を加圧して外部に噴霧する噴射剤として配合される。
【0047】
圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、圧縮ガスは、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等である。
【0048】
なお、本実施形態の噴霧用組成物は、上記圧縮ガスを噴射剤として含み、液化石油ガス等の液化ガスは含まない。このように、噴霧用組成物は、液化石油ガス等の液化ガス(35℃において圧力が0.2MPaを超えるもの)を使用していないにも関わらず、上記した水、アルコール、ハイドロフルオロオレフィンが配合されて均一相を形成し、噴霧されることにより、皮膚などに付着してから揮発しやすく、強すぎない適度な冷感を適用箇所に付与することができる。
【0049】
圧縮ガスは、25℃における容器内の圧力が0.2MPa以上となるよう充填されることが好ましく、0.3MPa以上となるよう充填されることがより好ましい。また、圧縮ガスは、25℃における容器内の圧力が0.8MPa以下となるよう充填されることが好ましく、0.7MPa以下となるよう充填されることがより好ましい。圧力が上記範囲内になるよう圧縮ガスが充填されることにより、噴霧用組成物は、適量が噴霧されやすい。
【0050】
噴霧用組成物全体の説明に戻り、噴霧用組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、噴霧用組成物は、上記原液を容器本体内に充填し、容器本体にエアゾールバルブを取り付けて密封し、エアゾールバルブから圧縮ガスを充填することにより製造し得る。
【0051】
以上、本実施形態によれば、噴霧用組成物は、液化ガス(35℃において圧力が0.2MPaを超えるもの)を使用していないにも関わらず、優れた冷却効果が得られる。また、噴霧用組成物は、温度上昇に伴う圧力上昇が小さく安全性が優れる。
【0052】
<噴霧製品>
本発明の一実施形態の噴霧製品について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の噴霧製品1の模式的な断面図である。図2は、本実施形態の噴霧製品1の拡大された断面図である。図1および図2に示される噴霧製品1は、吐出動作が行われている状態(吐出状態)である。本発明の一実施形態の噴霧製品は、上記した噴霧用組成物が充填され、圧縮ガスにより原液を加圧して吐出する、噴霧製品である。なお、本発明の噴霧製品は、圧縮ガスにより原液を加圧して吐出することのできる構成を備えていればよい。本実施形態で例示する噴霧製品1は、外部容器5と、外部容器5に収容された内部容器6とからなる合成樹脂製の二重ボトル(容器本体2)と、二重ボトルを封止するためのバルブ3とを備える。バルブ3のステム7には、吐出部材4が取り付けられている。内部容器6内(第2収容空間S2)には、原液Cが充填されている。外部容器5と内部容器6の間の空間(第1収容空間S1)には、圧縮ガスが充填されている。以下、それぞれについて説明する。
【0053】
(容器本体2)
容器本体2は、外部容器5と、外部容器5に収容された内部容器6とからなる合成樹脂製の二重ボトルである。
【0054】
・外部容器5
外部容器5は、合成樹脂製の容器である。外部容器5は、耐圧性を有する有底筒状であり、底部と、円筒状の胴部と、胴部の上端からテーパー状に縮径する肩部51と、その上端から延びる円筒状の首部52とから構成されている。首部52の外周には、後述するカバーキャップ31aを取り付けるためのネジが形成されている。
【0055】
外部容器5は、合成樹脂製であることが好ましい。一例を挙げると、合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン等である。
【0056】
・内部容器6
内部容器6は、合成樹脂製の容器であり、外部容器5に収容される。本実施形態の噴霧製品1は、内部容器6と外部容器5との間の空間(第1収容空間S1)に圧縮ガスが充填され、内部容器6内の空間(第2収容空間S2)に原液が充填される。
【0057】
内部容器6は、底部と、円筒状の胴部と、胴部の上端からテーパー状に縮径する肩部と、その上端から延びる円筒状の首部と、首部の上端から径方向の外側に延びるフランジ部61とから構成されている。また、内部容器6には、フランジ部61の下面から、首部と肩部の境界にかけて、第1収容空間S1と外部とを連通するための溝62が形成されている。溝62は、周方向に複数本形成されており、噴霧製品1を使用し終えた後に、圧縮ガスを外部に吐出するための吐出経路を構成する。内部容器6の首部の上端には、後述するバルブ3が取り付けられる。
【0058】
内部容器6は、合成樹脂製であることが好ましい。一例を挙げると、合成樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン等である。これらの中でも、外部容器5を構成する合成樹脂は、外部容器と同時にブロー成型しやすいという点から、外部容器と同じ材質であることが好ましい。また、外部容器5と内部容器6とは異なる材質であってもよく、その場合は樹脂の熱収縮率の違いからブロー成型後に内部容器6を外部容器5から剥離しやすく、第1収容空間S1を形成しやすい。また、外部容器5と内部容器6は、先にブロー成型した外部容器5に内部容器6のプリフォームを挿入し、内部容器5を外部容器6内でブロー成形してもよい。
【0059】
(バルブ3)
バルブ3は、外部容器5および内部容器6の開口を閉止して、外部容器5および内部容器6を密封すると共に、第2収容空間S2と外部の連通/遮断するための部材である。バルブ3は、ステム7を収容し、内部容器6の開口に装着されるバルブ本体32と、バルブ本体32を覆い、外部容器5および内部容器6の開口を閉止するよう固着されるカバーキャップ31aとを主に備える。
【0060】
カバーキャップ31aは、バルブ3を外部容器5および内部容器6に取り付けるための部材である。カバーキャップ31aは、バルブ本体部32を覆うキャップ本体33と、キャップ本体33の外周縁において下方に延設された略円筒状の縁部34とを有する。キャップ本体33は、中心に後述するステム7が挿通される挿通孔が形成されている。縁部34の内面には、外部容器5の首部52の外周面に形成されたネジと螺合するネジが形成されている。
【0061】
バルブ本体部32は、ハウジング35と、外部容器5内の第1収容空間S1と外部を連通する第1ステム孔71aおよび内部容器6内の第2収容空間S2と外部を連通する第2ステム孔71bが形成されたステム7と、第1ステム孔71aの周囲に取り付けられ、第1ステム孔71aを閉止するための第1ステムラバー36aと、第2ステム孔71bの周囲に取り付けられ、第2ステム孔71bを閉止するための第2ステムラバー36bとを主に備える。
【0062】
ハウジング35は、ステム7が収容される部材である。ハウジング35は、上部が開口した略円筒状の筒部351と、筒部351の上端から径方向の外側に延設されたフランジ部352を主に備える。筒部351の内底面には、ステム7を上方向へ付勢する樹脂製の弾性部材37が形成されている。フランジ部352は、円盤状の天面部と、天面部の上面から上方に延設された上面側延設部353と、下面から下方に延設された下面側延設部354とを備える。フランジ部352の天面部には、第1収容空間S1から上面側延設部353内に連通するための通路(排出通路38)が形成されている。排出通路38は、使用を終えた噴霧製品1から圧縮ガスを排出するための通路である。下面側延設部354は、略円筒状の部位である。下面側延設部354の外周面にはOリングを保持する環状の保持溝が形成されており、Oリングは保持溝と内部容器6の内周面との間で圧縮されてシールしている。
【0063】
ステム7は、略円筒状の部位であり、中央近傍から上部は二重円筒状である。ステム7は、排出される圧縮ガスが通過する第1ステム内通路72aと、吐出時にハウジング35内に取り込まれた原液Cが通過する第2ステム内通路72bとが形成されている。ステム7の上端は、二重円筒状であり、ステム内筒部73aと、ステム内筒部73aを囲むステム外筒部73bとからなる。ステム内筒部73aの上端は、ステム外筒部73bと比較して、外部に突出している。ステム内筒部73aの突出した上端は、原液Cを吐出するための吐出部材4が取り付けられる。
【0064】
第2ステム内通路72bの下端近傍には、ハウジング35内の空間と第2ステム内通路72bとを連通する第2ステム孔71bが形成されている。第1ステム内通路72aの下端近傍には、上記排出通路38の一端が開口する空間と第1ステム内通路72aとを連通する第1ステム孔71aが形成されている。第1ステム孔71aは、非排出時には、第1ステムラバー36aの内周面により閉止される。第2ステム孔71bは、非吐出時には、第2ステムラバー36bの内周面により閉止される。
【0065】
第1ステム孔71aの断面積は特に限定されない。一例を挙げると、第1ステム孔71aの断面積は、0.03mm2以上であり、0.05mm2以上であることがより好ましい。また、第1ステム孔71aの断面積は、1mm2以下であり、0.8mm2以下であることがより好ましい。第1ステム孔71aの断面積が上記範囲内であることにより、圧縮ガスを排出しやすい。
【0066】
第2ステム孔71bの断面積は特に限定されない。一例を挙げると、第2ステム孔71bの断面積は、0.03mm2以上であり、0.05mm2以上であることがより好ましい。また、第2ステム孔71bの断面積は、1mm2以下であり、0.8mm2以下であることがより好ましい。第2ステム孔71bの断面積が上記範囲内であることにより、原液Cは、詰まりを生じにくく、吐出されやすい。
【0067】
第1ステムラバー36aは、第1ステム孔71aの周囲に取り付けられ、排出通路38の一端が開口する空間と外部とを適宜遮断するための部材である。また、第1ステムラバー36aは、中心にステム7が挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。第1ステムラバー36aの内径は、ステム7のうち、第1ステム孔71aが形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非排出時において、内周面をステム7の第1ステム孔71aが形成された外周面と密着させて、第1ステム孔71aを閉止する。
【0068】
第2ステムラバー36bは、第2ステム孔71bの周囲に取り付けられ、ハウジング35の内部空間と外部とを適宜遮断するための部材である。また、第2ステムラバー36bは、中心にステム7が挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。第2ステムラバー36bの内径は、ステム7のうち、第2ステム孔71bが形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非吐出時において、内周面をステム7の第2ステム孔71bが形成された外周面と密着させて、第2ステム孔71bを閉止する。
【0069】
弾性部材37は、ハウジング35内に圧縮状態で保持され、ステム7を上方に付勢するスプリングの作用をする合成樹脂製の板状部材である。弾性部材37は、筒部351の内底面から上方へ延設された4つの突片から構成される。それぞれの突片の上端は、ステム7の底面と当接している。弾性部材37は、非吐出時において、ステム7を上方向へ付勢する。また、弾性部材37を構成するそれぞれの突片は樹脂製であり、ステム7が押し下げられることにより、容易に変形し得る。なお、弾性部材37は合成樹脂製の板状部材の代わりに、バルブ3において一般的に使用される金属製のスプリングであってもよい。
【0070】
(吐出部材4)
吐出部材4は、原液Cを吐出するための部材であり、ステム7の上端に取り付けられる。吐出部材4は、ステム7が取り付けられた状態において、ステム7のステム内筒部73aおよびステム外筒部73bがほぼ隙間なく嵌め込まれるための第1凹部41が形成されている。吐出部材4は、第1凹部41と連通する断面形状が略L字状の吐出通路42と、噴射治具43が嵌め込まれる第2凹部44とが形成されている。噴射治具43は、外周縁上に複数の溝431が設けられた略円筒状の治具本体43aと、治具本体43aに取り付けられる噴射ノズル43bとからなる。噴射ノズル43bは、有底筒状であり、底部には吐出孔432aと、溝431を通過した原液Cが中心の吐出孔432aに向かって流れるノズル通路432bと、ノズル通路432bの端部に形成された空間であって、原液Cを旋回させるための旋回室432cが形成されている。原液は旋回室432c内で旋回され、吐出孔から広範囲に吐出(噴霧)される。
【0071】
吐出孔432aの断面積は、0.03mm2以上であることが好ましく、0.05mm2以上であることがより好ましい。また、吐出孔432aの断面積は、2mm2以下であることが好ましく、1mm2以下であることがより好ましい。吐出孔432aの断面積が上記範囲内であることにより、原液Cは、詰まりを生じにくく、霧状で吐出されやすい。
【0072】
なお、本実施形態において、吐出孔432aの数および形状は特に限定されない。吐出孔432aは、複数であってもよい。また、吐出孔432aの形状は、略円形状、略角形状等であってもよい。
【0073】
図1および図2に示されるように、吐出部材4がステム7に取り付けられると、第1凹部41には、ステム内筒部73aおよびステム外筒部73bがほぼ隙間なく嵌め込まれる。そのため、この状態で吐出部材4が押し下げられると、第2ステムラバー36bが撓み、第2ステム孔71bが開放される。その結果、原液Cは、内部容器6からハウジング35内に取り込まれ、第2ステム孔71bを通過し、さらに、第2ステム内通路72bを通過し、吐出部材4に取り込まれ、その後、吐出孔432aから吐出される。この際、吐出部材4が押し下げられると、第1ステムラバー36aも同様に撓み、第1ステム孔71aが開放される。しかしながら、第1凹部41には、ステム内筒部73aおよびステム外筒部73bがほぼ隙間なく嵌め込まれている。そのため、排出通路38の一端が開口する空間と外部とは、連通しない。その結果、図1に示される態様では、原液Cのみが吐出され、第1収容空間S1内の圧縮ガスは漏洩しにくい。
【0074】
また、吐出部材4は、第1凹部41が設けられている面の反対側の面に、圧縮ガスを排出する際にステム内筒部73aを挿し込むための第3凹部45が設けられている。
【0075】
図3は、使用し終わった後に、圧縮ガスを排出している状態(排出状態)を説明するための拡大された断面図である。吐出部材4は、上下が反転され、第3凹部45にステム内筒部73aが挿し込まれている。第3凹部45の深さは、ステム内筒部73aがステム外筒部73bに対して突出している長さよりも短い。そのため、図3に示されるように、ステム内筒部73aが第3凹部45に挿し込まれた状態において、吐出部材4が押し下げられると、第1ステムラバー36aが撓み、第1ステム孔71aが開放される。その結果、圧縮ガスは、排出通路38を通過し、次いで、第1ステム孔71aを通過し、さらに、ステム内筒部73aとステム外筒部73bとの間隙を通過して、外部に排出される。
【0076】
この際、第2ステムラバー36bも撓み、第2ステム孔71bが開放される。しかしながら、原液Cが通過するステム内筒部73aの上端は、第3凹部45によって閉止されている。また、上記のとおり、圧縮ガスは外部に排出される。そのため、噴霧製品1は、使用後に、仮にわずかに原液Cが内部容器6内に残存している場合であっても、原液Cは吐出されない。
【0077】
本実施形態の噴霧製品1は、原液Cの噴霧量が、1.0g/秒以上となるよう調整されていることが好ましく、1.2g/秒以上となるよう調整されていることがより好ましい。また、原液Cの噴霧量は、2.0g/秒以下となるよう調整されていることが好ましく、1.8g/秒以下となるよう調整されていることがより好ましい。原液Cの噴霧量が上記範囲内となるよう調整されていることにより、噴霧製品1は、適用箇所で液ダレすることなく、適用箇所に対して適度な冷感を長時間に渡って付与し続けることができる。
【0078】
また、本実施形態の噴霧製品1は、原液Cの単位面積当たりの噴霧量が、0.005g/秒・cm2以上となるよう調整されていることが好ましく、0.01g/秒・cm2以上となるよう調整されていることがより好ましい。また、原液Cの単位面積当たりの噴霧量は、0.1g/秒・cm2以下となるよう調整されていることが好ましく、0.05g/秒・cm2以下となるよう調整されていることがより好ましい。原液Cの噴霧量が上記範囲内となるよう調整されていることにより、噴霧製品1は、適用箇所で液ダレすることなく、適用箇所に対して適度な冷感を長時間に渡って付与し続けることができる。なお、本実施形態において、単位面積当たりの噴霧量は、たとえば、吐出孔432aから15cm前方に濾紙が垂直面となるよう配置し、濾紙に向かって1秒間噴霧したときに原液が付着した大きさ(スプレーパターン)を計測し、スプレーパターンと噴霧量から算出することができる。
【0079】
なお、本実施形態において、上記噴霧量および単位面積当たりの噴霧量を調整する方法は特に限定されない。一例を挙げると、噴霧量は、第2ステム孔71bの寸法、第2ステム内通路72bの寸法、吐出孔432aの寸法、原液Cの組成、外部容器5に充填された圧縮ガスの圧力、内部容器6の可撓性等によって、適宜調整され得る。
【0080】
また、本実施形態では、第3凹部45が第1凹部41の反対側に形成されている場合について例示した。しかしながら、第3凹部45は、省略されてもよい。この場合、圧縮ガスは、吐出部材の平坦な面をステム内筒部73aの上端に押し当てることにより、排出され得る。また、第3凹部45の位置は特に限定されない。第3凹部45は、たとえば、吐出孔432aの形成されている面の反対側の面に設けられていてもよい。
【実施例
【0081】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0082】
(実施例1)
以下の表1に示される処方に従って、原液1を調製した。得られた原液1の60gを、図1に示す二重ボトルの内部容器6(収容空間S2)に充填し、バルブを取り付け、外部容器5内の収容空間S1に、容器内の圧力が0.6MPa(25℃)となるよう窒素ガスを充填し、実施例1の噴霧用組成物を調製した。
【0083】
【表1】
【0084】
(実施例2~10、比較例1~6)
原液の組成を表1~表3に示される処方に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、噴霧用組成物を調製した。原液2~10を用いた噴霧用組成物は、実施例2~10である。原液11~16を用いた噴霧用組成物は、比較例1~6である。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
なお、比較例5に使用した原液15は、ハイドロフルオロオレフィンとして、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze、沸点-19℃)を用いたこと以外は、実施例6に使用した原液6と同様である。なお、HFO-1234zeは、HFO-1233zdと比較して沸点が低い。そのため、原液15を用いて比較例5の噴霧用組成物を調製した際、まず、原液15中の精製水およびエタノールを内部容器6の収容空間S2に充填し、バルブを取り付け、内部容器6の収容空間S2にHFO-1234zeを充填して精製水とエタノールと混合し、次いで、外部容器5内の収容空間S1に、容器内の圧力が0.6MPa(25℃)となるよう窒素ガスを充填した。
【0088】
また、比較例6で使用した原液16に含まれるイソペンタンは、沸点が27.8℃であるため、実施例6と同様にして噴霧用組成物を製造した。
【0089】
得られた噴霧用組成物を使用し、以下の評価方法に従って、外観、冷却効果、液ダレ、燃焼性を評価した。結果を表4~表6に示す。
【0090】
<外観>
25℃の恒温水槽中に噴霧用組成物を充填した容器を1時間浸漬して噴霧用組成物の温度を25℃に調整し、外観を評価した。
(評価基準)
〇:噴霧用組成物は、透明で均一であった。
×:噴霧用組成物は、分離していた。
【0091】
<冷却効果>
25℃の恒温水槽中に噴霧用組成物を充填した容器を1時間浸漬して噴霧用組成物の温度を25℃に調整した。その後、15cm離した濾紙に向かって噴射し、噴射直後の濾紙表面の温度を測定し、噴射前の温度からの下降温度を算出した。また、15cm離した腕に向かって噴射したときの冷却感を評価した。
(評価基準)
◎:下降温度が13℃以上25℃以下であり、適度な冷感が長く得られた。
〇1:下降温度が10℃以上13℃未満であり、やや弱い冷感が得られた。
〇2:下降温度が25℃を超え35℃未満であり、やや強い冷感が得られた。
×1:下降温度が10℃未満であり、冷感が不充分であった。
×2:下降温度が35℃を超え、痛みを感じた
【0092】
<液ダレ>
25℃の恒温水槽中に噴霧用組成物を充填した容器を1時間浸漬して噴霧用組成物の温度を25℃に調整した。その後、15cm離した腕に向かって1秒間噴霧したときの噴射物の状態を評価した。
(評価基準)
〇:噴射物は、すぐに乾燥し、液ダレしなかった。
×:噴射物は、乾燥が遅く、腕から垂れ落ちた。
【0093】
<燃焼性>
25℃の恒温水槽中に噴霧用組成物を充填した容器を1時間浸漬して噴霧用組成物の温度を25℃に調整した。その後、15cm前方の火炎(炎の高さ5cm)に向かって噴霧し、火炎の伸びを評価した。
(評価基準)
◎:火炎の伸びは、25cm未満であった。
〇:火炎の伸びは、25以上45cm未満であり、逆火が認められなかった。
〇1:火炎の伸びは、25以上45cm未満であり、逆火が認められた。
×:火炎の伸びは、45cm以上であった。
×1:火炎の伸びが認められ、かつ、火炎の伸びが安定しなかった。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
表4~表6に示されるように、実施例1~10の噴霧用組成物は、均一で透明な外観であり、適度に適用箇所の温度を下降させることができ、適用箇所からの液ダレを生じず、燃焼性が低かった。
【0098】
一方、比較例1~4の噴霧用組成物は、ハイドロフルオロオレフィンが分離しており、燃焼性の試験において火炎の伸びが安定しないことからわかるように、均一な組成での噴霧が難しかった。特にハイドロフルオロオレフィンの含有量が多い比較例3と4の噴霧用組成物は、分離しているハイドロフルオロオレフィンが噴霧され、下降温度がハイドロフルオロオレフィンそのものを噴霧したときと同程度になり、腕に痛みを感じさせた。沸点が-19℃のハイドロフルオロオレフィンを用いた比較例5の噴霧用組成物は、沸点が19℃であるハイドロフルオロオレフィンを用いた実施例6の噴霧用組成物よりも下降温度が低かった。これは沸点が低いため対象物に付着するまでに多くが気化してしまい、冷却効果が発揮できなかったと考えられた。
【符号の説明】
【0099】
1 噴霧製品
2 容器本体
3 バルブ
31a カバーキャップ
32 バルブ本体部
33 キャップ本体
34 縁部
35 ハウジング
351 筒部
352 フランジ部
353 上面側延設部
354 下面側延設部
36a ステムラバー
36b ステムラバー
37 弾性部材
38 排出通路
4 吐出部材
41 第1凹部
42吐出通路
43 噴射治具
431 溝
432a 吐出孔
432b ノズル通路
432c 旋回室
43a 治具本体
43b 噴射ノズル
44 第2凹部
45 第3凹部
5 外部容器
51 肩部
52 首部
6 内部容器
61 フランジ部
62 溝
7 ステム
71a 第1ステム孔
71b 第2ステム孔
72a 第1ステム内通路
72b 第2ステム内通路
73a ステム内筒部
73b ステム外筒部
C 原液
S1 第1収容空間
S2 第2収容空間
図1
図2
図3