(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジン
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20230124BHJP
F01L 1/04 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
F01L13/00 301Z
F01L1/04 Z
(21)【出願番号】P 2018195539
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2017-0154705
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 維 祥
(72)【発明者】
【氏名】徐 仁 起
(72)【発明者】
【氏名】權 奇 榮
(72)【発明者】
【氏名】柳 印 相
(72)【発明者】
【氏名】河 京 杓
(72)【発明者】
【氏名】朴 東 憲
(72)【発明者】
【氏名】金 宇 泰
(72)【発明者】
【氏名】金 伯 植
(72)【発明者】
【氏名】李 升 載
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-324610(JP,A)
【文献】特開2017-106439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284235(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0160706(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017103571(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/00,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸、
カムが形成され、前記カム軸が挿入されるカムユニット、
前記カム軸の回転を前記カムユニットに伝達するインナーホイール、
前記インナーホイールが回転可能に挿入され、前記カム軸と垂直方向に移動可能に備えられるホイールハウジング、
ガイドねじ山が形成され、前記カム軸と垂直方向に備えられるガイドシャフト、
その内側にインナーねじ山が形成されて前記ガイドねじ山に噛み合い、前記ホイールハウジング内側に備えられるウォームホイール、および
前記ウォームホイールに噛み合う制御ウォームが形成された制御シャフト、
を含むことを特徴とする連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項2】
前記ガイドシャフトが装着されるガイドブラケット、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項3】
前記ガイドブラケットには、前記ガイドシャフトが固定される固定ホールと、前記ホイールハウジングが移動可能に移動空間が形成されることを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項4】
前記ホイールハウジングには、ガイドウォールが一対突出形成され、
前記各ガイドウォールには、前記ガイドシャフトが挿入される移動ホールが形成されることを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項5】
前記ウォームホイールは、前記ガイドウォールの間に配置されてその回転により前記ガイドウォールを押して前記ホイールハウジングを移動させることを特徴とする請求項4に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項6】
前記ガイドブラケットに固定され、前記ホイールハウジングの移動を案内するスライディングシャフト、
をさらに含み、
前記ホイールハウジングには、前記スライディングシャフトが挿入されるスライディングホールが形成されることを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項7】
前記制御シャフトを支持するように前記ガイドブラケットに固定されるウォームシャフトキャップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項8】
前記インナーホイールには、第1、2スライディングホールが形成され、
前記カムユニットには、カムスロットが形成され、
前記カム軸に結合され、前記第1スライディングホールに回転可能に挿入されるローラホイール、および
前記カムスロットにスライディング可能に挿入され、前記第2スライディングホールに回転可能に挿入されるローラカム、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項9】
前記ローラカムは、
前記カムスロットにスライディング可能に挿入されるローラカムボディー、
前記第2スライディングホールに回転可能に挿入されるカムヘッド、および
前記ローラカムの離脱を防止するように形成された突出部、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項10】
前記ローラホイールは、
前記カム軸にスライディング可能に結合されるホイールボディー、および
前記第1スライディングホールに回転可能に挿入されるホイールヘッド、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項11】
前記カム軸の内部には、その長さ方向に沿ってカム軸オイルホールが形成され、
前記ローラホイールの前記ホイールボディーには、前記カム軸オイルホールと連通するボディーオイルホールが形成され、
前記ローラホイールの前記ホイールヘッドには、前記ボディーオイルホールと連通するオイルグルーブが形成されることを特徴とする
請求項10に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項12】
前記カムユニットは、一つのシリンダーとそれと隣接したシリンダーに対応してそれぞれ備えられる第1、2カム部を含み、
前記インナーホイールは、前記カム軸の回転を前記第1、2カム部にそれぞれ伝達する第1、2インナーホイールを含むことを特徴とする請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項13】
前記第1、2インナーホイールは、相対回転が可能に結合されることを特徴とする請求項12に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項14】
前記ホイールハウジング内に備えられ、前記第1、2インナーホイールを支持するベアリング、
をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項15】
前記第1、2カム部には、2つのカムが形成され、
前記各カムの間には、カムキャップ結合部が形成され、
前記カムキャップ結合部を回転可能に支持するカムキャップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の連続可変バルブデュレーション装置。
【請求項16】
請求項1に記載の連続可変バルブデュレーション装置が装着されたことを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンに係り、より詳しくは、簡単な構成でバルブのデュレーションをエンジンの動作状態により可変させることができる連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関(internal combustion engine)は、燃焼室(combustion chamber)に燃料と空気を受け入れてこれを燃焼することにより動力を形成する。空気を吸入する時にはカム軸(camshaft)の駆動により吸気バルブ(intake valves)を作動させ、吸気バルブが開いている間に空気が燃焼室に吸入される。また、カム軸の駆動により排気バルブ(exhaust valve)を作動させ、排気バルブが開いている間に空気が燃焼室から排出される。
【0003】
しかし、最適の吸気バルブ/排気バルブ動作は、エンジンの回転速度により変る。つまり、エンジンの回転速度により適切なリフト(lift)またはバルブオープニング/クロージングタイムが変わる。このようにエンジンの回転速度により適切なバルブ動作を実現するために、バルブを駆動させるカムの形状を複数設計したり、バルブがエンジン回転数により他のリフト(lift)で動作するように実現する連続可変バルブリフト(continuous variable valve lift、CVVL)装置が研究されている。
また、バルブの開放時間を調節することでCVVT(Continuous Variable Valve Timing)技術が開発されてきたが、これはバルブデュレーションが固定された状態でバルブ開放/閉鎖時点が同時に変更される技術である。
しかし、従来のCVVLまたはCVVTは、構成が複雑で、費用が高価であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、エンジンの作動状態によりバルブのデュレーションを調節することができる連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明の連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸、カムが形成され、前記カム軸が挿入されるカムユニット、前記カム軸の回転を前記カムユニットに伝達するインナーホイール、前記インナーホイールが回転可能に挿入され、前記カム軸と垂直方向に移動可能に備えられるホイールハウジング、ガイドねじ山が形成され、前記カム軸と垂直方向に備えられるガイドシャフト、その内側にインナーねじ山が形成されて前記ガイドねじ山に噛み合い、前記ホイールハウジング内側に備えられるウォームホイール、および前記ウォームホイールに噛み合う制御ウォームが形成された制御シャフトを含むことを特徴とする。
【0007】
前記ガイドシャフトが装着されるガイドブラケットをさらに含むことを特徴とする。
【0008】
前記ガイドブラケットには、前記ガイドシャフトが固定される固定ホールと、前記ホイールハウジングが移動可能に移動空間が形成されることを特徴とする。
【0009】
前記ホイールハウジングには、ガイドウォールが一対突出形成され、前記各ガイドウォールには、前記ガイドシャフトが挿入される移動ホールが形成されることを特徴とする。
【0010】
前記ウォームホイールは、前記ガイドウォールの間に配置されてその回転により前記ガイドウォールを押して前記ホイールハウジングを移動させることを特徴とする。
【0011】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記ガイドブラケットに固定され、前記ホイールハウジングの移動を案内するスライディングシャフトをさらに含み、前記ホイールハウジングには、前記スライディングシャフトが挿入されるスライディングホールが形成されることを特徴とする。
【0012】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記制御シャフトを支持するように前記ガイドブラケットに固定されるウォームシャフトキャップをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記インナーホイールには、第1、2スライディングホールが形成され、前記カムユニットには、カムスロットが形成され、前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記カム軸に結合され、前記第1スライディングホールに回転可能に挿入されるローラホイール、および前記カムスロットにスライディング可能に挿入され、前記第2スライディングホールに回転可能に挿入されるローラカム、をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記ローラカムは、前記カムスロットにスライディング可能に挿入されるローラカムボディー、前記第2スライディングホールに回転可能に挿入されるカムヘッド、および前記ローラカムの離脱を防止するように形成された突出部、を含むことを特徴とする。
【0015】
前記ローラホイールは、前記カム軸にスライディング可能に結合されるホイールボディー、および前記第1スライディングホールに回転可能に挿入されるホイールヘッド、を含むことを特徴とする。
【0016】
前記カム軸の内部には、その長さ方向に沿ってカム軸オイルホールが形成され、前記ローラホイールの前記ホイールボディーには、前記カム軸オイルホールと連通するボディーオイルホールが形成され、前記ローラホイールの前記ホイールヘッドには、前記ボディーオイルホールと連通するオイルグルーブが形成されることを特徴とする。
【0017】
前記カムユニットは、一つのシリンダーとそれと隣接したシリンダーに対応してそれぞれ備えられる第1、2カム部を含み、前記インナーホイールは、前記カム軸の回転を前記第1、2カム部にそれぞれ伝達する第1、2インナーホイールを含むことを特徴とする。
【0018】
前記第1、2インナーホイールは、相対回転が可能に結合されることを特徴とする。
【0019】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記ホイールハウジング内に備えられ、前記第1、2インナーホイールを支持するベアリングをさらに含むことを特徴とする。
【0020】
前記第1、2カム部には、2つのカムが形成され、前記各カムの間には、カムキャップ結合部が形成され、前記連続可変バルブデュレーション装置は、前記カムキャップ結合部を回転可能に支持するカムキャップをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の実施例にエンジンは、連続可変バルブデュレーション装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の連続可変バルブデュレーション装置によれば、簡単な構成でエンジンの作動状態によりバルブのデュレーションを調節することができる。
また、連続可変バルブデュレーション装置の構成が相対的に小さいため、バルブトレインの全体高さを相対的に低く維持することができる。
さらに既存の一般エンジンの過度な設計変更がなくても連続可変バルブデュレーション装置を適用することができるため、生産性を高めることができ、生産費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置が装着されたエンジンの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の側面図である。
【
図4】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の一部斜視図である。
【
図6】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の一部分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールとカムユニットを示した図面である。
【
図9】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールとカムユニットを示した図面である。
【
図11】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールを示した図面である。
【
図12】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールを示した図面である。
【
図13】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図14】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図15】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図16】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図17】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
【
図18】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のカムスロットを示した図面である。
【
図19】本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のバルブプロファイルを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置が装着されたエンジンの斜視図であり、
図2は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の斜視図である。
図3は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の一部側面図であり、
図4は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の分解斜視図である。
図5は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の一部斜視図であり、
図6は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の一部分解斜視図であり、
図7は、
図5のVII-VII線の断面図である。
図1ないし
図7に示す通り、本発明の実施例によるエンジン1は、連続可変バルブデュレーション装置を含む。
エンジンに4つのシリンダー201、202、203、204が形成されたものが示されているが、これに限定されるのではない。
【0025】
本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸30、カム71が形成され、カム軸30が挿入されるカムユニット70、カム軸30の回転をカムユニット70に伝達するインナーホイール80、インナーホイール80が回転可能に挿入され、カム軸30と垂直方向に移動可能に備えられるホイールハウジング90、ガイドねじ山130が形成され、カム軸30と垂直方向に備えられるガイドシャフト132、その内側にインナーねじ山52が形成されてガイドねじ山130に噛み合い、ホイールハウジング90内側に備えられるウォームホイール50、およびウォームホイール50に噛み合う制御ウォーム104が形成された制御シャフト102を含む。
制御ウォーム104がウォームホイール50の外側に形成されたアウターねじ山54と噛み合う。
本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置は、ガイドシャフト132が装着されるガイドブラケット134をさらに含む。
ここで、バルブデュレーションは、バルブが開放された時間、つまり、バルブの開放時間から閉鎖時間までを意味する。
【0026】
カム軸30は、吸気カム軸であってもよく、吸気カム軸と排気カム軸であってもよい。
ガイドブラケット134には、ガイドシャフト132が固定される固定ホール137と、ホイールハウジング90が移動可能に移動空間138が形成される。
ホイールハウジング90には、ガイドウォール92が一対突出形成され、各ガイドウォール92には、ガイドシャフト132が挿入される移動ホール94が形成される。
ウォームホイール50は、ガイドウォール92の間に配置されてその回転によりガイドウォール92を押すことができる。
連続可変バルブデュレーション装置は、ホール135cを通じてガイドブラケット134に固定され、ホイールハウジング90の移動を案内するスライディングシャフト135をさらに含み、ホイールハウジング90には、スライディングシャフト135が挿入されるスライディングホール96が形成される。
【0027】
前記連続可変バルブデュレーション装置は、制御シャフト102を支持するようにガイドブラケット134に固定されるウォームシャフトキャップ139をさらに含み、ボルト136を通じてガイドブラケット134に結合されてもよい。
前述したガイドブラケット134、ホイールハウジング90、ウォームホイール50などの構成および連結構造により、連続可変バルブデュレーション装置は、単純なレイアウトでコンパクトに構成される。
ガイドシャフト132は、ガイドブラケット134に形成されたホール132bに結合ピン132aを挿入して結合されてもよい。
同様に、スライディングシャフト135もガイドブラケット134に形成されたホール135bに結合ピン135aを挿入して結合されてもよい。
図8および
図9は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールとカムユニットを示した図面であり、
図10は、
図6のX-X線の断面図である。
図11および
図12は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のインナーホイールを示した図面である。
【0028】
図1ないし
図12に示す通り、インナーホイール80には、第1、2スライディングホール86、88が形成され、カムユニット70には、カムスロット74が形成される。
連続可変バルブデュレーション装置は、カム軸30に結合され、第1スライディングホール86に回転可能に挿入されるローラホイール60、およびカムスロット74にスライディング可能に挿入され、第2スライディングホール88に回転可能に挿入されるローラカム82をさらに含む。
ローラカム82は、カムスロット74にスライディング可能に挿入されるローラカムボディー82a、および第2スライディングホール88に回転可能に挿入されるローラカムヘッド82bを含む。
ローラカム82には、ローラカム82の離脱を防止する突出部82cが形成され、突出部82cは、カムスロット74にスライディング可能であり、ローラカム82のカム軸30長さ方向の離脱を防止することができる。
【0029】
ローラホイール60は、カム軸30にスライディング可能に挿入されるホイールボディー62、および第1スライディングホール86に回転可能に挿入されるホイールヘッド64を含み、ホイールボディー62とホイールヘッド64は一体に形成されてもよい。
カム軸30には、カム軸ホール34が形成され、ローラホイール60のホイールボディー62がカム軸ホール34に移動可能に挿入され、ホイールヘッド64が第1スライディングホール86内で回転可能に備えられる。
カム軸30の内部には、その長さ方向に沿ってカム軸オイルホール32が形成され、ローラホイール60のホイールボディー62には、カム軸オイルホール32と連通するボディーオイルホール66が形成され、ローラホイール60のホイールヘッド64には、ボディーオイルホール66と連通ホール69を通じて連通するオイルグルーブ68(
図13参照)が形成される。
【0030】
カム軸オイルホール32に伝達される潤滑油がボディーオイルホール66、連通ホール69およびオイルグルーブ68を通じてインナーホイール80に円滑に伝達される。
カムユニット70は、一つのシリンダー、例えば第1シリンダー201とそれと隣接したシリンダー、例えば第2シリンダー202に対応してそれぞれ備えられる第1、2カム部70a、70bを含み、インナーホイール80は、カム軸30の回転を第1、2カム部70a、70bにそれぞれ伝達する第1、2インナーホイール80a、80bを含んでもよい。
連続可変バルブデュレーション装置は、ホイールハウジング90内に備えられ、第1、2インナーホイール80a、80bと結合するベアリング140をさらに含む。
【0031】
ベアリング140は、ニードルベアリングであってもよく、一つのホイールハウジング90内に第1、2インナーホイール80a、80bが備えられ、ベアリング140により第1、2インナーホイール80a、80bが円滑に回転可能である。
また、一つのホイールハウジング90内に第1、2インナーホイール80a、80bが備えられて部品数が減ることによって、生産性および経済性が向上することができ、機構全体が占める空間を減らすことができる。ホイールハウジング90内に備えられる第1インナーホイール80aと第2インナーホイール80bが結合されてもよい。例えば、第1インナーホイール80aと第2インナーホイール80bにそれぞれ第1インナーホイール結合部84と第2インナーホイール結合部85が形成されて第1インナーホイール結合部84と第2インナーホイール結合部85が結合されてもよい。
【0032】
図面には第1インナーホイール結合部84と第2インナーホイール結合部85がそれぞれ凸/凹形状で、これを結合したものが示されているが、これに限定されるのではなく、第1、2インナーホイール80a、80bが相対回転が可能に結合される多様な結合構造であってもよい。
第1インナーホイール80aと第2インナーホイール80bが結合された場合、第1インナーホイール80aと第2インナーホイール80bが分離された場合よりも、部品、例えばベアリング、インナーホイール、ホイールハウジングなどの製作公差による揺動が防止されてより安定した動きが可能である。
第1、2カム部70a、70bには、2つのカム71、72が形成され、各カム71、72の間にはカムキャップ結合部76が形成されてもよい。
カム71、72と接触してバルブ200が開閉される。
連続可変バルブデュレーション装置は、カムキャップ結合部76を回転可能に支持するカムキャップ40をさらに含んでもよい。
【0033】
図13ないし
図15は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面であり、
図16および
図17は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置の作動を説明する図面である。
図13に示すように、中立状態、つまり、カム軸30とカムユニット70の回転中心が一致した場合、カム71、72はカム軸30と同一の速度で回転する。
エンジンの作動状態により図示していないECU(engine control unit or electric control unit)が制御部100に制御信号を印加すると、例えば制御モータ106が制御シャフト102を回転させる。
その後、制御ウォーム104がウォームホイール50の外側に形成されたアウターねじ山54を回転させてウォームホイール50が回転すると、インナーねじ山52がガイドねじ山130に噛み合ってウォームホイール50がガイドねじ山130に沿って回転しながら移動する。
【0034】
つまり、
図10、
図14および
図15に示すように、制御シャフト102の回転によりウォームホイール50がガイドシャフト132に沿って移動し、ガイドウォール92を押してカム軸30に対するホイールハウジング90の相対位置が変更される。
ホイールハウジング90の位置がカム軸30の回転中心に対して一方向に移動すると、カム軸30に対するカム71、72の回転速度がその位相により変更される。
つまり、ローラホイール60のホイールボディー62がカム軸30に形成されたカム軸ホール34に移動可能に挿入され、ホイールヘッド64が第1スライディングホール86内で回転可能に挿入され、ローラカム82が第2スライディングホール88に回転可能に挿入され、カムスロット74内で移動可能であるため、カム71、72はカム軸30に対する相対的な回転速度が変る。
【0035】
ホイールハウジング90の位置がカムシャフト30の回転中心に対して一方向に移動すると、
図16の(a)から(b)および(b)から(c)の間では相対的にカム71、72の回転速度が速くなり、(c)から(d)および(d)から(a)の間では相対的な回転速度が遅くなる。
ホイールハウジング90の位置がカムシャフト30の回転中心に対して反対方向に移動すると、
図17の(a)から(b)および(b)から(c)の間では相対的にカム71、72の回転速度が遅くなり、(c)から(d)および(d)から(a)の間では相対的な回転速度が速くなる。
図18は、本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置のカムスロットを示した図面であり、
図19は、バルブプロファイルを示したグラフである。
図18に示すように、カムスロット74がカム71(または72)よりも進角(
図18の74a)または遅角(
図18の74b)された位置に形成されてもよく、またはカムローブ(lobe)と同一の位相に形成されて多様な形状のバルブプロファイルを形成してもよい。
【0036】
バルブ200の最大リフト値は一定であり、ホイールハウジング90の位置が相対的に変わることによってカム71、72のカム軸30に対する相対回転速度が変り、バルブ200を開閉する時間が変り、したがって、バルブ200のデューレーションが変る。
カムスロット74の形成位置、バルブ200の装着角度などにより
図19の(a)に示すように、バルブを開放する時間と閉鎖する時間が同時に変更される。
また、
図19の(b)に示すように、バルブ200の開放時間は一定にし、バルブ200の閉鎖時間を進角(advanced)させたり、遅角(retarded)させることもできる。
反対に、
図19の(c)に示すように、バルブ200の閉鎖時間は一定にし、バルブ200の開放時間を進角(advanced)させたり、遅角(retarded)させることもできる。
【0037】
前述のように本発明の実施例による連続可変バルブデュレーション装置によれば、バルブリフトの多様なデュレーションを実現することができる。
また、連続可変バルブデュレーション装置の構成が相対的に小さいため、バルブトレインの全体高さを相対的に低く維持することができる。
また、既存の一般エンジンの過度な設計変更がなくても連続可変バルブデュレーション装置を適用することができるため、生産性を高めることができ、生産費用を節減することができる。
【0038】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1:エンジン
30:カム軸、カムシャフト
32:カム軸オイルホール
34:カム軸ホール
40:カムキャップ
50:ウォームホイール
52:インナーねじ山
54:アウターねじ山
60:ローラホイール
62:ホイールボディー
64:ホイールヘッド
66:ボディーオイルホール
68:オイルグルーブ
69:連通ホール
70:カムユニット
70a、70b:第1、2カム部
71、72:カム
74:カムスロット
76:カムキャップ結合部
80:インナーホイール
82:ローラカム
82a:ローラカムボディー
82b:ローラカムヘッド
82c:突出部
83:カムスロット
84:第1インナーホイール結合部
85:第2インナーホイール結合部
86:第1スライディングホール
88:第2スライディングホール
90:ホイールハウジング
92:ガイドウォール
94:移動ホール
96:スライディングホール
100:制御部
102:制御シャフト
104:制御ウォーム
106:制御モータ
130:ガイドねじ山
132:ガイドシャフト
134:ガイドブラケット
135:スライディングシャフト
136:ボルト
137:固定ホール
138:移動空間
139:ウォームシャフトキャップ
140:ベアリング
200:バルブ
201~204:第1~4シリンダー