(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】OLED照明装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/842 20230101AFI20230124BHJP
H10K 59/82 20230101ALI20230124BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230124BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20230124BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230124BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20230124BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20230124BHJP
【FI】
H10K50/842
H10K59/82
F21V23/00 160
F21V23/06
F21S2/00 250
H10K59/90
H10K50/88
(21)【出願番号】P 2018201444
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 顕治
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/047742(WO,A1)
【文献】特開2014-089851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0369981(US,A1)
【文献】国際公開第2013/146764(WO,A1)
【文献】特開2008-140632(JP,A)
【文献】特開2013-030294(JP,A)
【文献】特開平06-290869(JP,A)
【文献】特開平11-219782(JP,A)
【文献】特開2016-110858(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114887(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012077(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H10K 50/00-59/95
F21V 23/00-23/06
F21V 19/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視にて矩形形状であるOLEDパネルと、
前記OLEDパネルの全部または一部を配置する本体部、ケーブルを取り付けるための付属部、および、前記ケーブルで給電される電力を前記OLEDパネルに給電するための配線を備える基板部材と、
前記基板部材を収容し、支持するケーシングと、
前記ケーブルを前記ケーシングに押さえ付ける押さえ部材とを備え、
前記本体部は、前記OLEDパネルの第1方向の長さと等しい前記第1方向の長さの形状であり、
前記付属部は、前記本体部の外周における前記第1方向に沿った一辺の一部分から延設され、
前記押さえ部材は、平面視にてコ字形状を呈しており、前記コ字形状の切り欠き部分内に前記付属部を配置可能な寸法で形成され、背面には、前記ケーブルを嵌め込むための凹所が形成されている、
OLED照明装置。
【請求項2】
前記付属部を前記ケーシングに固定する固定部材をさらに備える、
請求項1に記載のOLED照明装置。
【請求項3】
前記
付属部には、第1コネクタが取り付けられ、
前記ケーブルの一方端には、前記第1コネクタに接続される第2コネクタが取り付けられている、
請求項1または請求項2に記載のOLED照明装置。
【請求項4】
前記
ケーブルは、2本の電源ラインと2本の接地ラインとの2対4本の電線で構成されている、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のOLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light Emitting Diode)は、有機EL(Organic ElectroLuminescence)とも呼ばれ、比較的、薄くて軽く、小消費電力でもあることから、近年、例えば、表示装置や照明装置等への応用が研究、開発されている。このようなOLEDを利用したOLEDパネルは、例えば、非特許文献1ないし非特許文献3に開示され、市販されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】カタログ;「OLEDWorks OLED Panel Brite FL300 Family Product Sheet」、OLEDWorks LLC、2016年2月
【文献】カタログ;「Lumiblade OLED Panel Brite FL300 nw」、OLEDWorks LLC、2016年9月
【文献】カタログ;「Design-in guide OLED Panel Brite 2 Family」、OLEDWorks LLC、2016年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでOLEDパネルに電力を供給するために、ケーブル(電線)をOLEDパネルに接続する必要がある。OLEDパネルの使用場所によっては、このケーブルに、手や足を引っかけてしまう場合がある。例えば、製造ラインのワークに比較的近くからOLEDパネルで照明する場合、ワークに対する作業中に、OLEDパネルの近くのケーブルに手を引っかけてしまったり、コンセントに接続するために引き回されているケーブルに足を引っかけてしまったりする場合がある。ケーブルに手や足が引っかかると、ケーブルに引っ張り力がかかり、ケーブルとOLEDパネルとの接続部分に前記引っ張り力が集中し、これによって前記接続部分で接続不良が生じてしまう虞がある。このため、接続強度を増強するために、前記接続部分のはんだをより多く盛る対策が考えられる。しかしながら、OLEDパネルでは、前記接続部分における、ケーブルと接続するための電極端子(電極パッド)は、その面積が小さいため、はんだを多く盛ることが難しい。仮にはんだをより多く盛ることができたとしても、盛られたはんだの高さがOLEDパネルの面(例えば背面)を超えてしまい、OLEDパネルをケーシングに収容する際に、高く盛られたはんだによってOLEDパネルの面をケーシングの面に密着することができない。はんだをより多く盛ることができるように凹所を形成しようとしても、OLEDパネルの厚さが例えば約1~3mm程度であるので、前記凹所を深くすることも難しい。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、ケーブルの引っ張りに対する耐性をより強くできるOLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見
出した。すなわち、本発明の一態様にかかるOLED照明装置は、平面視にて矩形形状であるOLEDパネルと、前記OLEDパネルの全部または一部を配置する本体部、ケーブルを取り付けるための付属部、および、前記ケーブルで給電される電力を前記OLEDパネルに給電するための配線を備える基板部材と、前記基板部材を収容し、支持するケーシングと、前記ケーブルを前記ケーシングに押さえ付ける押さえ部材とを備え、前記本体部は、前記OLEDパネルの第1方向の長さと等しい前記第1方向の長さの形状であり、前記付属部は、前記本体部の外周における前記第1方向に沿った一辺の一部分から延設され、前記押さえ部材は、平面視にてコ字形状を呈しており、前記コ字形状の切り欠き部分内に前記付属部を配置可能な寸法で形成され、背面には、前記ケーブルを嵌め込むための凹所が形成されている。好ましくは、上述のOLED照明装置において、前記本体部は、平面視にて前記OLEDパネルと略同サイズである。
【0007】
このようなOLED照明装置は、前記付属部を備えるので、電気的に接続するためだけでなく接続強度を増強するための量ではんだを盛り付けたり、コネクタを配設したりできるから、ケーブルの引っ張りに対する耐性をより強くできる。上記OLED照明装置は、前記押さえ部材を備えるので、ケーブルがケーシングと押さえ部材とで狭持されるから、ケーブルの引っ張りに対する耐性をさらにより強くできる。OLEDパネルは、正面視にて、光が放射される発光領域を除く領域を可能な限り低減することでそのサイズ(大きさ)のコンパクト化を実現している。上記OLED照明装置は、前記OLEDパネルを配置する本体部の外周における一部分から前記付属部を延設するので、前記OLEDパネルの大きさに対し必要最小限の付加で前記付属部を実現できている。特に、複数の光電変換素子を1次元や2次元でアレイ状に配置したイメージセンサでワークを撮像して得られた画像を所定の目的に応じて処理するマシンビジョン(machine vision)では、前記所定の目的を達成し易い照射方向から前記ワークを照明できるようにOLED照明装置を配設する必要がある。上記OLED照明装置は、前記付属部が前記本体部の外周における一部分から延設されているので、マシンビジョンのためにOLED照明装置を配設する場合に、配設箇所における他の部材や装置と上記OLED照明装置との干渉を低減できる。例えば、前記OLEDパネルが平面視にて矩形形状である場合には、一辺だけに前記付属部を延設すれば良いので、残余の三辺は、そのまま維持できる。
【0008】
他の一態様では、上述のOLED照明装置において、前記付属部を前記ケーシングに固定する固定部材をさらに備える。好ましくは、上述のOLED照明装置において、前記固定部材は、両面テープまたは接着剤である。
【0009】
このようなOLED照明装置は、前記付属部が前記ケーシングに前記固定部材で固定されるので、ケーブルの引っ張りに対する耐性をさらにより強くできる。
【0010】
他の一態様では、これら上述のOLED照明装置において、前記付属部には、第1コネクタが取り付けられ、前記ケーブルの一方端には、前記第1コネクタに接続される第2コネクタが取り付けられている。
【0012】
他の一態様では、これら上述のOLED照明装置において、前記ケーブルは、2本の電源ラインと2本の接地ラインとの2対4本の電線で構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるOLED照明装置は、ケーブルの引っ張りに対する耐性をより強くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態におけるOLED照明装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】前記OLED照明装置の一部分の構成を説明するためのである。
【
図3】前記OLED照明装置に備えられるOLEDパネルの構成を示す断面図である。
【
図4】前記OLED照明装置の変形形態を説明するための図である。
【
図5】一例として、OLEDパネルにおける給電電極を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0017】
図1は、実施形態におけるOLED照明装置の構成を示す分解斜視図である。
図2は、前記OLED照明装置の一部分の構成を説明するためのである。
図2Aないし
図2Cは、
図1に示すOLED照明装置において、カバー部材7、押さえ部材6、第2コネクタ5およびケーブル3を除いた状態での構成を示し、
図2Aは、斜視図であり、
図2Bは、上面図であり、
図2Cは、
図2BのI-I断面線における断面図であり、
図2Dは、基板部材2の背面図である。
図3は、前記OLED照明装置に備えられるOLEDパネルの構成を示す断面図である。
【0018】
実施形態におけるOLED照明装置Sは、例えば、
図1ないし
図3に示すように、OLEDパネル1と、基板部材2と、ケーブル3と、第1コネクタ4と、第2コネクタ5と、押さえ部材6と、カバー部材7と、ケーシング8と、ねじ9と、固定部材10とを備える。
【0019】
OLEDパネル1は、OLED(Organic Light Emitting Diode)を備え、給電されると光を放射する装置である。本実施形態では、ワークを面で照明するために、OLEDパネル1は、面(2次元)で光を放射する。OLEDパネル1は、平面視にて、例えば多角形形状や円形形状等の任意の形状であって良いが、本実施形態では、平面視にて矩形形状である。OLEDパネル1は、用途に応じて単色であって良く、あるいは、白色であって良い。OLEDパネル1は、1対の第1および第2電極間に有機発光層を備え、前記第1および第2電極に電力が供給されると、前記有機発光層における電子と正孔との再結合により発光する。このようなOLEDパネル1は、一例では、
図3に示すように、光学保護層11と、光学基板12と、第1電極層13と、有機発光層14と、第2電極層15と、封止層16と、金属保護層17とを備える。
【0020】
光学基板12は、その上に形成される、第1電極層13、有機発光層14、第2電極層15、封止層16および金属保護層17を支持する支持部材である。光学基板12は、有機発光層14で発光される光を少なくとも透過する、例えば樹脂やガラス等によって形成される。光学基板12は、例えば、矩形形状や円形形状等の板状(層状)に形成される。
【0021】
光学保護層11は、光学基板12の一方主面上に面状(2次元状、層状、膜状)で積層され、光学基板12の表面を保護する層であり、有機発光層14で発光される光を少なくとも透過する、例えば樹脂で形成される。
【0022】
第1および第2電極層13、15は、互いに1対となって外部から供給された電力を有機発光層14に給電する部材である。第1電極層13は、本実施形態では、アノード電極(+電極)であり、光学基板12の他方主面上に面状で積層される。本実施形態では、有機発光層14で発光された光を第1電極層13側から放射させるので、第1電極層13は、有機発光層14で発光される光を少なくとも透過する、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の透明な導電性を有する化合物(透明電極材料)で形成される。第2電極層15は、本実施形態では、カソード電極(-電極)であり、有機発光層14を介して第1電極層13と対向するように、有機発光層14状に面状で積層される。本実施形態では、有機発光層14で発光された光を第1電極層13側へ反射させるために、有機発光層14で発光される光を少なくとも反射する、例えば銀(Ag)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)等の金属(合金を含む)で形成される。なお、有機発光層14で発光された光を両面から放射させるために、第2電極層15も、上述の透明電極材料で形成されても良い。
【0023】
有機発光層14は、第1電極層13上に面状で積層され、1対の第1および第2電極層13、15で給電されると、発光する部材である。有機発光層14は、一例では、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)/正孔輸送層(HTL:Hole Transfer Layer)/発光層(EML:EMissive Layer)/電子輸送層(ETL:Electron Transfer Layer)/電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)により構成される。有機発光層14として、上記の他に、例えば発光層/電子輸送層により構成されるもの、正孔輸送層/発光層/電子輸送層により構成されるもの、正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層により構成されるもの、正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/バッファー層により構成されるもの、バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/バッファー層により構成されるものが挙げられる。なお、光量を増加させるために、有機発光層14が多層化されても良い。
【0024】
封止層16は、外部から通電可能とするために第1および第2電極層13、15の一部を外部に露出させて、第2電極層15上、および、上述のように積層された第1電極層13、有機発光層14および第2電極層15の各側面上を覆うように形成されることで、光学基板12とで、第1電極層13、有機発光層14および第2電極層15を封止する部材である。この封止層16によって有機発光層14の劣化が抑制される。
【0025】
金属保護層17は、封止層16上に面状で積層され、封止層16の表面を保護する層であり、例えば金属で形成される。
【0026】
このような構成のOLEDパネル1において、以下、有機発光層14で発光された光を放射する一方主面を「上面」と適宜に呼称し、前記上面(一方主面)に対向する他方主面を「背面」と適宜に呼称する。そして、
図1に示すように、OLEDパネル1の横方向、縦方向および厚さ方向それぞれに沿った各線分をX軸、Y軸およびZ軸とするXYZ直交座標系が設定され、X軸、X方向、Y軸、Y方向、Z軸およびZ方向の各呼称が、以下、適宜に用いられる。
【0027】
基板部材2は、外部からケーブル3を介して供給された電力を、OLEDパネル1に供給するための部材である。基板部材2は、本実施形態では、OLEDパネル1の全部または一部を配置する板状の本体部21と、ケーブル3を取り付けるための板状の付属部22と、ケーブル3で給電される電力をOLEDパネル1に給電するための図略の配線とを備える。
【0028】
本体部21は、OLEDパネル1より大きなサイズであっても良いが、コンパクト化のために、本実施形態では、平面視にてOLEDパネル1と略同サイズである。本体部21は、本実施形態では、OLEDパネル1の横方向(すなわち、X軸方向)における所定の位置で2分割されており、1対の第1および第2電極層13、15それぞれに設けられた1対の電極端子(電極パッド)(あるいは、1対の第1および第2電極層13、15それぞれに各配線を介して接続された1対の電極端子(電極パッド))を持つOLEDパネル1の一部分が配置される、平面視にて矩形形状の第1本体部211と、OLEDパネル1の残余部分が配置される、平面視にて矩形形状の第2本体部212とを備える。第1および第2本体部211、212における縦方向の各長さ(Y方向の各長さ)は、OLEDパネル1における縦方向の長さ(Y方向の長さ)と略等しく、第1および第2本体部211、212における横方向の各長さの和(X方向の各長さの和)は、OLEDパネル1における横方向の長さ(X方向の長さ)と略等しい。
【0029】
付属部22は、本実施形態では、第1本体部211から延設される。より具体的には、付属部22は、第1本体部211の外周における一部分から所定のサイズ(大きさ)で延設されている。より詳しくは、付属部22は、矩形形状の第1本体部211における縦方向(Y軸)に沿った一辺の一部、
図1および
図2に示す例では前記一辺の中央部分の一部(前記一辺の長さより短い長さ)から横方向(X方向)へ延設された矩形形状である。なお、付属部22は、矩形形状の第1本体部211における前記一辺の一方端部分の一部等、前記一辺の任意部分の一部から延設されて良い。すなわち、付属部22は、第1本体部211から、前記一辺における縦方向(Y軸)の任意の位置で、延設されて良い。付属部22における前記所定のサイズは、ケーブル3をはんだで直接的に付属部22に取り付ける場合では、電気的に接続するためだけでなく接続強度を増強するための量のはんだを少なくとも盛り付けることができる面積を持つサイズであり、本実施形態では、少なくとも第1コネクタ4を取り付けることができる面積を持つサイズである。
【0030】
これら第1本体部211および付属部22の各一方主面には、前記図略の配線がプリントされおり、これら第1本体部211、付属部22および前記図略の配線は、本実施形態では、プリント基板として一体化されて構成されている。
【0031】
ケーブル3は、その一方端が付属部22における前記図略の配線に、電気的に接続するためだけでなく接続強度を増強するための量のはんだで取り付けられて良いが、本実施形態では、第1および第2コネクタ4、5で取り付けられる。より具体的には、ケーブル3の一方端には、例えば雄コネクタの第2コネクタ5が取り付けられ、付属部22には、前記図略の配線に電気的に接続させて一方主面上に例えば雌コネクタの第1コネクタ4が取り付けられる。ケーブル3の他方端は、直接的に、あるいは、コネクタを介して、給電してOLEDパネル1を点消灯する駆動回路に接続される。
図1および
図2に示す例では、薄型化のために比較的小線径の電線を持つケーブル3が用いられており、このケーブル3における1対2本の電線で給電できる電力量は、OLEDパネル1で必要な電力量に満たないため、ケーブル3は、2本の電源ラインと2本の接地ラインとの2対4本の電線で構成されている。なお、OLEDパネルで必要な電力量が1対2本の電線で給電できる場合には、ケーブル3は、1対2本の電線で構成されて良い。
【0032】
このような構成の第1本体部211は、
図2Dに示すように、その前記図略の配線とOLEDパネル1の電極端子とが電気的に接続され、上面視にて付属部22がOLEDパネル1から突出するように、OLEDパネル1の背面における一方端部分に例えば接着剤等で固定的に取り付けられる。この状態では、第1本体部211の面と、この第1本体部211の取り付けられていないOLEDパネル1の背面との間に厚さ方向(Z方向)の段差が生じる。このため、本実施形態では、この段差を無くするために、第1本体部211と同厚の第2本体部212が、第1本体部211の取り付けられていないOLEDパネル1の背面における他方端部分(OLEDパネル1の背面における前記一方端部分を除く残余部分)に、例えば接着剤等で固定的に取り付けられる。このように本体部21を、プリント基板の第1本体部211と、プリント基板ではない板材の第2本体部212とで構成することによって、1枚のプリント基板で本体部21を構成する場合に較べて、低コスト化を図ることが可能となる。
【0033】
なお、本体部21は、1枚のプリント基板で構成されても良い。OLEDパネル1は、発光領域が相対的に小面積である場合には、本実施形態のように、1箇所に設けられた1対の電極端子を備えて構成されるが、発光領域が相対的に大面積になると、OLEDパネル1における透明電極部材で形成された電極層で生じる電圧降下のために輝度ムラが生じてしまうために、複数の箇所に複数対の電極端子を備えて構成される場合がある。特に、このような場合に、本体部21は、1枚のプリント基板で構成される。また、本体部21は、OLEDパネル1の一部を配置するように、第2本体部212を省略し、第1本体部211のみで構成されても良い。この場合では、上述のように、第1本体部211の面と、この第1本体部211の取り付けられていないOLEDパネル1の背面との間に厚さ方向(Z方向)の段差が生じるため、この段差を無くするために、第1本体部211と同厚の両面テープや接着剤等が前記第1本体部211の取り付けられていないOLEDパネル1の背面に設けられて良い。これによって第1本体部211と同厚の両面テープや接着剤等によって前記第1本体部211の取り付けられていないOLEDパネル1の背面とケーシング8との間が充填される。
【0034】
ケーシング8は、基板部材2を収容し、支持する部材である。より具体的には、本実施形態では、ケーシング8は、OLEDパネル1を配置した基板部材2およびこれに横方向(X方向)で並置される押さえ部材6を収容する高さで各側壁81-1、81-2、81-3となるように、三辺を略垂直に折り曲げた金属板である。ケーシング8の底部における一方端には、押さえ部材6を取り付けるためのケーシング側ねじ孔82(82-1、82-2)と、OLED照明装置Sを他の部材に取り付けるためのケーシング側取付け孔83(83-1、83-2)とが貫通開口で形成されている。
【0035】
押さえ部材6は、ケーブル3をケーシング8に押さえ付ける部材である。より具体的には、本実施形態では、押さえ部材6は、基板部材2の付属部22と干渉しないように切り欠きを備える板状の部材である。より詳しくは、押さえ部材6は、OLEDパネル1の縦方向(Y方向)の長さと同じ長さの矩形形状であって板状である押さえ本体部61と、押さえ本体部61の両端部分それぞれから横方向(X方向)に延びる第1および第2アーム部62-1、62-2とを備え、第1および第2アーム部62-1、62-2間の長さ(縦方向の長さ)が付属部22の縦方向の長さより長く、第1および第2アーム部62-1、62-2それぞれの横方向の長さが付属部22の横方向の長さより長くなっている。すなわち、押さえ部材6は、平面視にて略コ字形状を呈しており、この略コ字形状の切り欠き部分内に付属部22を配置(収容)可能な寸法で形成されている。押さえ本体部61の背面には、ケーブル3を嵌め込むための凹所611がケーブル3の厚さより若干短い深さ(若干浅い深さ、Z方向の長さ)で横方向(X方向)に延びて形成されている。押さえ本体部61には、ケーシング8に形成されたケーシング側ねじ孔82(82-1、82-2)およびケーシング側取付け孔83(83-1、83-2)それぞれに対応して押さえ側ねじ孔612(612-1、612-2)および押さえ側取付け孔613(613-1、613-2)が貫通開口で形成されている。
【0036】
上述のように組み付けられた、OLEDパネル1、基板部材2、ケーブル3、第1コネクタ4および第2コネクタ5は、OLEDパネル1および第2本体部212の他方端部の端面を、ケーシング8の他方端部における側壁81-2の内側面に当接させ、そして、基板部材2の面(第1本体部211、第2本体部212および付属部22の各面)をケーシング8の底面に当接させて、ケーシング8に収容され、配置される。この際に、
図2Dに示すように、例えば両面テープや接着剤等の固定部材10で付属部22がケーシング8に固定される。なお、第1および第2本体部211、212のうちの少なくとも一方も、例えば両面テープや接着剤等でケーシング8に固定されても良い。本実施形態では、第1および第2アーム部62-1、62-2間に付属部22が配置(収容)され、押さえ本体部61の背面に形成された凹所611にケーブル3が配置されるように、押さえ部材6が、OLEDパネル1に横方向で並置されるように配置される。そして、押さえ部材6をケーシング8に固定するための固定ねじ9(91、92)が、ケーシング側ねじ孔82(82-1、82-2)を介して押さえ側ねじ孔612(612-1、612-2)に螺合される。これによって押さえ部材6が固定ねじ9によってケーシング8に固定され、ケーブル3が凹所611で押さえ部材6によってケーシング8に押さえ付けられる。
【0037】
そして、美観の観点から、カバー部材7が配設される。本実施形態では、カバー部材7は、OLEDパネル1の非発光領域を目隠しするための第1カバー部材71と、付属部22、ケーブル3の端部、第1コネクタ4、第2コネクタ5および押さえ部材6を目隠しするための第2カバー部材72とを備える。第1カバー部材71は、平面視にてOLEDパネル1と略同サイズであって、OLEDパネル1の発光領域に対応する領域を開口したシート状の部材である。本実施形態では、OLEDパネル1の外形および発光領域が矩形形状であることから、第1カバー部材71は、外形が矩形形状であって、この外形サイズより一回り小さいサイズの矩形形状の開口を形成した環状のシート状の部材である。第2カバー部材72は、押さえ部材6における、第1アーム部62-1から第2アーム部62-2までを覆うような矩形形状のシート状の部材である。このようなカバー部材7は、第1カバー部材71がOLEDパネル1の上面に、両面テープや接着剤等によって貼着され、第2カバー部材72が第1アーム部62-1から第2アーム部62-2までを覆うように、第1および第2アーム部62-1、62-2の面上に、両面テープや接着剤等によって貼着される。
【0038】
次に、本実施形態におけるOLED照明装置Sの作用効果について説明する。
図5は、一例として、OLEDパネルにおける給電電極を説明するための図である。
図5Aは、OLEDパネルの背面を示し、
図5Bは、
図5Aで○で囲まれた部分の拡大図を示し、
図5Cは、
図5Bに示すII-II断面線での断面図を示す。
図5は、非特許文献2の23頁から抜粋した図である。OLEDパネルにケーブルを直接的に取り付ける場合では、
図5に示す+電極および-電極にケーブルを例えばはんだで取り付けることになる。これら+電極および-電極は、OLEDパネルが可能な限り軽くてコンパクトに設計されているため、その面積が非常に小さい。
図5に示す例では、1.6mm×1.6mm=2.56mm
2ほどである。このため、接続強度を増強するために、多くのはんだを盛り付けることが難しい。仮に、この小面積な+電極および-電極にはんだをより多く盛ることができたとしても、多く盛り付けたが故に、はんだの高さがOLEDパネルの背面を超えてしまい、OLEDパネルをケーシングに収容する際に、高く盛られたはんだによってOLEDパネルの面をケーシングの面に密着することができない。はんだをより多く盛ることができるように凹所を形成しようとしても、OLEDパネルの厚さが、例えば
図5に示す例のように、約1mm程度であるので、前記凹所を深くすることも難しい。
【0039】
一方、本実施形態におけるOLED照明装置Sは、付属部22を備えるので、電気的に接続するためだけでなく接続強度を増強するための量ではんだを盛り付けたり、コネクタ(上述では第1コネクタ4)を配設したりできるから、ケーブル3の引っ張りに対する耐性をより強くできる。
【0040】
上記OLED照明装置Sは、付属部22がケーシング8に固定部材10で固定されるので、ケーブル3の引っ張りに対する耐性をさらにより強くできる。
【0041】
上記OLED照明装置Sは、押さえ部材6をさらに備えるので、その凹所611において、ケーブル3がケーシング8と押さえ部材6とで狭持されるから、ケーブル3の引っ張りに対する耐性をさらにより強くできる。
【0042】
OLEDパネルは、正面視にて、光が放射される発光領域を除く領域を可能な限り低減することでそのサイズ(大きさ)のコンパクト化を実現している。上記OLED照明装置Sは、OLEDパネル1を配置する本体部21の外周における一部分(上述の例では第1本体部211の一辺の一部分)から付属部22を延設するので、OLEDパネル1の大きさに対し必要最小限の付加で付属部22を実現できている。特に、複数の光電変換素子を1次元や2次元でアレイ状に配置したイメージセンサでワークを撮像して得られた画像を所定の目的に応じて処理するマシンビジョン(machine vision)では、前記所定の目的を達成し易い照射方向から前記ワークを照明できるようにOLED照明装置を配設する必要がある。上記OLED照明装置Sは、付属部22が本体部21の外周における一部分から延設されているので、マシンビジョンのためにOLED照明装置Sを配設する場合に、配設箇所における他の部材や装置と上記OLED照明装置Sとの干渉を低減できる。例えば、OLEDパネル1が平面視にて矩形形状である場合には、一辺だけに付属部22を延設すれば良いので、残余の三辺は、そのまま維持できる。
【0043】
なお、上述の実施形態では、付属部22は、本体部21の第1本体部211から延設されたが、本体部21と別体であっても良い。
【0044】
図4は、前記OLED照明装置の変形形態を説明するための図である。
図4は、
図2と同様に、カバー部材7、押さえ部材6、第2コネクタ5およびケーブル3を除いた状態での構成を示し、変形形態におけるOLED照明装置Saの上面図である。
【0045】
この変形形態におけるOLED照明装置Saは、上述のように、本体部21と別体の付属部22aを備える基板部材2aを備える点を除き、上述のOLED照明装置Sと同様に構成されている。この基板部材2aは、本体部21と、付属部22aと、配線とを備える。この変形形態における本体部21は、付属部22aと別体である点を除き、上述の第1および第2本体部211、212を備える本体部21と同様である。付属部22aは、本体部21と別体である点を除き、上述の付属部22と同様である。前記配線は、本体部21の面にプリントされた図略の第1サブ配線と、付属部22aの面にプリントされた図略の第2サブ配線と、前記第1サブ配線と前記第2サブ配線とを繋ぐリード線24(24-1、24-2)とを備える。前記図略の第1サブ配線は、第1本体部211にプリントされた上述の前記図略の配線と同様であり、前記図略の第2サブ配線は、付属部22にプリントされた上述の前記図略の配線と同様である。このように付属部22aを本体部21と別体とすることで、既に基板部材を備えたOLEDパネルに対し、後付で付属部22aを設けることができ、後付で接続強度が増強できる。
【0046】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0047】
S、Sa OLED照明装置
1 OLEDパネル
2、2a 基板部材
3 ケーブル
4 第1コネクタ
5 第2コネクタ
6 押さえ部材
8 ケーシング
10 固定部材
21 本体部
22、22a 付属部
211 第1本体部
212 第2本体部