(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ハンドレバー
(51)【国際特許分類】
F16K 31/60 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
F16K31/60 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019006004
(22)【出願日】2019-01-17
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク フネクール
(72)【発明者】
【氏名】ティモ イェクレ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ビュアギ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴィツァ ラレヴィチ
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-337547(JP,A)
【文献】特開平09-166240(JP,A)
【文献】特開2011-021641(JP,A)
【文献】特開平09-178033(JP,A)
【文献】実開昭48-026517(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261602(US,A1)
【文献】米国特許第09797522(US,B1)
【文献】国際公開第2008/105056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バタフライ弁またはボール弁を操作するため
のハンドレバー(1)であって、
レバー(2)と、
ロックプレート(5)と、
を備え、
前記レバー(2)は、ロック要素(4)と、レバー上部(3)とを有し、
前記レバー上部(3)には、前記ロックプレート(5)と結合させて弁に取り付けるための取付け要素(6)が配置されており、前記ロックプレート(5)は、前記取付け要素(6)を収容するための収容開口(7)を有する、ハンドレバー(1)において、
前記収容開口(7)は、楕円形に形成されていて、かつ前記取付け要素(6)は、円形の横断面を有するか、または前記取付け要素(6)は、楕円形の横断面を有し、かつ前記収容開口(7)は、円形に形成されており、
前記収容開口(7)の楕円形
の輪郭および円形
の輪郭が
、少なくとも1つの切欠きまたは凹部(9)を有することを特徴とする、ハンドレバー(1)。
【請求項2】
前記取付け要素(6)は、円筒形の形状を有し、該取付け要素(6)には
、前記ロックプレート(5)に係止するための少なくとも1つの凸部(8)が配置されていることを特徴とする、請求項1記載のハンドレバー(1)。
【請求項3】
少なくとも2つの凸部(8)が、前記取付け要素(6)に配置されていて、前記少なくとも2つの凸部(8)は
、45°~180°互いに対してずらして配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のハンドレバー(1)。
【請求項4】
前記凸部(8)は、互いに反対の側に位置することを特徴とする、請求項3記載のハンドレバー(1)。
【請求項5】
前記収容開口(7)の前記楕円形
の輪郭は、互いに対して偏心的に配置された2つの円形輪郭によって形成されていることを特徴とする、請求項1記載のハンドレバー(1)。
【請求項6】
前記楕円形
の輪郭は、長孔として形成されていることを特徴とする、請求項1または5記載のハンドレバー(1)。
【請求項7】
前記2つの円形輪郭は、同じ半径を有することを特徴とする、請求項5または6記載のハンドレバー(1)。
【請求項8】
前記ロックプレート(5)は、レバーの回転を制限するために、前記収容開口(7)の領域に、少なくとも1つのストッパ(14)を有することを特徴とする、請求項1記載のハンドレバー(1)。
【請求項9】
前記ロックプレート(5)は、レバーの回転を制限するために、前記収容開口(7)の領域に、少なくとも2つのストッパ(14)を有し
、一方の前記ストッパ(14)は、最大の開弁状態において回動を制限し、他方の前記ストッパ(14)は、完全な閉弁状態において回動を制限することを特徴とする、請求項8記載のハンドレバー(1)。
【請求項10】
前記ロックプレート(5)は、外周に歯列(13)を有し、該歯列(13)は
、外周の円セグメント領域にわたって配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のハンドレバー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁、好ましくはバタフライ弁またはボール弁を操作するための、好ましくはプラスチックから成るハンドレバーであって、レバーと、ロックプレートとを備え、レバーは、ロック要素と、レバー上部とを有し、レバー上部には、弁に取り付けるかつロックプレートに結合するための取付け要素が配置されており、ロックプレートは、取付け要素を収容するための収容開口を有する、ハンドレバーに関する。
【0002】
ハンドレバーによって、弁を開閉することができる、または部分的にのみ開弁することもできる。通流量を調整するために、通常は、ハンドレバーの操作により、閉鎖体を弁ハウジング内で回動させる。たいてい、この種のハンドレバーは閉鎖弁に使用される。なぜならば、この種の閉鎖弁を操作するには、より高い作用力を必要とするからである。閉鎖体の軸まわりの多くとも1回の回動を必要とし、閉鎖体の複数回の回動を必要としない、ボール弁用または他の弁用のハンドレバーも考えられる。
【0003】
国際公開第2008105056号明細書(WO2008105056)には、バタフライ弁を操作するためのこの種のハンドレバーが開示されており、このハンドレバーでは、取付け用の個々の部品が多数必要であり、ねじ頭が突出していて怪我をするおそれがある、という欠点がある。
【0004】
欧州特許出願公開第0702177号明細書(EP 0 702 177 A1)には、ハンドレバーを備えたバタフライ弁が開示されており、ハンドレバーは、一方では係止部を介して段階的に位置調整することができ、他方では無段階に位置調整することもできる。このバタフライ弁では、レバーが、怪我をするおそれがある多数の突出する縁を有する、という欠点がある。
【0005】
本発明の課題は、怪我を回避するために、突出するねじまたはシャープな縁を有さず、弁に簡単で素早くかつ確実に取り付けることを可能にする、ハンドレバーを提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、収容開口が楕円形に形成されていて、かつ取付け要素が円形の横断面を有する、または取付け要素が楕円形の横断面を有し、かつ収容開口が円形に形成されており、収容開口の楕円形の延在輪郭および円形の延在輪郭が、好ましくは少なくとも1つの切欠きまたは凹部を有することにより、解決される。
【0007】
弁、好ましくはバタフライ弁またはボール弁を操作するためのハンドレバーは、好ましくはプラスチックから形成されている。ハンドレバーは、他の弁、好適には90°の操作角度を有する弁にも使用することができ、この場合、ハンドレバーは、180°の操作角度またはさらに360°までの操作角度を有する弁に対しても機能する。
【0008】
ハンドレバーは、たいてい、操作するためにより高い作用力を必要とする場合、弁に設けられる。
【0009】
本発明に係るハンドレバーは、ロック要素とレバー上部とを含むレバーを備える。好ましくは、レバー上部も、ロック要素と同様にプラスチックから成る。レバーの1つの好適な実施の形態では、ロック要素が、またレバー上部も支持要素を有し、これにより、ロック要素はレバー上部に可動に支持されている。もちろん、支持部のこれとは逆の配置も考えられる。これにより、レバー上部とロック要素とを後側の領域において操作するまたは押し合わせる間に、ロック要素の前側の領域がレバー上部から離反することが実現され、これにより、ロック要素の端面に配置された歯列は、係止ディスクの外周に設けられた、対応する歯列から外され、そうして弁のレバーまたは閉鎖体の位置調整が可能になり、これにより、通流量が調整される。
【0010】
好ましくは、レバー上部とロック要素との間に、ばね弾性的な要素が配置されていて、この要素は、レバーの非操作時にロック要素の歯列がロックプレートと噛み合い、レバーを操作しないとロック要素を歯列から外すことができないように働く。
【0011】
ハンドレバーの択一的な実施の形態として、係止部を有しないレバーまたは閉鎖体の位置調整の手段も存在し、これにより、それぞれの位置を調整することができる。このことは、レバー上部に配置された、たとえばロック要素に配置されたロックねじを用いてレバー上部をロックプレートに緊締するロック要素によって可能になる。
【0012】
ハンドレバーは、好ましくはプラスチックから成るロックプレートを備え、その際、レバー上部に配置された取付け要素は、ロックプレートに結合するのに用いられる。さらに、レバー上部または取付け要素は、弁または閉鎖体の回動軸に結合され、好ましくは形状結合式の結合部、たとえば多角穴を介して結合される。取付け要素をロックプレートに結合するために、ディスクとして形成されたロックプレートは、中心に配置された収容開口を有する。円形の横断面および好ましくは円筒形の形態を有する取付け要素を、収容開口の楕円形の延在輪郭を貫いて差し込むことができる、または収容開口の延在輪郭は円形に形成されており、取付け要素は、同様に円筒形に構成された楕円形の横断面を有する。好ましくは、収容開口の延在輪郭に、取付け要素の取付けおよびロックを可能にする少なくとも1つの切欠きまたは凹部が存在する。
【0013】
好ましくは、取付け要素は、円筒形に形成されていて、好ましくは少なくとも1つの凸部を有し、凸部は、収容開口内に設けられた切欠きに対応し、このようにして簡単に取付け可能である。
【0014】
好適な実施の形態として、取付け要素は、少なくとも2つの凸部を有し、これらの少なくとも2つの凸部は、好ましくは45°~180°互いに対してずらして配置されていて、特に好適には、凸部は互いに反対の側に配置されている。
【0015】
このような配置は、弁が完全に開放されているまたは閉鎖されているときに、凸部が回動運動の制限部としても働き、ロックプレートのストッパに当接することを可能にする。
【0016】
1つの好適な実施の形態は、収容開口の楕円形の延在輪郭が、互いに対して偏心的に配置された2つの円形輪郭によって形成されることである。これにより、取付け要素を所定の位置または配向のみにおいてロックプレートに取り付けることができ、取付け要素をロックプレートの収容開口内で回動させるかつ摺動させることにより、弁ハウジングにねじ止めされた弁からロックプレートを取り外さずには、レバー上部を取り外し得ないことを保証することが可能になる。
【0017】
楕円形の延在輪郭が長孔として形成されていると有利である。複数の円形輪郭は、好ましくは共通の1本の軸に沿って互いに離隔して配置されている。
【0018】
また、複数の円形輪郭が同じ半径を有すると有利であると判明した。このことは、取付け要素の取付けを簡素化する。
【0019】
1つの好適な実施の形態によれば、ロックプレートは、少なくとも1つのストッパを有し、このストッパは、収容開口の領域に配置されていて、好ましくは取付け要素に設けられた凸部に対応し、これによりレバーの回転が制限される。ストッパの位置に応じて、ハンドレバーでもって実現されるべき回転角度を規定することができる。少なくとも1つのストッパをロックプレートに配置することにより、怪我のおそれがある制限手段またはねじ頭の突出を回避することができる。好ましくは、ストッパは、ロックプレートと一体的に形成されているまたはロックプレートに組み込まれて配置されている。
【0020】
回転運動に対する2つのストッパがロックプレートに配置されており、好ましくは、一方のストッパが最大の開弁状態を制限し、他方のストッパが完全な閉弁状態を制限すると、特に好適であると判明した。一方のストッパが回転運動を制限するために一方の凸部に対応し、他方のストッパが回転運動を制限するために他方の凸部に対応すると、有利である。
【0021】
弁の貫通開口の段階的な位置調整を可能にするために、ロックプレートは、好ましくはその外周に歯列を有し、この歯列に、ロック要素の端面に設けられた歯列が対応する。歯列が、ロックプレートの外周の円セグメント領域のみにわたって配置されていると、有利である。歯列は、弁の操作角度と同様の範囲内でのみ、外周にわたって配置する必要がある。
【0022】
本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。本発明は、実施の形態のみに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明に係るハンドレバーの縦断面図である。
【
図3】取付け要素をロックプレート内へ挿入中の、本発明に係るハンドレバーの下面図である。
【
図4】ロックプレートに係止された、本発明に係るハンドレバーの下面図である。
【
図5】すでに回動させられた、本発明に係るハンドレバーの下面図である。
【
図7】楕円形の横断面を有する取付け要素を備える、本発明に係るハンドレバーの一部である。
【
図8】別の実施の形態のレバーを備える、本発明に係るハンドレバーの分解図である。
【0024】
図1には、本発明に係るハンドレバー1が分解図で示されている。ハンドレバー1は、レバー2を備える。レバー2には、レバー上部3とロック要素4とが含まれていて、好ましくは、レバー上部3はロック要素4と同様にプラスチックから製造されている。択一的に、
図8には、本発明に係るハンドレバー1の別の実施の形態が示されている。この実施の形態では、ロック要素4がレバーとして形成されていて、このようにすると、ロックプレート5に係止するのではなく、たとえば固定用のねじおよびナットを用いて、ロックプレート5に緊締するだけで、ハンドレバー1のロックが可能となる。さらに、ハンドレバー1は、ロックプレート5を備える。ロックプレート5は、レバー2またはレバー上部3を収容しかつ取り付けるのに用いられる。レバー上部3の前端部には、取付け要素6が配置されている。取付け要素6は、ロックプレート5に係止される。取付け要素6は、好ましくは円筒形の形状を有する。この場合、取付け要素6を、ロックプレート5の収容開口7を貫いて差し込むことができ、好ましくは取付け要素6に配置された凸部8は、好ましくは収容開口7内に配置された切欠きまたは凹部9に対応する。このことは、
図3に示される。取付け要素6は、円形の横断面を有することができ、かつ
図1~
図7に示されたような楕円形の形状を有する収容開口7に対応することができる。または択一的に、取付け手段6は、楕円形の横断面を有し、対応する収容開口は、
図7に示されたように円形に形成されている。収容開口7が、好ましくは、互いに対して偏心的に配置された2つの円形輪郭によって形成された楕円形の延在輪郭を有することにより、取付け要素6は、これがロックプレート5を貫いて差し込まれた後に偏心的に摺動させられ、これにより、
図3および
図4において看取可能なように、凸部8を、ストッパ14の上を通過して回動させることができ、その後、
図5に示されているように、再び摺動して戻すことが可能であり、そこではすでに所定の回動が行われている。
図5から看取可能であるのは、一方の凸部8が、一方の方向における回動制限部として働く一方のストッパ14にどのように当接するかということ、および他方の凸部8が、他方の方向における回動を制限するのに用いられる他方のストッパ14にどのように当接するかということである。このようにして、取付け要素6を、弁(図示せず)にねじ止めされたロックプレート5に取り付けることにより、レバー2は取り外すことができなくなる。
【0025】
レバー上部3は、弁または閉鎖体の軸に結合するための取付け要素6内に、収容部10を有する。収容部10は、閉鎖体の軸に、好ましくは形状結合式に結合されている。その際、収容部10は、好ましくは多角穴として形成されている。
【0026】
1つの好適な実施の形態として、
図1によるハンドレバー1が実証されており、
図1のハンドレバー1では、レバー上部3とロック要素4とは、好ましくは支持要素11を介して互いに結合されている。有利であるのは、ロック要素4が上部3内に支持されており、レバー上部3およびロック要素4の後側の領域を押し合わせることにより、ロック要素4の歯付端面12が降下し、ロックプレート5の歯列から外される場合である。このことにより、レバー2の回転が可能になり、したがって弁を開閉することができる。本実施の形態は、たいてい、係止部13が必要とされるときに使用され、係止部を有しない微調整可能なハンドレバー1が好まれる場合には、レバーがレバー上部3の上方でロック要素4として働く、
図8に示された実施の形態が代用される。
【0027】
図2には、ハンドレバー1が縦断面図で示されている。
図2では、レバー上部3,ロック要素4の支持要素11が良好に看取可能である。レバー上部3およびロック要素4を、通常状態においてまたは非操作時に応力が掛かった状態で保持し、かつロック要素4の端面12に設けられた歯列を、ロックプレート5の歯列13と噛み合った状態で保持するために、好ましくは、ばね要素(図示せず)が、レバー上部3とロック要素4(下部)との間に組み付けられていて、応力を維持する。
【0028】
取付け要素6に配置された凸部8、好ましくは複数の凸部8は、取付けの機能の他に、回動運動制限部としても働く。これらの凸部8は、少なくとも1つのストッパ14とともに、レバーの回転運動を制限するのに役立ち、その際、ストッパ14は、ロックプレート5(係止要素)の収容開口7の領域に配置されている。この機能は、
図4および
図5において良好に看取できる。もちろん、これらの図面において看取可能なように、2つのストッパ14を配置することもでき、この場合、一方の凸部8は、一方のストッパ14とともに、一方の回動方向に対して制限部として働き、他方の凸部8は、他方のストッパ14とともに、他方の方向に制限するように働く。
【0029】
凸部8と、凸部8が貫いて差し込まれる切欠き9とは、レバーを180°誤って取り付けることが不可能であるようにコード化されていて、このことは、好ましくは、両凸部8および切欠き9のそれぞれ異なる幅によって実現される。
【符号の説明】
【0030】
1 ハンドレバー
2 レバー
3 レバー上部
4 ロック要素
5 ロックプレート
6 取付け要素
7 収容開口
8 凸部
9 凹部/切欠き
10 収容部
11 支持要素
12 歯付端面
13 ロックプレートの歯列
14 ストッパ