(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 19/26 20060101AFI20230124BHJP
H02K 19/12 20060101ALI20230124BHJP
H02K 1/24 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H02K19/26 A
H02K19/12
H02K1/24 B
(21)【出願番号】P 2019017678
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2018087331
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018105413
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】桂 斉士
(72)【発明者】
【氏名】北村 太一
(72)【発明者】
【氏名】植村 公貴
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-345661(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040247(WO,A1)
【文献】特開2012-115085(JP,A)
【文献】特開2013-118799(JP,A)
【文献】特開2014-168368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 19/26
H02K 19/12
H02K 1/27
H02K 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流により回転磁界を発生する固定子巻線を備える固定子と、
前記固定子に対して回転軸を中心に回転自在に保持される回転子と、
直流電流により前記回転子を励磁する界磁コイルとを備え、
前記回転子は、
第1円環部と、前記第1円環部
に連なって前記回転軸の軸方向に延びる複数の爪部とを有する第1磁極と、
第2円環部と、
前記第2円環部に連なるとともに前記第2円環部の外周面において径方向に突出する複数の凸部とを有する第2磁極とを備え、
前記回転子においては、
前記第1磁極の前記爪部が、前記第2磁極の前記第2円環部よりも径方向外側に位置して、
前記第1磁極の前記爪部と前記第2磁極の前記凸部とが、周方向に交互に位置して、
前記第2磁極の前記凸部が、前記第1磁極の前記爪部および前記爪部と前記第1円環部とによって囲まれて、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に、径方向隙間、周方向隙間および軸方向隙間を設けることにより、前記第1磁極および前記第2磁極が非接触状態に保たれており、
前記回転子は、前記径方向隙間または前記周方向隙間に配設された非磁性体の隙間配設部材をさらに備え、
前記隙間配設部材が、前記第1磁極と前記第2磁極とのうちの少なくとも一方に対して軸方向に係止され、前記第1磁極と前記第2磁極とを軸方向に位置決めする軸方向位置決め部を有する、ブラシレス巻線界磁型回転電機。
【請求項2】
前記隙間配設部材は、前記径方向隙間に配設され、前記第1磁極および前記第2磁極の径方向位置決めを行う、請求項1に記載
の回転電機。
【請求項3】
前記回転子は、前記第1磁極の前記爪部を径方向に保持する非磁性体の磁極保持部材をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記磁極保持部材は、前記周方向隙間に配設される張出部を備える、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記回転子は、軸方向一側において係合凹部を有するとともに軸方向他側において被係合面を有し、
前記隙間配設部材は、軸方向一側において前記係合凹部に係合する係合突出部を有するとともに軸方向他側において前記被係合面に係合する係合爪部を有し、
前記係合突出部および前記係合爪部は、前記軸方向位置決め部として働く、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記回転子が軸方向一側において係合凹部を有するとともに、前記磁極保持部材が軸方向他側において被係合面を有し、
前記隙間配設部材は、軸方向一側において前記係合凹部に係合する係合突出部を有するとともに軸方向他側において前記被係合面に係合する係合爪部を有し、
前記係合突出部および前記係合爪部は、前記軸方向位置決め部として働く、請求項3または請求項4に記載の回転電機。
【請求項7】
前記界磁コイルが、前記回転子に対して前記回転軸の軸方向に並んで配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第1磁極の前記爪部と周方向の同一位置であり且つ前記爪部の内周面と前記第2円環部の外周面との間の前記径方向隙間に永久磁石をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記隙間配設部材は、前記周方向隙間に配設され、前記第1磁極および前記第2磁極の周方向位置決めを行う、請求項1に記載
の回転電機。
【請求項10】
前記回転子は、前記第1磁極および前記第2磁極を径方向に保持する非磁性体の磁極保持部材をさらに備える、請求項9に記載
の回転電機。
【請求項11】
前記軸方向位置決め部が前記爪部に係合した状態で、前記隙間配設部材は前記磁極保持部材に固定される、請求項10に記載
の回転電機。
【請求項12】
前記爪部が、前記凸部と対面する側において周方向に突出する係合凸部を有し、
前記隙間配設部材が、前記磁極保持部材と対面しない側において、前記係合凸部に対して前記軸方向に係合する軸方向係合部を有して、
前記隙間配設部材の前記軸方向係合部が、前記爪部の前記係合凸部に係合する、請求項10または請求項11に記載の回転電機。
【請求項13】
前記第1磁極の前記爪部が、前記磁極保持部材の側の端縁において第1先端係止部を有し、
前記第2磁極の前記凸部が、前記磁極保持部材の側の端縁において第2先端係止部を有し、
前記磁極保持部材が、外周側において前記第1先端係止部および前記第2先端係止部に嵌合する嵌合部を有する、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項14】
前記第1先端係止部の外周面および前記第2先端係止部の外周面が、前記回転軸の軸心を中心とする同じ周上に位置する、請求項13に記載の回転電機。
【請求項15】
前記磁極保持部材への前記隙間配設部材の固定が、ボルト止め、溶接、リベットカシメまたはろう付けである、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項16】
前記界磁コイルが、前記回転子に対して前記回転軸の前記軸方向に並んで配置される、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項17】
前記第1磁極の前記爪部と周方向の同一位置であり且つ前記爪部の内周面と前記第2円環部の外周面との間の前記径方向隙間に永久磁石をさらに備える、請求項9から請求項16のいずれか1項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシレス巻線界磁型回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1は、固定子を回転子の径方向の外側に配置して、回転子に対して静止した界磁コイルから磁束を供給することにより、回転子を磁化するのに必要なブラシを廃止するブラシレス巻線界磁型回転電機を開示する。
【0003】
特許文献2は、エンジンと回転電機とを連結することで、エンジン始動時に電動機として機能し、且つ、走行中では発電機として機能する回転電機を動力伝達装置の外周に配置する構造を開示する。
【0004】
特許文献1および特許文献2を組み合わせると、動力伝達装置の外周側での狭小な空間において、固定子と回転子と界磁コイルとの3つの部材が回転軸の同軸異径上に配置されることになる。そのため、回転電機の体積について厳しい制約が課せられ、設計自由度が制限され、回転電機の出力性能が限定される。
【0005】
回転電機の回転子において、第1磁極および第2磁極が、簡易な構成で、非接触状態を保ちながら位置決めされて、設計自由度を大きくするとともに出力性能を向上させるブラシレス巻線界磁型回転電機が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3445492号
【文献】特表2010-516558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明の課題は、第1磁極および第2磁極が、簡易な構成で、非接触状態を保ちながら位置決めされるブラシレス巻線界磁型回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る回転電機は、
交流電流により回転磁界を発生する固定子巻線を備える固定子と、
前記固定子に対して回転軸を中心に回転自在に保持される回転子と、
直流電流により前記回転子を励磁する界磁コイルとを備え、
前記回転子は、
第1円環部と、前記第1円環部から前記回転軸の軸方向に延びる複数の爪部とを有する第1磁極と、
第2円環部と、前記第2円環部の外周面において径方向に突出する複数の凸部とを有する第2磁極とを備え、
前記回転子においては、
前記第1磁極の前記爪部と前記第2磁極の前記凸部とが、周方向に交互に位置して、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に、径方向隙間、周方向隙間および軸方向隙間を設けることにより、前記第1磁極および前記第2磁極が非接触状態に保たれており、
前記回転子は、前記径方向隙間または前記周方向隙間に配設された非磁性体の隙間配設部材をさらに備え、
前記隙間配設部材が、前記第1磁極と前記第2磁極とのうちの少なくとも一方に対して軸方向に係止され、前記第1磁極と前記第2磁極とを軸方向に位置決めする軸方向位置決め部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、径方向隙間または周方向隙間に配設された非磁性体の隙間配設部材によって第1磁極および第2磁極の径方向位置決めまたは周方向位置決めが行われるとともに、隙間配設部材の軸方向位置決め部によって軸方向位置決めが行われる。したがって、隙間配設部材が複数の機能を提供することによって、第1磁極および第2磁極が、径方向または周方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】この発明の第1実施形態に係る回転電機の回転子を回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【
図3】
図2に示した回転子を回転軸に沿って垂直に切断したときの断面図である。
【
図5】
図2に示した回転子を軸方向から見たときの図である。
【
図6】
図2に示した回転子から磁極保持部材を取り除いた状態での斜視図である。
【
図7】磁極保持部材を軸方向から見たときの図である。
【
図9】第1実施形態の変形例に係る回転電機の回転子を回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【
図10】第1実施形態の他の変形例に係る回転電機の回転子を回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【
図11】この発明の第2実施形態に係る回転電機の回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【
図12】回転電機の回転子の回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【
図14】
図12に示した回転子から磁極保持部材を取り除いた状態での斜視図である。
【
図15】
図14に示した回転子からスペーサ部材を取り除いた状態での斜視図である。
【
図17】第2実施形態の変形例に係る、回転子の回転軸に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る回転電機1の実施の形態を説明する。
【0012】
まず、
図1を参照しながら、回転電機1の全体構成を説明する。
【0013】
図1に示すように、回転電機1は、回転軸10に沿って車両のエンジン8と変速機9との間に配置され、動力伝達装置4を内包するケース5と動力伝達装置4との間に位置するブラシレス巻線界磁型回転電機1である。回転電機1は、回転子2と、固定子3と、界磁コイル7とを少なくとも備える。動力伝達装置4は、エンジン8の出力軸から変速機9までの動力伝達経路に配置され、例えば、トルクコンバータや摩擦式クラッチやフルードカップリングなどである。
【0014】
固定子3は、ケース5に回転不可に固定保持される円筒状の部材である。固定子3は、例えば電磁鋼板を積層した固定子コアと、固定子コアに形成される複数のスロットと、スロットに装着される複数の固定子巻線14とを具備する。固定子3は、固定子巻線14を内部に備えて、固定子巻線14に流れる交流電流により回転磁界を発生させる。
【0015】
回転子2は、エンジン8の出力軸と同期回転する同期回転部材に連結され、かつ、エンジン8の出力軸の中心軸を回転軸10としている。よって、エンジン8の出力軸と回転電機1の回転子2の回転軸10とは、同じ中心軸を有する。
【0016】
回転子2は、動力伝達装置4の外殻(同期回転部材)に固定して配置され、回転子2の外周面が固定子3の内周面に対面し、且つ、回転子2の変速機9側の端面が界磁コイル7のエンジン8側の端面に対面して、回転軸10を中心にして固定子3及び界磁コイル7に対して回転自在に保持されている。回転子2は、後述するように、第1磁極21および第2磁極22を有する。
【0017】
界磁コイル7は、回転軸10に沿って回転子2に対して変速機9側にシフトして、回転子2に対して回転軸10に沿って並んで配置されて、変速機9側でケース5に固定保持されている。界磁コイル7は、界磁コア6(
図11に図示)の内部に設けられて、直流電流により磁束を励磁する。なお、界磁コイル7は、回転軸10に沿って回転子2に対してエンジン8側にシフトして、第2エアギャップ12を介して回転子2に対して並んで配置することもできる。
【0018】
回転子2と固定子3との間には、第1エアギャップ11が形成されて、第1エアギャップ11を介して回転子2と固定子3との間で磁束を受け渡す。第1エアギャップ11は、固定子3の内周面と回転子2の外周面との間で形成される隙間であり、回転軸10の軸方向に沿って延在する。
【0019】
回転子2と界磁コア6との間には、第2エアギャップ12が形成されて、第2エアギャップ12を介して回転子2と界磁コイル7との間で磁束を受け渡す。第2エアギャップ12は、回転子2の回転軸10の軸方向の変速機9側の端部と界磁コア6のエンジン8側の端部との間で形成される隙間である。
【0020】
このように、界磁コイル7は、第2エアギャップ12を介して、回転子2に対して回転軸10の軸方向に並んで配置されている。当該構成によれば、界磁コイル7が回転子2に対して軸方向にシフトして配置されるので、界磁コイル7の径方向の厚みを厚くすることにより界磁コイル7の磁束を大きくできるとともに、設計の自由度を大きくできる。
【0021】
上記構成の回転電機1において、界磁コイル7が通電されると、界磁コイル7による磁束が発生する。界磁コイル7による磁束は、界磁コア6から、第2エアギャップ12と、回転子2の第1磁極21と、第1エアギャップ11と、固定子3と、第1エアギャップ11と、回転子2の第2磁極22と、第2エアギャップ12とを介して、界磁コア6に戻るように構成されている。このとき、例えば、直流電流が界磁コイル7に通電されると、界磁コイル7による磁束が発生して、第1磁極21と第2磁極22とは、それぞれ、例えばN極とS極とに磁化される。
【0022】
回転電機1をエンジン8の始動時に電動機(スタータモータ)として機能させる場合について説明する。エンジン8の始動指令に基づき、図示しないインバータを駆動して固定子3に三相交流電流を流して固定子3を磁化するとともに、界磁コイル7に直流電流を流す。界磁コイル7に直流電流が流れると、回転子2の第1磁極21および第2磁極22が励磁される。この結果、回転子2が固定子3に対して回転を開始するとともに、固定子3において誘起電圧を有する起電力が発生する。
【0023】
その後、誘起電圧は回転子2の回転速度に応じて増加し、回転速度がエンジン8のアイドリングに対応するアイドリング回転速度よりも低い初爆の回転速度に到達し、エンジン8の始動を完了したとき、インバータの駆動を停止し、以後、所定の誘起電圧(要求電圧)を保持するように、自動的に発電モード、すなわち、回転電機1を発電機(オルタネータ)として機能させる場合に移行する。
【0024】
この発電モードでは、界磁コイル7を励磁し続けるとき、誘起電圧が所定の誘起電圧で一定になるように、励磁電流を調整する。励磁電流は、回転速度の上昇にあわせて回転子2の磁化力が減じるように調整し、誘起電圧が一定となるようにする。また、界磁コイル7を励磁しないときは、誘起電圧が所定の誘起電圧で一定になるようにインバータで三相交流電流の進角を調整する。さらに、上記2つの方法を組み合わせて調整してもよい。このように制御することで、回転子2が回転すると、回転電機1は発電機として機能することになる。
【0025】
この結果、エンジン8と回転電機1とを連結することで、回転電機1は、エンジン始動時に電動機(スタータモータ)として機能し、且つ、走行中では発電機(オルタネータ)として機能することができる。
【0026】
〔第1実施形態〕
次に、
図2から
図8を参照しながら、第1実施形態に係る回転電機1の回転子2の構成を詳細に説明する。
【0027】
図2に示すように、回転子2は、クローポール型であり、第1磁極21と第2磁極22と磁極保持部材23とを備える。
【0028】
第1磁極21は、第1円環部21aと複数の爪部21bとを有し、例えば鉄などの軟磁性体で構成される。爪部21bは、第1円環部21aから回転軸10の軸方向に延びている。爪部21bは、例えば矩形薄板状である。爪部21bは、周方向に一定間隔で、例えば等間隔に配置され、爪部21bの軸方向の長さが、すべて同じである。各爪部21bの外周面は、第1円環部21aの外周面と同じ周上に延びている。爪部21bは、第1磁極21と第2磁極22とを組み合わせたときに、第2磁極22に対して非接触状態にあり、径方向に径方向隙間16を有するように構成されている。
【0029】
図6に示すように、各爪部21bは、第1円環部21aのエンジン8側の端縁まで延びて第1先端係止部21cを形成する。第1先端係止部21cは、爪部21bの外周端縁を切り欠くことによって形成された段部である。各第1先端係止部21cの外周面は、回転軸10の中心軸を中心とする同じ周上に位置する。
【0030】
第2磁極22は、第2円環部22aと複数の凸部22bとを有し、例えば鉄などの軟磁性体で構成される。第2円環部22aは、第1円環部21aおよび爪部21bに対して径方向隙間16を有して、爪部21bに対して径方向から見て部分的に重なるように配置されている。凸部22bは、第2円環部22aの外周面から径方向外側に突出している。凸部22bは、爪部21bに対して周方向に周方向隙間17をあけて配置されている。凸部22bは、例えば矩形板状である。凸部22bも、周方向に一定間隔で、例えば等間隔に配置され、凸部22bの径方向の高さは、すべて同じである。凸部22bの軸方向の長さは、すべて同じであり、爪部21bの軸方向の長さよりも短い。また、各凸部22bの外周面は、回転軸10の中心軸を中心として、各爪部21bの外周面と同じ外周上に位置する。
【0031】
図2、
図3および
図6に示すように、第1円環部21a及び第2円環部22aの軸方向一側(例えば、磁極保持部材23の反対側または変速機9の側)の径方向隙間16には、係合凹部38が形成されている。係合凹部38は、第1係合凹部38aおよび第2係合凹部38bから構成されている。第1係合凹部38aは、第1円環部21aの径方向内側を切り欠くことで形成された凹部である。第2係合凹部38bは、第2円環部22aの径方向外側を切り欠くことによって形成された凹部である。
【0032】
図2、
図3および
図6に示すように、複数の永久磁石27が、第1磁極21の各爪部21bに対応する位置に配置されている。具体的には、永久磁石27は、第1磁極21の爪部21bと周方向の同一位置であり且つ爪部21bの内周面と第2円環部22aの外周面との間に形成される径方向隙間16に配置されている。当該配置により、永久磁石27による磁束が、第1磁極21の爪部21bと第2磁極22の凸部22bとの間に形成される。永久磁石27は、例えば、矩形板状をしている。
【0033】
永久磁石27は、ネオジムを主原料とした磁石又はフェライトを主原料とした磁石である。具体的には、永久磁石27としては、例えば、SmCo磁石、AlNiCo磁石、又は、ネオジムボンド磁石など、様々な種類の永久磁石を使用することができる。永久磁石27は、爪部21bでの径方向隙間16の全体に又はその一部に配置することができる。
【0034】
当該構成によれば、界磁コイル7による磁束に加えて永久磁石27による磁束を利用することで、回転電機1の出力性能を向上させることができる。また、永久磁石27を爪部21bおよび第2円環部22aの間で挟持して保持することにより、回転時に作用する遠心力に対する永久磁石27の強度を補強することができ、遠心力による永久磁石27の変形を防止でき、高回転時の遠心強度を向上させることができる。
【0035】
組み付けられた回転子2では、第1磁極21の各爪部21bが、隣接する凸部22b間の周方向隙間17の中間部に配置される。これにより、爪部21bと凸部22bとが、周方向に交互に位置する。
【0036】
組み付けられた回転子2では、
図2及び
図6に示すように、第1磁極21と第2磁極22との間には、非接触状態を保つための隙間が形成されている。すなわち、第1円環部21aと第2円環部22aとの間の径方向には径方向隙間16があり、爪部21bと凸部22bとの間の周方向には周方向隙間17があり、第1円環部21aと凸部22bとの間の軸方向には軸方向隙間18がある。これらの隙間16,17,18によって、第1磁極21および第2磁極22は、それぞれ、径方向、周方向および軸方向において非接触状態を保つことができる。
【0037】
回転子2は、上記非接触状態を保ちながら固定するための磁極保持部材23をさらに備えている。
図3に示すように、磁極保持部材23は、円環状の部材であり、基部23aと係止部23bと開口部26と張出部28とを有する。磁極保持部材23は、例えばアルミニウムまたはオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で構成される。係止部23bは、基部23aの外周側の端部において、軸方向一側(例えば、変速機9側)に突出しており、爪部21bの第1先端係止部21cに対して係止する。当該係止構造により、第1磁極21の第1円環部21aに対して片持ちで支持された爪部21bは、磁極保持部材23によって径方向に対して保持されるので、回転時に作用する遠心力に抗することができる。
【0038】
磁極保持部材23の基部23aには、開口部26が形成されている。開口部26は、基部23aを厚み方向に貫通する開口である。
図2に示すように、開口部26は、周方向に一定間隔で、例えば等間隔に配置され、一対の一方の開口部26aおよび他方の開口部26bを有する。一方の開口部26aおよび他方の開口部26bは、凸部22bを挟んで周方向に対称に形成されている。開口部26は、後述する係合爪部34によるスナップフィット結合を提供するために使用される。
【0039】
図7に示すように、一方の開口部26aは、一方の導入穴26cと一方の係合穴26dとを有する。一方の導入穴26cは、径方向内側に形成されており、一方の係合穴26dよりも周方向長さおよび径方向幅が大きい。一方の係合穴26dは、径方向外側に形成されているとともに、周方向で凸部22b寄りに形成されている。一方の導入穴26cは、後述する介在部材30の一方の係合爪部34aを導入するための穴である。一方の係合穴26dは、後述する介在部材30の一方の脚部33aを受け入れるとともに一方の係合爪部34aが被係合面23eに係合するための穴である。
【0040】
同様に、他方の開口部26bは、他方の導入穴26eと他方の係合穴26fとを有する。他方の導入穴26eは、径方向内側に形成されており、他方の係合穴26fよりも周方向長さおよび径方向幅が大きい。他方の係合穴26fは、径方向外側に形成されているとともに、周方向で凸部22b寄りに形成されている。他方の導入穴26eは、後述する介在部材30の他方の係合爪部34bを導入するための穴である。他方の係合穴26fは、後述する介在部材30の他方の脚部33bを受け入れるとともに他方の係合爪部34bが被係合面23eに係合するための穴である。
【0041】
磁極保持部材23は、周方向隙間17に配設される複数の張出部28を有する。張出部28は、基部23aから軸方向一側(例えば、変速機9の側)に向けて延びている。張出部28は、周方向隙間17を埋めるように、形状および寸法が構成されている。
【0042】
磁極保持部材23の張出部28が、周方向隙間17を埋めるように周方向隙間17に配置されることによって、第1磁極21と第2磁極22との間での周方向の位相ズレが解消されるので、第1磁極21と第2磁極22との間でトルクが確実に伝達される。
【0043】
図2、
図3および
図6に示すように、回転子2においては、介在部材30が、径方向隙間16に配設されている。介在部材30は、径方向隙間16に配設される隙間配設部材として働き、例えばアルミニウムまたはオーステナイト系ステンレス鋼や樹脂材料などの非磁性体で構成される。
【0044】
図8に示すように、介在部材30は、円環基部31と係合突出部32と複数の脚部33と複数の係合爪部34とを有する。円環基部31は、円環形状をしている。係合突出部32は、円環基部31の軸方向一側(例えば、磁極保持部材23の反対側または変速機9の側)の端部に形成されて、径方向に突出している。係合突出部32は、径方向外側に突出する第1係合突出部32aと径方向内側に突出する第2係合突出部32bとを備える。介在部材30の係合突出部32が、径方向隙間16の係合凹部38に係合するように構成されている。すなわち、第1係合突出部32aおよび第2係合突出部32bが、それぞれ、第1係合凹部38aおよび第2係合凹部38bに係合するように構成されている。
【0045】
脚部33は、径方向隙間16において、円環基部31から軸方向他側(例えば、磁極保持部材23の側またはエンジン8の側)に向けて延びている。脚部33は、周方向に一定間隔で、例えば等間隔に配置され、一対の一方の脚部33aおよび他方の脚部33bによって構成されている。脚部33は、スナップフィット結合を提供するために、弾性的に変形可能である。
【0046】
係合爪部34は、脚部33の軸方向他側(例えば、磁極保持部材23の側またはエンジン8の側)の端部に形成されて、周方向で凸部22bの側に突出するフック形状をしている。係合爪部34は、一方の脚部33aに形成された一方の係合爪部34aと、他方の脚部33bに形成された他方の係合爪部34bとを備える。一方の脚部33aおよび一方の係合爪部34aと、他方の脚部33bおよび他方の係合爪部34bとは、凸部22bを挟んで周方向に対称であるように設けられている。介在部材30の係合爪部34が、磁極保持部材23の開口部26に対して軸方向に係合するように構成されている。すなわち、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bが、それぞれ、一方の係合穴26dおよび他方の係合穴26fと被係合面23eとに対して軸方向に係合するように構成されている。
【0047】
介在部材30の軸方向一側(例えば、磁極保持部材23の反対側または変速機9の側)では、係合突出部32が径方向隙間16の係合凹部38に対して軸方向に係合するように、円環基部31が、第1円環部21aおよび第2円環部22aの間での径方向隙間16において挟持される。該構成によれば、介在部材30の軸方向一側において、係合凹部38に対する係合突出部32の係合によって、軸方向の位置決めおよび固定が行われているので、係合突出部32が軸方向位置決め部として働く。
【0048】
そして、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bが、それぞれ、一方の導入穴26cおよび他方の導入穴26eに導入される。そのあと、一方の脚部33aおよび他方の脚部33bを径方向外側に弾性的に変形させることによって、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bが、それぞれ、一方の係合穴26dおよび他方の係合穴26fに係合するとともに被係合面23eに係合する。したがって、係合爪部34が開口部26の一方の係合穴26dおよび他方の係合穴26fに嵌合することによって、介在部材30が磁極保持部材23に対してスナップフィット結合で固定される。該構成によれば、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bの軸方向他側での軸方向の係合によって、軸方向の位置決めが行われているので、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bが軸方向位置決め部として働く。係合凹部38に係合する係合突出部32と被係合面23eに係合する係合爪部34とによって、軸方向位置決めを簡易に且つ容易に達成できる。また、上記スナップフィット結合により、介在部材30を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。
【0049】
このように、介在部材30が、軸方向一側に係合突出部32を備えるとともに、軸方向他側に係合爪部34を備えることにより、第1磁極および第2磁極の軸方向の位置決めを簡易に且つ容易に行うことができる。
【0050】
径方向隙間16に配設された介在部材30の円環基部31を介して、第1磁極21および第2磁極22が径方向に非接触状態で保持される。介在部材30の円環基部31と、第1磁極21の第1円環部21aと、第2磁極22の第2円環部22aとが、同じ中心軸を有する(すなわち同軸である)ので、第1磁極および第2磁極の径方向位置決め(いわゆる芯出し)を簡易に且つ容易に行うことができる。
【0051】
この発明に係る回転電機1の回転子2では、径方向隙間16に配設された介在部材30によって、第1磁極21および第2磁極22の径方向位置決め(いわゆる芯出し)を簡易に且つ容易に行うことができるとともに、介在部材30の軸方向位置決め部すなわち係合突出部32と係合爪部34とによって軸方向位置決めが行われる。したがって、介在部材30が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、径方向および軸方向において非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【0052】
〔第1実施形態の変形例〕
図9を参照しながら、第1実施形態に係る回転電機1の変形例を説明する。
図9は、変形例に係る回転電機1の回転子2を回転軸10に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
図9に示した変形例では、
図2に示した回転子2との比較で、介在部材30の係合爪部34が、凸部22bの被係合面22eに係合している。
【0053】
図9に示した介在部材30は、
図2に示した実施形態と同様に、径方向隙間16に配設されて、円環基部31と係合突出部32と脚部33(一方の脚部33aおよび他方の脚部33b)と係合爪部34(一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34b)とを有する。凸部22bは、軸方向他側(例えば、磁極保持部材23に対面する側またはエンジン8の側)において、被係合面22eを有する。
【0054】
円環基部31の軸方向一側(例えば、磁極保持部材23の反対側または変速機9の側)の端部には、径方向に突出する係合突出部32が形成されている。係合突出部32が径方向隙間16の係合凹部38に対して軸方向に係合するように構成されている。係合突出部32が軸方向位置決め部として働く。
【0055】
脚部33の軸方向他側(例えば、磁極保持部材23の側またはエンジン8の側)の端部には、周方向で凸部22bの側に突出するフック形状をした係合爪部34(一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34b)が形成されている。脚部33(一方の脚部33aおよび他方の脚部33b)が凸部22bに向けて周方向に弾性的に変形することによって、係合爪部34(一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34b)が、凸部22bの被係合面22eに対して軸方向に係合するように構成されている。介在部材30の係合爪部34が、凸部22bに対してスナップフィット結合で固定される。このように、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bが軸方向位置決め部として働く。したがって、係合凹部38に係合する係合突出部32と、被係合面22eに係合する係合爪部34とによって、軸方向位置決めを簡易に且つ容易に達成できる。
【0056】
この変形例に係る回転電機1の回転子2では、径方向隙間16に配設された介在部材30によって、第1磁極21および第2磁極22の径方向位置決め(いわゆる芯出し)を簡易に且つ容易に行うことができるとともに、介在部材30の軸方向位置決め部すなわち係合突出部32および係合爪部34によって軸方向位置決めが行われる。したがって、介在部材30が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、径方向および軸方向において非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【0057】
そして、該変形例に係る回転電機1の回転子2では、複数の永久磁石27が、第2磁極22の磁石係止部22dによって軸方向に係止されている。すなわち、磁石係止部22dは、第2磁極22の第2円環部22aの軸方向他側(例えば、磁極保持部材23の側またはエンジン8の側)の端部において、径方向外側に突出している。磁石係止部22dによって、軸方向他側の端部での径方向隙間16が径方向に狭小化されている。これにより、径方向隙間16に配設される永久磁石27を軸方向に固定することができる。
【0058】
〔第1実施形態の他の変形例〕
図10を参照しながら、第1実施形態に係る回転電機1の他の変形例を説明する。
図10は、他の変形例に係る回転電機1の回転子2を回転軸10に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
図10に示した他の変形例では、
図2に示した回転子2との比較で、介在部材30の係合爪部34が、軸方向他側(例えば、磁極保持部材23に対面する側またはエンジン8の側)において、第1磁極21の爪部21bおよび永久磁石27の両方に係合している。なお、介在部材30の係合爪部34は、必ずしも第1磁極21の爪部21bおよび永久磁石27の両方に係合する必要はなく、例えば永久磁石27のみに係合してもよい。
【0059】
図10に示した介在部材30は、径方向隙間16に配設されて、円環基部31と係合突出部32と脚部33(一方の脚部33aおよび他方の脚部33b)と係合爪部34(一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34b)とを有するが、一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34bは、周方向で凸部22bの反対側に延びるフック形状をしている。
【0060】
爪部21bは、軸方向他側において、被係合面21eを有する。永久磁石27も、軸方向他側において、被係合面27eを有する。永久磁石27が径方向隙間16に配設されたとき、被係合面21eと被係合面27eとが面一になるように構成されている。
【0061】
脚部33(一方の脚部33aおよび他方の脚部33b)が周方向で凸部22bの反対側に向けて弾性的に変形することによって、係合爪部34(一方の係合爪部34aおよび他方の係合爪部34b)は、爪部21bの被係合面21eおよび永久磁石27の被係合面27eの両方に対して軸方向に係合する。その結果、介在部材30が、爪部21bおよび永久磁石27に対してスナップフィット結合で固定される。係合爪部34が軸方向位置決め部として働くので、係合凹部38に係合する係合突出部32と、爪部21bおよび永久磁石27の両方に係合する係合爪部34とによって、軸方向位置決めを簡易に且つ容易に達成できる。そして、係合爪部34によって、径方向隙間16に配設される永久磁石27を軸方向に固定することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、
図11から
図16を参照しながら、第2実施形態に係る回転電機1の回転子2の構成を詳細に説明する。
【0063】
図11および
図12に示すように、回転子2は、クローポール型であり、第1磁極21と第2磁極22と磁極保持部材23とを備える。
【0064】
第1磁極21は、第1円環部21aと複数の爪部21bとを有し、例えば鉄などの軟磁性体で構成される。爪部21bは、第1円環部21aから回転軸10の軸方向に延びている。爪部21bは、例えば矩形薄板状である。爪部21bは、周方向に一定間隔、例えば等間隔に配置され、爪部21bの軸方向の長さが、すべて同じである。各爪部21bの外周面は、第1円環部21aの外周面と同じ周上に延びている。爪部21bは、第1磁極21と第2磁極22とを組み合わせたときに、第2磁極22に対して非接触状態にあり、径方向に径方向隙間16を有するように構成されている。
【0065】
各爪部21bは、第1円環部21aのエンジン8側の端縁まで延びて第1先端係止部21cを形成する。第1先端係止部21cは、爪部21bの外周端縁を切り欠くことによって形成された段部である。各第1先端係止部21cの外周面は、回転軸10の軸心を中心とする同じ周上に位置する。
【0066】
第2磁極22は、第2円環部22aと複数の凸部22bとを有し、例えば鉄などの軟磁性体で構成される。第2円環部22aは、爪部21bの内側に径方向隙間16をあけて、爪部21bに対して径方向から見て部分的に重なるように配置されている。凸部22bは、第2円環部22aの外周面に径方向に突出している。凸部22bは、爪部21bに対して周方向に周方向隙間17をあけて配置されている。凸部22bは、例えば矩形板状である。凸部22bも、周方向に一定間隔、例えば等間隔に配置され、凸部22bの径方向の高さは、すべて同じである。凸部22bの軸方向の長さは、すべて同じであり、爪部21bの軸方向の長さよりも短い。
【0067】
各凸部22bの外周面は、回転軸10の軸心を中心として、各爪部21bの外周面に対して同じ外周上に位置する。各凸部22bは、第2円環部22aのエンジン8側の端縁まで延びて第2先端係止部122cを形成する。第2先端係止部122cは、凸部22bの外周端縁を切り欠くことによって形成された段部である。各第2先端係止部122cの外周面は、回転軸10の軸心を中心として、各第1先端係止部21cの外周面に対して同じ周上に位置する。したがって、各第1先端係止部21cの外周面および各第2先端係止部122cの外周面が、回転軸10の軸心を中心とする同じ周上に位置する。当該構成によれば、第1先端係止部21cの外周面および各第2先端係止部122cの外周面が、同じ外周上に位置するので、第1先端係止部21cおよび各第2先端係止部122cと後述する磁極保持部材23の嵌合部123aとの間での嵌合が容易である。
【0068】
各爪部21bにおける凸部22bと対面する側の面には、係合凸部121dが設けられている。係合凸部121dは、凸部22bに向けて周方向に突出する。係合凸部121dは、
図13に示すように平面視で矩形形状をしており、
図15に示すように軸方向から見て矩形形状をしている。係合凸部121dの外周面は、爪部21bの第1先端係止部21cの外周面と同じ周上に位置する。爪部21bの係合凸部121dは、スペーサ部材130の軸方向係合部132と係合する。
【0069】
図11、
図12、
図14および
図15に示すように、複数の永久磁石27が、第1磁極21の各爪部21bに対応する位置に配置されている。具体的には、永久磁石27は、第1磁極21の爪部21bと周方向の同一位置であり且つ爪部21bの内周面と第2円環部22aの外周面との間の径方向隙間16に配置されている。当該配置により、永久磁石27による磁束が、第1磁極21の爪部21bと第2磁極22の凸部22bとの間に形成される。永久磁石27は、例えば、矩形板状をしている。
【0070】
永久磁石27は、ネオジムを主原料とした磁石又はフェライトを主原料とした磁石である。具体的には、永久磁石27としては、例えば、SmCo磁石、AlNiCo磁石、又は、ネオジムボンド磁石など、様々な種類の永久磁石を使用することができる。永久磁石27は、爪部21bでの径方向隙間16の全体に又はその一部に配置することができる。
【0071】
当該構成によれば、界磁コイル7による磁束に加えて永久磁石27による磁束を利用することで、回転電機1の出力性能を向上させることができる。また、永久磁石27を爪部21bおよび第2円環部22aで挟持して保持することにより、遠心力に対する永久磁石27の強度を補強することができ、遠心力による永久磁石27の変形を防止でき、高回転時の遠心強度を向上させることができる。
【0072】
回転子2は次のようにして組み付けられる。第1磁極21を第2磁極22に対して軸方向に動かして、第1磁極21の各爪部21bを、隣接する凸部22b間の周方向隙間17の中間部に挿入する。それにより、爪部21bと凸部22bとが、周方向に交互に配置された状態で組み付けられる。組み付けられた状態では、各第1先端係止部21cの外周面および各第2先端係止部122cの外周面が、回転軸10の軸心を中心とする同じ周上に位置するように構成されている。
【0073】
組み付けられた状態では、
図14に示すように、第1磁極21と第2磁極22との間には、非接触状態を保つための隙間が形成されている。すなわち、爪部21bと第2円環部22aとの間の径方向には径方向隙間16があり、爪部21bと凸部22bとの間の周方向には周方向隙間17があり、第1円環部21aと凸部22bとの間の軸方向には軸方向隙間18がある。よって、第1磁極21および第2磁極22は、径方向、周方向および軸方向において非接触状態を保っている。
【0074】
回転子2は、上記非接触状態を保ちながら固定するための磁極保持部材23をさらに備えている。
図13に示すように、磁極保持部材23は、円環状の部材であり、嵌合部123aを外周側の端部に有する。磁極保持部材23は、例えばアルミニウムまたはオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で構成される。嵌合部123aは、例えば、変速機9側に突出しており、第1磁極21の爪部21bの第1先端係止部21cと、第2磁極22の凸部22bの第2先端係止部122cとに対して嵌合する。当該嵌合構造により、第1磁極21および第2磁極22は、磁極保持部材23によって径方向に対して固定的に保持される。また、磁極保持部材23は、後述するボルト138によるボルト止め用の貫通穴(図示せず)を有する。
【0075】
図13、
図14および
図16に示すように、回転子2は、上記周方向隙間17を埋めるためのスペーサ部材130をさらに備えている。
【0076】
図16に示すように、スペーサ部材130は、一方のスペーサ部材130aおよび他方のスペーサ部材130bという一対の直方体形状の部材からなる。一方のスペーサ部材130aおよび他方のスペーサ部材130bは、周方向に対称であるように構成されている。以下、一方のスペーサ部材130aおよび他方のスペーサ部材130bを合わせて、単にスペーサ部材130という。
【0077】
スペーサ部材130は、軸方向に延びるネジ孔131と、軸方向係合部132とを有する。スペーサ部材130は、周方向隙間17に配設される隙間配設部材として働き、例えばアルミニウムまたはオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で構成される。軸方向係合部132は、第1磁極21の爪部21bと対面する側に設けられている。軸方向係合部132は、係合端部133と係合凹部134とを有し、爪部21bおよび磁極保持部材23の両方に対面するコーナー部分を部分的に切り欠くことによって形成されている。
【0078】
係合端部133および係合凹部134は、軸方向に配列されており、係合端部133は、例えば、変速機9側に位置する板状部であって、爪部21bの係合凸部121dと軸方向に係合する。係合凹部134は、例えば、エンジン8側に位置する凹部であり、爪部21bの係合凸部121dを受け入れる。
【0079】
図13および
図14に示すように、スペーサ部材130は、周方向隙間17を埋めるように、第1磁極21の爪部21bと第2磁極22の凸部22bとの間に配置される。このとき、スペーサ部材130での凸部22bと対面する側の面が凸部22bに当接するとともに、スペーサ部材130の係合端部133での爪部21bと対面する側の面が爪部21bに当接するため、周方向隙間17がスペーサ部材130によって実質的に埋められる。そして、スペーサ部材130の係合凹部134が爪部21bの係合凸部121dを受け入れるとともに、係合端部133が爪部21bでの磁極保持部材23と対面しない側の面(例えば、変速機9側の面)に当接することによって、軸方向係合部132が係合凸部121dと軸方向に係合する。
【0080】
この発明に係る回転電機1の回転子2では、スペーサ部材130が、周方向隙間17を埋めるように、第1磁極21の爪部21bと第2磁極22の凸部22bとの間に配置された状態で、磁極保持部材23で嵌合することによって径方向に対して固定的に保持される。すなわち、スペーサ部材130が爪部21bと凸部22bとの間に配置された状態にある第1磁極21および第2磁極22に対して、磁極保持部材23が軸方向に装着される。このとき、磁極保持部材23の嵌合部123aは、第1磁極21の爪部21bの第1先端係止部21cと、第2磁極22の凸部22bの第2先端係止部122cとに対して嵌合する。
【0081】
そして、ボルト138のネジ部をスペーサ部材130のネジ孔131に螺合させることによって、スペーサ部材130が磁極保持部材23にボルト138で固定される(すなわちボルト止めされる)。当該ボルト止めにより、スペーサ部材130を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。スペーサ部材130が磁極保持部材23にボルト止めされるとき、スペーサ部材130の係合端部133が、磁極保持部材23の側に引き寄せられて爪部21bの係合凸部121dと軸方向に係合するので、第1磁極21が磁極保持部材23に軸方向に保持されて固定される。また、第2磁極22を磁極保持部材23に対して後述する任意の固定方法で固定できる。
【0082】
スペーサ部材130が、周方向隙間17を埋めるように、第1磁極21の爪部21bと第2磁極22の凸部22bとの間に配置されることによって、第1磁極21および第2磁極22が周方向に保持される。これにより、第1磁極21と第2磁極22との間での周方向の位相ズレが解消されるので、第1磁極21と第2磁極22との間でトルクが確実に伝達される。
【0083】
上記構成によれば、磁極保持部材23によって第1磁極21および第2磁極22が径方向に保持されることに加えて、周方向隙間17を埋めるスペーサ部材130によって第1磁極21と第2磁極22との間でトルクが周方向に確実に伝達されるとともに、スペーサ部材130が第1磁極21の爪部21bに対して軸方向に係合することによって第1磁極21が軸方向に保持される。したがって、スペーサ部材130が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、径方向と周方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら磁極保持部材23に固定される構造を容易に達成できる。
【0084】
図17を参照しながら、第2実施形態の変形例を説明する。
図17は、第2実施形態の変形例に係る、回転子2の回転軸10に沿って垂直に切断したときの斜視図である。
図17に示した変形例では、
図12に示した回転電機1との比較で、第2磁極22を磁極保持部材23に固定するためのボルト138が設けられている。
【0085】
第2磁極22には、図示しないネジ孔が形成されているとともに、該ネジ孔に対応する貫通孔が磁極保持部材23に形成されている。第2磁極22のネジ孔は、例えば、
図17に示すように各凸部22bの径方向内側における第2円環部22aに形成されるが、該位置に限定されるものではない。
【0086】
ボルト138のネジ部を第2磁極22のネジ孔に螺合させることによって、第2磁極22が磁極保持部材23にボルト138で固定される(すなわちボルト止めされる)。当該ボルト止めにより、第2磁極22を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。したがって、第1磁極21および第2磁極22を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。
【0087】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0088】
上記第1実施形態では、爪部21bに対応する径方向隙間16に永久磁石27を配置しているが、永久磁石27を該径方向隙間16に配置することなく、径方向隙間16を空洞のままにすることもできる。
【0089】
上記第1実施形態では、磁極保持部材23や凸部22bに対する介在部材30の固定方法として、スナップフィット結合による固定を例示したが、被係合面22e,23eへの係合爪部34の溶接またはろう付け、あるいは、開口部26への係合爪部34のリベットカシメなどを用いることもできる。当該固定方法によって、第1磁極21および第2磁極22を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。
【0090】
上記第2実施形態では、永久磁石27を第1磁極21の爪部21bでの径方向隙間16に配置しているが、永久磁石27を爪部21bでの径方向隙間16に配置することなく、径方向隙間16を空洞のままにすることもできる。
【0091】
上記第2実施形態では、磁極保持部材23に対する第1磁極21および第2磁極22の固定方法として、ボルト138によるボルト止めを例示したが、溶接、リベットカシメまたはろう付けなどを用いることもできる。当該固定方法によって、第1磁極21および第2磁極22を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。
【0092】
回転電機1の概略構成を示す
図1において、固定子3の位置と界磁コイル7の位置とを入れ替えて、界磁コイル7が回転子2の径方向外側に配置され、固定子3が回転子2に対して軸方向にシフトして配置される構成にすることもできる。この場合、回転子2と固定子3との間には、第1エアギャップ11が形成される一方、回転子2と界磁コイル7との間には、第2エアギャップ12が形成される。
【0093】
上記実施の形態では、回転子2が、動力伝達装置4の外殻(同期回転部材)に固定されているが、例えば、動力伝達装置4がトルクコンバータである場合、動力伝達装置4の外殻(同期回転部材)は、トルクコンバータのフロントカバーやエンジン8側に連結されるドライブプレートである。同様の機能を有する同期回転部材は、例えば、摩擦式クラッチのクラッチカバー、摩擦式クラッチのエンジン8側に連結されるフライホイール、フルードカップリングの外殻、フルードカップリングのエンジン8側に連結されるドライブプレートなどである。
【0094】
上記実施の形態では、一例として、回転電機1を回転軸10に沿ってエンジン8と変速機9との間に配置している。しかしながら、回転電機1を、オルタネータと置換したり、エンジン8の出力軸に接続したり、エンジン8と変速機9との間に配置したり、変速機9と駆動軸との間に配置したり、駆動軸そのものに装着したりすることもできる。
【0095】
この発明の回転電機1は、車両用に限定されるものでなく、広く一般的な発電機および電動機にも使用できる。
【0096】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0097】
この発明の一態様に係る回転電機1は、
交流電流により回転磁界を発生する固定子巻線14を備える固定子3と、
前記固定子3に対して回転軸10を中心に回転自在に保持される回転子2と、
直流電流により前記回転子2を励磁する界磁コイル7とを備え、
前記回転子2は、
第1円環部21aと、前記第1円環部21aから前記回転軸10の軸方向に延びる複数の爪部21bとを有する第1磁極21と、
第2円環部22aと、前記第2円環部22aの外周面において径方向に突出する複数の凸部22bとを有する第2磁極22とを備え、
前記回転子2においては、
前記第1磁極21の前記爪部21bと前記第2磁極22の前記凸部22bとが、周方向に交互に位置して、
前記第1磁極21と前記第2磁極22との間に、径方向隙間16、周方向隙間17および軸方向隙間18を設けることにより、前記第1磁極21および前記第2磁極22が非接触状態に保たれており、
前記回転子2は、前記径方向隙間16または前記周方向隙間17に配設された非磁性体の隙間配設部材30;130をさらに備え、
前記隙間配設部材30;130が、前記第1磁極21と前記第2磁極22とのうちの少なくとも一方に対して軸方向に係止され、前記第1磁極21と前記第2磁極22とを軸方向に位置決めする軸方向位置決め部32,34;132を有することを特徴とする。
【0098】
上記構成によれば、径方向隙間16または周方向隙間17に配設された非磁性体の隙間配設部材30;130によって第1磁極21および第2磁極22の径方向位置決めまたは周方向位置決めが行われるとともに、隙間配設部材30;130の軸方向位置決め部32,34;132によって軸方向位置決めが行われる。したがって、隙間配設部材30;130が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、径方向または周方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【0099】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記隙間配設部材30は、前記径方向隙間16に配設され、前記第1磁極21および前記第2磁極22の径方向位置決めを行う。
【0100】
上記実施形態によれば、隙間配設部材30が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、径方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【0101】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記回転子2は、前記第1磁極21の前記爪部21bを径方向に保持する非磁性体の磁極保持部材23をさらに備える。
【0102】
上記実施形態によれば、第1磁極21の爪部21bは、磁極保持部材23によって径方向に対して保持されるので、回転時に作用する遠心力に抗することができる。
【0103】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記磁極保持部材23は、前記周方向隙間17に配設される張出部28を備える。
【0104】
上記実施形態によれば、張出部28によって第1磁極21と第2磁極22との間での周方向の位相ズレが解消されるので、第1磁極21と第2磁極22との間でトルクが確実に伝達される。
【0105】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記回転子2は、軸方向一側において係合凹部38を有するとともに軸方向他側において被係合面22eを有し、
前記隙間配設部材30は、軸方向一側において前記係合凹部38に係合する係合突出部32を有するとともに軸方向他側において前記被係合面22eに係合する係合爪部34を有し、
前記係合突出部32および前記係合爪部34は、前記軸方向位置決め部として働く。
【0106】
上記実施形態によれば、係合凹部38に係合する係合突出部32と、回転子2の被係合面22eに係合する係合爪部34とによって、軸方向位置決めを簡易に且つ容易に達成できる。
【0107】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記回転子2が軸方向一側において係合凹部38を有するとともに、前記磁極保持部材23が軸方向他側において被係合面23eを有し、
前記隙間配設部材30は、軸方向一側において前記係合凹部38に係合する係合突出部32を有するとともに軸方向他側において前記被係合面23eに係合する係合爪部34を有し、
前記係合突出部32および前記係合爪部34は、前記軸方向位置決め部として働く。
【0108】
上記実施形態によれば、係合凹部38に係合する係合突出部32と、磁極保持部材23の被係合面23eに係合する係合爪部34とによって、軸方向位置決めを簡易に且つ容易に達成できる。
【0109】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記界磁コイル7が、前記回転子2に対して前記回転軸10の軸方向に並んで配置される。
【0110】
上記実施形態によれば、界磁コイル7の径方向の厚みを厚くして界磁コイル7の磁束を大きくできるとともに、設計の自由度を大きくできる。
【0111】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記第1磁極21の前記爪部21bと周方向の同一位置であり且つ前記爪部21bの内周面と前記第2円環部22aの外周面との間の前記径方向隙間16に永久磁石27をさらに備える。
【0112】
上記実施形態によれば、界磁コイル7による磁束に加えて永久磁石27による磁束を利用することで、回転電機1の出力性能を向上させることができる。
【0113】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記隙間配設部材130は、前記周方向隙間17に配設され、前記第1磁極21および前記第2磁極22の周方向位置決めを行う。
【0114】
上記実施形態によれば、隙間配設部材130が複数の機能を提供することによって、第1磁極21および第2磁極22が、周方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら位置決めされる構造を簡易に且つ容易に達成できる。
【0115】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記回転子2は、前記第1磁極21および前記第2磁極22を径方向に保持する非磁性体の磁極保持部材23をさらに備える。
【0116】
上記実施形態によれば、第1磁極21および第2磁極22は、磁極保持部材23によって径方向に対して保持されるので、回転時に作用する遠心力に抗することができる。
【0117】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記軸方向位置決め部132が前記爪部21bに係合した状態で、前記隙間配設部材130は前記磁極保持部材23に固定される。
【0118】
上記実施形態によれば、第1磁極21および第2磁極22が、径方向と周方向と軸方向とにおいて非接触状態を保ちながら固定される。
【0119】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記爪部21bが、前記凸部22bと対面する側において前記周方向に突出する係合凸部121dを有し、
前記隙間配設部材130が、前記磁極保持部材23と対面しない側において、前記係合凸部121dに対して前記軸方向に係合する軸方向係合部132を有して、
前記隙間配設部材130の前記軸方向係合部132が、前記爪部21bの前記係合凸部121dに係合する。
【0120】
上記実施形態によれば、隙間配設部材130の軸方向係合部132が爪部21bの係合凸部121dに係合するので、軸方向の係合が容易に達成できる。
【0121】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記第1磁極21の前記爪部21bが、前記磁極保持部材23側の端縁において第1先端係止部21cを有し、
前記第2磁極22の前記凸部22bが、前記磁極保持部材23側の端縁において第2先端係止部122cを有し、
前記磁極保持部材23が、外周側において前記第1先端係止部21cおよび前記第2先端係止部122cに嵌合する嵌合部123aを有する。
【0122】
上記実施形態によれば、第1磁極21および第2磁極22は、磁極保持部材23によって径方向に対して固定的に保持される。
【0123】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記第1先端係止部21cの外周面および前記第2先端係止部122cの外周面が、前記回転軸10の軸心を中心とする同じ周上に位置する。
【0124】
上記実施形態によれば、第1先端係止部21cおよび各第2先端係止部122cと磁極保持部材23の嵌合部123aとの間での嵌合が容易である。
【0125】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記磁極保持部材23への前記隙間配設部材130の固定が、ボルト止め、溶接、リベットカシメまたはろう付けである。
【0126】
上記実施形態によれば、隙間配設部材130を磁極保持部材23に対して容易に且つ確実に固定できる。
【0127】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記界磁コイル7が、前記回転子2に対して前記回転軸10の前記軸方向に並んで配置される。
【0128】
上記実施形態によれば、界磁コイル7の径方向の厚みを厚くして界磁コイル7の磁束を大きくできるとともに、設計の自由度を大きくできる。
【0129】
また、一実施形態の回転電機1では、
前記第1磁極21の前記爪部21bと周方向の同一位置であり且つ前記爪部21bの内周面と前記第2円環部22aの外周面との間の前記径方向隙間16に永久磁石27をさらに備える。
【0130】
上記実施形態によれば、界磁コイル7による磁束に加えて永久磁石27による磁束を利用することで、回転電機1の出力性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0131】
1…回転電機(ブラシレス巻線界磁型回転電機)
2…回転子
3…固定子
4…動力伝達装置
5…ケース
6…界磁コア
7…界磁コイル
8…エンジン
9…変速機
10…回転軸
11…第1エアギャップ
12…第2エアギャップ
14…固定子巻線
16…径方向隙間
17…周方向隙間
18…軸方向隙間
21…第1磁極
21a…第1円環部
21b…爪部
21c…第1先端係止部
121d…係合凸部
21e…被係合面
22…第2磁極
22a…第2円環部
22b…凸部
122c…第2先端係止部
22d…磁石係止部
22e…被係合面
23…磁極保持部材
23a…基部
123a…嵌合部
23b…係止部
23e…被係合面
26…開口部
26a…一方の開口部
26b…他方の開口部
26c…一方の導入穴
26d…一方の係合穴
26e…他方の導入穴
26f…他方の係合穴
27…永久磁石
27e…被係合面
28…張出部
30…介在部材(隙間配設部材)
31…円環基部
32…係合突出部(軸方向位置決め部)
32a…第1係合突出部
32b…第2係合突出部
33…脚部
33a…一方の脚部
33b…他方の脚部
34…係合爪部(軸方向位置決め部)
34a…一方の係合爪部(軸方向位置決め部)
34b…他方の係合爪部(軸方向位置決め部)
38…係合凹部
38a…第1係合凹部
38b…第2係合凹部
130…スペーサ部材(隙間配設部材)
130a…一方のスペーサ部材
130b…他方のスペーサ部材
131…ネジ孔
132…軸方向係合部(軸方向位置決め部)
133…係合端部
134…係合凹部
138…ボルト