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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】バッテリー装置及びバッテリー取出方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20230124BHJP
【FI】
H01M50/244 A
H01M50/244 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019026423
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020136020
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中浦 正貴
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-231024(JP,A)
【文献】米国特許第06219249(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部に電力を供給するバッテリーと、前記バッテリーを収容するバッテリー収容装置とを備えるバッテリー装置であって、
前記バッテリーは、前記バッテリーを前記バッテリー収容装置から取り出す方向である取出方向から見て、互いの位置がずれて配置されている第1車輪及び第2車輪を備え、
前記バッテリー収容装置は、
前記バッテリーを着脱可能に収容するバッテリー収容部と、
前記バッテリー収容部における前記バッテリーの取出口に設けられたストッパー部材と、
を備え、
前記ストッパー部材は、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際に、前記バッテリーの前記取出口側に設けられた前記第1車輪が前記取出口を通過することを許可する開口部と、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際に、前記バッテリーの前記取出口とは反対側に設けられた前記第2車輪が前記取出口を通過することを規制する規制部とを備える、バッテリー装置。
【請求項2】
前記ストッパー部材は前記バッテリー収容部の底板に固定されており、前記規制部は前記底板から上方に立ち上がるように設けられている、
請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記ストッパー部材において、前記開口部は、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際の前記第1車輪の走行路に重なるように設けられており、前記規制部は、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際の前記第2車輪の走行路に重なるように設けられている、
請求項1又は2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記バッテリーにおいて、前記第1車輪は前記取出口側に1箇所設けられており、前記第2車輪は前記取出口とは反対側に2箇所設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記バッテリーは、前記取出口側に、作業者が把持する第1把持部を備え、前記取出口とは反対側に、作業者が把持する第2把持部とを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記第2車輪が前記規制部に接触したときに、前記バッテリーと前記バッテリー収容部との間に作業者が前記第2把持部を把持するための空間形成される、
請求項に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記バッテリー収容部は、前記バッテリーが前記バッテリー収容部に収容されたときに前記第1車輪を受容する受容部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際に前記第2車輪が前記規制部に接触したときに、前記第1車輪が床面に接触可能である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のバッテリー装置。
【請求項9】
請求項からのいずれか1項に記載のバッテリー装置において、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出すバッテリー取出方法であって、
前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを前記取出口側に引っ張ることにより、前記第1車輪を前記ストッパー部材の前記開口部を通過させるステップと、
前記第1車輪が前記開口部を通過した後、前記第2車輪を前記ストッパー部材の前記規制部に接触させるステップと、
前記第2車輪が前記規制部に接触した状態で前記第1車輪を床面に接触させるステップと、
前記第1車輪が前記床面に接触した状態で前記第2車輪を前記規制部を乗り越えさせて前記床面に接触させるステップと、
を含むバッテリー取出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー収容装置、バッテリー装置、及びバッテリー取出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行装置として、室内を掃除する掃除ロボット、荷物を搬送する搬送ロボット、施設内を案内するガイドロボット等、様々な種類の走行型ロボットが知られている(例えば特許文献1参照)。例えば走行型ロボットは、内蔵するバッテリーから供給される電力により駆動モータを駆動して駆動輪を回転駆動させることにより、装置本体の走行(移動)を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-58043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記走行装置において、前記バッテリーの性能が低下した場合、前記バッテリーの交換作業が必要になる。一般的に、前記走行装置に内蔵される前記バッテリーは、重量が重く交換作業が容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、バッテリーの交換作業を容易に行うことが可能なバッテリー収容装置、バッテリー装置、及びバッテリー取出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係るバッテリー収容装置は、駆動部に電力を供給するバッテリーを着脱可能に収容するバッテリー収容部と、前記バッテリー収容部における前記バッテリーの取出口に設けられたストッパー部材と、を備え、前記ストッパー部材は、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際に、前記バッテリーの前記取出口側に設けられた第1車輪が前記取出口を通過することを許可する開口部と、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出す際に、前記バッテリーの前記取出口とは反対側に設けられた第2車輪が前記取出口を通過することを規制する規制部とを備える。
【0007】
本発明の他の態様に係るバッテリー装置は、前記バッテリー収容装置と、前記バッテリーとを備え、前記バッテリーにおいて、前記第1車輪と前記第2車輪とは、前記バッテリーを取り出す方向である取出方向から見て、互いの位置がずれて配置されている。
【0008】
本発明の他の態様に係るバッテリー取出方法は、前記バッテリー装置において、前記バッテリーを前記バッテリー収容部から取り出すバッテリー取出方法であって、前記バッテリー収容部に収容された前記バッテリーを前記取出口側に引っ張ることにより、前記第1車輪を前記ストッパー部材の前記開口部を通過させるステップと、前記第1車輪が前記開口部を通過した後、前記第2車輪を前記ストッパー部材の前記規制部に接触させるステップと、前記第2車輪が前記規制部に接触した状態で前記第1車輪を床面に接触させるステップと、前記第1車輪が前記床面に接触した状態で前記第2車輪を前記規制部を乗り越えさせて前記床面に接触させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリーの交換作業を容易に行うことが可能なバッテリー収容装置、バッテリー装置、及びバッテリー取出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいてバッテリーを取り外した状態の構成を示す斜視図である。
図3A図3Aは、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットに内蔵されるバッテリーの構成を示す斜視図である。
図3B図3Bは、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットに内蔵されるバッテリーの構成を示す斜視図である。
図3C図3Cは、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットに内蔵されるバッテリーの構成を示す側面図である。
図3D図3Dは、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットに内蔵されるバッテリーの構成を示す背面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーを取り外した状態のバッテリー収容部の構成を示す斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーを取り付けた状態のバッテリー収容部の構成を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおけるストッパー部材の構成を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーの取り出し方法を説明するための図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーの取り出し方法を説明するための図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーの取り出し方法を説明するための図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおいて、バッテリーの取出方法を説明するための図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボットにおけるストッパー部材の他の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
本実施形態では、自律走行型ロボットの装置本体(駆動部)に電力を供給するバッテリー、及び前記バッテリーを収容するバッテリー収容装置を挙げて説明する。前記バッテリーは、前記自律走行型ロボットの装置本体に内蔵され、装置本体に電力を供給するバッテリーを備える。前記バッテリーは、前記装置本体に着脱可能に内蔵される。
【0013】
[自律走行型ロボット100の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行型ロボット100の全体構成を示す斜視図である。自律走行型ロボット100は、走行部10、収納部20、操作表示部30、制御部(不図示)、記憶部(不図示)などを備える。
【0014】
自律走行型ロボット100は、例えば、無人走行可能な搬送車(Automatic Guided Vehicle)である。自律走行型ロボット100は、取り扱う物品の場所、数量、重量等を管理したり、運行管理を行ったりする機能を備えてもよい。前記機能は、自律走行型ロボット100を管理する管理装置(不図示)、又は、自律走行型ロボット100を遠隔操作可能な操作端末(不図示)が備えてもよい。
【0015】
走行部10は、自律走行型ロボット100本体の底部の左右に配置された2つの駆動車輪(不図示)、本体底部に回転自在に取り付けた従動車輪(不図示)、自律走行型ロボット100本体に電力を供給するバッテリー50などを備える。走行部10は、本発明の駆動部の一例である。バッテリー50は、本発明のバッテリーの一例である。なお、バッテリー50は、走行部10に収容される必要はなく、自律走行型ロボット100本体内部のいずれかの場所に収容されればよい。
【0016】
収納部20は、荷物を載せる収納棚であり、走行部10の上面に設置される。自律走行型ロボット100は、収納部20に代えて、走行部10の上面に台車を備えてもよい。また自律走行型ロボット100は、走行部10だけで構成されてもよい。この場合、自律走行型ロボット100は、台車などを牽引する牽引車として使用することもできる。
【0017】
操作表示部30は、自律走行型ロボット100を操作する操作部と、各種設定画面等を表示する表示部とを含むタッチパネルで構成される。操作表示部30は、作業者から各種操作を受け付ける。例えば、操作表示部30は、自動走行を開始させる操作、走行速度及び走行方向を指定して自律走行型ロボット100を手動で走行させる操作、バッテリー50の充電を指示する操作、走行ルートを設定(予約、編集など)する操作などを受け付ける。また操作表示部30は、前記操作を受け付ける操作画面、自律走行型ロボット100の走行状況を示す走行表示画面、走行ルートなどを設定する設定画面などの各種画面を表示する。
【0018】
前記記憶部は、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含む不揮発性の記憶部である。例えば前記記憶部には、制御部に走行処理を実行させるためのプログラムなどの制御プログラムが記憶されている。
【0019】
また前記記憶部には、ピッキング情報が記憶される。前記ピッキング情報は、搬送すべき各物品が、どの保管棚のどの位置に置かれており、それらの物品のうちどの物品を何個、何処へ搬送すべきかを表す情報である。また前記記憶部には、物品情報が記憶される。前記物品情報は、保管棚に保管されている各物品の数量、各物品の重量、体積等を表す情報である。
【0020】
また前記記憶部には、自律走行型ロボット100の走行に必要な情報が記憶される。例えば前記記憶部には、自律走行型ロボット100が走行する走行ルートを表すルート情報が記憶される。前記走行ルートは、例えば、自律走行型ロボット100が走行する床面に磁気テープが貼られたルート、又は、作業者により設定(予約)されたルートに対応する。
【0021】
前記制御プログラムは、USB、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、自律走行型ロボット100が備えるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて前記記憶部に記憶される。また、前記制御プログラムは、外部機器から通信網を介してダウンロードされて記憶部に記憶されてもよい。
【0022】
前記制御部は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部は、前記ROM又は前記記憶部に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自律走行型ロボット100を制御する。
【0023】
具体的には、前記制御部は、作業者が操作表示部30に対して行った操作に対応する操作情報を取得する。また前記制御部は、前記操作情報に基づいて、自律走行型ロボット100の走行モードを切り替える。具体的には、作業者が操作表示部30において自動走行を開始させる操作を行った場合に、前記制御部は、自律走行型ロボット100の走行モードを自動走行モードに設定する。また作業者が操作表示部30において自動走行を終了させる操作又は手動走行を開始させる操作を行った場合に、前記制御部は、自律走行型ロボット100の走行モードを手動走行モードに設定する。
【0024】
また前記制御部は、前記走行モードに基づいて、自律走行型ロボット100の走行動作を制御する。例えば、前記走行モードが前記自動走行モードに設定された場合に、前記制御部は、記憶部に記憶されたルート情報に対応する走行ルートに従って自律走行型ロボット100を走行させる。具体的には、制御部は、前記走行ルートに応じた走行指示を走行部10に送信する。
【0025】
また前記走行モードが前記手動走行モードに設定された場合に、前記制御部は、操作表示部30又は操作端末(不図示)に対する作業者の操作に基づいて自律走行型ロボット100を走行させる。例えば、前記制御部は、操作端末に対する作業者の操作に応じた走行指示を走行部10に送信する。
【0026】
また前記制御部は、自律走行型ロボット100の走行状況などの現在の状況を表す情報を操作表示部30などに通知する。例えば、前記制御部は、自律走行型ロボット100の現在の走行プラン、走行位置(現在走行位置)を表す情報を操作表示部30に表示する。
【0027】
また前記制御部は、バッテリー50の充電容量を監視し、当該充電容量が閾値を下回った場合に、充電を促すメッセージなどを操作表示部30に表示させる。また、前記制御部は、バッテリー50の性能が低下し、新たなバッテリー50に交換する必要が生じた場合に、バッテリー50の交換を促すメッセージ(交換メッセージ)などを操作表示部30に表示させる。バッテリー50は、走行部10、操作表示部30、前記制御部、前記記憶部などの各部に電力を供給する。
【0028】
操作表示部30にバッテリー50の交換メッセージが表示された場合、作業者は、自律走行型ロボット100の電源をオフにしてバッテリー50の交換作業を行う。一般的に、自律走行型ロボットに内蔵されるバッテリーは、重量が重く交換作業が容易ではない。これに対して、本実施形態に係る自律走行型ロボット100では、バッテリー50の交換作業を容易に行うことが可能である。
【0029】
図1に示されるように、バッテリー50は、走行部10のバッテリー収容部40に着脱可能に収容される。バッテリー収容部40は、本発明のバッテリー収容部の一例である。図1では、バッテリー50が走行部10から露出した状態を示しているが、走行部10にはバッテリー収容部40を覆うカバー(不図示)が設けられている。これにより、バッテリー50は走行部10に内蔵された状態となる。
【0030】
図2に示されるように、バッテリー収容部40は、底板41と、底板41から上方に立ち上がる側板42,43と、側板42,43の上端を接続する上板45とにより構成される。バッテリー収容部40は、取出口40aが開放されており、バッテリー50は、取出口40aを介してバッテリー収容部40に着脱可能に収容される。例えば、バッテリー50は、図1に示すA方向に引き出されることによりバッテリー収容部40から取り出される。以下では、前記A方向を、取出方向ともいう。
【0031】
図3A図3Dは、バッテリー50の構成を示す図である。図3Aは、バッテリー50を斜め上方から見た斜視図であり、図3Bは、バッテリー50を斜め下方から見た斜視図である。図3Cは、図3AをB方向から見た側面図であり、図3Dは、図3CをC方向から見た背面図である。
【0032】
バッテリー50は、バッテリー本体52と、バッテリー本体52を支持する支持部51とを備える。
【0033】
支持部51は、底板51Eと、底板51Eから上方に立ち上がる側板51C,51Dと、底板51Eから上方に立ち上がり、取出口40a側(前記取出方向)に延伸する前板51Aと、底板51Eから上方に立ち上がり、取出口40aとは反対側(後方)に延伸する後板51Bとを備える。前板51Aには、前側把持部53が設けられ、後板51Bには、後側把持部54が設けられている。前側把持部53は、本発明の第1把持部の一例であり、後側把持部54は、本発明の第2把持部の一例である。また側板51Cには、上方に突出する金具55が設けられている。金具55には、バッテリー50用のハーネス(不図示)が固定される。また側板51Dには、上方に突出する金具を介してヒューズ56(図3C参照)が固定される。
【0034】
前板51Aの下面には、車輪57が回転自在に設けられている。車輪57は、取出口40a側(前方)に設けられる。また車輪57は、バッテリー50の幅方向の中心に配置されている(図3D参照)。図3Dに示す符号C1は、バッテリー50の幅方向の中心線を表し、符号W1は、中心線C1から側板51C,51Dまでの幅を表している。車輪57の下端は、底板51Eの下端より下方に突出している。車輪57は、本発明の第1車輪の一例である。
【0035】
後板51Bの下面には、車輪58,59が回転自在に設けられている。車輪58,59は、取出口40aとは反対側(後方)に設けられる。また車輪58は中心線C1より幅W2だけ側板51C側に配置されており、車輪59は中心線C1より幅W2だけ側板51D側に配置されている(図3D参照)。車輪58,59の下端は、車輪57と同様に、底板51Eの下端より下方に突出している。車輪58,59は、本発明の第2車輪の一例である。
【0036】
図3Dに示すように、車輪57と、車輪58,59とは、バッテリー50を前記取出方向から見て、互いの位置がずれて配置されている。また、バッテリー50において、車輪57は取出口40a側に1箇所設けられており、車輪58,59は取出口40aとは反対側に2箇所設けられている。
【0037】
バッテリー50を床面に載置した場合、バッテリー50は、車輪57,58,59が床面に接して移動可能に自立する。この状態で例えば作業者が手でバッテリー50を押すと、車輪57,58,59が回転し、バッテリー50が床面上を移動する。また作業者は、前側把持部53及び後側把持部54を把持してバッテリー50を、バッテリー収容部40に収容したり取り出したりすることが可能である。
【0038】
図4は、バッテリー収容部40の構成を示す斜視図である。図4に示すように、底板41には、受容部41aが形成されている。受容部41aは本発明の受容部の一例である。受容部41aの形状は円形に限定されない。またバッテリー収容部40には、ストッパー部材60が設けられている。ストッパー部材60は、バッテリー収容部40の取出口40aにおいて、左右に形成されたネジ穴63を貫通するネジにより底板41に固定される。またストッパー部材60には、受容部41aが露出するように切り欠き部61が形成されている。またストッパー部材60には、ストッパー穴62が形成されている。ストッパー部材60は、本発明のストッパー部材の一例である。また取出口40aは、本発明の取出口の一例である。
【0039】
また、バッテリー収容部40及びストッパー部材60は、本発明のバッテリー収容装置の一例である。また、バッテリー50、バッテリー収容部40及びストッパー部材60は、本発明のバッテリー装置の一例である。すなわち、本発明のバッテリー収容装置は、例えばバッテリー収容部40及びストッパー部材60により構成され、本発明のバッテリー装置は、例えばバッテリー50、バッテリー収容部40及びストッパー部材60により構成される。
【0040】
またバッテリー収容部40には、ガイド部材44が設けられている。ガイド部材44の取出口40a側の端部は、外側に向かって曲げられている。
【0041】
図5には、バッテリー収容部40にバッテリー50が収容された状態を示している。バッテリー50は、ガイド部材44に沿って、バッテリー収容部40の奥に押し込むように収容される。
【0042】
図5に示すように、バッテリー50をバッテリー収容部40に収容すると、取出口40a側に配置された車輪57が受容部41a(図4参照)に受容される。なお、受容部41aの大きさ(開口幅)は、車輪57の外径より小さく設定されている。このため、車輪57の下側の一部が受容部41aに受容される。また、車輪57は、ストッパー部材60の切り欠き部61に受容される。なお、車輪57が受容部41aに受容された状態では、車輪57とストッパー部材60とは接触しない。
【0043】
車輪57が受容部41aに受容されると、バッテリー50は前記取出方向側への移動が規制される。なお、バッテリー50を装置本体に確実に固定するために、ピン70を、支持部51の前板51Aに形成されたピン穴51a(図3A参照)を貫通させて、ストッパー穴62(図4参照)に差し込む。またバッテリー50用のハーネスを端子43a(図5)に接続する。これにより、バッテリー50の電力が装置本体に供給され、自律走行型ロボット100の走行などが可能となる。
【0044】
図6は、ストッパー部材60の構成を示す斜視図である。図6に示されるように、ストッパー部材60は、底板64と、底板64から上方に立ち上がる規制部65と、底板64と同一面上の開口部66とにより構成される。底板64には、切り欠き部61と、ストッパー穴62と、ネジ穴63とが形成されている。ストッパー部材60は、バッテリー収容部40の取出口40aにおいて、ネジ穴63を貫通するネジにより底板41に固定される(図4参照)。
【0045】
開口部66は、バッテリー50をバッテリー収容部40から取り出す際に車輪57が取出口40aを通過することを許可する。開口部66は、バッテリー50をバッテリー収容部40から取り出す際の車輪57の走行路に重なるように設けられている。これにより、例えばバッテリー50がバッテリー収容部40に収容された状態において、作業者が前側把持部53を把持して手前に引っ張ることにより、車輪57が開口部66を通過してバッテリー50を手前に引き出すことが可能になる。
【0046】
規制部65は、バッテリー50をバッテリー収容部40から取り出す際に車輪58,59が取出口40aを通過することを規制する。規制部65は、バッテリー50をバッテリー収容部40から取り出す際の車輪58,59の走行路に重なるように設けられている。これにより、作業者がバッテリー50を手前に引っ張ると、車輪57が開口部66を通過した後、車輪58,59が規制部65に接触し、移動が規制(停止)される。車輪58,59が規制部65を乗り越えると、バッテリー50はバッテリー収容部40から取り出される。
【0047】
ここで、前方の車輪57から後方の車輪58,59までの距離(車輪中心間距離)は、床面からストッパー部材60の上面までの距離(高さ)よりも長くなっている。すなわち、バッテリー50は、バッテリー50をバッテリー収容部40から取り出す際に車輪58,59が規制部65に接触したときに、車輪57が床面に接触可能に構成されている。
【0048】
[バッテリー50の取出方法]
図7図10を参照しつつ、バッテリー50の取出方法の手順の一例について説明する。前記取出方法は、本発明のバッテリー取出方法の一例である。先ず、作業者は、バッテリー収容部40を覆うカバー(不図示)を外し、バッテリー50の前側把持部53を把持してバッテリー50を手前に引っ張る。これにより、車輪57が受容部41a(図5参照)から外れストッパー部材60の底板64(図6参照)上に乗り上げる。これにより、バッテリー50は、バッテリー収容部40において車輪57~59が回転することにより取出口40a側に移動を開始する。
【0049】
作業者が引き続き前側把持部53を手前に引っ張ると、バッテリー50は取出口40a側に移動して車輪57がストッパー部材60の開口部66(図6参照)を通過する。車輪57が開口部66を通過してバッテリー収容部40から外部に出ると、バッテリー50の前方は浮いた状態で作業者により支持される(図7参照)。
【0050】
作業者が引き続き前側把持部53を把持して手前に引っ張ると、バッテリー50は、後方の車輪58,59が回転することにより取出口40a側に移動する。その後、車輪58,59が規制部65に接触し、バッテリー50の移動が規制(停止)される(図8参照)。
【0051】
次に、作業者は、前側把持部53を把持したバッテリー50の前方を下方に傾けて前方の車輪57を床面FLに接触させる(図9及び図10参照)。なお、図10は、図9をD方向から見た側面図である。これにより、バッテリー50は、床面FLに接触した車輪57と、規制部65に接触した車輪58,59とにより支持される。このとき、図9及び図10に示すように、バッテリー50とバッテリー収容部40との間(上方)には、作業者が後側把持部54を把持するための空間40b(作業空間)が形成される。
【0052】
次に、作業者は、空間40bにおいて後側把持部54を把持して車輪58,59が規制部65を乗り越えるように、バッテリー50の後方を持ち上げる。その後、作業者は、後側把持部54を把持したまま、バッテリー50の後方を下方に傾けて車輪58,59を床面FLに接触させる。これにより、バッテリー50はバッテリー収容部40から取り出され、作業者は、バッテリー50を床面FL上で移動させることが可能となる。
【0053】
その後、新たなバッテリー50を自律走行型ロボット100に取り付ける場合には、作業者は、上述の手順の逆順の作業を行うことにより、バッテリー50をバッテリー収容部40に収容することができる。
【0054】
上述ように、前記バッテリー取出方法は、バッテリー収容部40に収容されたバッテリー50を取出口40a側に引っ張ることにより、車輪57をストッパー部材60の開口部66を通過させるステップと、車輪57が開口部66を通過した後、車輪58,59をストッパー部材60の規制部65に接触させるステップと、車輪58,59が規制部65に接触した状態で車輪57を床面FLに接触させるステップと、車輪57が床面FLに接触した状態で車輪58,59を規制部65を乗り越えさせて床面FLに接触させるステップと、を含む。
【0055】
本実施形態に係る自律走行型ロボット100によれば、作業者がバッテリー50を取り出す際に、前方の車輪57はストッパー部材60の開口部66を通過するため容易に手前に引き出すことができ、また後方の車輪58,59はストッパー部材60の規制部65により一旦停止される。これにより、バッテリー50がバッテリー収容部40から落下することを防ぐことがき、また作業者は前側把持部53及び後側把持部54を把持してバッテリー50をバッテリー収容部40から安全に取り出すことができる。よって、バッテリーの交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0056】
本発明は、上述の構成に限定されない。例えば、バッテリー50(図3参照)の前後方向が逆の構成でもよい。すなわち、車輪58,59がバッテリー収容部40の取出口40a側(手前側)に配置され、車輪57がバッテリー収容部40の奥側に配置されてもよい。この場合、ストッパー部材60は、図11に示すように、規制部65が中央側に設けられ、開口部66が規制部65の両側に設けられる。これにより、バッテリー50を取り出す際に、前方の車輪58,59は開口部66を通過し、後方の車輪57は規制部65により一旦停止される。なお、バッテリー50がバッテリー収容部40に収容された状態では、車輪58,59が両側の切り欠き部61に受容される。車輪58,59は、本発明の第1車輪の一例であり、車輪57は、本発明の第2車輪の一例である。なお、本発明において、前記第1車輪の数及び前記第2車輪の数は限定されない。
【0057】
尚、本発明は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態を自由に組み合わせること、或いは各実施形態を適宜、変形又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 :走行部
40 :バッテリー収容部
40a :取出口
41a :受容部
50 :バッテリー
53 :前側把持部
54 :後側把持部
57 :車輪
58 :車輪
59 :車輪
60 :ストッパー部材
61 :切り欠き部
65 :規制部
66 :開口部
100 :自律走行型ロボット
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11