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  • 特許-水分散紙 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】水分散紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 15/02 20060101AFI20230124BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20230124BHJP
   B32B 29/06 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
D21H15/02
D21H27/00 A
D21H27/00 E
B32B29/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019062722
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020158938
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000176637
【氏名又は名称】日本製紙パピリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】岸本 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】石野 良明
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-237634(JP,A)
【文献】特開2006-299498(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049619(WO,A1)
【文献】特開平09-049198(JP,A)
【文献】守谷正夫,木材繊維の形態的特性と紙の性質について,紙パ技協誌,第21巻第3号,日本,紙パルプ技術協会,1967年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
D21B1/00-1/38
D21C1/00-11/14
D21D1/00-99/00
D21F1/00-13/12
D21G1/00-9/00
D21H11/00-27/42
D21J1/00-7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料パルプとして、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が平均0.60以下である針葉樹パルプを10重量%以上含む嵩高層を備える基紙と、
前記基紙に含浸された水溶性高分子と、
を有し、
前記基紙が、少なくとも一表面に、原料パルプとして、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が平均0.60を超える針葉樹パルプを30重量%以上含む緻密層を備え、
前記嵩高層を構成するパルプの濾水度が600mlCSF以上750mlCSF以下であり、
前記緻密層を構成するパルプの濾水度が450mlCSF以上600mlCSF以下であることを特徴とする水分散
【請求項2】
前記水溶性高分子が、カルボキシアルキルセルロース塩、デキストリンのいずれか、または両方であることを特徴とする請求項に記載の水分散紙。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水分散紙の一方の面に粘着剤層を有する水分散性ラベル。
【請求項4】
請求項1または2に記載の水分散紙からなる情報用紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で速やかに分散する水分散紙に関する。
【背景技術】
【0002】
水中で速やかに分散する水分散紙が、その水分散性を利用して、水分散性ラベル、機密文章用紙、トイレ周り等の掃除用ペーパー、衛生材料、医療資材、農業資材などに使用されている。例えば、特許文献1には、αセルロース含有率88重量%以上の精製パルプとαセルロース含有率88重量%未満の無精製パルプとを特定の配合比で配合した水分散紙が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6010461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水分散性に優れる水分散紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が平均0.60以下である針葉樹パルプを10重量%以上含む嵩高層を備える基紙と、
前記基紙に含浸された水溶性高分子と、
を有することを特徴とする水分散紙。
2.前記嵩高層を構成するパルプの濾水度が600mlCSF以上750mlCSF以下であることを特徴とする1.に記載の水分散紙。
3.前記基紙が、少なくとも一表面に、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が平均0.60を超える針葉樹パルプを30重量%以上含む緻密層を備えることを特徴とする1.または2.に記載の水分散紙。
4.前記緻密層を構成するパルプの濾水度が450mlCSF以上600mlCSF以下であることを特徴とする3.に記載の水分散紙。
5.前記水溶性高分子が、カルボキシアルキルセルロース塩、デキストリンのいずれか、または両方であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の水分散紙。
6.1.~5.のいずれかに記載の水分散紙の一方の面に粘着剤層を有する水分散性ラベル。
7.1.~5.のいずれかに記載の水分散紙からなる情報用紙。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水分散紙は、水分散性に優れている。表面に緻密層を備える基紙を用いた本発明の水分散紙は、印刷適性に優れているため、水分散性ラベル、機密文書用紙等に好適に使用することができる。本発明の水分散紙は、特定の針葉樹パルプを用いるだけで水分散性、さらには、印刷適性に優れ、従来の水分散紙と比較して非常に低コストである。また、本発明の水分散紙は、針葉樹パルプ等の生物由来材料の使用割合が高いため、水に分散等して環境中に放出された場合の負荷が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】パルプ断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「水分散紙」
本発明の水分散紙は、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が平均0.60以下である針葉樹パルプを10重量%以上含む嵩高層を備える基紙と、この基紙に含浸された水溶性高分子とを有することを特徴とする。
以下、本明細書において、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)を、単に「l/D」ともいう。
【0009】
・l/D
図1に、パルプ断面の概略図を示す。一般にパルプと呼ばれるものの主体は、針葉樹では仮道管、広葉樹では木繊維であり、その内部にルーメンと呼ばれる内腔を有する。l/Dは、繊維の太さに占めるルーメンの割合を示す値であり、小さいほどルーメンが小さく、繊維壁が厚いことを示す。
【0010】
ここで、本明細書において、パルプのl/Dとは、以下の手順で測定することができる。
1.パルプ懸濁液を0.05%の濃度になるよう希釈する。
2.滴下管を用いて希釈液を汚れのないスライドガラス上に滴下し、必要に応じて解剖針を用いて繊維を均一に分散させ、乾燥する。
3.スライドガラス上に分散された繊維の上にC染色液を3滴落とし、気泡が入らないようにカバーガラスを載せ、余剰の染色液を吸い取り紙で除き、プレパラートを作製する。
4.光学顕微鏡を用いてプレパラートを観察し、可動ステージ上でプレパラートを横方向又は縦方向に動かし、繊維幅(D)、ルーメン幅(l)を計測し、l/Dを算出する。
【0011】
紙料を調成する場合は、配合するパルプについて、上記方法で100本以上のパルプのl/Dを求め、その平均値をパルプのl/Dとすることができる。
抄紙した紙からは、紙の離解ろ水度を測定するためのスラリー調成と同様にして紙を離解し、200本以上のパルプについて、樹種等によって異なる色に呈色する染色液を用いて判別するとともに、上記方法でl/Dを求めることにより、針葉樹パルプの配合量と、パルプのl/Dを求めることができる。
【0012】
・基紙
本発明で用いる基紙は、少なくとも嵩高層を備える。基紙の層数は、特に制限されないが、層数が多くなると製造が煩雑となることから、1層以上3層以下であることが好ましい。
【0013】
・嵩高層
本発明の水分散紙において、嵩高層は、層中のパルプ全量に対し、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプを10重量%以上含む。
嵩高層は、そのパルプ全量に対し、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプを10重量%以上含めばよく、その他のパルプを配合することができる。嵩高層中のパルプ全量に対するl/Dが0.60以下である針葉樹パルプの配合量は、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましい。
【0014】
・l/Dが0.60以下である針葉樹パルプ
l/Dが0.60以下である針葉樹パルプは、繊維壁が肉厚で潰れにくく、低密度で嵩高なシートを形成する。そして、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプが形成するシートは、繊維間結合が少なく水に分散しやすい。l/Dが小さいほど水に分散しやすくなるため、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプは、そのl/Dが0.55以下であることが好ましく、0.50以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましい。
【0015】
l/Dが0.60以下である針葉樹パルプとしては、特に制限されず、機械パルプ(MP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、亜硫酸パルプ(SP)、クラフトパルプ(KP)、また、これらの晒パルプ(BP)、未晒パルプ(UP)等の中から、l/Dが0.60以下のものを1種類または2種類以上を配合して使用することができる。これらの中で、強度に優れるクラフトパルプ(KP)および亜硫酸パルプ(SP)が好ましい。
【0016】
・その他のパルプ
l/Dが0.60以下である針葉樹パルプと組み合わせるその他のパルプとしては、l/Dが0.60を超える針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、再生セルロース、マーセル化パルプ、溶解パルプなどの精製パルプ、亜麻、ケナフ、楮、三椏などの靭皮繊維、バガス、竹、エスパルトなどの硬質繊維、コットンリンターなどの種子毛繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維といった非木材パルプ等を、特に制限なく使用することができる。
その他のパルプのl/Dは、特に制限されず、0.60を超えてもよい。ただし、その他のパルプのl/Dが大きい場合、水分散性が低下する傾向があるため、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプの配合量を多くする必要がある。
【0017】
嵩高層は、製紙用繊維として、繊維状カルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ塩を含まないことが好ましい。
繊維状カルボキシメチルセルロースは、水不溶性であるが、アルカリ塩とすることで水溶性となる。そのため、繊維状カルボキシメチルセルロースは、水分散紙を抄紙するための製紙用繊維として配合され、抄紙後にアルカリ化剤により繊維状カルボキシメチルセルロースのNa塩とされることが多い。しかし、アルカリ化剤に由来するアルカリが悪影響を及ぼす場合があり、また、紙が変色(黄変)しやすくなる。
【0018】
嵩高層を構成するパルプは、濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)が600mlCSF以上750mlCSF以下となるように叩解することが好ましい。濾水度が600mlCSFより小さくなる(叩解が進む)と、水分散性が低下する。濾水度が750mlCSFより大きいと、抄紙が困難となる場合がある。濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)は、620mlCSF以上720mlCSF以下であることが好ましく、640mlCSF以上700mlCSF以下であることがより好ましい。
パルプ懸濁液の叩解は、針葉樹パルプのみからなる懸濁液を叩解する場合に限らず、針葉樹パルプとその他のパルプとを混合した後に混合叩解しても、針葉樹パルプとその他のパルプとを別々に叩解した後に混合(別叩解)してもよい。別叩解の場合、それぞれのパルプの濾水度は、特に制限されるものではないが、各パルプを混合した後の嵩高層を抄紙するためのパルプ懸濁液の濾水度が、上記した600mlCSF以上750mlCSF以下の範囲内となるように調成する。
【0019】
嵩高層を形成する紙料は、上記したパルプの他に、水分散性を損なわない範囲内において、公知の添加剤、例えば、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉などの乾燥紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の添加剤を、必要に応じて適宜選択して配合することができる。
ただし、嵩高層を形成する紙料は、填料、サイズ剤等を含まないことが好ましい。特に、填料として炭酸カルシウムを含む場合、後述する水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロース塩を用いた場合、Ca塩となり水溶性が低下する場合がある。
【0020】
・緻密層
基紙は、少なくとも一面が緻密層であることが好ましく、両面が緻密層であることがより好ましい。
緻密層は、層中のパルプ全量に対し、l/Dが0.60を超える針葉樹パルプを30重量%以上含む。緻密層は、そのパルプ全量に対し、l/Dが0.60を超える針葉樹パルプを30重量%以上含めばよく、その他のパルプを配合することができる。ただし、緻密層と嵩高層とは、同一の紙料から抄紙されない。緻密層中のパルプ全量に対するl/Dが0.60を超える針葉樹パルプの配合量は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。
【0021】
・l/Dが0.60を超える針葉樹パルプ
l/Dが0.60を超える針葉樹パルプは、繊維壁が薄く抄紙時に扁平に潰れやすい。紙は、抄紙時に潰れたパルプが積層し、相互に接触して繊維間結合を生じることにより、シート状となるため、l/Dが大きなパルプは、高密度で緻密なシートを製造することができる。
l/Dが大きいほど遮蔽性に優れたシートが得られるため、l/Dが0.60を超える針葉樹パルプは、そのl/Dが0.65以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.75以上であることがさらに好ましい。
【0022】
l/Dが0.60を超える針葉樹パルプとしては、特に制限されず、機械パルプ(MP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、亜硫酸パルプ(SP)、クラフトパルプ(KP)、また、これらの晒パルプ(BP)、未晒パルプ(UP)等の中から、l/Dが0.60を超えるものを1種類または2種類以上を配合して使用することができる。これらの中で、強度に優れるクラフトパルプ(KP)および亜硫酸パルプ(SP)が好ましい。
【0023】
・その他のパルプ
l/Dが0.60を超える針葉樹パルプと組み合わせるその他のパルプとしては、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、亜麻、ケナフ、楮、三椏などの靭皮繊維、バガス、竹、エスパルトなどの硬質繊維、コットンリンターなどの種子毛繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維といった非木材パルプ等を、特に制限なく使用することができる。ただし、l/Dが0.60以下である針葉樹パルプを含む場合は、遮蔽性が低下する傾向があるため、その配合量は緻密層を形成するパルプ全量に対して50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
その他のパルプのl/Dは、特に制限されず、0.60以下であってもよい。ただし、その他のパルプのl/Dが小さい場合、遮蔽性が低下する傾向があるため、l/Dが0.60を超える針葉樹パルプの配合量を多くする必要がある。
【0024】
緻密層は、嵩高層と同じく、製紙用繊維として、繊維状カルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ塩を含まないことが好ましい。さらに、緻密層は、製紙用繊維として再生セルロース繊維を含まないことが好ましい。
再生セルロースは、シート強度や平滑性が不足して印刷適性が不良となるので不適切である。
【0025】
緻密層を構成するパルプは、濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)が450mlCSF以上600mlCSF以下となるように叩解することが好ましい。濾水度が450mlCSFより小さくなる(叩解が進む)と、水分散性が低下する。濾水度が600mlCSFより大きいと、シートの平滑性が不足し印刷適性が不良となる場合がある。濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)は、475mlCSF以上575mlCSF以下であることが好ましく、500mlCSF以上550mlCSF以下であることがより好ましい。
パルプ懸濁液の叩解は、針葉樹パルプのみからなる懸濁液を叩解する場合に限らず、針葉樹パルプとその他のパルプとを混合した後に混合叩解しても、針葉樹パルプとその他のパルプとを別々に叩解した後に混合(別叩解)してもよい。別叩解の場合、それぞれのパルプの濾水度は、特に制限されるものではないが、各パルプを混合した後の緻密層を抄紙するためのパルプ懸濁液の濾水度が、上記した450mlCSF以上600mlCSF以下の範囲内となるように調成する。
【0026】
緻密層を形成する紙料は、上記したパルプの他に、水分散性を損なわない範囲内において、公知の添加剤、例えば、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉などの乾燥紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の添加剤を、必要に応じて適宜選択して配合することができる。ただし、表面層を形成する紙料は、填料、サイズ剤等を含まないことが好ましい。
【0027】
・水溶性高分子
本発明の水分散紙は、水溶性高分子を含む。水溶性高分子は、基紙に含浸されており、基紙の繊維間空隙に少なくとも一部に充填されている。本発明の水分散紙は、基紙の繊維間空隙に水溶性高分子が充填されていることにより、乾燥強度に優れている。また、本発明の水分散紙は、水との接触時に、繊維間空隙に存在している水溶性高分子が膨潤して、繊維間を押し広げることにより繊維が分離しやすいため、水分散性に優れている。
【0028】
水溶性高分子としては、水に再溶解し易いものを特に制限することなく使用することができる。具体的には、カルボキシアルキルセルロース塩、アルギン酸塩、ペクチン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、カルボキシアルキル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、アニオン性ポリアクリルアミド等のアニオン性高分子電解質塩、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルアルキルエーテル、ヒドロキシアルキル化澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉等の高分子無電解質、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、プルラン、デキストラン、デキストリン等の水溶性多糖類、ゼラチン、カゼイン等の水溶性タンパク質等を例示することができ、これらを1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、水分散性と乾燥強度の点からはカルボキシアルキルセルロースのNa塩、デキストリンが好ましい。なお、基紙に含浸する水溶性高分子としてのカルボキシルアルキルセルロース塩は、本発明の水分散紙が含まないことが好ましい製紙用繊維である繊維状カルボキシアルキルセルロースのNa塩とは、その形状が全く異なる別物質である。また、印刷ヘッド等の金属部材の腐食防止の点からは、1.0wt%水溶液におけるpHが6以上8以下の中性の水溶性高分子が好ましい。
【0029】
水溶性高分子は、20℃における2重量%水溶液のB形粘度(以下、単にB形粘度ともいう)が1mPa・s以上200mPa・s以下であることが好ましい。このB形粘度の数値範囲を満足する水溶性高分子は、繊維間空隙へ均一に浸透しやすく、水分散紙の水分散性が向上する。水溶性高分子のB形粘度は、2mPa・s以上130mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上40mPa・s以下であることがより好ましい。
【0030】
・水分散紙
<水分散性>
水分散紙の水分散性は、フロック状水分散時間、繊維状水分散時間によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を1枚投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間であり、繊維状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片1枚を投入し、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間である。
【0031】
本発明の水分散紙は、フロック状水分散時間が、15秒以内であり、かつ、繊維状水分散時間が、180秒以内である。フロック状水分散時間は、10秒以内であることがより好ましく、5秒以内であることがさらに好ましい。また、繊維状水分散時間は、120秒以内であることがより好ましく、90秒以内であることがさらに好ましい。これらの時間が長くなると、水分散性が低くなり、排水管等を詰まらす原因となる場合がある。
【0032】
<紙面pH>
本発明の水分散紙の紙面pHは、6以上8以下の中性領域である。紙面pHをこの範囲に調整することで、酸、またはアルカリによる悪影響を防ぐことができる。紙面pHは、6.2以上7.2以下であることが好ましい。
【0033】
本発明において、紙面pHを調整する方法は、特に限定されるものではなく、中性領域の材料を主成分として水分散紙を製造する。あるいは、アルカリ性、酸性の水分散紙を、酸性物質、アルカリ性物質で中和して製造することが可能である。
【0034】
・水分散紙の製造方法
本発明の水分散紙は、公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機、及びこれらを組み合わせた多層抄きの抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる基紙を製造することができる。
【0035】
水分散紙の坪量は、10g/m以上200g/m以下の範囲であることが好ましく、50g/m以上120g/m以下であることがより好ましい。坪量が10g/m未満では、強度が不足する場合がある。坪量が200g/mより大きいと、水分散性が低下する場合がある。
また、本発明の水分散紙において、基紙が嵩高層と緻密層を備える場合、各層の坪量は、通常5g/m以上100g/m以下、好ましくは10g/m以上100g/mの範囲である。
【0036】
水溶性高分子の基紙への含浸方法は、特に限定されないが、マングル、サイズプレス等による含浸加工、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等による表面塗工の中から適宜選択して用いることができ、生産性の観点からサイズプレスによる含浸加工が好ましい。
【0037】
本発明において、水溶性高分子の添加量(乾燥重量)は、パルプ全量に対して2重量%以上14重量%以下であることが好ましい。水溶性高分子の添加量がパルプ全量に対して2重量%に満たない場合は、水分散性や強度の向上効果が不十分な場合がある。また、添加量が14重量%より多い場合は、水分散性や強度の更なる向上効果が見られない。水溶性高分子の添加量(乾燥重量)は、パルプ全量に対して、3重量%以上12重量%以下が好ましく、6重量%以上10重量%以下であることがより好ましい。
【0038】
<水分散紙の付加加工>
本発明の水分散紙は、平滑性を向上させて印刷用途等に供するため、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等の一般的な製紙用カレンダーを用いてカレンダー加工を施すことができる。この際、l/Dの大きな針葉樹パルプは潰れやすいため、緻密層を有する水分散紙は、緻密層を構成するパルプが優先的に圧縮されて緻密になり、遮蔽性や平滑性が向上する。
【0039】
本発明の水分散紙は、印刷用途等に供することができる。印刷方式には、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等があり、用途によって様々である。その中で一般的に利用されるグラビア印刷方式は、版表面に形成されたセルと呼ばれる凹部にインキを充填し紙に転写する方式である。そのため、グラビア印刷時に版が紙と接触する際に、表面平滑性が高いと、紙表面と版との密着性が向上して優れた印刷仕上がりとなる。一方で、表面平滑性が低いと紙表面と版との密着性が低下し、紙にインキが転写されない網点抜け(以下ミスドット)が発生し、印刷仕上がりが悪化しやすくなる問題点がある。
通常、水分散紙は水への分散性を保持するために空隙が多い構成となっており、表面平滑性が低くなり、ミスドットが起こりやすい。表面に緻密層を備える本発明の水分散紙は、嵩高層と緻密層のパルプ構成を上記の通りとすることで、水分散性を維持したまま表面平滑性を向上させることができるため、優れた印刷仕上がりとなる。
【0040】
「粘着剤層」
本発明の水分散紙は、基紙の少なくとも一面上に粘着剤層を有することができる。
水分散紙の粘着剤層を構成する粘着剤としては、水溶性又は水再分散性を有する粘着剤が好ましく、水溶性アクリル系粘着剤または水再分散性アクリル系粘着剤がより好ましい。水溶性アクリル系粘着剤の例としては、アクリル酸アルコキシアルキルとスチレンスルホン酸塩と他の共重合性単量体とからなる共重合体や、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル系単量体と水酸基含有単量体と場合により用いられる共重合可能な他の単量体との共重合体をベースポリマーとして含有するものなどを挙げることができる。水再分散性アクリル系粘着剤の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有ビニル系単量体とアルコキシ基を有するビニル系単量体と場合により用いられる共重合可能な他の単量体との共重合体や、カルボキシル化ロジンエステル含有ビニル系単量体とカルボキシル基含有ビニル系単量体と水溶性ビニル系単量体が共重合されてなる共重合体をベースポリマーとして含有するものなどを挙げることができる。なお、これらの共重合体のカルボキシル基は、必要に応じ一部又は全部がアルカリにより中和された塩型であってもよく、このアルカリとして、アルカリ金属塩、アミン塩、アルカノールアミン塩が好適に用いられる。
【0041】
水溶性アクリル系粘着剤または水再分散性アクリル系粘着剤を用いる場合、粘着剤層を形成する粘着剤層塗工液には、粘着力や水溶性又は水分散性の調整のために架橋剤を配合することができる。このような架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものを用いることができる。例えば、1,2-エチレンジイソシアネートのようなイソシアネート系架橋剤、ジグリシジルエーテル類のようなエポキシ系架橋剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられる。さらに、粘着剤層塗工液には、必要に応じ性状を調整し、性能を高めるために、従来公知の可塑剤、粘着性付与剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、防黴剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。ここで、可塑剤、粘着性付与剤は水溶性又は水分散性のものが好ましく、可塑剤としては、例えば、糖アルコールなどの多価アルコール、ポリエーテルポリオール、酸化ロジンのアルカノールアミン塩などが挙げられ、粘着付与剤としては、例えば、ロジン、不均化ロジン、水添ロジンなどのアルカリ金属塩や、アンモニウム塩、ポリエーテルエステルなどが挙げられる。
【0042】
粘着剤層は、基紙の少なくとも一面上に粘着剤層塗工液を直接塗布して設けることもでき、剥離シート上に形成した粘着剤層を基紙に転写してもよい。粘着剤層は、基紙の少なくとも一面の全面上に設けることもでき、部分的に設けることもできる。粘着剤層を部分的に設けることにより、例えば、粘着剤層に貼り合わせた剥離紙を剥がしやすくなる。
粘着剤層の塗工量は固形分として3g/m以上60g/m以下であることが好ましく、10g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。粘着剤塗工量が3g/m未満では、得られる粘着シートの接着性能が不足し、一方、60g/mを超えると粘着シートの製造時や後加工工程で粘着剤がはみ出し易くなり好ましくない。
【0043】
粘着剤層は使用時以外での不要な粘着を防ぐために剥離シートを貼合し、所望により剥がして使用することが好ましい。剥離シートとして特に制限はなく、従来公知のもの、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの各種プラスチックフィルムの片面若しくは両面に、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗布したものなどを用いることができる。剥離シートの坪量については特に制限はないが、通常20g/m以上120g/m以下程度である。
【0044】
また、基紙の一面上に、印刷方式で点状や矩形状の非連続パターンで粘着剤を部分塗布し、基紙の他面上に粘着剤のパターンと対応するパターンで剥離剤を部分塗布し、粘着剤部分塗布面と剥離剤部分塗布面とを重ね合わせることにより、剥離シートが不要の水分散紙の積層体を形成することもできる。
【実施例
【0045】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
「実施例1」
針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.42)をカナダ標準ろ水度700mlCSFまで叩解した抄紙原料からなる嵩高層の手抄き紙を作製した。この手抄き紙に、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名サンローズ、日本製紙社製品、B形粘度5mPa・s)(以下「CMC」という。)の水溶液(pH7.1)をサイズプレス方式で手抄き紙に対して8重量%含浸加工して塗工紙を作製した(以下「サイズプレス塗工」という)。さらに塗工紙を目標厚さ72~74μmとなるようにカレンダー加工して水分散紙を作製した。
【0046】
「実施例2」
針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.42)50重量部、及び広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.34)50重量部から成る混合パルプをカナダ標準ろ水度640mlCSFまで叩解した抄紙原料を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0047】
「実施例3」
実施例2で用いた混合パルプからなる嵩高層の両面に、針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)30重量部、及び広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.55)70重量部から成る混合パルプをカナダ標準ろ水度525mlCSFまで叩解した抄紙原料からなる緻密層を、重量比が緻密層:嵩高層:緻密層=1:2:1となるように抄き合せ接合で積層し、三層構造の手抄き紙を作製した以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0048】
「実施例4」
緻密層に配合した混合パルプを、カナダ標準ろ水度590mlCSFまで叩解した以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例5」
緻密層に配合した混合パルプを、針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)50重量部と広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.55)50重量部から成る混合パルプに代えた以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例6」
緻密層に配合した混合パルプを、針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)30重量部と広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.34)70重量部から成る混合パルプに代えた以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
【0049】
「実施例7」
嵩高層に配合した混合パルプを、針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.42)70重量部と針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)30重量部から成る混合パルプに代えた以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例8」
水溶性高分子としてCMC(商品名サンローズFT-3、日本製紙社製品、B形粘度94mPa・s)の水溶液(pH7.2)を手抄き紙に対して5重量%サイズプレス塗工したこと以外は実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例9」
水溶性高分子としてデキストリン(商品名ハイコースター、三和澱粉工業社製品、B形粘度3mPa・s)の水溶液(pH7.0)を手抄き紙に対して5重量%サイズプレス塗工したこと以外は実施例4と同様にして水分散紙を作製した。
【0050】
「実施例10」
CMC(商品名サンローズFT-3、日本製紙社製品、B形粘度94mPa・s)と水溶性高分子としてデキストリン(商品名ハイコースター、三和澱粉工業社製品、B形粘度3mPa・s)の混合物の水溶液を手抄き紙に対してCMCが1重量%、デキストリンが7重量%となるようにサイズプレス塗工したこと以外は実施例4と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例11」
第2の緻密層を設けずに、緻密層と嵩高層の2層構造とした以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例12」
緻密層に広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.34)をカナダ標準ろ水度525mlCSFまで叩解した抄紙原料を用いた以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例13」
緻密層に配合した混合パルプを、カナダ標準ろ水度620mlCSFまで叩解した以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
「実施例14」
針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.42)30重量部、及び広葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.34)70重量部から成る混合パルプをカナダ標準ろ水度630mlCSFまで叩解した抄紙原料を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0051】
「比較例1」
CMCを塗工しないこと以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
「比較例2」
針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)をカナダ標準ろ水度640mlCSFまで叩解した抄紙原料を用いた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
「比較例3」
嵩高層を設けない以外は、実施例3と同様にして実質的に単層の緻密層から成る水分散紙を作製した。
【0052】
「比較例4」
嵩高層に配合した混合パルプを、針葉樹晒クラフトパルプ(l/D=0.85)のみとした以外は、実施例3と同様にして水分散紙を作製した。
【0053】
得られた水分散紙について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
・坪量、厚さ、密度
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
JIS P8118に準拠して加圧面間の圧力100kPaとして、シート1枚の厚さを測定した。
測定した坪量(g/m)を厚さ(μm)で除して密度を算出した。
【0054】
・フロック状水分散時間
前記方法で水分散時間を測定し、下記基準で評価した。
◎:フロック状水分散時間が10秒以内かつ繊維状水分散時間が90秒以内。
○:フロック状水分散時間が15秒以内かつ繊維状水分散時間が180秒以内であって、上記「◎:フロック状水分散時間が10秒以内かつ繊維状水分散時間が90秒以内」であるものを除く。
×:フロック状水分散時間が15秒を超えるか、又は繊維状水分散時間が180秒を超える。水分散が困難と評価される。
【0055】
・印刷適性試験
印刷局式グラビア印刷試験機を用いて、水分散紙のグラビア印刷を行い、30%階調網点部のミスドットの個数をカウントし、正常なドットに対するミスドットの割合を算出し、以下の基準で評価した。なお、実施例11は緻密層表面が印刷面である。
◎:0.1%以内
○:0.1%より多く2.0%以内
×:2.0%より多い
【0056】
・粘着力試験
(試験片の作製)
シリコーン剥離剤を塗布した市販の剥離シートの剥離処理面に粘着剤(商品名リキダイン、ビッグテクノス(株)製)を固形分として25g/m塗布し、乾燥して粘着剤層を設けた。この粘着剤層と、水分散紙の印刷面とは反対の表面(第2の表面層)とを合わせて、重量3kgのゴムローラーを2往復ころがして圧着し、23℃、50%RHの室内で30日間保管した。
(粘着力測定)
JIS Z0237に準じ、粘着剤層を塗工してから30日目に、幅25mm×長さ170mmの試験片を3本切り出し、剥離紙を剥がして粘着剤塗工面をステンレス板(100×150mm)の上に置き、重量3kgのゴムローラーを2往復ころがして圧着した。
ステンレス板を引張試験機の下部チャックに挟み、試料粘着加工品の一端を上部チャックに挟んで引張速度300mm/分で180°引き剥がし試験を行い、粘着力(g/25mm)を測定し、下記基準で評価した。
◎:600g/25mm以上
○:300g/25mm以上600g/25mm未満
×:300g/25mm未満
【0057】
【表1】
【0058】
「結果」
本発明である実施例1~14で得られた水分散紙は、水分散性に優れていた。表面に緻密層を備える本発明の実施例3~13、特に、緻密層を構成するパルプが、(l/D)が平均0.60を超える針葉樹パルプを30重量%以上含み、叩解度が450mlCSF以上600mlCSF以下である実施例3~11に係る発明は、印刷適性に優れていた。
図1