(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】接点部材、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 13/52 20060101AFI20230124BHJP
H01H 1/06 20060101ALI20230124BHJP
H01H 11/00 20060101ALI20230124BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H01H13/52 F
H01H1/06 Z
H01H11/00 D
H01R11/01 501G
(21)【出願番号】P 2019145999
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】武藤 泰寛
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-057680(JP,A)
【文献】特開2004-342539(JP,A)
【文献】特開2001-028213(JP,A)
【文献】特開平07-288054(JP,A)
【文献】特開2013-251170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/52
H01H 11/00
H01H 1/06
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゴム状弾性体と、
金属層部と、
第2のゴム状弾性体と、
が順に積層されており、
前記第2のゴム状弾性体には、ゴム状弾性体部及び接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する複数の線状導通部材を備え
、
前記線状導通部材は、前記金属層部の表面と交差する方向に配向しており、かつ前記金属層部の表面に対して直交する方向に対して鋭角をなして斜めに配向している接点部材。
【請求項2】
第1のゴム状弾性体と、
金属層部と、
第2のゴム状弾性体と、
が順に積層されており、
前記第2のゴム状弾性体には、ゴム状弾性体部及び接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する複数の線状導通部材を備え、
前記線状導通部材は、前記金属層部の表面と交差する方向に配向しており、
前記金属層部には、複数の貫通孔が形成されている接点部材。
【請求項3】
前記線状導通部材は、10~200μmの線径で形成され、15~1000μmのピッチで前記第2のゴム状弾性体中に配置されている請求項
1または2に記載の接点部材。
【請求項4】
前記線状導通部材は、端面に貴金属メッキが施されている請求項1から
3のいずれか1項に記載の接点部材。
【請求項5】
前記線状導通部材は、少なくとも一方の端部が前記ゴム状弾性体部の厚み寸法の15%以内の突出高さ寸法で前記ゴム状弾性体部の表面から突出している請求項1から
4のいずれか1項に記載の接点部材。
【請求項6】
前記線状導通部材は、その端面が全て露出しているとともに、少なくとも一方の端部が前記ゴム状弾性体部の厚み寸法の15%以内の埋没深さ寸法で前記ゴム状弾性体部に埋没している請求項1から
4のいずれか1項に記載の接点部材。
【請求項7】
前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とはプライマーを介して固定されている請求項1から
6のいずれか1項に記載の接点部材。
【請求項8】
前記第1のゴム状弾性体及び前記第2のゴム状弾性体は、シリコーンゴムを主材とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の接点部材。
【請求項9】
第1のゴム状弾性体、複数の貫通孔を備える金属層部、第2のゴム状弾性体が順に積層されており、前記第2のゴム状弾性体には、接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する線状導通部材を複数備える接点部材の製造方法であって、
前記第1のゴム状弾性体の硬化前の未加硫状態のゴム組成物と前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とをこの順で重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記重ね合わせた前記ゴム組成物と前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とを加熱プレスして、前記金属層部の前記貫通孔に入り込んだ前記第1のゴム状弾性体と前記第2のゴム状弾性体とを接合する加熱プレス工程と、
を含む接点部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦スイッチ用の接点部材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、押釦スイッチ用の接点部材として、洋白、ニッケル、ステンレス等に耐食性や導電性を高めるために貴金属メッキを施した金属板又は金属箔(以下「金属層部」と記載する。)を、エラストマーと一体成型したものが広く用いられている。このような接点部材は、金属層部の剛性が高いことから変形し難く、接点と基板の固定電極との間に異物が介在してしまった場合には、接点と固定電極との接触不良による導通不良やチャタリングの虞があった。このような導通不良やチャタリングの対策として、金属箔に穴をあけた接点部材(例えば、特許文献1を参照)や導電性弾性体を用いた接点部材(例えば、特許文献2を参照)等が提案されている。
【0003】
図15は、基本的な構成の押釦スイッチの縦断面図を示す。
図16は、従来から公知の金属層部に穴をあけた接点部材の断面図を示す。
図17は、従来から公知の金属層部の代わりに導電性弾性体を用いた接点部材の断面図を示す。
【0004】
押釦スイッチ用の公知の接点部材を説明する前に、押釦スイッチの基本的な構成を説明する。
図15に示す基本的な構成の押釦スイッチ701は、略円柱形状のキートップ702の下端に、キートップ702の径方向外側にドーム状に拡径するドーム部703を備える。押釦スイッチ701は、ドーム部703の下方開口部より径方向外側に延出するベース部704を備える。ベース部704は、押釦スイッチ701を配置する基板750上に固定される部分である。接点部材710は、ドーム部703の内方空間でキートップ702の直下に貼り付けられており、表面に導電性部材を有する接点部材710を備える。接点部材710は、キートップ702が押し込まれることで、ドーム部703が変形し、基板750上の固定電極751と固定電極752と接触するまで降下することができる。接点部材710は、導電性部材を固定電極751と固定電極752とに同時に接触することで、固定電極751と固定電極752とを電気的に接続させることができる。
【0005】
次に、押釦スイッチ用の公知の接点部材を説明する。
【0006】
図16に示す従来から公知の金属層部に穴をあけた接点部材810は、
図15に示すような押釦スイッチ701の接点部材710の部分に用いられる。接点部材810は、キートップ702に貼り付けられブリッジ接点として機能する金属層部830として構成されている。接点部材810における金属層部830には、複数の穴831が形成されている。接点部材810は、金属層部830の露出する表面に、貴金属メッキが施されている。このような、金属層部に穴をあけた接点部材810は、接点部材810と基板750の固定電極751,752との間に異物が介在してしまった場合、異物が穴831に入り込むことで導通不良やチャタリングのリスクを低減できる。
【0007】
図17に示す従来から公知の導電性弾性体を用いた接点部材910も、
図15に示すような押釦スイッチ701の接点部材710の部分に用いられる。接点部材910は、導電性弾性体940と、導電性弾性体940に支持された複数の線状導電体942と、を備えている。接点部材910における線状導電体942は、厚み方向に沿って配向している。各線状導電体942同士は、導電性弾性体940を介して電気的に接続している。このような、導電性弾性体を用いた接点部材910は、接点910と基板750の固定電極751,752との間に異物が介在してしまった場合、導電性弾性体940が凹むことで導通不良やチャタリングのリスクを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-251170号公報
【文献】特開2001-028213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属層部に穴をあけた接点部材810は、
図16に示すように、金属層部830に穴831があいているため、キートップ702(又はゴム状弾性体)と金属層部830とを一体化する際に、安価なプライマーを使用接合することができない、という問題がある。また、接点部材810は、キートップ702(又はゴム状弾性体)と金属層部830とを加圧プレスで接合した場合には、キートップ702(又はゴム状弾性体)が金属層部830の穴831を塞いで異物に対する効果が低下してしまう、という問題がある。また、接点部材810は、金属層部830に穴831があいており、表面積が小さくなっているものの、それでも表面積が大きいため、貴金属メッキのコストが高くなる、という問題がある。
【0010】
導電性弾性体を用いた接点部材910は、
図17に示すように、複数の線状導電体942同士が導電性弾性体940を介して電気的に接続されるが、導電性弾性体940の抵抗値が比較的高いため、低抵抗を実現できない、という問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る接点部材は、第1のゴム状弾性体と、金属層部と、第2のゴム状弾性体と、が順に積層されており、前記第2のゴム状弾性体には、ゴム状弾性体部及び接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する複数の線状導通部材を備える。
(2)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、前記金属層部の表面と交差する方向に配向している。
(3)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、10~200μmの線径で形成され、15~1000μmのピッチで前記第2のゴム状弾性体中に配置されている。
(4)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、前記金属層部の表面に対して直交する方向に沿って配向している。
(5)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、前記金属層部の表面に対して直交する方向に対して、鋭角をなして斜めに配向している。
(6)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、端面に貴金属メッキが施されている。
(7)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、少なくとも一方の端部が前記ゴム状弾性体部の厚み寸法の15%以内の突出高さ寸法で前記第2のゴム状弾性体の表面から突出している。
(8)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記線状導通部材は、その端面が全て露出しているとともに、少なくとも一方の端部が前記ゴム状弾性体部の厚み寸法の15%以内の埋没深さ寸法で前記ゴム状弾性体部に埋没している。
(9)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記金属層部には、複数の貫通孔が形成されている。
(10)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とはプライマーを介して固定されている。
(11)別の実施形態に係る接点部材において、好ましくは、前記第1のゴム状弾性体及び前記第2のゴム状弾性体は、シリコーンゴムを主材とする。
(12)上記目的を達成するための一実施形態に係る接点部材の製造方法は、第1のゴム状弾性体、金属層部、第2のゴム状弾性体が順に積層されており、前記第2のゴム状弾性体には、接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する線状導通部材を複数備える接点部材の製造方法であって、前記線状導通部材を複数備える前記第2のゴム状弾性体に、前記金属層部の第1面を接着する第1接着工程と、前記第2のゴム状弾性体に固定した前記金属層部の前記第1面とは反対の第2面に、前記第1のゴム状弾性体を接着する第2接着工程と、を含む。
(13)別の実施形態に係る接点部材の製造方法は、第1のゴム状弾性体、複数の貫通孔を備える金属層部、第2のゴム状弾性体が順に積層されており、前記第2のゴム状弾性体には、接点側の面から前記金属層部の面に電気的に導通する線状導通部材を複数備える接点部材の製造方法であって、前記第1のゴム状弾性体の硬化前の未加硫状態のゴム組成物と前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とをこの順で重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記重ね合わせた前記ゴム組成物と前記金属層部と前記第2のゴム状弾性体とを加熱プレスして、前記金属層部の前記貫通孔に入り込んだ前記第1のゴム状弾性体と前記第2のゴム状弾性体とを接合する加熱プレス工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現可能な接点部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る接点部材の縦断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2の接点部材の製造方法についてのフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、
図3のフローチャートにおける各工程の説明図を示す。
【
図5】
図5は、
図2の接点部材における第2のゴム状弾性体の製造方法についてのフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、
図5のフローチャートにおける各工程の説明図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態2に係る接点部材の斜視図を示す。
【
図9】
図9は、
図7の接点部材の製造方法についてのフローチャートを示す。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態3に係る接点部材の縦断面図を示す。
【
図12】
図12は、接点部材における第2のゴム状弾性体の変形例を示す。
【
図13】
図13は、接点部材における第2のゴム状弾性体の別の変形例を示す。
【
図14】
図14は、線状導通部材とゴム状弾性体部との凹凸の関係性の説明図を示す。
【
図15】
図15は、基本的な構成の押釦スイッチの縦断面図を示す。
【
図16】
図16は、従来から公知の金属層部に穴をあけた接点部材の縦断面図を示す。
【
図17】
図17は、従来から公知の導電性弾性体を用いた接点部材の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、各図面は、特徴がわかるようにした模式図であり、実際の寸法を厳密に反映したものではない。
【0016】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る接点部材10について説明する。
【0017】
(1-1.実施形態1に係る接点部材の構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る接点部材の縦断面図を示す。
図2は、
図1の接点部材の斜視図を示す。
【0018】
実施形態に係る接点部材10は、
図1に示すような押釦スイッチ701に用いられる。接点部材10は、接点として機能する面(接点側の面)が基板750上の固定電極751,752に対面するように離間して配置される。接点部材10は、従来の接点部材と同様に、基板750の表面に対して垂直方向に往復移動することで基板750と接触/非接触となり、基板750上の固定電極751,752間の導通/非導通を切り換える役割を果たす。
【0019】
接点部材10は、第1のゴム状弾性体20と、金属層部30と、第2のゴム状弾性体40と、を順に積層して構成されている。接点部材10は、
図2に示すように接点側からみて略円形の略円柱形状をしている。なお、本実施形態の接点部材10は略円柱形状を有するが、接点部材の形状については、基板750上の固定電極751,752の配置又は形状等を考慮して適宜変更可能である。
【0020】
第1のゴム状弾性体20は、ゴム又は熱可塑性エラストマー等より適宜採用された柔軟性を有するエラストマーであり、シート形状若しくはブロック形状を有する。第1のゴム状弾性体20を構成する材料としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物を例示できる。第1のゴム状弾性体20は、好ましくはシート形状のシリコーンゴムである。第1のゴム状弾性体20は、押釦スイッチ701に組み込まれる際、キートップ702の接点側の面に接合される。
【0021】
金属層部30は、第1のゴム状弾性体20の接点側の面に固定されている。金属層部30は、接点部材10における導電層の一部を構成している。金属層部30は、洋白、ステンレス、銅、アルミ、銀等を素材とする金属板や金属箔等の導電性金属の層であり、好ましくは、銅、洋白、銀といった電気抵抗が低い金属箔である。金属層部30は、好ましくは、両側に平面を有する。また、金属層部30は、好ましくは、片面又は両面に金メッキやニッケルメッキが施されている。また、金属層部30は、好ましくは、20~500μm、より好ましくは、20~200μmの厚みで形成されている。金属層部30は、例えば、シランカップリング剤といったプライマーを介して第1のゴム状弾性体20に接着固定されている。
【0022】
第2のゴム状弾性体40は、金属層部30の接点側の面に固定されている。第2のゴム状弾性体40は、ゴム状弾性体部41と、接点側の面から金属層部30の面に電気的に導通する複数の線状導通部材42と、を備え、接点部材10における導電層の一部を構成している。第2のゴム状弾性体40は、好ましくは、50~2500μmの厚みで形成されている。第2のゴム状弾性体40は、例えば、シランカップリング剤といったプライマーを介して金属層部30に接着固定されている。
【0023】
ゴム状弾性体部41は、ゴムや熱可塑性エラストマー等より適宜採用された柔軟性を有するエラストマーであり、シート形状若しくはブロック形状を有する。ゴム状弾性体部41を構成する材料としては、上述の第1のゴム状弾性体20と同様の材料候補から選択可能である。ゴム状弾性体部41は、好ましくは、シート形状のシリコーンゴムである。
【0024】
線状導通部材42は、銅、ベリリウム銅、真鍮、銀、カーボン、タングステン線といった電気的にゴム状弾性体部41と比べて低抵抗の線状部材である。線状導通部材42は、第2のゴム状弾性体40の内部に配置されている。線状導通部材42は、一方の端面の全て及び他方の端面の全てが第2のゴム状弾性体40の表面から露出している。線状導通部材42は、好ましくは、断面円形の細い金属線であり、金属層部30の表面と交差する方向に配向している。具体的には、線状導通部材42は、10~200μmの線径から選択された所定の線形で形成され、金属層部30の表面に対して直交する方向に沿って(向いて)、15~1000μmのピッチから選択された所定のピッチで第2のゴム状弾性体40中に配置されている。また、線状導通部材42は、好ましくは、端面に貴金属メッキ(具体的にはニッケルメッキや金メッキ)が施されている。なお、線状導通部材42については、全面に貴金属メッキが施されていてもよいが、端面にのみ貴金属メッキが施されているものがコスト削減の観点から好ましい。
【0025】
(1-2.実施形態1に係る接点部材の製造方法)
図3は、
図2の接点部材の製造方法についてのフローチャートを示す。
図4は、
図3のフローチャートにおける各工程の説明図を示す。
【0026】
接点部材10は、
図3に示すように、第1接着工程ST1、第2接着工程ST2、及び型抜き工程ST3を順に実施することにより製造される。なお、以下の説明において、各構成要素の材質、形状、特性等については、上述した接点部材10の構成要素と同様であり、
図4においては
図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】
第1接着工程ST1では、
図4(左)に示すように、線状導通部材42を複数備える第2のゴム状弾性体40に、金属層部30の第1面を接着する。より詳しくは、第1接着工程ST1では、大判シートである第2のゴム状弾性体40の片方の全面にシランカップリング剤といった液状のプライマー60を塗布し、その上に同様のサイズの金属層部30(金属箔等)を重ねあわせて接着する。なお、第2のゴム状弾性体40は、線状導通部材42を内側に備える導電性を有する部材であるが、第2のゴム状弾性体40の製造方法については、後述する。
【0028】
第2接着工程ST2では、
図4(中)に示すように、第2のゴム状弾性体40に固定した金属層部30の第1面とは反対の第2面に、第1のゴム状弾性体20を接着する。より詳しくは、第2接着工程ST2では、金属層部30の第2面の全面にシランカップリング剤といった液状のプライマー60を塗布し、その上に第2のゴム状弾性体40と同様のサイズの大判シート(好ましくはシリコーンゴムシート)である第1のゴム状弾性体20を重ねあわせて接着する。
【0029】
型抜き工程ST3では、
図4(右)に示すように、ダイ71及びパンチ72からなる抜型を用いて、第1のゴム状弾性体20、金属層部30、及び第2のゴム状弾性体40が積層された大判部材から、接点部材10の外形形状に型抜きする。
【0030】
これらの工程を経ることで、第1のゴム状弾性体20、金属層部30、第2のゴム状弾性体40が順に積層されており、第2のゴム状弾性体40には、接点側の面から金属層部30の面に電気的に導通する線状導通部材42を複数備える接点部材10が形成される。
【0031】
(1-3.実施形態1に用いられる第2のゴム状弾性体の製造方法)
図5は、
図2の接点部材における第2のゴム状弾性体の製造方法についてのフローチャートを示す。
図6は、
図5のフローチャートにおける各工程の説明図を示す。なお、
図5中、「ゴム状弾性ブロック形成工程」と「裁断工程」との間にいくつかの工程が示されているが、これらの工程は、「ゴム状弾性ブロック形成工程」で行われる小工程である。
【0032】
第2のゴム状弾性体40は、
図5に示すように、ゴム状弾性ブロック形成工程ST11、及び裁断工程ST12を順に実施することにより製造される。なお、以下の説明において、各構成要素の材質、形状、特性等については、上述した第2のゴム状弾性体40の構成要素と同様であり、
図6においては
図1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
ゴム状弾性ブロック形成工程ST11では、線状導通部材を包含するゴム状弾性ブロックを形成するために、接着剤塗布工程ST111、線状導通部材配置工程ST112、積層配置工程ST113、積層終了の判定ST114、及び積層接合工程ST115を順に実施する。
【0034】
接着剤塗布工程ST111では、
図6(上から1番目)に示すように、大判のゴム状弾性体シート41(接点部材10のゴム状弾性体部41になる)の表面に、接着剤50を塗布する。ゴム状弾性体シート41は、好ましくはシリコーンゴムシートであり、加硫ゴム状弾性体シートだけでなく、未加硫ゴム状弾性体シートを採用しても良い。
【0035】
線状導通部材配置工程ST112では、
図6(上から2番目)に示すように、表面に接着剤50を塗布したゴム状弾性体シート41上に、複数の線状導通部材42を所定の向き及び所定のピッチで配置する。
【0036】
積層配置工程ST113では、
図6(上から3番目)に示すように、線状導通部材42を固定したゴム状弾性体シート41上に、別のゴム状弾性体シート41を積層配置する。
【0037】
積層終了の判定ST114では、
図6(上から4番目)に示すように、所定の層数に達したかを判定する。所定の層数に達していなければ、接着剤塗布工程ST111に戻り、最上位に位置するゴム状弾性体シート41に対し、接着剤塗布工程ST111~積層終了の判定ST114の一連の工程をさらに実施する。所定の層数に達していれば、次の積層接合工程ST115に進む。
【0038】
積層接合工程ST115では、
図6(上から5番目)に示すように、積層されたゴム状弾性体シート41と線状導通部材42とを加熱・圧着する。ここまでの工程を経ることで、内側に複数の線状導通部材42を備える大判のゴム状弾性ブロック140が形成される。
【0039】
裁断工程ST12では、
図6(上から6番目)に示すように、ゴム状弾性ブロック140を、線状導通部材42の延びる方向と交差する方向に裁断し、複数の第2のゴム状弾性体40に分割する。
【0040】
これらの工程を経ることで、内側に線状導通部材42を備える第2のゴム状弾性体40が形成される。
【0041】
(1-4.実施形態1による作用・効果)
実施形態1に係る接点部材10は、第1のゴム状弾性体20と、金属層部30と、第2のゴム状弾性体40と、が順に積層されており、第2のゴム状弾性体40には、接点側の面から金属層部30の面に電気的に導通する線状導通部材42を複数備える。このような構成により、接点部材10は、線状導通部材42の一方の端面が基板750側の表面に露出するため、基板750上の固定電極751,752に電気的に接触可能である。また、接点部材10は、各線状導通部材42の他方の端面が金属層部30に接続し、複数の線状導通部材42が互いに金属層部30を介して、電気的に接続するため、接点側の面のある程度広い範囲の導通面を有する。このため、接点部材10によれば、基板750上の固定電極751,752のブリッジ接点として用いることができる。また、接点部材10によれば、線状導通部材42及び金属層部30といった電気抵抗の少ない部材で導通部分が構成されているため、抵抗値の低いブリッジ接点を構成することができる。また、接点部材10によれば、基板750側の層となる第2のゴム状弾性体40が、線状導通部材42を内包するといってもゴム状の弾性体の性質を有するため、接点部材10と固定電極751,752との間に異物が入り込んだとしても、ある程度は撓んで吸収することができる。また、接点部材10によれば、表面に露出する腐食しやすい部分は、線状導通部材42の端面だけであるため、例えばメッキ処理といった腐食防止のコストを低減できる。
【0042】
したがって、実施形態1に係る接点部材10は、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材となる。
【0043】
接点部材10においては、線状導通部材42は、金属層部30の表面と交差する方向に配向している。このため、接点部材10によれば、複数の線状導通部材42を確実に互いに導通できるとともに、複数の線状導通部材42が配置されている範囲内において抵抗値の偏りを抑制できる。
【0044】
また、接点部材10おいては、線状導通部材42は、10~200μmの線径で形成され、15~1000μmのピッチで第2のゴム状弾性体40中に配置されている。このため、接点部材10によれば、細く撓みやすいため、ブリッジ接点の耐異物性を向上させることができる。また、接点部材10によれば、広く十分な密度で電気的な接触面を有するため、ブリッジ接点として導通不具合を発生し難くできる。
【0045】
また、接点部材10においては、線状導通部材42は、金属層部30の表面に対して直交する方向に沿って配向している。このため、接点部材10によれば、ブリッジ間の距離を短くできるため、ブリッジ接点の低抵抗値化を実現できる。
【0046】
また、接点部材10においては、線状導通部材42は、端面に貴金属メッキが施されている。このため、接点部材10によれば、線状導通部材42の外部に露出する部分(端面)が腐食しにくくなり、高信頼性を発揮できる。
【0047】
また、接点部材10においては、金属層部30と前記第2のゴム状弾性体40とがプライマー60を介して固定されている。このため、接点部材10によれば、コストの高くなりがちな副資材や製造設備を用いなくても製造できるようになり、コストを低減できる。
【0048】
また、接点部材10においては、第1のゴム状弾性体20及び前記第2のゴム状弾性体40は、シリコーンゴムを主材とする。このため、接点部材10によれば、十分な弾力性を有し耐異物性を発揮できる。
【0049】
実施形態1に係る接点部材の製造方法は、線状導通部材42を複数備える第2のゴム状弾性体40に、金属層部30の第1面を接着する第1接着工程ST1と、第2のゴム状弾性体40に固定した金属層部30の第1面とは反対の第2面に、第1のゴム状弾性体20を接着する第2接着工程ST2と、を含む。ここで用いられる第2のゴム状弾性体40は、接点側の面から金属層部30の面に電気的に導通する線状導通部材42を複数備える。これにより、第1のゴム状弾性体20、金属層部30、第2のゴム状弾性体40が順に積層され、互いに接着接合された接点部材を製造することができる。このように積層された接点部材は、上述した接点部材10と同じになり、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材となる。したがって、実施形態1に係る接点部材の製造方法によれば、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材を製造することができる。
【0050】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る接点部材110について説明する。
【0051】
(2-1.実施形態2に係る接点部材の構成)
【0052】
図7は、本発明の実施形態2に係る接点部材の斜視図を示す。
図8は、
図7の接点部材の縦断面図を示す。
【0053】
実施形態2に係る接点部材110は、基本的には、実施形態1に係る接点部材10と同様の構成を有するが、金属層部の形状が実施形態1に係る接点部材10の場合とは異なる。すなわち、
図7及び
図8に示すように、実施形態1の金属層部30には、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていないのに対し、接点部材110における金属層部130には、厚さ方向に貫通する貫通孔131が複数形成されている。以下では実施形態1と異なる構成について説明し、実施形態1と同様の構成については、図面において同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
実施形態2に係る接点部材110の金属層部130は、前述したように、金属層部130の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔131を備える。金属層部130の材質や外形については、実施形態1の金属層部30と同様である。貫通孔131は、金属層部130に対し、同様の形状である程度均等に複数形成されている。貫通孔の形状としては、円形、矩形、又はその他の形状を採用できるが、この実施形態における貫通孔131の形状は、円形である。貫通孔131は、第1のゴム状弾性体20により埋まっている。なお、貫通孔131内を埋めている第1のゴム状弾性体20の一部は、第2のゴム状弾性体40と一体接合されている。
【0055】
(2-2.実施形態2に係る接点部材の製造方法)
【0056】
図9は、
図7の接点部材の製造方法についてのフローチャートを示す。
図10は、
図9のフローチャートにおける各工程の説明図を示す。
【0057】
実施形態2に係る接点部材110は、金属層部130に貫通孔131が形成されていることで、以下で説明するような実施形態1とは異なる製造方法を採用してもよい。
【0058】
接点部材110は、
図9に示すように、重ね合わせ工程ST21、加熱プレス工程ST22、及び型抜き工程ST23を順に実施することにより製造される。なお、以下の説明において、各構成要素の材質、形状、特性等については、上述した接点部材110の構成要素と同様であり、
図10においては
図8と同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
重ね合わせ工程ST21では、
図10(左)に示すように、第1のゴム状弾性体20の硬化前の未加硫状態のゴム組成物と金属層部130と第2のゴム状弾性体40とをこの順で重ね合わせる。重ね合わせた時点では、まだ、金属層部130の貫通孔131内は空洞となっている。第1のゴム状弾性体20は、好ましくは大判のシリコーンゴムシートである。
【0060】
加熱プレス工程ST22では、
図10(中)に示すように、重ね合わせた第1のゴム状弾性体20の硬化前のゴム組成物と金属層部130と第2のゴム状弾性体40とを加熱プレスする。これにより、金属層部130の貫通孔131にゴム組成物が入り込み、第1のゴム状弾性体20と第2のゴム状弾性体40とが接合される。
【0061】
型抜き工程ST23では、
図10(右)に示すように、ダイ71及びパンチ72からなる抜型を用いて、第1のゴム状弾性体20、金属層部130、及び第2のゴム状弾性体40が積層された大判部材から、接点部材110の外形形状に型抜きする。
【0062】
これらの工程を経ることで、第1のゴム状弾性体20、金属層部130、第2のゴム状弾性体40が順序に積層されており、第2のゴム状弾性体40には、接点側の面から金属層部30の面に電気的に導通する線状導通部材42を複数備える接点部材110が形成される。
【0063】
(2-3.実施形態2による作用・効果)
実施形態2に係る接点部材110は、基本的には実施形態1に係る接点部材10と同様の構成であるため、実施形態1に係る接点部材10と同様の効果を奏し、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材となる。
【0064】
また、接点部材110においては、金属層部130には、複数の貫通孔131が形成されているため、第1のゴム状弾性体20のゴム組成物が貫通孔131に入り込んで硬化して、第1のゴム状弾性体20と第2のゴム状弾性体40とが強固に接合する。このため、接点部材110によれば、金属層部130がずれにくく、各層が強固に接合され、接点としての信頼性を向上できる。
【0065】
実施形態2に係る接点部材の製造方法は、重ね合わせ工程ST21、加熱プレス工程ST22、及び型抜き工程ST23を実行する。すなわち、実施形態2に係る接点部材の製造方法によれば、重ねて加熱プレスを行い、型抜きを行うだけで、第1のゴム状弾性体20、金属層部130、第2のゴム状弾性体40がこの順に積層された接点部材110を容易に製造できる。このような順で重ねられた接点部材は、金属層部130の貫通孔131に第1のゴム状弾性体20が入り込み第2のゴム状弾性体40接合した構成を有しており、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる。
【0066】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る接点部材210について説明する。
【0067】
(3-1.実施形態3に係る接点部材の構成)
【0068】
図11は、本発明の実施形態3に係る接点部材の縦断面図を示す。
【0069】
実施形態3に係る接点部材210は、基本的には、実施形態1に係る接点部材10と同様の構成を有するが、第2のゴム状弾性体における線状導通部材の配向が実施形態1に係る接点部材10の場合とは異なる。すなわち、実施形態1の第2のゴム状弾性体40における複数の線状導通部材42が金属層部30の表面に対して直交する方向に沿って配向しているのに対し、
図11に示すように、第2のゴム状弾性体240における複数の線状導通部材242は、金属層部30の表面に対して直交する方向に対して、鋭角をなして斜めに配向している。以下では実施形態1と異なる構成について説明し、実施形態1と同様の構成については、図面において同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
実施形態3に係る第2のゴム状弾性体240における線状導通部材242は、銅、ベリリウム銅、真鍮、銀、カーボン、タングステン線といった電気的にゴム状弾性体部41と比べて低抵抗の線状部材である。線状導通部材242は、第2のゴム状弾性体40の内部に配置されている。線状導通部材242は、一方の端面及び他方の端面が第2のゴム状弾性体240の表面から露出している。線状導通部材242は、好ましくは、断面円形の細い金属線であり、前述したように、金属層部30の表面に対して直交する方向に対して、鋭角をなして斜めに配向している。具体的には、線状導通部材42は、10~200μmの線径から選択された所定の線形で形成され、好ましくは、金属層部30の表面に対して直交する方向に対して0°より大きく45°以下で傾いて配向している。線状導通部材42は、15~1000μmのピッチから選択された所定のピッチで第2のゴム状弾性体40中に配置されている。また、線状導通部材42は、好ましくは、端面に貴金属メッキ(具体的にはニッケルメッキや金メッキ)が施されている。
【0071】
(3-2.実施形態3に係る接点部材の製造方法)
線状導通部材242が斜めに配置されているような第2のゴム状弾性体240の製造方法は、基本的には実施形態1に係る第2のゴム状弾性体40と同様の工程(
図5参照)を行う。ただし、裁断工程ST12(
図6参照)においては、実施形態1に係る第2のゴム状弾性体40を製造する際の裁断方向に対し、傾けた方向に裁断する。
【0072】
(3-3.実施形態3による作用・効果)
実施形態3に係る接点部材210は、基本的には実施形態1に係る接点部材10と同様の構成であるため、実施形態1に係る接点部材10と同様の効果を奏し、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現できる接点部材となる。
【0073】
また、接点部材210においては、線状導通部材242は、金属層部30の表面に対して直交する方向に対して鋭角をなして斜めに配向しているため、線状導通部材242が接点面に対して直交する方向へ撓みやすくなる。これにより、第2のゴム状弾性体240の垂直方向の伸縮性が高くなるため、接点部材210によれば、接点部材210と固定電極751,752との間に異物が介在してもスイッチ機能を維持できる。
【0074】
(その他の実施形態)
以上、本発明を上記の実施形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0075】
上記実施形態において記載した構成要素の数、形状、位置、大きさ、材質等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0076】
図1では、線状導通部材42の端面がゴム状弾性体部41の表面と一致して(面一で)描かれているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図12に示すように、線状導通部材342の端部がゴム状弾性体部41の表面から突出していてもよい。この場合、線状導通部材342は、端部がゴム状弾性体部41の厚み寸法の15%以内の突出高さ寸法で突出していることが好ましい。このように構成した接点部材310では、第2のゴム状弾性田340において、線状導通部材342の端面を金属層部30や基板750上の固定電極751,752に接触させやすくするという効果が期待できる。また、例えば、
図13に示すように、線状導通部材442は、端部がゴム状弾性体部41に埋没していてもよい。この場合、線状導通部材442は、その端面が全て露出しているとともに、端部がゴム状弾性体部41の厚み寸法の15%以内の埋没深さ寸法で埋没していることが好ましい。このように構成した接点部材410は、使用時に第2のゴム状弾性体440において、ゴム状弾性体部41がつぶれ、線状導通部材442がつぶれたゴム状弾性体440の表面より突出してスイッチ機能を発揮し、耐異物性に優れ、低コストで低抵抗を実現可能な接点部材となる。
【0077】
第2のゴム状弾性体は、線状導通部材の端面とゴム状弾性体部の表面との凹凸の関係性をこれまで説明してきた形態も含め適宜設定できる。具体的には、
図14において実線で囲まれた範囲に示すように、線状導通部材X42の端面は、ゴム状弾性体部41に対し、両方が面一、突出、又は埋没であってもよい。また、線状導通部材X42の端面は、ゴム状弾性体部41に対し、一方が面一、突出、又は埋没であり、他方が一方とは異なる面一、突出、又は埋没であってもよい。しかしながら、線状導通部材は、ゴム状弾性体部41に対し埋没する場合において、端面の一部にゴム状弾性体部がかかってしまうと、接点として機能しなくなる虞がある(
図14において破線で囲まれた範囲を参照)。このため、線状導通部材は、端面の全て露出させることが必要である。なお、
図14に示す例においても、突出の場合の突出高さ及び埋没の場合の埋没深さは、ゴム状弾性体部41の厚み寸法の15%以内であることが好ましい。
【0078】
上記実施形態においては、各部を接合する際に用いる液剤として、接着剤50、又はシランカップリング剤といったプライマー60を例示して説明したが、対象とする素材が強度をもって接合することができれば本発明はこれに限定されない。
【0079】
また、接点部材は、透光性を有するものでもよい。具体的には、金属層部に貫通孔を形成し、ゴム状弾性体に透明又は半透明のゴム部材を採用することで、透過性を持たせることもできる。この結果、基板上に配置した照明光をキートップに導光することが可能な接点部材を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る接点部材は、例えば、自動車の車載用機器の他、工業用ロボット、家庭用電化製品、PCなどの各種機器に利用される押釦スイッチの接点に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10,110,210,310,410‥接点部材、20‥第1のゴム状弾性体、30,130‥金属層部、40,240,340,440‥第2のゴム状弾性体、41‥ゴム状弾性体部、42,242,342,442‥線状導通部材、50‥接着剤、60‥プライマー、131‥貫通孔、140‥ゴム状弾性ブロック、ST1‥第1接着工程、ST2‥第2接着工程、ST3,ST23‥型抜き工程、ST11‥ゴム状弾性ブロック形成工程、ST21‥重ね合わせ工程、ST22‥加熱プレス工程、ST111‥接着剤塗布工程、ST112‥線状導通部材配置工程、ST113‥積層配置工程、ST115‥積層接合工程