(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】マスク、及びまつ毛エクステンションを受ける対象者の目を保護するまたはまぶたを安定させる方法
(51)【国際特許分類】
A45D 44/12 20060101AFI20230124BHJP
A45D 44/02 20060101ALI20230124BHJP
A41G 3/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A45D44/12 C
A45D44/02 Z
A41G3/00 J
(21)【出願番号】P 2019547238
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 US2017061897
(87)【国際公開番号】W WO2018093970
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-12
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519169535
【氏名又は名称】ウィンク・ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】アマンドソン,カート
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,カイル・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,リチャード・ダブリュー
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0018545(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0145156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000606(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0261430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0295352(US,A1)
【文献】米国特許第05803076(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0158147(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0051033(US,A1)
【文献】特表2012-509090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D44/00-44/22
A41G 3/00- 5/04
A61B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛エクステンションをしている対象者を保護するように構成されたマスクにおいて、
上まつげを有する前記対象者の上まぶたを覆うように構成された上まぶたカバーであって、
上端縁部と前記上まつ毛の基部に対応するように構成され
た反対側の下端縁部とを備えた、上まぶたカバーと、
前記対象者の下まぶたを覆うように構成された下まぶたカバーであって、上端縁部と反対側の下端縁部とを備え、前記上端縁部は前記上まぶたカバーの前記下端縁部の形状を補う、下まぶたカバーとを備え、
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーは、対応する目の隅で互いに接続されるように、および前記下まぶたカバーの前記上端縁部と前記上まぶたカバーの前記下端縁部との間に隙間を形成するように構成されており、前記隙間は、対応する前記対象者の目を露出させることなく、前記対象者の少なくとも1つのまつ毛を露出させるように構成された、マスク。
【請求項2】
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーのうちの少なくとも1つは、前記対象者の前記顔に貼り付くように構成された、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記上まぶたカバーは、前記対象者の前記上まぶたに貼り付くように構成され、前記上まぶたカバーは、前記上まぶたカバーをアンカーに結合するように構成された固定接続部を含む、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記アンカーは、前記対象者の頭部、固定物体、またはロボットまつ毛エクステンションシステムである、請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記固定接続部は、前記対象者の頭部が前記アンカーに対して変位したときに切断するように構成された分離接続部を含む、請求項3に記載のマスク。
【請求項6】
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーの各々は、前記対象者の皮膚に貼りつくように構成された、請求項1に記載のマスク。
【請求項7】
前記対象者の第2の上まぶたを覆うように構成された第2の上まぶたカバーと、前記対象者の第2の下まぶたを覆うように構成された第2の下まぶたカバーとをさらに含み、前記第2の上まぶたカバー及び前記第2の下まぶたカバーの各々は、前記対象者の前記皮膚に貼り付くように構成され、前記第2の上まぶたカバー及び前記下まぶたカバーは、互いに接続されるように構成され、前記第2の上まぶたカバー及び前記第2の下まぶたカバーは、互いに接続されたときに前記対象者の少なくとも1つの他のまつ毛の上に第2の隙間を形成するように構成された、請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーのうちの少なくとも1つは、アンカーに結合されるように構成された固定接続部を含む、請求項6に記載のマスク。
【請求項9】
前記アンカーは、前記対象者の頭部、固定物体、またはロボットまつ毛エクステンションシステムである、請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記対象者の耳及び鼻の上に置かれるように構成された1組の固定フレームをさらに含み、前記1組の固定フレームは前記アンカーを含み、前記1組の固定フレームは、第2のアンカーに選択的に結合されるようにさらに構成された、請求項8に記載のマスク。
【請求項11】
前記マスクは、前記対象者の前記顔の特定の幾何学形状に対応してたどるように構成され、前記特定の幾何学形状は、前記対象者の前記顔の三次元走査により判断される、請求項1に記載のマスク。
【請求項12】
上まつげを有する前記対象者の上まぶたを覆うように構成された上まぶたカバーであって、
上端縁部と前記上まつ毛の基部に対応するように構成され
た反対側の下端縁部とを備えた、上まぶたカバーと、前記対象者の下まぶたを覆うように構成された下まぶたカバーであって、上端縁部と反対側の下端縁部とを備え、前記上端縁部は前記上まぶたカバーの前記下端縁部の形状を補う、下まぶたカバーとを備え、前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーは、対応する目の隅で互いに接続されるように、および前記下まぶたカバーの前記上端縁部と前記上まぶたカバーの前記下端縁部との間に隙間を形成するように構成されたマスクを用いて、まつ毛エクステンションを受ける対象者の目を保護する、またはまぶたを安定させる方法において、
前記マスクを前記対象者に位置合わせするステップと、
前記隙間が前記対象者の対応する目を露出させることなく前記対象者の少なくとも1つのまつ毛を露出させて、前記マスクを前記対象者の顔に貼り付けるステップとを含む、方法。
【請求項13】
少なくとも2つのサイズの中から前記マスクについて適切なサイズを選択するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マスクをアンカーに結合するのに固定接続部を用いることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記アンカーは、前記対象者の頭部、固定物体、またはロボットまつ毛エクステンションシステムである、請求項14に記載のマスク。
【請求項16】
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーの少なくとも1つを第1のアンカーに固定するステップであって、前記第1のアンカーは、前記対象者の耳及び鼻の上に置かれている1組のアンカーフレームの一部である、ステップと、
前記1組のアンカーフレームを第2のアンカーに結合するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記対象者の顔を三次元で走査して前記対象者の顔の特定の幾何学形状を取得するステップをさらに含み、前記マスクは、前記特定の幾何学形状に対応してたどるように構成された、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記マスクは、前記対象者の顔の輪郭をたどるように構成された、請求項1に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連アプリケーションとの相互参照
[0001] 本出願は、2016年11月16日に提出された「Machine for Beauty Salon」と題された米国仮特許出願第62/423,000号の利益を主張する。この出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、まつ毛エクステンションを自動的に適用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] まつ毛エクステンションは世界中で人気が高まっている。まつ毛エクステンションは天然まつ毛繊維に一対一で固定されているという事実により、「人工まつ毛」または「人工まつ毛構造」と呼ばれるものと通常は区別されている。「人工まつ毛」は、まぶたに固定された裏打ち材(まつ毛繊維の近位端の細いストリップ)に結合された(通常は片目用の)まつ毛繊維の完全なセットである。したがって、このプロセスはより単純であり、家庭用に提供されている。しかしながら、まつ毛エクステンションは、通常はシアノアクリレート接着剤を用いて、美容技術者によって各天然まつ毛繊維に1本ずつ苦労して接着される。エクステンションは、米国特許第8,127,774号に開示されるように分岐を有することができ、米国特許第8,113,218号に開示されるように、近くのまつ毛と連結されるためのいくつかの方法がある。
【0004】
[0004] まつ毛エクステンションを初めて適用するときは、装着するのにかなりの時間がかかり、最長で2時間かかる。装着の際には、各まつ毛エクステンションをピンセットで正しい向きに摘み上げ、接着剤に浸してから、接着が生じるまで対象者の天然まつ毛繊維のうちの1本に対して配置させる。この大量の人件費に美容サロンのお金がかかるため、そして必要とされる時間の長さと費用がいくらかの顧客を思いとどまらせるため、いくつかの省力化装置が提案されている。そのような装置の1つは、米国特許出願公開第2014/0261514号に開示された、手持ちのまつ毛用のディスペンサである。エクステンションが工場から出てくるトレイに関しては、米国特許第8,701,685号に見られるように、省力化の提案もなされている。これらのトレイは、人間にとって困難であるのは、プロセスにおける接着工程だけではないという事実に対抗することを意図している。まつ毛のエクステンションをピンセットで拾うだけでも困難である。また、各エクステンションに、エクステンションを天然のまつ毛繊維に固定するために用いられる予め取り付けられた熱収縮チューブを備えることによって、接着剤の取り扱いおよびエクステンションを接着剤に浸す工程をなくすことができることが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] したがって、まつ毛エクステンションを取り付けるための時間とコストの両方を減らすことのできる、まつ毛エクステンションをより効果的に取り付ける方法が必要とされている。さらに、そのようなシステムは、エクステンションの受益者が処置を信頼できるように、明らかに安全であることが必要とされている。ここに記載された発明は、分岐、連結、またはその他に関わらず全てのまつ毛エクステンションに適用され、接着剤、熱収縮チューブ、またはその他に関わらず、天然まつ毛への全ての接着方法に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] まつ毛エクステンションの取り付けは、人間による手作業を必要とせずにエクステンションを配置するロボット機構を用いて自動化することができる。しかしながら、非常に高価で複雑なフェイルセーフロボット機構が使用されない限り、ロボットの故障の場合にエクステンションプロセスの安全性を確実にするために安全システムが提供されるべきである。本発明の主題は、安全性を提供するためにロボットまつ毛エクステンションシステムと組み合わせて使用されることができる一連のシャッタおよびマスクである。いくつかの実施形態は、まつ毛をロボット筐体内に挿入することのみを可能にする、ロボット工学に不可欠なシャッタに関する。本発明の他の実施形態では、マスクが人間の対象者に固定され、ロボットがマスクの隣に位置するかまたはマスクに位置合わせされた状態で、マスクを通して対象者のまつ毛のみを可能にする。
【0007】
[0007] 本発明のさらなる目的、特徴および利点は、いくつかの図において同じ参照番号は共通の部分を指している図面と関連して以下の好ましい実施形態の詳細な説明からより容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008] 本発明の実施形態の基本的な外部の特徴を示す。
【
図2】[0009] 本発明の実施形態の筐体の外部特徴を示す。
【
図4】[0011] 対象者の目の上に正しく取り付けられたウィンドウシャッタの断面図を示す。
【
図5】[0012] シャッタの代わりとして使用されることができるマスク型バリアを示す。
【
図6】[0013] 筐体に対するマスク型バリアを示す。
【
図7A】[0014] 対象者の顔の正面図である。
【
図7B】[0015] 対象者の顔の断面図である。
【
図8A】[0016] 2分割マスクの実施形態の正面図である。
【
図8B】[0017] 2分割マスクの実施形態の断面図である。
【
図9A】[0018] 舌部と溝との接続部を含む2分割のマスクの実施形態の正面図である。
【
図9B】[0019]
図9Aの2分割マスクの実施形態の断面図である。
【
図10A】[0020] 磁石によって形成された重なり合う接続を含む2分割のマスクの実施形態の正面図である。
【
図11】[0022] マスクと関連して有利となり得る様々なピンセット配置を示す。
【
図12】[0023] ピンセットがマスクの隙間に入ることができないように、マスクに対するピンセットの幾何学的配置を示す。
【
図13A】[0024] 3分割マスクの正面図である。
【
図13B】[0025] 3分割マスクの断面図である。
【
図14】[0026] 3分割マスクの近傍で動作する湾曲ピンセットを示す。
【
図15A】[0027] 異なる左右のマスクを有する実施形態の左側マスクを示す。
【
図15B】[0028] 異なる左右のマスクを有する実施形態の右側マスクを示す。
【
図16A】[0029] 2分割マスクの断面図である。
【
図16B】[0030] 2分割マスクの別の断面図である。
【
図16C】[0031] 3分割マスクの断面図である。
【
図16D】[0032] 3分割マスクの別の断面図である。
【
図17A】[0033] まつ毛のばたつきを低減するための安定した物体への接続をさらに含む3分割マスクの正面図である。
【
図18】[0035] 可撓性材料製の3分割マスクの一実施形態を示す。
【
図19】[0036] カスタムフィットマスクがどのように製造されることができるかを示すフローチャートである。
【
図20A】[0037] まぶたおよび目の下の領域に貼り付けられた貼付マスクの正面図である。
【
図21A】[0039] 目の内側及び外側の両方の接続をさらに含む、
図20A及びBと同様の貼付マスクの正面図である。
【
図22A】[0041] より大きな下部マスクをさらに含む、
図21A及び
図21Bのものと同様の貼付マスクの正面図である。
【
図23】[0043] まぶたのばたつきを減らすのを助けることができる固定フレームを含む貼付マスクを示す。
【
図24】[0044] マスクを必要としない容量性安全システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0045] 以下の説明は、多数の特定の構成、パラメータなどを示している。しかしながら、そのような説明は本発明の範囲に対する限定として意図されているのではなく、代わりに例示的な実施形態の説明として提供されていることが認識されるべきである。
【0010】
[0046] 以下の説明において、用語「まつ毛」が使用されている場合、それは人の1つ以上の天然まつ毛繊維を指すことを意味する。「まつ毛エクステンション」という用語が「エクステンション」が使用されている場合、それは人工まつ毛エクステンションを指すことを意味している。
【0011】
[0047] 本明細書に開示された発明は、自動まつ毛エクステンションロボット機構と関連して使用されて対象者に対してより大きな安全性、ロボットの設計の単純化、およびエクステンションを取り付ける潜在的に増加した速度をもたらすために使用できる一連のシャッタまたはマスクに関する。この安全性は、ロボット筐体の一部であり、ロボットがシャッタを通ってロボットの筐体内に突き出ている人のまつ毛のみにアクセスすることを可能にするシャッタによって提供され得る。安全性はまた、対象者に固定され、人のまつ毛だけがマスクを超えて突き出ることを可能にするマスクによっても提供され得る。その場合、ロボット筐体は、マスクと接合されることができるより大きな開口部を有することができる。いずれの実施形態においても、それぞれについて順に説明し、ロボットのアクセスを対象者のまつ毛だけに制限することで、対象者の安全性が向上する。さらに、本出願の外で開示されている安全性を提供するための他の解決策があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、安全性への複数のアプローチを組み合わせることができるが、他の実施形態では、これらのアプローチのうちの1つで対象者に安全性を提供するのに十分であり得る。
【0012】
ロボットまつ毛エクステンション及びシャッタ
[0048]
図1は、そのようなシステムの基本的な外部の特徴を説明するロボットまつ毛エクステンションシステムの外観図である。ロボット機構は本明細書の主題ではないが、以下に説明する安全発明の文脈を説明するためにそれを広い意味で説明することは有用である。このシステムは、対象者301および使用者を保護することを目的とした外部筐体201を有する(「対象者」という用語は、まつ毛エクステンションを受けている人を示すのに使用され、「使用者」という用語は、装置を操作している人、通常、必ずしもそうではないが美容技術者である)。対象者301は、歯科医のオフィスの椅子、より適切には、対象者の髪を洗うためにしばしば行われるようにリクライニングすることができる美容室用の椅子、と非常によく似た椅子102にもたれている。筐体201は、その内部のロボット機構が対象者301のまつ毛にアクセスできるように、対象者301の顔に対して筐体201を位置決めするために使用されるアーム103によって床、天井、または椅子に取り付けられる。アーム103は多くの形態をとることができる(そしてまさしく囲い201を対象者301の上に移動させて床から筐体201までの距離を設定する簡単な方法を有するカートでさえあり得る)、しかしここではアーム103は通常は歯科医院でX線装置のようなさまざまな用具を置くのに使用されるアームとして描かれることを意味する。アーム103は、歯科医院で使用されるもののようなパンタグラフ機構(図示せず)を含むことができ、それは歯科医の器具テーブルを様々な位置に容易に移動させるので常に水平に保たれる。
図1のシステムはまた、開口部およびシャッタ(下部シャッタ205および上部シャッタ206)からなる窓204を示す。シャッタ205,206は、対象者301のまつ毛がそれを通って延びる小さなスリットだけがあるように、使用者によって位置決めされ得る。シャッタ205,206は、故障した場合に筐体201内のロボット機構から対象者301を保護するのに十分な剛性を有する材料で構成されることを意図している。明瞭にするために、窓204ならびにシャッタ205,206のサイズはここでは誇張されている。ロボット工学の専門家は、本質的に安全であり、したがってそのような設計においてシャッタ205,206を不要にするロボットを作成することが可能であることに気付くであろう。そのような設計は本発明の主題ではないが、他の関連出願において説明されている。シャッタ205,206はまた、それらが対象者間で交換され得るように容易に取り外し可能であるように作られていてもよい。シャッタ205,206は、良好な衛生状態を維持するために使い捨てであるかまたは容易に洗浄されるように設計されることができる。
【0013】
[0049] 使用されるロボット機構は他の関連出願に記載されており、詳細に説明する必要はない。しかしながら、まつ毛エクステンションのためのロボット機構は、まつ毛エクステンションを天然まつ毛に沿って正確に位置決めすることができる小さなロボットマニピュレータおよびグリッパを備えることを理解することが重要である。そうすることはまた、一般に、ロボット機構が人間の天然まつ毛に自分自身を導くことができるように視覚システムにも関連する。安全シャッタやマスクは天然まつ毛の視界を過度に覆い隠すべきではないので、これは重要である。最後に、一般的に、まつ毛エクステンションは非常に軽く、そして非常に弱いロボットがそれらを操れることに注意することが重要である。これは、ロボット機構が大きな産業用ロボットと比較してそれほど強力ではないことを意味し、対象者に安全を提供するために非常に軽い保護をすることが実際的であり得る。
【0014】
[0050]
図2は、好ましい実施形態の筐体の詳細を示す。この実施形態では、筐体201は、下部シャッタ205および上部シャッタ206を備えた窓204を有する。下部シャッタ205は、筐体201の床207内に定位置に固定される。下部シャッタ205は、対象者の顔の輪郭に合うように作られ、必要に応じて上部シャッタ206の対応するサイズのバージョンとともに、小、中、および大のような複数のサイズで提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、対象者301に合わせるためにより多くのサイズが望まれる場合、超小型および超大型のものを提供することができる。逆に、より少ないサイズが望まれるいくつかの実施形態では、例えば、小型および大型のみが提供され得る。下部シャッタ205は、対象者301の顔まで快適に突き当たるように設計されており、したがって対象者301の顔に接触することができる領域に丸みを帯びた縁部209を有する。上部シャッタ206も同様に、それが対象者301と接触するであろう全ての位置に丸みを帯びた縁部209を有するように設計されているが、適切な動作時には、仮にあったとしても、上部シャッタ206は、まぶたの遠位端のみで対象者301に接触するようになっていなければならない。
【0015】
[0051]
図3はウィンドウ204の詳細図を示す。実際には、対象者301は、リクライニング位置で椅子102に横たわっている。使用者が望む場合は、下まつ毛がシャッタ205,206の間のアクセススロットに入る可能性がないことを確実にするために、対象者301の下まつ毛を粘着テープ268で彼らの頬210にテープ止めすることができる(
図4に示すように)。次に、新しいまたはきれいな下部シャッタ205が筐体201の床207に設置される。次に、筐体201は、下部シャッタ205のアイプロファイル211が対象者301の頬210にテープで固定された下部まつ毛の真上に載るように位置決めされるために、ハンドル108(
図2参照)を使用してアーム103上で複数の方向に移動される。これが達成されると、対象者301は、上面213上の作業領域212(アイプロファイル211に示される破線から延びる)において、上まつ毛がアイプロファイル211の上に載るまで、彼らの目を開閉させることができる。この時点で、適切なサイズの新しいまたはきれいな上部シャッタ206を上部シャッタ設置スロット214に挿入し、そのアイプロファイル215が下部シャッタアイプロファイル211の真上になる点まで押し下げることができる。
図4は、シャッタ205,206が所定の位置にあるときの装置の部分断面図を示す。対象者301の上まぶたの天然のまつ毛260が下部シャッタ205の上にあることが分かる。
【0016】
[0052] センサは、シャッタ205,206の位置を検知して、動作中にそれらが適切な位置に設置されている(そしてその位置に維持されている)ことを確認するために使用され得る。そのようなセンサは、単純な光学センサ、または、例えば上部シャッタ設置スロット214であるシャッタ205,206が取り付けられているスロット内の機械式スイッチとすることができる。好ましい実施形態では、シャッタ205、206は、まつ毛が間違ってシャッタ205、206に接着される可能性がないことを確実にするために、エクステンションと天然まつ毛繊維との間に使用される接着剤に不適合なプラスチックでできている。当業者であれば、ここに示されているシャッタは簡略化されているので、下部シャッターアイプロファイル211は筐体フロア207の平面内に載っていることが分かるであろう。実際、アイプロファイル曲線を対象者の快適さのために最適な平面内にあるようにするために、より複雑な3次元下側シャッタ205を作成することが有利であり得る。
【0017】
[0053] この実施形態に示されるシャッタ205,206の意図は、対象者301をロボット機構の動きから隔離するように働くロボット機構のための筐体を作成する一般的な概念を説明することである。シャッタ205と206を合わせると、まつ毛だけが突き出る小さなスロットが形成されるので、対象者301は、ロボットがまつ毛にのみ触れることができ、彼らの目には触れることができないことを快適に感じることができる。
【0018】
マスク
[0054] いくつかの実施形態では、対象者301の顔を覆うのにマスクタイプのバリアが使用され、ロボットは彼らのまつ毛にのみ触れることができるが、彼らの目には触れることができないから対象者301に安全性及び快適性を提供することができる。この手法は、上述のシャッタ205,206の手法と幾分類似しているが、マスクは、筐体201の一部であるシャッタ205,206よりもむしろ、通常は対象者301に固定される。
図5は、そのようなマスク型バリアを使用する本発明のわずかに異なる実施形態からまつ毛エクステンションを取得する準備をしている対象者301を示す。
図5では、対象者301はテーブル302の上に横たわっている。対象者301の顔にはマスク303が載っている。マスクタイプのバリア303は、使用される接着剤とは不適合な硬質または半硬質のプラスチックでできており、そこから対象者の上まつ毛が上向きに突出する2つのスロット304を有している。
図6にさらに示されているように、このマスク型バリア303を用いる実施形態は、代替的な筐体251の前面256の窓204の代わりに、前面256は開口を全く有していないこと、を除いてほとんどの点で
図1~4の実施形態と同様である。代わりに、代替の筐体251の床に窓269があり、それによって中にあるロボット機構がマスクの作業領域へのアクセスが増えるようになる。マスク303のサイズが開口部よりも大きい場合、所望の場合は、筐体251の底部のいくつかの特徴に当たることにより、または真空源または磁石によって吸引されて接触することにより、マスク303を筐体251に嵌合させることができるが、マスク303を代替の筐体251と嵌合させる必要はまったくない。しかし、好ましい実施形態では、マスク303は、それを代替の筐体251の底部に嵌合するための特徴を必要とせず、マスク303は筐体251の底部の開口部よりも大きいので、マスク303はあらゆる状況において対象者301を単に保護する。これが、マスク303が特大の形状に見えるように描かれる理由である。マスク303は、まつ毛がスロット304を通して挿入されるのを容易にするために2つの部分から構成され得ることに留意することが重要である。例えば、点線305で示された領域は、
図3に関連して説明された手順に従ってマスク303の作業領域の上に対象者301の上まつ毛を得る後にマスク303に当てられる別個の構成要素とすることができる。また、この戦略では、マスク303を多くの一般的なサイズで提供されることができ、あるいはマスク303を対象者にとってカスタマイズ可能であるように容易に成形可能な材料から作られることさえできることに留意することが重要である。このような材料は現在、義足の脚および腕のソケットを形成するために一般的に使用されている。最後に、設計は、ロボット機構はマスクにかかわらず、人を傷つけるほど強くはないという考えに基づいていることに注意することが重要である。すなわち、非常に大型の産業用ロボットは、マスクを介してぶつかったり、たくさんの力を伝達させたりする可能性があるため、たとえ力がマスク全体に分散されても対象者301は怪我をする可能性がある。しかしながら、一般に、そのような大きく強力なロボット機構を使用する必要も、ロボット自体を特に対象者301に近づける必要もない(例えば、ロボット機構の一部を構成する任意の大型ロボットは、ロボットとエンドエフェクタとの間に力制限クラッチを有して、対象者301から十分に後退させることができる)。
【0019】
[0055] 上記の2分割マスク等、概ね
図5で参照されるマスクの多くの特殊な実施形態がある。これらの実施形態をより詳細に説明するために、ここでの説明は、エクステンションプロセス中に安全性を提供することが目的であるという理解の下に、マスクのみに焦点を合わせるものとする。説明は、対象者301の顔の上に適用されたマスクを参照する。
図7Aおよび7Bは、概ね、上まつ毛307、下まつ毛306、眉毛310、額309、およびまぶた308を有する対象者301を示している。対象者の下まぶたは概ね破線311内の領域として示されている。まぶたが言及されるとき、それが下まぶたであると特に述べられていない限り、それは一般に上まぶたであると想定される。
図7Aでは、対象者301の右目は開いており、対象者301の左目は閉じている。これらの断面図がマスクの様々な特徴を明らかにするのを助けるので、説明はマスクの正面図と様々な断面図の両方を参照する。これらのマスクは一般的に対称的であり、そして特に明記しない限り、人間の顔の左右対称性を模倣する左右対称性を有すると仮定されるべきである。当然ながら、ロボットまつ毛エクステンション機構の特定の構成にとって有利であり得るいくつかの実施形態では、非対称マスクを有することが可能である。
【0020】
[0056] いくつかの実施形態では、
図8Aおよび
図8Bに示すように、マスク313の着用および着脱をより簡単に可能にするために、2分割のマスク313を提供することが好ましい。マスク313は、上部マスク314と下部マスク315とからなる。実際には、対象者301は、目を閉じている間に下部マスク315を着用し、次に目を開いて、下部マスク315の下に下まつ毛308を残しながら下部マスク315の下側から上まつ毛307を引っ張る。次に、対象者301は、再び目を閉じて、まぶた308と額309を覆う上部マスク316を着用する。上部マスク314は下部マスク315の上端に対して位置合わせし、上まつ毛307のための正しい隙間316を確保する。マスク313は、対象者301の頭の後ろを包む弾性ストラップ312によって対象者301の頭に保持される。もちろん、たくさんの解決法の内、耳上のフック、接着剤、マスクを真空供給装置に接続すること、および弾性ストラップを含む、マスクを一般に人の頭部に保持する多くの方法がある。明確にするために、弾性ストラップ312は、2分割マスク313の他の図には示されていない。
【0021】
[0057]
図9Aおよび
図9Bに示すようないくつかの実施形態では、上部マスク314の下端は、舌部318を越えて下部マスク315の上端と嵌合する溝317を含む。
図10Aおよび
図10Bに示すような他の実施形態では、上部マスク314が下部マスク315上に重なり、磁石319が上部マスク314に接着され、磁性材料320が下部マスク315に接着され、結果として得られる磁力が上部及び下部マスク314,315を正しい向きに保持する。ラッチ、嵌合機構、面ファスナ、弾性ストラップ、フック、およびクリップを含む、上部マスク314および下部マスク315のそれぞれの向きを維持するための当該技術分野において既知の他の多くの方法がある。
【0022】
[0058] 実際には、2分割マスク313は、ロボット機構が隙間316内の上まつ毛307のみにアクセスすることを可能にすることによって対象者301に安全性を提供する。この安全性は、ロボット機構が2分割マスク313を突き通すかまたは上部マスク314と下部マスク315とを押しのけるほど十分に強くなく、そしてロボット機構上の道具または部品が隙間316を通って嵌ることができない限り完全である。実際には、これはロボット機構に機能を追加することで保証できる。ロボット機構(図示せず)がピンセット330で終端する
図11を考察する。ピンセット330は狭い先端部331を有するので、それらは隙間316を通って嵌合することができる。しかしながら、ハンマーヘッドピンセット332がピンセット330の代わりに使用される場合、延長構造333および334は、あらゆる状況において狭い先端331が隙間316を通って到達するのを妨げる。ピンセット330の片側だけからの特徴(ロボットがピンセット330を回転させることができないように設けられる)、ピンセット330の側部から突き出ているリング、およびピンセット330の側部から突き出ているロッドを含む、ピンセット330の特徴を「成長」させてそれらが隙間316を通して到達できないようにするための多くの可能な方法がある。いくつかの実施形態では、ロボットがピンセット335を軸線Xの周りに大きく回転させることができない限り、隙間316に嵌って通り抜けることができない湾曲ピンセット335を使用することで十分であり得る。さらに他の実施形態では、
図12に示すように、それらが隙間316と整列できないように、単純に、十分に急な角度で配向される、ピンセット330が可能である。この場合、ロボット機構は、ピンセット330を軸線Xの周りに矢印336の方向に大きく回転させることができてはならない。ロボット工学の分野では、ロボットがピンセット330などのエンドエフェクタを所望の量を超えて回転させないようにする方法がよく理解されている。時にはこの回転防止をソフトウェアで達成できるが、ハードストップまたは本質的にその動きが制限されているアクチュエータの選択によっても達成できる。それでもなお、いくつかのロボットでは、2つ以上のロボット関節が軸Xの周りの回転を可能にし、可動範囲の範囲を困難にし、これはハンマーヘッドピンセット332のようなピンセットの選択を強いることができる。
【0023】
[0059] いくつかの実施形態では、フェイスマスク340、右まぶたカバー341、および左まぶたカバー342を含む3分割マスク350を提供することが好ましい。
図13に示すこの実施形態では、フェイスマスク340は対象者301の顔の大部分を覆い、対象者301の左右の目の上に開口部を残す。次いで、フェイスマスク350の左右の開口部は、左右のまぶたカバー341,342によって大部分が満たされ、これらはそれぞれ、対象者301の左右の両目のそれぞれのまぶた308上に直接位置する。実際には、これは左右のまぶたカバー341,342の両方の周りに円周方向の隙間345が生じさせる。これは各対象者301がその額309からのまぶた308の異なる間隔を有し、3分割マスク350が各個人の顔に合わせてカスタマイズされないためである。これにより、対象者のそれぞれのまぶた308上に配置されるときに、フェイスマスク340と左右のまぶたカバー341,342の各々との間の距離が可変になる。2分割マスク313と同様に、対象者301は、顔の上にフェースマスク340が顔の上に配置される前に両目を閉じ、次に、下まつ毛306が顔マスク340の下に残るが、上まつ毛307が露出されるように両目を開く。対象者301は目を閉じ、左右のまぶたカバー341,342がそれぞれのまぶた308の上に置かれる。また、2分割マスクと同様に、
図13に示す弾性ストラップ312のような、弾性ストラップを使用してフェイスマスク340を対象者301の頭部に保持することができる。明確にするために、弾性ストラップ312は、3分割マスク350の他の図には示されない。後述するように、まぶたカバー341,342は、各まぶた308に貼り付けられることができる。また、図示されていないが、いくつかの実施形態では、まぶたカバーはまた、フェイスマスク340にクリップ留めまたは固定されていてもよい。
【0024】
[0060] この実施形態では、ロボット機構のどの部分も円周方向隙間345に嵌合して通らない限り、安全性は3分割マスク350によって提供される。これを行う方法は、2分割マスク313の上述の実施形態と同様であるが、円周方向隙間345が隙間316よりも多くの場所に存在するため、幾分より制限されている。例えば、
図11のピンセット330は、円周方向隙間345は隙間316よりも左右のまぶたカバー341,342のいたるところにあるため、それらが隙間316を通って延びることができるのと同じ方法で、しかしさらに多くの場所で、円周方向隙間345を通って容易に延びることができる。しかしながら、ピンセット(または他の任意のエンドエフェクタ)が円周方向隙間345を通って到達できないように特徴を設計することは依然として可能である。例えば、湾曲ピンセット335は、
図14に示されるように、ロボット機構がピンセット335を軸線Xの周りに大きく回転させることができない限り、円周方向隙間345を通って到達することはできない。それでもなお、左右のまぶたカバー341,342に加えることができる力は、加えられる力のすべてが対象者301の目に伝達されるので、フェイスマスク340または他の実施形態ではマスクに加えられることができる力よりも小さくなる。
【0025】
[0061] 2分割マスク313または3分割マスク350のいずれにおいても、マスクの着用中の小さな動きが下まつ毛306がいずれかのマスクの下側からも出ないように、テープを使用して下まつ毛306をさらに押さえることが望ましい場合がある。別の置換では、2分割マスク313または3分割マスク350のいずれかを左右のバージョンにすることも可能である。例えば、マスクは右目のみへのアクセスを提供する2つまたは3つの部分で製造されることができ、第2のマスクは左目のみへのアクセスを提供するように作成されることができる。そのような構成は、作業が行われていない目へのアクセスを提供せず、安全性をわずかに高めるという利点を有している。3分割マスクの設計を使用するこのような構成は、
図15に示されており、右マスク353および左マスク354を含む。この構成は、独特のマスク部分の数を増加させるので好ましくないが、採用されるロボット機構の詳細によっては有利であり得る。
【0026】
[0062] 3分割マスク350が目の周りにより大きな隙間を生じさせるとともにより小さい力に対してのみ許容性があるならばなぜ3分割マスク350が好まれるのか疑問に思うことは合理的であり得る。3分割マスク350にはいくつかの利点がある。第1に、まぶたカバー341,342がまぶた308の上に直接着座するので、まぶたカバー341,342の外面からまつ毛の基部355までの距離は、2分割マスク313はまぶた308の上に着座できるようにつくられることができないため(それが単一の個人に合うように特別に設計されていない限り)、2分割マスク313が使用される場合よりも短くなり得る。例えば、対象者301Aおよび対象者301Bに対する2分割マスク313と3分割マスク350の現在説明している実施形態の両方のAA断面を示す、
図16A~
図16Dを検討する。対象者301Bは突出した額を有しており、むしろ平らな額を有する対象者301Bとは異なっている。もちろん、そのような顔の構造および幾何学的形状のバリエーションは、様々な人の間で非常に一般的であり、まぶたからの鼻筋の高さなどの他の顔の構造におけるバリエーションもあり得る。
図16Aでは、2分割マスク313は対象者301Aに非常にしっかりとフィットし、上部マスク314からまぶた308への最小限のまぶたオフセット349を生成する。しかし、
図16Bでは、同じ2分割マスク313は、対象者301Bにむしろうまくフィットせず、上部マスク314からまぶた308への大きなまぶたオフセット349を生じる。これは、ロボット機構が上まつ毛307の基部を撮像しアクセスすることを困難にする。いくつかの場合には、そのような大きなまぶたオフセット349は、2分割マスク313を使用することを不可能にする可能性がある。しかしながら、
図16Cおよび
図16Dでは、3分割マスク350は、まぶたカバー342がまぶた308の上に直接位置しているので、対象者301Aおよび301Bのいずれかとの最小まぶたオフセット349を可能にすることが分かる。
【0027】
[0063] 視認性が3分割マスク350を使用する正当な理由であるが、それが唯一の理由ではない。多くの人は、目を閉じるたときにまぶたのばたつきを経験する。つまり、彼らのまぶた、それゆえまつ毛は抑え切れずに振動する。人によっては、ばたつきの大きさがまつ毛の直径よりも大きくなることがある。これは、ロボット機構がエクステンションを配置しているときに、エクステンションを配置するために対象者301のまつ毛307をリアルタイムで追跡しなければならないことを意味する。そのような追跡を達成する方法は知られているが、それらは所望のものよりも洗練されたロボットおよび視覚システムに関連し、まつ毛を配置するプロセスを遅くさせてしまい、これらの全ては望ましくない。
図17Aおよび
図17Bを参照すると、まぶたカバー341,342に粘着性裏打ち346(両側に粘着性を有する)が与えられ、まぶた308に優しく貼り付けられ、さらに安定物体347に接続されると、まぶたのばたつきが止まり、上まつ毛307は静止することがわかった。この結果は予想外であり、人間のまぶたと人間の顔との間の一般的に順応的な関係に関連すると考えられており、まぶたが人の自分の体によってしっかりと保持されていないのでまぶたを静止した状態に保持することは容易である。
図17Aおよび
図17Bに示すようないくつかの実施形態では、安定物体347は地上基準の固定物体を含む。しかしながら、他の同様の実施形態では、安定物体347は対象者301の頭に結び付けられることができ、または他の実施形態では、安定物体347はロボット機構を保持するフレームを含む。安定物体347をロボット機構が固定されているのと同じ構造にすることが好ましく、この構造は概ね静止していて地面に結び付けられるべきであることが分かった。この組み合わせは、ロボット機構によって検知されるように上まつ毛307の最小の動きを提供する。しかしながら、ロボット機構が対象者301にどのように接続されるかに応じて、他の実施形態が好ましい可能性がある。また、まぶたカバー341,342と安定物体347との間に分離接続348を設けることが有利であることが分かった。まぶたカバー341,342を所定の位置に保持するのに必要な力が大きくなると、例えば、対象者301が突然頭を動かした場合、分離接続348は切断される。
図17Aおよび
図17Bに示す好ましい実施形態では、分離接続348は、安定物体347に固着する分離磁石351を含む。これが機能するためには、安定物体347は鉄や多くのスチールのような磁石に引き付けられた材料で作られなければならない。いくつかの実施形態では、安定物体347は、分離磁石351と接合するために提供される鉄などの適切に磁気的に引き寄せられる材料があるという条件で、別の材料で作られることができる。しかしながら、分離接続348は、当技術分野で知られている他の多くの方法の中でも、面ファスナ材料、または他の接着接続で構成されることができる。
【0028】
[0064] 別の実施形態では、2分割マスク313および3分割マスク350の一部または全部は、
図18に示すように、硬質または半硬質のプラスチックではなく、可撓性テープ370で構成されることができる。これは、可撓性テープ370が対象者301の顔に一致し、ロボット機構との潜在的な干渉を低減し、ビジョンシステム360の視認性を向上させることができるので望ましい。いくつかの実施形態では、可撓性テープ370は、ロボット機構からのあらゆる衝撃に対する強度を高めるために、耐パンク性または繊維強化されている。テープ370が吸収することができる力は剛性構造よりも小さいが、ロボット機構の設計によっては、それらは安全性を確実にするのに十分である。この実施形態は、手動のエクステンションプロセス中にテープが下まつ毛306を保持するために通常使用され、対象者301がこのテープの使用に慣れている可能性があるため、さらに有利である。この実施形態では、テープ370は対象者301の皮膚に貼り付けられており、テープ370を所定の位置に保持するための弾性ストラップは必要とされない。
【0029】
[0065] 別の実施形態では、マスクは個人に合うようにカスタマイズされている。これは、3分割マスク350のように、対象者のまぶたとマスクとの間のまぶたのずれを最小限に抑えるための別の解決策として使用することができる。もちろん、カスタムデザインのマスクを個々のクライアントの顔の輪郭にぴったり合わせることができるため、オフセットを最小限に抑えるように機能する。カスタムフィットマスクを作成するには、いくつかの方法がある。1つの手法では、従来の方法を使用して、対象者301の顔のキャスティングを行うことができる。このキャスティングは直接使用されることができ、あるいはネガ型を製造するために使用されることができ、それは次にポジ型マスクを製造するために使用される。そのような方法は、特に衣装および特殊効果のために、マスク製造の分野において周知である。しかしながら、これらの方法は時間がかかり、そしてきれいな結果を生み出すために当業者を必要とする。
【0030】
[0066] カスタムマスク480を作成する好ましい実施形態では、最新の走査および印刷技術が使用される。
図19は、カスタムマスクを製造するためのプロセス460を示す。スキャンデータ470を生成するために、顔走査ステップ461において、3次元(3D)スキャナを使用して対象者301の顔がスキャンされる。飛行時間測定法または他の3次元走査技術を使用することによって、現在、しばしば低コストで、多くの適切なスキャナ入手可能である。例えば、コロラド州ボールダーのOccipital(登録商標)社によって製造されているStructure(登録商標)センサは、そのようなセンサの1つである。別のものは、サウスカロライナ州ロックヒルの3D Systems(登録商標)からのSense(登録商標)3Dである。次に、スキャンデータ470を使用して、顔モデル作成ステップ462において対象者301の顔の顔モデル471を作成する。当技術分野で周知の多くのコンピュータ支援設計システムは、顔スキャンからコンピュータモデルを生成することができ、そのようなソフトウェアは一般的に3Dスキャナと共に提供される。このソフトウェアはまた、対象者301の顔のコンピュータモデルから割れ目を充填し、誤ったデータ点を除去して、最終的な顔モデル472を生成する、顔モデルを「きれい」にするステップ463において顔モデルを自動的に「きれい」にすることもできる。次に、コンピュータは、ステップ463で生成された「きれい」な顔モデルの表面からマスクを成長させることによって、マスクモデル作成ステップ464でベースマスクモデル473を作成する。次に、まつ毛のスリット、マスクを頭に固定するための構造(例えば、ゴムバンド用)、ロボットに接続するための構造(例えば、マスクの前面から伸びた柱)がマスクモデル474を生成するためのステップ465で自動的に追加される。最も一般的な場合では、技術者を使用して、マスクモデルを人間が検討するステップ466においてマスクモデル474が適切に設計されていることを確実することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、マスクモデル474を人間なしで自動的にチェックし、それによってステップ466を自動化することが可能である。この最終検討は、印刷の準備ができている最終マスクモデル475を生成する。カスタムマスク480を印刷するために、3D印刷のような積層造形法が使用される。適しているであろう多くの3Dプリンタが当該技術分野において知られており、例えば、ミネソタ州エデンプレーリーのStratasys(登録商標)によって製造されたFortus(登録商標)380mcがカスタムマスク480に十分な印刷量を有している。いくつかの実施形態では、この印刷は現場外で行われ、マスク480は、対象者301に使用するために現場に送達されるまで準備ができていない。しかしながら、いくつかのより新しい3Dプリンタは、主題301が待っている間に現場で印刷を行うことができるほど十分に速い。
【0031】
[0067] この実施形態は、カスタムマスク480が対象者301に非常に正確にフィットし、剛性があり(したがって良好な安全保護を提供し)、ビジョンシステム460に良好な視認性を与えるので、大きな利点を有する。しかしながら、この実施形態にはかなりの不利益、主に追加の時間と費用がある。3Dスキャナを使用して対象者301を走査し、次いでコンピュータモデル482を修正し、次いでカスタムマスク480を印刷することは、サロンでかなりの時間がかかるか、または対象者301にマスク480の配達を待たせることになる。また、カスタムマスク480の印刷は高価であり得、マスク480は使用後に保管されるべきである。この時間とコストのために、これはおそらくプレミアムなサービスとしてを除いて好ましい実施形態であるとは思われない。
【0032】
[0068] 上記実施形態は、一般に、エクステンションプロセスを実行しているロボット機構と協働することを目的としているが、本明細書に提示されるマスク設計は、一般に、従来のまつ毛エクステンションに対する安全性の提供に適用可能である。例えば、カスタムマスク480は、手技中に怪我の可能性を減らすため、または美容師にハンドレストを提供するために、美容師からまつ毛エクステンションを受ける対象者に使用されることができる。
【0033】
[0069] 本発明のさらに別の実施形態では、マスクからの保護は、目の周りの柔らかい部分、まぶたの上、まぶたのすぐ上、および目のすぐ下の周りにのみ提供される。これらの領域はここでは「柔らかい」と呼ばれ、なぜならそれらは目窩を覆っているからであり、人間の額や上頬とは異なり、表面の下には骨の多い頭蓋骨がない。したがって、ロボットが非常に弱く、例えば皮膚を貫通することがほとんどできない場合、これらが保護が望ましい唯一の分野になる可能性がある。例えば、額に軽傷を負わせることはできないが、それでもまぶた(またはまぶたの下にある目)をひどく傷つける可能性がある、非常に弱いロボットで使用される軽量のプラスチック製ピンセットのセットを想像するのは簡単である。
【0034】
[0070] そのような場合、
図20Aおよび
図20Bに示すような実施形態を使用することができる。ここでは、右上貼付マスク371がまぶたの真上を含む右まぶたを覆い、右下貼付マスク372が目の真下を覆う。右上の貼付マスク371および右下の貼付マスク372は、右の接着マスク接続部373において、目の右隅で重なっている。右側貼付マスク接続部373は、接着剤、マジックテープ(登録商標)、磁石接続、またはマスクの上部と下部との間の任意の同様の光接続のうちの1つを含む。上部と下部とを接続すると、まぶたがばたつきに対して安定するのに役立つ。左側は、鏡像の同じ構成要素、すなわち左側貼付マスク接続部376を介して接続する上部および下部左側貼付マスク374,375を含む。4つのマスク部分は、ポリエチレン、ナイロン、またはABSなどの半硬質の薄いプラスチック、または柔軟なゴム材料で作ることができる。さらに、ロボット機構およびエンドエフェクタが特に安全な設計のものである場合、マスク部の全部または一部を、手動のまつ毛エクステンションプロセスの間に下蓋に使用される現在の「ゲルパッド」などのローションを注入した繊維材料で構成されることができる。拡張プロセス実際には、0.5から2mm程度の厚さは、それでもなお妥当な保護を提供する薄いマスクを可能にする。いくつかの実施形態では、まつ毛の根元のより良好な視認性を可能にするために、マスクの1つ以上の部分がまつ毛の近くで先細になっている。例えば、
図20Aおよび
図20Bでは、左右の上部貼付マスク371,374はテーパエッジ378を有する。異なる幅のまつ毛および異なるアイソケット形状を有する人を収容するために、複数のサイズのマスクを提供することもまた望ましい可能性がある。しかしながら、
図20Aおよび
図20Bに示されている上部および下部の貼付マスクのトポロジーは広範囲の人に適合し、通常はほんの数サイズしか必要とされないことが分かっている。マスクは、適度な強度の任意の生体適合性接着剤で人に接着されることができる。強すぎる接着剤を使用しないこと(そうしないとマスクを快適に取り外すことができない)も、接着剤を弱くすること(そうしないと使用中にマスクが脱落してしまう)が重要である。例えば、ノースカロライナ州シャーロットのBSNメディカル(登録商標)により製造された接着剤であるJobst(登録商標)「It Stays!、ニュージャージー州ノースベールのADM(登録商標)Unlimited社によるPros-Aide(登録商標)や、ペンシルバニア州グレンロックのAdhesives Research(登録商標)によるSoftWear(登録商標)や、ロードアイランド州クランストンのTorbot(登録商標)社によるSkin Tac(登録商標)を含む多くの適切な種類の接着剤がある。
【0035】
[0071] 上述の実施形態のわずかな置換を
図21Aおよび
図21Bに示す。ここでは、上部および下部右貼付マスク381,382は、右貼付マスク接続部383において、目の目頭および目尻の両方で重なっている。同様に、左側では、上部および下部左側貼付マスク384,385が左側貼付マスク接続部386を介して接続される。すなわち、
図21Aおよび
図21Bにおける唯一の違いは、貼付マスクが2箇所で接続されていることである。この実施形態は、上部マスクと下部マスクとの間により大きな構造的接続を提供することができ、これはまぶたのばたつきを低減するのに役立つ。もちろん、組み合わせたマスクを上述のような安定した物体に固定することもさらに可能である。
【0036】
[0072] 先の実施形態の別のわずかな置換を
図22Aおよび
図22Bに示す。目の目頭および目尻の両方で重なり合うように示されているが、示されている解決策は前の2つの実施形態のどちらとも適合する。ここでは、拡張された右下マスク392および拡張された左下マスク395が対象者301の頬のさらに下方に延びている。これは、対象者301のほおをより多くカバーするという点で利点を与える。また、対象者301のまつ毛307は、一般に、ロボット機構または人が頭の上から見ることになり、頬を下方に向かってさらに下マスクを延ばすことは、まつ毛307を照らすための均一な色のより大きな領域を提供するのに有利であり得る。これは特に、コンピュータビジョンに使用されるアルゴリズムは、人間よりも色の変化に対して敏感である可能性があるので、ロボット機構によって行われる自動まつ毛エクステンションの場合には有利である。実際に、
図22Bでは、上方から見たときにさらに長い見た目の部分を提供するように、拡張された左下マスク395は下側に沿って対象者301の頬から離れて持ち上がっている。
【0037】
[0073] いくつかの実施形態では、まぶたのばたつきをさらに低減するために、
図17AおよびBに関連して上述したシステムと同様に、柔軟なマスクをロボットまたは安定した場所に固定することが望ましい。
図23に示すように、対象者301は、
図20Aおよび
図20Bに示したのと基本的に同じ上下左右のマスクを被っている。しかしながら、また、対象者301は、固定フレーム385も身に付けている。固定フレーム385は目鏡フレームに類似しており、レンズなしの通常の目鏡のように対象者301の耳と鼻との上に置かれる。しかし、固定フレーム385はまた、固定フレーム385をそれぞれ右上および左上の貼付マスク371,374に結合する右および左の貼付マスクアンカ380,382をそれぞれ含む。上部および下部貼付マスク間の接続と同様に、左右の貼付マスクアンカー380,382は、接着剤、面ファスナ、または磁石接続、または他の任意の薄型接続で作ることができる。さらに、固定フレーム385は、固定フレーム385をロボットにラッチする左右のラッチ381および383を含む。この実施形態では、ラッチは単純な磁石として示されており、これはロボットが嵌合磁石または磁性材料を含む場合には十分であるが、当然ながら任意の数の接続が可能である。この実施形態の利点は、対象者301がロボットに近づく前に固定フレーム385を着用し、それらを貼付マスクに接続することができ、着用プロセスが単純化されることである。しかしながら、いくつかの実施形態では、固定フレーム385を省き、ロボット上の左右の貼付マスクアンカー380,382のための嵌合機能を単に提供することで十分であり得る。
【0038】
その他の安全戦略
[0074] 上述の実施形態の多くにおいて、マスクが所定の位置にあることを知ることは有用であり得る。例えば、ロボット機構がまつ毛エクステンションを配置している実施形態では、マスクの全ての部分が存在することを確認することは有用である。これはコンピュータビジョンシステムによる検査によって達成できることが可能であるが、マスクを提供する目的は部分的にフェイルセーフな安全性を提供することであるので、よりフェイルセーフな方法を提供することが望ましい。マスクの全ての部分が重なり合う最も単純な実施形態では、そのようなフェイルセーフの検証は、マスク自体が導電性であり、マスクの最初の部分と最後の部分とが、導電経路が閉じられたときにロボット機構を有効にする回路にその導電経路を戻すように、マスクの部分間の接続が導電接続を有することによって達成される。このようにして、マスクのいずれかの部分が切断されると、導電経路が開き、ロボットを無効にする。もちろん、ロボット工学および自動機械の当業者は、接続を確認するために抵抗測定ではなく容量測定または誘導測定またはこれらの何らかの組み合わせの使用を含む、そのような回路を開発する多くの方法があることに気付くであろう。いくつかの実施形態では、
図9Aおよび
図9Bに示されるもののように、重なり合うタブはなく、余分な接続ストラップが提供されるべきである。他の実施形態では、
図23に示すように、マスクの各部分に一度だけ触れることは便利ではないため、ここでも接続ストラップを使用する必要がある。あるいは、そのマスクのチェーンの接続を検証するために、例えば、導電経路の最後の部分に抵抗器とを含むループバック回路を使用することが可能である。例えば、
図23では、抵抗器のいずれかの側への接続が最初に右側上部マスク371を通り、次に固定フレーム385を通り、そしてそこから、結果として得られる回路の抵抗が、それが抵抗器を通して閉じられていることを示している場合にのみ有効になる、ロボット機構へと接続されて、抵抗器が右側下部マスク372に配置され得る。
【0039】
[0075] 安全性を達成するための別の手段では、上述したものと同様のインターロックを設けることが可能であるが、ロボット機構及びマスクによって提供されたピンセットまたは他のエンドエフェクタとマスクとの間の経路をチェックし、この場合ロボットを停止させる。ここでの目標は、ロボットが意図せずにマスクに触れ、それ故に容認できないほど対象者に接近した場合にロボットを停止させることである。もちろん、この場合、回路は、接続がロボットを無効にするための条件であり、切断がロボットを有効にするための条件であることを認識すべきであるが、このように論理を逆転するための安全上重要な回路は当業界でよく知られている。いくつかの実施形態では、この回路は、抵抗測定、またはこれらの何らかの組み合わせではなく、容量センシングまたは誘導センシングに頼ることができる。
【0040】
[0076] 別の実施形態では、マスクは不要であり、ロボットの安全性は純粋に上述のインターロックによってもたらされる。つまり、ロボットピンセットやエンドエフェクタが対象者に近すぎる、または対象者に触れると、ロボットの動作が停止する。いくつかの実施形態では、これはロボットへの電力を除去することを構成することができるが、他の実施形態では、ロボットの動きを止めるためにブレーキが使用される。この方法ではインターロックシステムに対する要求が大きくなるが、マスクが不要なためシステム設計が簡単になる。それにもかかわらず、この実施形態はまつ毛を安定化させず、これは、
図21Aおよび
図21Bに示されるものなどのマスク設計の多くにとって有利である。
【0041】
[0077] この実施形態の一例として、対象者301と検知ピンセット401とを含む
図24を考察する。ロボット機構403の物理的形態は明瞭さを保つために
図24には示されていないが、検知されたピンセット401はロボット機構403によって操作されていることが理解される。検知ピンセット401は、容量センサ402に電気的に接続されている。検知ピンセット401をより良好にアンテナとして機能させることを可能にするために、アンテナ領域404を検知ピンセット401の一部として組み込むことができる。検知されたピンセット401が、貧弱なアンテナを構成するであろう非導電性材料で作られている場合、これは特に重要であり得る。アンテナ領域404は、検知されたピンセット401の表面の一部であり得るが、特にアンテナ領域404が検知されたピンセット401に適合することができない複雑な幾何学形状を使用する場合、それはまたピンセット401から突き出る別個の物理的表面であり得る。容量センサ402は、静電容量を検出する技術分野で周知の任意の数の回路のうちの1つとすることができる。例えば、南アフリカのプレトリアのAzoteq(登録商標)によって製造されているIQS127Dのような、容量性検知を提供する多くの集積回路が安価に入手可能である。次いで、容量センサ402は、検知されたピンセット401と対象者301との間の距離を示す信号をロボット機構403に提供する。いくつかの実施形態では、この信号は連続測定であり得、他の実施形態では、距離が安全閾値を下回ったかどうかを示す単一の高/低信号と同じくらい単純であり得る。好ましい実施形態では、この信号はフェイルセーフであるべきであり、その結果、容量センサ402への電気接続が失敗した場合、または容量センサ402が故障した場合、信号はいかなる安全閾値よりも小さな距離を示す。
【0042】
[0078] いくつかの実施形態では、眉毛はまつ毛とかなり類似した特性を有するので、まつ毛ではなく眉毛を伸ばすための安全性を提供するために同じ装置を使用することができる。この実施形態では、マスクの隙間は、まつ毛ではなく眉毛の周りに設けられる。
【0043】
[0079] 上記に基づいて、本発明がまつ毛エクステンションをより効果的に取り付ける方法を提供し、それがそうする時間と費用の両方を削減することは容易に明らかであるはずである。本発明のシステムおよび方法は明らかに安全であるので、エクステンションを受ける人は手順に自信を持つことができる。好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明の精神から逸脱することなく本発明に様々な変更または修正を加えることができることを容易に理解されたい。一般に、本発明は特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図している。
(項目1)
まつ毛エクステンションをしている対象者を保護するように構成されたマスクにおいて、
対応する前記対象者の目を露出させることなく、前記対象者の少なくとも1つのまつ毛を露出させるように構成された隙間を含み、対象者の顔の輪郭をたどって、前記対象者の対応する上まぶたの少なくとも一部および対応する下まぶたの少なくとも一部を覆うように構成された、マスク。
(項目2)
第1の部分および第2の部分をさらに含み、前記第1の部分は、前記対象者の前記対応する上まぶたを覆うように構成され、前記第2の部分は、前記対象者の前記対応する下まぶたを覆うように構成され、前記第1の部分および前記第2の部分は、互いに当接したときに前記少なくとも1つのまつ毛の上に前記隙間を形成するように構成された、項目1に記載のマスク。
(項目3)
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも1つは、前記対象者の前記顔に貼り付くように構成された、項目2に記載のマスク。
(項目4)
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの前記少なくとも1つは、接着剤を使用して前記対象者の顔に貼り付くように構成された、項目3に記載のマスク。
(項目5)
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの前記少なくとも1つは、真空源を使用して前記対象者の顔に貼り付くように構成された、項目3に記載のマスク。
(項目6)
上まぶたカバーとフェイスマスクとをさらに備え、前記フェイスマスクは空隙を含み、前記空隙は、前記上まぶたカバーが前記フェイスマスクの内側に嵌り、前記フェイスマスクと同一面になることを可能にするように構成され、前記上まぶたカバーは、前記空隙の内側にあるときに前記フェイスマスクと前記隙間を形成するように構成された、項目1に記載のマスク。
(項目7)
前記上まぶたカバーは、前記対象者の前記対応する上まぶたに貼り付くように構成され、前記上まぶたカバーは、前記上まぶたカバーをアンカーに結合するように構成された固定接続部を含む、項目6に記載のマスク。
(項目8)
前記アンカーは、前記対象者の頭部である、項目7に記載のマスク。
(項目9)
前記アンカーは、固定された物体である、項目7に記載のマスク。
(項目10)
前記アンカーは、ロボットまつ毛エクステンションシステムである、項目7に記載のマスク。
(項目11)
前記固定接続部は、前記対象者の頭部が前記アンカーに対して変位したときに切断するように構成された分離接続部を含む、項目7に記載のマスク。
(項目12)
前記対象者の前記対応する上まぶたを覆うように構成された上まぶたカバーと、前記対象者の前記対応する下まぶたを覆うように構成された下まぶたカバーとをさらに備え、前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーの各々は、前記対象者の皮膚に貼りつくように構成され、前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーは、互いに接続されるように構成され、前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーは、互いに接続されたときに前記少なくとも1つのまつ毛の上に隙間を形成するように構成された、項目1に記載のマスク。
(項目13)
前記対象者の第2の上まぶたを覆うように構成された第2の上まぶたカバーと、前記対象者の第2の下まぶたを覆うように構成された第2の下まぶたカバーとをさらに含み、前記第2の上まぶたカバー及び前記第2の下まぶたカバーの各々は、前記対象者の前記皮膚に貼り付くように構成され、前記第2の上まぶたカバー及び前記下まぶたカバーは、互いに接続されるように構成され、前記第2の上まぶたカバー及び前記第2の下まぶたカバーは、互いに接続されたときに前記対象者の少なくとも1つの他のまつ毛の上に第2の隙間を形成するように構成された、項目12に記載のマスク。
(項目14)
前記上まぶたカバーおよび前記下まぶたカバーのうちの少なくとも1つは、アンカーに結合されるように構成された固定接続部を含む、項目12に記載のマスク。
(項目15)
前記アンカーは、前記対象者の頭部である、項目14に記載のマスク。
(項目16)
前記アンカーは、固定された物体である、項目14に記載のマスク。
(項目17)
前記アンカーは、ロボットまつ毛エクステンションシステムである、項目14に記載のマスク。
(項目18)
前記対象者の耳及び鼻の上に置かれるように構成された1組の固定フレームをさらに含み、前記1組の固定フレームは前記アンカーを含み、前記1組の固定フレームは、第2のアンカーに選択的に結合されるようにさらに構成された、項目14に記載のマスク。
(項目19)
前記マスクは、実質的に可撓性の材料からなる、項目12に記載のマスク。
(項目20)
前記マスクは、半硬質材料からなる、項目12に記載のマスク。
(項目21)
前記マスクは、実質的に硬質材料からなる、項目12に記載のマスク。
(項目22)
前記対象者の前記対応する上まぶたを覆うように構成された上まぶたカバーと、前記対象者の前記対応する下まぶたを覆うように構成された下まぶたカバーとをさらに備え、前記上まぶたカバー及び前記下まぶたカバーは、前記対象者の前記皮膚に貼り付くように構成された接着性裏当てが設けられ、前記対象者の前記皮膚に貼り付けられたときに重ならないように構成され、前記対象者の前記皮膚に貼り付けられたときに前記少なくとも1つのまつ毛の上に前記隙間を形成するように構成された、項目1に記載のマスク。
(項目23)
前記上まぶたカバーは、アンカーに結合するように構成された固定接続部を含む、項目22に記載のマスク。
(項目24)
前記マスクは、前記対象者の前記顔の特定の幾何学形状に対応してたどるように構成され、前記特定の幾何学形状は、前記対象者の前記顔の三次元走査により判断される、項目1に記載のマスク。
(項目25)
まつ毛エクステンションを受けている対象者を保護するためのマスクを作成する方法において、
前記対象者の顔を三次元で走査するステップと、
前記走査に基づいて前記顔に対応するフェイスマスクモデルを生成するステップと、
対応する前記対象者の目を露出させることなく、前記対象者の少なくとも1つのまつ毛が露出される位置に対応する隙間を前記フェイスマスクモデルに含めるステップと、
前記顔にぴったりと合うように、前記フェイスマスクモデルに基づいて前記マスクを作るステップとを含む、マスクを作成する方法。
(項目26)
まつ毛エクステンションを受けている対象者を保護するように構成されたシステムにおいて、
少なくとも2つのシャッタを有する筐体を含むロボット機構を備え、前記少なくとも2つのシャッタは、前記対象者の対応する目を露出させることなく、前記対象者の少なくとも1つのまつ毛を露出するように構成された隙間を残すように互いに選択的に連動するように構成され、前記少なくとも2つのシャッタおよび前記筐体は、前記少なくとも1つのまつ毛以外の前記対象者のいかなる部分へのロボット機構によるアクセスを禁止するように構成された、システム。
(項目27)
前記少なくとも2つのシャッタがいつ連動しているかを示し、この状態について前記ロボット機構と通信するように構成されたスイッチをさらに備えた、項目26に記載の装置。
(項目28)
少なくとも2つの部分を含み、対象者の顔の輪郭をたどるように構成されたマスクであって、前記対象者の少なくとも1つのまつ毛を、前記対象者の対応する目を露出させることなく、露出させるように構成された隙間をさらに含む、マスクを用いて、まつ毛エクステンションを受ける対象者の目を保護する、またはまぶたを安定させる方法において、
少なくとも2つのサイズの中から前記マスクについて適切なサイズを選択するステップと、
前記マスクを前記対象者に合わせるステップと、
前記マスクを前記対象者の顔に貼り付けるステップと、
前記マスクをほぼ静止した物体に固定するステップとを含む、方法。
(項目29)
人間である対象者に対して作業を実行するように構成された本質的に安全なロボットシステムにおいて、
前記人間である対象者に危害を与えることのできない弱いロボット機構と、
前記人間と前記ロボット機構との間の安全障壁であって、前記人間である対象者または前記人間である対象者の周囲に固定された、安全障壁と、
前記ロボット機構に結合された少なくとも1つのエンドエフェクタであって、前記安全障壁は、前記少なくとも1つのエンドエフェクタの危害を与え得るいかなる部分も通過することができない窓または隙間を含むことにより、前記少なくとも1つのエンドエフェクタによる危害から前記人間である対象者を保護する、エンドエフェクタとを含む、本質的に安全なロボットシステム。
(項目30)
前記窓または隙間は、前記人間である対象者の前記解剖学的構造の部分が窓または隙間を通って突き出ることを可能にし、前記少なくとも1つのエンドエフェクタが前記部分にアクセスできるように構成された、項目29に記載の本質的に安全なロボットシステム。
(項目31)
前記部品は、少なくとも1つのまつ毛を含む、項目30に記載の本質的に安全なロボットシステム。
(項目32)
前記部分は、前記人間である対象者の毛髪を含む、項目30に記載の本質的に安全なロボットシステム。