(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】溶融紡糸装置
(51)【国際特許分類】
D01D 5/08 20060101AFI20230124BHJP
D01D 7/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
D01D5/08 A
D01D7/00 C
(21)【出願番号】P 2019553893
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018057633
(87)【国際公開番号】W WO2018178006
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】102017003189.4
(32)【優先日】2017-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク-アンドレ ヘアンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ファウルシュティヒ
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-082381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0049669(US,A1)
【文献】米国特許第06494700(US,B1)
【文献】特開平06-073625(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00010772(EP,A1)
【文献】特開平03-216465(JP,A)
【文献】特開平04-370212(JP,A)
【文献】米国特許第05192032(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00 - 13/02
D02G 1/00 - 3/48
D02J 1/00 - 13/00
B65H 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成糸を製造するための溶融紡糸装置であって、それぞれ紡糸ノズル装置(2)、冷却装置(3)、ゴデット装置(6)および巻取り装置(7)を有する複数の紡糸位置(1.1~1.7)と、オートマチックオペレータ(9)とが設けられており、該オートマチックオペレータ(9)は、ガイド装置(10)によって、一列に配置された前記紡糸位置(1.1~1.7)に平行に案内されていて、かつ前記紡糸位置(1.1~1.7)のそれぞれの紡糸位置に、前記糸を仕掛けるために移動可能である、溶融紡糸装置において、
前記ガイド装置(10)は、懸吊する軌道(10.1)によって形成されていて、該懸吊する軌道(10.1)に沿って前記オートマチックオペレータ(9)が案内されており、かつ前記オートマチックオペレータ(9)は、前記紡糸位置(1.1~1.7)においてそれぞれ、制御可能なロック手段(11)によって、前記懸吊する軌道(10.1)の範囲内において位置固定に保持され、前記制御可能なロック手段(11)は、前記オートマチックオペレータ(9)に配置されかつ前記ガイド装置(10)における接触箇所と共働するように形成されているか、又は、前記ガイド装置(10)に配置されかつ前記オートマチックオペレータ(9)における接触箇所と共働するように形成され
、
前記ロック手段(11)は、少なくとも1つの制御可能な電磁石(11.2)によって構成されていることを特徴とする、溶融紡糸装置。
【請求項2】
前記電磁石(11.2)は、前記オートマチックオペレータ(9)に配置されていて、かつ複数の保持位置のうちの1つの保持位置において、それぞれ1つの位置固定の接触箇所(11.1)と共働するものであり、前記紡糸位置(1.1~1.7)のそれぞれの紡糸位置に、前記接触箇所(11.1)のうちの1つの接触箇所が対応配置されている、
請求項
1記載の溶融紡糸装置。
【請求項3】
前記紡糸位置(1.1~1.7)に対応配置された複数の位置固定の電磁石(11.2)が、前記懸吊する軌道(10.1)に分配配置されており、かつ前記電磁石(11.2)は、前記オートマチックオペレータ(9)に形成された1つの接触箇所(11.1)と共働する、
請求項
1記載の溶融紡糸装置。
【請求項4】
前記紡糸位置(1.1~1.7)のそれぞれの紡糸位置には、それぞれ1つの圧縮空気接続部(12.1)を備えた複数の接続ステーション(12)のうちの1つの接続ステーションが、圧縮空気伝達のために対応配置されており、前記圧縮空気接続部(12.1)は、前記オートマチックオペレータ(9)に配置された接続アダプタ(12.3)と共働する、
請求項1から
3までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項5】
前記接続ステーション(12)は、前記圧縮空気接続部(12.1)のそばに、糸屑を収容するための屑接続部(12.2)を有しており、前記接続アダプタ(12.3)は、前記オートマチックオペレータ(9)における圧縮空気管路(13)および屑管路(14)を、前記接続ステーション(12)の前記接続部(12.1,12.2)に接続する、
請求項
4記載の溶融紡糸装置。
【請求項6】
前記オートマチックオペレータ(9)は、搬送手段(9.4)を有していて、該搬送手段(9.4)によって前記オートマチックオペレータ(9)は、前記懸吊する軌道(10.1)に沿って案内されている、
請求項1から
5までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項7】
前記オートマチックオペレータ(9)は、制御可能なロボットアーム(9.1)を有していて、該ロボットアーム(9.1)は、前記懸吊する軌道(10.1)に保持された保持体(9.3)に配置されている、
請求項1から
6までのいずれか1項記載の溶融紡糸装置。
【請求項8】
前記オートマチックオペレータ(9)は、可動のサクションインジェクタ(9.2)を有していて、該サクションインジェクタ(9.2)は、前記ロボットアーム(9.1)によって、前記紡糸位置(1.1~1.7)のうちの1つの紡糸位置の前記ゴデット装置(6)および前記巻取り装置(7)における糸群の仕掛けのために案内可能である、
請求項
7記載の溶融紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の、合成糸を製造するための溶融紡糸装置に関する。
【0002】
合成糸の製造は、多数の紡糸位置を有する溶融紡糸装置によって行われる。このとき紡糸位置は、機械長手方向前面に互いに並んで設置されている。紡糸位置のそれぞれの紡糸位置は、複数の糸を押し出すための複数の紡糸ノズルを備えた紡糸ノズル装置を有している。1つの紡糸位置の糸は、1つの糸群として紡糸ノズルから引き出され、かつプロセスの最後に巻取り装置の複数の巻取り箇所において平行にパッケージに巻き取られる。紡糸位置の巻取り装置はそれぞれ、巻取りタレットに保持された2つの巻取りスピンドルを備えており、これによって紡糸位置において糸を連続的に製造することができる。プロセス開始時またはプロセス中断時にだけ、紡糸位置の糸群を補助装置によって案内し、かつ例えばゴデット装置および巻取り装置に仕掛けることが必要である。このような補助装置は、好ましくはオートマチックオペレータによって形成され、これらのオートマチックオペレータは、機械長手方向前面に沿って可動に案内されていて、かつ糸を仕掛けるために、紡糸位置のうちの1つの紡糸位置に選択的に移動可能である。このような溶融紡糸装置は、例えば欧州特許出願公開第0010772号明細書に開示されている。
【0003】
公知の溶融紡糸装置ではオートマチックオペレータは、走行可能に形成されていて、かつ床レールにおける台車を介して案内されている。床レールは、巻取り装置の端面端部の前において機械長辺側に沿って平行に延びているので、オートマチックオペレータは、紡糸位置のそれぞれの紡糸位置に供給可能である。しかしながらこのとき、満管パッケージを搬出するための補助装置とオートマチックオペレータとは、同じ平面において移動しなくてはならないので、互いの衝突が避けがたいという問題がある。
【0004】
搬送装置とオートマチックオペレータとの間におけるこのような衝突を回避するために、例えば米国特許第5192932号に基づいて公知のオートマチックオペレータは、多数の巻取り装置の上における懸吊軌道において案内されている。このときしかしながら、オートマチックオペレータを高さ調節可能に懸吊軌道に沿って案内することが必要である。しかしながら高低差が比較的大きい場合には、オートマチックオペレータの案内において不所望の弾性が発生し、この弾性によって、安定的な位置決め、ひいては糸の、目的に即した案内が不可能になってしまう。
【0005】
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式の、合成糸を製造するための溶融紡糸装置を改良して、一方では紡糸位置のそれぞれの紡糸位置において、糸の仕掛け時における確定された糸案内が可能であり、かつ他方では製造されたパッケージの後片付けおよび搬送が阻止されない、溶融紡糸装置を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、ガイド装置が、懸吊軌道によって形成されていて、該懸吊軌道に沿ってオートマチックオペレータが案内されており、かつオートマチックオペレータが、紡糸位置においてそれぞれ、制御可能なロック手段によって、懸吊軌道の範囲内において位置固定に保持されていることによって解決される。
【0007】
本発明の好適な発展形態は、従属請求項の特徴および特徴組合せによって定義されている。
【0008】
本発明が有する特別な利点としては、オートマチックオペレータが、紡糸位置のそれぞれの紡糸位置において、紡糸位置の内部における糸群の案内および仕掛けを高い精度で促進する確定された位置をとり、かつ維持するということがある。さらに、紡糸位置からの満管パッケージの搬出を実施するために、ドッフィング通路が巻取り装置に平行に自由なままである。
【0009】
紡糸位置における巻取り装置の設置時に、巻取り装置の所望の目標位置の間において偏差が生じ得るので、本発明の特に好適な発展形態では、ロック手段は、少なくとも1つの制御可能な電磁石によって形成されている。これによって得られる、オートマチックオペレータの磁気によるロックは、位置無関係であり、かつほぼ、オートマチックオペレータが位置決めされるロック領域へと延出することができる。そして例えばゴデット装置および/または巻取り装置の正確な位置を、位置センサによって検出し、かつこれによって目的に即したロックをトリガすることができる。このときオートマチックオペレータは、懸吊軌道においてロックによって定置に固定される。
【0010】
それぞれの紡糸位置において電磁石がロックのために可能な限り高い保持力を生ぜしめることができるようにするために、本発明の好適な発展形態では、電磁石は、オートマチックオペレータに配置されていて、かつ複数の保持位置のうちの1つの保持位置において、それぞれ1つの位置固定の接触箇所と共働するものであり、この場合紡糸位置のそれぞれの紡糸位置に、接触箇所のうちの1つの接触箇所が対応配置されている。このように構成されていると、電磁石がオートマチックオペレータを懸吊軌道において固定する領域が、電磁石に対応配置された接触箇所によって固定されて予め確定されている。しかしながら接触箇所の内部において電磁石は、保持領域において、巻取り装置およびゴデット装置の位置に応じて固定されることができる。
【0011】
しかしながらまた択一的に、紡糸位置に対応配置された複数の位置固定の電磁石が、懸吊軌道に分配配置されており、かつ電磁石が、オートマチックオペレータに形成された1つの接触箇所と共働することも可能である。このとき電磁石の活性化は、オートマチックオペレータの機器制御装置に無線で連結されている制御装置を介して実施される。
【0012】
紡糸位置のうちの1つの紡糸位置において糸群を仕掛けるためには、糸群をオートマチックオペレータによって短時間で収容し、かつ糸屑容器に排出することが必要である。そのために必要な補助装置をオートマチックオペレータにおいて作動させるために、本発明の特に好適な発展形態では、紡糸位置のそれぞれの紡糸位置に、それぞれ1つの圧縮空気接続部を備えた複数の接続ステーションのうちの1つの接続ステーションが、圧縮空気伝達のために対応配置されており、接続ステーションは、オートマチックオペレータに配置された接続アダプタと共働する。このように構成されていると、オートマチックオペレータは、紡糸位置のそれぞれの紡糸位置において圧縮空気供給部に自動的に接続することができる。
【0013】
さらに別の実施形態では、接続ステーションは、圧縮空気接続部のそばに、糸屑を収容するための屑接続部を有しており、このとき接続アダプタは、オートマチックオペレータにおける圧縮空気管路および屑管路を、接続ステーションの接続部に接続する。このように構成されていると、紡糸位置において収容された糸群をそれぞれ、中央の糸屑容器内に案内することができる。これにより中間貯蔵が、かつ小型容器を場合によっては空にすることが、省かれる。
【0014】
オートマチックオペレータを、作動のために該当する紡糸位置に可能な限り迅速にかつ正確に到達させるために、さらに別の実施形態では、オートマチックオペレータは、搬送手段を有していて、該搬送手段によってオートマチックオペレータは、懸吊軌道に沿って案内されている。このように構成されていると、オートマチックオペレータを紡糸位置の間において必要に応じて往復動させることができる。
【0015】
ゴデット装置のゴデットおよび巻取り装置の巻取り箇所における糸の仕掛けおよび挿通を、大きなフレキシビリティをもって実施できるようにするために、オートマチックオペレータは、好ましくは制御可能なロボットアームを備えて構成されていて、該ロボットアームは、懸吊軌道に保持された保持体に配置されている。ロボットアームの自由な可動性によって、仕掛け時における糸群の案内のための極めて高い自由度が得られる。
【0016】
このとき糸群の案内は、好ましくは、可動のサクションインジェクタによって行われ、このサクションインジェクタは、ロボットアームによって、紡糸位置のうちの1つの紡糸位置のゴデット装置および巻取り装置における糸群の仕掛けのために案内可能である。
【0017】
ゆえに本発明に係る溶融紡糸装置は、合成糸の完全に自動化された製造を可能にするために、特に適している。オペレータによる操作の手間は、著しく減じられ、かつほぼコントロール機能によって規定される。
【0018】
次に本発明に係る溶融紡糸装置について、添付の図面を参照しながら1実施形態を用いて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る溶融紡糸装置の複数の紡糸位置を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示された本発明に係る溶融紡糸装置の1つのオートマチックオペレータを概略的に示す正面図である。
【
図3】
図1に示された本発明に係る溶融紡糸装置の紡糸位置のうちの1つの紡糸位置を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図2に示された本発明に係る溶融紡糸装置のオートマチックオペレータを概略的に示す側面図である。
【
図5】糸の仕掛け時における紡糸位置のうちの1つの紡糸位置を概略的に示す側面図である。
【
図6】
図1および
図3に示された溶融紡糸装置の紡糸位置のうちの1つの紡糸位置の接続ステーションを概略的に示す横断面図である。
【0020】
図1および
図3には、複数の紡糸位置を備えた本発明に係る溶融紡糸装置の1実施形態が、正面図および側面図で示されている。図面のうちの1つの図面を特に強調して参照しない限り、以下の記載は両方の図面に対するものである。
【0021】
本発明に係る溶融紡糸装置の実施形態は、複数の紡糸位置1.1~1.7を有しており、これらの紡糸位置1.1~1.7は、列形の配置形態で互いに並んで設置されていて、かつ機械長辺側を形成している。
図1に示された紡糸位置の数は、単に一例である。基本的に、このような溶融紡糸装置は、多数の同じ形式の紡糸位置を有している。
【0022】
図1および
図3に示された紡糸位置1.1~1.7は、その構造において同一に構成されている。
図3において側面図で示された紡糸位置1.1の例において、装置について以下に詳しく記載する。
【0023】
紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置は、紡糸ノズル装置2を有している。紡糸ノズル装置2は、紡糸ビーム2.2を含んでおり、この紡糸ビーム2.2はその下側に複数の紡糸ノズル2.1を保持している。紡糸ノズル2.1は、紡糸ポンプ2.3に連結されていて、この紡糸ポンプ2.3は、好ましくはマルチポンプとして形成されていて、かつそれぞれの紡糸ノズル2.1のために別個の溶融物流を生ぜしめる。紡糸ポンプ2.3は、溶融物供給路2.4を介して、ここでは詳しく示されていない溶融物源に、例えば押出し機に接続されている。
【0024】
紡糸ノズル装置2の下には、冷却装置3が配置されており、この冷却装置3は本実施形態では、ブロー室3.3の内部における冷却ダクト3.1によって形成されている。冷却ダクト3.1には、糸走行方向において落下ダクト3.2が続いている。
【0025】
落下ダクト3.2の下には、捕集装置4が設けられており、この捕集装置4は、紡糸ノズル2.1毎に押し出されたフィラメントを1本の糸にまとめるために、複数の糸ガイド4.1を有している。本実施形態では、紡糸ノズル装置2は4本の糸を製造する。糸の数は一例である。したがってこのような紡糸ノズル装置2は、紡糸位置毎に32本に至るまでの糸を製造することができる。
【0026】
捕集装置4には、糸群8の糸を湿潤する油剤供給装置5が対応配置されている。糸は、糸群8としてゴデット装置6によって引き出され、かつ巻取り装置7に供給される。本実施形態ではゴデット装置6は、2つの駆動されるゴデット6.1によって形成されている。ゴデット6.1の間には、糸群8の糸を別個に交絡させるために、交絡装置6.2が配置されている。
【0027】
巻取り装置7は、糸群8の糸毎にそれぞれ1つの巻取り箇所7.5を有している。全部で4つの巻取り箇所7.5は、巻取りタレット7.2に片持ち式に保持された巻取りスピンドル7.1に沿って延びている。巻取りタレット7.2は、2つの巻取りスピンドル7.1を保持しており、両巻取りスピンドル7.1は、巻取り領域と交換領域とに交互に案内される。
【0028】
巻取り箇所7.5のそれぞれの巻取り箇所には、糸群8を分配しかつ選別するために、複数の変向ローラ7.6のうちのそれぞれ1つの変向ローラが対応配置されており、この変向ローラ7.6は、ゴデット装置6の直ぐ下流に配置されている。糸をパッケージに巻き取りかつ綾振りするために、それぞれの巻取り箇所7.5は綾振りユニット7.3を有している。綾振りユニット7.3は、圧着ローラ7.4と共働し、この圧着ローラ7.4は、巻取りスピンドル7.1に平行に配置されていて、かつ糸の巻取り時にパッケージ15の表面に接触している。
【0029】
図1および
図3において、紡糸位置1.1~1.7はその通常の作動状況で示されており、この作動状況ではそれぞれの紡糸位置1.1~1.7において、複数の糸から成る糸群8が押し出され、引き出され、かつ連続的にパッケージ15に巻き取られる。
【0030】
紡糸位置1.1~1.7をプロセス中断時または新規スタート時に作動させることができるようにするために、オートマチックオペレータ9が設けられている。
図1および
図3においてオートマチックオペレータ9は、待機位置で示されている。オートマチックオペレータ9は、ガイド装置10に保持されている。ガイド装置10は、本実施形態では懸吊軌道10.1によって形成されており、この懸吊軌道10.1は、紡糸位置の機械長辺側に平行に延びているので、オートマチックオペレータ9は、紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置への移動が可能である。オートマチックオペレータ9について説明するために、以下においては追加的に
図2および
図4を参照する。
図2にはオートマチックオペレータ9の正面図が、
図1に示された紡糸装置におけるように、拡大して示されており、かつ
図4にはオートマチックオペレータの側面図が、
図3に示されたように、拡大して示されている。図面のうちの1つの図面を特に強調して参照しない限り、以下の記載はすべての図面に対するものである。
【0031】
オートマチックオペレータ9は、保持体9.3を有しており、この保持体9.3は、一方の端部で懸吊軌道10.1に保持されている。そのために保持体9.3には、搬送手段9.4が対応配置されており、この搬送手段9.4は、車台9.5と駆動モータ9.6とから形成されている。車台9.5によってオートマチックオペレータ9は、懸吊軌道10.1において案内されている。そのために懸吊軌道10.1は、2つのガイドレール10.2,10.3を有している。
【0032】
ガイドレール10.2の下には、オートマチックオペレータ9をガイド装置10に固定するために、ロック手段11が設けられている。本実施形態ではロック手段11は、制御可能な電磁石11.2を有している。電磁石11.2は、ホルダ11.3に配置されている。ホルダ11.3は、オートマチックオペレータ9の保持体9.3に不動に配置されている。電磁石11.2は、制御導線を介してオートマチックオペレータ9の機器制御ユニット9.7に接続されている。
【0033】
図示の状況において電磁石11.2は、活性化させられており、かつガイド装置10における接触箇所11.1に連結されている。そのために接触箇所11.1は、懸吊軌道10.1のガイドレール10.2の直ぐ下に配置されている。これによってオートマチックオペレータ9は、溶融紡糸装置の待機位置においてガイド装置10にロックされて保持されている。
【0034】
保持体9.3の反対側に位置している端部には、ロボットアーム9.1が保持されている。ロボットアーム9.1は、片持ち式のガイド端部を有しており、このガイド端部においてサクションインジェクタ9.2が案内されている。片持ち式のロボットアーム9.1は、ここでは詳しく示されていないアクチュエータおよびセンサによって自由に可動であり、このときロボットアーム9.1の運動行程は、機器制御ユニット9.7によって制御される。オートマチックオペレータ9へのエネルギ供給は、例えばエネルギチェーンによって行われる。
【0035】
サクションインジェクタ9.2を作動させるために、オートマチックオペレータ9は、紡糸位置のそれぞれの紡糸位置において接続ステーション12と共働する。
図4には、紡糸位置1.1の接続ステーション12が示されている。接続ステーション12について説明するために、追加的に
図6が参照され、この
図6には、オートマチックオペレータ9が接続アダプタ12.3を介して接続ステーション12に接続されている状態が示されている。
【0036】
図4および
図6から分かるように、接続アダプタ12.3は、オートマチックオペレータ9の保持体9.3に配置されている。接続アダプタ12.3は、アクチュエータ12.4に連結されており、このアクチュエータ12.4は、接続アダプタ12.3を、接続ステーション12のうちの1つの接続ステーションに連結するために往復動させる。
図4に示された状況では、オートマチックオペレータ9は、待機位置に保持されていて、かつこれによって接続ステーション12との結合部は存在していない。
図6に示された状況では、接続アダプタ12.3は、接続ステーション12に連結されている。そのために接続ステーション12は、中央の圧縮空気管路17を介してここでは図示されていない圧縮空気源に接続されている圧縮空気接続部12.1と、中央の屑管路16を介して中央の屑容器に接続されている屑接続部12.2とを有している。接続アダプタ12.3は、オートマチックオペレータに配置された圧縮空気管路13が圧縮空気接続部12.1に、かつ屑管路14が屑接続部12.2に、例えば例えば差込み連結部によって接続されるように、接続ステーション12に連結される。圧縮空気管路13および屑管路14は、サクションインジェクタ9.2に連結されているので、サクションインジェクタ9.2は糸群を収容するための準備状態にある。
【0037】
図4に示された状況では、接続アダプタ12.3は、引き込められた待機位置にある。
【0038】
図1における図面から分かるように、紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置は、複数の接続ステーション12のうちのそれぞれ1つの接続ステーションを有している。したがって、オートマチックオペレータ9が紡糸位置1.1~1.7のそれぞれの紡糸位置において接続アダプタ12.3を介して接続ステーション12のうちのそれぞれ1つの接続ステーションに自動的に接続するということが可能である。
【0039】
図1における図面から分かるように、ガイド装置10には、オートマチックオペレータ9をロックするための複数の接触箇所11.1が設けられている。接触箇所11.1は、紡糸位置1.1~1.7に対応配置されているので、オートマチックオペレータ9に保持された電磁石11.2を、接触箇所11.1に選択的に接続することができる。
【0040】
紡糸位置1.1~1.7のうちの1つの紡糸位置において、糸を仕掛けるための作動が必要な場合のために、オートマチックオペレータ9は、それぞれの紡糸位置の待機位置から保持位置に案内される。このとき該当する紡糸位置1.1~1.7が、オートマチックオペレータ9によって始動させられる。ここには詳しく示されていないセンサを用いた位置決めの後で、機器制御ユニット9.7を介して電磁石11.2は、該当する接触箇所11.1において、オートマチックオペレータ9のロックのために活性化(磁化)される。次いでアクチュエータ12.4が、機器制御ユニット9.7によって活性化され、これによって接続アダプタ12.3は、該当する紡糸位置の該当する接続ステーション12に連結される。いまやオートマチックオペレータ9は、紡糸位置において糸群8を引き受けるための準備状態にある。
【0041】
図5に示された状況では、糸群8は、紡糸位置1.1においてオートマチックオペレータ9によって案内されている。このとき糸群8は、サクションインジェクタ9.2を介して収容されていて、かつ屑管路14を介して中央の屑容器に排出される。サクションインジェクタ9.2は、ロボットアーム9.1によって、ゴデット装置6および巻取り装置7への糸群8の糸の仕掛けおよび挿通のために案内される。糸群が巻取り装置7に引き渡された後で、オートマチックオペレータ9は、機器制御ユニット9.7によって遮断され、かつ保持位置から待機位置に戻される。
【0042】
本発明に係る溶融紡糸装置の、
図1~
図5に示された実施形態は、オートマチックオペレータ9の構成および溶融紡糸装置の構成において、一例である。例えば紡糸位置内における糸の取扱いのために、別の装置が必要になることもある。同様にゴデット装置は、糸を延伸するために複数のゴデットを有することができる。
【0043】
特に、例えば圧縮空気の接続状態を圧縮空気測定によって検査するために、オートマチックオペレータは追加的なコントロール装置を有していてよい。さらにオートマチックオペレータは、択一的にまた床レールに沿って床用車両として案内されてもよい。