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  • 特許-処理装置、無線装置および基地局装置 図1
  • 特許-処理装置、無線装置および基地局装置 図2
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  • 特許-処理装置、無線装置および基地局装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】処理装置、無線装置および基地局装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2575 20130101AFI20230124BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20230124BHJP
【FI】
H04B10/2575 120
H04W88/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020044570
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145316
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-02-02
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、総務省、「電波資源拡大のための研究開発 IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発(技術課題カ「光ファイバ無線技術によるモバイルフロントホールの大容量化・高効率化技術」)」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100208605
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 龍一
(72)【発明者】
【氏名】石村 昇太
(72)【発明者】
【氏名】田中 和樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139573(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013278(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0041068(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0028610(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04B 10/2575
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RoF伝送システムに適用される処理装置であって、
第1周波数の第1連続光と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2連続光を生成する信号生成部と、
前記信号生成部により生成された前記第1連続光および前記第2連続光を分波する分波部と、
前記分波部により分波された前記第1連続光に下り無線信号を重畳し変調光とする変調部と、
前記分波部により分波された前記第2連続光および前記変調部により変調された変調光を合波した光信号を出力する合波部と、
前記変調部の半波長電圧Vπを取得し、上り方向の通信時、前記変調部に前記半波長電圧Vπに基づく電圧の付加を指示する制御部と、を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記変調部は、下り方向の通信時、ヌルバイアスで駆動されることを特徴とする請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、スケジューラーの情報を取得し、前記スケジューラーの情報に基づいて上り方向の通信時か下り方向の通信時かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
RoF伝送システムに適用されるに適用される無線装置であって、
下り方向の通信時、第1周波数の第1連続光を変調した変調光と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2連続光と、を含む第1光信号を受信し、上り方向の通信時、前記第1連続光に基づいて生成された第3周波数の第3連続光と、前記第2連続光と、を含む第2光信号を受信し、前記受信した第1および第2光信号を光電変換する光電変換部と、
前記下り方向の通信時、前記光電変換部が出力した、前記変調光と前記第2連続光とのビートにより得られる第1変調信号を第1無線信号に変換してユーザ装置に送信し、前記上り方向の通信時、前記ユーザ装置から第2無線信号を受信するアンテナ部と、
前記上り方向の通信時、前記アンテナ部が受信した前記第2無線信号を、前記光電変換部が出力した、前記第3連続光と前記第2連続光とのビートにより得られる信号により周波数変換する周波数変換部と、
前記周波数変換部による周波数変換後の前記第2無線信号を第4連続光に変調し、第4連続光を含む第3光信号を出力する光変調部と、を備えることを特徴とする無線装置。
【請求項5】
RoF伝送システムに適用されるに適用される基地局装置であって、
請求項1から3の何れか一項に記載の処理装置と、
請求項4に記載の無線装置と、を備えることを特徴とする基地局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レディオ・オーバ・ファイバ(RoF)方式を使用する伝送システムに適用される処理装置、無線装置、および基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、第5世代の移動通信ネットワークでは、広帯域(高速)通信のため、ミリ波の様な高周波数を利用する。この様な高周波数の無線信号の伝搬距離は短いため、高周波数を利用する基地局装置については高い密度で配置する必要がある。このため、図1に示す様に、基地局装置を無線信号の送受信を行う無線装置(子装置)と、ベースバンド信号の処理や、ベースバンド信号と無線周波数信号との間の周波数変換処理を行う処理装置(親装置)と、に分割する構成が検討されている。多くの処理を行う処理装置については、ある拠点に集中して配置し、多数の無線装置を高い密度で配置することで、効率よく高周波数を利用できる領域を増加させることができる。図1に示す構成において、処理装置と無線装置との間の通信には、所謂、レディオ・オーバ・ファイバ(RoF)方式が適用される。具体的には、処理装置は、ベースバンド信号を無線周波数信号に変換し、連続光を当該無線周波数信号で変調した光変調信号を無線装置に送信する。無線装置は、処理装置から受信する光変調信号を光電変換して無線周波数信号を取り出し、増幅やフィルタリング等の必要な処理を行った後、下り信号の無線信号としてアンテナから送信する。
【0003】
一方、無線装置は、ユーザ装置から受信する無線信号に基づき連続光を変調して処理装置に送信する。ここで、ユーザ装置から受信する無線信号が、高周波数、例えば、60GHzであると、無線装置は、60GHzの電気信号で連続光を変調する必要がある。この様な、高周波数の電気信号で連続光を変調するための構成は非常に複雑であり、密度高く配置する必要がある無線装置にその様な構成を適用すると通信ネットワークのコストが高くなってしまう。このため、上り方向においては、ユーザ装置から受信する無線信号を、より低い周波数、例えば、1GHzにダウンコンバートし、ダウンコンバート後の信号(以下、IF信号と呼ぶ)により連続光を変調する構成とすることが考えられる。しかしながら、周波数変換のための信号を生成する局所発振器を各無線装置に設けると、無線装置のコストアップになる。
【0004】
ここで、特許文献1は、アンテナ局(子局)において周波数変換に使用する周波数変換用信号を制御局(親局)が生成してアンテナ局に送信する構成を開示している。また、特許文献2は、子局のPLLが使用する基準信号を親局が生成して、子局に送信する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-53688号公報
【文献】特開2009-94572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の構成は、子局が使用する周波数変換信号や基準信号を通信用の信号とは別個に伝送するものである。したがって、特許文献1及び2の構成を、処理装置と無線装置とで構成される基地局装置に適用すると、周波数変換信号や基準信号を処理装置と無線装置との間で伝送するための個別の設備が必要となり、コストアップになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コストを増加させることなく、無線装置で周波数変換を行える処理装置、無線装置、および基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の一態様の処理装置は、RoF伝送システムに適用される処理装置であって、第1周波数の第1連続光と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2連続光を生成する信号生成部と、前記信号生成部により生成された前記第1連続光および前記第2連続光を分波する分波部と、前記分波部により分波された前記第1連続光に下り無線信号を重畳し変調光とする変調部と、前記分波部により分波された前記第2連続光および前記変調部により変調された変調光を合波した光信号を出力する合波部と、前記変調部の半波長電圧Vπを取得し、上り方向の通信時、前記変調部に前記半波長電圧Vπに基づく電圧の付加を指示する制御部と、を備える。
【0009】
これにより、上り方向の通信時にもツートーン信号を無線装置に送信することができ、無線装置で送信されたツートーン信号に基づいて上り方向の周波数変換を行なうことができるため、周波数変換信号や基準信号を処理装置と無線装置との間で伝送するための個別の設備が不要となる。
【0010】
(2)また、本発明の一態様の処理装置において、前記変調部は、下り方向の通信時、ヌルバイアスで駆動される。
【0011】
これにより、もとの光信号のキャリア成分を抑圧できる。
【0012】
(3)また、本発明の一態様の処理装置において、前記制御部は、スケジューラーの情報を取得し、前記スケジューラーの情報に基づいて上り方向の通信時か下り方向の通信時かを判断する。
【0013】
このように、通常のスケジューリングで使用する情報に基づいて上り方向の通信時か下り方向の通信時かを判断することで、処理装置の構成が簡易になり、その判断を容易に行なうことができる。
【0014】
(4)また、本発明の一態様の無線装置は、RoF伝送システムに適用される無線装置であって、下り方向の通信時、第1周波数の第1連続光を変調した変調光と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2連続光と、を含む第1光信号を受信し、上り方向の通信時、前記第1連続光に基づいて生成された第3周波数の第3連続光と、前記第2連続光と、を含む第2光信号を受信し、前記受信した第1および第2光信号を光電変換する光電変換部と、前記下り方向の通信時、前記光電変換部が出力した、前記変調光と前記第2連続光とのビートにより得られる第1変調信号を第1無線信号に変換してユーザ装置に送信し、前記上り方向の通信時、前記ユーザ装置から第2無線信号を受信するアンテナ部と、前記上り方向の通信時、前記アンテナ部が受信した前記第2無線信号を、前記光電変換部が出力した、前記第3連続光と前記第2連続光とのビートにより得られる信号により周波数変換する周波数変換部と、前記周波数変換部による周波数変換後の前記第2無線信号を第4連続光に変調し、第4連続光を含む第3光信号を出力する光変調部と、を備える。
【0015】
これにより、下り方向の通信時には処理装置から送信された下り無線信号をツートーン信号に基づいてRF信号としてアンテナから送信でき、上り方向の通信時にはアンテナで受信した上り無線信号を処理装置から送信されたツートーン信号に基づいてIF信号として処理装置に送信できる。そのため、周波数変換信号や基準信号を処理装置と無線装置との間で伝送するための個別の設備が不要となる。
【0016】
(5)また、本発明の一態様の基地局装置は、RoF伝送システムに適用されるに適用される基地局装置であって、上記(1)から(3)の何れかに記載の処理装置と、(4)に記載の無線装置と、を備える。
【0017】
これにより、上り方向の通信時にもツートーン信号をRoF伝送システムの無線装置に送信することができ、無線装置で上り方向の周波数変換を送信されたツートーン信号に基づいて行なうことができるため、周波数変換信号や基準信号を処理装置と無線装置との間で伝送するための個別の設備が不要となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コストを増加させることなく、無線装置で周波数変換を行える処理装置、無線装置、および基地局装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態による基地局装置の構成図である。
図2】一実施形態による処理装置および無線装置が出力する各信号を示す概念図である。
図3】一実施形態による処理装置の送信側の構成図である。
図4】IQ変調器に付加する電圧と光の振幅との関係を示す概念図である。
図5】一実施形態による無線装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、本発明は、時分割複信(TDD)でユーザ装置と通信し、上述した処理装置と無線装置とにより構成される基地局装置に適用される。なお、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。具体的には、例えば、実施形態の説明に必要ではないフィルタや増幅器等については図から省略する。
【0021】
以下の実施形態において、処理装置から無線装置への方向を下り方向、無線装置から処理装置への方向を上り方向とする。
【0022】
[実施形態]
(基地局装置の構成)
図1は、本実施形態による基地局装置の構成図である。本実施形態の基地局装置は、処理装置と無線装置を備える。処理装置および無線装置の詳細は後述する。
【0023】
(処理装置および無線装置の出力)
図2は、処理装置および無線装置が出力する各信号を示す概念図である。処理装置は、下り方向の通信時、図2(A)に示すように、周波数f1の連続光および下り無線信号として送信する信号に基づいて位相変調又はQAM変調した変調光と、周波数f2の連続光と、を合波した光信号(第1光信号)を無線装置に送信する。図2(A)に示すように、変調光は、周波数f1を中心とし、シンボル速度に応じた帯域幅となる。一方、上り方向の通信時、処理装置は、図2(B)に示す様に、周波数f3の連続光及び周波数f2の連続光(第2光信号)を無線装置に送信する。
【0024】
また、無線装置は、下り方向の通信時、図2(C)に示すように、周波数f4(=f2-f1)の下り無線信号をアンテナから出力する。一方、上り方向の通信時、無線装置は、図1(D)に示す周波数f5(=f2-f3)の信号で変調された、上り無線信号を処理装置に出力する。
【0025】
(処理装置の構成)
図3は、本実施形態の処理装置の送信側の構成図である。本実施形態の処理装置10は、信号生成部11と、分波部12と、変調部13と、合波部14と、制御部15と、を備える。なお、これは無線装置20への送信側のみの構成であり無線装置20からの受信側は図示していないが、受信側は、光電変換部、帯域通過フィルタ(BPF)等を備える。
【0026】
信号生成部11は、周波数f1(第1周波数)の連続光(第1連続光)と、周波数f1とは異なる周波数f2(第2周波数)の連続光(第2連続光)を生成する。すなわち、信号生成部11は、いわゆるツートーン信号を生成し出力する。
【0027】
分波部12は、信号生成部11により生成された第1連続光および第2連続光を分波する。分波部12は、例えば、WDM分波器により構成することができる。分波部12は、第1連続光を変調部13に、第2連続光を合波部14に出力する。
【0028】
変調部13は、下り信号の通信時に、分波部12により分波された第1連続光に下り無線信号を重畳しIQ変調することで変調光とする。変調部13は、IQ変調器16、バイアスT17、バイアス制御回路18等により構成することができる。
【0029】
変調部13が、IQ変調器16、バイアスT17、およびバイアス制御回路18等により構成される場合、第1連続光への下り無線信号の重畳は、バイアスT17により行なうことができ、下り無線信号のIQ成分によってIQ変調器16が駆動される。このとき、IQ変調器16は、バイアス制御回路18によりヌルバイアスで駆動されることが好ましい。
【0030】
合波部14は、分波部12により分波された第2連続光および変調部13により変調された変調光を合波した光信号(第1光信号)を無線装置20に出力する。
【0031】
制御部15は、変調部13の半波長電圧Vπを取得する。また、制御部15は、TDDの上り信号が送られている時間帯(上り方向の通信時)なのか、下り信号が送られている時間帯(下り方向の通信時)なのかを判断する。そして、制御部15が下り方向の通信時であると判断した場合、下り無線信号のIQ成分によってIQ変調器16が駆動される。一方、制御部15が上り方向の通信時であると判断した場合、変調部13に半波長電圧Vπに基づく電圧の付加を指示する。
【0032】
変調部13が、IQ変調器16、バイアスT17、およびバイアス制御回路18等により構成されるとすると、下り方向の通信時は、第1連続光に下り無線信号が重畳されるため、変調部13の出力はある広がりを持った変調光となる。
【0033】
一方、上り信号送信時は、第1連続光に下り無線信号が重畳されないため、変調部13の出力は第1連続光に基づくトーン信号となり、その強度はバイアスT17によって付加される電圧によって変化する。図4は、IQ変調器16に付加する電圧と光の振幅との関係を示す概念図である。図4に示されるように、IQ変調器16がバイアス制御回路18によってヌルバイアスで駆動され、下り無線信号が重畳されない場合、分波部12から入力された第1連続光に基づくトーン信号は出力されず、合波部14の出力する光信号はツートーン信号にはならない。そうすると、処理装置10から送信される下り信号を無線装置20で上り信号の周波数変換に再利用することができなくなるので、周波数変換信号や基準信号を処理装置10と無線装置20との間で伝送するための個別の設備が必要となる。
【0034】
このようなことを回避するため、制御部15は、上り方向の通信時、変調部13に半波長電圧Vπに基づく直流電圧の付加を指示する。この指示を受け、バイアスT17は、IQ変調器16に半波長電圧Vπに基づく直流電圧を付加する。その結果、IQ変調器16から第1連続光に基づいて生成された第3連続光(トーン信号)が出力される。また、基準に対してマイナスの電圧を付加してもよい。なお、半波長電圧Vπとは、ヌルバイアスから電圧を増加させていき、最初にフルバイアスとなった際の電圧印加量である。半波長電圧Vπに基づく電圧は、半波長電圧Vπそのものでなくてもよい。半波長電圧Vπに基づく電圧が付加されたとき、IQ変調器はフルバイアスで駆動されることが好ましい。
【0035】
制御部15は、MACプロトコルのスケジューラーの情報を取得し、スケジューラーの情報に基づいて上り方向の通信時か下り方向の通信時かを判断することが好ましい。このように、通常のスケジューリングで使用する情報に基づいて上り方向の通信時間か下り方向の通信時間かを判断することで、処理装置10の構成が簡易になり、その判断を容易に行なうことができる。
【0036】
(無線装置の構成)
上記のように、本実施形態において、処理装置10は、下り方向の通信時、図2(A)に示す様に、周波数f1の連続光を、下り無線信号として送信する信号で位相変調又はQAM変調した変調光と、周波数f2の連続光と、を含む光信号(第1光信号)を無線装置20に送信する。一方、上り方向の通信時、処理装置10は、図2(B)に示す様に、周波数f3の連続光と周波数f2の連続光とを含む光信号(第2光信号)を無線装置20に送信する。
【0037】
図4は、本実施形態による無線装置の構成図である。なお、図4において、矢印の上側及び右側の周波数は、下り方向の通信時における信号の周波数を示し、矢印の下側及び左側の周波数は、上り方向の通信時における信号の周波数を示している。
【0038】
まず、下り方向の通信時について説明する。光電変換部21は、処理装置10から受信する光信号(第1光信号)を光電変換して電気信号を帯域通過フィルタ(BPF)22に出力する。BPF22は、周波数f4付近に通過帯域を有する。光電変換部21は、図2(A)に示す2つの光信号の周波数差を中心とする電気信号(ビート信号)を出力する。具体的には、変調光(中心周波数f1)と連続光(周波数f2)のビート信号として、光電変換部21は、周波数f4(=f2-f1)の電気信号(変調信号)を出力する。
【0039】
下り方向の通信時、切替部23は、入力される信号を切替部25のみに出力する。下り方向の通信時、切替部25は、周波数f4の変調信号をアンテナ29のみに出力する。したがって、アンテナ29からは周波数f4の無線信号(第1無線信号)が送信される。
【0040】
続いて、上り方向の通信時について説明する。ユーザ装置が送信する周波数f4の無線信号(第2無線信号)はアンテナ29により周波数f4の変調信号に変換され切替部25に出力される。上り方向の通信時、切替部25は、周波数f4の変調信号を周波数変換部26のみに出力する。一方、上り方向の通信時、光電変換部21は、処理装置10から受信する光信号(第2光信号)を光電変換して、周波数f5(=f2-f3)の電気信号(正弦波信号)のみを出力する。この周波数f5の正弦波信号は、BPF22を介して切替部23に入力される。上り方向の通信時、切替部23は、入力される信号を周波数変換部26のみに出力する。周波数変換部26は、切替部25から入力される周波数f4の変調信号を、切替部23から入力される周波数f5の正弦波信号でダウンコンバートし、周波数f6(=f4-f5)の変調信号を出力する。BPF27は、周波数f4-f5を含む帯域を通過させるフィルタであり、光変調部28は、周波数f4-f5の変調信号で連続光を変調して処理装置10に送信する。
【0041】
なお、本実施形態では、切替部23に代えてスプリッタまたはフィルタを使用することができる。また、切替部25に代えてサーキュレータを使用することができる。
【0042】
以上説明したように、処理装置10は、下り方向の通信に、いわゆるツートーン方式を使用する。つまり、下り信号送信時、無線周波数信号で連続光(周波数f1)を変調した変調光と、周波数f2の連続光を無線装置20に送信し、無線装置20では、変調光と連続光との周波数差に対応する無線周波数信号を生成し、この無線周波数信号を無線信号として送信する。
【0043】
一方、下り信号生成にIQ変調器を用いる場合、通常であれば、上り方向の通信時には処理装置は無線装置に向けてツートーン信号を送信できない。しかし、本発明の処理装置10は、IQ変調器16をフルバイアスで駆動させることにより、周波数f3および周波数f2の連続光が送信できる。無線装置20では、この2つの連続光を光電変換することで周波数f5=f2-f3の正弦波信号を生成し、これにより、ユーザ装置から受信した無線周波数の変調信号をダウンコンバートする。この構成により、無線装置20に局所発振器を設けたり、ダウコンバートするための信号を処理装置10と無線装置20との間で伝送するための追加の設備を設けたりすることなく、無線装置20においてユーザ装置から受信する無線周波数帯域の変調信号の周波数変換を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
10 処理装置
11 信号生成部
12 分波部
13 変調部
14 合波部
15 制御部
16 IQ変調器
17 バイアスT
18 バイアス制御回路
20 無線装置
21 光電変換部
22、27 BPF
23、25 切替部
26 周波数変換部
28 光変調部
29 アンテナ
100 基地局装置
図1
図2
図3
図4
図5