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特許7216042光ファイバの屈折率分布の測定装置及び当該測定装置の処理装置
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  • 特許-光ファイバの屈折率分布の測定装置及び当該測定装置の処理装置 図1
  • 特許-光ファイバの屈折率分布の測定装置及び当該測定装置の処理装置 図2
  • 特許-光ファイバの屈折率分布の測定装置及び当該測定装置の処理装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】光ファイバの屈折率分布の測定装置及び当該測定装置の処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20230124BHJP
   G01J 9/00 20060101ALI20230124BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G01M11/00 G
G01J9/00
G01N21/41 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020057900
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156761
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】若山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エルソン
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-309227(JP,A)
【文献】特開昭63-165726(JP,A)
【文献】特開2015-169873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109827927(CN,A)
【文献】DE DORLODOT, B. et al.,Comparative study of quantitative phase imaging techniques for refractometry of optical fibers ,Proceedings of SPIE,2018年,Vol.10535,pp.1053516-1~1053516-8,doi:10.1117/12.2290324
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01M 11/00 - G01M 11/08
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有し、複数の撮像方向それぞれについて、マルチコア光ファイバの側面の強度画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した強度画像を処理する処理手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記複数の撮像方向それぞれについて、前記マルチコア光ファイバを透過した光の撮像位置における位相が互いに異なる2つの強度画像を撮像し、
前記処理手段は、
前記複数の撮像方向の各撮像方向から撮像した前記2つの強度画像に基づき各撮像方向の位相画像を生成する生成手段と、
各撮像方向の前記位相画像のアーベル逆変換を行うことにより、各撮像方向の前記位相画像において前記マルチコア光ファイバの長手方向とは直交する直交方向における前記マルチコア光ファイバの屈折率分布を求める逆変換手段と、
各撮像方向について求めた前記マルチコア光ファイバの屈折率分布に基づき前記マルチコア光ファイバのマーカの位置を判定する判定手段と、
を備えていることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記逆変換手段は、前記位相画像の画素値に基づき前記直交方向に沿った値列を求め、当該値列のアーベル逆変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記逆変換手段は、前記位相画像に含まれる前記直交方向に沿った複数の画素列の内の1つの画素列の画素値列を、前記直交方向に沿った値列とすることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記逆変換手段は、前記位相画像の前記直交方向における位置が同じ画素の画素値を平均化することで、前記直交方向に沿った値列を求めることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記逆変換手段は、前記直交方向に沿った前記値列を、前記マルチコア光ファイバの前記直交方向の中心位置で第1の値列と第2の値列とに分割し、前記第1の値列と前記第2の値列に対して個別にアーベル逆変換を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、
前記撮像素子と、
前記撮像素子と前記マルチコア光ファイバの間に配置され、前記マルチコア光ファイバを透過した光を前記撮像素子に入射させる光学部材と、
を備え、
前記光学部材の位置を異ならせることで、前記撮像手段は、前記マルチコア光ファイバを透過した光の撮像位置における位相が異なる2つの強度画像を撮像することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記2つの強度画像における前記マルチコア光ファイバのレンズ効果の影響を補正する補正手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記補正手段による補正後の前記2つの強度画像に基づき前記位相画像を生成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記生成手段は、位相勾配法により前記2つの強度画像から前記位相画像を生成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記複数の撮像方向は、第1撮像方向と、前記第1撮像方向に対する角度が90度である第2撮像方向と、を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
複数の撮像方向から撮像されたマルチコア光ファイバの側面の強度画像を処理する処理装置であって、
前記処理装置は、
前記複数の撮像方向の各撮像方向から撮像された、撮像方向に対応する2つの強度画像であって、前記マルチコア光ファイバを透過した光の撮像位置における位相が互いに異なる前記2つの強度画像に基づき各撮像方向の位相画像を生成する生成手段と、
各撮像方向の前記位相画像のアーベル逆変換を行うことにより、各撮像方向の前記位相画像において前記マルチコア光ファイバの長手方向とは直交する直交方向における前記マルチコア光ファイバの屈折率分布を求める逆変換手段と、
各撮像方向について求めた前記マルチコア光ファイバの屈折率分布に基づき前記マルチコア光ファイバのマーカの位置を判定する判定手段と、
を備えていることを特徴とする処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の処理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの屈折率分布の測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送容量を増加させるため、クラッド内に複数のコアを設けたマルチコア光ファイバ(MCF)の利用が検討されている。ここで、MCFの融着接続においては、断面調心に加えて回転調心が必要となる。断面調心とは、融着対象の2つの光ファイバの長手方向に垂直な断面の位置を合わせる処理である。シングルコア光ファイバ(SCF)の融着接続の場合、断面調心を行えば2つのSCFのコアの位置も合うため、SCFの融着接続器は断面調心が可能な様に、つまり、融着対象のSCFの長手方向とは直交する2つの方向(X方向及びY方向)におけるSCFの位置を調整可能な様に構成される。一方、回転調心とは、融着対象の2つのMCFの回転位相を合わせる処理である。MCFは複数のコアを有するため、融着対象の2つのMCFの対応するコアを接続するためには、2つのMCFの断面の位置を合わせるのみでは不十分であり、2つのMCFの回転位相を合わせる必要がある。このため、MCFの融着接続器は断面調心に加えて回転調心が可能な様に、つまり、MCFの回転位相を調整可能な様に構成される。
【0003】
特許文献1は、MCFの調心方法を開示している。特許文献1によると、MCFの側面の強度画像を取得し、強度画像の輝度と基準強度画像の輝度との相関係数を算出する。そして、相関係数がピークとなる様にMCFを周方向に回転させることで、MCFの回転位相が基準強度画像を撮像した際と同じとなる様に調整している。しかしながら、MCFの周方向における周期構造により、MCFを周方向に回転させた際、基準強度画像との相関係数のピークは1つにならず、複数のピークが観測され得る。したがって、特許文献1の構成では、回転調心の精度を高くすることはできない。特許文献2は、MCFの回転位相を判定するためにMCF内に設けられ、コアやクラッドとは屈折率の異なるマーカを利用して回転調心を行うことを開示している。しかしながら、マーカによるMCFの強度画像の差異は大きくないため、相関係数の複数のピークの差は大きくならず、回転調心の精度を高くすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/130627号
【文献】米国特許第9541707号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】A.D.Yablon,“Multi-Wavelength Optical Fiber Refractive Index Profiling by Spatially Resolved Fourier Transform Spectroscopy”,in Journal of Lightwave Technology,vol.28,no.4,pp.360-364,2010年2月15日
【文献】A.Barty,et al,“Quantitative phase tomography”,in Journal of Optics Communications,vol.175,pp.329-336,2000年3月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した様に、MCFにはクラッド内に複数のコアが設けられ、さらに、MCFの回転位相を判定するためのマーカが設けられる。マーカの屈折率は、クラッド及びコアの屈折率とは異なるため、MCFの屈折率分布を精度良く測定してマーカの位置を判定することができれば、精度良く調心を行うことができる。
【0007】
ここで、非特許文献1は、光ファイバの屈折率分布を精密に測定する技術を提案しているが、高精度な光干渉計を必要とし、コストが高くなる。非特許文献2は、光干渉計を使用せずにMCFの屈折率分布を測定する方法を開示しているがマッチングオイルを必要とする。
【0008】
本発明は、簡易な構成で光ファイバの屈折率分布を精度良く測定する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、測定装置は、撮像素子を有し、複数の撮像方向それぞれについて、マルチコア光ファイバの側面の強度画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した強度画像を処理する処理手段と、を備え、前記撮像手段は、前記複数の撮像方向それぞれについて、前記マルチコア光ファイバを透過した光の撮像位置における位相が互いに異なる2つの強度画像を撮像し、前記処理手段は、前記複数の撮像方向の各撮像方向から撮像した前記2つの強度画像に基づき各撮像方向の位相画像を生成する生成手段と、各撮像方向の前記位相画像のアーベル逆変換を行うことにより、各撮像方向の前記位相画像において前記マルチコア光ファイバの長手方向とは直交する直交方向における前記マルチコア光ファイバの屈折率分布を求める逆変換手段と、各撮像方向について求めた前記マルチコア光ファイバの屈折率分布に基づき前記マルチコア光ファイバのマーカの位置を判定する判定手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、簡易な構成で光ファイバの屈折率分布を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による測定装置の構成図。
図2】一実施形態による処理装置の構成図。
図3】測定される屈折率分布の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態による測定装置の構成図である。測定装置は、光ファイバ5の屈折率分布を測定する。本実施形態では、光ファイバ5の長手方向をZ方向とし、Z方向に直交し、かつ、互いに直交する2つの方向を、図1に示す様にX方向及びY方向(図1のX軸及びY軸の方向)とする。なお、以下の説明においては、X=0及びY=0が、光ファイバ5の断面の中心となるものとする。光ファイバ5は、クラッド内に複数のコア(図1の網掛領域)と、マーカ(図1の黒丸)と、を有する。
【0014】
図1に示す様にX軸(Y=0)上には、光源11と、レンズ13と、撮像素子を有する撮像部12が配置される。なお、光源11は、光ファイバ5に対して、レンズ13及び撮像部12とは逆側に配置される。また、レンズ13は、撮像部12と光ファイバ5との間に配置される。なお、図1においては、レンズ13と撮像部12とを異なるコンポーネントとしているが、レンズ13及び撮像部12は、所謂、カメラとすることができる。図1に示す様に、レンズ13はX方向に移動可能に構成される。光源11は、光ファイバ5に向けて平行光を射出する。つまり、光ファイバ5は、X方向の平行光を射出する。光ファイバ5を透過した光は、レンズ13を介して撮像部12に入射する。
【0015】
例えば、図1に示す様に、光源11に平行光を射出させながら、X軸上の2つの異なる位置にレンズ13を配置して撮像部12により強度画像を取得する。この強度画像は、光源11が射出し、光ファイバ5を透過した後に撮像部12の撮像素子に入射した光のYZ平面における各位置での強度、つまり、輝度を示す画像である。但し、レンズ13のX方向における位置を変えるため、2つの強度画像を撮像する際に撮像素子に入射した光の位相は異なる。つまり、2つの強度画像は、光ファイバを透過した光の撮像位置における位相が互いに異なる状態で撮像されたものである。以下では、レンズ13を図1の実線で示す位置に配置して撮像した画像を強度画像XAと表記し、X軸方向においてレンズ13を図1の実線で示す位置からΔXだけ離した位置(点線で示す位置)に配置して撮像した画像を強度画像XBと表記する。撮像部12は、強度画像XA及びXBの画像データを処理装置4に出力する。
【0016】
図2は、処理装置4の機能ブロック図である。補正部41は、入力される強度画像XA及びXBの補正を行う。光ファイバ5は、光源11から撮像部12までの光路上においてレンズとして機能する(レンズ効果)。補正部41は、光ファイバ5のレンズ効果による強度画像XA及びXBへの影響を抑えるものである。具体的には、光ファイバ5のサイズやクラッドの屈折率に基づき強度画像XA及びXBを補正して、光ファイバ5のレンズ効果を抑えた強度画像XC及びXDを位相画像生成部42に出力する。位相画像生成部42は、強度画像XC及びXDと、ΔXとに基づき、例えば、位相勾配法により位相画像XPを算出し、位相画像XPの画像データをアーベル逆変換部43に出力する。
【0017】
アーベル逆変換部43は、まず、位相画像XPの画像データに基づきY方向に沿った値列を求める。値列は、位相画像XPのZ方向のある一点におけるY方向に沿った複数の画素の画素値列とすることができる。つまり、値列は、位相画像XPのY方向に沿った複数の画素列の内の1つの画素列の画素値列とすることができる。或いは、位相画像XPのY方向において同じ位置にある、Z方向に沿った複数の画素の画素値を平均化することで、Y方向に沿った平均値列を求め、これを値列とすることができる。
【0018】
続いて、アーベル逆変換部43は、Y方向の値列の内、Y≧0に対応する値列のアーベル逆変換を行うことで、Y≧0の屈折率分布Y+を求める。同様に、アーベル逆変換部43は、Y方向の値列の内、Y≦0に対応する値列のアーベル逆変換を行うことで、Y≦0の屈折率分布Y-を求める。値列の各値は、対応するY方向の位置に到達する、経路の異なる光線の積分値であるため、アーベル逆変換によりY方向に沿った屈折率分布を求めることができる。なお、アーベル逆変換は、球対象を前提としているが、光ファイバ5は、マーカの存在により球対象にはならないため、本実施形態では、Y≧0の値列と、Y≦0の値列を個別にアーベル逆変換する。図3は、求められる屈折率分布Y+及びY-を示している。
【0019】
図1に戻り、Y方向においてもX方向と同様に、光源21と、レンズ23と、撮像部22が配置される。なお、光源21は、光ファイバ5に対して、レンズ23及び撮像部22とは逆側に配置される。また、レンズ23は、撮像部22と光ファイバ5との間に配置される。図1に示す様に、レンズ23はY方向に移動可能に構成される。光源21は、光ファイバ5に向けて平行光を射出する。つまり、光ファイバ5は、Y方向の平行光を射出する。光ファイバ5を透過した光は、レンズ23を介して撮像部22に入射する。例えば、図1に示す様に、光源21に平行光を射出させながら、Y軸上(X=0)の2つの異なる位置にレンズ23を配置して撮像部22により強度画像を取得する。以下では、レンズ23を図1の実線で示す位置に配置して撮像した画像を強度画像YAと表記し、Y軸方向においてレンズ23を図1の実線で示す位置からΔYだけ離した位置(点線で示す位置)に配置して撮像した画像を強度画像YBと表記する。撮像部22は、強度画像YA及びYBの画像データを処理装置4に出力する。
【0020】
処理装置4は、強度画像YA及びYBに対して強度画像XA及びXBと同様の処理を行う。処理内容は、強度画像XA及びXBに対する処理の"X"を"Y"と読み替えれば良い。したがって、処理装置4は、図3に示す様に、屈折率分布X+及びX-を出力する。
【0021】
コア及びマーカの屈折率はクラッドとは異なるため、屈折率分布X+、X-、Y+及びY-は、コアやマーカに対応する位置において変動を示す。例えば、図3の参照符号51及び52は、マーカによる屈折率の変動を示し、参照符号51で示すY方向の位置、かつ、参照符号52で示すX方向の位置にマーカがあることが分かる。例えば、処理装置4は、図示しない判定部を有し、判定部は、屈折率分布X+、X-、Y+及びY-に基づきマーカの位置を判定することができる。判定部は、マーカの位置の判定結果に基づき光ファイバ5の回転調心を行うことができる。さらに、処理装置4が出力する屈折率分布X+、X-、Y+及びY-により、光ファイバ5の断面内(XY平面内)の屈折率分布を判定することができる。
【0022】
なお、測定時の光ファイバ5の回転位相によっては、1回の処理でマーカの位置を判定できない場合が生じ得る。この場合、光ファイバ5を所定量だけ回転させて上述した処理を繰り返せば良い。なお、本実施形態では、X方向とY方向の2方向の屈折率分布を求めたが、3つ以上の方向それぞれについての屈折率分布を求める構成とすることができる。例えば、1度ずつ360個の方向について屈折率分布を求め、各方向について求めた屈折率分布に対して逆投影法を適用することができる。逆投影法は、様々な方向からの投影に基づき断層画像を求めるものであり、各方向について求めた屈折率分布に対して逆投影法を適用することで、光ファイバ5内部の屈折率分布をより詳細に測定することができる。
【0023】
また、図1では、光源と、レンズと、撮像部のセットを2つ使用したが1セットのみとすることもできる。この場合、ある方向の測定後、光ファイバ5を90度だけ回転させれば良い。また、本実施形態では、互いに直交する2つの方向の屈折率分布を求めたが、屈折率分布を求める2つの方向が直交しない構成であっても良い。
【0024】
以上、本実施形態の測定装置は、マッチングオイルを使用せず簡易な構成で光ファイバの屈折率分布を測定することができる。さらに、本実施形態の測定装置は、少なくとも2つの強度画像に基づき位相画像を生成し、位相画像に対してアーベル逆変換を行うことで1次元の屈折率分布を求める。そして、少なくとも2つの異なる方向の屈折率分布を求めることで精度良く光ファイバの屈折率分布を測定することができる。この構成により、1つの強度画像と基準強度画像との相関係数に基づきマーカの位置を判定する構成より精度良くマーカ位置を判定することができる。
【0025】
なお、本実施形態の測定装置は、光ファイバの屈折率分布を測定する単体の装置とすることも、MCFの調心接続器に組み込むこともできる。調心接続器は、測定装置が判定したマーカの位置に基づきMCFを回転させて調心を行う。さらに、本発明によると、各方向それぞれから撮像した少なくとも2つの強度画像に基づき、強度画像を撮像した方向とは直交する方向の屈折率分布を求める処理を行う処理装置4が提供される。本発明による処理装置4は、コンピュータを上記処理装置4として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0026】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
13、23:レンズ、12、22:撮像部、42:位相画像生成部、43:アーベル逆変換部
図1
図2
図3