(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20230124BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230124BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230124BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M10/44 P
H01M50/284
H01M50/204 401H
H01M50/289
H01M50/247
(21)【出願番号】P 2020516200
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2019015582
(87)【国際公開番号】W WO2019208219
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2018084555
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 秀実
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209135(JP,A)
【文献】特開2011-222173(JP,A)
【文献】特開2013-218928(JP,A)
【文献】特開2017-059502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池セルを互いに直列及び/又は並列に接続している電池ブロックと、
前記電池ブロックを構成する前記二次電池セルを保護する保護回路を実装した回路基板と、
前記電池ブロック及び回路基板を収納する外装ケースと、
を備える電源装置であって、
前記外装ケースの、前記回路基板に直接対向する対向部位を、他の部位である非対向部位の少なくとも一部と比べて肉厚に形成して
おり、
前記外装ケースは、外部に表出する外面側の内、前記非対向部位の少なくとも一部を、前記対向部位と比べて窪ませることで肉薄に形成した薄肉領域としており、
前記外装ケースは、第一ケースと第二ケースに分割されており、
前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記非対向部位に位置させ、かつ前記薄肉領域より前記対向部位から遠方に位置させると共に、前記薄肉領域よりも肉厚に形成させてなる電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記外装ケースは、
前記電池ブロック及び回路基板を収納する内面を、平面状に形成
してなる電源装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の電源装置であって、
前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記対向部位と同じ肉厚に形成してなる電源装置。
【請求項4】
請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記外装ケースは、一方向に延長された角柱状に形成されており、
前記外装ケースは、該延長方向に、
前記第一ケースと第二ケースに分割されてなる電源装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記対向部位は、前記回路基板の板状の端縁と近接する領域である電源装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電源装置であって、さらに、
前記複数の二次電池セルを保持する電池ホルダを備え、
前記回路基板を、前記電池ホルダの一面に載置してなる電源装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の電源装置であって、
携帯型電気機器に接続されて電力を供給する電池パックである電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の二次電池セルを内蔵する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コードレスで用いられる携帯型電気機器用の電源として、複数の二次電池セルを外装ケースに収納した電池パックが使用される(例えば特許文献1参照)。この電池パックは、複数の二次電池セルを直列や並列に接続して、容量を大きくしている。特に近年は電池パックの高容量化が求められている。
【0003】
このような電池パックの高容量化により、二次電池セルを保護する保護回路を実装した回路基板の発熱量も大きくなる傾向にある。仮に何らかの事情で回路基板が高温になった場合、高熱が外装ケースの外部へ熱伝達されることを抑制する必要がある。このため従来の電池パックでは、外装ケースの肉厚を厚くして断熱性を高めることが行われていた。
【0004】
その一方で、電池パックの携行性等の観点から、小型、軽量化も要求されている。しかしながら、断熱性を高めるために外装ケースを肉厚にすると、外装ケースの重量が重くなり、ひいては電池パックを接続した電気機器の重量の増大につながっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、複数の二次電池セルや回路基板を収納した外装ケースの安全性を高めつつ、重量の増加を抑えた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る電源装置は、複数の二次電池セルを互いに直列及び/又は並列に接続している電池ブロックと、前記電池ブロックを構成する前記二次電池セルを保護する保護回路を実装した回路基板と、前記電池ブロック及び回路基板を収納する外装ケースとを備える電源装置であって、前記外装ケースの、前記回路基板に直接対向する対向部位を、他の部位である非対向部位の少なくとも一部と比べて肉厚に形成しており、前記外装ケースは、外部に表出する外面側の内、前記非対向部位の少なくとも一部を、前記対向部位と比べて窪ませることで肉薄に形成した薄肉領域としており、前記外装ケースは、第一ケースと第二ケースに分割されており、前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記非対向部位に位置させ、かつ前記薄肉領域より前記対向部位から遠方に位置させると共に、前記薄肉領域よりも肉厚に形成させている。上記構成により、外装ケースの肉厚を回路基板と直接対向する部位を相対的に厚く形成して耐熱性を向上させ、回路基板が高温になった際に外部への影響を低減することが可能となる。また、外装ケースの肉厚を回路基板と、間に介在する部材の無い状態で直接対向する部位を相対的に厚く形成しながら、他の部位である非対向部位の表面を薄くしたことで、意匠性を向上させると共に、手で握り易くして機能性を向上できる。さらに、前記外装ケースは、第一ケースと第二ケースに分割されており、前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記非対向部位に位置させたことで、第一ケースと第二ケースに分割した接合面を回路基板から離間させて、万一回路基板が高温になっても、接合面から高温が外部に伝搬される事態を回避して安全性を高めることができる。さらにまた、前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記薄肉領域よりも肉厚に形成したことで、第一ケースと第二ケースに分割した接合面の機械的強度を高めることができる。
【0008】
また第2の側面に係る電源装置は、上記構成に加えて、前記外装ケースは、前記電池ブロック及び回路基板を収納する内面を、平面状に形成している。
【0011】
さらに第3の側面に係る電源装置は、上記何れかの構成に加えて、前記第一ケースと第二ケースとの接合面を、前記対向部位と同じ肉厚に形成している。上記構成により、万一回路基板が高温になっても、回路基板と直接対向する部位や第一ケースと第二ケースの接合面といった熱が外部に漏れやすい領域といった要所を肉厚にして安全性を高めつつ、他の領域は肉薄として軽量化を図ることが可能となる。
【0012】
さらにまた第4の側面に係る電源装置は、上記何れかの構成に加えて、前記外装ケースは、一方向に延長された角柱状に形成されており、前記外装ケースは、該延長方向に、第一ケースと第二ケースに分割されている。上記構成により、延長方向に分割された第一ケースと第二ケースに収納される回路基板が高温となっても、外装ケースの外部に熱が漏れる事態を効果的に抑制できる。
【0013】
さらにまた第5の側面に係る電源装置は、上記何れかの構成に加えて、前記対向部位を、前記回路基板の板状の端縁と近接する領域としている。上記構成により、外装ケースの内で回路基板の端縁と対向する領域を肉厚に形成することで、回路基板が高温となった際に熱が外装ケースの外部に漏れる事態を効果的に抑制できる。
【0014】
さらにまた第6の側面に係る電源装置は、上記何れかの構成に加えて、さらに前記複数の二次電池セルを保持する電池ホルダを備え、前記回路基板を、前記電池ホルダの一面に載置している。
【0015】
さらにまた第7の側面に係る電源装置は、携帯型電気機器に接続されて電力を供給する電池パックである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの斜視図である。
【
図2】
図1に示す電池パックのII-II線断面図である。
【
図4】2個の電池ブロックと回路基板が連結されたコアパックの斜視図である。
【
図7】
図6に示す電池ブロックの分解斜視図である。
【
図8】二次電池セルとリード板の接続状態を示す分解斜視図である。
【
図9】比較例に係る電池パックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係る電源装置を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0018】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0019】
以下の図に示す電源装置は、複数の電池ブロックを回路基板で電気接続して物理的に連結している。電池ブロックは、複数の二次電池セルを電池ホルダで定位置に配置して、二次電池セルをリード板で接続している。各々の電池ブロックは、回路基板に接続される端子部を同一位置に配置して共通化している。回路基板は、各々の電池ブロックの端子部を接続して連結する接続部を設けている。電源装置は、各々の電池ブロックの端子部を回路基板の接続部に連結して、複数の電池ブロックを直列又は並列に接続している。
【0020】
電源装置は、例えば掃除機等の携帯型電気機器の電源として使用される。ただ本発明は、電源装置の用途となる電気機器を特定せず、他の電気機器、例えば電動工具、アシスト自転車等の電源として利用することもできる。また電源装置は、電気機器に脱着自在に連結される構造とする他、脱着できない状態で電気機器に組み込んで使用する態様にも適用できる。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る電源装置として、携帯型電気機器の電池パックを
図1~
図7に示す。
図1は、電池パックの斜視図を、
図2は電池パックの垂直横断面図を、
図3は電池パックの分解斜視図をそれぞれ示している。また、
図4及び
図5は電池パックに内蔵される電池ブロックと回路基板を連結したコアパックの斜視図及び平面図を、
図6及び
図7は電池ブロックの斜視図及び分解斜視図をそれぞれ示している。
【0022】
電池パック100は、複数の電池ブロック10と回路基板4とを備える。
図3の電池パックは2組の電池ブロック10を回路基板4に連結している。本実施形態に係る電池パックは、電池ブロック10を2組に特定するものでなく、図示しないが3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結することもできる。電池ブロック10は、複数の二次電池セル1と、二次電池セル1を平行姿勢に配置している電池ホルダ2とを備える。さらに、
図3の電池パックは、2組の電池ブロック10を回路基板4に連結して外装ケース9に収納している。
(外装ケース9)
【0023】
電池パック100は、
図1~
図3に示すように四角筒状の箱形に形成している。図の外装ケース9は、第一ケース9Aと第二ケース9Bに二分割されている。外装ケース9は、電池パック100で電力を供給する携帯機器と接続するためのコネクタ19を外部に引き出している。外装ケース9は、絶縁性と断熱性に優れた材質、例えば、ポリカーボネートやABS、あるいはこれらを組み合わせた樹脂製とする。
【0024】
外装ケース9の内部には、
図3に示すように、2組の電池ブロック10と、電池ブロック10の間に配置している絶縁プレート11と、電池ブロック10を連結している回路基板4とを収納している。電池ブロック10は、
図6及び
図7に示すように、複数の二次電池セル1を電池ホルダ2で平行姿勢に配置している。図の電池ブロック10は、4本の二次電池セル1を電池ホルダ2で2列2段に配置している。二次電池セル1は、外装缶を円筒状とする円筒形電池を用いている。図の電池ブロック10は、4本の二次電池セル1を2列2段に配置して、各々の二次電池セル1をリード板3で直列に接続している。図の電池ブロック10は、4本の二次電池セル1を2列2段に配置して直列に接続しているが、二次電池セル1の本数や接続形態は自由に変更することができる。
【0025】
二次電池セル1は、リチウムイオン二次電池である。ただ、リチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池とすることができ、また円筒形二次電池セルは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などの充放電可能な二次電池、特に使用状態で高温に発熱する電池を使用できる。
(絶縁プレート11)
【0026】
また、外装ケース9内には、
図3に示すように、電池ブロック10の間に絶縁プレート11を配置している。絶縁プレート11は、外装ケース9の長手方向に並べて配置している電池ブロック10の間に配置される。この絶縁プレート11は、絶縁性と断熱性に優れた材質、例えば、マイカプレートなどの無機プレートを使用する。
(電池ブロック10)
【0027】
電池ブロック10は、プラスチック製の電池ホルダ2に4本の二次電池セル1を定位置に配置して、二次電池セル1をリード板3で直列に接続している。
図6及び
図7に示す電池ブロック10は、リード板3で各々の二次電池セル1を直列に接続して出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は、リード板3で二次電池セル1を並列に接続することもでき、また直列と並列に接続することもできる。回路基板4には複数の電池ブロック10を連結しているが、各々の電池ブロック10は、同じ外形の二次電池セル1、たとえば同じ寸法の円筒形電池を同一形状の電池ホルダ2で定位置に配置して、同一形状のリード板3で二次電池セル1を接続して共通化できる。全ての部品を共通化している電池ブロック10は、とくに安価に多量生産できる。
【0028】
電池ブロック10は、回路基板4に連結するための端子部5を突出して設けている。電池ブロック10は、端子部5を同じ位置に配置して共通化している。
図4~
図7の電池ブロック10は、正負の出力端子5xと、3組の電圧検出端子5yからなる5個の端子部5を設けている。5個の端子部5を回路基板4の接続部41に連結して、1組の電池ブロック10は回路基板4に連結される。この回路基板4は、
図5に示すように、5箇所に設けた接続部41を1組の接続部ユニット40として、1組の接続部ユニット40に1組の電池ブロック10を連結する。図の電池パックは、2組の電池ブロック10を回路基板4に連結するので、回路基板4には2組の接続部ユニット40、すなわち5箇所の接続部41を1組の接続部ユニット40として、2組で10箇所の接続部41を設けている。各組の接続部ユニット40は、同じ位置に複数の接続部41を配置して、各々の電池ブロック10の端子部5を連結する。図の電池パックは2組の電池ブロック10を連結するので、2組の電池ブロック10の端子部5を連結する、2組の接続部ユニット40を回路基板4に設けている。電池パックは、3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結することもできる。3組以上の電池ブロック10は、回路基板4を介して直列に接続され、あるいは並列に接続され、あるいは4組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結して直列と並列に接続することもできる。
【0029】
図に示す回路基板4は、端子部5を挿入する貫通孔42を開口しており、この貫通孔42の開口縁部を端子部5の接続部41としている。回路基板4は、この貫通穴に端子部5が挿入され、ハンダ付けして端子部5が接続部41に連結される。貫通穴42に挿入され、ハンダ付けして接続部41に連結される端子部5は、回路基板4に理想的な状態で電気接続されて物理的に連結される。
(電池ホルダ2)
【0030】
図6及び
図7の電池ホルダ2は、複数の二次電池セル1を、両端の端子面を同一平面に配置して平行姿勢に配置している。電池ホルダ2は、複数の二次電池セル1を多段多列に配置している。図の電池ホルダ2は、4個の二次電池セル1を定位置に配置する保持筒22のある形状にプラスチックを成形している。この電池ホルダ2は、4組の保持筒22を平行姿勢で2列2段に連結する形状であって、保持筒22の内側を二次電池セル1外形にほぼ等しくして保持部21としている。
【0031】
図6の斜視図に示す電池ホルダ2は、回路基板4と対向する固定面2X(図にあって上面)に嵌合凸部29を突出して設けている。嵌合凸部29は、固定面2Xの四隅部に上向きに垂直姿勢に突出する中空柱状のボスで、電池ホルダ2のプラスチックと一体的に成形して設けられる。嵌合凸部29は上窄みテーパー状に成形され、
図4に示すように、回路基板4に設けた嵌合凹部43を案内して、回路基板4を定位置に配置する。さらに、
図6に示す電池ホルダ2は、固定面2Xの複数カ所に、回路基板4を上に載せて上下位置を特定するための載せリブ31を一体的に成形して設けている。載せリブ31は、電池ホルダ2の固定面2Xの両側の複数カ所に設けられて、回路基板4を上に載せて定位置に配置する。さらに、
図6の電池ブロック10は、電池ホルダ2の固定面2Xに、回路基板4の係止フック30を一体的に成形して設けている。係止フック30は、
図4に示すように、定位置にセットされた回路基板4を係止して定位置に配置する。回路基板4は、電池ブロック10の端子部5を回路基板4の貫通穴42に挿入し、電池ホルダ2の嵌合凸部29を嵌合凹部43に案内し、さらに底面を載せリブ31に載せて定位置に配置され、係止フック30に係止されて定位置に配置される。回路基板4は、係止フック30で定位置にセットされた状態で、電池ブロック10の端子部5を回路基板4の接続部41にハンダ付けして、電池ブロック10を連結する。
【0032】
図7の電池ブロック10は、電池ホルダ2を二次電池セル1の長手方向に第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bに分割している。この電池ホルダ2は、細長い二次電池セル1をスムーズに挿入できる。第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bは、プラスチックを成形して別々に製作されて、二次電池セル1を挿入して互いに連結される。第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bは、円筒形の二次電池セル1を挿入して定位置に配置するために、円柱状の保持筒22を設けている。保持筒22の内形は、二次電池セル1の外形にほぼ等しく、正確には二次電池セル1をスムーズに挿入して定位置に配置
できるように僅かに大きくしている。この構造の第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bは、円筒形の二次電池セル1の両端部を挿入する状態で、二次電池セル1を介して互いに定位置に連結される。第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bは、対向面を嵌合構造としてより正確に連結でき、また、後述する非溶融プレートを介して定位置に連結される。二次電池セル1を介して連結された第一電池ホルダ2Aと第二電池ホルダ2Bは、回路基板4に連結されて互いに連結状態に保持される。
【0033】
図2及び
図7に示す電池ブロック10は、隣接する二次電池セル1の間に配置される保持筒22を区画壁23として、区画壁23の内部にマイカプレートなどの非溶融プレート13を配置している。図の電池ホルダ2は、二次電池セル1を2列2段に配置するので、上下左右に配置している4組の二次電池セル1の間に、十字状の区画壁23を設けている。区画壁23は、内部の非溶融プレート13を挿入する挿入隙間25を設けている。区画壁23は、この挿入隙間25にマイカプレートなどの非溶融プレート13を挿入している。この電池ブロック10は、何れかの二次電池セル1が熱暴走して異常発熱する状態で、隣の二次電池セル1に熱暴走が誘発されるのを防止できる。
(リード板3)
【0034】
電池ブロック10の二次電池セル1は、リード板3で電気的に直列に接続される。リード板3は導電性に優れた金属板を折曲して構成される。リード板3は、二次電池セル1の端面に設けた電極に溶接して固定される。
図8は、ひとつの電池ブロック10において、リード板3が二次電池セル1を接続する状態を示している。この図は、リード板3の接続状態を分かりやすくするために、リード板3を二次電池セル1から分離した状態であって、電池ホルダ2を取り除いた図を示している。この図はひとつの電池ブロック10を示すが、回路基板4に連結される各々の電池ブロック10は、同じ形状のリード板3で二次電池セル1を同じ状態に接続している。
【0035】
図8に示すように、電池ブロック10は、5枚のリード板3で4個の二次電池セル1を直列に接続して、リード板3で出力端子5xを設けている。5枚のリード板3は二次電池セル1の電極に溶接部3aを設けている。溶接部3aは、スポット溶接の無効電流を少なくするために、スリットの両側に溶接スポットを設けている。溶接スポットは突出して、二次電池セル1の電極にスポット溶接して固定される。電池ブロック10は、第1~第5のリード板3を備えている。第1のリード板3Aと第2のリード板3Bは、一端を溶接部3aとして他端を電池ブロック10の出力端子5xとしている。第3のリード板3C、第4のリード板3D、及び第5のリード板3Eは、一対の溶接部3aと、電圧検出端子5yとを設けている。一対の溶接部3aは隣接する二次電池セル1の電極に接続されて、隣接する二次電池セル1同士を直列に接続する。リード板3の端部に設けた出力端子5xと電圧検出端子5yは、電池ホルダ2の定位置に配置して、溶接部3aを二次電池セル1の電極に固定する状態で、電池ブロック10の固定面2Xから突出する。
【0036】
図6~
図8に示す電池ブロック10は、リード板3の端部に端子部5を設けている。電池ブロック10は、リード板3の端部に設けている端子部5を回路基板4にハンダ付けして回路基板4に連結される。
図6の電池ブロック10は、電池ブロック10の出力端子5xを電池ホルダ2の片側に配置して、他の片側に二次電池セル1の電圧を検出する電圧検出端子5yを配置している。電池ブロック10は、
図4及び
図5に示すように、出力端子5xと電圧検出端子5yからなる端子部5を回路基板4に連結して、回路基板4に物理的に連結される。両側の端子部5を回路基板4に連結する電池ブロック10は、安定して回路基板4に連結される。
(回路基板4)
【0037】
回路基板4は、複数の電池ブロック10を連結して、各々の電池ブロック10を電気接続し、さらに物理的に連結する。
図3の分解斜視図に示す電池パック100は、回路基板4を貫通する止ネジ18で回路基板4を2組の電池ブロック10にネジ止めして、さらに強固に複数の電池ブロック10を連結している。電池ブロック10は、止ネジ18をねじ込む固定ボス28を電池ホルダ2の固定面2Xに設けている。各々の電池ブロック10の出力端子5xは、回路基板4を介して接続され、さらにコネクタ19に接続される。回路基板4は、表面に銅箔などの導電層(図示せず)を設けている。導電層は、出力端子5xの接続部41を電気接続して電池ブロック10を直列に接続し、また、出力端子5xをコネクタ19のリード線16に接続する。さらに、導電層は、電圧検出端子5yの接続部41を回路基板4の保護回路に接続する。回路基板4は二次電池セル1を充放電する保護回路を実装し、各々の二次電池セル1を保護回路に接続する。保護回路は、各々の二次電池セル1の電圧や電流を検出して、充放電する電流をコントロールして電池を保護しながら充放電する。
【0038】
以上の電池パック100は、リード板3で電池ブロック10の二次電池セル1を直列に接続して電池ブロック10の出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は、リード板3で二次電池セル1を並列に接続し、あるいは直列と並列に接続することもできる。また、以上の電池パックは、電池ブロック10を直列に接続して出力電圧を高くしているが、電池ブロック10は並列に接続して、電流容量を大きくし、さらに3組以上の電池ブロック10を回路基板4に連結して、各々の電池ブロック10を直列に接続や並列に接続し、また、4組以上の電池ブロック10を連結して、電池ブロック10を直列と並列に接続することもできる。
(外装ケース9の肉厚構造)
【0039】
外装ケース9は、
図2の断面図に示すように、回路基板4に直接対向する対向部位7を、他の部位である非対向部位の少なくとも一部と比べて肉厚に形成している。このようにすることで、外装ケース9の肉厚を回路基板4と直接対向する部位を相対的に厚く形成して耐熱性を向上させ、回路基板4が高温になった際に外部への影響を低減することが可能となる。
【0040】
電池パックの内部で、何らかの事情により部材が高温になり発火した場合、電池パックの外部に高温や火が漏れないようにすることが求められる。このため、このような高温や発火時の安全性を高めるため、外装ケースに難燃性の部材を用いたり、外装ケースを肉厚にして断熱性能を高めることが行われている。しかしながら、外装ケースを肉厚にすると、その分だけ重量が重くなってしまう。特に携帯型電気機器用の電源装置においては、小型軽量化が求められている。このように、電源装置の安全性の向上と、小型軽量化とは相反する特性であって、これらを両立させることは困難であった。
【0041】
一般的に電池パックにおいて、発火する可能性が相対的に高くなるのは回路基板の近傍と考えられる。そこで本実施形態においては、回路基板4の付近で難燃性を高めるべく、外装ケース9の肉厚を確保しながらも、高温や発火の可能性が相対的に低い部位では、外装ケース9の肉厚を薄くしている。すなわち、
図9の比較例に示す電池パック900のように外装ケース909の肉厚を回路基板904との位置関係によらず均一とせず、
図2に示すように部分的に薄くしたことで、安全性を確保しながらも軽量化を図ることが可能となる。
【0042】
外装ケース9の内、回路基板4と直接対向する対向部位7とは、
図2等に示すように、回路基板4と外装ケース9の内面との間に、介在する部材の無い状態で対向している状態を意味する。このように回路基板4と直接対向している部位に、発熱が集中する可能性が高いため、このような対向部位7を厚肉に形成したことで、外装ケース9から外部に高温や火が漏れて延焼する事態となるリスクを軽減できる。また対向部位7は、回路基板4の板状の端縁と近接する領域である。外装ケース9の内、端縁と近接する領域を厚肉に形成することで、高温に対する耐性を発揮できる。
【0043】
外装ケース9は、一方向に延長された角柱状に形成されている。この外装ケース9の内部において、回路基板4は
図2の断面図に示すように、複数の二次電池セル1を保持する電池ホルダ2の上面に配置されている。この回路基板4は、角柱状の外装ケース9の何れかの面(
図2の断面図においては上面)とほぼ平行となる姿勢に配置される。外装ケース9の上面側の肉厚も、厚肉に維持されて、回路基板4の発熱時に難燃性を発揮させている。
(薄肉領域6)
【0044】
また外装ケース9は、
図2の断面図に示すように電池ブロック及び回路基板4を収納する内面(
図2において左右の面)を、平面状に形成している。このようにすることで、電池ブロックや回路基板4を収納するための内部空間を確保している。一方で外装ケース9の外部に表出する外面側の内で、非対向部位の少なくとも一部を、対向部位7と比べて窪ませることで肉薄に形成した薄肉領域6としている。このようにすることで、外装ケース9の肉厚を回路基板4と直接対向する部位については相対的に厚く形成しながらも、他の部位である非対向部位の表面を薄くしたことで、
図1の斜視図に示すように外観を平板状でなく部分的に窪ませて意匠性を向上させることができる。また窪ませた薄肉領域6を手で握り易くして、機能性も向上できる。
(接合面8)
【0045】
また外装ケース9は、延長方向に、第一ケース9Aと第二ケース9Bに分割されている。これら第一ケース9Aと第二ケース9Bとの接合面8は、回路基板4と外装ケース9が直接対向しない非対向部位に位置させている。このように、第一ケース9Aと第二ケース9Bとの接合面8を、回路基板4と対向する位置から離間させることにで、万一回路基板4が発火しても、第一ケース9Aと第二ケース9Bとの隙間から炎が外装ケース9の外部に漏れる事態を阻止して、安全性を高める効果が期待できる。
【0046】
加えて、第一ケース9Aと第二ケース9Bとの接合面8は、薄肉領域6よりも肉厚に形成することが好ましい。これによって、接合面8の機械的強度を高めて第一ケース9Aと第二ケース9Bの接合の信頼性が向上される。加えて、第一ケース9Aと第二ケース9Bとの接合界面に隙間が生じる事態を低減し、万一回路基板4が発火しても、接合面8から炎が外部に漏れることを抑制できる。好ましくは、第一ケース9Aと第二ケース9Bとの接合面8は、対向部位7と同じ肉厚に形成する。いいかえると、外装ケース9の肉厚を一定としながら、熱対策の必要性が相対的に低い部位である非対向部位を肉薄として、外装ケース9の成形を容易に行える利点が得られる。
【0047】
以上のように、回路基板4と直接対向する部位や、第一ケース9Aと第二ケース9Bの接合面8といった要所を肉厚にして、万一外装ケース9の内部で回路基板4が高温になり発火を生じても外部に漏れ難くして安全性を高めつつ、他の領域は肉薄として軽量化を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の電源装置は、掃除機、電動工具、アシスト自転車等の携帯型電気機器の電源として利用される電池パックに、好適に使用される。
【符号の説明】
【0049】
100、900…電池パック
1…二次電池セル
2…電池ホルダ
2A…第一電池ホルダ
2B…第二電池ホルダ
2X…固定面
3…リード板
3A…第1のリード板
3B…第2のリード板
3C…第3のリード板
3D…第4のリード板
3E…第5のリード板
4、904…回路基板
5…端子部
5x…出力端子
5y…電圧検出端子
6…薄肉領域
7…対向部位
8…接合面
9、909…外装ケース;9A…第一ケース;9B…第二ケース
9a…開口窓
10…電池ブロック
11…絶縁プレート
13…非溶融プレート
16…リード線
17…閉塞蓋
18…止ネジ
19…コネクタ
20…コアパック
21…保持部
22…保持筒
23…区画壁
25…挿入隙間
28…固定ボス
29…嵌合凸部
30…係止フック
31…載せリブ
40…接続部ユニット
41…接続部
42…貫通穴
43…嵌合凹部