(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】パワーステアリングシステムの操作管理方法
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20230124BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
(21)【出願番号】P 2020531466
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 FR2018053195
(87)【国際公開番号】W WO2019115927
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511110625
【氏名又は名称】ジェイテクト ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モレッティ ロマン
(72)【発明者】
【氏名】スラマ タール
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036728(JP,A)
【文献】特開2016-088274(JP,A)
【文献】特開2007-030678(JP,A)
【文献】特開2003-048450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0229065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00-137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールと、アシストモータと、管理モジュール(M
sur)とを備える、パワーステアリングシステムの操作を管理するための方法(100)であって、
前記パワーステアリングシステムのパラメータにおける少なくとも1つの一時的な限界値(V
lmaxt,V
lmint)を決定するステップと、
アシスト機能(F)によって前記パラメータの設定値(C
mc)に提供される追加値(V
add)を推定するステップ(3)と、
前記管理モジュール(M
sur
)における修正された入力信号(C
va
)に前記アシスト機能(F)によって提供される補完値(V
supp
)を計算するステップ(1)と、
前記追加値(V
add)によって前記少なくとも1つの一時的な限界値(V
lmaxt,V
lmint)を修正するステップ(4)と、
を含むことを特徴とするパワーステアリングシステムの操作管理方法
(100)。
【請求項2】
前記決定ステップは、前記パラメータの一時的な最大限界値(V
lmaxt)及び一時的な最小限界値(V
lmint)を定める、請求項1に記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【請求項3】
前記推定ステップ(3)は、前記設定値(C
mc)と前記アシスト機能(F)のアシスト関数(Fa)との間における第1の伝達関数(H1)を用いて、前記追加値(V
add)を計算する、請求項1又は2に記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【請求項4】
前記修正ステップ(4)は、前記追加値(V
add)を前記パラメータの一時的な限界値(V
lmaxt,V
lmint)に加算する、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【請求項5】
前記計算ステップ(1)は、前記修正された入力信号(C
va)と前記アシスト機能(F)のアシスト関数(Fa)との間における第2の伝達関数(H2)を用いて、前記補完値(V
supp)を決定する、請求項
1乃至4のいずれか1つに記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【請求項6】
前記修正された入力信号(C
va)を前記補完値(V
supp)によって変換するステップ(2)を含む、請求項
1乃至5のいずれか1つに記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【請求項7】
前記変換ステップ(2)は、前記補完値(V
supp)を前記修正された入力信号(C
va)から減算する、請求項
6に記載のパワーステアリングシステムの操作管理方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパワーステアリングシステムの分野、より詳細にはパワーステアリングシステムの操作を管理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングシステムの目的は、ドライバーがステアリングホイールに力を与えることによって車両軌道を管理することを可能にすることである。
【0003】
車両の電動パワーステアリングシステムは、車両の車輪を旋回させるためにドライバーによってステアリングホイールに提供される力を低減すべく、ステアリングコンピュータによって制御されたアシストモータを用いる。
【0004】
通常状態において、ドライバーによってステアリングホイールに与えられる力、すなわちステアリングホイールトルクは、アシスト力設定値(setpoint assist force)、すなわちモータトルク設定値(setpoint motor torque)を、生ずる。一般に、モータトルク設定値は、ドライバーが望む方向に車輪を旋回させるために、ステアリングホイールトルクの方向と同じ方向に、アシストモータによって与えられる。ステアリングホイールトルクとモータトルク設定値とは、一般に同じ方向に与えられる。
【0005】
例えば、正の方向が「車輪を右に旋回させる」操作に対応することを決定することによって、ドライバーがステアリングホイールを正の方向に回転させるとき、ドライバーが正のステアリングホールトルクを与える。正のステアリングホールトルクは、正のモータトルク設定値を生じて、車両の車輪を右に旋回させることができる。
【0006】
パワーステアリングシステムは、車両の軌道に対するその作用によって、車両の乗員の安全性において、決定的な役割を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、法規は、上記パワーステアリングシステムの適切な操作が常に管理されることを、要求する。すなわち、パラメータの設定値は、通常状態において、入力信号と整合(consistent)する。例えば、設定値をモータトルク設定値にするとともに、入力信号をステアリングホイールトルクにしてよい。
【0008】
通常状態において、適切な操作の管理は、管理モジュール及び比較モジュールによって、実行される。管理モジュールは、連続的に作動しており、パラメータの設定値における少なくとも1つの限界値を決定する。比較モジュールは、連続的に作動しており、パラメータの設定値を少なくとも1つの限界値と比較する。
【0009】
パワーステアリングシステムが正常に作動している場合、設定値は、少なくとも1つの限界値に整合する。これにより、パワーステアリングシステムの適切な操作又は逆に故障を検出することができる。
【0010】
例えば、適切な操作の管理は、モータトルク設定値が、ステアリングホイールトルクに応じて管理モジュールにより決定される最大限界値及び最小限界値に整合する値を、有することをチェックすることで構成されてもよい。最大限界値及び最小限界値は、とりわけ、モータトルク設定値とステアリングホイールトルクとが同じ方向であることを保証することを、可能にする。
【0011】
さらに、運転支援(ADAS)のような車両に統合されたアシスト機能がある。このアシスト機能は、例えば、転倒若しくは転覆のような危険な状況の場合に、又は白線を横切る場合に、ドライバーが自分の操作を修正することを促したり、2つの白線の間に車両を維持するように車両を制御したり、又は駐車中に車両を操縦したりするように、パワーステアリングシステムを時々制御することを可能にする。
【0012】
アシスト機能(assistance functionality)は、少なくともパラメータの設定値を修正するために、パワーステアリングシステムの通常の調節に干渉する。そこで、設定値は、入力信号と、もはや整合しなくなる。例えば、アシスト機能がアクティブである場合、モータトルク設定値は、ステアリングホイールトルクとは異なる方向と、なり得る。
【0013】
こうして、アシスト機能は、設定値と整合しない限界値を決定する管理モジュールに、干渉する。
【0014】
不整合を回避することを可能にする1つの解決手段は、管理モジュールにより決定されるパラメータの限界値を修正することによって、通常状態において管理モジュールにより実行される管理を、低下させることである。
【0015】
例えば、1つの解決手段は、ステアリングホイールトルクに応じて、モータトルク設定値の最大限界値及び最小限界値を修正することで、構成される。この解決手段は、アシスト機能がない場合において、管理モジュールにより実行される管理を低下させるという欠点を、有する。
【0016】
したがって、パワーステアリングシステムの故障の誤検出と実行される管理の低下との間において、妥協がなされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ステアリングホイールと、アシストモータと、管理モジュールと、を備える、パワーステアリングシステムの操作を管理するための方法であって、パラメータにおける少なくとも1つの一時的な限界値を決定するステップと、アシスト機能によって上記パラメータの設定値に提供される追加値を推定するステップと、上記追加値によって上記少なくとも1つの一時的な限界値を修正するステップと、を含むことを特徴とする方法を確保することによって、上述の欠点の全部又は一部を克服することを目的とする。
【0018】
パワーステアリングシステムは、ステアリングコンピュータを介して、少なくとも1つの入力信号に依存するパラメータの設定値、又はアシスト機能がパワーステアリングシステムに適用される場合におけるアシスト機能を、決定する。
【0019】
管理モジュールは、決定ステップの間に、アシスト機能の適用がない場合において決定される少なくとも1つの限界値に対応する、少なくとも1つの一時的な限界値を、決定する。
【0020】
したがって、管理モジュールは、アシスト機能がアクティブであるか又は非アクティブであるかにかかわらず、同様に作動している。アシスト機能が非アクティブである場合、管理モジュールにより実行される管理の低下はない。
【0021】
しかしながら、アシスト機能の設定値への影響を考慮するために、本方法は、アシスト機能によって設定値に提供される追加値を、推定する。すなわち、アシスト機能が設定値に及ぼす影響である。次に、設定値は、追加値と、アシスト機能の適用がない場合において決定される設定値との和に対応する。
【0022】
最後に、本方法は、パラメータにおける少なくとも1つの限界値を決定するために、追加値によって、少なくとも1つの一時的な限界値を、修正する。
【0023】
したがって、本発明に係る方法は、アシスト機能がアクティブでない場合において管理を修正せずに、アシスト機能の設定値への影響を考慮して、パラメータにおける少なくとも1つの限界値を決定することを、可能にする。
【0024】
パワーステアリングシステムは、設定値が限界値と整合していない場合、故障と宣言される。
【0025】
本発明の1つの特徴によれば、上記決定ステップは、上記パラメータの一時的な最大限界値及び一時的な最小限界値を定める。
【0026】
したがって、アシスト機能がない場合、且つ、パワーステアリングシステムが正常に作動している場合、パラメータの設定値は、一時的な最大限界値と一時的な最小限界値との間に含まれるはずである。
【0027】
本発明の1つの特徴によれば、上記推定ステップは、上記設定値と上記アシスト機能のアシスト関数(assistance function)との間における第1の伝達関数を用いて、上記追加値を計算する。
【0028】
アシスト関数は、ステアリングコンピュータに対するアシスト機能の影響を表す。
【0029】
パラメータの設定値とアシスト機能のアシスト関数との間には、数学的関係が確立される。
【0030】
本発明の1つの特徴によれば、上記修正ステップ(correction step)は、上記追加値を上記パラメータの一時的な限界値に加算する。
【0031】
したがって、追加値と一時的な限界値との和は、パラメータの限界値に等しい。
【0032】
アシスト機能が非アクティブである場合、追加値は0に等しく、一時的な限界値はパラメータの限界値に等しい。
【0033】
パラメータの限界値は、パワーステアリングシステムが正常に作動している場合、及びアシスト機能がアクティブ又は非アクティブである場合、設定値に整合する。
【0034】
本発明の1つの特徴によれば、本方法は、上記管理モジュールにおける修正された入力信号に上記アシスト機能によって提供される補完値を計算するステップを含む。
【0035】
アシスト機能は、パラメータの設定値を修正することによってだけでなく、以下の説明において修正された入力信号と呼ばれる、ステアリングコンピュータにおける少なくとも1つの入力信号を変換することによっても、パワーステアリングシステムに干渉してよい。
【0036】
この場合、管理モジュールの入力信号もまた、アシスト機能によって修正される。管理モジュールの入力信号は、修正された入力信号と等しくなる。
【0037】
アシスト機能は、いくつかの入力信号に影響してよい。
【0038】
本方法は、修正された入力信号にアシスト機能によって提供される補完値を、計算する。すなわち、修正された入力信号に対するアシスト機能の影響である。
【0039】
本発明の1つの特徴によれば、上記計算ステップは、上記修正された入力信号と上記アシスト機能のアシスト関数との間における第2の伝達関数を用いて、上記補完値を決定する。
【0040】
したがって、各修正された入力信号とアシスト機能のアシスト関数との間において、数学的関係が確立される。
【0041】
本発明の1つの特徴によれば、上記第1及び/又は第2の伝達関数は、理論式によって識別される。
【0042】
本発明の1つの特徴によれば、上記第1及び/又は第2の伝達関数は、少なくとも1つのシミュレーション及び/又は少なくとも1つの実験を用いて、経験的に識別される。
【0043】
本発明の1つの特徴によれば、本方法は、上記修正された入力信号を上記補完値によって変換するステップを含む。
【0044】
本方法は、補完値と修正された入力信号との組合せとして管理モジュールの入力信号を定めることによって、修正された入力信号に対するアシスト機能の影響を考慮する。
【0045】
したがって、管理モジュールの入力信号は、アシスト機能がアクティブであるか又は非アクティブであるかにかかわらず、アシスト機能によって影響されない。
【0046】
管理モジュールは、アシスト機能によって影響されないこの入力信号に基づいて、アシスト機能によって影響されない一時的な限界値を決定する。
【0047】
本発明の1つの特徴によれば、上記変換ステップ(modification step)は、上記補完値を上記修正された入力信号から減算する。
【0048】
したがって、入力信号は、アシスト機能の影響を修正された入力信号から除去したような、補完値と修正された入力信号との減算値である。
【0049】
本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の概略図を参照して説明された、本発明に係る実施形態に関する以下の説明のおかげで、より良く理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、パワーステアリングシステムの通常操作の概略図である。
【
図2】
図2は、通常操作におけるステアリングホイールトルクの関数として、モータトルクの最大限界値及び最小限界値を表す曲線である。
【
図3】
図3は、アシスト機能の操作ポイントを表す図である。
【
図4】
図4は、パワーステアリングのアシスト操作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
パワーステアリングの通常操作(通常動作、通常運転)において、調節ループは、上記車両の軌道を決定するためにドライバーによって車両のステアリングホイールに与えられるステアリングホイールトルクC
vに応じて、印加モータトルクC
maを、調節する。
図1に示すように、ステアリングコンピュータCDは、ドライバーの意図する旋回を支援するために、故障がない場合において、少なくとも1つのアシストモータを含む機械システムSMへの印加モータトルクC
maに等しい、モータトルク設定値C
mcを、決定する。調節ループは、印加モータトルクC
maに対するステアリングホイールトルクC
vに影響し、逆もまた同様である。
【0052】
法規は、ステアリングコンピュータCDが故障した場合、すなわち、モータトルク設定値CmcがステアリングホイールトルクCvに対して不整合になった場合、ドライバーの安全性及び車両の保全性を保証することを、要求する。したがって、例えば、印加モータトルクCmaは、通常操作において常時、与えられたステアリングホイールトルクCvに関係した値を有するべきであるということを、決定されている。
【0053】
この条件は、管理モジュールMsurによって、及び比較モジュールMCPによって、チェックされる。
【0054】
「インタロック」型管理モジュールM
surは、与えられたステアリングホイールトルクC
Vに対応する入力信号を受信し、
図2に表される管理曲線(monitoring curve)に従って、モータトルクC
mの最大限界値V
lmax及び最小限界値V
lminを決定する。最大限界値V
lmaxは、ステアリングホイールトルクC
vが負であるときに実質的に0に等しく、その後、漸近に直線的に増大する。最小限界値V
lminは、ステアリングホイールトルクC
vの特定の負の値において負の定数に等しく、そして、ステアリングホイールトルクC
vが正であるときに実質的に0に等しくあるように、直線的に増加する。
【0055】
もちろん、
図2は管理曲線を決して限定するものではない例を表しており、他の形態の管理曲線を考慮してよい。
【0056】
このように、管理モジュールM
surは、最大限界値V
lmaxと最小限界値V
lminとの間に、モータトルクC
mの値を制限する。さらに、
図2の実施形態において、ステアリングホイールトルクC
Vが負であるときに最大限界値V
lmaxは実質的に0に等しく、ステアリングホイールトルクC
vが正であるときに最小限界値V
lminは実質的に0に等しい。管理モジュールM
surは、ステアリングホイールトルクC
V及びモータトルクC
mを、同じ方向に確立する。
【0057】
比較モジュールMCPは、最大限界値Vlmax、最小限界値Vlmin及びモータトルク設定値Cmcを、入力として受信する。比較モジュールMCPは、モータトルク設定値Cmcを最大限界値Vlmax及び最小限界値Vlminと比較して、印加モータトルクCmaを送信する。
【0058】
モータトルク設定値Cmcが最大限界値Vlmaxと最小限界値Vlminとの間に含まれる限り、印加モータトルクCmaは、モータトルク設定値Cmcに等しい。
【0059】
モータトルク設定値Cmcが限界値Vlmax,Vlminを超えるとすぐに、ステアリングコンピュータCDは故障を宣言され、印加モータトルクCmaは最大限界値Vlmax又は最小限界値Vlminに制限される。
【0060】
図4に示すように、アシスト操作において、アシスト機能Fは、パワーステアリングシステム、より詳細にはステアリングコンピュータCDに、時々、与えられる。アシスト機能Fは、通常状態において与えられる操作ポイント(点)に対応する通常操作ポイントPとは異なる、アシストステアリングホイールトルクC
va及びアシストモータトルク設定値C
mcaに対応する操作ポイントP
faを、決定する。
【0061】
アシスト操作において、ステアリングホイールトルクCvはアシストステアリングホイールトルクCvaに相等し、モータトルク設定値Cmcはアシストモータトルク設定値Cmcaに相等する。
【0062】
本発明に係る方法を用いない場合、管理モジュールM
surは、アシストステアリングホイールトルクC
vaの値を受信して、このアシストステアリングホイールトルクC
vaに関係した最大限界値V
lmax及び最小限界値V
lminを決定して、モータトルクがアシストステアリングホイールトルクC
vaに整合する値を印加することを保証するようにする。しかしながら、
図3に示すように、アシスト機能Fによって決定されるアシストモータトルク設定値C
mcaは、管理モジュールM
surの管理曲線の間に含まれていない。したがって、比較モジュールMCPは、ステアリングコンピュータCDの誤った故障を検出し、最低限界値V
lminに等しい印加モータトルクC
maを送信する。
【0063】
図5に表されるように、本発明に係る方法100において、管理モジュールM
surは、アシスト機能Fの操作によって影響されない。
【0064】
本発明に係る方法100において、計算ステップ1は、補完値Vsuppを決定する。補完値Vsuppは、通常状態において与えられるステアリングホイールトルクCvに関係するアシストステアリングホイールトルクCvaに、アシスト機能Fによって提供される。補完値Vsuppは、アシストステアリングホイールトルクCvaとアシスト機能Fのアシスト関数Faとの間における第2の伝達関数H2のおかげで、計算される。
【0065】
したがって、アシスト機能Fによって与えられるアシストステアリングホイールトルクCvaは、通常状態において与えられるステアリングホイールトルクCvと補完値Vsuppとの和に、等しい。
【0066】
本方法は、変換ステップ2の間に、補完値VsuppをアシストステアリングホイールトルクCvaから減算する。したがって、変換ステップ2は、アシスト機能Fがない場合におけるステアリングホイールトルクCvに対応する信号を、発信する。
【0067】
ステアリングホイールトルクCvは、管理モジュールMsurの入力信号である。したがって、管理モジュールMsurによって受信される信号は、アシスト機能Fがアクティブであるか又は非アクティブであるかにかかわらず、ステアリングホイールトルクCvに常時対応する。管理モジュールMsurは、決定ステップの間に、管理曲線のおかげで、このステアリングホイールトルクCvに関係する、一時的な最大限界値Vlmaxt及び一時的な最小限界値Vlmintを、決定する。管理モジュールMsurの操作は、アシスト機能Fによって影響されない。
【0068】
さらに、本方法はまた、推定ステップ3の間に、追加値Vaddを決定する。追加値Vaddは、アシスト機能Fによって、アシストモータトルク設定値Cmcaに提供される。推定ステップ3は、アシストモータトルク設定値Cmcaとアシスト機能Fのアシスト関数Faとの間において、第1の伝達関数H1を実装する。
【0069】
したがって、アシスト機能Fによって与えられるアシストモータトルク設定値Cmcaは、通常状態において与えられるモータトルク設定値Cmcと追加値Vaddとの和に等しい。
【0070】
アシストモータトルク設定値Cmcaに対するアシスト機能Fの影響は、一時的な最大限界値Vlmaxt及び一時的な最小限界値Vlmintを修正するステップ4の間に、管理モジュールMsurによって、考慮される。修正ステップ4の間に、追加値Vaddは、最大限界値Vlmax及び最小限界値Vlminを得るために、アシスト機能Fの影響を考慮して、一時的な最大限界値Vlmaxt及び一時的な最小限界値Vlmintの各々に、加算される。
【0071】
したがって、管理モジュールMsurがアシスト機能Fの影響を受けずに、しかし最大限界値lmax及び最小限界値lminがアシスト機能Fの影響を考慮するように、アシスト機能Fの影響は管理モジュールMsurの上流側において減じられるとともに、アシスト機能Fの影響は管理モジュールMsurの下流側において加えられる。
【0072】
最後に、比較モジュールMCPは、アシストモータトルク設定値Cmcaを、最大限界値Vlmax及び最小限界値Vlminと比較する。比較モジュールMCPは、アシスト機能Fの操作によって影響されない。
【0073】
もちろん、本発明は、記載され、添付の図面に表された実施形態に限定されない。本発明の保護分野から逸脱することなく、特に、様々な要素の構成の観点から、又は技術的均等物の置換によって、変更は可能なままである。