(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】組換えポリペプチドおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230124BHJP
C07K 14/465 20060101ALI20230124BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230124BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20230124BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230124BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230124BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K14/465 ZNA
C12N15/63 Z
A61K38/16
A61K9/08
A61K47/02
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 105
(21)【出願番号】P 2020536780
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(86)【国際出願番号】 SG2017050648
(87)【国際公開番号】W WO2019132765
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520231485
【氏名又は名称】イミュナミ ラボラトリーズ プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤー-フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リン ティン-ロン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0017203(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0078607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発する組換えポリペプチドであって、前記組換えポリペプチドは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含
み、ここで、
i.組換えポリペプチドが、等電点(pI)によって測定した場合に酸性であり;
ii.組換えポリペプチドのpIが、配列番号1のpIより低く;かつ
iii.アスパラギン酸、グルタミン酸およびロイシンがそれぞれ独立に、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量で存在
し、前記その他のアミノ酸残基は、前記アスパラギン酸、グルタミン酸およびロイシンの次に豊富なアミノ酸残基である、組換えポリペプチド。
【請求項2】
配列番号9のアミノ酸配列を含む組換えポリペプチド。
【請求項3】
前記組換えポリペプチドが、配列番号9の組換えポリペプチドに対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換えポリペプチド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項5】
最終的なNaCl濃度が0.4M~1.0Mであり、かつ、薬学的に許容される担体がpH7.5~9.0のバッファー溶液を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドをコードする核酸。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを含有する医薬組成物であって、対象において癌細胞に対する免疫応答を増強するかまたは誘発するための、医薬組成物。
【請求項9】
前記免疫応答が、癌細胞の免疫原性細胞死を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記免疫原性細胞死が、内因性樹状細胞の活性化を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記免疫原性細胞死が、癌細胞におけるカルレティキュリン(CRT)、70kDaのヒートショックタンパク質(HSP70)、90kDaのヒートショックタンパク質(HSP90)、またはそれらの組み合わせを含めたプレアポトーシス傷害関連分子パターン(DAMP)シグナルの発現増加を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを含有する医薬組成物であって、対象の癌細胞表面における疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発するための、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組換えポリペプチドを含有する医薬組成物であって、対象の癌の症状のうちの少なくとも1つを治療、予防または緩和するための、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体として参照により本明細書に援用する。2017年11月21日に作成された前記ASCIIコピーは、IMHC-001/F01US_ST25.txtと指定され、サイズが42KBである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
免疫原性細胞死は、細胞死またはアポトーシスの形態である。ほとんどが非免疫原性である従来のアポトーシスと異なって、癌細胞における免疫原性細胞死は、樹状細胞の活性化を通じて有効な抗腫瘍性免疫応答を誘発する。プレアポトーシスの状態とは、カスパーゼ3/7活性化、細胞アポトーシス発現前の状態と定義される。免疫原性細胞死は、死滅細胞表面におけるプレアポトーシス傷害関連分子パターン(DAMP)の発現を特徴とする。免疫原性細胞死中に細胞表面に晒される三種類の重要なプレアポトーシスDAMP:カルレティキュリン(CRT)、HSP70およびHSP90、が存在する。これらの三種類のプレアポトーシスDAMPシグナルは、CRTによる樹状細胞動員および細胞食作用、ならびにHSP70およびHSP90による樹状細胞成熟化/活性化において重要な役割を果たし、そして、有効な抗腫瘍性免疫応答をもたらす。選択された化学療法および放射線療法の形態では、巻き添え免疫原性細胞死を誘発し得る。これらの治療法が三種類のプレアポトーシスDAMPシグナルのうちの1または2つを誘発するのに対して、それらは三種類のプレアポトーシスDAMPシグナルすべての発現を誘発しない。さらに、化学療法および放射線療法は免疫抑制療法であり、そしてそれは、リンパ球の数を低減し、かつ、周囲の非腫瘍細胞に対する巻き添えの被害も引き起こし、そして、不十分な抗腫瘍性免疫応答をもたらし、さらに、それぞれ有害事象ももたらす。
【0003】
三種類のプレアポトーシスDAMPシグナルすべての発現を誘発することにより高い効率および効力を伴った免疫原性細胞死を誘発する一方で、有害影響を最小限にとどめる組成物を必要としている。本開示は、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、酸性組換えポリペプチドを提供する。
【0005】
本開示は、配列番号1~16から成る群から選択されるアミノ酸配列、あるいは、配列番号1~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを提供する。一態様において、組換えポリペプチドは、配列番号1~8から成る群から選択されるアミノ酸配列、あるいは、配列番号1~8のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。一態様において、組換えポリペプチドは、配列番号9~16から成る群から選択されるアミノ酸配列、あるいは、配列番号9~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列、あるいは、配列番号9のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。
【0006】
一態様において、組換えポリペプチドは、配列番号1~16から成る群から選択されるアミノ酸配列、あるいは、pIによって測定される酸性組換えポリペプチドである配列番号1~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。一態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号1~16のpIより低い。一態様において、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立に存在する。一態様において、酸性組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、アミノ酸配列内の3つの最も豊富な残基として、または、酸性組換えポリペプチドにおける次に豊富なアミノ酸残基として、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)を含む。
【0007】
本開示はまた、本明細書中に開示した組換えポリペプチドのいずれかをコードする核酸分子も提供する。一態様において、核酸分子は、配列番号1~16の組換えポリペプチドをコードする。一態様において、核酸分子は、配列番号17~32の核酸配列、あるいは、配列番号17~32の核酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である核酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。
【0008】
本開示はまた、本明細書中に開示した核酸のいずれかを含む発現ベクターまたはプラスミドも提供する。本開示はまた、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかを含む宿主細胞も提供する。本開示はまた、本明細書中に開示した
組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれか、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供する。一態様において、薬学的に許容される担体は、約7.5~9.0のpHにて約0.4M~約1.0Mの塩化ナトリウム濃度を含む緩衝溶液を含む。
【0009】
本開示は、それを必要としている対象の免疫応答を増強するかまたは誘発する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかをその対象に投与することを含む方法を提供する。本発明は、それを必要としている対象の免疫応答を増強するかまたは誘発する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかを含む医薬組成物をその対象に投与することを含む方法を提供する。
【0010】
一態様において、免疫応答は、免疫原性細胞死によるものである。一態様において、免疫原性細胞死は、内因性樹状細胞活性化を含む。一態様において、細胞は、カルレティキュリン(CRT)、ヒートショックタンパク質70(HSP70)、ヒートショックタンパク質90(HSP90)、またはそれらの組み合わせを含めたプレアポトーシス傷害関連分子パターン(DAMP)シグナルの発現が増加した。一態様において、細胞は癌細胞である。一態様において、癌細胞は、肺癌、結腸癌または乳癌細胞から成る群から選択される。
【0011】
本開示は、それを必要としている対象の細胞表面における疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかをその対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、それを必要としている対象の細胞表面における疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。一態様において、細胞は癌細胞である。一態様において、癌細胞は、肺癌、結腸癌または乳癌細胞から成る群から選択される。
【0012】
本開示は、それを必要としている対象の細胞増殖性障害の少なくとも1つの症状を治療、予防または緩和する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかの治療的有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、それを必要としている対象の細胞増殖性障害の少なくとも1つの症状を治療、予防または緩和する方法であって、本明細書中に開示した組換えポリペプチドおよび/または核酸のいずれかを含む医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。一態様において、細胞増殖性障害は癌である。一態様において、癌は、肺癌、結腸癌または乳癌から成る群から選択される。
【0013】
本開示はまた、本明細書中に開示した方法のいずれかを実施するための、本明細書中に開示した組成物を含むキットも提供する。
【0014】
いずれの上記態様もその他の態様と組み合わせることができる。
【0015】
別段の定義がない限り、本明細書中に使用されるすべての技術用語および学術用語は、この開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0016】
本明細書中に使用される場合、別段文脈で明確に指示しない限り、単語の単数形にはまたその単語の複数形も含まれる;例として、用語「a」、「an」および「the」が単数または複数であると理解され、かつ、用語「or」が包括的であると理解される。例として、「an element」は1もしくは複数の要素(element)を意味する。
【0017】
明細書を通じて、「含むこと(comprising)」という単語または、例えば「comprise」などの変化形が、述べた要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含を、その他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の除外なしに含意すると理解される。明細書を通じて、「から成ること(consisting of)」という単語または、例えば「consists of」などの変化形が、述べた要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含、かつ、その他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の除外を含意すると理解される。明細書中を通じて単語、「から本質的に成ること(consisting essentially of)」または、例えば「consists essentially of」などの変化形が、述べた要素、整数もしくはステップまたは要素、整数もしくはステップの群、および本願発明の基本的特徴および新規特徴に物質的に影響しないその他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含を含意すると理解される。
【0018】
約とは、述べた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%の範囲内と理解され得る。別段文脈から明確でない限り、本明細書中に提供されたすべての数値が、「約(about)」という用語によって修飾される。
【0019】
本明細書に記載されているものと類似または等価な方法および材料を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、全体として参照により援用する。本明細書に引用される参考文献は、本願開示の先行技術であると認められるものではない。矛盾が存在する場合、定義を含め、本明細書が制御する。さらに、材料、方法、および実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、免疫原性細胞死のいくつかの特徴の図式的描写である。細胞死を示す腫瘍細胞は、例えば、カルレティキュリン(CRT)、HSP70およびHSP90などのプレアポトーシス傷害関連分子パターン(DAMP)シグナルの細胞表面発現を有する。樹状細胞は、DAMPシグナルの認識により活性化される。成熟樹状細胞は、リンパ節に向かって遊走し、順番にT細胞CD4+T細胞およびCD8+T細胞を刺激し、そしてそれが免疫原性細胞死を媒介することに重要である。
【
図2】
図2は、質量分析法によって測定した場合に約20kDaのCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)の分子量を描いたグラフを示す。
【
図3A】
図3Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH441ヒト肺癌細胞株(HTB-174、ATCC)処理後にCRT(Caltreticulin)を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびH441細胞を37℃にて1時間インキュベートした。CRT発現H441細胞を、CRT mAb(Abcam)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図3B】
図3Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図4A】
図4Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH460ヒト肺癌細胞株(HTB-177、ATCC)処理後にCRTを発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を0.1、1、10、25、35、50μg/mlの終濃度に希釈し、およびH460細胞を37℃にて30分間インキュベートした。CRT発現H460細胞を、CRT mAb(Abcam)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図4B】
図4Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図5A】
図5Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたHCT15ヒト大腸癌細胞株(CCL-225、ATCC)処理後にCRTを発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびHCT15細胞を37℃にて55分間インキュベートした。CRT発現HCT15細胞を、CRT mAb(Abcam)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図5B】
図5Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図6A】
図6Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたMCF7ヒト乳癌細胞株(HTB-22、ATCC)処理後にCRTを発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびMCF7細胞を37℃にて1時間10分間インキュベートした。CRT発現MCF7細胞を、CRT mAb(Abcam)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図6B】
図6Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図7A】
図7Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH441ヒト肺癌細胞株(HTB-174、ATCC)処理後にHSP70(70kDaヒートショックタンパク質)を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびH441細胞を37℃にて1時間50分間インキュベートした。Hsp70発現H441細胞を、Hsp70 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図7B】
図7Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図8A】
図8Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH460ヒト肺癌細胞株(HTB-177、ATCC)処理後にHSP70を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を0.1、1、10、25、35、50μg/mlの終濃度に希釈し、およびH460細胞を37℃にて1時間15分間インキュベートした。Hsp70発現H460細胞を、Hsp70 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図8B】
図8Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図9A】
図9Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたHCT15ヒト大腸癌細胞株(CCL-225、ATCC)処理後にHSP70を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびHCT15細胞を37℃にて1時間50分間インキュベートした。Hsp70発現HCT15細胞を、Hsp70 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図9B】
図9Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図10A】
図10Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたMCF7ヒト乳癌細胞株(HTB-22、ATCC)処理後にHSP70を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびMCF7細胞を37℃にて1時間40分間インキュベートした。Hsp70発現MCF7細胞を、Hsp70 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図10B】
図10Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図11A】
図11Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH441ヒト肺癌細胞株(HTB-174、ATCC)処理後にHSP90(90kDaヒートショックタンパク質)を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびH441細胞を37℃にて1時間40分間インキュベートした。Hsp90発現H441細胞を、Hsp90 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図11B】
図11Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図12A】
図12Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH460ヒト肺癌細胞株(HTB-177、ATCC)処理後にHSP90を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を0.1、1、10、25、35、50μg/mlの終濃度に希釈し、およびH460細胞を37℃にて1時間5分間インキュベートした。Hsp90発現H460細胞を、Hsp90 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図12B】
図12Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図13A】
図13Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたHCT15ヒト大腸癌細胞株(CCL-225、ATCC)処理後にHSP90を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびHCT15細胞を37℃にて1時間30分間インキュベートした。Hsp90発現HCT15細胞を、Hsp90 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図13B】
図13Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図14A】
図14Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたMCF7ヒト乳癌細胞株(HTB-22、ATCC)処理後にHSP90を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびMCF7細胞を37℃にて1時間45分間インキュベートした。Hsp90発現MCF7細胞を、Hsp90 mAb(Enzo Life Sciences)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図14B】
図14Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図15A】
図15Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH441ヒト肺癌細胞株(HTB-174、ATCC)処理後にカスパーゼ3/7を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、および75μg/mlの終濃度に希釈し、およびH441細胞を37℃にて2時間45分間インキュベートした。H441細胞を、カスパーゼ3/7(Invitrogen)アッセイを使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図15B】
図15Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図16A】
図16Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたH460ヒト肺癌細胞株(HTB-177、ATCC)処置後にカスパーゼ3/7を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を0.1、1、10、25、35、および50μg/mlの終濃度に希釈し、およびH460細胞を37℃にて2時間45分間インキュベートした。H460細胞を、カスパーゼ3/7(Invitrogen)アッセイを使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図16B】
図16Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図17A】
図17Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたHCT15ヒト大腸癌細胞株(CCL-225、ATCC)処置後のカスパーゼ3/7を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびHCT15細胞を37℃にて2時間30分間インキュベートした。HCT15細胞を、カスパーゼ3/7(Invitrogen)アッセイを使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図17B】
図17Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【
図18A】
図18Aは、様々な濃度のCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を用いたMCF7ヒト乳癌細胞株(HTB-22、ATCC)処置後のカスパーゼ3/7を発現する細胞のパーセンテージを定量化した棒グラフを示す。ストックCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を35、50、75μg/mlの終濃度に希釈し、およびMCF7細胞を37℃にて2時間45分間インキュベートした。MCF7細胞を、カスパーゼ3/7(Invitrogen)アッセイを使用したFACSCalibur(BD Biosciences)フローサイトメトリーによって測定した。
【
図18B】
図18Bは、定量化に使用したフローサイトメトリープロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の詳細な説明
本開示は、組換えポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸、これらのポリペプチドおよび/または核酸を含む医薬組成物、およびそれを必要としている対象の免疫応答を増強するかまたは誘発するためにこれらのポリペプチドおよび/または核酸を使用する方法を提供する。
【0022】
本開示の組成物
【0023】
本開示は、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを提供する。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドも提供する。
【0024】
本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体を提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性である。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体を提供する。
【0025】
「酸性変異体」は、着目の親ポリペプチドまたは元のポリペプチドより酸性である(例えば、pIの計算によって決定される)着目のポリペプチドの変異体である。ポリペプチドの「pi」または「等電点」は、ポリペプチドの陽電荷がその陰電荷と平衡を保つpHを指す。pIは、例えば、ポリペプチドのアミノ酸残基の正味電荷から、当該技術分野で公知の任意の手段によって計算できるか、または等電点電気泳動によって測定できる。
【0026】
いくつかの態様において、酸性変異体は、アミノ酸置換をおこなうことによって元の親配列から誘導される。第一の変異置換は、元の親配列の任意の塩基性アミノ酸(K、RまたはH)中性無極性アミノ酸(G、A、V、L、I、M、F、WまたはP)または中性極性アミノ酸(S、T、C、Y、NまたはQ)を酸性アミノ酸(DまたはE)で置換することによっておこなわれる。第二の変異置換は、第一の変異置換の逆の変異置換をおこなうことによってなされる。例えば、元の親配列由来のすべてのセリン(S)残基がグルタミン酸(E)残基(第一の置換)で置換される。加えて、元の親配列由来のすべてのグルタミン酸(E)残基がセリン(S)残基(第二の置換)で置換される。一態様において、逆置換は、元の親配列のすべてのセリン(S)残基のグルタミン酸(E)への突然変異および元の親配列のすべてのグルタミン酸(E)残基のセリン(S)残基への突然変異;元の親配列のすべてのセリン(S)残基のアスパラギン酸(D)への突然変異および元の親配列のすべてのアスパラギン酸(D)残基のセリン(S)残基への突然変異;元の親配列のすべてのバリン(V)残基のアスパラギン酸(D)への突然変異および元の親配列のすべてのアスパラギン酸(D)のバリン(V)残基への突然変異;または、元の親配列のすべてのセリン(S)残基のロイシン(L)残基への突然変異および元の親配列のすべてのロイシン(L)残基のセリン(S)残基への突然変異を含むか、本質的にそれらから成るか、あるいは、それらから成る。好ましい態様において、アミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)が組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基の量よりも多いか、または同等の量でそれぞれ独立に存在する組換えポリペプチドをもたらす。好ましい態様において、アミノ酸置換は、酸性変異体の3つの最も豊富なアミノ酸残基として、あるいは、酸性変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多い、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基として、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)を伴った組換えポリペプチドをもたらす。いくつかの態様において、アミノ酸の複数の逆の変異置換がおこなわれ得る。
【0027】
本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体も提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性であり、ここで、組換えペプチド変異体のpIは、組換えペプチドが誘導されたペプチド配列のpIより低く、およびロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)が、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、または同等の量でそれぞれ独立に存在する。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るかまたはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体も提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性であり、およびここで、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)が、酸性変異体の3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、あるいは、酸性変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体も提供する。
【0028】
表1A.組換えポリペプチド配列
【表1-1】
【表1-2】
【0029】
好ましい態様において、本開示は、表1Bに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを提供する。本開示はまた、表1Bに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を有する組換えポリペプチドを提供する。
【0030】
表1B.組換えポリペプチド配列
【表2-1】
【表2-2】
【0031】
本開示は、配列番号1のアミノ酸配列、あるいは、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウ(Anser cygnoides domesticus)α-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#XP_013036875.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0032】
本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#XP_013036875.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号1のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0033】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列、あるいは、配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#XP_013036875.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号9は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号9は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号9のpIは、配列番号1のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号9内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する(すなわち、配列番号9の173個のアミノ酸の配列のうち、グルタミン酸(E)は23残基であり、ロイシン(L)は15残基であり、およびアスパラギン酸(D)は14残基であり、なお、プロリン(P)(14残基)が配列番号9内で次に多く存在するアミノ酸残基である)。
【0034】
本開示は、配列番号2のアミノ酸配列、あるいは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るアメリカレア(Rhea Americana)α-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#P02505.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0035】
本開示は、配列番号2のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るアメリカレアα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#P02505.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号2のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0036】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列、あるいは、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るアメリカレアα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#P02505.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号10は、配列番号2のポリペプチドに対して少なくとも75%の配列同一性を有し、配列番号10は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号10のpIは、配列番号2のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号10内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0037】
本開示は、配列番号3のアミノ酸配列、あるいは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、それらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、それらから成るマガモ(Anas platyrhynchos)α-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#O12984.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0038】
本開示は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るマガモα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#O12984.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号3のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0039】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列、あるいは、配列番号11のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るマガモα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#O12984.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号11は、配列番号3のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号11は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号11のpIは、配列番号3のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号11内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0040】
本開示は、配列番号4のアミノ酸配列、あるいは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、それらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、それらから成るマガモα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#Q05557.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0041】
本開示は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るマガモα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#Q05557.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号4のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0042】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列、あるいは、配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るマガモα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#Q05557.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号12は、配列番号4のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号12は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号12のpIは、配列番号4のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号12内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0043】
本開示は、配列番号5のアミノ酸配列、あるいは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るヒト(Homo sapiens)α-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#AAH69528.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0044】
本開示は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るヒトα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#AAH69528.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号5のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0045】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号13のアミノ酸配列、あるいは、配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るヒトα-A-クリスタリン(CRYAA)(GenBank#AAH69528.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号13は、配列番号5のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号13は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号13のpIは、配列番号5のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号13内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0046】
本開示は、配列番号6のアミノ酸配列、あるいは、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)HSP23(GenBank#AAA28637.1)由来のHSP23組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0047】
本開示は、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエHSP23(GenBank#AAA28637.1)由来の酸性HSP23組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、HSP23組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性HSP23組換えポリペプチド変異体であり、ここで、HSP23組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号6のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性HSP23組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性HSP23組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0048】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列、あるいは、配列番号14のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエHSP23(GenBank#AAA28637.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号14は、配列番号6のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号14は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号14のpIは、配列番号6のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号14内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0049】
本開示は、配列番号7のアミノ酸配列、あるいは、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を有する組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエHSP22(GenBank#AAA28635.1)由来のHSP22組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0050】
本開示は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエHSP22(GenBank#AAA28635.1)由来の酸性HSP22組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、HSP22組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性HSP22組換えポリペプチド変異体であり、ここで、HSP22組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号7のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性HSP22組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性HSP22組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0051】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列、あるいは、配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るキイロショウジョウバエHSP22(GenBank#AAA28635.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号15は、配列番号7のポリペプチドに対して少なくとも65%の配列同一性を有し、配列番号15は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号15のpIは、配列番号7のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号15内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0052】
本開示は、配列番号8のアミノ酸配列、あるいは、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#XP_013042703.1)由来のαクリスタリン組換えポリペプチド配列またはアミノ酸配列を提供する。
【0053】
本開示は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#XP_013042703.1)由来の酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異配列またはアミノ酸配列を提供し、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性であるか、または配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体であり、ここで、αクリスタリン組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に、酸性である。いくつかの態様において、組換えポリペプチドのpIは、配列番号8のpIより低い。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれ独立して存在する。いくつかの態様において、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)は、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における3つの最も豊富なアミノ酸残基であるか、または酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。
【0054】
好ましい態様において、組換えポリペプチドは、配列番号16のアミノ酸配列、あるいは、配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、または本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成るシナガチョウα-B-クリスタリン(CRYAB)(GenBank#XP_013042703.1)由来の酸性変異体である。例えば、配列番号16は、配列番号8のポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号16は、pIによって測定した場合に酸性であり、配列番号16のpIは、配列番号8のpIより低く、かつ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)およびロイシン(L)は、配列番号16内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、またはそれと同等の量でそれぞれが独立に存在する。
【0055】
本開示は、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドをコードする単離核酸分子を提供する。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチドをコードする単離核酸分子も提供する。
【0056】
本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチド変異体をコードする単離核酸分子を提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性である。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る組換えポリペプチド変異体をコードする単離核酸分子を提供する。
【0057】
本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体をコードする単離核酸分子も提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性であり、ここで、組換えペプチド変異体のpIは、組換えペプチドが誘導されたペプチド配列のpIより低く、およびロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)が、組換えポリペプチド配列内に存在するその他のアミノ酸残基の量より多いか、または同等の量でそれぞれ独立に存在する。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るかまたはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体をコードする単離核酸分子も提供し、ここで、組換えポリペプチド変異体は、等電点(pI)によって測定した場合に酸性であり、およびここで、ロイシン(L)、アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)が、酸性変異体の3つの最も豊富なアミノ酸配列であるか、あるいは、酸性αクリスタリン組換えポリペプチド変異体における次に豊富なアミノ酸残基より多いか、またはそれと同等に豊富なアミノ酸残基である。本開示はまた、表1Aに示したアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る酸性組換えポリペプチド変異体をコードする単離核酸分子も提供する。
【0058】
本開示はまた、表2Aに示した核酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る単離核酸分子も提供する。本開示はまた、表2Aに示した核酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である核酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る核酸分子も提供する。
【0059】
表2A.核酸配列
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【0060】
好ましい態様において、本開示は、表2Bに示した核酸配列のいずれかを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る単離核酸分子も提供する。本開示はまた、表2Bに示した核酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である核酸配列を含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る核酸分子も提供する。
【0061】
表2B.核酸配列
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【0062】
本開示はまた、本明細書中に開示した組換えポリペプチドまたは核酸を含む医薬組成物も提供する。
【0063】
本発明の医用組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が含まれる。投与経路の例として、非経口、たとえば、静脈内、皮内、皮下、経口(たとえば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整され得る。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに封入することができる。
【0064】
一態様において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、本明細書中に開示した組換えポリペプチドのいずれか一つを含むか、本質的にそれらから成るか、またはそれらから成る。いくつかの態様において、医薬組成物は水性製剤として処方される。水性製剤は、これだけに限定されるものではないが、NaCl、KCl、およびNaOAcから選択され得る塩緩衝剤を含んでも、本質的にそれらから成っても、またはそれらから成ってもよい。好ましい態様において、塩緩衝剤はNaClを含む。より好ましい態様において、NaClは約0.4M~約1.0Mの濃度にて存在する。一態様において、緩衝溶液のpHは約7.5~約9.0である。
【0065】
本発明の化合物または医薬組成物は、化学療法剤治療に現在使用されている周知の方法の多くで対象に投与できる。例えば、癌の治療のために、本発明の化合物は、腫瘍に直接注入されても、血流もしくは体腔に注入されても、内服されてもまたはパッチを用いて皮膚を通して適用されてもよい。
【0066】
本明細書で使用する用語「治療有効量」は、同定された疾患または症状を治療、改善または予防するため、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すための医薬品の量を示す。この効果は、当技術分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出され得る。患者のための正確な有効量は、患者の体重、サイズ、および健康状態;病気の性質および程度;および投与のために選択された治療剤または治療剤の組み合わせに依存する。所定の状況に対する治療有効量は、臨床医の熟練と判断の範囲内である日常的な実験によって決定され得る。一態様において、治療される疾患または症状は細胞増殖性障害である。好ましい態様において、治療される疾患または症状は癌である。
【0067】
いずれかの化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイ、例えば、新生細胞、または動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタのいずれかにおいて、最初に推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために使用され得る。そのような情報は、その後、ヒトにおける投与のための有用な用量および経路を決定するために使用され得る。治療的/予防的有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順、たとえば、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%に致命的な用量)によって決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表わされ得る。大きい治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性、および投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0068】
投与量および投与は、十分なレベルの(単数もしくは複数の)活性物質を提供するように、または所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因として、疾患状態の重篤度、患者の一般的な健康状態、患者の年齢、体重および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、および耐性/治療への応答が挙げられる。
【0069】
本発明の活性化合物を含む医薬組成物は、たとえば、慣用の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水簸、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥法によって、一般的に知られている方法で製造され得る。医薬組成物は、有効化合物の薬学的に使用可能な調製物への加工を容易にする賦形剤および/または補助剤を含む1つ以上の薬学的に許容される担体を用いて従来の方法で製剤化され得る。もちろん、適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0070】
注射用に適した医薬組成物として、滅菌水溶液(水溶性の場合)もしくは分散液および滅菌注射溶液もしくは分散液の即時調製用滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与用には、適切な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には、必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなどのポリアルコールが含まれるのが好ましいであろう。組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが含まれることにより、注射用組成物の持続的吸収がもたらされ得る。
【0071】
滅菌注射液は、必要に応じて、上記に列挙された成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒中に、必要量で活性化合物を配合し、続いて濾過滅菌することによって製造され得る。一般に、分散液は、塩基性分散媒および上記に列挙された成分からの他の必要な成分を含む滅菌ビヒクルに、活性化合物を配合することによって製造される。滅菌注射液の製造用の滅菌粉末の場合、製造方法は、活性成分の粉末およびあらかじめ滅菌濾過されたその溶液からの追加の所望の成分が得られる真空乾燥および凍結乾燥である。
【0072】
口腔用組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、または錠剤に圧縮され得る。経口治療投与のために、活性化合物を賦形剤と配合し、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で使用することができる。口腔用組成物は、口腔洗浄剤として使用するための液体担体を用いて製造することもでき、ここで、液体担体中の化合物は、経口的に適用され、すすがれ、吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物質を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、任意の以下の成分:微結晶性セルロース、トラガントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、Primogelまたはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料などの香味剤、または類似の性質の化合物を含み得る。
【0073】
医薬組成物は、本明細書中に記載した組換えポリペプチドと核酸のいずれかの共配合物を含むことができる。
【0074】
医薬組成物は、投与のための取扱説明書と一緒にコンテナ、パック、またはディスペンサー内に含まれることができる。
【0075】
本開示はまた、本明細書中に開示した組換えポリペプチド、および本明細書中に開示した組換えポリペプチドをコードする核酸分子を含む、プラスミド、発現ベクターおよび宿主細胞を提供する。一態様において、本開示は、核酸分子を含むプラスミドまたは発現ベクターであって、その分子が、配列番号17~32のいずれか一つのヌクレオチド配列、または配列番号17~32の核酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である核酸配列、あるいは、その断片を含むプラスミドまたは発現ベクターを提供する。一態様において、本開示は、配列番号1~16のいずれか一つのアミノ酸配列、もしくは配列番号1~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列、またはその断片を含む組換えポリペプチドを含む宿主細胞、あるいは、配列番号17~32のいずれか一つの核酸配列、もしくは配列番号17~32の核酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一である核酸配列、またはその断片を含む核酸分子を含む宿主細胞を提供する。
【0076】
本明細書で使用する用語「形質転換」、「トランスフェクション」、および「形質導入」とは、細胞内への核酸(すなわち、ヌクレオチドポリマー)移動を指す。本明細書で使用する用語「遺伝子形質転換」とは、細胞内へのDNA、特に組換えDNAの移動および挿入を指す。移した核酸は、発現ベクターを介して細胞内に導入できる。
【0077】
所望のポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、ベクター内に分子を置くことによって繁殖する。プラスミドを含むウイルスおよび非ウイルスベクターが使用できる。プラスミドの選択は、繁殖が所望される細胞種および繁殖目的による。あるベクターは、大量の所望のDNA配列の増幅および作製に有用である。他のベクターは、培養細胞内の発現に適している。さらに、他のベクターは、完全動物またはヒトの細胞内の移動および発現に適している。適切なベクターの選択は、十分に当該技術内である。多くのかかるベクターが市販されている。部分または全長ポリヌクレオチドは、典型的にはDNAリガーゼをベクター中の切断した制限酵素部位に結合させる手段によってベクター内に挿入する。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、インビボ相同再組み合わせによって挿入できる。典型的には、これは所望のヌクレオチド配列の側面上のベクターに対して相同領域を結合することによって成し遂げられる。相同領域は、例えば、オリゴヌクレオチド結紮によって、または相同領域および一部の所望のヌクレオチド配列を両方含むプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって添加する。
【0078】
発現において、発現カセットまたは系を適用してよい。本明細書に開示されたポリペプチドをコードする核酸を発現するため、発現ベクター中の転写発現を制御する調節配列に使用可能に連結しているポリペプチドをコードする核酸分子を宿主細胞内に導入する。プロモーターおよびエンハンサーなどの転写の調節配列に加えて、発現ベクターは、発現ベクターを運ぶ細胞の選択に適した翻訳調節配列およびマーカー遺伝子を含むことができる。本発明のポリヌクレオチドによってコードされる遺伝子生成物は、例えば、細菌、酵母菌、昆虫、両生類および哺乳動物系など、任意の好都合な発現系において発現する。発現ベクターにおいて、ポリヌクレオチドをコードするポリペプチドは、所望の発現特性を得る上で適した調節配列に連結している。これらは、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、および誘導体を含むことができる。プロモーターは、調節されていることも(例えば、pINDベクター導入可能なステロイド由来のプロモーター(Invitrogen))かまたは構成的(例えば、CMV、SV40、伸長因子、またはLTR配列由来のプロモーター)であることもできる。これらは、ベクター連結のための上記技術を用いて所望のヌクレオチド配列に連結している。当該技術分野において知られている任意の技術を使用することができる。したがって、発現ベクターは、一般には、導入可能または構成的であることができる転写および翻訳開始領域を提供し、コード領域は、転写開始領域、ならびに転写および翻訳終了領域の転写制御下で使用可能に結合している。
【0079】
発現カセット(「発現単位」)は、例えば、λ、P1、M13などのプラスミド、BAC、YAC、バクテリオファージ、植物または動物ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベースのベクター、アデノウイルスベクター)などの様々なベクター内に導入でき、ベクターは、通常、発現ベクターを含む細胞選択を得る能力を特徴とする。ベクターは、特にプラスミドまたはウイルスとして、余剰染色体の維持、または宿主染色体内への統合のために提供することができる。余剰染色体の維持が所望される場合、起点配列がプラスミド複製に提供され、これは、低い転写数であることも高い転写数であることもできる。多種多様のマーカー、特に毒素から、より特に抗生物質から保護するものが選択において利用可能である。選択する特定のマーカーは、宿主の性質によって選択され、一部の場合、栄養要求性宿主と共に補足物を使用することができる。DNA構築物の導入には、例えば、接合、細菌の形質転換、カルシウム沈殿DNA、電気穿孔、融合、トランスフェクション、ウイルスベクター感染、微粒子銃などの任意の好都合な方法を使用することができる。
【0080】
したがって、本発明において使用するタンパク質は、従来技術により遺伝学的操作した宿主細胞内に産生することができる。適切な宿主細胞は、形質転換することも外因性DNAでトランスフェクトすることもできる細胞種であり、培養中で増殖し、細菌、真菌細胞、および培養した高等真核細胞(多細胞生物の培養細胞など)、特に培養した哺乳動物細胞を含む。クローン化DNA分子の操作および様々な宿主細胞内への外因性DNA導入技術については、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001), and Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (4th ed., John Wiley & Sons, 1999)に開示されている。例えば、本開示の組換えポリペプチドは、細菌大腸菌(Escherichia coli)細胞から発現される。
【0081】
宿主細胞の分泌経路に組換えポリペプチドを導入するため、分泌シグナル配列(リーダー配列としても知られている)が発現ベクター内に提供され得る。分泌シグナル配列は、組換えタンパク質の天然形態であることも、別の分泌タンパク質もしくはデノボ合成由来であることもできる。分泌シグナル配列は、DNA配列をコードするポリペプチドに使用可能に結合されている、すなわち、2配列は、正確なリーディングフレーム中で結合し、新たに合成されるポリペプチドを宿主細胞の分泌経路内に導くように位置する。分泌シグナル配列は一般に目的のポリペプチドをコードするDNA配列の5位に位置するが、あるシグナル配列は目的のDNA配列内の他の位置に位置することができる(例えば、Welch et al.,米国特許第5,037,743号;Holland et al.,米国特許第5,143,830号を参照のこと)。
【0082】
培養した哺乳動物細胞は、本開示において使用する組換えポリペプチドの産生に適した宿主であり得る。哺乳動物宿主細胞内への外因性DNAの導入方法としては、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション(Wigler et al., Cell 14: 725, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7: 603, 1981: Graham and Van der Eb, Virology 52: 456, 1973)、電気穿孔(Neumann et al., EMBO J. 1: 841-845, 1982)、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション(上記Ausubel et al.)、およびリポソーム媒介性トランスフェクション(Hawley-Nelson et al., Focus 15: 73, 1993; Ciccarone et al., Focus 15: 80, 1993)が挙げられる。培養した哺乳動物細胞内の組換えポリペプチドの産生は、例えば、Levinson et al., 米国特許第4,713,339号;Hagen et al., 米国特許第4,784,950号;Palmiter et al., 米国特許第4,579,821号、ならびにRingold、米国特許第4,656,134号に開示されている。適切な哺乳動物宿主細胞例としては、アフリカミドリザル腎細胞(Vero;ATCC CRL 1587)、ヒト胎児腎細胞(293-HEK;ATCC CRL 1573)、ベビーハムスター腎細胞(BHK-21、BHK-570;ATCC CRL 8544、ATCC CRL 10314)、イヌ腎細胞(MDCK;ATCC CCL 34)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1;ATCC CCL61;CHO DG44;CHO DXB11(Hyclone, Logan, UT);例えば、Chasin et al., Som. Cell. Molec. Genet. 12: 555, 1986も参照されたい))、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラット肝細胞(H-4-II-E;ATCC CRL 1548)SV40形質転換サル腎細胞(COS-1;ATCC CRL 1650)およびマウス胎児細胞(NIH-3T3;ATCC CRL 1658)を挙げることができる。追加の適切な細胞系は当該技術分野において知られており、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Manassas, Virginiaなどの公開保管場所から利用可能である。SV-40またはサイトメガロウイルス由来のプロモーターなどの強い転写プロモーターを使用することができる。例えば、米国特許第4,956,288号を参照のこと。他の適切なプロモーターとしては、メタロチオネイン遺伝子(米国特許第4,579,821号および同第4,601,978号)およびアデノウイルス主要後期プロモーター由来のものが挙げられる。
【0083】
薬剤選択は、外来DNAが挿入されている培養哺乳動物細胞を選択するために一般に使用される。かかる細胞は、一般に「トランスフェクタント」と呼ばれる。選択的薬剤の存在下で培養されている細胞は、目的の遺伝子をそれらの子孫に伝達可能であり、「安定したトランスフェクタント」と呼ばれる。例示的な選択マーカーとしては、ネオマイシンタイプ薬剤、例えばG-418およびその他の存在下で実施するために選択される抗生物質ネオマイシン耐性をコードする遺伝子;ミコフェノール酸/キサンチンの存在下で宿主細胞増殖を可能にするキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼのgpt遺伝子;ならびにゼオシン、ブレオマイシン、ブラストサイジン、およびハイグロマイシン耐性を提供するマーカーが挙げられる(例えば、Gatignol et al., Mol. Gen. Genet. 207: 342, 1987; Drocourt et al., Nucl. Acids Res. 18: 4009, 1990を参照のこと)。選択系は、目的の遺伝子発現レベルを増大する、「増幅」と呼ばれるプロセスに使用することもできる。増幅は、低レベルの選択的薬剤の存在下でトランスフェクタントの培養によって実施し、次いで、選択的薬剤の量を増大して、導入された遺伝子の高値の生成物を産生する細胞を選択する。例示的な増幅可能な選択マーカーは、メトトレキサート耐性を付与するジヒドロ葉酸レダクターゼである。他剤耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も使用することができる。
【0084】
昆虫細胞、植物細胞および鳥細胞を含む他の高等真核細胞も宿主として使用することができる。植物細胞内の遺伝子を発現するベクターとしてのアグロバクテリウムリゾゲネスの使用については、Sinkar et al., J. Biosci. (Bangalore) 11: 47-58, 1987に概説されている。昆虫細胞の形質転換およびそこでの外来ポリペプチドの産生については、GuariNO et al., US 5,162,222およびWO94/06463号に開示されている。
【0085】
昆虫細胞は、組換えバキュロウイルスへ感染させることができ、一般にオートグラファカリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)由来である。King and Possee, The Baculovirus Expression System: A Laboratory Guide (Chapman & Hall, London); O’Reilly et al., Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual (Oxford University Press., New York 1994);およびBaculovirus Expression Protocols. Methods in Molecular Biology (Richardson ed., Humana Press, Totowa, NJ, 1995)を参照のこと。組換えバキュロウイルスは、Luckow et al. (J. Virol. 67: 4566-4579, 1993)に記載されているトランスポゾンベース系の使用を介して産生することもできる。導入ベクターを使用するこの系は、キット形態(BAC-TO-BACキット;Life Technologies, Gaithersburg, MD)で市販されている。導入ベクター(例えば、PFASTBAC1; Life Technologies)はTn7トランスポゾンを含み、目的のタンパク質をコードするDNAを「bacmid」と呼ばれる大きなプラスミドとしてE.コリ(E. coli)中に維持されたバキュロウイルスのゲノム内に移す。Hill-Perkins and Possee, J. Gen. Virol. 71: 971-976, 1990; Bonning et al., J. Gen. Virol. 75: 1551-1556, 1994;およびChazenbalk and Rapoport, J. Biol. Chem. 270: 1543-1549, 1995を参照のこと。さらに、導入ベクターは、上に開示されたポリペプチド伸長または親和性タグをコードするDNAとのインフレーム融合物を含むことができる。当該技術分野において知られている技術を用いて、DNA配列をコードするタンパク質を含む導入ベクターはE.コリ宿主細胞内に形質転換され、細胞は、組換えバキュロウイルスを標示する中断されたlacZ遺伝子を含むbacmidについてスクリーニングされる。組換えバキュロウイルスのゲノムを含むbacmid DNAは共通の技術を用いて単離し、ツマジロク・サヨトウ細胞(Sf9細胞など)のトランスフェクトに使用される。続いて、興味のタンパク質を発現する組換えウイルスを産生する。組換えウイルスストックは、当該技術分野において一般に使用される方法により作製される。
【0086】
タンパク質生成のため、宿主細胞を感染させるために使用される組換えウイルスは、典型的にはフォールアーミーワーム、スポドプテラ・フルギペルダ(例えば、Sf9またはSf21細胞)またはトリコプラシア・ニ(例えば、HIGH FIVE細胞;Invitrogen、Carlsbad、CA)由来の細胞系である。一般にGlick and Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles & Applications of Recombinant DNA (ASM Press, Washington, D.C., 1994)を参照のこと。米国特許第5,300,435号も参照されたい。血清不含培地を用いて細胞を増殖および維持する。適切な培地製剤は、当該技術分野において知られており、市販供給者から得ることができる。細胞は、接種密度約2~5×105細胞から密度1~2×106細胞まで増殖し、この時点で感染多重度(MOI)0.1~10、より典型的には3近くで組換えウイルスストックを追加する。使用される手順は、利用可能である実験室マニュアルに一般に記載されている(例えば、King and Possee、前掲;O’Reilly et al., 前掲;Richardson、前掲を参照のこと)。
【0087】
酵母細胞などの真菌細胞も本開示において使用することができる。これに関する酵母種としては、例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエ、ピキア・パストリス、およびピキア・メタノリカが挙げられる。外因性DNAを用いたサッカロミセス・セレビシエ細胞の形質転換方法およびそこに由来する組換えポリペプチドの産生方法は、例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311号;Kawasaki et al., 米国特許第4,931,373号;Brake、米国特許第4,870,008号;Welch et al., 米国特許第5,037,743号、ならびにMurray et al., 米国特許第4,845,075号に開示されている。形質転換細胞は、選択マーカー、一般に薬剤耐性または特定の栄養素(例えば、ロイシン)の不在下での増殖能によって決定された表現型により選択される。サッカロマイセス・セレヴィシエに使用する例示的なベクター系は、Kawasaki et al(米国特許第4,931,373号)に開示されているPOT1ベクター系であり、これはグルコース含有培地中の増殖によって形質転換細胞を選択させる。酵母中の使用に適したプロモーターおよびターミネーターとしては、解糖系酵素遺伝子(例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311号;Kingsman et al., 米国特許第4,615,974号、ならびにBitter、米国特許第4,977,092号を参照のこと)およびアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来のものが挙げられる。米国特許第4,990,446号;同第5,063,154号;同第5,139,936号、ならびに同第4,661,454号も参照されたい。ハンセヌラポリモルファ、シゾサッカロミセスポンベ、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・フラギリス、ウスチラゴ・マイディス、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・ギリエルモンデイ、およびカンジダ・マルトーサなどの他の酵母菌の形質転換系が当該技術分野において知られている。例えば、Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132: 3459-3465, 1986; Cregg、米国特許第4,882,279号、ならびにRaymond et al., Yeast 14: 11-23, 1998を参照のこと。アスペルギルス細胞は、McKnight et al., 米国特許第4,935,349号の方法により使用することができる。アクレモニウム・クリソゲヌムの形質転換方法は、Sumino et al., 米国特許第5,162,228号に開示されている。ニューロスポーラの形質転換方法は、Lambowitz、米国特許第4,486,533号に開示されている。ピキア・メタノリカ中の組換えタンパク質の産生は、米国特許第5,716,808号;同第5,736,383号;同第5,854,039号、ならびに同第5,888,768号に開示されている。
【0088】
細菌大腸菌、バチルス属(Bacillus)、および他の属の原核生物宿主細胞も本開示において有用な宿主細胞である。これら宿主の形質転換およびそこでクローニングした外来DNA配列の発現技術については、当該技術分野において周知である(例えば、上記Sambrook and Russellを参照のこと)。E.コリなどの細菌中の組換えタンパク質発現時、タンパク質は、典型的には不溶性顆粒として細胞質中に保持することも、細菌分泌配列による周辺腔を指向とすることもできる。前者の場合、細胞は溶解し、顆粒は例えば、グアニジンイソチオシアネートまたは尿素を用いて回収され変性する。変性タンパク質は、次いで、尿素液ならびに還元および酸化グルタチオンの組み合わせに対する透析、続いて、緩衝生理食塩水溶液に対する透析によるなど、変性剤の希釈によって、再折畳み、二量体化することができる。あるいは、タンパク質は細胞質から可溶形態で単離し、変性剤を使用せずに回収することができる。タンパク質は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水中、水性抽出物として細胞から回収する。目的のタンパク質を捕獲するため、抽出物は、固定化抗体またはヘパリンセファロースカラムなどのクロマトグラフ培地に直接適用する。細胞を(例えば、超音波処理または浸透圧ショックによって)中断して周辺腔の中味を放出し、タンパク質を回収し、したがって、変性および再折畳みの必要を回避することによって、分泌タンパク質を可溶形態および官能形態で周辺腔から回収することができる。
【0089】
栄養剤および選択した宿主細胞の増殖に必要な他の成分を含む培養培地中で従来の手順によって形質転換されたまたはトランスフェクトした宿主細胞を培養する。定義した培地および複合体培地を含む様々な適切な培地が当該技術分野において知られており、一般に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよびミネラルを含む。培地は、必要に応じて増殖因子または血清などの成分を含むこともできる。増殖培地は、一般に、例えば、薬剤選択または発現ベクター上で行われる選択マーカーによって補充されるかまたは宿主細胞内に共トランスフェクトされる必須栄養素欠乏によって外的に添加されたDNAを含む細胞のために選択される。
【0090】
組換えポリペプチドは、従来のタンパク質精製方法により、典型的にはクロマトグラフ技術の組み合わせによって精製する。一般にAffinity Chromatography: Principles & Methods (Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (Springer-Verlag, New York 1994)を参照のこと。追加の精製ステップ(ゲル濾過など)を用いて所望のレベルの純度を得ることも脱塩緩衝液交換などを得ることもできる。
【0091】
本開示の方法
【0092】
本開示は、それを必要としている対象の免疫応答を増強するかまたは誘発するための方法を提供する。それを必要としている対象は、細胞増殖異常を患っている対象であり得る。一態様において、その対象は癌に罹患しており、かつ、その細胞は癌細胞である。好ましい態様において、対象は肺癌、結腸癌または乳癌を患っている。好ましい態様において、癌細胞は、肺癌細胞、結腸癌細胞または乳癌細胞である。
【0093】
一態様において、それを必要としている対象の免疫応答を増強するかまたは誘発するための方法は、本開示の組換えポリペプチド、または本開示の組換えポリペプチドをコードする核酸のうちの少なくとも1つを投与することを含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号1~8の組換えポリペプチド、または配列番号1~8のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列、あるいは、本明細書中に記載したその酸性変異体を含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは配列番号9~16の組換えポリペプチド、または配列番号9~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号9の組換えポリペプチドを含む。
【0094】
本開示はまた、それを必要としている対象の細胞表面における疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発するための方法も提供する。それを必要としている対象は、細胞増殖異常を患っている対象であり得る。一態様において、その対象は癌に罹患しており、かつ、その細胞は癌細胞である。好ましい態様において、対象は肺癌、結腸癌または乳癌を患っている。好ましい態様において、癌細胞は、肺癌細胞、結腸癌細胞または乳癌細胞である。
【0095】
一態様において、それを必要としている対象の細胞表面における疾患関連抗原の内因性提示を増強するかまたは誘発するための方法は、本開示の組換えポリペプチド、または本開示の組換えポリペプチドをコードする核酸のうちの少なくとも1つを投与することを含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号1~8の組換えポリペプチド、または配列番号1~8のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列、あるいは、本明細書中に記載したその酸性変異体を含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは配列番号9~16の組換えポリペプチド、または配列番号9~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号9の組換えポリペプチドを含む。
【0096】
一態様において、「免疫応答」を増強するかまたは誘発することは、例えば、サイトカイン遊離応答または液性(抗原特異的)免疫応答であり得る。例えば、高められるべき免疫応答は、先天性免疫応答、局所的免疫応答、粘膜免疫応答または全身的免疫応答であり得る。本明細書中に使用される場合、「増強する」または「増強すること」という用語は、既存の免疫応答の強化(増大)を指す。「誘発すること」という用語は、免疫応答の開始を指す。
【0097】
一態様において、「免疫応答」とは「免疫原性細胞死」または「免疫原性アポトーシス」を指し、そしてそれは、死滅細胞によって示された抗原に対するロバスト免疫応答を特徴とする(
図1)。死滅細胞、例えば、癌細胞などは、カルレティキュリン(CRT)、HSP70、HSP90、またはそれらの組み合わせを含めたプレアポトーシス傷害関連分子パターン(DAMP)シグナルの発現増加を有し得る。好ましい態様において、細胞は、CRT、HSP70、およびHSP90のそれぞれの発現増加を有する。当業者に知られている技術が、これらの細胞表面マーカーの発現を評価するのに使用できる。例えば、細胞表面マーカーの発現は、例えば、フローサイトメトリー、免疫細胞化学(例えば、組織特異的または細胞マーカー特異的抗体を用いた染色)、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、磁気活性化セルソーティング(MACS)または当該技術分野で知られている他の類似の方法などの標準的な技術を使用することで評価できる。蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づく、細胞を含めて、粒子を分離するための周知の方法である(Kamarch, 1987, Methods Enzymol, 151:150-165)。個別粒子における蛍光部分のレーザ励起は、わずかな電荷をもたらし、そして、混合物からのプラスおよびマイナス粒子の電磁分離を可能にする。一態様において、細胞表面マーカー特異的抗体またはリガンドは、異なった蛍光標識によって標識される。細胞はフローサイトメータを通して加工され、そして、使用される抗体に結合するそれらの能力に基づいた細胞の分離を可能にする。一態様において、本開示の方法は、例えば、癌細胞表面などの細胞表面におけるプレアポトーシスHSP70、HSP90またはカルレティキュリンの発現を誘発する。
【0098】
一態様において、「免疫原性細胞死」または「免疫原性アポトーシス」は、例えば、癌細胞などの細胞と樹状細胞の相互作用を伴い、そして、内因性樹状細胞の活性化、樹状細胞の成熟、および食作用のより急速な速度につながる。樹状細胞によるカルレティキュリン(CRT)、HSP70、HSP90、またはそれらの組み合わせを含めたプレアポトーシスDAMPシグナルの認識は「内因性樹状細胞の活性化」を引き起こす。これは「樹状細胞の成熟」につながり、そしてそれは、細胞内エンドサイトーシス区画から樹状細胞表面への主要組織適合性複合体(MHC)分子の再分布、抗原内部化の下方調節、(CD80およびCD86を含めた)共刺激分子の表面発現の増大、細胞骨格の再組織化、ケモカイン、サイトカインおよびプロテアーゼの分泌、接着分子の表面発現、およびケモカイン受容体の表面発現を含む。免疫原性細胞死によって死滅した癌細胞に晒された成熟樹状細胞は、リンパ節に遊走し、(CD4+およびCD8+T細胞を含めた)多数の腫瘍特異的Tリンパ球を誘発できる。これは、癌細胞に対する標的化T細胞媒介性反応を引き起こす。「免疫原性細胞死」または「免疫原性アポトーシス」のプロセスは
図1に示されている。当業者は、細胞死を誘発することが知られているすべての技術が必ずしも免疫原性細胞死を誘発するわけではないことを十分に理解する。免疫原性細胞死を誘発する剤だけが、効果的な内因性樹状細胞の活性化を誘発する。一態様において、「免疫応答」とは、内因性樹状細胞の活性化、樹状細胞の成熟またはT細胞媒介性反応、あるいは、それらの組み合わせを指す。
【0099】
一態様において、「アポトーシス」とは、プログラム細胞死として知られている細胞シグナル伝達カスケードを記載するのに使用される用語である。様々な治療用適応症が、アポトーシス(例えば、癌)を誘発する分子に対して存在している。アポトーシスは、例えば、DNAの断片化、膜非相称の変化、アポトーシスカスパーゼの活性化および/または
シトクロムCおよびAIFの放出を計測するアッセイ含めた当該技術分野で知られているおよび利用可能な多くの利用可能な技術のいずれによっても観察できる。一態様において、アポトーシスは、カスパーゼ3/7の活性化および発現によって計測される。
【0100】
本開示はまた、それを必要としている対象の細胞増殖性障害のうちの少なくとも1つの症状を治療するか、予防するかまたは緩和するための方法を提供する。一態様において、その方法は、それを必要としている対象の細胞増殖性障害のうちの少なくとも1つの症状を緩和することである。一態様において、細胞増殖性障害は癌である。好ましい態様において、癌は、肺癌、結腸癌または乳癌である。
【0101】
一態様において、それを必要としている対象の細胞増殖性障害のうちの少なくとも1つの症状を治療するか、予防するかまたは緩和するための方法は、本開示の組換えポリペプチド、または本開示の組換えポリペプチドをコードする核酸のうちの少なくとも1つを投与することを含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号1~8の組換えポリペプチド、または配列番号1~8のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列、あるいは、本明細書中に記載したその酸性変異体を含む。一態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは、配列番号9~16の組換えポリペプチドを含む。好ましい態様において、本開示の組換えポリペプチドのうちの少なくとも1つは配列番号9の組換えポリペプチド、または配列番号9~16のアミノ酸配列のいずれかに対して少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0102】
本明細書中に使用する場合、「対象」とは、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダであり得る。好ましい態様において、対象はヒトである。一態様において、「それを必要としている対象」とは、細胞増殖性障害を患っている対象、または一般集団と比較して細胞増殖性障害の発症に関して高いリスクを有する対象である。一態様において、それを必要としている対象は、前癌状態を患っている。好ましい態様において、それを必要としている対象は、癌を患っている。
【0103】
本明細書中に使用される場合、「治療すること」とは、疾患、病状、または障害と闘うための患者の管理およびケアのことを記述しており、そして、症状または合併症の軽減または緩和すること、あるいは、疾患、病状または障害を除去することを含む。本明細書中に使用する場合、「予防すること」とは、疾患、病状または障害の症状または合併症の発症を止めることを記述している。本明細書中に使用する場合、「緩和すること」とは、疾患、病状または障害の症状または合併症を軽減することを記述している。
【0104】
本明細書中で使用されている用語「細胞増殖性障害」は、細胞の無秩序なおよび/または異常な増殖が望ましくない状態または疾患の発症をもたらし得る状態を指し、これらの状態は癌性でも癌性でなくてもよい。本開示の細胞増殖性障害の例は細胞分裂が調節解除されている各種状態を包含する。細胞増殖性障害の例には、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前癌状態、上皮内癌、被包型腫瘍、転移性腫瘍、液性腫瘍、固体腫瘍、免疫学的腫瘍、血液癌、癌、癌腫、白血病、リンパ腫、肉腫および急速に分裂する細胞が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用されている用語「急速に分裂する細胞」は、同一組織内の隣接または近位の細胞中で予測または観察されるものを超えるまたはそれよりも速い速度で分裂する細胞と定義される。細胞増殖性障害には、前癌または前癌状態が含まれる。細胞増殖性障害には、癌が含まれる。一態様において、本発明で提供される方法は癌の症状を治療または緩和するために使用される。用語「癌」には、固体腫瘍、並びに血液腫瘍および/または悪性疾患が含まれる。「前癌細胞」または「前癌性細胞」は、前癌または前癌状態である細胞増殖性障害を呈している細胞である。「癌細胞」または「癌性細胞」は、癌である細胞増殖性障害を呈している細胞である。再現性の測定手段が癌細胞または前癌細胞を同定するために使用され得る。癌細胞または前癌性細胞は、組織サンプル(例えば、生検サンプル)を組織学的に類別または格付けすることにより同定され得る。癌細胞または前癌細胞は適切な分子マーカーを使用して同定され得る。
【0105】
非癌性状態または疾患の例としては、これだけに限定されるものではないが、関節リウマチ;炎症;自己免疫疾患;リンパ増殖性状態;先端巨大症;リウマチ性脊椎炎;骨関節炎;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血性ショック;エンドトキシンショック;グラム陰性敗血症;毒素性ショック症候群;喘息;成人呼吸窮迫症候群;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵臓線維症;肝臓線維症;急性および慢性腎疾患;過敏性腸症候群;発熱;再狭窄;大脳マラリア;卒中および虚血性損傷;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎;アレルギー性結膜炎;慢性心不全;急性冠状症候群;悪液質;マラリア;らい病;リーシュマニア病;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋変性、滑液包炎;腱炎;腱滑膜炎;椎間板ヘルニア、破損または脱出した椎間板症候群;大理石骨病;血栓症;再狭窄;珪肺病;肺サルコーシス;骨吸収疾患、例えば骨粗鬆症;移植片対宿主症;多発性硬化症;狼瘡;線維筋痛症;AIDSおよび他のウイルス疾患、例えば帯状疱疹、単純ヘルペスIまたはII、インフルエンザウイルスおよびサイトメガロウイルス;および糖尿病が挙げられる。
【0106】
癌の例としては、これだけに限定されるものではないが、副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管の癌、虫垂癌、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、基底細胞癌、皮膚癌(非黒色腫)、胆管癌、肝臓外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌、膀胱癌、骨関節癌、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳癌、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性グリオーマ、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視経路および視床下部グリオーマ、乳癌、気管支腺種/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、胃腸神経系癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、大腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管癌、眼癌、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(胃)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞(肝)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、眼癌、膵島細胞腫瘍(膵臓内分泌腺)、カポジ肉腫、腎臓癌、腎癌、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、口唇癌および口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストレーム型マクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞腫、悪性中皮腫、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、舌癌、多発性内分泌腺腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形性症候群、骨髄異形性/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性疾患、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔癌、口腔咽頭癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、副鼻腔癌および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜胚芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂および尿管、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、腎盂、尿管および他の泌尿器の移行上皮癌、妊娠性トロホブラスト腫瘍、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、子宮体癌、膣癌、外陰癌およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0107】
「肺癌」は、肺細胞を冒す細胞増殖性障害である。一態様において、肺癌には、肺細胞に影響を与える細胞増殖性障害の全ての形態が含まれる。一態様において、肺癌には、肺癌、肺の前癌または前癌状態、肺の良性増殖または病変、肺の悪性増殖または病変、および肺以外の身体中の組織および臓器における転移性病変が含まれる。好ましい態様において、本開示の方法は、肺癌または肺癌を治療するために使用され得る。一態様において、肺癌としては、肺癌の全ての形態が挙げられる。別の態様において、肺癌としては、悪性肺新生物、上皮内癌、典型的カルチノイド腫瘍および異型カルチノイド腫瘍が挙げられる。別の態様において、肺癌としては、小細胞肺癌(「SCLC」)、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、扁平上皮癌、腺癌、小細胞癌、大細胞癌、腺扁平上皮癌および中皮腫が挙げられる。別の態様において、肺癌としては、「瘢痕癌」、気管支肺胞上皮癌、巨細胞癌、紡錘形細胞癌および大細神経内分泌癌が挙げられる。一態様において、肺癌としては、ステージ0、IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIBおよびIV肺癌が挙げられる。別の態様において、肺癌としては、組織学的および超微細構造的不均一性(例えば、混合細胞タイプ)を有する肺新生物が挙げられる。
【0108】
一態様において、肺癌としては、肺細胞に影響を与える細胞増殖性障害の全ての形態が挙げられる。一態様において、肺の細胞増殖性障害としては、肺癌、肺の前癌状態が挙げられる。一態様において、肺の細胞増殖性障害としては、肺の過形成、異形成および形成異常が挙げられる。別の態様において、肺癌としては、アスベスト誘発性過形成、扁平上皮化生および良性反応性中皮化生が挙げられる。別の態様において、肺の細胞増殖性障害は、円柱上皮の重層扁平上皮の置換、および粘膜形成異常が挙げられる。別の態様において、吸入した有害な環境物質、例えば喫煙およびアスベストに曝されている個人は、肺癌を発症するリスクが高いことがあり得る。別の態様において、個人が肺癌を発症しやすくなり得る前肺疾患としては、慢性間質性肺疾患、壊死性肺疾患、強皮症、リウマチ様疾患、サルコイドーシス、間質性肺炎、結核、反復性肺炎、特発性肺線維症、肉芽腫、石綿症、線維性肺胞炎およびホジキン病が挙げられる。
【0109】
「結腸癌」は結腸の細胞を冒す細胞増殖性障害である。好ましい態様において、本開示の方法は、結腸癌または結腸癌を治療するために使用され得る。一態様において、結腸癌としては、結腸癌の全ての形態が挙げられる。別の態様において、結腸癌としては、散発性および遺伝性結腸癌が挙げられる。別の態様において、結腸癌としては、悪性結腸新生物、上皮内癌、典型的カルチノイド腫瘍および異形カルチノイド腫瘍が挙げられる。別の態様において、結腸癌としては、腺癌、扁平上皮癌および腺扁平上皮癌が挙げられる。別の態様において、結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ・ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群に関係する。別の態様において、結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性腺腫性ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ・ジェガーズ症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群に起因する。
【0110】
一態様において、結腸癌としては、結腸細胞に影響を与える細胞増殖性障害の全ての形態が挙げられる。一態様において、結腸癌としては、結腸癌、結腸の前癌状態、結腸の腺腫性ポリープおよび結腸の異時性病変が挙げられる。一態様において、結腸癌としては、ステージ0、I、IIA、IIB、IIC、IIIA、IIIB、IIIC、IVA、IVB、およびIVC結腸癌が挙げられる。一態様において、結腸癌としては、腺腫が挙げられる。一態様において、結腸癌としては、結腸の過形成、異形成または形成異常によって特徴づけられる。別の態様において、個人が結腸癌を発症しやすくなり得る前結腸疾患としては、前結腸癌が挙げられる。別の態様において、個人が結腸癌を発症しやすくなり得る現在の疾患としては、クローン病および潰瘍性大腸炎が挙げられる。一態様において、結腸癌は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子の突然変異に関係する。別の態様において、個人は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子に突然変異が存在するために結腸癌を発症する高いリスクを有する。
【0111】
「乳癌」は、乳房の細胞を冒す細胞増殖性障害である。好ましい態様において、乳癌としては、乳房細胞に影響を与える細胞増殖性障害の全ての形態が挙げられる。一態様において、乳癌としては、乳癌、乳房の前癌または前癌状態、乳房の良性増殖または病変、乳房の悪性増殖または病変、および乳房以外の身体中の組織および臓器における転移性病変が挙げられる。別の態様において、乳癌としては、乳房の過形成、異形成および形成異常が挙げられる。
【0112】
一態様において、乳癌は、乳房の前癌状態である。一態様において、本開示の方法は、乳房の前癌状態を治療するために使用され得る。一態様において、乳房の前癌状態としては、乳房の異形増殖症、非浸潤性乳管癌(DCIS)、管内癌、上皮内小葉癌(LCIS)、小葉癌、および乳房のステージ0またはグレード0の増殖または病変(例えば、ステージ0またはグレード0の乳癌、すなわち上皮内癌)が挙げられる。別の態様において、乳房の前癌状態は、原発性腫瘍(T)をT0またはTisのステージに割り当て、所属リンパ節(N)をN0のステージに割り当て、遠隔転移(M)をM0のステージに割り当てる対がん米国合同委員会(AJCC)が承認しているTNM分類スキームに従って段階づけられた。
【0113】
一態様において、本開示の方法は、乳癌を治療するために使用され得る。一態様において、乳癌としては、乳癌の全ての形態が挙げられる。一態様において、乳癌としては、原発性上皮性乳癌が挙げられる。別の態様において、乳癌としては、乳房が他の腫瘍、例えばリンパ腫、肉腫または黒色腫で冒されている癌が挙げられる。別の態様において、乳癌としては、乳房の癌、乳房の管癌、乳房の小葉癌、乳房の未分化癌、乳房の葉状膿肉腫、乳房の血管肉腫および乳房の原発性リンパ腫が挙げられる。一態様において、乳癌としては、ステージI、II、IIIA、IIIB、IIICおよびIV乳癌が挙げられる。一態様において、乳房の管癌としては、浸潤性癌、管内成分優位の非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌、およびコメド、粘液性(コロイド)、髄様、リンパ球浸潤を有する髄様、乳頭状、硬性および管状からなる群から選択される組織学的タイプを有する乳房の管癌が挙げられる。一態様において、乳房の小葉癌としては、管内成分優位の浸潤性小葉癌、浸潤性小葉癌および浸潤性小葉癌が挙げられる。一態様において、乳癌としては、パジェット病、管内癌を有するパジェット病および浸潤性管癌を有するパジェット病が挙げられる。別の態様において、乳癌としては、組織学的および超微細構造的不均一性(例えば、混合細胞タイプ)を有する乳房新生物が挙げられる。
【0114】
一態様において、癌を治療することで、腫瘍の大きさの縮小をもたらす。腫瘍の大きさの縮小は「腫瘍退縮」とも称され得る。好ましくは、治療後、腫瘍の大きさは治療前の大きさに比べて5%以上縮小し;より好ましくは、腫瘍の大きさは10%以上縮小し;より好ましくは、20%以上縮小し;より好ましくは、30%以上縮小し;より好ましくは、40%以上縮小し;より一層好ましくは、50%以上縮小し;最も好ましくは、75%以上縮小している。腫瘍の大きさは任意の再現性のある測定手段により測定され得る。好ましい態様において、腫瘍の大きさは腫瘍の直径として測定され得る。
【0115】
別の態様において、癌を治療することで、腫瘍容積の減少をもたらす好ましくは、治療後、腫瘍容積は治療前の大きさに比べて5%以上削減され;より好ましくは、腫瘍容積は10%以上削減され;より好ましくは、20%以上削減され;より好ましくは、30%以上削減され;より好ましくは、40%以上削減され;より一層好ましくは、50%以上削減され;最も好ましくは、75%以上削減され得る。腫瘍容積は任意の再現性のある測定手段により測定され得る。
【0116】
別の態様において、癌を治療することで、腫瘍の数の削減をもたらす好ましくは、治療後、腫瘍の数は治療前の数に比べて5%以上削減され;より好ましくは、腫瘍の数は10%以上削減され;より好ましくは、20%以上削減され;より好ましくは、30%以上削減され;より好ましくは、40%以上削減され;より一層好ましくは、50%以上削減され;最も好ましくは、75%以上削減される。腫瘍の数は任意の再現性のある測定手段により測定され得る。好ましい態様において、腫瘍の数は、肉眼でまたは特定倍率で見える腫瘍をカウントすることにより測定され得る。好ましい態様において、特定倍率は2×、3×、4×、5×、10×、または50×である。
【0117】
別の態様において、癌を治療することで、原発腫瘍部位から遠隔の他の組織または臓器中の転移性病変の数の削減をもたらす。好ましくは、治療後、転移性病変の数は治療前の数に比べて5%以上削減され;より好ましくは、転移性病変の数は10%以上削減され;より好ましくは、20%以上削減され;より好ましくは、30%以上削減され;より好ましくは、40%以上削減され;より一層好ましくは、50%以上削減され;最も好ましくは、75%削減される。転移性病変の数は任意の再現性のある測定手段により測定され得る。好ましい態様において、転移性病変の数は、肉眼でまたは特定倍率で見える転移性病変をカウントすることにより計測され得る。好ましい態様において、特定倍率は2×、3×、4×、5×、10×、または50×である。
【0118】
別の態様において、癌を治療することで、治療を受けた対象の集団の平均生存期間を担体のみを投与された集団と比較して延長する。好ましくは、平均生存期間は30日以上、より好ましくは60日以上、より好ましくは90日以上、最も好ましくは120日以上延長する。集団の平均生存期間の延長は任意の再現性のある手段により計測され得る。好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物を用いる治療を開始後の生存の平均長さを計算することにより計測され得る。別の好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物での治療の第1ラウンドの完了後の生存の平均長さを計算することによっても計測され得る。
【0119】
別の態様において、癌を治療することで、治療を受けた対象の集団の平均生存期間を、治療を受けていない対象の集団と比較して延長する。好ましくは、平均生存期間は30日以上、より好ましくは60日以上、より好ましくは90日以上、最も好ましくは120日以上延長する。集団の平均生存期間は任意の再現性のある手段により計測され得る。好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物を用いる治療を開始後の生存の平均長さを計算することにより計測され得る。別の好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物での治療の第1ラウンドの完了後の生存の平均長さを計算することによっても計測され得る。
【0120】
別の態様において、癌を治療することで、本開示の組換えポリペプチドでない治療を受けた集団と比較して、治療を受けた対象集団の平均生存期間の延長をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日以上、より好ましくは60日以上、より好ましくは90日以上、最も好ましくは120日以上延長する。集団の平均生存期間の延長は任意の再現性のある手段により計測され得る。好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物を用いる治療を開始後の生存の平均長さを計算することにより計測され得る。別の好ましい態様において、集団の平均生存期間の延長は、例えば集団について活性化合物での治療の第1ラウンドの完了後の生存の平均長さを計算することによっても計測され得る。
【0121】
別の態様において、癌を治療することで、担体のみを投与された集団と比較して、治療を受けた対象の集団の死亡率の低下をもたらす。別の態様において、癌を治療することで、治療を受けていない集団と比較して、治療を受けた対象の集団の死亡率の低下をもたらす。更なる態様において、癌を治療することで、本開示の組換えポリペプチドでない薬物を用いる単独治療を受けた集団と比較して、治療を受けた対象の集団の死亡率の低下をもたらす。好ましくは、死亡率は2%以上、より好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、最も好ましくは25%以上低下している。好ましい態様において、治療を受けた対象の集団の死亡率の低下は任意の再現性のある手段により計測され得る。別の好ましい態様において、集団の死亡率の低下は、例えば集団について活性化合物を用いる治療を開始後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することにより計測され得る。別の好ましい態様において、集団の死亡率の低下は、例えば集団について活性化合物での治療の第1ラウンドの完了後の単位時間あたりの疾患関連死の平均数を計算することによっても計測され得る。
【0122】
別の態様において、癌を治療することで、腫瘍増殖率の低下をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍増殖率は治療前の数に比べて少なくとも5%削減される。より好ましくは、腫瘍増殖率は、少なくとも10%削減され;より好ましくは少なくとも20%削減され;より好ましくは少なくとも30%削減され;より好ましくは少なくとも40%削減され;より好ましくは少なくとも50%削減され;より一層好ましくは少なくとも50%削減され;最も好ましくは少なくとも75%削減される。腫瘍増殖率は任意の再現性のある測定手段により計測され得る。好ましい態様において、腫瘍増殖率は単位時間あたりの腫瘍直径の変化に従って計測される。
【0123】
別の態様において、癌を治療することで、腫瘍再増殖の低下をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍再増殖は5%未満である;より好ましくは、腫瘍再増殖は10%未満、より好ましくは20%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは50%未満、より一層好ましくは50%未満、最も好ましくは75%未満である。腫瘍再増殖は任意の再現性のある測定手段により計測され得る。好ましい態様において、腫瘍再増殖は、例えば治療に続いて以前腫瘍が縮小した後の腫瘍の直径の増加を測定することにより計測される。別の好ましい態様において、腫瘍再増殖の減少は治療を中止した後の腫瘍の再発の失敗により示される。
【0124】
別の態様において、癌を治療、予防、または緩和することで、細胞増殖率の低下をもたらす。好ましくは、治療後、細胞増殖率は少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より一層好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%削減され得る。細胞増殖率は任意の再現性のある測定手段により計測され得る。好ましい態様において、細胞増殖率は、例えば単位時間あたりの組織サンプル中の分裂細胞の数を測定することにより調べられる。
【0125】
別の態様において、癌を治療、予防、または緩和することで、増殖細胞の比率の減少をもたらす。好ましくは、治療後、増殖細胞の比率は少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より一層好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%削減される。増殖細胞の比率は任意の再現性のある測定手段により計測され得る。好ましい態様において、増殖細胞の比率は、例えば組織サンプル中の非分裂細胞の数に対する分裂細胞の数を量化することにより調べられる。別の好ましい態様において、増殖細胞の比率は分裂像数と同等である。
【0126】
別の態様において、癌を治療、予防、または緩和することで、細胞増殖のエリアまたはゾーンの大きさの減少をもたらす。好ましくは、治療後、細胞増殖のエリアまたはゾーンの大きさは治療前のその大きさに比べて少なくとも5%削減され;より好ましくは、少なくとも10%削減され;より好ましくは、少なくとも20%削減され;より好ましくは、少なくとも30%削減され;より好ましくは、少なくとも40%削減され;より好ましくは、少なくとも50%削減され;より一層好ましくは、少なくとも50%削減され;最も好ましくは、少なくとも75%削減される。細胞増殖のエリアまたはゾーンの大きさは任意の再現性のある測定手段により計測され得る。好ましい態様において、細胞増殖のエリアまたはゾーンの大きさは細胞増殖のエリアまたはゾーンの直径または幅として測定され得る。
【0127】
別の態様において、癌を治療、予防、または緩和することで、異常な外観またはモルホロジーを有する細胞の数または比率の減少をもたらす。好ましくは、治療後、異常なモルホロジーを有する細胞の数は治療前のその数に比べて少なくとも5%削減され;より好ましくは、少なくとも10%削減され;より好ましくは、少なくとも20%削減され;より好ましくは、少なくとも30%削減され;より好ましくは、少なくとも40%削減され;より好ましくは、少なくとも50%削減され;より一層好ましくは、少なくとも50%削減され;最も好ましくは、少なくとも75%削減される。異常な細胞の外観またはモルホロジーは任意の再現性のある測定手段により計測され得る。一態様において、異常な細胞モルホロジーは、例えば倒立組織培養顕微鏡を用いる顕微鏡検査により計測される。一態様において、異常な細胞モルホロジーは核多形性の形態をとる。
【0128】
一態様において、癌または細胞増殖性障害を治療することで、細胞死をもたらし、そして、好ましくは、細胞死は集団中の細胞の数の少なくとも10%減少をもたらす。より好ましくは、細胞死は少なくとも20%の減少、より好ましくは少なくとも30%の減少、より好ましくは少なくとも40%の減少、より好ましくは少なくとも50%の減少、最も好ましくは少なくとも75%の減少を意味する。集団中の細胞の数は任意の再現性のある手段により計測され得る。一態様において、集団中の細胞の数は蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)により計測される。別の態様において、集団中の細胞の数は免疫蛍光顕微鏡検査により計測される。別の態様において、集団中の細胞の数は光学顕微鏡検査により計測される。別の態様において、細胞死の測定方法は、Li et al., (2003) Proc Natl Acad Sci U S A. 100(5): 2674-8に記載されている。好ましい態様において、細胞死は免疫原性細胞死によって起こる。
【0129】
任意の上記の態様を、本明細書中に開示したその他の態様と組み合わせることができる。
【実施例】
【0130】
実施例1:組換えポリペプチド製造方法
【0131】
材料と方法
【0132】
本開示の組換えポリペプチドを製造する方法では、表3に開示したPCRプライマーを利用した。
【0133】
【0134】
鋳型DNAの調製
【0135】
シナガチョウからの完全長CRYAA配列(配列番号17)を、Pfuポリメラーゼを使用したPCR反応によって増幅した。A1プライマー(配列番号33)とA2プライマー(配列番号34)をPCR反応に使用した。遺伝子を、製造業者のプロトコールを使用してpET24aベクター(Novagen)のNdeIおよびHindIII部位にクローニングした。連結混合物を、大腸菌DH5α細胞に形質転換し、そして、形質転換体をLBアンピシリンプレートにより選択した。プラスミドDNAを、いくつかの形質転換体から単離し、NdeIおよびHindIII部位の制限消化によってスクリーニングした。シナガチョウCRYAA(配列番号17)を含有する配列検証済みクローンを同定し、鋳型として使用した。
【0136】
CRYA_1B組換えポリペプチド配列を含有するプラスミドのクローニング
【0137】
CRYA_1B(配列番号25)含有組換えプラスミドを以下の方法で調製した。PCRを、先に記載した鋳型DNA、フォワードプライマーIoE1(配列番号35)およびリバースプライマーIoE2(配列番号36)を使用して実施した。PCR温度および時間を次のとおりプログラムした:95℃にて5分間変性し;続いて、95℃にて30秒間の変性、60℃にて30秒間のアニーリング、および72℃にて1分間の伸長を用いた30サイクルのPCR反応;72℃にて10分間の最終伸長。すべてのPCR増幅をPfu Ultraポリメラーゼ(Stratagene)によって実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、GFX(商標)PCR DNAとGel Bind Purification Kit(GE Healthcare)を使用したゲルから抽出し、pET24a(Novagen)ベクターに連結した。連結混合物をDH5α大腸菌株に形質転換し、そして、形質転換体を、アンピシリンを含有するLBプレートにより選択した。プラスミドDNAを形質転換体から単離した。配列検証済みクローン、プラスミド_1をPCR増幅のその後のラウンド用の鋳型として使用した。
【0138】
PCR増幅を、プラスミド_1、フォワードプライマーIoE3(配列番号37)およびリバースプライマーIoE4(配列番号38)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、(95℃にて30秒間、65℃にて30秒間、72℃にて1分間)の32サイクル、続いて72℃にて5分間、を使用して実施した。PCR産物を精製し、NdeIおよびHindIII制限部位を使用してpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_2を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0139】
PCR増幅を、プラスミド_2、フォワードプライマーIoE5(配列番号39)およびリバースプライマーIoE6(配列番号40)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、58℃にて30秒間、72℃にて1分間を35サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_3を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0140】
PCR増幅を、プラスミド_3、フォワードプライマーIoE7(配列番号41)およびリバースプライマーIoE8(配列番号42)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、55℃にて30秒間、72℃にて1分間を28サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_4を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0141】
PCR増幅を、プラスミド_4、フォワードプライマーIoE9(配列番号43)およびリバースプライマーIoE10(配列番号44)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、53℃にて30秒間、72℃にて1分間を33サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_5を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0142】
PCR増幅を、プラスミド_5、フォワードプライマーフォワードプライマーIoE11(配列番号45)およびリバースプライマーIoE12(配列番号46)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、57℃にて30秒間、72℃にて1分間を30サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_6を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0143】
PCR増幅を、プラスミド_6、フォワードプライマーIoE13(配列番号47)およびリバースプライマーIoE14(配列番号48)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、51℃にて30秒間、72℃にて1分間を32サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_7を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0144】
PCR増幅を、プラスミド_7、フォワードプライマーIoE15(配列番号49)およびリバースプライマーIoE16(配列番号50)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、54℃にて30秒間、72℃にて1分間を32サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。配列検証済みクローンであるプラスミド_8を、PCR増幅のその後のラウンドに鋳型として使用した。
【0145】
PCR増幅を、プラスミド_8、フォワードプライマーIoE17(配列番号51)およびリバースプライマーIoE18(配列番号52)を使用して実施した。PCR増幅およびクローニングを、先に記載した手順および以下のPCR条件:95℃にて5分間、それに続いて95℃にて30秒間、52℃にて30秒間、72℃にて1分間を32サイクル、最後の72℃にて5分間の伸長、を使用して実施した。PCR産物を、1.0%のアガロースゲルを使用して電気泳動で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。DNA断片を、ゲルから切り出し、抽出し、そしてpET24aプラスミドにクローニングした。連結混合物は、E.コリ細胞のDH5α菌株に形質転換し、そして、形質転換体をアンピシリン含有LBプレートで選択した。配列検証済みクローンであるプラスミド_9は、正しいリーディングフレーム内にCRYA_1B(配列番号25)を含有している。
【0146】
組換えポリペプチドCRYA_1Bの発現
【0147】
プラスミド_9を、発現大腸菌株BL21に形質転換し、そして、アンピシリン抵抗性コロニーを選択した。CRYA_1B組換えポリペプチドについて予想される分子量は20kDaであった(
図2)。100μg/mlのアンピシリンを補ったLuria-Betani(LB)寒天プレートからの単一コロニーを選択した。この調製では、3mlのLB培地(1Lあたり10gのトリプトン、10gのNaClおよび5g酵母抽出物)および100μg/mlのアンピシリンの入った50ml容のコニカルチューブに、単一コロニーを植え付け、そして、37℃および200RPMに設定した振盪培養器内で一晩培養した。100mlの2YT培地(1Lあたり16gのトリプトン、15gの酵母抽出物および8gのNaCl)および100μg/mlのアンピシリンの入った500ml容の無菌三角フラスコに3mlの培養物を加え、そして、37℃および200RPMに設定した振盪培養器内で一晩培養することによって、培養物をさらに増大させた。これにより種培養をもたらした。
【0148】
種培養をさらに増大するために、6L容のバイオリアクターを使用した。100μg/mlのアンピシリンを含有する4Lの2YT培地に100mlの種培養物を植え付け、37℃および200RPMに設定した振盪培養器内で一晩培養した。バイオリアクターでは、培養物を、37℃、2SLPM(1分あたりの標準ライナー(liner))および200RPMの気流および撹拌にてインキュベートした。OD600が0.65~0.75に達したとき、タンパク質過剰発現を1.0mMのイソプロピル(Isoropyl)-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘発した。細胞を、7時間~8時間増殖させ、そして、撹拌速度、温度および気流をそれぞれ400RPM、28℃、および4SLPMに設定した。発泡を制御するために、ポリグリコールP-2000消泡剤を必要に応じて添加した。7~8時間の誘発後に、細胞を4℃にて15分間8000rpmでの遠心分離によって採集した。細胞ペレットを冷凍し、-80℃にて保存した。
【0149】
組換えポリペプチドCRYA_1Bの精製
【0150】
この調製では、6gのCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)に相当するペレットを、40mlのバッファーA(50mMのTris-HClバッファー)で再懸濁し、氷上での超音波処理によって破砕して(超音波細胞破砕器Misonix Ultrasonic Liquid Processors S-4000, USAを使用して、30秒間隔を有する10秒パルスの28サイクル、30%の振幅)、溶解性分析のための総タンパク質抽出物を得た。総タンパク質抽出物を、タイプSS-34ローターを使用したSorvall RC5C Plus(USA)超遠心機を使用して4℃、14,000rpmにて45分間遠心分離した。上清を、0.45μmフイルター(Millipore)を通して濾過し、同じバッファーで平衡化したQ-セファロース陰イオン交換カラムに添加した。Q-セファロースを、20cmのベッド高までC26/40カラム(GE Healthcare)に充填した。CRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を含有する、40mLの体積の上清を、5ml/分の流量でのAKTA FPLC(GE Healthcare)を使用してカラムに添加した。CRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を、50mMのTris-HCl、NaClバッファーを含有する平衡化バッファーを使用することによる濃度勾配によって溶出し、そして、疎水性相互作用カラムに対するさらなる適用のためにA280吸収度に基づく単一ピークの状態で回収した。回収した溶出液を、15% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。
【0151】
疎水性相互作用クロマトグラフィー
【0152】
イオン交換クロマトグラフィー後に、溶出したCRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)を一緒に貯留し、Amicon Ultra 15ml Centrifugal Filter(Merck)によって濃縮し、続いて飽和硫酸アンモニウムバッファー(50mMのTris-HCl、3.8Mの硫酸アンモニウム、1mMのDTTおよび1mMのEDTA)に加え、そして、1.2Mの硫酸アンモニウムの終濃度を得た。硫酸アンモニウムを加えた濃縮生成物を、0.45μmのシリンジフイルター(Millipore)を使用して濾過し、そして、2ml/分の流量で疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム(C10/20カラム、Ge Healthcare)に添加した。Source 15PHE(GE Healthcare)を10cmのベッド高までC10/20カラム(GE Healthcare)に充填し、そして、バッファーA(50mMのTris-HCl、1.2Mの硫酸アンモニウム、10%のグリセロール、1mMのDTTおよび1mMのEDTA)で事前に平衡化した。カラムをバッファーAで洗浄し、そして、バッファーB(50mMのTris-HCl、10%のグリセロール、1mMのDTTおよび1mMのEDTA)を使用したタンパク質溶出を、硫酸アンモニウムを減らし、かつ、グリセロールを増やす線形勾配を用いて達成した。溶出したタンパク質を15% SDS-PAGEによって分析した。画分を、Amicon Ultra 15ml Centrifugal Filter(Merck)によってさらに濃縮した。
【0153】
ゲル濾過を使用したバッファー交換
【0154】
精製した組換えポリペプチドを、Sephadex G‐25カラムを使用することによってPBSバッファーへとさらに交換した。Sephadex G‐25を、85cmのベッド高までC26/100カラム(GE Healthcare)に充填し、そして、1ml/分の流量にてPBSバッファーで事前に平衡化した。濃縮タンパク質を、2.5時間後に溶出し、15% SDS-PAGEによって分析した。次に、得られた溶出液をAmicon Ultra 15ml Centrifugal Filter(Merck)によって濃縮した。
【0155】
実施例2:免疫応答を誘発するかまたは増強する方法
【0156】
癌細胞株を、CRYA_1B組換えポリペプチド(配列番号9)で処理し、CRYA_1B組換えポリペプチドを様々な濃度に希釈し、そして、ヒト癌細胞株H441(肺癌、HTB-174、ATCC)、H460(肺癌、HTB-177、ATCC)、HCT15(結腸癌、CCL-225、ATCC)およびMCF7(乳癌、HTB-22、ATCC)と共にすべて37℃にてインキュベートした。CRT、HSP70、HSP90およびカスパーゼ3/7アッセイのように、組換えポリペプチドインキュベーション時間は、H441ではそれぞれ、60分間、1時間50分間、1時間40分間、および2時間45分間であり、H460ではそれぞれ、30分間、1時間15分間、1時間5分間、および2時間30分間であり、HCT15ではそれぞれ、55分間、1時間50分間、1時間30分間、および2時間30分間であり、ならびにMCF7ではそれぞれ、1時間10分間、1時間40分間、1時間45分間、および2時間45分間である。フローサイトメトリーを、CRYA_1B組換えポリペプチドで処理した細胞および未処理対照細胞におけるカルレティキュリン(CRT)(
図3~6)、HSP70(
図7~10)、HSP90(
図11~14)およびカスパーゼ3/7(
図15~18)の細胞表面発現を評価するのに使用した。これを、それぞれCRT mAb(Abcam)、HSP70 mAb(Enzo Life Sciences)、HSP90 mAb(Enzo Life Sciences)およびカスパーゼ3/7(Invitrogen assay)を使用したFACSCalibur(BD Biosciences)を使用して実施した。
【配列表】