(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ショットピーニング粉末
(51)【国際特許分類】
B24C 11/00 20060101AFI20230124BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20230124BHJP
B24C 1/10 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B24C11/00 D
B24C11/00 Z
B24C9/00 D
B24C9/00 F
B24C9/00 E
B24C1/10 Z
B24C1/10 A
(21)【出願番号】P 2020566809
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2019063808
(87)【国際公開番号】W WO2019229057
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カブレロ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ボードネット,アンヌ-ロール
(72)【発明者】
【氏名】ブーサン-ルー,イヴ,レオン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ,バンジャマン,ジルベール,ロベール
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-506120(JP,A)
【文献】特開2002-114968(JP,A)
【文献】実開昭56-094263(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 11/00
B24C 9/00
B24C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック粒子からなるショットピーニング粉末であって、
95質量%超のビーズを含み、
50μm超且つ1200μm未満のメジアン径D
50を有し、及び
S≦-0.126・ln(D
50)+0.980 (1)であるS、つまり(D
90-D
10)/D
50値を有し、
ここで、D
10、D
50及びD
90は、該粉末の累積粒子サイズ分布曲線上で、それぞれ10体積%、50体積%及び90体積%に等しいパーセンテージに対応する粒子サイズであり、前記粒子サイズは、昇順でランク付けされ、且つμm単位で表され、
ビーズは0.75以上の真球度を有する、
上記ショットピーニング粉末。
【請求項2】
S≦-0.116・ln(D
50)+0.905である、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
S≦-0.114・ln(D
50)+0.869である、請求項2に記載の粉末。
【請求項4】
S≦-0.107・ln(D
50)+0.800である、請求項3に記載の粉末。
【請求項5】
98質量%超のビーズを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の粉末。
【請求項6】
5%未満の数のビーズ片を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の粉末。
【請求項7】
酸化物に基づく質量百分率で80%超の、ZrO
2+SiO
2+Al
2O
3+CeO
2+Y
2O
3の合計含量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の粉末。
【請求項8】
酸化物に基づく質量重量百分率で、かつ合計100質量パーセントとして、
ZrO
2:77%~86%、
CeO
2:14%~19%、
ZrO
2及びCeO
2以外の酸化物:≦3%、
又は
ZrO
2:58%~72%、
SiO
2:27%~34%、
Al
2O
3:≦10%、
ZrO
2、SiO
2及びAl
2O
3以外の酸化物:≦5%、
又は
ZrO
2:89%~96%、
Y
2O
3:3%~8%、
ZrO
2及びAl
2O
3以外の酸化物:≦3%
である化学分析値を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の粉末。
【請求項9】
ショットピーニング方法であって、
a)部品の処理されるべき表面上に初期粉末を衝突させること、
b)上記衝突された粉末を回収し、そして、該回収された粉末を処理して、リサイクルされた粉末を得ること、
c)上記リサイクルされた粉末によって上記初期粉末を少なくとも部分的に置き換えて、再コンディショニングされた粉末を得て、そして、該再コンディショニングされた粉末を用いて工程a)に戻ること
の工程を含み、
ここで、該初期粉末が、請求項1~8のいずれか1項に従う、
上記ショットピーニング方法。
【請求項10】
工程b)における処理は、粉末粒子の形状に従う選別操作を含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程b)における処理は、スパイラル式分離器による選別操作を含まない、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
工程b)における処理が、ふるい分け及び、任意的な吸引からなる、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該部品が、自動車部品、宝石、時計、ブレスレット、ネックレス、リング、ブローチ、タイピン、ハンドバッグ、家具、家庭用品、ハンドル、ボタン、めっき、消費財装置の目に見える部品、眼鏡フレームの一部、食器類及びフレームからなる群から選択される、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
処理されるべき表面上に圧縮プレストレスをかける為に、初期粉末は80μm超且つ1000μm未満のメジアン径D
50を有する、又は処理されるべき表面の外観を修飾する為に、初期粉末は200μm未満のメジアン径D
50を有する、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショットピーニング方法、特に、例えば鋼製の金属表面の処理の為のショットピーニング方法、及びそのような方法において使用されることが出来る粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
ショットピーニングは、粒子、通常はビーズ、を、処理されるべき部品上に高速で衝突させることにある。該粒子は、達成されるべき目的の為に好適である硬度を有する材料から作成される。鋼ビーズ又はセラミックビーズが、一般的に使用される。
【0003】
ショットピーニングは、清浄の目的の為に、例えば錆を除去する為(スケール除去)に、部品の表面に圧縮プレストレスをかける為に、又は部品の表面外観、特に粗度、明度若しくは光沢を変化させる為(化粧仕上げ)に、実施されることが出来る。
【0004】
環境への影響を制限し且つ費用を低減する為に、ビーズが慣用的に、ショットされた後に回収され、破損したビーズのビーズ片を選別して除去し、そして次に、再使用される。該ビーズ片は球形でない故に、それらの衝突は、実際に部品に変化をもたらし、又は更には部品を破損することが出来る。ビーズ片割合、すなわち回収された粒子の数に対するビーズ片の数の比、は好ましくは、5%未満、に留まるべきである。
【0005】
慣用的に、選別は、少なくとも下記の3つの継続的な操作を包含する、
小粒子を除去する為の、衝突中の吸引、
ふるい分け、及び
スパイラル式分離器による分離。
【0006】
吸引及びふるい分けは、粒子がサイズによって選択されることを可能にする。該スパイラル式分離器は、粒子が形状によって選択されることを可能にする。
【0007】
選別は、ショットピーニングをより緩慢にすることが多い複雑な工程である。特に、スパイラル式分離器の加工能力は、衝突速度に関して低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
より簡単であり、しかしながら衝突された粉末におけるビーズ片の量を低レベルに維持するショットピーニング方法の必要性がある。
【0009】
本発明の一つの目的は、少なくとも部分的に、この必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、セラミック粒子からなるショットピーニング粉末であって、
95質量%超のビーズを含み、
50μm超且つ1200μm未満のメジアン径D50を有し、及び
S≦-0.126・ln(D50)+0.980 (1)であるS、つまり(D90-D10)/D50値を有する、
上記ショットピーニング粉末を提案する。
【0011】
発明の詳細な説明の下記でより詳細に示されている通り、驚くべきことに、関係式(1)に関するS、つまり「スパン」、の値を有するそのような粉末の衝突は、粉末を回収することを可能にし、それによって、簡単なふるい分けによってビーズ片の非常に低い割合を有するリサイクルされた粉末を結果として生じる。それ故に、衝突された粉末のリサイクルは、従来技術に従うリサイクルよりも迅速であり且つはるかに安価である。
【0012】
また、本発明に従う粉末は、下記の任意的な特色の1以上を有しうる:
S≦-0.116・ln(D50)+0.905、好ましくはS≦-0.114・ln(D50)+0.869、好ましくはS≦-0.107・ln(D50)+0.800;
該粉末が、98質量%超のビーズを含むこと;
該粉末が、5%未満の数のビーズ片を含むこと;
該粉末が、酸化物に基づく質量百分率で80%超の、ZrO2+SiO2+Al2O3+CeO2+Y2O3の合計含量を有すること、
該粉末が、酸化物に基づく質量百分率で、かつ合計100質量パーセントとして、
ZrO2:77%~86%、
CeO2:14%~19%、
ZrO2及びCeO2以外の酸化物:≦3%、
又は
ZrO2:58%~72%、
SiO2:27%~34%、
Al2O3:≦10%、
ZrO2、SiO2及びAl2O3以外の酸化物:≦5%、
又は
ZrO2:89%~96%、
Y2O3:3%~8%、
ZrO2及びAl2O3以外の酸化物:≦3%
である化学分析値を有すること。
【0013】
本発明はまた、ショットピーニング方法であって、
a)部品の処理されるべき表面上に初期粉末を衝突させること、
b)上記衝突された粉末を回収し、そして、該回収された粉末を処理して、リサイクルされた粉末を得ること、
c)上記リサイクルされた粉末によって上記初期粉末を少なくとも部分的に置き換えて、再コンディショニングされた粉末を得て、そして、該再コンディショニングされた粉末を用いて工程a)に戻ること
の工程を含み、
ここで、該初期粉末が本発明に従う、
上記ショットピーニング方法に関する。
【0014】
発明の詳細な説明の下記でより詳細に示されている通り、スパイラル式分離器による選別を伴わない衝突粉末処理を用いる場合でさえも、リサイクルされた粉末及び再コンディショニングされた粉末はまた好ましくは、本発明に従う粉末である。
【0015】
好ましくは、工程b)における処理は、粉末粒子の形状に従う選別操作、特にスパイラル式分離器による選別操作、を含まない。
【0016】
好ましくは、工程b)における処理は、ふるい分け及び吸引からなる群から選択される1以上の操作だけを含み、該吸引は、例えばサイクロンなどのサイズ選択デバイスを用いて又は用いずに行われうる。好ましくは、該方法は、工程b)における選別操作として、ふるい分け操作だけ、好ましくは吸引操作、特には工程a)における衝突中の吸引操作を含む。
【0017】
該方法はまた、下記の任意的な特色の1以上を含みうる:
工程b)における処理が、ふるい分け及び、任意的な吸引からなること、
該部品が、自動車部品、宝石、時計、ブレスレット、ネックレス、リング、ブローチ、タイピン、ハンドバッグ、家具、家庭用品、ハンドル、ボタン、めっき、消費財装置の目に見える部品、眼鏡フレームの一部、食器類及びフレームからなる群から選択されること。
【0018】
最後に、本発明は、処理されるべき表面上に圧縮プレストレスをかける為に、初期粉末は80μm超且つ1000μm未満のメジアン径D50を有する、又は処理されるべき表面の外観を修飾する為に、初期粉末は200μm未満のメジアン径D50を有する、本発明に従う方法を用いる方法に関する。
【0019】
定義
「ビーズ」は、真球度(sphericity)、即ち、その最小フェレット直径とその最大フェレット直径との比、が、この真球度が得られた方式に関わらず0.75以上である粒子を意味する。
【0020】
「ビーズ粉末」は、95質量%超のビーズを含む粉末を意味する。
【0021】
「溶融生成物」又は「溶融によって得られた生成物」は、溶融液体の浴の冷却によって、固化によって得られた生成物を意味する。「溶融液体の浴」は、その形状を保持する為に、容器に含有されなければならない塊である。溶融液体の浴は、固体部分を含みうるが、該固体部分が上記塊を構築出来るようになるには不十分な量で含みうる。
【0022】
10th(D10と示される)、50th(D50と示される)、90th(D90と示される)及び99.5th(D99.5と示される)パーセンタイルはそれぞれ、該粉末の累積粒径分布曲線で10質量%、50質量%、90質量%及び99.5質量%に等しい百分率に対応する粒径を云い、該粒径は昇順で分類されている。この定義に従って、該粉末粒子の10質量%は、D10よりも小さいサイズを有し、粒子の90質量%は、D10以上のサイズを有する。該パーセンタイルは、レーザー粒度計を用いて実施された粒径分布を使用して決定される。
【0023】
粒子粉末の「メジアン径」は、50thパーセンタイルと呼ばれる。従って、メジアン径は、粉末の粒子を等しい質量の第1の集団及び第2の集団に分け、ここで、これら第1の集団及び第2の集団は、それぞれメジアン径以上のサイズ又はそれ未満のサイズを有する粒子だけを含む。
【0024】
粒子粉末の「最大サイズ」は、99.5thパーセンタイルと呼ばれる。
【0025】
ジルコニア又はZrO2に言及される場合には、HfO2<5%、好ましくはHfO2<3%、好ましくはHfO2<2%、を有する(ZrO2+HfO2)として理解されるべきである。実際、ZrO2から化学的に分離できず且つ類似の特性を有する少量のHfO2が、ジルコニア供給源に常に、自然に存在する。それ故に、酸化ハフニウムは、不純物とみなされない。
【0026】
幾つかの酸化物、例えばZrO2+SiO2+Al2O3+CeO2+Y2O3、の合計含量は、たとえ一つの実施態様において、上記酸化物のそれぞれが存在するとしても、上記酸化物のそれぞれが存在することを意味するものでない。
【0027】
「被覆率」は、粒子粉末が衝突される全表面、即ち衝突された粒子の噴射に曝露された部品の表面、に対する衝撃を受けた部品、即ち衝突された粒子の衝撃によって修飾された部品、の表面との比である。被覆率は、百分率で表される。それ故に、粒子の噴射を横断する表面内に、これらの粒子の衝撃によって修飾されない領域が存在する限り、被覆率は100%未満である。
【0028】
百分率として表される被覆率は、98%に等しい被覆率を得る為の処理時間に対するその処理時間の比である。従って、200%に等しい被覆率は、その処理時間が、98%の被覆率を達成する為に必要な時間の2倍であることを表す。
【0029】
「セラミック」材料は慣用的に、金属製でも有機でもない材料である。
【0030】
酸化物の前駆体は、本発明に従う粉末の製造中に、上記酸化物に変換される構成成分である。
【0031】
別段記述されない限り、組成物を特徴付ける為に使用される百分率は、常に、酸化物ベースの質量百分率を云う。
【0032】
本発明の他の特色及び利点はまた、下記の詳細な説明を読み且つ添付の図を調査することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明に従う方法の様々な工程を模式的に表す。
【
図2】
図2は、ビーズ10及びビーズ片12が区別されることが出来る、リサイクルされた粉末の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記粉末を製造する為の方法
本発明に従う溶融ビーズ粉末を製造する為に、下記の工程を含む方法に従って進行することが可能である、
i)製造されるビーズの構成成分及び/又はこれらの構成成分の前駆体を含む原料を調製すること、
ii)該原料を溶融させて、溶融液体の浴を形成すること、
iii)溶融液体の滴り(trickle)を形成するように該浴を注ぐこと、そしてこの滴りを液滴中に分散させること、
iv)該液滴を冷却して、ビーズ粉末を形成すること、
v)該粉末が本発明に従うように、粒度分析を選択すること。
【0035】
工程i)において、構成成分及び/又は前駆体の粉末は、実質的に均質な混合物を形成するように混合される。
【0036】
原料の組成は、工程iv)の最後に、所望の組成を有するビーズを得るように調整される。セラミックビーズの製造の文脈において、該ビーズの化学分析は一般に、原料の化学分析と実質的に同一である。その上、必要に応じて、揮発性酸化物の存在を考慮に入れるか、又は溶融が還元条件下で行われる場合のSiO2の喪失を考慮に入れる為に、原料の組成をどのように適応させるかについて、当業者は既知である。
【0037】
工程ii)において、該原料は、好ましくは電気アーク炉内で、溶融される。電気融合は、実際、有利な収量で大量の生成物を生成することを可能にする。しかしながら、該原料を、溶融すること、好ましくは完全に溶融すること、を可能にするという条件で、誘導炉、太陽炉又はプラズマ炉などの全ての既知の炉が考慮されることが出来る。条件は、酸化又は還元とすることが出来る。
【0038】
工程ii)において、仏国特許発明第1,208,577号明細書、並びにその追加特許発明第75893号明細書及び追加特許発明第82310号明細書に記載されているアーク溶融方法を使用することが可能である。
【0039】
工程iii)において、溶融液体の浴は、滴りを形成するように注がれ、そしてこの滴りは、小液滴に分散させられ、それらは表面張力の結果として、小液滴の大部分について実質的に球形の形状となる。この分散は、特に空気及び/若しくは水蒸気を用いる吹込み(blowing)によって、又は当業者に既知の溶融物質の任意の他の噴霧方法によって行われることが出来る。
【0040】
工程iv)において、該液滴は、固体ビーズの形態で固化するように冷却される。冷却は、分散から生じうる。冷却速度は、所望の結晶化度に従って適合されることが出来る。
【0041】
慣用的な吹込み分散は、本発明に従う粒径分布を有する粉末を得ることを可能にしない。それ故に、工程v)において、得られた粉末は好ましくは、本発明に従う粒径分布を得るように構成された、例えばふるい分けによる又は空気分離による、粒度分析選別を受ける。
【0042】
メジアン径を超えるカットオフ値且つメジアン径未満のカットオフ値での二重のふるい分けは、特にスパンSを低減する。該2つのスクリーンのカットオフ値が近いほど、ふるい分けされた粉末のスパンSが低くなる。
【0043】
本発明に従う焼結ビーズ粉末を製造する為に、下記の工程を含む方法に従って進行することが可能である、
i’)任意的に、製造されるべきビーズの構成成分及び/又はこれらの構成成分の前駆体を提供する1以上の原料粉体を、好ましくは同時粉砕によって粉砕すること、そして該任意的に粉砕された原料粉体を投入して、0.6μm未満のメジアン径を有する微粒子混合物を得ること、
ii’)任意的に、該微粒子混合物を乾燥すること、
iii’)任意的に乾燥させられた該微粒子混合物から、原料を調製すること、
iv’)該原料を原料ビーズの形態に成形すること、
v’)任意的に、洗浄すること、
vi’)任意的に、乾燥すること、
vii’)焼結して焼結ビーズ粉末を得ること、
viii’)該粉末が本発明に従うように、粒度分析により選択すること。
【0044】
工程i’)において、所望の組成を有するセラミックビーズの製造に好適な割合のそれらの混合物が、0.6μm未満のメジアン径を有する粒子混合物を生じない場合には、該原料粉体は、個々に粉砕されるか又は、好ましくは同時粉砕されうる。この粉砕は、湿式粉砕であることが出来る。
【0045】
好ましくは、粉砕又は同時粉砕は、該粒子混合物のメジアン径が、0.5μm未満、好ましくは0.4μm未満、であるように行われる。
【0046】
任意的な工程ii’)において、該微粒子混合物は、例えばオーブン内で乾燥させられ、又は特に湿式ミルによって得られた場合には、噴霧によって乾燥させられる。好ましくは、該乾燥工程の温度及び/又は期間は、該微粒子混合物の残留含水量が、2%未満、又は更には1.5%未満、であるように調整される。
【0047】
工程iii’)において、工程iv’)の成形方法に適合された原料は、当業者に周知である通り、好ましくは室温で、調製される。
【0048】
該原料は、該微粒子混合物に加えて、溶媒、好ましくは水、を含みうるが、その量は、工程iv’)の成形方法に適合されている。その結果、該原料は、該微粒子混合物及び該溶媒からなる。
【0049】
工程iv’)において、焼結ビーズの製造について既知の、任意の慣用的な成形方法が使用されることが出来る。これらの方法の中でも、以下が挙げられうる:
例えば造粒機、流動床造粒機、又は造粒ディスク、を用いる造粒方法、
ゲル化方法、
射出又は押出し成型方法、及び
圧縮方法。
【0050】
該成形は特に、ゲル化方法から得ることが出来る。この目的を達成する為には、懸濁物を生成するように、溶媒、好ましくは水、が上記原料に加えられる。該懸濁物は好ましくは、50~70質量%を構成する乾燥物質含量を有する。該懸濁物は更に、下記の構成成分のうちの1以上を含みうる:
乾燥物質ベースで、質量百分率で0~10%の割合の分散剤、
乾燥物質ベースで、質量百分率で0~3%の割合の表面張力変性剤、
乾燥物質ベースで、質量百分率で0~2%の割合のゲル化剤。
【0051】
分散剤、表面張力変性剤及びゲル化剤は、当業者に周知である。
【0052】
十分に既知微粒子混合物は好ましくは、ボールミル内で、水及び分散剤/解膠剤の混合物に加えられる。撹拌後、ゲル化剤が予め溶解させられている水が、懸濁物を得る為に加えられる。
【0053】
ゲル化方法において、上述の懸濁物の液滴は、較正されたオリフィスを通して懸濁物を流すことによって得られる。該オリフィスから出てくる該液滴は、ゲル化溶液(ゲル化剤と反応するように適合された電解質)の浴内に落下し、そこで、それらは実質的に球形の形状を回復した後に硬化する。
【0054】
任意的な工程v’)において、先の工程で得られた原料ビーズは、例えば水で洗われる。
【0055】
任意的な工程vi’)において、任意的に洗われた原料ビーズは、例えばオーブン内で乾燥させられる。
【0056】
工程vii’)において、任意的に洗われた及び/又は乾燥させられた原料ビーズは、焼結される。好ましくは、焼結は、空気下で、好ましくは電気炉内で、好ましくは大気圧で、行われる。
【0057】
焼結温度及び焼結時間は、該ビーズの組成に適合される。
【0058】
工程vii’)において、得られた粉末は、本発明に従う粒径分布を得るように構成された、例えば、ふるい分け及び/又は空気分離による、粒径選別を受ける。
【0059】
メジアン径を超えるカットオフ値且つメジアン径未満のカットオフ値での二重のふるい分けは、スパンSを低減する。該2つのスクリーンのカットオフ値が近いほど、ふるい分けされた粉末のスパンSが低くなる。
【0060】
粉末
本発明に従う粉末の粒子は特に、溶融物質における又は焼結物質におけるものでありうる。
【0061】
好ましくは、本発明に従う粉末は、その質量の95%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、についてビーズ及びビーズ片を含む。
【0062】
ビーズは好ましくは、ビーズ及びビーズ片の質量の95%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、である。
【0063】
好ましくは、80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、好ましくは95質量%超、好ましくは97質量%超、の粉末粒子のそれぞれは、0.80超、好ましくは0.85超、好ましくは0.90超、好ましくは0.92超、好ましくは0.94超、好ましくは0.95超、の真球度を有する。
【0064】
該粒子粉末の真球度メジアンは好ましくは、0.80超、好ましくは0.85超、好ましくは0.90超、好ましくは0.92超、好ましくは0.94超、好ましくは0.95超、好ましくは0.97超、好ましくは0.98超、である。
【0065】
従って、一つの実施態様において、該粉末は、97質量%超、好ましくは98質量%超、好ましくは99質量%超、のビーズを含む。特に、最初の衝突の前に、該初期粉末は好ましくは、ビーズから実質的に構成される。
【0066】
好ましくは、最初の衝突後に、該回収された粉末は、衝突操作から生じたビーズ及びビーズ片から実質的に構成される。
【0067】
本発明者等は、回収された粉末をふるい分けする場合の選別効率に関する、初期粉末の比Sの値の重要性を発見した。特に、好ましくはS≦-0.116・ln(D50)+0.905、好ましくはS≦-0.114・ln(D50)+0.869、好ましくはS≦-0.107・ln(D50)+0.800、である。
【0068】
該粒子粉末は、1800μm未満、好ましくは1500μm未満、の最大サイズを有する。
【0069】
好ましくは、該粒子粉末は、80μm超、好ましくは100μm超、好ましくは150μm超、好ましくは200μm超、好ましくは400μm超、のメジアン径D50を有する。この実施態様は特に、ショットピーニングに対して好適である。その上、吸引喪失が低減されており、及び、上記粉末は、より多目的である。特に、上記粉末は、空気圧駆動式設備及びタービン駆動式設備において使用されることが出来る。
【0070】
一つの実施態様において、該粒子粉末は、80μm超、好ましくは100μm超、好ましくは150μm超、好ましくは200μm超、好ましくは400μm超及び/又は1000μm未満、好ましくは800μm未満、のメジアン径D50を有する。この実施態様は特に、ショットピーニングに十分に適している。
【0071】
一つの実施態様において、該粒子粉末は、200μm未満、好ましくは150μm未満、のメジアン径D50を有する。この方法は、特に、部品の表面外観を修飾すること(化粧仕上げ)を目的とするショットピーニングに、十分に適している。
【0072】
該ショットピーニングの効率を改善する為に、該粒子は好ましくは、3.0g/cm3超、好ましくは3.5g/cm3超、好ましくは3.7g/cm3超、好ましくは3.8g/cm3超、及び/若しくは7.0g/cm3未満、好ましくは6.5g/cm3未満、のバルク密度を有し、及び/又は該粒子は好ましくは、500HV(0.5/15)超、好ましくは600HV(0.5/15)超、好ましくは700HV(0.5/15)超、好ましくは800HV(0.5/15)超、好ましくは900HV(0.5/15)超、及び/又は好ましくは1300HV(0.5/15)未満、の硬度を有する。
【0073】
一つの実施態様において、該粉末ビーズは、研磨された表面を有する。有利には、処理された部品は、繰返し荷重下で、より良好な疲労挙動を有する。
【0074】
本発明に従う粉末の粒子は、特に、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、オキシカーバイド、オキシ窒化物及びそれらの混合物から選択される材料から構成されうる。
【0075】
好ましくは、該粒子は、それらの質量の50%超、好ましくは70%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは97%超、好ましくは99%超、について酸化物からなる。
【0076】
本発明に従う粉末は、特に、下記の組成的特色のうちの1以上を有しうる:
該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で50%超、若しくは更には60%超、若しくは更には70%超及び/又は96%未満、若しくは更には90%未満、のZrO2含量を有する。
該粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で50%超、若しくは更には60%超、若しくは更には70%超、及び/又は96%未満、若しくは更には90%未満、のZrO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で10%超、若しくは更には15%超、若しくは更には20%超、若しくは更には25%超及び/又は45%未満、若しくは更には40%未満、のSiO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で10%超、若しくは更には15%超、若しくは更には20%超、若しくは更には25%超及び/又は45%未満、若しくは更には40%未満、のSiO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で10%未満、又は更には5%未満、又は更には1%未満、のSiO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で10%未満、又は更には5%未満、又は更には1%未満、のSiO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で15%未満、又は更には10%未満、又は更には5%未満、又は更には3%未満、のAl2O3含量を有する。
粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で15%未満、又は更には10%未満、又は更には5%未満、又は更には3%未満、のAl2O3含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で10%超、好ましくは14%超及び/又は20%未満、好ましくは19%未満、のCeO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で10%超、好ましくは14%超及び/又は20%未満、好ましくは19%未満、のCeO2含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末は、酸化物に基づく質量百分率で2%超、好ましくは3%超及び/又は10%未満、好ましくは8%未満、のY2O3含量を有する。
一つの実施態様において、該粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で2%超、好ましくは3%超及び/又は10%未満、好ましくは8%未満、のY2O3含量を有する。
粉末は、酸化物に基づく質量百分率で80%超、更には90%超、更には95%超の、ZrO2+SiO2+Al2O3+CeO2+Y2O3の合計含量を有する。
粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、はそれぞれ、酸化物に基づく質量百分率で80%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超の、ZrO2+SiO2+Al2O3+CeO2+Y2O3の合計含量を有する。
粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、は、実質的に同じ化学分析値を有する。
一つの実施態様において、該粉末、好ましくは粉末及び粉末粒子、の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、は、酸化物に基づく質量百分率で、かつ合計100質量パーセントとして下記の化学分析値を有する:
ZrO2:77%~86%、
CeO2:14%~19%、
ZrO2及びCeO2以外の酸化物:≦3%。
一つの実施態様において、該粉末、好ましくは粉末及び粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、は、下記の化学分析値を有する:
ZrO2:58%~72%、
SiO2:27%~34%、
Al2O3:≦10%、
ZrO2、SiO2及びAl2O3以外の酸化物:≦5%、
一つの実施態様において、該粉末、好ましくは粉末及び粉末粒子の80質量%超、好ましくは85質量%超、好ましくは90質量%超、は、酸化物に基づく質量百分率で、かつ合計100質量パーセントとして下記の化学分析値を有する:
ZrO2:89%~96%、
Y2O3:3%~8%、
ZrO2及びAl2O3以外の酸化物:≦3%。
【0077】
ショットピーニング方法
工程a)において、工程a)~工程c)の第1のサイクルで部品の処理されるべき表面上に、初期粉末が衝突され、そして次に、再コンディショニングされた粉末が、その後のサイクルで衝突される。
【0078】
あらゆる既知のショットピーニング技術が、用いられることが出来る。
【0079】
好ましくは、金属粒子は衝突されない。好ましくは、セラミック粒子だけが衝突される。
【0080】
一つの実施態様において、工程a)は、単一衝突操作だけを含み、即ち、上記初期粉末及び再コンディショニングされた粉末を、好ましくは数回、衝突した後、その後の衝突操作は行われない。一つの実施態様において、該方法は、本発明に従う粉末以外の媒体を衝突させる工程を含まない。
【0081】
好ましくは、衝突は、圧縮空気ショットピーニング機を用いることによって、好ましくはベンチュリ効果又は直接圧力、を用いる、好ましくは直接圧力、を用いるか、又は1以上のタービンショットピーニング機を用いることによって行われる。
【0082】
好ましくは、該粒子は、40m/s超、好ましくは48m/s超、又は更には50m/s超、又は更には55m/s超、の速度で衝突される。
【0083】
更に好ましくは、該粒子は、処理されるべき表面と衝突角度を形成する方向に衝突され、該衝突角度、即ち処理されるべき表面と上記方向との角度(衝突された粒子の噴射軸)、は好ましくは、45°超、好ましくは50°超、である。
【0084】
該粒子は、処理されるべき表面から、「衝突距離」と呼ばれる距離に配置されたノズルを通過することによって衝突され、該衝突距離は好ましくは、5cm超、好ましくは10cm超及び/又は好ましくは30cm未満、好ましくは25cm未満、である。
【0085】
ショットピーニング機の衝突ノズルは好ましくは、6mm超、好ましくは7mm超、及び/又は15mm未満、好ましくは12mm未満、の直径を有する。
【0086】
該粒子は、超過気圧(大気圧を超える追加の圧力)が好ましくは、0.5超バール、好ましくは1バール超及び/又は好ましくは4バール未満、好ましくは3バール未満、である流体、好ましくは空気、によって行われることによって、表面上に衝突される。
【0087】
好ましくは、該方法は、小粒子の量を制限する為に、好ましくは衝突工程a)中、に吸引を含む。
【0088】
該粒子は好ましくは、100%超、好ましくは120%超、更には150%超及び/又は好ましくは300%未満、好ましくは250%未満、好ましくは200%未満、の被覆率で衝突される。
【0089】
処理されるべき表面は、衝突処理の前に、事前処理、例えば鏡面型の、例えば研磨を受けることが出来る。一つの実施態様において、処理されるべき表面は、コーティングを有していない。一つの実施態様において、該処理されるべき表面は好ましくは、金属又は金属合金、好ましくは鋼、アルミニウム又はチタン、の形態の金属材料から作成されている。
【0090】
該処理されるべき表面は、自動車部品の表面とすることができ、特に、ピニオン、駆動シャフト、スプリング、トーションバー、接続ロッド、及びクランクシャフトから選択されることが出来る。
【0091】
一つの実施態様において、該処理されるべき表面は、宝石、時計、ブレスレット、ネックレス、リング、ブローチ、タイピン、ハンドバッグ、家具、家庭用品、ハンドル、ボタン、めっき、消費財設備の目に見える部品、眼鏡フレームの一部、食器類及びフレームからなる群から選択される部品の表面である。
【0092】
工程b)において、該処理されるべき表面上に衝突された粒子は、回収される。慣用的に、該粒子は、該処理されるべき表面に衝突した後、衝突ブースの底部に落下し、そこで回収されることが出来る
【0093】
慣用的に、最初に衝突された粉末は、ビーズから本質的になる。これらのビーズの一部は、処理されるべき表面に対する衝撃で破損する。次に、該回収された粉末は、破損したビーズ片及び衝撃に耐えたビーズから実質的に構成される。
【0094】
次に、該回収された粉末は、ビーズ片割合を制限する為に、選別操作を受ける。驚くべきことに、例えばスクエアメッシュスクリーン(square-mesh screen)上での簡単なふるい分け操作は、実質的なビーズ片部分を分離する。スクリーンのメッシュサイズは、衝突された粉末の粒径に従って適合される。簡単な試験は、抽出されるビーズ片の量を最大化するようにメッシュを最適化することを可能にする。
【0095】
好ましくは、工程b)は、例えばスパイラル式分離器を用いることによる、粒子の形状に従う選別操作を含まない。
【0096】
ビーズ片を抽出する為に回収され且つ処理された粉末(すなわち「リサイクルされた粉末」)は有利には、新しい衝突に適合される。特に、該粉末は、ショットピーニング機にすぐに戻されて、再び衝突されることが出来る。
【0097】
該リサイクルされた粉末はまた、初期粉末と予め混合されることが出来る。
【0098】
再コンディショニングされた粉末における初期粉末の量は好ましくは、工程b)の処理中に抽出されたビーズの量を相殺するように調整される。言い換えれば、好ましくは、全ての該リサイクルされた粉末が再投入され、そして必要な量だけ初期粉末が補充される。
【0099】
「再コンディショニングされた粉末」は、工程a)~工程c)の第1のサイクル後に衝突される粉末である。
【0100】
従って、工程c)において、再コンディショニングされた粉末(リサイクルされた粉末、又はリサイクルされた粉末と初期粉末との混合物)は、該初期粉末を部分的又は更には完全に置き換え、そして次に、該方法が、工程a)において再コンディショニングされた粉末を用いて再開する。
【0101】
実施例
下記の非限定的な実施例は、本発明を例示する目的で記載されている。
【0102】
測定プロトコール
ビーズの真球度を決定する為に、最小及び最大フェレット直径が、Horiba社から販売されているCamsizer XTで測定される。
【0103】
粉末のバルク密度が、Accupyc 1330自動ヘリウムピクノメーターを使用して測定された。
【0104】
微小硬度は、Zwick 3212 Vickers微小硬度試験機を使用して測定された。値は、0.5kgの負荷でビッカース押込み(Vickers indentations)から得られ、該負荷は、15秒に等しい時間適用される(HV(0.5/15))。
【0105】
粉末の化学分析が、蛍光X線によって決定された。
【0106】
粒径分析が、Horiba社によって販売されているCamsizer XTレーザー粒径分析器を使用して行われた。
【0107】
初期粉末について、簡単なふるい分けの後にリサイクルされる能力について決定する為に、100gの量の上記粉末が、処理されるべき表面から150mmに配置された直径8mmの衝突ノズルを備えたベンチュリ効果ガン(Venturi effect gun)を用いることによって、85°の衝突角度及び4バールに等しい超過気圧で、XC65鋼の処理されるべき表面上で再循環させながら衝突された。該衝突は、10分間継続された。
【0108】
処理の最後に、処理されるべき表面に衝突した粒子(回収された粉末を構成する)が回収され、「X」μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを使用してふるい分けされた。ふるいを通らなかった粉末(リサイクルされた粉末)だけが保持された。
【0109】
リサイクルされた粉末の少なくとも600個の粒子の写真が、粉末のメジアン径に応じて光学顕微鏡又は走査電子顕微鏡を使用して撮影され、ここで、各写真は100~200個の粒子を示す。
【0110】
ビーズの数及びビーズ片の数が、各画像で決定された。該ビーズ片は、端部を有していることによって容易に認識されることが出来る(
図2を参照)。該ビーズ片の割合は、ビーズ片の総数を、観察された粒子の総数で割ることによって算出される。
【0111】
結果は、該ビーズ片の割合が、5%以下、好ましくは4%以下、好ましくは3%以下、好ましくは2%以下、好ましくは1%以下、である場合に、特に満足であるとみなされる。
【0112】
試験粉末
実施例2、4及び6の粉末はそれぞれ、実施例1、3及び5についての粉末と比較する為のベースとして働くことが企図される。2種類の粉末は、実質的に同一のメジアン径を有する場合にのみ、比較可能である。
【0113】
本発明外である実施例1の初期粉末は、Saint-Gobain Zirpro社から販売されているMicroblast(商標)B120ビーズ粉末である。
【0114】
本発明に従う実施例2の初期粉末は、Microblast(商標)B120ビーズ粉末であり、該ビーズ粉末は、106μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過するビーズ及び90μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過しないビーズを回収するようにふるい分けされており、及び、該ふるい分けは、Retsch社によって販売されているAS 200ふるい分け機で行われる。この処理は、本発明に従う粒径分布を得ることを可能にした。
【0115】
本発明外である実施例3の初期粉末は、Saint-Gobain Zirpro社によって販売されているZirshot(商標)Z425ビーズ粉末である。
【0116】
本発明に従う実施例4の初期粉末は、Zirshot(商標)Z425ビーズ粉末であり、該ビーズ粉末は、450μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過するビーズ及び540μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過しないビーズを回収するようにふるい分けされており、及び、該ふるい分けは、Retsch社によって販売されているAS 200ふるい分け機で行われる。この処理は、本発明に従う粒径分布を得ることを可能にした。
【0117】
本発明外である実施例5の初期粉末は、Saint-Gobain Zirpro社によって販売されているZirshot(商標)Z850ビーズ粉末である。
【0118】
本発明に従う実施例6の初期粉末は、Zirshot(商標)Z850ビーズ粉末であり、該ビーズ粉末は、900μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過するビーズ及び1000μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを通過しないビーズを回収するようにふるい分けされており、該ふるい分けは、Retsch社によって販売されているAS 200ふるい分け機で行われる。この処理は、本発明に従う粒径分布を得ることを可能にした。
【0119】
衝突試験の後、実施例の粉末を、下記の表1に示されている通り、Xμmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを使用してふるい分けした。
【0120】
【0121】
結果
結果が、下記の表2に示されている。
【0122】
【0123】
実施例1(本発明外である)と実施例2との比較は、衝突後、63μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを使用する単一のふるい分け操作が、本発明に従う粉末では4%及び比較粉末では7%のビーズ片割合を得ることを可能にすることを示している。
【0124】
実施例3(本発明外である)と実施例4との比較は、衝突後、425μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを使用する単一のふるい分け操作が、本発明に従う粉末では4%及び比較粉末では7%のビーズ片割合を得ることを可能にすることを示している。
【0125】
実施例5(本発明外である)と実施例6との比較は、衝突後、850μmに等しい目開きを有するスクエアメッシュスクリーンを使用する単一のふるい分け操作が、本発明に従う粉末では3%及び比較粉末では6%のビーズ片割合を得ることを可能にすることを示している。
【0126】
ここで明らかになる通り、本発明は、今まで使用されてきた選別手段よりもはるかに簡単な選別手段を単に実行しているだけにも関わらず、ビーズ片割合を、即時リサイクルを可能にする値に42%~50%低減することを可能にする。
【0127】
当然のことながら、本発明は、上述の実施例及び実施態様に限定されない。