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  • 特許-刺激部材を備える靴下 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】刺激部材を備える靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20230124BHJP
   A61H 39/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
A41B11/00 J
A41B11/00 Z
A61H39/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021124252
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2018541509の分割
【原出願日】2016-10-26
(65)【公開番号】P2021185281
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】202015105707.5
(32)【優先日】2015-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521321837
【氏名又は名称】ビルケンシュトック・アイピー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ケッテンバッハ・ロベルト
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-040220(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0189829(US,A1)
【文献】実開昭63-040933(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00
A61H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃ゾーンをつま先領域(22)、指球領域(24)及び踵領域(26)に含むソール(10)を有する靴下(1)において、
前記ソール(10)が、前記つま先領域(22)と前記指球領域(24)との間に位置するつま先溝領域(32)および前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間に位置する中足骨アーチ領域(34)を含む非衝撃ゾーンに配置された刺激部材(40)を具備し、前記衝撃ゾーンには刺激部材を具備せず、
前記刺激部材(40)が、前記ソール(10)のアウタ側に配置された、ブリスル状の繊維部材からなるプラシを含み、
平坦面(B)に立つヒトにより該靴下(1)が着用されているときに、前記衝撃ゾーンは、該平坦面(B)に接し、前記非衝撃ゾーンの少なくとも一つの領域は、該平坦面(B)から離れており、前記ソール(10)のアウタ側に配置されたプラシが、前記平坦面(B)と前記ソール(10)の非衝撃ゾーンの前記少なくとも一つの領域との間の空間を少なくとも部分的に満たし、
平坦面(B)に立つヒトにより該靴下(1)が着用されているときに、前記非衝撃ゾーンの前記少なくとも一つの領域において、前記ソール(10)のアウタ側に配置されたブリスル状の繊維部材の先端が前記平坦面(B)に接することを特徴とする、
靴下(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の靴下において、前記ソール(10)が衝撃ゾーンを、さらに、前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間にあって前記中足骨アーチ領域(34)に隣接するウェブ領域(28)にも含むことを特徴とする、靴下。
【請求項3】
請求項2に記載の靴下において、前記ソール(10)が、前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間にあって前記中足骨アーチ領域(34)に隣接するウェブ領域(28)に含む前記衝撃ゾーンは、前記指球領域(24)と前記踵領域(26)とを互いに接続していることを特徴とする、靴下。
【請求項4】
請求項2または3に記載の靴下において、前記刺激部材(40)を含む前記ソール(10)の非衝撃ゾーンが、前記ウェブ領域(28)に対し前記中足骨アーチ領域(34)とは別の側に位置して前記踵領域(26)に隣接する三角形領域(36)を含むことを特徴とする、靴下。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の靴下において、前記ソール(10)の前記衝撃ゾーンは、足が裸足で平坦面(B)に立っているときに該平坦面(B)に接する足の裏(F)の領域を、該靴下(1)が着用されているときに覆うように設計されていることを特徴とする、靴下。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の靴下において、前記非衝撃ゾーンの少なくとも一つの領域の少なくとも一部分が、さらに前記ソール(10)のインナ側(14)に配置された刺激部材(40)を具備していることを特徴とする、靴下。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、前記ソール(10)の中央において、該ソール(10)が延在する前記踵領域(26)から前記つま先領域(22)にかけての前記ソール(10)の延在方向に延びる軸(A)を基準として非対称に配置されていることを特徴とする、靴下。
【請求項8】
衝撃ゾーンをつま先領域(22)、指球領域(24)及び踵領域(26)に含むソール(10)を有する靴下(1)において、
前記ソール(10)が、前記つま先領域(22)と前記指球領域(24)との間に位置するつま先溝領域(32)および前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間に位置する中足骨アーチ領域(34)を含む非衝撃ゾーンに配置された刺激部材(40)を具備し、前記衝撃ゾーンには刺激部材を具備せず、
前記刺激部材(40)が、前記ソール(10)のインナ側において、前記ソール(10)の衝撃ゾーンよりも上方に立毛している、ブリスル状の繊維部材からなるプラシを含み、
該刺激部材(40)が前記非衝撃ゾーンの各領域と着用者の足との間の体積空間を満たす、
靴下(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の靴下において、前記ソール(10)のインナ側において、前記刺激部材(40)は、前記ブリスル状の繊維部材の先端が着用者の足に接するように設けられている、靴下。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物、特には靴下の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、補強部を備えた靴下が知られている。この靴下は、まず、踵およびつま先領域が補強されている。というのも、靴下が着用されているあいだはこれらの領域が、靴との摩擦接触によって負担が極めて強くなり、急速に摩耗するからである。踵およびつま先領域に加え、つま先領域と踵領域との間にあるいわゆる衝撃ゾーンを補強すべきである。これに対応する補強の位置についての教示は、開示されていないが、上記衝撃ゾーンの補強は、摩耗し易い領域で靴下が補強されるように足踏衝撃部分の領域に形成されるべきであると記載されている。特許文献1の思想の主旨は、靴下の衝撃ゾーンが極めて強い負担に耐えなければならないことから、衝撃ゾーンを補強することであると解される。この文献は、非衝撃ゾーンについては触れていない。
【0003】
このような既知の靴下の短所として、歩行時に衝撃ゾーンにおける補強が足の安定性を低下させ得る点が挙げられる。また、衝撃ゾーンの補強は、「スポンジのような」衝撃感覚を引き起こさせ得る。これは、足の裏(ソール領域)全体が補強されている靴下にも起こり得る。しかも、ユーザがその靴下を着用すると、衝撃ゾーンの補強が原因となって、それがなければ良好にフィットするはずの靴に、もはや十分な空間が確保できなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第0849998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、着用者の足にとっての履き心地及び安定性が向上した靴下を提供することである。この目的は、請求項1に記載された主題により達成される。従属請求項には、本発明の好適な実施形態が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、靴下に関する。この靴下は、図面に描かれているように、(着用者の足を覆うフット部に加えて、これに隣接して脚の下部を覆うシャフト部を有する)広く普及している種類のものであってもよい。但し、着用者の足のみを覆ってシャフト部を持たないいわゆるアンクルソックスや、特に長いシャフト部を有するソックスなど、他の種類の靴下も、ここでいう靴下の定義に含むものとする。
【0007】
本発明にかかる靴下は、つま先領域、指球領域及び踵領域に衝撃ゾーンを含むソールを有する。本明細書において「ソール」という用語は、靴下の、着用時に着用者の足の裏を覆う部分のことを指す。ソールは、着用者の足の裏側に面するインナ側、および着用者の足の裏に面さず、インナ側と反対側に位置して具体的には外から見えるアウタ側を有している。
【0008】
衝撃ゾーンの位置及び形状は、ヒトの足の形状により決まる。ソールの衝撃ゾーンは、少なくとも実質的に、靴下が着用されているときに足の裏の衝撃領域を覆う領域であり得る。本明細書において足の裏の衝撃領域とは、それぞれの足が裸足で平坦面に立っているときに該平坦面に通常接する領域であり得る。
【0009】
少なくとも一部の実施形態では、靴下のソールの衝撃ゾーンは、平坦面に立つヒトにより靴下が着用されているとき、該平坦面に接する。
【0010】
本発明では、ソールは、つま先領域と指球領域との間に位置するつま先溝領域、および指球領域と踵領域との間に位置する中足骨アーチ領域を有する。外側の領域は、対照的に、刺激部材なしで構成されている。
【0011】
前記つま先溝領域および前記中足骨アーチ領域は、ソールの非衝撃ゾーンである。非衝撃ゾーンの位置及び形状も、ヒトの足の形状により決まる。ソールの非衝撃ゾーンは少なくとも実質的に、靴下が着用されているときに足の裏の非衝撃領域を覆うゾーンであり得る。ここで、足の裏の非衝撃領域とは、それぞれの足が裸足で平坦面に立っているときに該平坦面から通常離れている領域であり得る。
【0012】
少なくとも一部の実施形態では、つま先溝領域および/または中足骨アーチ領域および/または後述の三角形領域が、平坦面に立つヒトにより靴下が着用されているときに該平坦面から離れている。
【0013】
つま先溝領域はつま先領域と指球領域との間に位置していることから、靴下が着用されている間の該つま先溝領域の位置は、ヒトが立っているときに地面に通常接するつま先の先端部とヒトが立っているときに同じく地面に接する足の指球部との間の凹んだ領域(つま先溝)の位置及び軌道に対応している。言い換えれば、靴下のつま先溝領域は、該靴下が着用されている状態において足の近位指節間関節(PIP)の領域、すなわち、第二趾~第五趾(足の第2~第5指)の基節骨と中節骨との間の関節、及び第一趾(足の第1指)の基節骨と末節骨との間の関節により形成される凹んだ部位、と向かい合うように位置している。
【0014】
具体的には、ソールの中足骨アーチ領域は、靴下が着用されているときに中足骨アーチ(すなわち、足の指球領域と踵領域との間のそれぞれの内方側に位置した、足の凹状のくぼみ部)を覆うように指球領域と踵領域との間に位置している。
【0015】
つまり、刺激部材は、靴下のソールの、足の裏の非衝撃領域を覆うゾーンに配置されている。しかし、ソールのつま先領域、指球領域及び踵領域における衝撃領域には、刺激部材がない。よって、本発明にかかる前刺激部材の配置構成は、特許文献1における補強領域の配置構成(大きな負担がかかる衝撃ゾーンにちょうど補強領域が配置されて該衝撃ゾーンを補強する配置構成)とは逆になる。
【0016】
本発明にかかる刺激部材は、着用者の足を機械的に刺激することによって血行を促進させる効果を奏する。ヒトの足の形状を考慮して刺激部材は、ソールの足の衝撃に全く又は少ししか関与しないゾーンのみに設けられているので、特許文献1の補強領域とは異なり、着用者の足の安定性に悪影響を及ぼさない。むしろ、立っているときの足と足元の地面の間に何もない領域が、刺激部材によって少なくとも部分的に満たされることにより、足が安定化される。
【0017】
好ましくは、中足骨凹所領域の横側で、指球領域と踵領域との間に位置するウェブ領域にも、刺激部材のない衝撃ゾーンが設けられている。具体的には、刺激部材のないこの衝撃ゾーンは、指球領域と踵領域とを互いに接続しているものであってもよい。
【0018】
刺激効果をさらに増大させるためにソールは、略三角形(三角形状)の三角形領域にも刺激部材を具備していてもよい。この三角形領域は、さらなる非衝撃ゾーンであってもよい。該三角形領域は、ウェブ領域に対し、中足骨アーチ領域とは別の側に位置し、踵領域に隣接しているものであってもよい。こうして、刺激部材のないウェブ領域が、刺激部材を具備する中足骨アーチ領域と刺激部材を同じく具備する三角形領域とを隔てる。
【0019】
刺激部材はソールのアウタ側に配置され得て、この場合の該刺激部材は靴下が着用されているときに外から見える。ソールのアウタ側に設けられた刺激部材は、特に安定化特性の上で特に好適である。このような刺激部材は足が足元の平坦面に対して衝撃を加えるときに、その足元の平坦面と靴下のソールの非衝撃ゾーン(具体的には、つま先溝領域および/または中足骨アーチ領域および/または三角形領域)との間の空間を少なくとも部分的に満たす。しかも、靴下で覆われた足が、それぞれの非衝撃領域において機械的に刺激される。
【0020】
また、刺激部材はソールのインナ側(すなわち、靴下の内部)に配置され、靴下が着用されているときに見えないものであってもよい。ソールのインナ側に配置された刺激部材により、靴下が着用されるときに該刺激部材が足に直接接するので、極めて良好な刺激効果が得られる。内部側に設けられた場合の刺激部材も、靴下のソールの各非衝撃領域(具体的には、つま先溝領域および/または中足骨アーチ領域および/または三角形領域)と着用者の足との間の体積空間を満たすので安定性に貢献する。
【0021】
また、刺激部材を、ソールの対応する領域のインナ側とアウタ側との両方に設けることも可能である。インナ側の刺激部材が着用者の足の裏に直接接することにより、極めて良好な刺激効果を達成できる。靴下のソールが内部側と外部側との両方に刺激部材を具備していることで、着用者の足の形状に対し、最適の適合性を確保し得るとともに、足元の面(例えば、靴の内側)に対しても最適な適合性が確保され、これによって足に対して最適な支持を行うことができる。
【0022】
また、当然ながら、ソールの特定の領域では刺激部材がインナ側に又はインナ側とアウタ側との両方に設けられて、かつ、ソールの他の領域またはソールの特定の領域以外の、同じく刺激部材を具備している残りの領域では刺激部材がアウタ側に又はインナ側とアウタ側との両方に設けられる構成も想定される。
【0023】
刺激効果および支持効果を好適に実現するため、刺激部材は、ソールの衝撃ゾーンよりも上方に立毛しているものとされてもよい。また、異なる領域で異なる高さを有する刺激部材を形成することも想定される。
【0024】
刺激部材は、ブリスル(剛毛)状の部材(特には、ブリスル状の繊維部材)であってもよく、又はこのような部材を含むものであってもよい。刺激部材は、毛髪状の針状体(特には、獣毛の風合いを与え得る毛髪状の針状体)であってもよく、又はこのような針状体を含むものであってもよい。刺激部材は、ピン状もしくは糸状の刺激性部材として形成してもよく、又はピン状もしくは糸状の刺激性部材を含むものであってもよい。刺激部材は足に対する良好な適合性を実現するように、可撓性および/または弾性をおよび/または屈曲性を有するものであってもよく、特には該刺激部材は、刺激機能を良好に果たすように、一定の剛性を有するものであってもよい。
【0025】
刺激部材は、プラシ(plush:毛羽の長いビロード状の部材)を含むものであってもよい。具体的には、ソールが、刺激部材を形成するプラシ面を、つま先溝領域および/または中足骨アーチ領域および/または三角形領域においてインナ側および/またはアウタ側に具備し得る。
【0026】
刺激部材の分布はヒトの足の形状に特別に合わせて適合化されるものなので、左足用靴下と右足用靴下とで違いが施される必要がある。具体的には、刺激部材は、(踵領域からつま先領域にかけての)ソールの延在方向に中央において延びる軸を基準として非対称に配置され得る。違う足に靴下を誤って履いた場合には、刺激部材の分布が足の形状に対応しないので、着用者は直ぐに気が付く。
【0027】
以下では、本発明を、添付の図面を参照しながら例示的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態におけるにかかる靴下の、平らな形態に畳まれているときの概略側面図である。
図2a】一実施形態における右足用靴下のソールのアウタ側を示す概略平面図である。
図2b】一実施形態における右足用靴下のソールのインナ側を示す概略平面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる靴下の概略断面図である。
図4a】本発明の一実施形態にかかる靴下の一部を示す長手方向概略断面図であり、中足骨アーチ領域を示す図である。
図4b】本発明の別の実施形態にかかる靴下の一部を示す長手方向概略断面図であり、中足骨アーチ領域を示す図である。
図4c】本発明のさらに別の実施形態にかかる靴下の一部を示す長手方向概略断面図であり、中足骨アーチ領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態にかかる靴下1の概略側面図である。靴下1は、足を覆うフット部2および着用者の脚の下部領域を覆うシャフト部3を有する。
【0030】
図2aは、本発明にかかる靴下1のソール10のアウタ側12を示す概略平面図である。この図で描かれている靴下1は、右足用靴下である。しかし、当然ながら、左足用靴下と右足用靴下1との両方が本発明の範疇に含まれる。具体的には、対応する左足用靴下1は、ここで示される右足用靴下の鏡像として設計すればよい。ソール10は、衝撃ゾーンをつま先領域22、指球領域24、踵領域26、および指球領域24と踵領域26を接続するウェブ領域28に含む。靴下1が着用されると、足の形状から、足元の地面に接することになる足の裏Fの衝撃領域を、これらの衝撃ゾーンが覆う。
【0031】
ソール10は、さらに、非衝撃ゾーンを含む。靴下1が着用されると、着用者が立っているときに足の形状に起因して足元の地面から離れることになる足の裏Fの領域を、非衝撃ゾーンが覆う。このような非衝撃ゾーンの一つは、つま先領域22と指球領域24との間に位置するつま先溝領域32である。さらなる非衝撃ゾーンは、指球領域24と踵領域26との間に位置する中足骨アーチ領域34である。図2で見て、中足骨アーチ領域34の左側にウェブ領域28が存在している。ウェブ領域28に対し中足骨アーチ領域34とは別の側では、さらなる非衝撃ゾーンである三角形領域36が、踵領域26とウェブ領域28とによって画定されている。該三角形領域は、略三角形の形状を有している(三角形状である)。
【0032】
図2bは、右足用靴下1のソール10のインナ側14を示す平面図であり、該靴下1の様々な衝撃ゾーン及び非衝撃ゾーンの位置が描かれている。明らかに示されるとおり、ソール10のインナ側14を示す平面図における衝撃ゾーン及び非衝撃ゾーンの分布は、ソール10のアウタ側12を示す平面図における衝撃ゾーン及び非衝撃ゾーンの分布の鏡像となる。
【0033】
本発明では、少なくともつま先溝領域32および中足骨アーチ領域34が、刺激部材40を具備している。三角形領域36も、刺激部材40を具備するものであってもよい。つま先溝領域32および/または中足骨凹所領域34および/または三角形領域36は、それぞれの表面全体にわたって分布した刺激部材40を具備するものであってもよい。また、つま先溝領域32および/または中足骨アーチ領域34および/または三角形領域36の部分的な領域のみが、刺激部材40を具備する場合も想定される。
【0034】
刺激部材40は、ブリスル(剛毛)状の部材(特には、ブリスル状の繊維部材)であってもよく、又はこのような部材を含むものであってもよい。刺激部材40は、毛髪状の針状体(特には、獣毛の風合いを与え得る毛髪状の針状体)であってもよく、又はこのような針状体を含むものであってもよい。刺激部材40は、ピン状もしくは糸状の刺激性部材として形成してもよく、又はピン状もしくは糸状の刺激性部材を含むものであってもよい。
刺激部材は足に対する良好な適合性を実現するように、可撓性および/または弾性および/または屈曲性を有するものであってもよく、特には刺激機能を良好に果たすように、一定の剛性を有するものであってもよい。好ましくは、刺激部材40は、プラシを含む。刺激部材40を形成するプラシ面が、つま先溝領域32および中足骨アーチ領域34においてアウタ側12のおよび/またはインナ側14の全体にわたって設けられ得る。刺激部材40(特には、プラシ)は、ソール10の衝撃ゾーンに対し(衝撃ゾーンを基準面として)立毛している。
【0035】
図3は、本発明にかかる靴下1の、踵領域26からつま先領域22にかけての延在方向に沿って、ソール10の中央に延びる軸A(図2a及び図2bを参照)に沿った概略断面図である。図3では、着用されて、着用者の足に密着し、着用者の足に対応する形状をとる状態の靴下1が描かれているが、見易くするため、足は描かれていない。図3からは、足の形状に制約されて、ソール10が衝撃領域(つま先領域22、指球領域24および踵領域26)並びに非衝撃領域(つま先溝領域32および中足骨アーチ領域34)を含むことが明白に見て取れる。
【0036】
図3に示す実施形態では、つま先溝領域32及び中足骨アーチ領域34における刺激部材40は、ソール10のアウタ側12に設けられている。刺激部材40は、ブリスル状の繊維部材として図示されており、例えばプラシ等を含み得る。図面では該ブリスル状の繊維部材が、図示を単純にするために比較的長く描かれている。当然ながら、刺激部材40の実際の長さは、適宜調整すればよい。具体的には、刺激部材40の立毛は、ソール10の衝撃ゾーンを基準として3mm未満、5mm未満もしくは1cm未満であってもよく、また3mm超、5mm超もしくは1cm超であってもよい。
【0037】
図3で見て取れるように、平坦面Bに足を付けたとき(図4aを参照)に刺激部材40は、非衝撃面の領域に生じる、具体的にはつま先溝領域32および中足骨アーチ領域34に生じる、靴下1のソール10及び着用者の足と平坦面Bとの間に介在する空間を少なくとも部分的に満たす。これにより、着用者が立っているときに圧力が刺激部材40を介して足の非衝撃領域にも加わるので、足が刺激されて例えば血行を促進させることができる。
【0038】
図4aには、図3の中足骨アーチ領域34を含む部分が描かれており、これに加えて靴下1の着用者の足の裏Fおよび足が立っている平坦面Bも概略的に描かれている。
【0039】
図4bは、代替的な一実施形態における靴下の対応部分を示した図である。図4bでは、中足骨アーチ領域34における刺激部材40が図3及び図4aに示す実施形態とは異なり、ソール10のアウタ側12ではなくソール10のインナ側14に設けられている。そのため、刺激部材40は、靴下1の着用者の足の裏Fと該靴下1のソール10のインナ側14との間に配置されることになる。これにより、刺激部材40がその足の裏Fに直接接するので、足の裏を極めて良好に刺激することができる。足の形状から生じる、平坦面Bと着用者の足の裏Fの間の空間が前述のように満たされることによる支持機能は、ここでも発揮される。当然ながら、刺激部材40は、つま先溝32や三角形領域36においてもソール10のインナ側14に設けられるものとされてよい。
【0040】
図4cには、別の代替的な実施形態の中足骨アーチ領域34が描かれている。ここでは、刺激部材40が、ソール10のインナ側14とアウタ側12との両方に適用されている。この構造も、つま先溝領域32および/または三角形領域36に容易に転用することが可能である。図4cの実施形態は、インナ側14に設けられた刺激部材40により、足の裏Fと該刺激部材40との直接接触を可能にするので、足の裏Fを極めて効果的に刺激できる。刺激部材40がソール10の両側に設けられていることにより、対応する非衝撃ゾーンの総合的な厚みを簡単に大きくでき、足に対する安定化を極めて良好に行うことができる。
【0041】
図4a~図4cに示すように、平坦面Bと靴下の着用者の足の裏Fとの間の距離は、中足骨アーチ領域34全体をとおして一定ではない。この理由から、それに合わせて刺激部材40の高さを調節し、中足骨アーチ領域34全体をとおして高さを変化させることが考えられる。しかし、比較的短い(高さの低い)刺激部材40の場合には、該刺激部材40の高さを一定のレベルに維持するのが妥当であり得る。また、刺激部材40は、足の輪郭に適切に順応するように可撓性を有しているものであるのが好適であり得る。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
衝撃ゾーンをつま先領域(22)、指球領域(24)及び踵領域(26)に含むソール(10)を有する靴下(1)において、
前記ソール(10)が、刺激部材(40)を、前記つま先領域(22)と前記指球領域(24)との間に位置するつま先溝領域(32)および前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間に位置する中足骨アーチ領域(34)に具備し、前記衝撃ゾーンには刺激部材を具備しないことを特徴とする、靴下(1)。
〔態様2〕
態様1に記載の靴下において、前記ソール(10)が衝撃ゾーンを、さらに、前記指球領域(24)と前記踵領域(26)との間にあって前記中足骨アーチ領域(34)に隣接するウェブ領域(28)にも含み、好ましくは、該衝撃ゾーンは、前記指球領域(24)と前記踵領域(26)とを互いに接続していることを特徴とする、靴下。
〔態様3〕
態様1または2に記載の靴下において、前記ソール(10)が、前記ウェブ領域(28)に対し前記中足骨アーチ領域(34)とは別の側に位置して前記踵領域(26)に隣接する三角形領域(36)に、刺激部材(40)を具備することを特徴とする、靴下。
〔態様4〕
態様1から3のいずれか一態様に記載の靴下において、平坦面(B)に立つヒトにより該靴下(1)が着用されているときに、前記衝撃ゾーンは、該平坦面(B)に接することを特徴とする、靴下。
〔態様5〕
態様1から4のいずれか一態様に記載の靴下において、平坦面(B)に立つヒトにより該靴下(1)が着用されているときに、前記つま先溝領域(32)および/または前記中足骨アーチ領域(34)および/または前記三角形領域(36)は、該平坦面(B)から離れていることを特徴とする、靴下。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の靴下において、前記ソール(10)の前記衝撃ゾーンは、足が裸足で平坦面(B)に立っているときに該平坦面(B)に接する足の裏(F)の領域を、該靴下(1)が着用されているときに覆うように設計されていることを特徴とする、靴下。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一態様に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、前記ソール(10)のインナ側(14)および/またはアウタ側(12)に配置されていることを特徴とする、靴下。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の靴下において、前記つま先溝領域(32)および/または前記中足骨アーチ領域(34)および/または前記三角形領域(36)の少なくとも一部の領域が、刺激部材(40)を、インナ側(14)およびアウタ側(12)に具備していることを特徴とする、靴下。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、前記衝撃ゾーンよりも上方に立毛していることを特徴とする、靴下。
〔態様10〕
態様1から9のいずれか一態様に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、プラシを含むことを特徴とする、靴下。
〔態様11〕
態様1から10のいずれか一態様に記載の靴下において、前記ソール(10)が、前記刺激部材(40)を形成するプラシ面を、前記つま先溝領域(32)および/または前記中足骨アーチ領域(34)および/または前記三角形領域(36)においてインナ側(14)またはアウタ側(12)に具備していることを特徴とする、靴下。
〔態様12〕
態様1から11のいずれか一態様に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、ブリスル状の繊維部材を含むことを特徴とする、靴下。
〔態様13〕
態様1から12のいずれか一態様に記載の靴下において、前記刺激部材(40)が、前記ソール(10)の中央において、該ソール(10)が延在する前記踵領域(26)から前記つま先領域(22)にかけての前記ソール(10)の延在方向に(特に中央において)延びる軸(A)を基準として非対称に配置されていることを特徴とする、靴下。
【符号の説明】
【0042】
1 靴下
2 フット部
3 シャフト部
10 ソール
12 アウタ側
14 インナ側
22 つま先領域
24 指球領域
26 踵領域
32 つま先溝領域
28 ウェブ領域
34 中足骨アーチ領域
36 三角形領域
40 刺激部材
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c