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特許7216172HARQを実装するシステムにおけるコードワード対レイヤ・マッピング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】HARQを実装するシステムにおけるコードワード対レイヤ・マッピング
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20230124BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20230124BHJP
   H04L 1/18 20230101ALI20230124BHJP
   H04L 1/16 20230101ALI20230124BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20230124BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04B7/0413 200
H04L1/18
H04L1/16
H04W16/28
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021178013
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2019197527の分割
【原出願日】2008-02-11
(65)【公開番号】P2022023950
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】0700368-4
(32)【優先日】2007-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】514087980
【氏名又は名称】オプティス ワイヤレス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(72)【発明者】
【氏名】イェングレン, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】カンガス, アリ
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/130541(WO,A2)
【文献】国際公開第2006/070465(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/047354(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0156572(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0133521(US,A1)
【文献】国際公開第2006/064857(WO,A1)
【文献】Samsung,Considerations on codewords to layers mapping for downlink MIMO,3GPP TSG-RAN WG1#47bis R1-070130,2007年01月10日,pp.1-8
【文献】LG Electronics,Efficient support of retransmission using codeword DTX,3GPP TSG-RAN WG1#51 R1-074743,2007年10月31日,pp.1-3
【文献】Ericsson,Extending Codeword to Layer Mapping for Efficient Support of Retransmisisons,3GPP TSG-RAN WG1#50 R1-073735,2007年08月15日
【文献】金清 敏幸 他,無線LANマルチセル環境下でのVoIP伝送特性,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.106 No.476,日本,社団法人電子情報通信学会,2007年01月18日,第106巻,pp.79-84
【文献】Texas Instruments,Multi-Codeword Principles for E-UTRA MIMO[online],3GPP TSG-RAN WG1#47bis,2007年01月15日,R1-070269
【文献】Ericsson,Extending Codeword to Layer Mapping for Efficient Support of Retransmissions,3GPP TSG-RAN WG1 #51,2007年10月31日,R1-074845
【文献】Texas Instruments,Views on MIMO-Related UE Feedback[online], 3GPP TSG-RAN WG1#47bis R1-070273,2007年01月19日
【文献】QUALCOMM Europe,Description and link simulations of MIMO schemes for OFDMA based E-UTRA downlink evaluation[online], 3GPP TSG-RAN WG1#42 R1-050903,2005年09月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/0413
H04L 1/16- 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのハイブリッド自動再送要求(HARQ)コードワードを使用して送信された情報信号を無線チャネル上で受信するための受信機(1000)であって、
前記情報信号を受信するための少なくとも1つの受信アンテナ(1002)と、
前記情報信号を処理するための、前記少なくとも1つの受信アンテナに接続された受信要素チェイン(1004)と、
前記少なくとも2つのコードワードと、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために使用される第1の複数のレイヤとの間の第1のマッピングを決定するためのプロセッサ(1006)であって、前記少なくとも2つのコードワードのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのレイヤにマッピングされ、前記プロセッサは、前記第1のマッピングの知識を使用して前記情報信号を復号するようにさらに適合される、プロセッサ(1006)と、を備え、
前記少なくとも1つの受信アンテナ(1002)は、少なくとも2つのレイヤにマッピングされた前記コードワードのうちの1つに含まれる情報ビットのブロックに基づいて、再送コードワードを使用して送信された第2の情報信号を受信するように適合され、前記第2の情報信号は、第2の伝送ランクを有し、前記第2の伝送ランクは、前記第1の伝送ランクと比較して減少しており、
前記プロセッサ(1006)は、前記再送コードワードと第2の複数のレイヤとの間の第2のマッピングを決定するようにさらに適合され、前記第2の複数のレイヤは、前記第1の複数のレイヤよりも少なく、最初に受信された情報信号において前記コードワードのうちの前記1つがマッピングされたレイヤと同数であり、前記第2の複数のレイヤは、前記第2の伝送ランクと同数のレイヤに対応し、
前記プロセッサ(1006)は、前記第2のマッピングの知識を使用して、再送された情報信号の少なくとも一部を復号するようにさらに適合される、受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の受信機であって、前記無線チャネル上の前記情報信号は、2つのHARQコードワードを使用して送信されたものである、受信機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の受信機であって、前記プロセッサは、前記無線チャネルのチャネル・ランクに基づいて前記第2の伝送ランクを決定するようにさらに構成される、受信機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の受信機であって、前記コードワードのそれぞれは、情報ビットのブロックに由来する複数のチャネル符号化ビットを含む、受信機。
【請求項5】
少なくとも2つのハイブリッド自動再送要求(HARQ)コードワードを使用して送信された情報信号を無線チャネル上で受信するための方法であって、
前記情報信号を受信すること(1100)と、
前記少なくとも2つのコードワードと、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために使用される第1の複数のレイヤとの間の第1のマッピングを決定すること(1102)であって、前記少なくとも2つのコードワードのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのレイヤにマッピングされる、こと(1102)と、
前記第1のマッピングの知識を使用して前記情報信号を復号すること(1104)と、
少なくとも2つのレイヤにマッピングされた前記コードワードのうちの1つに含まれる情報ビットのブロックに基づいて、再送コードワードを使用して送信された第2の情報信号を受信すること(1106)であって、前記第2の情報信号は、第2の伝送ランクを有し、前記第2の伝送ランクは、前記第1の伝送ランクと比較して減少している、こと(1106)と、
前記再送コードワードと第2の複数のレイヤとの間の第2のマッピングを決定すること(1108)であって、前記第2の複数のレイヤは、前記第1の複数のレイヤよりも少なく、最初に受信された情報信号において前記コードワードのうちの前記1つがマッピングされたレイヤと同数であり、前記第2の複数のレイヤは、前記第2の伝送ランクと同数のレイヤに対応する、こと(1108)と、
前記第2のマッピングの知識を使用して、再送された情報信号の少なくとも一部を復号すること(1110)と、を有する方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記無線チャネル上の前記情報信号は、2つのHARQコードワードを使用して送信されたものである、方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の方法であって、前記再送中の前記第2の伝送ランクは、前記無線チャネルのチャネル・ランクに基づいて決定される、方法。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか1項に記載の方法であって、前記コードワードのそれぞれは、情報ビットのブロックに由来する複数のチャネル符号化ビットを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に無線通信のシステム、装置、ソフトウェア、及び方法に関し、より詳細にはこれらに関連するコードワード対レイヤ・マッピング(codeword to layer mapping)に関連する仕組み及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
始まりは音声通信のために無線電話技術が設計され、使用された。顧客の電子産業が成熟し続け、プロセッサの能力が増加するにつれて、装置間のデータの無線転送が可能とするより多くの装置が使用可能となり、このような転送されたデータに基づいて動作するより多くのアプリケーションが利用可能となった。特に注目すべきなのは、インターネット及びローカルエリアネットワーク(LAN)である。これらの二つの革新は複数のユーザ及び複数の装置が様々な装置及び装置タイプの間でデータを通信し交換することを可能とした。これらの装置及び能力の到来によって、(業務上の及び家庭内の両方の)ユーザは、移動体位置から音声を送信するだけでなくデータを送信する必要を見出した。
【0003】
この音声及びデータの転送をサポートするインフラストラクチャ及びネットワークが同様に発展してきている。テキスト・メッセージングのような制限されたデータのアプリケーションが、移動体用グローバル・システム(GSM)のようないわゆる「2G」システムに導入された。無線通信システム上のパケット・データは、汎用パケット無線システム(GPRS)を付加したGSMにおいてより使用に適したものとなった。3Gシステム、及びその後に地上波無線アクセス(UTRA)標準により導入されたより広帯域な無線通信は、ウェブ・サーフィンのようなアプリケーションを、数百万のユーザがより容易に(且つより許容可能な遅延で)利用できるものにした。
【0004】
新たなネットワーク設計がネットワーク製造者により展開されるとともに、より高いデータ・スループットをエンドユーザの装置に提供する将来のシステムが議論中及び開発中である。例えば、いわゆる3GPPのロング・ターム・エボリューション(LTE)標準化プロジェクトは、今後の数十年における無線通信の技術基盤を提供することを目的とする。LTEシステムに関して注目すべき他のことの中には、LTEシステムが伝送フォーマットとして直交周波数分割多重(OFDM)を用いて下りリンク通信(すなわち、ネットワークから移動体端末への伝送方向)を提供し、単一周波数分割多元接続(SC-FDMA)を用いて上りリンク通信(すなわち、移動体端末からネットワークへの伝送方向)を提供するだろうということがある。
【0005】
パケット・ベースの通信を対象とする最近の無線通信システムは多くの場合、無線チャネルの障害に対抗するロバスト性を達成するために、物理層上にハイブリットARQ(HARQ)機能を含む。LTE及び広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))はこのような機能が利用可能なシステムの二つの例である。HARQの背景の基本的な考えは、データ・ブロックを含む情報を符号化し、その後にCRCのようなエラー検出情報を追加することによって、前方誤り訂正(FEC)とARQとを組み合わせることである。符号化されたデータ・ブロックを受信した後に、符号化されたデータ・ブロックが復号され、復号が成功したか否かを確認するためにエラー検出メカニズムが用いられる。データ・ブロックがエラーなしに受信された場合に、データ・ブロックの送信が成功したことを示すACKメッセージが送信機に送られるとともに、受信機は新たなデータ・ブロックに対する準備が整う。一方、データ・ブロックが正常に復号されなかった場合に、受信機が同じデータ・ブロックの再送を期待していることを意味するNACKメッセージが送信される。再送の受信に続いて、受信機は、再送を独立して復号するか、復号プロセスにおける同じデータ・ブロックの以前の受信の一部又は全部を利用するかの何れかを選択してもよい。
【0006】
情報ビットの同じブロックに由来するチャネル符号化ビットは一般に「コードワード」と呼ばれる。これはまた、特定のトランスポート・ブロックを供給する一つのHARQプロセスからの特定のサブフレームを対象とする出力を表現するためにLTE仕様書で用いられる用語であり、例えばターボ符号、レート・マッチング、インタリービングなどを実行することによって情報ビットを処理した結果である。LTEの別の興味深い特徴は、送信側と受信側との両方において複数送信アンテナをサポートすることである。複数送信アンテナの装置又はシステムでは、結果として生じるコードワードはその後に変調され、伝送のために送信アンテナに分配される。最初の変調されたコードワードは、例えば、最初の2個の送信アンテナにマッピングされてもよく、2番目の変調された符号後は、4個の送信アンテナのシステムにおける残りの2個の送信アンテナにマッピングされてもよい。
【0007】
プリコーディングは、複数アンテナ伝送と併せて用いられる一般的な技術である。プリコーディングに関わる基本原理は、場合によっては現在のチャネル状況を考慮に入れつつ、アンテナにわたって変調シンボルを混合し分配することである。プリコーディングは、例えば、変調シンボルを含む情報搬送シンボル・ベクトルを、チャネルに適合するように選択された行列で乗ずることによって、実装される。よって、シンボル・ベクトルの列は並行するシンボル・ストリームの集合を形成し、このようなシンボル・ストリームのそれぞれは一般的に「レイヤ」と呼ばれる。よって、特定の実装におけるプリコーダの選択に依存して、レイヤは直接的に特定のアンテナに対応してもよいし、またはレイヤはプリコーダ・マッピングを介して、(アンテナ・ポートとしても知られる)いくつかのアンテナに分配されてもよい。このようなシステムにおいて特定のレイヤにコードワードが割り当てられるメカニズムは「マッピング」又はより具体的に「コードワード対レイヤ・マッピング」と呼ばれる。
【0008】
(多くの場合にMIMOシステムと呼ばれる)複数アンテナのシステムにおいて、いくつかのHARQプロセスからのデータを一度に送信することが有効であるかも知れず、この全体的な処理は複数コードワード伝送としても知られる。コードワードはレイヤにマッピングされるため、これに代えて、当該プロセスは複数レイヤ伝送と呼ばれてもよい。無線チャネル状況に依存して、このプロセスは実質的にデータ・レートを増加できる。なぜなら、有利な状況では無線チャネルは、送信アンテナ数及び受信アンテナ数の最小値と同数のレイヤを大体はサポートできるからである。これが意味することは、チャネルは多くても所定の個数のコードワードの同時伝送をサポートでき、そして特定数はコードワード対レイヤ・マッピングに依存することである。最も単純な場合では、各コードワードは1個のレイヤにマッピングされ、そしてサポート可能なレイヤ数は明らかにサポート可能なコードワード数に等しい。高レートの分野におけるチャネル状況に関連する最も重要な特性の一つは、複数アンテナ伝送はいわゆるチャネル・ランクであるということである。チャネル・ランクは1から送信アンテナ数及び受信アンテナ数の最小値との間で変わり得る。4×2システムすなわち4個の送信アンテナ及び2個の受信アンテナを有するシステム又は装置を例としてあげると、最大チャネル・ランクは2である。ファスト・フェージングがチャネル係数を変えるにつれて、時間が経てばチャネル・ランクは変わる。大まかに言えば、チャネル・ランクはまた、何個のレイヤが首尾よく同時に送信できるか、及び結局のところ何個のコードワードが首尾よく同時に送信できるかを判定する。従って、例えば2個の別々のレイヤにマッピングされる2個のコードワードの伝送の瞬間においてチャネル・ランクが1である場合に、かなりの確率で、コードワードに対応する2個の信号は干渉されて、両方のコードワードは受信機においてエラーとして検出されるだろう。同時に送信されるチャネル使用ごとのレイヤ数は伝送ランクと呼ばれることもある(例えば、LTEでは、チャネル使用は一つのリソース・エレメントに対応する)。LTEの空間多重モードのような純粋な空間プリコーディング方式では、伝送ランクはレイヤ数に等しい。
【0009】
プリコーディングと協働して、伝送をチャネル・ランクに適合することは、チャネル・ランクと同数のレイヤを用いることを必要とする。最も単純な場合では、各レイヤは特定のアンテナに対応する。純粋に例としてLTEシステムにおける現行の4個の送信アンテナの場合を挙げると、4個のレイヤまで送信され得るものの、コードワードの最大数は2個に制限される。2個の送信アンテナのみを有する装置又はシステムにとって、レイヤ数がコードワード数に等しいため、マッピングは比較的単純である。しかしながら、例えば4個以上の送信アンテナを有する装置又はシステムにとって、場合によってはレイヤよりもコードワードが少なく、その結果、何らかの事前に決められた方法でコードワードがレイヤにマッピングされる必要がある。そして、コードワードをレイヤにどのようにマッピングするかに関する課題が生じる。従来よりコードワードからレイヤへの様々なマッピングが提案されてきており、これらは以下で詳細に説明される。これらの従来のマッピングは例えば最初の時点の伝送性能を考慮する場合に良く動作するものの、例えば再送についてのHARQ動作の効率性を考慮する場合のような他の環境では最適でないかもしれない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】「3Gエボリューション-移動体ブロードバンド用のHSPA及びLTE」、エリック・ダールマン他、エルゼビア・リミテッド、2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、システム、方法、装置及びソフトウェアについて前述の問題及び欠点を回避する他のコードワード対レイヤ・マッピングを提供することが望まれるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
例示的な実施形態によれば、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)のコードワードを用いて無線チャネルで情報信号を送信する方法は、同時伝送に利用可能な複数のHARQプロセスのそれぞれに対して1個ずつであるコードワードを生成する工程と、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために前記コードワードを第1の複数のレイヤにマッピングする工程と、最初に、前記無線チャネルで前記情報信号を送信する工程と、続いて、第2の複数のレイヤにマッピングされた前記コードワードのうちの1個のコードワードを生成することによって前記複数のHARQプロセスの一つを用いて、前記無線チャネルで第2の伝送ランクで再送する工程とを有する。
【0013】
別の例示的な実施形態では、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)のコードワードを用いて無線チャネルで情報信号を送信する送信機は、複数の送信アンテナと、同時伝送に利用可能な複数のHARQプロセスのそれぞれに対して1個ずつであるコードワードを生成するとともに、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために前記コードワードを第1の複数のレイヤにマッピングするプロセッサと、前記情報信号を送信する送信チェイン要素とを備え、前記プロセッサは続いて前記2個のコードワードのうちの1個のコードワードを第2の複数のレイヤにマッピングし、前記送信チェイン要素は前記2個のコードワードのうちの前記1個のコードワードを前記無線チャネルで再送することを特徴とする。
【0014】
別の例示的な実施形態によれば、ハイブリッド自動再送制御(HARQ)のコードワードを用いて送信された情報信号を受信する方法は、前記情報信号を受信する工程と、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために用いられた前記コードワードと第1の複数のレイヤとの間の第1のマッピングを判定する工程と、前記第1のマッピングの知識を用いて前記情報信号を復号する工程と、第2の伝送ランクを有する前記情報信号の少なくとも一部の再送を受信する工程と、前記コードワードの少なくとも1個と第2の複数のレイヤとの間の第2のマッピングを判定する工程と、前記第2のマッピングの知識を用いて前記再送された情報信号の前記少なくとも一部を復号する工程とを有する。
【0015】
さらに別の例示的な実施形態によれば、ハイブリッド自動再送制御(HARQ)のコードワードを用いて送信された無線チャネル上の情報信号を受信する受信機は、前記情報信号を受信する少なくとも1個の受信アンテナと、前記情報信号を処理するために前記少なくとも1個の受信アンテナに接続された受信チェイン要素と、第1の伝送ランクを有する前記情報信号を生成するために用いられた前記コードワードと第1の複数のレイヤとの間の第1のマッピングを判定するとともに、前記第1のマッピングの知識を用いて前記情報信号を復号するプロセッサとを備え、前記少なくとも1個の受信アンテナは続いて第2の伝送ランクを有する前記情報信号の少なくとも一部の再送を受信し、前記プロセッサは、前記コードワードの少なくとも1個と第2の複数のレイヤとの間の第2のマッピングを判定するとともに、前記第2のマッピングの知識を用いて前記再送された情報信号の前記少なくとも一部を復号することを特徴とする。
【0016】
さらに別の例示的な実施形態によれば、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)のコードワードを用いて無線チャネルで情報信号を送信する方法は、HARQのコードワードを生成する工程と、前記情報信号を生成するために前記無線チャネルのチャネル・ランクに基づいて前記HARQのコードワードを複数のレイヤにマッピングする工程とを有し、前記チャネル・ランクは1より大きく、前記複数のレイヤは前記チャネル・ランクに等しく、前記無線チャネルで前記情報信号を送信することを特徴とする。
【0017】
別の例示的な実施形態によれば、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)のコードワードを用いて無線チャネルで情報信号を送信する送信機は、複数の送信アンテナと、HARQのコードワードを生成するとともに、前記情報信号を生成するために前記無線チャネルのチャネル・ランクに基づいて前記HARQのコードワードを複数のレイヤにマッピングするプロセッサとを備え、前記チャネル・ランクは1より大きく、前記複数のレイヤは前記チャネル・ランクに等しく、前記情報信号を送信する送信チェイン要素をさらに備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】例示的な実施形態を実装し得る例示的なLTEアクセス・ネットワークを説明する図である。
図2】例示的な実施形態が関連し得る例示的なLTE物理層の情報信号処理を表す図である。
図3】アンテナ・マッピング機能の例を詳細に示す図である。
図4A】、
図4B】、
図4C】、
図4D】第1の従来のコードワード対レイヤ・マッピングの集合を説明する図である。
図5A】、
図5B】、
図5C】、
図5D】第2の従来のコードワード対レイヤ・マッピングの集合を説明する図である。
図6A】、
図6B】例示的な実施形態に従うコードワード対レイヤ・マッピングを説明する図である。
図7】例示的な実施形態に従うコードワード対レイヤ・マッピングが実装され得る例示的な送信装置のブロック図である。
図8】例示的な実施形態に従う送信方法を説明するフローチャートである。
図9】例示的な実施形態に従う送信方法を説明するフローチャートである。
図10】例示的な実施形態に従うコードワード対レイヤ・マッピングの知識が用いられる例示的な受信装置のブロック図である。
図11】例示的な実施形態に従う受信方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する添付の図面は一つ以上の実施形態を説明し、明細書と一緒にこれらの実施形態を説明する。
【0020】
本発明の例示的な実施形態に関する以下の説明は添付の図面を参照する。異なる図面内の同じ参照番号は同一又は類似の要素を特定する。以下の詳細な説明は発明を限定しない。そのかわりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により規定される。
【0021】
これらの例示的な実施形態に従うコードワード対レイヤ・マッピングのより詳細な議論についての何らかの内容を提供するために、最初に図1図3に説明される例示的な無線通信システムを考えよう。図1の無線アクセス・ネットワークのノード及びインタフェースから始めて、この特定の例はLTEシステムの文脈で提供されることが見て取れるだろう。それにもかかわらず、本発明は適用性の観点でLTEに関連する送信機又は伝送に限定されず、そのかわりに複数の送信アンテナが採用される任意のシステムで用いられ得る。この任意のシステムは、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、GSM、UTRA、E-UTRA、高速パケット・アクセス(HSPA)、UMB、WiMax、及びその他についてのシステム、装置、及び方法を含むがこれに限定されない。しかしながら、図1の例はLTEに関して提供されるため、無線インタフェースを通じて送受信するネットワーク・ノードはeノードBと称され、いくつかのeノードB200が図1に説明される。
【0022】
無線インタフェースの文脈では、各eノードB200は一つ以上のセル202に向けた信号の送信及びこれらからの信号の受信を担当する。各eノードBは複数のアンテナ、例えば2個、4個、又はこれ以上の送信アンテナと、場合によっては同様に複数の受信アンテナ、例えば2個、4個、又はこれ以上の受信アンテナとを含む。各eノードBはこのような信号の物理層に関して符号化、復号、変調、復調、インタリービング、デインタリービング等を含む機能を扱うが、これらの機能に限定されない。本明細書で用いられる場合に、「送信アンテナ」という用語は物理アンテナ、仮想アンテナ、及びアンテナ・ポートを含み、総称的であることを明確に意図することに留意されたい。eノードB200はまた、例えばユーザのスケジューリング、ハンドオーバの決定、及び同様のものを含むシステム内の通信の扱いに関連する多くの上位の機能を担当する。これらの例示的な実施形態が展開されてもよいLTEやその他のシステムに関連する送受信機能についてより多くの情報を望む関心のある読者は非特許文献1の本を案内され、この本の開示は参照して組み込まれる。
【0023】
それにもかかわらず、下りリンクにおける(すなわち、場合によってはコア・ネットワーク203を通じてeノードB200へ転送され、その後に目的の移動体端末又は移動局、例えば図1のMS204に向けてセル202に転送される)信号の伝送に関連するベースバンド処理を簡潔に議論するために、図2を考えよう。この図では、二つのトランスポート・ブロックのデータ300が空間多重化を用いたeノードB200による伝送のために処理されている。ステップ302で、エラーを検出するために受信機により用いられる巡回冗長検査(CRC)ビットが挿入される。ステップ304で、無線チャネルにより与えられる障害に対抗するペイロード・データの保護を提供するためにチャネル符号化がトランスポート・ブロックに適用される。ステップ306で、例えば、割り当てられたリソース・ブロック数、選択した変調方式、及び空間多重化の順序のような様々な基準に基づいて、伝送時間間隔(TTI)内で送信されるビットの正確な集合を生成するために、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)は、チャネル符号器により提供される符号ビットのブロックから符号ビットを抽出して繰り返すように動作する。これが意味するのは、同じトランスポート・ブロックの情報ビットの各伝送試行についてHARQステップ306から同じ符号ビットが産出される必要はないということである。TTIに対応する信号はLTEでは1msにわたるいわゆるサブフレームで送信される。
【0024】
ステップ308で、HARQブロックから出力されたコードワードは、ビット・レベルのスクランブリング列又はスクランブリング・マスクによりスクランブリング(多重化)され、これは受信において無線信号への干渉を抑圧するのに役立つ。その後にステップ310で、スクランブリングされたビットのブロックを、対応する変調シンボルのブロックに変換するために、選択されたデータ変調、例えば4相位相変調(QPSK)、16値直交振幅変調(QAM)、又は16QAMが適用される。その後にステップ312で、これらの変調シンボルは、様々なアンテナと様々なアンテナ・ポートとの少なくともいずれかにマッピングされる。LTEの用語では、アンテナ・ポートは特定の下りリンク・リファレンス信号の伝送に対応し、これは実際の物理アンテナに対応してもよいし対応しなくてもよい。各アンテナ(図2では1-n、例えば2、4、8、16)で送信されるシンボルはその後にそれぞれのリソース・ブロック314にマッピングされ、eノードB200による伝送に先立ってOFDM処理(不図示)に送信される。
【0025】
これらの例示的な実施形態に対する送信処理において特に興味があるのは、アンテナ・マッピング・ステップ/ブロック312である。アンテナ・マッピング処理はさらに、図3に示すように、変調ブロック310から出力されたコードワードのレイヤへのマッピングと、アンテナ(又はアンテナ・ポート)にマッピングされたシンボルを生成するための結果として生じるシンボル・ベクトルのプリコーディングとに細分される。図3で、2組のコードワードがレイヤ・マッピング機能400により3個のレイヤにマッピングされている例が提供される。3個のレイヤに関連する2個のシンボル・ベクトルv1及びv2が図3に説明される。これらのシンボル・ベクトルはその後に、プリコーディング機能402によって、一つ以上のプリコーディング行列を適用することによって、すなわちプリコーディング行列又は行列群を入来シンボル・ベクトルに乗算するの行列乗算によって、プリコーディングされる。プリコーディングの詳細な説明は本議論の範囲外である。しかしながら、図3における3個のレイヤ及び4個の送信アンテナへのマッピングの説明は純粋に例示的であり、これらの例示的な実施形態は他の個数のレイヤと他の個数の送信アンテナとの少なくともいずれかに適用できることが理解されよう。レイヤ数(すなわち伝送ランク数)の選択は、前述のように、一般には(場合によってはその他の基準に中からの)チャネル・ランクに基づいて変わり、アンテナ数は、システムごとに変わってもよいし、システム内の送信装置においてでさえ変わってもよい。
【0026】
任意の所与のシステム、装置、又は実装について、一般には固定数の送信アンテナがあり、したがってコードワード・レイヤ間の事前に決定された一つ以上のマッピングが、例えば図3に説明されるようなコードワード対レイヤ・マッピングを実行するのに用いることが出来るだろう。このマッピングは、決定されたチャネル・ランクに応じて、特定の送信機又は装置の動作の間に変わり得る。すなわち、コードワードは別の装置への伝送の間に、より多い又はより少ないレイヤにマッピングされ得る。4個の送信アンテナを有するシステム又は装置についての従来のコードワード対レイヤ・マッピングの集合が図4及び図5で説明される。例えば、図4A図4Dは従来のコードワード対レイヤ・マッピングの第1の集合を表す。図4Aから始めて、例えば、伝送ランク1の特性に対応するとチャネル状況が判定された場合に、一つのコードワード500が一つのレイヤ502にマッピングされる。レイヤ502はプリコーダ504に入力され、プリコーダ504はシンボルをプリコーディングし、これらを4個の送信アンテナ506-512の間で分配する。
【0027】
ランク2のチャネルについて、伝送ランク2が適当であり、コードワード対レイヤ・マッピングが例えば図4Bに示されるように実行され得る。図4Bでは、2個のコードワード514、516が2個のレイヤ518、520にそれぞれマッピングされる。これらの2個のレイヤ518、520は、それぞれのシンボル・ストリームをプリコーダ504に提供し、さらにプリコーダ504はシンボルをプリコーディングし、これらを4個の送信アンテナ506-512の間で分配する。ランク3のチャネルについて、伝送ランク3が用いられてもよく、これは図4Cで説明され、第1のコードワード522が1個のレイヤ523にマッピングされ、一方で第2のコードワード524が直並列(S/P)変換器530を用いて2個のレイヤ526、528にマッピングされる。結果として生じる3個のレイヤはその後にプリコーディングされ、これらのシンボルは4個の送信アンテナ506-512の間で分配される。ランク4のチャネルについて、送信機は図4Dに説明されるコードワード対レイヤ・マッピングを用いることが出来る。図4Dでは、2個のコードワード532、534はそれぞれ異なる2個のレイヤにマッピングされる。すなわち、S/P変換器544、546をそれぞれ介して、コードワード532についてはレイヤ536、538にマッピングされ、コードワード534についてはレイヤ540、542にマッピングされる。結果として生じる4個のレイヤはその後にユニット504によりプリコーディングされ、これらのシンボルは4個の送信アンテナ506-512の間で分配される。
【0028】
別の従来のコードワード対レイヤ・マッピングの集合が図5A図5Dに説明される。これらの図では、図5A図5Cで説明されるランク1-3についてのレイヤへのコードワードのマッピングは、図4A図4Cで従来のマッピングの集合として上述されたものと同じであり、従ってここではさらに説明しない。しかしながら、ランク4のチャネル特性についてのマッピングは異なる。(図4Dに示されるように)2個のコードワードのそれぞれを異なる2個のレイヤにマッピングする代わりに、この従来のマッピングの集合は、第1のコードワード600を1個のレイヤ604にマッピングし、第2のコードワード602をS/Pユニット610を介して3個の異なるレイヤ606、607、及び608にマッピングする。結果として生じるレイヤはその後にユニット504によってプリコーディングされ、これらのシンボルは4個の送信アンテナ506-512の間で分配される。この特定のマッピングは、逐次干渉除去技術を採用する特定の高度なタイプの受信機が採用される場合に、受信機からのチャネル品質報告の正確さを向上する利点があると主張されている。
【0029】
図4A図5Dに関して上述された従来のコードワード対レイヤ・マッピングは十分に動作し、最初の時点の伝送性能だけが考慮される場合に、可能なすべてのマッピングと比較して比較的小さい性能損失を被る。しかしながら、例えば上述のHARQ処理の一部としての再送を考慮に入れた場合に、その他のマッピングが望まれる。例えば、特定の時点で、情報を送信に使用している無線チャネルがチャネル・ランク4を有していると送信機/送受信機が判定したと想定しよう。送信機/送受信機はその後に、データのブロックの初期/最初の伝送のために例えば図4Dに表される従来のマッピングを用い、それによって図4Dに示されるように2個のコードワードが4個のレイヤにマッピングされる。さらに、続いて、送信されたコードワードの一方又は両方が受信機において正常に検出されなかったことを想定しよう。この場合に送信機はこれら2個のコードワードに含まれている情報を再送することを要求される。しかしながら、これらのコードワードの再送の時点において、チャネルはランクが例えばランク4からランク2に変わっていて、一般的には4個のレイヤにマッピングされた2個のコードワードを首尾よく同時に伝えることはできない。よって、送信機が伝送ランクを減らし(すなわち、伝送に用いられるレイヤ数を減らし)、一時点において1個のコードワードからのシンボルだけを送信する必要がある。しかしながら、図4A-4Dに示された従来のコードワード対レイヤ・マッピングの集合を考えると、2個のレイヤだけを用いるためには、図4Bに示されるように、2個のコードワードが使用されなければならない。
【0030】
よって、図4A図4Dで提供される従来の事前に決定されたマッピングの集合を用いて、1個のコードワードからの信号だけが送信される必要がある場合に、伝送のために2個のレイヤを用いることはできない。よって、送信機は1個のレイヤだけを用いてコードワードを再送する必要があるだろう。同様の問題は図5A図5Dに説明された従来のマッピングの集合に関しても存在する。よって、このことはさらに、受信機側でのチェイス合成を妨げ、また、再送が当初の伝送の半数の符号化ビットに制限されることを意味する。高い符号化率を有する最初の伝送について、このことは符号化利得の潜在的な損失を表し得る。
【0031】
図4A図5Dの従来のコードワード対レイヤ・マッピングに関する上述の問題は、HARQ動作の効率性に深刻な影響を与えるかもしれない。例えば、再送についてこれらの従来のマッピングを用いると、送信機が4個の当初のレイヤをすべて維持し、貧弱なチャネル状況のせいで再送されたデータを恐らくは正確に受信できないか、または一時点における1個のコードワードが1個のレイヤだけを用いて送信されるかのいずれかである。しかしながら、後者のケースでは、恐らくは、HARQバッファ内の符号化されレート・マッチングされインタリーブされたビットは、より少ないレイヤが利用可能である場合に適合しない。よって、よくてもレート・マッチング及びインタリービングが繰り返される必要があるかもしれず、最悪の場合にはより少ないレイヤを用いなければならない場合に情報ビットの基礎を成す数(underlying number)が適合しないことになるか、少なくとも符号レートは極端に高くなる。HARQプロセスの一方がもう一方よりも早く終了し、その後にチャネル・ランクが1に落ちる場合に、同様の問題が生じる。
【0032】
例示的な実施形態に従うこの問題に対する解決策は、任意の残りのコードワード(群)(又はHARQプロセス(群))に対応してレイヤ数を変更することを強要することなく、同時に送信されるコードワード(又はHARQプロセス)の個数を減らすことを送信機/送受信機が可能となる追加又は代替のコードワード対レイヤ・マッピングを提供することである。この能力をサポートするマッピングは、再送に用いるためだけに追加され得るし、最初の時点のデータの伝送において送信機によって用いられるためにも利用され得る。例えば、図4A図4Dに表されたコードワード対レイヤ・マッピングを考える場合に、ランク4の伝送からランク2の伝送に移ることは現行では各コードワードにそれぞれ1個のレイヤを用いることを強要する。この問題を避けるために、1個のコードワードを2個(又はそれ以上)のレイヤに関与させる一つ以上の追加のマッピングが様々なチャネル・ランクに対して提供され得る。
【0033】
例示的な実施形態に従うこのようなマッピングの一つが図6Aに説明される。この図では、ランク2の無線チャネルについて、1個のコードワード700がS/Pユニット706を介して2個のレイヤ702、704にマッピングされる。結果として生じるレイヤはこれらのシンボルをユニット708によりプリコーディングさせ、その後に送信アンテナ710-716の間で分配させる。図6Aでコードワード700をさらに特定するパラメータnはコードワード番号を意味し、1又は2のいずれかに設定される。例えば、図6Aのマッピングが、例えば当初は図4Dのマッピングを用いて送信されたコードワード2を再送するために送信機により用いられる場合に、nは2に等しいだろう。図6Bに説明される別の例示的な実施形態では、ランク3の無線チャネルについての1個のコードワードから3個のレイヤへのマッピングが、同様に又は代替的に、コードワード対レイヤ・マッピングの集合に提供され得る。この図では、コードワード720は、S/Pユニット728を用いて3個の異なるレイヤ722、724、726にマッピングされる。結果として生じる3個のレイヤはプリコーディング・ユニット730に入力され、プリコーディング・ユニット730はシンボルをプリコーディングし、この例では4個の送信アンテナ710-716の間でこれらを分配する。
【0034】
例示的な実施形態に従うこれらのコードワード対レイヤ・マッピングでは、プリコーディング・ユニット708、730は、レイヤ702、704又はレイヤ722、724、726の順序付けをそれぞれ担当することが出来る。よって、様々なレイヤの順序付けは、図6A図6Bでは明示的に参照されないが、そうすることは容易であるだろう。また、再送について、コードワード番号が任意の所与のマッピングについて変更できることは明らかだろう。図6A図6Bで説明される例示的なマッピングは、図4A図5Dで説明されたマッピングの集合の何れかの一部として、これらのマッピングの集合を拡張するために、独立に又は一緒に用いられてもよく、またはこれらはその他のマッピングの集合と一緒に用いられてもよい。
【0035】
既存のマッピングの集合に追加のマッピングを追加することは、さらに、所与のコードワード又はデータ・ブロックについてどのマッピングが送信機により用いられているかを受信機に知らせることを必要とするかもしれない。LTEでは、受信機(UE)は例えばチャネル測定値に基づいて、所定の伝送ランク及びプリコーダをeノードBに推奨するだろう。取り得るマッピングが一つしかない伝送ランクについて、受信機による伝送ランクの推奨は、暗示的にコードワード対レイヤ・マッピングを判定する。その代わりに、UEは、伝送ランクを暗示的に読み出せるコードワード対レイヤ・マッピングを、例えばこのような推奨をeノードBに知らせることによって、明示的に推奨するだろう。eノードBは伝送ランクの推奨に従うか、これを覆すかを選択してもよい。いずれの場合でも、eノードBは、どのマッピング/伝送ランクがそこへの送信に用いられるかをすなわち下りリンク内でUEに向けて知らせることが出来る。どの特定のマッピングが用いられるべきか及び特にどのように拡張マッピングを追加するかについて知らせるために用いられ得るいくつかの代替がある。シグナリングは好適には、例えばプリコーディングのインデックスのシグナリングと併せて考慮されるべきであり、LTEでは好適には物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)に置かれるだろう。いずれの場合でも、追加のマッピングへのサポートを追加する一つの例示的な方法は、コードワードが未使用のままであるべき場合には、対応するレイヤが送信されないように、コードワード内の情報ビット数を表現するPDCCH内のトランスポート・フォーマット・サイズ・フィールドをゼロに設定することである。
【0036】
上述のように、本明細書で記載される送信処理技術は、種々の通信システム、例えば符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、単一周波数分割多元接続(SC-FDMA)システムなどで用いられてもよい。送信機/送受信機は、下りリンク無線チャネルで情報信号を送信するために、例えば、無線基地局、ノードB、eノードB、又は同様のものの内部に配置されてもよい。これに代えて、送信機は、上りリンク無線チャネルで情報信号を送信するために、例えば、移動体ユニット、端末装置、ユーザ機器、又は同様のものに配置されてもよい。これらの例示的な実施形態が提示される特定の種類の通信システムに関わらず、送信装置は一般に図7に概略的に説明される構成要素を含む。
【0037】
この図では、送信機は、この例では4個である複数の物理送信アンテナ802を含む。しかしながら、4個より多い又は少ない送信アンテナが用いられ得る。物理送信アンテナ802は送信(TX)チェイン要素804を介してプロセッサ806に接続され、送信チェイン要素804は当業者に理解されるように、一つ以上のフィルタ、電力増幅器、及び同様のものを含み得る。プロセッサ(群)806は、メモリ装置(群)808(及び場合によっては図示されない他の装置)と協働して、例えば、内部に記憶されたソフトウェア、追加のハードウェア、又はソフトウェアとハードウェアとの何らかの組み合わせによって、図1図3に関して上述された送信処理を実行するように動作できる。よって、上述されたコードワード対レイヤ・マッピングの機能は、例えば、図6A及び図6Bに関して上述されたマッピングを実行するためにメモリ装置808からのコンピュータで読み取り可能な命令を実行することによって、ソフトウェアで実行されてもよい。よって、例示的な実施形態はまた、ソフトウェア、例えばコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶され、コンピュータにより読み出された際に、プロセッサ又は同様のものが、HARQのコードワードが上述の手法でレイヤにマッピングされる情報信号を送信することに関連する所定のステップを実行するようなプログラム・コード又は命令に関する。このようなステップの例は、図8及び図9のフローチャートで説明される。
【0038】
例えばエラーで受信されたコードワードの再送を含む例示的な実施形態による情報信号の送信方法が図8で説明される。この図では、ステップ800で、コードワードが生成さえる。すなわち例えば二つのHARQプロセスのそれぞれから1個ずつが生成される。コードワードは、このデータの第1の伝送の時点において送信機により認識されたチャネル・ランクに基づいて、第1の伝送ランクに対応する第1の複数のレイヤにマッピングされ、ステップ902で情報信号が生成される。すなわちレイヤ数は伝送ランクに等しい。ステップ904で、情報信号はその後に無線チャネルで送信される。続いて、ステップ906で、HARQプロセスの一つが再送を命令され、例えば再送が命令されたHARQプロセスに関連するコードワードの第1の送信を受信機がエラーで受信したことに起因して、対応するコードワードが産出され再送される。再送されるコードワードは第2の複数のレイヤにマッピングされ、例えば再送の時点において送信機により認識されたチャネル状況に関連する第2の伝送ランクで送信される。
【0039】
例示的な実施形態に従い、再送を含んでもよいし含まなくてもよい情報信号の送信方法が図9で説明される。この図では、ステップ1000で、HARQプロセスからコードワードが生成される。ステップ1002で、このコードワードは、情報信号を生成するために、例えば無線チャネルのチャネル・ランクに基づいて、伝送ランクに対応する複数のレイヤにマッピングされる。ここで、伝送ランクは1より大きく、レイヤ数は伝送ランクに等しい。結果として生じる情報信号はその後にステップ1004で送信される。
【0040】
上述のような伝送のために処理された信号の受信機は、上述のように、受信信号を復号するために伝送に用いる特定のコードワード対レイヤ・マッピングを考える必要があることが検討される。よって、上述のようにコードワードからレイヤにマッピングされている情報信号を受信して処理する例示的な受信機1000が図10で説明される。この図では、1個(又はこれ以上の)受信アンテナ1002が、送信側の処理の間にコードワードからレイヤにマッピングされている情報信号を受信する。1個以上の受信(RX)チェイン処理要素1004(例えば、フィルタ、増幅器、又は同様なもの)を通過した後に、プロセッサ(群)1006は、内部に含まれている信号を抽出するために、例えばメモリ装置(群)1008に記憶されたソフトウェアの処理と協働して、これらの情報信号に実行されたコードワード対レイヤ・マッピングの知識を用いて、受信情報信号を処理するだろう。
【0041】
例えば、図11のフローチャートに示されるように、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)のコードワードを用いて送信された情報信号の受信方法は、情報信号1100を受信するステップと、第1の伝送ランクを有する情報信号を生成するのに用いられたコードワードと第1の複数のレイヤとの間の第1のマッピングを判定するステップと(ステップ1102)を含み得る。このマッピングの知識を用いて、受信機はその後にステップ1104で受信した情報を復号する。第2の伝送ランクにおける情報信号の少なくとも一部の再送は、その後にステップ1106で生じる。受信機はその後に、1個以上のコードワードと第2の複数のレイヤとの間の第2のマッピングを判定し得(ステップ1108)、再送された情報信号を復号するためにステップ1110でこの知識を用いる。
【0042】
例示的な実施形態の先行の説明は図説及び説明を提供するものの、網羅的であることを意図せず、開示された簡潔な形に本発明が制限されることを意図しない。修正及び変形が上述の教唆に照らし合わせて可能であり、本発明の実践から得られるかもしれない。添付の特許請求の範囲及びこの均等が本発明の範囲を規定する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11