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特許7216182ヘッドマウントディスプレイ及びこの種のヘッドマウントディスプレイを備えたアミューズメント装置
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  • 特許-ヘッドマウントディスプレイ及びこの種のヘッドマウントディスプレイを備えたアミューズメント装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ及びこの種のヘッドマウントディスプレイを備えたアミューズメント装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230124BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021500145
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2019073213
(87)【国際公開番号】W WO2020043879
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】102018121258.5
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517168875
【氏名又は名称】ファオエル コースター ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】VR Coaster GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ファウル、トーマス
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-311908(JP,A)
【文献】特開平08-129157(JP,A)
【文献】特開2009-157291(JP,A)
【文献】特表2015-504616(JP,A)
【文献】国際公開第2017/193043(WO,A1)
【文献】特開2006-197435(JP,A)
【文献】特開平09-127429(JP,A)
【文献】特開平06-242435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0345198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMD(1)であって、
内部(11)を備えたハウジング(10)と、
焦点(16、18)において前記ハウジング(10)の前記内部(11)に位置する焦点面(5)を備えた少なくとも1つの光学レンズ(15、17)と、
第1の偏光方向を有する少なくとも1つの第1の偏光フィルタ(21)および第2の偏光方向を有する第2の偏光フィルタ(22)と、
少なくとも1つのLCDユニット(25)とを備え、
前記少なくとも1つのLCDユニット(25)は、前記第1の偏光フィルタ(21)と前記第2の偏光フィルタ(22)との間の前記焦点面(5)の領域内に配置され、
前記第1の偏光フィルタ(21)および前記第2の偏光フィルタ(22)のうち少なくとも1つは、前記焦点面(5)から所定の距離だけ離れて配置され、
前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタ(22)が、前記少なくとも1つのLCDユニット(25)に対向する前記少なくとも1つの光学レンズ(15、17)の側に配置され、
前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタ(22)が、光の屈折を回避するために前記少なくとも1つの光学レンズ(15、17)と該少なくとも1つの光学レンズ(15、17)から等距離にある前記少なくとも1つのLCDユニット(25)との間に配置されるとともに、前記少なくとも1つの光学レンズ(15、17)を通過する光線(L)が前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタ(22)を直角に通過するように前記少なくとも1つの光学レンズ(15、17)に対応する曲率を有し
前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とが同じではない、HMD(1)。
【請求項2】
前記LCDユニット(25)と前記第1の偏光フィルタ(21)および前記第2の偏光フィルタ(22)のうち少なくとも1つとの間に分離ギャップ(20)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載のHMD(1)。
【請求項3】
バックライト(29)が、前記光学レンズ(15、17)とは反対側の前記LCDユニット(25)の側に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のHMD(1)。
【請求項4】
前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とが90度回転していることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載のHMD(1)。
【請求項5】
前記ハウジング(10)の前記内部(11)が前記少なくとも1つの光学レンズ(15、17)によって閉鎖されることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のHMD(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のHMD(1)であって、
HMD(1)は、異物に対する保護等級IP4X以上、およびIPX4以上の防水の保護等級のうち少なくとも1つを有する、HMD(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のHMD(1)を少なくとも1つ備えたアミューズメント装置(2)。
【請求項8】
前記アミューズメント装置(2)は、屋外の娯楽用の乗り物、ジェットコースターまたはカルーセルである請求項7に記載のアミューズメント装置(2)。
【請求項9】
前記HMD(1)が有線インターフェースを介して前記アミューズメント装置(2)に接続されていること、または前記HMD(1)が無線インターフェースを介して前記アミューズメント装置(2)に接続されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のアミューズメント装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内および屋外での使用のための改善された特性および自然光からの放射線に対する改善された耐性を有する、請求項1に記載の特徴を有するヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head-Mount Display)に関する。さらに、本発明は、アミューズメント装置、特に、少なくとも1つのそのようなヘッドマウントディスプレイを有する、屋外の娯楽用の乗り物、ジェットコースターまたはカルーセルに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと呼ぶ)は、従来技術から様々な構成で知られており、ユーザの視野内に人工的に生成された表現を表示するために使用される。この目的のために、HMDは、人の目の前の頭に配置または取り付けることができ、画像は、人の視野内の可能な限り広い領域をカバーすることができる。この種のディスプレイデバイスは、主にVR眼鏡の分野で仮想現実を生成するために使用される。この場合、仮想現実の表現は、人の頭の動きと同期したVR眼鏡の位置および/または向きに基づいてリアルタイムで適合させることもできる。さらに、光学的な現実をカメラで記録し、拡張現実感の効果をもたらすことにより、ヘッドマウントディスプレイの表現を拡張することができる。
【0003】
HMDには通常、内部を有するハウジングを含む。内部には、2つの部分からなるディスプレイユニットまたは2つのディスプレイユニットがあり、その表現は、目ごとに1つの光学レンズを介して人が捉えることができる。各ディスプレイユニットは、通常、バックライト、第1の偏光子、LCDユニット、および第2の偏光子を備える。LCDユニットは2つの電極を備えており、2つの電極は互いに反対側に配置されており、電極間に配置された液晶に影響を与えて、液晶を放射する光の偏光を回転させることができる。
【0004】
LCDユニットから出る光の偏光に応じて、バックライトからの光線は第2の偏光フィルタから出射し、それに応じて人の目で知覚することができる。
そのようなHMDの使用は、先行技術においてそれ自体が証明されている。特にHMDの使用のために、例えば、アミューズメント装置、特に屋外の娯楽用の乗り物、ジェットコースター、カルーセルなどの体験価値を高める多くのアプリケーションが開発されてきた。このようなアミューズメント装置は、閉鎖空間の外に配置されることが多く、HMDをあらゆる種類の環境条件に晒す。可能な広い温度範囲に加えて、すべての気象条件でアミューズメント装置でVR体験を可能にするために、HMDは防塵および防湿でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術から知られているHMDが、特にHMDが閉鎖空間の外で使用される場合だけでなく、HMDが窓の後ろの内側に保管される場合にも日光に晒される場合にも、ディスプレイユニット上における永久光のスポットの形で損傷を受けることは不利であることが分かっている。HMDが日光の照射される領域に配置されると、光は光学レンズを透過してHMDのハウジングの内部に入り、ディスプレイユニットを破壊することがわかっている。太陽光が光学レンズによって集束され、焦点の領域に集中するようにディスプレイユニットに当たることによって、ディスプレイユニットが熱により破壊される。
【0006】
これが本発明の始まりである。
本発明は、改良されたHMDを提供するという目的に基づいており、改良されたHMDは、従来技術から知られているHMDの欠点をうまく排除し、屋外での使用に適し、特にアミューズメント装置、ジェットコースターおよびカルーセルだけでなく、家庭での屋内使用にも適している。本発明によるHMDは、直射日光に無反応であるべきである。一般に、アミューズメント装置の乗客などの人がアミューズメント装置の体験の前後にHMDを着脱するときはいつでも、またHMDが屋内の窓の前に置かれているとき、または光の強度が高い空間内に置かれているときには、太陽光線がHMDに入射する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これらの目的は、請求項1に記載の特徴を有するHMDによって達成される。さらに、これらの目的は、本発明により、請求項に記載の特徴を備えたアミューズメント装置によって達成される。
【0008】
従属請求項は、本発明のさらに有利な改善を含む。
本発明によるHMDは、内部を有するハウジングと、焦点に位置する焦点面を有する少なくとも1つの光学レンズであって、該焦点面が前記ハウジング内に配置される、少なくとも1つの光学レンズと、第1の偏光方向を有する少なくとも1つの第1の偏光フィルタと、第2の偏光方向及び少なくとも1つのLCDユニットを有する第2の偏光フィルタとを備え、前記少なくとも1つのLCDユニットは、前記第1の偏光フィルタと前記第2の偏光フィルタとの間の前記焦点面の領域内に配置され、前記第1の偏光フィルタおよび/または前記第2の偏光フィルタは、前記焦点面または前記LCDユニットから所定の距離だけ離れて配置され、かつ熱的に分離されている。
【0009】
本発明によるHMDは、入射光線が光学レンズによって集光され、前記LCDユニットを破壊しないが、前記第1の偏光フィルタおよび/または前記第2の偏光フィルタのみが熱の影響によって損傷を受ける、という驚くべき知見に基づいている。したがって、本発明によるHMDは、第1の偏光フィルタおよび/または第2の偏光フィルタを、焦点に位置する焦点面から所定の距離だけ離れた位置に配置する手段に基づくものである。その結果、入射光線に起因する熱負荷は、HMDが損傷や障害を受けることなく太陽光に晒される程度まで低減される。
【0010】
本発明のさらに有利な設計は、トレンドカラムが、LCDユニットと第1の偏光フィルタおよび/または第2の偏光フィルタとの間に配置されることを提供する。トレンドカラムは、第1の偏光フィルタおよび/または第2の偏光フィルタの熱的および/または機械的な分離に使用される。その結果、一方では、第1の偏光フィルタおよび/または第2の偏光フィルタと光学レンズの焦点面との間に十分な距離が設定され、他方では、LCDユニットと関連する偏光フィルタとの間の熱伝達が低減される。トレンドカラムは、特に好ましくはガス状媒体で満たされ、ハウジングの内部全体が特に好ましくはガス状媒体で満たされている。媒体はより好ましくは非反応性気体であるが、洗浄ガス、工業用ガスまたはガス混合物が好ましい。
【0011】
本発明のさらに好ましい設計によれば、前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタが、前記少なくとも1つのLCDユニットと前記少なくとも1つの光学レンズとの間に配置され、前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタと前記少なくとも1つのLCDユニットとの間の距離は、前記少なくとも1つのLCDユニットと前記少なくとも1つの光学レンズとの間の距離の少なくとも25分の1、または光学レンズの焦点長の少なくとも25分の1である。前記光学レンズの前記焦点距離と前記偏光フィルタとの間のわずかな距離でさえ、前記レンズを通して入射する光線が偏光フィルタに及ぼす熱的影響を低減するのに十分であり、HMDを着用している人によって知覚される表示画像の表現に影響を与えないことが見出された。
【0012】
前記少なくとも1つの第2の偏光フィルタが、前記少なくとも1つのLCユニットに対向する前記少なくとも1つの光学レンズの側に配置される場合に有利であることが見出された。この目的のために、前記第2の偏光フィルタは、前記光学レンズ上に直接適用または配置されてもよく、あるいは前記光学レンズ内に配置されてもよい。特に、光の屈折を回避するために、前記少なくとも1つの光学レンズと該光学レンズから等距離にある前記LCDユニットとの間に前記偏光フィルタを配置することが有利であることが証明されている。したがって、前記光学レンズを通過する光線は、前記偏光フィルタに直角に当たるか通過する。
【0013】
本発明の別の有利な実施形態は、前記第1の偏光フィルタの前記第1の偏光方向と前記第2の偏光フィルタの前記第2の偏光方向が同じではないことを提供する。前記第1の偏光フィルタおよび前記第2の偏光フィルタが線形偏光フィルタであり、前記第1の偏光方向が前記第2の偏光方向に対して垂直に向けられている場合が特に好ましい。
【0014】
前記ハウジングの内部が前記少なくとも1つの光学レンズによって閉鎖されている場合、特に屋外空間または屋外でのアミューズメント装置の使用に有利であることが証明されている。本発明によれば、前記HMDは、例えば雨のような飛沫水とほこりから十分に保護されるべきであり、アミューズメント装置で再利用するための簡単な洗浄プロセスで消毒または洗浄され得る。したがって、一方では、アミューズメント装置での迅速で衛生的に安全な再利用を達成することができ、他方では、生成された表現に悪影響を与える異物がハウジングの内部に侵入することはできない。
【0015】
屋外用ハウジングが少なくともIP4X規格に対応している場合は特に有利であり、異物に対するIP4Xよりも高い保護規格が特に好ましい。保護規格が少なくともIP6kXに対応していることが好ましい。さらに、屋外で使用するためのHMDが、少なくともIPX4、より好ましくは少なくともIPX4k、より好ましくはIPX6に対応する防水の保護等級が、特に有利である。
【0016】
本発明の別の態様は、アミューズメント装置、特に屋外アミューズメントライド、ジェットコースターまたはカルーセルだけでなく、少なくとも1つのHMDを備えた、屋内および屋外での家庭用のアミューズメント装置に関する。HMDは、好ましくはVR眼鏡として使用され、内部を有するハウジングは、焦点に位置する焦点面を有する少なくとも1つの光学レンズを備え、この焦点面は、ハウジングの内部に配置される。加えて、HMDは、第1の偏光方向を有する少なくとも1つの第1の偏光フィルタと、第2の偏光方向を有する第2の偏光フィルタとを備え、前記少なくとも1つのLCDユニットは、前記第1の偏光フィルタと前記第2の偏光フィルタとの間の前記焦点面の領域内に配置され、前記第1の偏光フィルタおよび/または前記第2の偏光フィルタは、前記焦点面から離れて配置され、かつ熱的に分離されている。本発明によるHMDを備えたアミューズメント装置は、HMDの対応する設計のおかげで、本発明によるHMDの期待される耐用年数が大幅に延びているため、特に経済的に運用することができる。HMDは、アミューズメント装置で使用した後に経済的に洗浄または消毒されて衛生的であるので、アミューズメント装置で迅速に再利用可能である。
【0017】
本発明のさらに有利な設計によれば、HMDは、有線および/または無線インターフェースによってアミューズメント装置に接続され、アミューズメント装置は、特定のHMDに表示される仮想現実を生成する中央データ処理システムまたは複数の分散型データ処理システムを有する。本発明によるアミューズメント装置が、乗客による使用後にHMDを洗浄または消毒することができる手段を含む場合、特に有利である。
【0018】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、仮想現実の立体表現用に設計されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)の概略的な部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、人の頭(図示せず)上に配置されるように設定された、ヘッドマウントディスプレイ1(以下、HMD1と呼ぶ)の概略図を示す。HMD1は、例えば、VR眼鏡であり得、人の現在の視野における光学的現実を、より好ましくは人工的に生成された表現の好ましくは立体的表現、いわゆる仮想現実に置き換えることができる。
【0021】
この目的のために、HMD1は、例えば固定手段(図示せず)によって人の頭または体に固定することができ、視野がハウジング10によって完全に覆われるように、視野が人の目の前に配置されるハウジング10を備える。
【0022】
ハウジング10は、好ましくは、ポットの形状に設計され、2つの光学レンズ15、17を含み、各光学レンズ15、17は、人の片方の目にそれぞれ割り当てられる。ハウジング10は、異物、特にほこりおよび水、特に飛沫水または雨に対して2つの光学レンズ15、17によって密封されている内部11を取り囲んでいる。
【0023】
図示される実施形態の例では、2つの光学レンズ15、17は収束レンズであり、各光学レンズ15、17は焦点面5上に位置する焦点面16、18を有し、光学レンズ15、17はハウジング10の内部11において該内部11に対向する側に配置されている。
【0024】
ハウジング10の内部11には、周囲から保護された、第1の偏光方向を有する少なくとも1つの第1の偏光フィルタ21と、LCDユニット25と、第2の偏光方向を有する第2の偏光フィルタ22と、バックライト29とが設けられている。バックライト29から放射された光線Lは、最初に第1の偏光フィルタ21に到達し、光線Lが光学レンズ15、17に到達する前に、LCDユニット25および第2の偏光フィルタ22を照射する。第1の偏光フィルタ21および第2の偏光フィルタ22は線形偏光フィルタであり、第1の偏光方向および第2の偏光方向は互いに対して回転しており、第1の偏光方向は好ましくは第2の偏光方向に対して90度回転している。
【0025】
バックライト29が非偏光を放出する間、バックライト29によって放出された光は、光を一偏光方向に直線的に偏光する第1の偏光フィルタ21を最初に通る。この光は、第1の電極26と第2の電極27とからなるLCDユニット25に続く。第1の電極26と第2の電極27との間に液晶28が配置され、第1および第2の電極26、27の通電に依存して、結晶が光の偏光面を回転させるため、電極26、27の通電に応じて光の偏光に影響を与えることができ、光が第2の偏光フィルタ22を透過するかどうかを設定することができる。
【0026】
人のために生成された表現が十分な鮮明さで知覚できることを保証するために、LCDユニット25は、関連する光学レンズ15、17の焦点16、18の領域内に配置されなければならない。
【0027】
図1に例示される実施形態では、第1の偏光フィルタ21は、バックライト29に対向するLCDユニット25に直接隣接して配置されている。対照的に、第2の偏光フィルタ22は、LCDユニット25および焦点面5から離れて配置されている。LCDユニット25と第2の偏光フィルタ22との間にトレンドギャップ20が形成されているため、第2の偏光フィルタ22がLCDユニット25から熱的および機械的に分離されている。熱的な分離は、高い熱抵抗を介して、LCDユニット25と第2の偏光フィルタ22との間で熱が伝達されるのを防ぐ。
【0028】
第2の偏光フィルタ22とLCDユニット25との間のトレンドギャップ20は、媒体(図示せず)、特に好ましくは気体媒体で満たされてもよい。媒体は、より好ましくは、非反応性ガスまたは熱伝導率の低いガス混合物である。
【0029】
焦点面5またはLCDユニット25と第2の偏光フィルタ22との間の距離Aは、好ましくは、焦点距離Fの少なくとも25分の1、すなわち焦点面と関連する光学レンズ15、17との間の距離の少なくとも25分の1であり、焦点面5と第2の偏光フィルタ22との間の距離Aは、必要に応じて大きく設計することができる。したがって、Aは≧1/25*Fである必要がある。
【0030】
例えば、第2の偏光フィルタ22もLCDユニット25に対向する光学レンズ15、17の側に直接配置され得る。第2の偏光フィルタ22は、光学レンズ15、17を通過する光線Lが常に第2の偏光フィルタ22を垂直に通過するように設計され、その結果、光の屈折が低減されることが特に好ましい。これは、特に、第2の偏光フィルタ22が光学レンズ15、17に対応する曲率を有する場合に達成される。
【0031】
HMD1は、適切なセンサーシステムを備えることができ、それによって、人の動きまたは人の頭の動きを検出することができる。さらに、HMD1は、HMD1が仮想現実を生成するアミューズメント装置2のデータ処理システムに接続可能な無線および/または有線インターフェースを有することができる。本発明によれば、データ処理システムは、特に好ましくは、対応するHMD上で再現されるアミューズメント装置固有の仮想現実を生成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…HMD
2…アミューズメント装置
5…焦点面
10…ハウジング
11…内部
15…レンズ
16…焦点
17…レンズ
18…焦点
20…トレンドギャップ
21…第1の偏光フィルタ
22…第2の偏光フィルタ
25…LCDユニット
26…第1の電極
27…第2の電極
28…液晶
29…バックライト
A…距離
F…15、17の焦点距離
L…光線
図1