(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】電極ユニットおよびレゼクトスコープ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2021510619
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019014099
(87)【国際公開番号】W WO2020202285
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 誠二
(72)【発明者】
【氏名】生熊 聡一
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0333114(US,A1)
【文献】国際公開第2006/038646(WO,A1)
【文献】特開平02-174840(JP,A)
【文献】特許第3730796(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡による観察下において高周波電流を用いて被検体内の組織を処置する電極ユニットであって、
前記被検体内に挿入され、外表面が電気絶縁性を有する材料からなり、所定の軸に沿う方向に離隔して配置される2つの電極支持部と、
前記所定の軸と交差する軸に沿って延在し、先端が前記2つの電極支持部の基端に連結される基部と、
両端が前記2つの電極支持部によって支持される電極と、
を含み、
前記電極は、当該電極ユニットの使用時に前記2つの電極支持部を被検体に押し付ける第1方向とは反対の第2方向から見た場合に、前記電極支持部の少なくとも一方と重なる領域において、前記第2方向のみに向かって露出する露出部を
含み、
前記露出部は、前記電極支持部の外表面から前記第2方向に向かって突出している
ことを特徴とする電極ユニット。
【請求項2】
前記2つの電極支持部の前記基端と、前記基部の先端との間に配設され、前記電極支持部および前記基部よりも曲げ剛性の低い弾性支持部
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項3】
前記電極は、前記電極支持部の先端側から見た場合に、前記2つの電極支持部の双方の外形の内側に収まるよう配置される電極中央部を含む
ことを特徴とする
請求項1に記載の電極ユニット。
【請求項4】
前記2つの電極支持部の先端は、丸みを帯びた形状であることを特徴とする請求項
3に記載の電極ユニット。
【請求項5】
前記2つの電極支持部の先端は、弾性材料からなることを特徴とする請求項
3または
4に記載の電極ユニット。
【請求項6】
前記2つの電極支持部は、前記基部の長手軸に対して所定の角度で傾斜していることを特徴とする請求項
1に記載の電極ユニット。
【請求項7】
前記2つの電極支持部の基端に連結され、前記基部の先端に連結される2つの腕部を含み、
前記2つの腕部は、
基端から先端に向かうにつれて、当該電極ユニットの使用時に前記2つの電極支持部を被検体に押し付ける第1方向とは反対の第2方向に向かうように屈曲する第1屈曲部と、
前記第1屈曲部よりも先端側に設けられ、先端に向かうにつれて前記第1方向に向かうように屈曲する第2屈曲部と、
前記第2屈曲部よりも先端側であって、かつ前記基部の先端よりも前記第1方向側に設けられ、先端に向かうにつれて前記第2方向に向かい前記所定の角度にまで屈曲する第3屈曲部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記2つの腕部の前記第2屈曲部と前記第3屈曲部との間に配置されている
ことを特徴とする請求項
6に記載の電極ユニット。
【請求項8】
被検体内に挿入される中空のシースと、
前記シース内に挿入される挿入部を備えるテレスコープと、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の電極ユニットを前記シース内に保持する電極ユニット保持部と、
前記シース内において、前記テレスコープの前記挿入部を、前記電極ユニットの前記電極支持部よりも前記電極ユニットの使用時に前記2つの電極支持部を被検体に押し付ける第1方向とは反対の第2方向に保持するスコープ保持部と
を含むことを特徴とするレゼクトスコープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電流を用いて被検体内の組織を処置する電極ユニットおよびレゼクトスコープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体等の被検体の組織に例えば、切除または凝固等の高周波電流を用いた処置を施す装置として電気メスが知られている。以下では、切除または凝固等の高周波電流を用いた処置のことを、単に処置と称する。例えば、日本国特許3730796号公報には、内視鏡による観察下において、被検体内の組織を処置する装置が開示されている。
【0003】
日本国特許3730796号公報に開示の技術では、ループ形状に形成された電極に高周波電流を流すことにより、組織の処置(例えば、切除または凝固等)を行う。
【0004】
日本国特許3730796号公報に開示されているような、ループ形状に形成された電極は、例えば膀胱等の臓器内の組織を切除するために用いられる。ここで、電極が臓器の壁面に入り込む深さは、使用者が電極を壁面に押しつける力の強さに応じて変化する。このため、従来のループ形状に形成された電極を用いて組織を切除する場合、使用者が加える力加減によって切除される組織の厚さにばらつきが生じてしまう。例えば、切除した組織を生検に用いる場合、所定の厚さの組織が必要となるため、切除される組織の厚さは使用者によらず一定であることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述した点を解決するものであって、処理する組織の深さの制御が容易な電極ユニットおよびレゼクトスコープ装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による電極ユニットは、内視鏡による観察下において高周波電流を用いて被検体内の組織を処置する電極ユニットであって、前記被検体内に挿入され、外表面が電気絶縁性を有する材料からなり、所定の軸に沿う方向に離隔して配置される2つの電極支持部と、前記所定の軸と交差する軸に沿って延在し、先端が前記2つの電極支持部の基端に連結される基部と、両端が前記2つの電極支持部によって支持される電極と、を含み、前記電極は、当該電極ユニットの使用時に前記2つの電極支持部を被検体に押し付ける第1方向とは反対の第2方向から見た場合に、前記電極支持部の少なくとも一方と重なる領域において、前記第2方向のみに向かって露出する露出部を含み、前記露出部は、前記電極支持部の外表面から前記第2方向に向かって突出している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の内視鏡システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の電極ユニットを、テレスコープに対して基端方向に移動させた状態を示す図である。
【
図3】第1の実施形態の電極ユニットを左方向から見た図である。
【
図4】第1の実施形態の電極ユニットの斜視図である。
【
図5】第1の実施形態の電極支持部および処置用電極を拡大して示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態の電極支持部および処置用電極を、第1軸に沿って先端側から見た図である。
【
図8】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図9】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図10】第1の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図11】第1の実施形態の処置用電極の変形例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態の電極ユニットを示す斜視図である。
【
図13】第2の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図14】第2の実施形態の電極ユニットの変形例を示す図である。
【
図15】第2の実施形態の電極ユニットの変形例を示す図である。
【
図16】第3の実施形態の電極ユニットを示す斜視図である。
【
図17】第3の実施形態の電極ユニットを第1軸に沿って先端側から見た図である。
【
図18】第3の実施形態の電極ユニットの第1の変形例を示す斜視図である。
【
図19】第3の実施形態の電極ユニットの第2の変形例を示す斜視図である。
【
図20】第3の実施形態の電極ユニットの第3の変形例を示す斜視図である。
【
図21】第4の実施形態の電極ユニットを示す斜視図である。
【
図22】第4の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図23】第4の実施形態の電極ユニットを用いて組織を切除する様子を示す図である。
【
図24】第4の実施形態の電極ユニットの第1の変形例を示す斜視図である。
【
図25】第4の実施形態の電極ユニットの第2の変形例を示す斜視図である。
【
図26】第4の実施形態の電極ユニットの第3の変形例を示す斜視図である。
【
図27】第4の実施形態の電極ユニットの第4の変形例を示す斜視図である。
【
図28】第5の実施形態の電極ユニットを左方向から見た図である。
【
図29】第5の実施形態の電極ユニットを上方向から見た図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、内視鏡システム1の概略的な構成を示す図である。内視鏡システム1は、被検体内において、内視鏡による観察下で高周波電流を用いて被検体内の組織を処置(例えば、切除または凝固等)する装置である。本実施形態では一例として、被検体は人体であるが、被検体は他の生体であってもよい。
【0011】
本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡であるレゼクトスコープ装置10、電極ユニット30および外部装置50を含む。レゼクトスコープ装置10は、シース11、スライダ20およびテレスコープ21を含む。
【0012】
シース11は、直線状の長手軸A1に沿う円筒状の中空の部位を有する。シース11は、レゼクトスコープ装置10の使用時において、被検体外から被検体内に挿入される部位である。シース11は、長手軸A1に沿う方向の両端が開口している。レゼクトスコープ装置10の使用時においては、シース11内に、後述するテレスコープ21および電極ユニット30が挿入される。
【0013】
なお、シース11には、潅流液を被検体内に導入するための構成が設けられているが、当該構成は従来のレゼクトスコープ装置と同様であるため、図示および説明を省略する。本実施形態では、潅流液は、例えば生理食塩水等の電解質溶液であり、導電性を有する。
【0014】
シース11の長手軸A1に沿う方向の両端のうち、被検体内に挿入される側の端を先端11aと称し、先端11aとは反対側の端を基端11bと称する。シース11の基端11bは、レゼクトスコープ装置10の使用時において被検体外に露出する。
【0015】
以下では説明のため、長手軸A1に直交し、かつ互いに直交する一対の軸である、A2軸およびA3軸を定める。また、長手軸A1に沿う方向のうち、一方を先端方向Fとし、他方を基端方向Bとする。先端方向Fは、長手軸A1に沿ってシース11の基端11bから先端11aに向かう方向である。
【0016】
また、以下の説明では、A2軸に沿う方向のうちの一方を右方向Rとし、他方を左方向Lとする。A3軸に沿う方向のうちの一方を上方向Uとし、他方を下方向Dとする。本実施形態では、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における水平方向がA2軸と略平行であり、垂直方向がA3軸と略平行である。また、上方向Uおよび右方向Rは、テレスコープ21を用いて撮像される画像中における上および右である。
図1中においては、A2軸は紙面に直交しており、紙面に正対して手前側が左方向Lである。
【0017】
シース11の少なくとも先端11a近傍の表面には、導電性の材料からなる回収電極11cが設けられている。本実施形態では一例として、シース11全体が金属等の導電性の材料からなり、シース11の全体が回収電極11cである。
【0018】
また、シース11の基端11b近傍には、シースコネクタ11dが設けられている。シースコネクタ11dは、回収電極11cに電気的に接続されている。シースコネクタ11dには、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、シースコネクタ11dと、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。
【0019】
スライダ20は、シース11の基端11b側に配置される。スライダ20は、シース11に対して長手軸A1に沿う方向に相対的に移動する。スライダ20には、ハンドル20aが設けられている。使用者が手指によりハンドル20aに力を加えることにより、スライダ20は、シース11に対して長手軸A1に沿う方向に相対的に移動する。なお、シース11に対してスライダ20を相対的に移動可能に案内する機構は、従来のレゼクトスコープ装置と同様であるため、図示および説明を省略する。
【0020】
スライダ20は、スコープ保持部22、電極ユニット保持部23および電極コネクタ24を含む。スコープ保持部22は、テレスコープ21を保持する。
【0021】
テレスコープ21は、被検体内を光学的に観察するための装置である。テレスコープ21は、細長の挿入部21a、接眼部21bおよび光源接続部21cを備える。挿入部21aは、テレスコープ21がスコープ保持部22に固定された状態において、シース11内に挿入される。
【0022】
挿入部21aの先端部21a1には、観察窓および照明光出射窓が配設されている。また、挿入部21aの基端部21a2には、接眼部21bおよび光源接続部21cが配設されている。
【0023】
接眼部21bには、撮像ユニット52が装着される。撮像ユニット52は、外部装置50のビデオプロセッサ51に電気的に接続されている。ビデオプロセッサ51には画像表示装置53が電気的に接続されている。また、光源接続部21cには、光ファイバケーブル54aの一端が接続される。光ファイバケーブル54aの他端は、外部装置50の光源装置54に接続される。
【0024】
挿入部21aの先端部21a1に設けられた観察窓からの視界FOVが、撮像ユニット52により撮像され、画像表示装置53に表示される。また、光源装置54から出射された照明光が、挿入部21aの先端部21a1に設けられた照明光出射窓から出射される。テレスコープ21およびテレスコープ21に接続される外部装置50の構成は、従来のレゼクトスコープ装置と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0025】
電極ユニット保持部23は、後述する電極ユニット30を保持する。電極コネクタ24は、電極ユニット保持部23に保持された電極ユニット30に電気的に接続される。電極コネクタ24には、ケーブル56が接続される。ケーブル56は、電極コネクタ24と、外部装置50の高周波電源制御装置55と、を電気的に接続する。
【0026】
電極ユニット30は、電極ユニット保持部23に固定された状態において、シース11内に挿通される部位を有する。スライダ20は、電極ユニット30と共に、シース11に対して長手軸A1に沿って相対的に移動する。また、電極ユニット30は、電極ユニット保持部23に固定された状態において、テレスコープ21の下方向Dに位置決めされる。
【0027】
スライダ20は、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して長手軸A1に沿って相対的に移動させる構成を有する。例えば、スコープ保持部22は、テレスコープ21を、スライダ20に対して長手軸A1に沿って相対的に移動可能に保持している。
図1は、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して先端方向Fに移動させた状態を示している。また、
図2は、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して基端方向Bに移動させた状態を示している。
【0028】
図1に示すように、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して先端方向Fに移動させた状態では、電極ユニット30の先端を、シース11の先端11aよりも先端方向Fに位置させることができる。後述するが、電極ユニット30の先端には、処置用電極35が配設されている。
【0029】
図2に示すように、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して基端方向Bに移動させた状態では、電極ユニット30の全体を、シース11の先端11aよりも基端方向Bに位置させることができる。すなわち、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して基端方向Bに移動させた状態では、シース11内に電極ユニット30の先端が収納される。電極ユニット30を、テレスコープ21に対して長手軸A1に沿って相対的に移動させる構成は、従来のレゼクトスコープ装置と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
電極ユニット30、回収電極11cおよび高周波電源制御装置55は、いわゆるバイポーラ式の電気手術装置を構成する。高周波電源制御装置55は、スイッチ55a、電源回路および制御装置を含む。
【0031】
スイッチ55aは、例えば使用者が足により操作するフットスイッチである。スイッチ55aは、使用者が、高周波電流の出力を行う指示を高周波電源制御装置55に入力するための装置である。
【0032】
高周波電源制御装置55は、使用者によるスイッチ55aの操作に基づいて、高周波電流を電極ユニット30へ出力の有無を切り替える。高周波電源制御装置55から出力される高周波電流は、被検体内において、処置用電極35、潅流液および回収電極11cの間で流れる。高周波電源制御装置55が高周波電流を出力している状態において、処置用電極35に接触する被検体の組織が発熱し、組織の処置(例えば、切除または凝固等)が行われる。
【0033】
図3は、電極ユニット30を、左方向Lから見た図である。
図3において、図中の上が上方向Uである。
図4は、電極ユニット30の斜視図である。
図5は、電極支持部32および処置用電極35を拡大して示す斜視図である。
図6は、電極支持部32および処置用電極35を、第1軸Zに沿って先端側から見た図である。
図7は、
図2のVII-VII断面図である。
【0034】
電極ユニット30は、基部31、2つの電極支持部32および処置用電極35を含む。
【0035】
図3および
図4に示すように、基部31は、直線状の棒状の部位である。基部31の表面は、電気絶縁性を有する材料により被覆されている。基部31は、レゼクトスコープ装置10の電極ユニット保持部23に固定される。電極ユニット保持部23は、基部31の基端31bを保持する。基部31は、電極ユニット保持部23に固定された状態において、長手軸A1に略平行となる。
【0036】
以下の電極ユニット30の構成の向きや配置の説明は、電極ユニット30が電極ユニット保持部23に固定された状態であるとして説明する。すなわち、以下の説明では、基部31は長手軸A1と略平行であり、また、基部31は、A2軸およびA3軸に略直交する。
【0037】
基部31の基端31bには、電気的接続部31cが設けられている。電気的接続部31cは、基部31が電極ユニット保持部23に固定された状態において、レゼクトスコープ装置10の電極コネクタ24と電気的に接続される。また、電気的接続部31cは、電極ユニット30内に挿通されている導電性のワイヤ36を介して、処置用電極35に電気的に接続されている。
【0038】
基部31の先端31aの近傍には、案内部37が設けられている。案内部37は、テレスコープ21の挿入部21aの外周に嵌合し、挿入部21aに対して長手軸A1に沿う方向に摺動する。本実施形態では、案内部37は、断面が環状またはC字状の中空の部材である。
【0039】
案内部37は、基部31の外周面の上方向Uに向く面に固定されている。案内部37は、挿入部21aに嵌合することにより、基部31を、テレスコープ21の挿入部21aの下方向Dに位置決めする。また、案内部37は、挿入部21aに対して長手軸A1に沿う方向に摺動することにより、基部31を、テレスコープ21の挿入部21aに対して長手軸A1に沿って移動するよう案内する。
【0040】
図4、
図5および
図6に示すように、基部31の先端31aには、2つの電極支持部32が連結されている。個々の電極支持部32は、外表面が電気絶縁性を有する材料からなる。2つの電極支持部32は、所定の第1軸Zに沿う方向に延在し、第1軸Zに直交する第2軸Xに沿う方向に離隔して配置される。
【0041】
本実施形態では、
図3および
図4に示すように、第1軸Zは、長手軸A1およびA3軸を含むA1-A3平面上に配置される。第1軸Zは、長手軸A1と平行であってもよいし、長手軸A1に対して所定の角度で交差していてもよい。本実施形態では一例として、第1軸Zは、長手軸A1に対して第1角度θで交差している。ここで、第1角度θは、
図3に示すように、第1軸Zと長手軸A1とが交差する鋭角の角度である。また、第1角度θは、第1軸Zが長手軸A1との交点から先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かう場合を正の値とする。
【0042】
また、第2軸Xは、長手軸A1およびA3軸を含むA1-A3平面に直交する。すなわち、第2軸Xは、軸A2と平行である。したがって、2つの電極支持部32は、軸A1に沿う方向に離隔して配置されている。2つの電極支持部32は、第2軸X(軸A2)に沿う方向に所定の距離C1だけ離隔している。また、以下の説明では、第1軸Zおよび第2軸Xに直交する軸を、第3軸Yとする。
【0043】
本実施形態では、個々の電極支持部32は、第1軸Zに沿う方向に延在する柱形状である。また、第1角度θは正の値である。2つの電極支持部32は、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、同じ位置に配置されている。
【0044】
以下の説明では、電極支持部32の先端方向Fの端を先端32aと称し、基端方向Bの端を基端32bと称する。第1角度θが正の値であることから、個々の電極支持部32は、基端32bから先端32aに向かうにつれて、上方向Uに向かう姿勢で配置されている。
【0045】
なお、図示する実施形態では、個々の電極支持部32が円柱状であるが、個々の電極支持部32の断面形状は円形に限られない。個々の電極支持部32の断面形状は、例えば楕円形状や長円形状であってもよいし、三角形や四角形等であってもよい。また、図示する実施形態では、電極支持部32の先端32aが基部31よりも上方向Uに位置しているが、電極支持部32の先端32aは基部31よりも下方向Dに位置していてもよい。
【0046】
2つの電極支持部32と、基部31とは、2つの腕部34を介して連結されている。腕部34は、電極支持部32の基端32bと、基部31の先端31aとを連結する棒状の部材である。なお、2つの電極支持部32は、基部31に直接連結されていてもよい。
【0047】
以下の説明では、腕部34の、先端方向Fの端を先端34aと称し、基端方向Bの端を基端34bと称する。腕部34の先端34aは、電極支持部32の基端32bに固定されており、腕部34の基端34bは、基部31の先端31aに固定されている。
【0048】
図3に示すように、2つの腕部34は、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、上下方向に折れ曲がる箇所を3つ有する。具体的には、2つの腕部34は、基端34bから先端34aに向かって順に、第1屈曲部34c、第2屈曲部34dおよび第3屈曲部34eを有する。
【0049】
以下の説明では、2つの腕部34の、第1屈曲部34cよりも基端方向Bの部分を、第1区間34fとする。また、2つの腕部34の、第1屈曲部34cと第2屈曲部34dとの間の部分を、第2区間34gとする。また、2つの腕部34の、第2屈曲部34dと第3屈曲部34eとの間の部分を、第3区間34hとする。また、2つの腕部34の、第3屈曲部34eよりも先端方向Fの部分を、第4区間34iとする。
【0050】
本実施形態では、2つの腕部34の、第1区間34f、第2区間34g、第3区間34hおよび第4区間34iは、直線状である。
【0051】
第1区間34fは、基部31の先端31aに固定されている。第1区間34fは、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、長手軸A1に略平行に配置されている。第1屈曲部34cは、先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かうよう屈曲した部位である。すなわち、第2区間34gは、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かうように、長手軸A1に対して傾斜して配置されている。また、2つの腕部34の第1区間34fは、先端方向Fに向かうにつれて、第2軸X(軸A2)に沿う方向に離隔する距離が大きくなるよう配置されている。
【0052】
第2屈曲部34dは、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、基部31の先端31aよりも上方向Uに配置されている。また、第2屈曲部34dは、先端方向Fに向かうにつれて下方向Dに向かうよう屈曲した部位である。すなわち、第3区間34hは、第2軸X(軸A2)に沿う方向から見た場合に、先端方向Fに向かうにつれて下方向Dに向かうように、長手軸A1に対して傾斜して配置されている。
【0053】
第3屈曲部34eは、先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かうよう屈曲した部位である。第4区間34iは、第1軸Zと平行である。すなわち、第4区間34iは、電極支持部32と平行である。第4区間34iは、電極支持部32の基端32bに固定されている。
【0054】
図7の断面図に示すように、本実施形態では、基部31よりも上方向U、左方向Lおよび右方向Rに突出する2つの第2屈曲部34dを、円筒状のシース11の内径が最も大きくなる位置に配置している。そして、2つの第2屈曲部34dの間には、テレスコープ21の挿入部21aの一部が挟まれるように配置される。円筒状のシース11内において、本実施形態のようにテレスコープ21の挿入部21aおよび2つの腕部34を配置することにより、シース11の外径を小さくすることができる。
【0055】
処置用電極35は、2つの電極支持部32によって支持されている。処置用電極35は、金属ワイヤ等の導電性を有する線状の部材である。処置用電極35の2つの端35aは、2つの電極支持部32にそれぞれ固定されている。本実施形態では一例として、処置用電極35の2つの端35aは、2つの電極支持部32の先端32aの端面に固定されている。
【0056】
処置用電極35は、電極支持部32、腕部34および基部31内に挿通されているワイヤ36に電気的に接続されている。本実施形態では一例として、ワイヤ36および処置用電極35は、同一の金属製の線状部材からなる。
【0057】
処置用電極35は、
図6に示すように、第1軸Zに沿う方向から見た場合に、2つの電極支持部32の間に位置する電極中央部35bを含む。電極中央部35bは、長手方向が概ね第2軸X(軸A2)に沿うように配置されている。
【0058】
以下の説明では、第3軸Yに沿う方向のうち、概ね下方向Dに向かう方向を第1方向E1とし、第1方向E1とは反対の方向を第2方向E2とする。したがって、第1軸Zは、先端方向Fに向かうにつれて第2方向E2に離隔する距離が大きくなるように長手軸A1に対して第1角度θで傾斜している。第1方向E1は、電極ユニット30の使用時に、電極支持部32を被検体に押し付ける方向である。
【0059】
電極中央部35bは、第1軸Zに沿う方向から見た場合(電極支持部32の先端側から見た場合)に、2つの電極支持部32の端部同士を結んだ領域の内側に配置されている。ここで、2つの電極支持部32の端部同士を結んだ領域とは、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cに接する直線B1と、2つの電極支持部32の第2方向E2の端32dに接する直線B2と、に挟まれた領域である。
【0060】
電極中央部35bは、第1軸Zに沿う方向から見た場合に、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cに接する直線B1よりも、第2方向E2側に配置されている。また、電極中央部35bは、第1軸Zに沿う方向から見た場合に、2つの電極支持部32の第2方向E2の端32dに接する直線B2よりも、第1方向E1側に配置されている。
【0061】
すなわち、電極中央部35bは、第1軸Zに沿う方向から見た場合に、2つの電極支持部32の外形から第1方向E1に突出しないように配置されている。電極中央部35bは、2つの電極支持部32の外形から下方向Dに突出しないように配置されている。
【0062】
次に、以上に説明した構成を有する電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10の作用を説明する。被検体の組織に施す処置は、一例として、膀胱等の臓器100内の組織の切除である。
【0063】
電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10を用いて臓器100内の組織を切除する場合には、使用者は、臓器100内にレゼクトスコープ装置10のシース11を挿入し、臓器100内を潅流液で満たす。この際、シース11内には、テレスコープ21の挿入部21aと、電極ユニット30が収納されている。レゼクトスコープ装置10を臓器100内に挿入する方法や、臓器100内を潅流液で満たす方法は従来と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
次に、使用者は、電極ユニット30の2つの電極支持部32を、シース11の先端11aよりも先端方向Fに突出させる。そして、使用者は、テレスコープ21を用いて撮像される画像を見ながら、レゼクトスコープ装置10を移動させ、
図8および
図9に示すように、2つの電極支持部32を臓器100の壁面100aに押し付ける。具体的には、使用者は、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cを、臓器100の壁面100aに当接させ、2つの電極支持部32に第1方向E1の力を加える。
【0065】
2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cを臓器100の壁面100aに押し付けた場合、壁面100aはある程度の弾性を有しているため、
図8および
図9に示すように、2つの電極支持部32は壁面100a内に沈み込む。
【0066】
ここで、処置用電極35の電極中央部35bは、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cよりも、第2方向E2側に位置している。したがって、処置用電極35の電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さは、2つの電極支持部32が壁面100a内に沈み込む深さよりも浅い。
【0067】
次に、使用者は、スイッチ55aを操作し、高周波電源制御装置55からの高周波電流の出力を開始する。そして、
図10に示すように、使用者は、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cを臓器100の壁面100aに押し付けながら、2つの電極支持部32を、臓器100の壁面100aに沿って移動させる。すなわち、使用者は、2つの電極支持部32を、第1軸Zに沿う方向に移動させる。
【0068】
この操作により、処置用電極35の電極中央部35bは、壁面100aに所定の深さまで沈み込んだ状態で、壁面100aに沿って移動する。ここで、高周波電流によって、電極中央部35bが通過する部分の組織が切断されるため、
図10に示すように、臓器100の壁面100aの組織が、一定の厚さで切り取られる。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cが臓器100の組織に当接することにより、電極中央部35bの組織内への沈み込む深さが一定に保たれる。すなわち、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、2つの電極支持部32が、電極中央部35bを臓器100の壁面100aに押し付ける際に、電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さを規制するストッパーとして機能する。よって、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10によれば、処理する組織の深さの制御が容易である。
【0070】
なお、
図6に示す本実施形態では、電極中央部35bは直線状であるが、電極中央部35bの形状は直線状に限定されない。
図11に、電極中央部35bの変形例を示す。
図11に示すように、電極中央部35bは、湾曲していてもよい。また、電極中央部35bは、1つまたは複数の箇所で屈曲していてもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0072】
第2の実施形態は、電極ユニット30の構成が第1の実施形態と異なる。
図12に、第2の実施形態の電極ユニット30を示す。本実施形態の電極ユニット30は、弾性支持部33を含む。
【0073】
弾性支持部33は、腕部34の一部または全部であり、電極支持部32および基部31よりも曲げ剛性が低い。弾性支持部33は、2つの腕部34の双方に設けられている。
図12に示す本実施形態では一例として、腕部34の第3区間34hの一部または全部を、他の区間よりも曲げ剛性を低くすることにより弾性支持部33が形成されている。
【0074】
本実施形態の電極ユニット30は、弾性支持部33が第2軸X(軸A2)に直交する平面に沿って湾曲変形することにより、第1軸Zと長手軸A1とが交差する第1角度θが変化する。すなわち、本実施形態の電極ユニット30は、弾性支持部33の湾曲変形により、電極支持部32の第1方向E1の端32cの角度を変化させることができる。
【0075】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10は、弾性支持部33の湾曲変形により、シース11に対する臓器100の壁面100aの角度に合わせて電極支持部32の第1方向E1の端32cの角度を変化させることができる。このため、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、例えば
図13に示すように、シース11の先端11aに対向する壁面100aにも電極支持部32の第1方向E1の端32cを押し付けることができ、当該壁面100aの組織に処置を施すことができる。
【0076】
また、本実施形態では、使用者による電極支持部32を壁面100aに押し付ける力が変化する場合であっても、弾性支持部33が曲がることにより電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。また、使用者によるレゼクトスコープ装置10の移動軌跡が臓器100の壁面100aの形状に沿っておらず、壁面100aとシース11の先端11aとの距離が変化する場合であっても、本実施形態では弾性支持部33が弾性変形することにより、電極支持部32が壁面100aに当接した状態が保たれる。そして、電極支持部32が壁面100aに当接した状態であれば、前述のように電極中央部35bが組織内に沈み込む深さを一定に保つことができる。
【0077】
以上に説明したように、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10によれば、処理する組織の深さの制御が容易である。
【0078】
また、第1の実施形態において説明したように、本実施形態の電極ユニット30の2つの腕部34は、基端34bから先端34aに向かって順に、第1屈曲部34c、第2屈曲部34dおよび第3屈曲部34eを有する。
【0079】
第1屈曲部34cは、テレスコープ21の挿入部21aの下方向Dに配置される基端34bから先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かって屈曲する。また、第2屈曲部34dは、A3軸に沿う方向(上下方向)についてテレスコープ21の挿入部21aと重なる位置に位置し、先端方向Fに向かうにつれて下方向Dに向かって屈曲する。そして、第3屈曲部34eは、テレスコープ21の挿入部21aよりも下方向Dに位置し、先端方向Fに向かうにつれて上方向Uに向かって第1角度θまで屈曲する。
【0080】
すなわち、腕部34は、基部31に連結された基端34bから先端方向Fに向かって、上方向Uに屈曲した後に、反対方向(下方向D)に向かって屈曲し、さらに所定の第1角度θとなるように上方向Uに向かって屈曲する。
【0081】
前述のように、第2屈曲部34dは、シース11内において、間にテレスコープ21の挿入部21aを挟むように配置される。また、一般的に、テレスコープ21の視野FOVは、
図13に示すように、挿入部21aよりも下方向Dが広く、挿入部21aよりも上方向Uが狭い。
【0082】
例えば本実施形態と異なり、例えば第2屈曲部34dから先端方向Fの腕部34を挿入部21aと平行に配置した場合、弾性支持部33が上下方向についてテレスコープ21の挿入部21aとほぼ同じ位置に位置する。この例では、弾性支持部33が上方向Uに向かって湾曲変形すると、処置用電極35が視野FOVよりも上方向Uに移動してしまう。
【0083】
このような例に対し、本実施形態では、第2屈曲部34dを先端方向Fに向かうにつれて下方向Dに向かうように湾曲させることにより、弾性支持部33をテレスコープ21の挿入部21aよりも下方向Dに配置させている。このため、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、弾性支持部33の湾曲変形する角度が大きくなる場合であっても、処置用電極35をテレスコープ21の視野FOV内に留めることができる。弾性支持部33の湾曲変形する角度が大きくなる場合とは、第1角度θが大きくなる場合であり、臓器100の壁面100aがシース11の先端11aに対向する場合である。
【0084】
図14および
図15に、本実施形態の電極ユニット30の変形例を示す。本変形例の電極ユニット30は、
図14に示すように、第2屈曲部34dよりも先端方向Fの部位がシース11の先端11aよりも先端方向Fに突出している状態において、電極支持部32および処置用電極35が、シース11よりも下方向Dに位置する。電極ユニット30の、第2屈曲部34dよりも先端方向Fの部位とは、腕部34の第3区間34hおよび第4区間34iと、電極支持部32と、処置用電極35と、である。
【0085】
図15は、電極ユニット30を、テレスコープ21に対して基端方向Bに移動させ、処置用電極35をシース11内に収納した状態を示している。
図15に示すように、処置用電極35をシース11内に収納する場合には、弾性支持部33がシース11の内壁面に当接して湾曲変形するため、電極支持部32および処置用電極35をシース11内に収納することが可能である。
【0086】
本変形例のように、処置用電極35をシース11から突出させて処置を行う際に、処置用電極35をシース11よりも下方向Dに配置すると、
図14に示すように弾性支持部33が湾曲変形していない状態で処置用電極35をテレスコープ21の視野FOVの下方向Dに位置させることができる。
【0087】
このため、本変形例の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、弾性支持部33の湾曲変形する角度が大きくなる場合であっても、処置用電極35をテレスコープ21の視野FOV内に留めることができる。
【0088】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0089】
第3の実施形態は、電極ユニット30の構成が第1の実施形態と異なる。
図16は、第3の実施形態の電極ユニット30の電極支持部32および処置用電極35の斜視図である。
図17は、第3の実施形態の電極ユニット30の電極支持部32および処置用電極35を、第1軸Zに沿う方向から見た図である。
【0090】
本実施形態の処置用電極35は、露出部35cを含む。露出部35cは、表面が導電性を有する材料からなり、電極中央部35bに電気的に接続されている。本実施形態では一例として、露出部35cは、処置用電極35と同一の部材からなる。具体的には、露出部35cは、処置用電極35を構成する金属製のワイヤ36の一部である。なお、露出部35cは、処置用電極35とは異なる部材により構成されていてもよい。
【0091】
露出部35cは、第3軸Yに沿って第2方向E2側から見た場合に、2つの電極支持部32の少なくとも一方と重なる領域において、第2方向E2に向かって露出する。第2方向E2は、2つの電極支持部32を臓器100の壁面100aに押し付ける第1方向E1とは反対の方向である。露出部35cは、電極支持部32の臓器100の壁面100aに押し付ける部位(端32c)とは反対側の面において、電極ユニット30の外表面に露出している。
【0092】
露出部35cの構成は特に限定されない。本実施形態では一例として、電極支持部32の第2方向E2に面する表面からワイヤ36に至る切り欠き32gを設けることにより、露出部35cを形成している。なお、図示する本実施形態では、露出部35cは一方の電極支持部32に設けられているが、露出部35cは双方の電極支持部32に設けられてもよい。
【0093】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、
図17に示すように、電極中央部35bを臓器100の壁面100a内に沈み込ませた状態において、露出部35cを臓器100内に露出させ、潅流液に接触させることができる。
【0094】
高周波電源制御装置55には、処置用電極35と回収電極11cとの間の電気抵抗値を測定し、当該抵抗値が所定の値よりも高い場合に高周波電流の出力を停止する安全停止機能を有するものがある。例えば、処置用電極35の全体が臓器100の壁面100a内に沈み込んでしまうと、安全停止機能の働きにより高周波電流の出力が停止してしまう可能性がある。
【0095】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10では、処置用電極35に露出部35cを設けることにより、処置用電極35の全体が臓器100の壁面100a内に沈み込んでしまうことを防止できる。このため、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10によれば、高周波電源制御装置55の安全停止機能の誤動作を防止することができる。
【0096】
図18に、本実施形態の電極ユニット30の露出部35cの第1の変形例を示す。
図18に示す第1の変形例の電極ユニット30は、電極支持部32の第2方向E2に面する表面からワイヤ36に至る穴である窓部32iを設けることにより、露出部35cを形成している。なお、窓部32iは腕部34に設けられていてもよい。
【0097】
窓部32iは、電極支持部32の臓器100の壁面100aに押し付ける部位(端32c)とは反対側の面に開口している。したがって、本変形例の電極ユニット30は、電極支持部32および電極中央部35bを臓器100の壁面100a内に沈み込ませた状態において、確実に露出部35cを臓器100内に露出させ、潅流液に接触させることができる。
【0098】
図19に、本実施形態の電極ユニット30の露出部35cの第1の変形例を示す。
図19に示す第2の変形例の露出部35cは、電極支持部32の外表面から、第2方向E2に向かって突出している。
【0099】
露出部35cは、電極支持部32の臓器100の壁面100aに押し付ける部位(端32c)とは反対側の面から、電極支持部32を壁面100aに押し付ける方向とは反対の方向に突出している。本変形例の電極ユニット30は、電極支持部32および電極中央部35bを臓器100の壁面100a内に沈み込ませた状態において、確実に露出部35cを臓器100内に露出させ、潅流液に接触させることができる。
【0100】
図20に、本実施形態の電極ユニット30の露出部35cの第3の変形例を示す。
図20に示す第3の変形例の露出部35cは、電極支持部32の外表面から、第2方向E2に向かって突出している。
【0101】
露出部35cは、電極支持部32の臓器100の壁面100aに押し付ける部位(端32c)とは反対側の面から、電極支持部32を壁面100aに押し付ける方向とは反対の方向に突出している。本変形例の電極ユニット30は、電極支持部32および電極中央部35bを臓器100の壁面100a内に沈み込ませた状態において、確実に露出部35cを臓器100内に露出させ、潅流液に接触させることができる。
【0102】
以上に説明した第1から第3の変形例の電極ユニット30は、前述のように、処置用電極35に露出部35cを設けることにより、処置用電極35の全体が臓器100の壁面100a内に沈み込んでしまうことを防止できる。このため、第1から第3の変形例の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10によれば、高周波電源制御装置55の安全停止機能の誤動作を防止することができる。
【0103】
以上に説明した第1から第3の変形例を含む第2の実施形態の電極ユニット30の、露出部35cを除く構成は、第1の実施形態の電極ユニット30と同様である。したがって、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10は、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cが臓器100の組織に当接することにより、電極中央部35bの組織内への沈み込む深さが一定に保たれる。よって、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10によれば、処理する組織の深さの制御が容易である。
【0104】
なお、第1から第3の変形例を含む本実施形態の電極ユニット30は、第2の実施形態の電極ユニット30と同様に、腕部34に弾性支持部33を有していてもよい。本実施形態の電極ユニット30が弾性支持部33を備えている場合には、第2の実施形態で説明したように、使用者による電極支持部32を操作する力や軌跡が変動する場合であっても、弾性支持部33が曲がることにより電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。
【0105】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態を説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0106】
第4の実施形態は、電極ユニット30の構成が第1の実施形態と異なる。
図21は、第4の実施形態の電極ユニット30の電極支持部32および処置用電極35の斜視図である。
【0107】
図21に示すように、本実施形態の電極ユニット30では、第2軸Xに沿う方向から見た場合に、電極中央部35bの全体が2つの電極支持部32の双方の外形の内側に収まるよう配置されている。
【0108】
具体的には、本実施形態の2つの電極支持部32は、電極中央部35bよりも先端側に突出する突起部32hを含む。言い換えれば、電極中央部35bは、2つの電極支持部32の先端32aよりも基端側に配置されている。突起部32hの表面は電気絶縁性を有する材料からなる。
【0109】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10を用いて臓器100内の組織を切除する場合には、
図22に示すように、使用者は、2つの電極支持部32の突起部32hを臓器100の壁面100aに押し付けることにより、電極中央部35bを壁面100a内に所定の深さまで沈み込ませることができる。
【0110】
本実施形態では、電極ユニット30の2つの電極支持部32の先端32aを臓器100の壁面100aに押し付ける際に、突起部32hが、電極中央部35bの壁面100a内に沈み込む深さを規制するストッパーとして機能する。
【0111】
使用者が、2つの電極支持部32の先端32aを壁面100aに押し付けながら、2つの電極支持部32を第1軸Zに沿う方向に移動させることにより、
図23に示すように、臓器100の壁面100aの組織が、一定の厚さで切り取られる。
【0112】
本実施形態の電極ユニット30においても、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cが電極中央部35bの壁面100a内に沈み込む深さを規制するストッパーとして機能することは第1の実施形態と同様である。
【0113】
すなわち、本実施形態の電極ユニット30を使用して処置を行う場合には、使用者は、シース11および電極ユニット30に対する壁面100aの角度に応じて、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cを壁面100aに押し付ける場合と、2つの電極支持部32の先端32aを壁面100aに押し付ける場合と、を選択して採用することができる。
【0114】
例えば、壁面100aがシース11に沿うような角度である場合には、2つの電極支持部32の第1方向E1の端32cを壁面100aに押し付けることにより、容易に壁面100aの組織に対して処置を行うことができる。また、例えば、壁面100aがシース11に直交するような角度である場合には、2つの電極支持部32の先端32aを壁面100aに押し付けることにより、容易に壁面100aの組織に対して処置を行うことができる。
【0115】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10は、臓器100内におけるシース11の姿勢が限定される場合であっても、様々な角度の壁面100aの組織に対して処置を施すことが可能となる。
【0116】
図24に、本実施形態の電極ユニット30の突起部32hの第1の変形例を示す。
図24に示す第1の変形例の突起部32hは、先端32aが丸みを帯びた形状である。具体的には、本変形例の突起部32hの外形は半球形状である。なお、本変形例の突起部32hの外形は半球形状に限られない。例えば、突起部32hの外形は、楕円面や放物面等であってもよい。また、突起部32hの外形は、円筒の角部に所定の半径の面取りを施した形状であってもよい。
【0117】
本変形例の電極ユニット30は、2つの電極支持部32の先端32aを壁面100aに押し付けた状態において、2つの電極支持部32の移動時における組織への引っかかりを防止し、2つの電極支持部32の移動を滑らかに行うことができる。
【0118】
図25に、本実施形態の電極ユニット30の突起部32hの第2の変形例を示す。
図25に示す第2の変形例では、電極中央部35bは第2軸Xに平行な直線状である。そして、本変形例の突起部32hの外形は、電極中央部35bを中心軸とした円柱形状である。
【0119】
本変形例では、第2軸Xに沿う方向から見た場合に、電極中央部35bから突起部32hの外表面までの距離が等しくなる。また、突起部32hを壁面100aに押し付けた状態において、壁面100aに対する電極支持部32の角度に関わらず、突起部32hと壁面100aとの接触面積が略一定となる。したがって、本変形例の電極ユニット30は、使用者が電極支持部32を壁面100aに押し付ける角度が変化する場合であっても、電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。
【0120】
また、本変形例では、電極支持部32全体を壁面100aに押し付ける場合に比して、電極支持部32と壁面100aとの接触面積が小さくなる。このため、より小さい力で電極中央部35bを壁面100a内の所定の深さまで到達させることができ、電極支持部32および腕部34の変形量を抑えることができる。電極支持部32および腕部34の変形量を抑えることにより、電極中央部35bをテレスコープ21の視野FOV内に維持しやすくなる。
【0121】
図26に、本実施形態の電極ユニット30の突起部32hの第3の変形例を示す。
図26に示す第3の変形例では、電極中央部35bは第2軸Xに平行な直線状である。そして、本変形例の突起部32hの外形は、球形状である。電極中央部35bの中心軸は、球形状である突起部32hの中心を通過する。
【0122】
本変形例では、第2軸Xに沿う方向から見た場合に、電極中央部35bから突起部32hの外表面までの距離が等しくなる。また、突起部32hを壁面100aに押し付けた状態において、壁面100aに対する電極支持部32の角度に関わらず、突起部32hと壁面100aとの接触面積が略一定となる。したがって、本変形例の電極ユニット30は、使用者が電極支持部32を壁面100aに押し付ける角度が変化する場合であっても、電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。
【0123】
また、本変形例では、電極支持部32全体を壁面100aに押し付ける場合に比して、電極支持部32と壁面100aとの接触面積が小さくなる。このため、より小さい力で電極中央部35bを壁面100a内の所定の深さまで到達させることができ、電極支持部32および腕部34の変形量を抑えることができる。電極支持部32および腕部34の変形量を抑えることにより、電極中央部35bをテレスコープ21の視野FOV内に維持しやすくなる。
【0124】
なお、
図23に示す第4の実施形態の突起部32hおよび
図24から
図26に示す第4の実施形態の変形例の突起部32hは、電極支持部32よりも剛性の低いゴム等の弾性材料により構成されていてもよい。突起部32hを弾性材料により構成することにより、2つの電極支持部32の先端32aを壁面100aに押し付けた際における、組織の損傷を防止することができる。
【0125】
以上に説明した変形例を含む第4の実施形態の電極ユニット30は、第2の実施形態の電極ユニット30と同様に、腕部34に弾性支持部33を有していてもよい。本実施形態の電極ユニット30が弾性支持部33を備えている場合には、第2の実施形態で説明したように、使用者による電極支持部32を操作する力や軌跡が変動する場合であっても、弾性支持部33が曲がることにより電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。
【0126】
また、変形例を含む第4の実施形態の電極ユニット30は、第3の実施形態の電極ユニット30と同様に、処置用電極35に露出部35cを有していてもよい。例えば、
図27に示す第4の変形例のように、第4の実施形態の電極ユニット30は、電極支持部32の第2方向E2に面する表面からワイヤ36に至る穴である窓部32iを設けることにより、露出部35cを形成してもよい。なお、窓部32iは腕部34に設けられていてもよい。
図27に示すように、本実施形態の電極ユニット30の処置用電極35が露出部35cを備えている場合には、第3の実施形態で説明したように、電極中央部35bを臓器100の壁面100a内に沈み込ませた状態において、露出部35cを臓器100内に露出させて潅流液に接触させることができ、高周波電源制御装置55の安全停止機能の誤動作を防止することができる。
【0127】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第5の実施形態を説明する。以下では第2の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略する。
【0128】
第5の実施形態は、電極ユニット30の腕部34の形状が第2の実施形態と異なる。
図28は、第5の実施形態の電極ユニット30をA2軸に沿う方向から見た図である。
図29は、第5の実施形態の電極ユニット30をA3軸に沿う方向から見た図である。
【0129】
本実施形態の2つの腕部34は、基端34bから先端34aに向かって順に、第1屈曲部34k、第2屈曲部34m、第3屈曲部34nおよび第4屈曲部34pを有する。以下の説明では、2つの腕部34の、第1屈曲部34kよりも基端方向Bの部分を、第1区間34rとする。また、2つの腕部34の、第1屈曲部34kと第2屈曲部34mとの間の部分を、第2区間34sとする。また、2つの腕部34の、第2屈曲部34mと第3屈曲部34nとの間の部分を、第3区間34tとする。また、2つの腕部34の、第3屈曲部34nと第4屈曲部34pとの間の部分を、第4区間34uとする。また、2つの腕部34の、第4屈曲部34pよりも先端方向Fの部分を、第5区間34wとする。本実施形態では、2つの腕部34の、第1区間34r、第2区間34s、第3区間34t、第4区間34uおよび第5区間34wは、直線状である。
【0130】
2つの第1区間34rは、基部31に固定されている。第1区間34rは、長手軸A1に略平行に配置されている。2つの第2区間34sは、A3軸に沿う方向から見た場合に、先端方向Fに向かうにつれてA2軸に沿う方向に離隔する距離が大きくなるよう配置されている。また、2つの第2区間34sは、A3軸に直交する平面に平行に配置されている。
【0131】
2つの第3区間34tは、長手軸A1に平行に配置されている。2つの第4区間34uは、A3軸に沿う方向から見た場合に、先端方向Fに向かうにつれてA2軸に沿う方向に離隔する距離が大きくなるよう配置されている。また、2つの第4区間34uは、A3軸に直交する平面に平行に配置されている。第5区間34wは、第1軸Zと平行である。すなわち、第5区間34wは、電極支持部32と平行である。第5区間34wは、電極支持部32に固定されている。
【0132】
また、本実施形態では、2つの第4区間34uに、弾性支持部33が設けられている。弾性支持部33は、電極支持部32および基部31よりも曲げ剛性が低い。
【0133】
本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10は、弾性支持部33の湾曲変形により、シース11に対する臓器100の壁面100aの角度に合わせて電極支持部32の第1方向E1の端32cの角度を変化させることができる。したがって、本実施形態の電極ユニット30およびレゼクトスコープ装置10は、使用者による電極支持部32を操作する力や軌跡が変動する場合であっても、弾性支持部33が曲がることにより電極中央部35bが壁面100a内に沈み込む深さをほぼ一定に保つことができる。
【0134】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電極ユニットおよびレゼクトスコープ装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。