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特許7216206腐食防止機構付き機械的循環補助ポンプドライブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-23
(45)【発行日】2023-01-31
(54)【発明の名称】腐食防止機構付き機械的循環補助ポンプドライブ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/06 20060101AFI20230124BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20230124BHJP
   A61M 60/122 20210101ALN20230124BHJP
【FI】
F04D13/06 C
A61M60/232
A61M60/122
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021535759
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020023937
(87)【国際公開番号】W WO2020198035
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/823,209
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バンキャンプ、ダニエル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン、キンバリー アン
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、スティーブン アール.
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0050140(US,A1)
【文献】国際公開第1999/034847(WO,A2)
【文献】米国特許第06042347(US,A)
【文献】特開2012-193650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00- 1/38
A61M 60/00-60/90
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
前記インペラに連結されて、前記インペラとともに回転する駆動軸と、
前記駆動軸に連結されて、前記駆動軸とともに回転するロータであって、外面を有する被動マグネットを含む前記ロータと、
前記被動マグネットの外面に配置されたコーティングと、
前記ロータに隣接して配置され、且つ前記ロータを駆動して前記ロータを回転させるステータを含む、モータと、
前記モータに隣接して配置され、且つ前記駆動軸の端部を受承する保護アセンブリであって、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを含み、前記保護流体室は、前記被動マグネットと、前記駆動軸の端部に係合する軸受の少なくとも一部とを含み、前記軸受は、前記モータおよび前記被動マグネットの間に配置されている、前記保護アセンブリと
を備える血液ポンプ。
【請求項2】
前記コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する、請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記ロータは、前記インペラに一体化されている、請求項1又は2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記コーティングは、前記インペラの外面上に配置される、請求項3に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記保護アセンブリハウジングは、基部と、前記基部から離間して延びる周壁とを備え、前記周壁の内面及び前記基部の内面によって部分的に境界付けられた空洞を形成する、請求項に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記保護流体室の少なくとも一部は、前記保護アセンブリハウジングの周壁の内面と、前記保護アセンブリハウジングの基部の内面と、前記軸受の少なくとも第1の側との間に画定される、請求項に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記軸受の全体は、前記保護流体室内に配置されている、請求項に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
インペラと、
前記インペラに連結されて、インペラとともに回転する駆動軸と、
前記駆動軸に連結されて、前記駆動軸とともに回転するロータであって、外面を有する被動マグネットを含む前記ロータと、
前記ロータに隣接して配置され、且つ前記ロータを駆動してロータを回転させるステータを含む、モータと、
前記モータに隣接して配置され、且つ前記駆動軸の端部を受承する保護アセンブリであって、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを含み、前記保護流体室は、前記被動マグネットと、前記駆動軸の端部に係合する軸受の少なくとも一部とを含前記軸受は、前記モータおよび前記被動マグネットの間に配置されている、前記保護アセンブリと
を備える血液ポンプ。
【請求項9】
前記保護アセンブリハウジングは、基部と、前記基部から離間して延びる周壁とを有するカップワッシャであって、前記周壁の内面及び前記基部の内面によって部分的に境界付けられた空洞を形成する前記カップワッシャを含む、請求項に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記保護流体室の少なくとも一部は、前記カップワッシャの周壁の内面と、前記カップワッシャの基部の内面と、前記軸受の少なくとも第1の側との間に画定される、請求項に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記被動マグネットおよび前記インペラは、インペラアセンブリハウジング内に配置され、且つ前記インペラアセンブリハウジングに対して回転するように構成されており、前記保護アセンブリハウジングは前記インペラアセンブリハウジング内に配置されており、
前記軸受の全体は、前記保護アセンブリハウジングの前記保護流体室内に配置されている、請求項10のいずれか一項に記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記被動マグネットの外面上に配置されたコーティングをさらに含む、請求項11のいずれか一項に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する、請求項12に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記ロータは、前記インペラに一体化されている、請求項13のいずれか一項に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮循環補助装置に関する。より詳細には、本発明は、経皮循環補助装置で使用される磁気カップリングシステムにおけるロータに関する。
【背景技術】
【0002】
血液ポンプなどの経皮循環補助装置は、通常最大約3週間の連続使用に対して循環の補助を行い、多くの場合磁気モータが組み込まれている。一般に使用される磁性材料には、ネオジムや鉄などの細胞毒性要素が含まれており、血液やその他の液体にさらされると腐食しやすい。さらに、表面せん断は、経皮循環補助ポンプの露出した回転要素において高くなり、赤血球の溶血を引き起こして患者の転帰を悪化させる虞がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される主題の実施形態は、経皮循環補助装置に関連するマグネットを体及び体内の流体から保護することを容易にし(例えば、マグネットの腐食を防止することにより)、マグネットによって引き起こされ得る細胞毒性及び/又は溶血から体を保護することを容易にする。実施形態において、マグネットは、電気モータのステータ(及び/又はロータ)であり、モータをインペラに(例えば、磁気カップリングを介して)接続するために使用される。実施形態は、滅菌、保管及び/又は臨床使用中における腐食からの保護を容易にする。
【0004】
実施例1では、血液ポンプは、インペラと、インペラに連結されてインペラとともに回転するように構成された駆動軸と、駆動軸に連結されて、駆動軸とともに回転するように構成されたロータであって、外面を有する被動マグネットを含むロータと、被動マグネットの外面に配置された耐食性コーティングと、ロータに隣接して配置されて、ロータを駆動してロータを回転させるように構成されたステータと、ステータを駆動するモータとを備える。
【0005】
実施例2では、実施例1の血液ポンプにおいて、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する。
【0006】
実施例3では、実施例1又は2のいずれかの血液ポンプにおいて、ロータは、インペラに一体化されている。
実施例4では、実施例3の血液ポンプにおいて、コーティングは、インペラの外面上に配置される。
【0007】
実施例5では、実施例1又は2のいずれか一方の血液ポンプにおいて、ステータに隣接して配置され、駆動軸の端部を受け入れるように構成された保護アセンブリをさらに含み、保護アセンブリは、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを含み、保護流体室は、被動マグネットと、駆動軸の端部に係合するように構成された軸受の少なくとも一部とを含む。
【0008】
実施例6では、実施例5の血液ポンプにおいて、保護アセンブリハウジングは、基部と、基部から離間して延びる周壁とを含み、周壁の内面及び基部の内面によって部分的に境界された空洞を形成する。
【0009】
実施例7では、実施例6の血液ポンプにおいて、保護流体室の少なくとも一部は、保護アセンブリハウジングの周壁の内面と、保護アセンブリハウジングの基部の内面と、軸受の少なくとも第1の側の間に画定される。
【0010】
実施例8では、実施例7の血液ポンプにおいて、軸受全体は、保護流体室内に配置される。
実施例9において、血液ポンプは、インペラと、インペラに連結されてインペラとともに回転するように構成された駆動軸と、駆動軸に連結されて駆動軸とともに回転するように構成されたロータであって、外面を有する被動マグネットを含むロータと、ロータに隣接して配置され、ロータを駆動してロータを回転させるように構成されたステータと、ステータを駆動するように構成されたモータと、モータに隣接して配置されて駆動軸の端部を受承するように構成された保護アセンブリとを備え、保護アセンブリは、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを備え、保護流体室は、被動マグネットと、駆動軸の端に係合するように構成された軸受の少なくとも一部とを備える。
【0011】
実施例10では、実施例9の血液ポンプにおいて、保護アセンブリハウジングは、基部と、基部から離間して延びる周壁とを有するカップワッシャを含み、周壁の内面及び基部の内面によって部分的に境界付けられた空洞を形成する。
【0012】
実施例11では、実施例10の血液ポンプにおいて、保護流体室の少なくとも一部は、カップワッシャの周壁の内面と、カップワッシャの基部の内面と、軸受の少なくとも第1の側の間に画定される。
【0013】
実施例12では、実施例9~11のいずれかの血液ポンプにおいて、軸受全体は、保護流体室内に配置される。
実施例13では、実施例9~12のいずれかの血液ポンプにおいて、被動マグネットの外面に配置されたコーティングをさらに備える。
【0014】
実施例14では、実施例13の血液ポンプにおいて、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する。
【0015】
実施例15では、実施例9~14のいずれかの血液ポンプにおいて、ロータは、インペラに一体化されている。
実施例16では、血液ポンプは、インペラと、インペラに連結されてインペラとともに回転するように構成された駆動軸と、駆動軸に連結されて駆動軸とともに回転するように構成されたロータであって、外面を有する被動マグネットを含むロータと、被動マグネットの外面に配置されたコーティングと、ロータに隣接して配置され、ロータを駆動してロータを回転させるように構成されたステータと、ステータを駆動するモータとを備える。
【0016】
実施例17では、実施例16の血液ポンプにおいて、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
実施例18では、実施例16の血液ポンプにおいて、ロータは、インペラに一体化されている。
実施例19では、実施例18の血液ポンプにおいて、コーティングは、インペラの外面上に配置されている。
【0018】
実施例20では、実施例16の血液ポンプにおいて、モータに隣接して配置されて駆動軸の端部を受け入れるように構成された保護アセンブリをさらに備え、保護アセンブリは、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを備え、保護流体室は、被動マグネットと、駆動軸の端部に係合するように構成された軸受の少なくとも一部とを備える。
【0019】
実施例21では、実施例20の血液ポンプにおいて、保護アセンブリハウジングは、基部及び基部から離間して延びる周壁を有するカップワッシャを含み、周壁の内面と基部の内面とによって部分的に境界付けられた空洞を形成する。
【0020】
実施例22では、実施例21の血液ポンプにおいて、保護流体室の少なくとも一部は、カップワッシャの周壁の内面と、カップワッシャの基部の内面と、軸受の少なくとも第1の側との間に画定される。
【0021】
実施例23では、実施例22の血液ポンプにおいて、軸受全体は、保護流体室内に配置されている。
実施例24において、血液ポンプは、インペラと、インペラに連結されてインペラとともに回転するように構成された駆動軸と、駆動軸に連結され、駆動軸とともに回転するように構成されたロータであって、外面を有する被動マグネットを含むロータと、ロータに隣接して配置されてロータを駆動してロータを回転させるように構成されたステータと、ステータを駆動するように構成されたモータと、モータに隣接して配置され、駆動軸の端部を受承するように構成された保護アセンブリとを備え、保護アセンブリは、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを含み、保護流体室は、被動マグネットと、駆動軸の端に係合するように構成された軸受の少なくとも一部とを含む。
【0022】
実施例25では、実施例24の血液ポンプにおいて、保護アセンブリハウジングは、基部及び基部から離間して延びる周壁を有するカップワッシャを含み、周壁の内面と基部の内面とによって部分的に境界付けられた空洞を形成する。
【0023】
実施例26では、実施例25の血液ポンプにおいて、保護流体室の少なくとも一部は、カップワッシャの周壁の内面と、カップワッシャの基部の内面と、軸受の少なくとも第1の側との間に画定される。
【0024】
実施例27では、実施例24の血液ポンプにおいて、軸受全体は、保護流体室内に配置されている。
実施例28では、実施例24の血液ポンプにおいて、被動マグネットの外面に配置されたコーティングをさらに含む。
【0025】
実施例29では、実施例28の血液ポンプにおいて、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する。
【0026】
実施例30では、実施例29の血液ポンプにおいて、ロータは、インペラに一体化されている。
実施例31では、実施例30の血液ポンプにおいて、コーティングは、インペラの外面上に配置されている。
【0027】
実施例32において、血液ポンプは、インペラと、インペラに連結されて、インペラとともに回転するように構成された駆動軸と、インペラに一体化されて駆動軸とともに回転するように構成されたロータであって、外面を有する被動マグネットを含むロータと、被動マグネットの外面に配置されたコーティングと、ロータに隣接して配置されてロータを駆動してロータを回転させるように構成されたステータと、ステータを駆動するモータとを備える。
【0028】
実施例33では、実施例32の血液ポンプにおいて、コーティングは、インペラの外面上に配置されている。
実施例34では、実施例32の血液ポンプにおいて、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、及び高分子化合物のうちの少なくとも1つを含有する。
【0029】
実施例35では、実施例32の血液ポンプにおいて、モータに隣接して配置され、駆動軸の端部を受け入れるように構成された保護アセンブリをさらに含み、保護アセンブリは、保護流体室を囲む保護アセンブリハウジングを含み、保護流体室は、被動マグネットと、駆動軸の端部に係合するように構成された軸受の少なくとも一部とを含む。
【0030】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の主題のさらに他の実施形態は、開示された主題の例示的な実施形態を示して説明する以下の詳細な説明から当業者であれば明白である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであって、限定的なものではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本明細書に開示された主題の実施形態にかかる例示的な経皮的機械的循環補助装置(本明細書では「血液ポンプ」と呼ぶ)を示す部分側断面図。
図2A】本明細書に開示された主題の実施形態にかかる例示的な経皮的機械的循環補助装置を示す斜視図。
図2B】本明細書に開示された主題の実施形態にかかる図2Aに示す循環補助装置を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
開示された主題は、様々な修正形態及び代替形態に変更可能であるが、特定の実施形態が図面に例として示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本明細書に開示される主題を、説明された特定の実施形態に限定することではない。むしろ、本発明は、本明細書に開示された主題の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって定義されるすべての修正物、均等物、及び代替物を包含することを意図している。
【0033】
本明細書に開示される主題の実施形態は、その磁気的な構成要素を腐食から保護することを容易にし、かつ潜在的な細胞毒性物質及び/又は溶血から患者を保護することも容易にする機械的循環補助装置の設計を含む。実施形態では、例えば、磁気ロータは、ロータの外面に保護コーティングを配置すること、及び/又はロータを保護アセンブリハウジング内に収容することにより、環境から密閉され得る。保護流体を使用して、例えば腐食を最小限に抑えるためなど、軸受面に流体膜を設けることができる。実施形態によれば、例えば疎水性であり、水不溶性の潤滑剤(例えば、合成潤滑剤のパーフルオロポリエーテル又はポリアルファオレフィンの類)など、任意の数の異なるタイプの保護流体を使用することができる。
【0034】
図1は、本明細書に開示される主題の実施形態にかかる例示的な経皮的機械的循環補助装置100(本明細書では「血液ポンプ」と呼ぶ)の部分側断面図を示す。図1Aに示すように、循環補助装置100は、モータハウジング104内に配置されたモータ102を含む。モータ102は、インペラアセンブリ106を駆動して、装置100内を通過する血液の流れを形成するように構成される。インペラアセンブリ106は、インペラアセンブリハウジング108内に配置され、インペラアセンブリハウジング108は、インペラアセンブリハウジング108に画定された多数の入口開口部110及び多数の出口開口部112を含む。実施形態によれば、モータハウジング104及びインペラアセンブリハウジング108は、互いに一体化されてもよい。別の実施形態では、モータハウジング104及びインペラアセンブリハウジング108は、取り外し可能に又は永久的に、互いに連結される別個の構成要素であってもよい。
【0035】
コントローラ(図示せず)は、モータ102に動作可能に連結され、モータ102を制御するように構成される。コントローラは、ハウジング104の外部(例えば、カテーテルハンドル、独立したハウジングなど)に配置することができる。実施形態では、コントローラは複数の構成要素を含むことができ、そのうちの1つ以上をハウジング104内に配置することができる。実施形態によれば、コントローラは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つ以上のプログラマブルロジック装置(PLD)、1つ以上のコンプレックスPLD(CPLD)、1つ以上のカスタム特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上の専用プロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれら及び/又は他の構成要素の任意の組み合わせであってもよいし、それらを含んでもよいし、又はそれらに含まれてもよい。コントローラは本明細書では単数形で説明されているが、コントローラは、複数の過程で実装されたり、複数の計算装置に配置されたり、複数のマシン内で具体化されたり等されてもよい。
【0036】
図1に示すように、インペラアセンブリ106は、駆動軸114と、駆動軸114に連結されたインペラ116とを含み、駆動軸114は、インペラ116と共に回転するように構成される。図に示すように、駆動軸114は、インペラ116内に少なくとも部分的に配置される。実施形態では、駆動軸114は、インペラ116の1つ以上の端部に取り付けられてもよい。実施形態では、駆動軸114及びインペラ116は、単一部品として一体化されてもよい。実施形態では、駆動軸114は、例えば鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミックなど、任意の数の異なる剛性材料で形成することができる。インペラアセンブリ106は、駆動軸114に連結されて、駆動軸114を少なくとも部分的に囲むインペラロータ118をさらに含む。インペラロータ118は、モータ102の一部であるステータによって駆動可能な任意の種類の磁気ロータとすることができる。このように、モータ102のステータによってインペラロータ118に磁場が印加されると、ロータ118が回転し、駆動軸114及びインペラ116は、回転させられる。本明細書に開示される主題の説明を明瞭にするために、図1の様々な構成要素は互いに離間されて示されているが、実施形態では、ロータ118は、ロータ118とステータとの間の離脱を防止するために、モータハウジング104に干渉することなく、できるだけステータに向かって延びるように構成されてもよい。実施形態によれば、モータ102は、本明細書に示されていない任意の数の追加のロータ及び/又はステータを含んでもよい。
【0037】
図に示すように、インペラアセンブリ106は、第1の端部120において第1の軸受122によって保持され、かつ及び第2の端部124において第2の軸受126によって保持される駆動軸114によってその向きが維持される。実施形態によれば、第1の軸受122及び第2の軸受126は、異なる種類の軸受を含んでもよい。実施形態によれば、第1の軸受122及び/又は第2の軸受126は潤滑物を含んでもよいが、他の実施形態では、一方及び/又は他方が潤滑物を含まなくてもよい。本明細書では、第1及び第2の軸受122及び126に関して、軸受技術の様々な実施形態が企図されている。実施形態では、ロータの周囲の領域は、水及び/又は血液がロータ表面に接触することを防止することを容易にする材料で満たされていてもよい。
【0038】
実施形態によれば、ロータ118は、その外面に配置された保護コーティングを含んでもよい。例えば、コーティングはアモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、高分子化合物などの耐食性コーティングを含むことができる。実施形態では、保護コーティングは、ロータ118の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい。例えば、ある実施形態では、保護コーティングは、ロータ118の外面全体を覆うように構成されてもよいし、別の実施形態では、保護コーティングは、ロータ118の外面の一部を覆うように構成されてもよい。実施形態では、ロータ118はインペラ116に一体化され、保護コーティングは、インペラ(したがってロータ118)の外面上に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0039】
図1に示す例示的な循環補助装置100は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環補助装置100は、そこに示された単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関して従属性又は要件を有すると解釈すべきではない。加えて、実施形態において、図1に示された様々な構成要素は、そこに示された他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)の様々なものと組み合わされてもよく、それらはすべて本発明の範囲内にあると考えられる。
【0040】
図2Aは、本明細書に開示される主題の実施形態かかる例示的な経皮的機械的循環補助装置200(本明細書では互換的に「血液ポンプ」とも呼ばれる)の一部の側断面図を示す。図2Aに示すように、循環補助装置200は、モータハウジング204内に配置されたモータ202を含む。モータ202は、インペラアセンブリ206を駆動して、装置200内を通過する血液の流れを形成するように構成される。インペラアセンブリ206は、インペラアセンブリハウジング208内に配置され、インペラアセンブリハウジング208は、インペラアセンブリハウジング208に画定された多数の入口開口部210及び多数の出口開口部212を含む。実施形態によれば、モータハウジング204及びインペラアセンブリハウジング208は、互いに一体化されてもよい。別の実施形態では、モータハウジング204及びインペラアセンブリハウジング208は、取り外し可能に又は永久的に、互いに連結されるように構成された別個の構成要素であってよい。
【0041】
コントローラ(図示せず)は、モータ202に動作可能に連結され、モータ202を制御するように構成される。コントローラは、ハウジング204の外部(例えば、カテーテルハンドル、独立したハウジングなど)に配置することができる。実施形態では、コントローラは複数の構成要素を含むことができ、その1つ以上をハウジング204内に配置することができる。実施形態によれば、コントローラは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つ以上のプログラマブルロジック装置(PLD)、1つ以上のコンプレックスPLD(CPLD)、1つ以上のカスタム特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上の専用プロセッサ(例えばマイクロプロセッサ)、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれら及び/又は他の構成要素の任意の組み合わせであってもよいし、又はそれらを含んでもよいし、又はそれらに含まれてもよい。コントローラは本明細書では単数形で説明されているが、コントローラは複数の実施例に実装されたり、複数の計算装置に配置されたり、複数のマシン内で具体化されたり等されてもよい。
【0042】
図2Aに示すように、インペラアセンブリ206は、駆動軸214と、駆動軸214に連結されたインペラ216とを含み、駆動軸214は、インペラ216とともに回転するように構成される。図に示すように、駆動軸214は、少なくとも部分的にインペラ216内に配置される。実施形態では、駆動軸214は、例えば鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミックなど、任意の数の異なる剛性材料で形成することができる。インペラアセンブリ206は、駆動軸214に連結されて、駆動軸214を少なくとも部分的に囲むインペラロータ218をさらに含む。インペラロータ218は、モータ202の一部であるステータ(図示せず)によって駆動可能な任意の種類の磁気ロータとすることができる。このように、モータ202のステータによってインペラロータ218に磁場が印加されると、ロータ218が回転し、駆動軸214及びインペラ216は、回転させられる。
【0043】
図に示すように、インペラアセンブリ206は、第1の端部220において第1の軸受222によって保持され、かつ第2の端部224において第2の軸受226によって保持された駆動軸214によってその向きが維持される。実施形態によれば、第1の軸受222及び第2の軸受226は、異なる種類の軸受を含んでもよい。実施形態によれば、第1の軸受222及び/又は第2の軸受226は潤滑物を含んでもよいが、他の実施形態では、一方及び/又は他方は潤滑物を含まなくてもよい。本明細書では、第1及び第2の軸受222,226に関して、軸受技術の様々な実施形態が企図されている。
【0044】
図2Aに示すように、循環補助装置200は、ステータに隣接して配置され、少なくともロータ218を腐食及び/又は他の摩耗から保護するように構成された保護アセンブリ228も含む。実施形態では、保護アセンブリ228は、ロータ218に接触する一定量の保護流体を維持するように構成されてもよい。保護流体は、例えば疎水性の潤滑であってもよい。保護流体は、血液ポンプでの使用に適した任意の種類の疎水性の潤滑であってもよい。例えば、実施形態において、本発明を限定することを意図するものではないが、保護流体は、例えば改変ポリジメチルシロキサン(modified PDMS)などの改変シリコーン潤滑剤であってもよい。他の実施形態では、保護流体は油ベースの潤滑油、合成油、炭素ベースの潤滑油などであってもよい。
【0045】
図2Bは、本明細書に開示される主題の実施形態に係る図2Aの保護アセンブリ228の拡大図である。図2Bに示すように、保護アセンブリ228は、モータ204に連結(又は一体化)されたステータ230に隣接して配置される。保護アセンブリ228は、駆動軸214の端部220を受承するように構成され、保護流体室234を囲む保護アセンブリハウジング232を含む。実施形態によれば、保護流体室234は、ロータ218(被動マグネット)と、駆動軸214の端部220に係合するように構成された第1の軸受222の少なくとも一部とを含む。
【0046】
例えば、軸受222は、インペラアセンブリ206に面する第1の側236と、モータ204に面する反対側の第2の側238とを含むことができる。軸受222の第1の側236には、凹状のくぼみ240が形成されている。凹状のくぼみ240は、駆動軸214の第1の端部220を受承するように構成される。図に示すように、駆動軸214の第1の端部220は、少なくとも部分的に丸くされていてもよく、実施形態では、凹状のくぼみ240の曲率に対応する曲率を含んでもよい。このようにして、駆動軸214と軸受222との間の接触表面積は、可能な限り小さくなり、血球が駆動軸214と軸受222との間の境界面で入り込む可能性を低減し得る。
【0047】
実施形態によれば、保護アセンブリハウジング232は、基部242と、基部242から離間して延びる周壁244とを含み、周壁244の内面246と、基部242の内面248とによって部分的に境界付けられる空洞245を形成する。実施形態によれば、例えば、保護流体室245の少なくとも一部は、周壁244の内面246と、基部236の内面248と、軸受222の少なくとも第1の側236との間に画定される。実施形態において、保護アセンブリハウジング232は、カップワッシャであってもよいし、又はカップワッシャを含んでもよい。
【0048】
周壁244は、基部242に対してほぼ直交して配向することができる。軸開口部250は、基部242を貫通して画定され、基部242の外面252から基部242の内面248まで延びて、駆動軸214の一部を受承するように構成される。図に示すように、軸受222は、空洞245内に少なくとも部分的に配置されるように構成される。さらに、ロータ218は、空洞245内に少なくとも部分的に配置されるように構成される。
【0049】
実施形態によれば、ロータ218は、ロータ218の外面に配置された保護コーティングを含んでもよい。例えば、コーティングは、アモルファスシリコーン、ダイヤモンド様コーティング、高分子化合物などを含むことができる。実施形態では、保護コーティングは、ロータ218の少なくとも一部を覆うように構成されてもよい。例えば、実施形態において、保護コーティングは、ロータ218の外面全体を覆うように構成されてもよいが、他の実施形態では、保護コーティングは、ロータ218の外面の一部を覆うように構成されてもよい。実施形態では、ロータ218はインペラ216に一体化され、保護コーティングはインペラ(したがってロータ218)の外面上に少なくとも部分的に配置される。
【0050】
図2A及び2Bに示す例示的な循環補助装置200は、本発明の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環補助装置200は、そこに示された単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関して従属性又は要件を有すると解釈すべきではない。加えて、図2A及び2Bに示す様々な構成要素は、実施形態において、そこに示された他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)の様々なものと組み合わされてもよく、それらはすべて本発明の範囲内であると考えられる。
【0051】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に様々な変更や追加を行うことができる。例えば、上記実施形態は特定の要素に言及しているが、本発明の範囲には、要素特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態も含まれる。したがって、本発明の範囲は、そのすべての均等物とともに、特許請求の範囲内に入る全てのそのような代替物、修正物、及び変更物を包含することが意図されている。
図1
図2A
図2B