(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】測定装置、解析装置、解析方法及び解析プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/72 20060101AFI20230125BHJP
G01R 33/14 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
G01N27/72
G01R33/14
(21)【出願番号】P 2018108028
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 弘敬
(72)【発明者】
【氏名】上原 裕二
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-239412(JP,A)
【文献】再公表特許第2010/038799(JP,A1)
【文献】特開2017-058327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72 - G01N 27/9093
G01R 33/00 - G01R 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料が用いられた試料の、直流重畳された入力の磁界と出力の磁束密度との関係を表すヒステリシス曲線を測定する測定部と、
前記測定部によって前記ヒステリシス曲線を測定する際に、前記試料から出力される前記磁束密度の
振幅方向に非対称の波形が
、振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記磁界の波形を制御する制御部と
を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記試料に入力される前記磁界の波形が振幅方向に対称であって前記試料から出力される前記磁束密度の波形が振幅方向に非対称となる場合に、前記試料に入力される前記磁界の波形を振幅方向に非対称とすることにより前記試料から出力される前記磁束密度の波形が振幅方向に対称となるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記試料から出力される
振幅方向に対称の前記磁束密度の波形における
振幅方向の中心を、前記ヒステリシス曲線の原点として設定することを特徴とする請求項1
又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
磁性材料が用いられた試料に対応するモデルの、直流重畳された入力の第1磁界と出力の第1磁束密度との関係を表す第1ヒステリシス曲線を生成する処理部と、
前記処理部によって前記第1ヒステリシス曲線を生成する際に、前記モデルから出力される前記第1磁束密度の
振幅方向に非対称の波形が
、振幅方向に対称となるように、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を制御する第1制御部と
を含むことを特徴とする解析装置。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形が振幅方向に対称であって前記モデルから出力される前記第1磁束密度の波形が振幅方向に非対称となる場合に、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を振幅方向に非対称とすることにより前記モデルから出力される前記第1磁束密度の波形が振幅方向に対称となるよう制御することを特徴とする請求項4に記載の解析装置。
【請求項6】
前記試料の、直流重畳された入力の第2磁界と出力の第2磁束密度との関係を表し、前記試料から出力される前記第2磁束密度の波形が
振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記第2磁界の波形を制御して測定された第2ヒステリシス曲線を取得する取得部と、
前記第1ヒステリシス曲線と前記第2ヒステリシス曲線との比較に基づき、前記モデルのパラメータを同定する同定部と
を含むことを特徴とする請求項
4又は5に記載の解析装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記第2磁束密度の波形が
振幅方向に対称となる前記第2磁界の波形を、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形として設定し、
前記処理部は、前記第1制御部によって設定された前記第1磁界の波形を用いて前記第1ヒステリシス曲線を生成する
ことを特徴とする請求項
6に記載の解析装置。
【請求項8】
磁性材料が用いられた試料に対応するモデルの、直流重畳された入力の第1磁界と出力の第1磁束密度との関係を表し、前記モデルから出力される前記第1磁束密度の波形が
振幅方向に対称となるように、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を制御して生成された第1ヒステリシス曲線と、
前記試料の、直流重畳された入力の第2磁界と出力の第2磁束密度との関係を表し、前記試料から出力される前記第2磁束密度の波形が
振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記第2磁界の波形を制御して測定された第2ヒステリシス曲線と
の比較に基づき、前記モデルのパラメータを同定することを特徴とする解析方法。
【請求項9】
磁性材料が用いられた試料に対応するモデルの、直流重畳された入力の第1磁界と出力の第1磁束密度との関係を表し、前記モデルから出力される前記第1磁束密度の波形が
振幅方向に対称となるように、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を制御して生成された第1ヒステリシス曲線と、
前記試料の、直流重畳された入力の第2磁界と出力の第2磁束密度との関係を表し、前記試料から出力される前記第2磁束密度の波形が
振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記第2磁界の波形を制御して測定された第2ヒステリシス曲線と
の比較に基づき、前記モデルのパラメータを同定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、解析装置、解析方法及び解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DC-DCコンバータ等におけるインダクタは、交流電流に直流電流が重畳された状態で動作する。一般に、インダクタの特性は、直流重畳によって変化する。そのため、インダクタの設計には、それに用いられる磁性材料の直流重畳特性の指標の1つであるヒステリシス曲線(BH曲線等とも称される)が重要となる。従来、インダクタに用いられる磁性材料の直流重畳特性を、磁界シミュレータを用いて解析する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/038799号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【文献】ジャーナル・オブ・ザ・ジャパン・ソサイエティ・オブ・パウダー・アンド・パウダー・メタラージー(Journal of the Japan Society of Powder and Powder Metallurgy),2014年3月,第61巻,第S1号,p.S238~S241
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、磁性材料の直流重畳特性の解析においては、磁性材料の測定により得られるヒステリシス曲線を、磁性材料の磁界シミュレーションにより得られるヒステリシス曲線と適正に比較できないために、高精度な解析を行うことができない場合があった。
【0006】
1つの側面では、本発明は、磁性材料のヒステリシス曲線の適正な比較を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、磁性材料が用いられた試料の、直流重畳された入力の磁界と出力の磁束密度との関係を表すヒステリシス曲線を測定する測定部と、前記測定部によって前記ヒステリシス曲線を測定する際に、前記試料から出力される前記磁束密度の振幅方向に非対称の波形が、振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記磁界の波形を制御する制御部とを含む測定装置が提供される。
【0008】
また、1つの態様では、磁性材料が用いられた試料に対応するモデルの、直流重畳された入力の第1磁界と出力の第1磁束密度との関係を表す第1ヒステリシス曲線を生成する処理部と、前記処理部によって前記第1ヒステリシス曲線を生成する際に、前記モデルから出力される前記第1磁束密度の振幅方向に非対称の波形が、振幅方向に対称となるように、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を制御する第1制御部とを含む解析装置が提供される。
【0009】
また、1つの態様では、磁性材料が用いられた試料に対応するモデルの、直流重畳された入力の第1磁界と出力の第1磁束密度との関係を表し、前記モデルから出力される前記第1磁束密度の波形が振幅方向に対称となるように、前記モデルに入力される前記第1磁界の波形を制御して生成された第1ヒステリシス曲線と、前記試料の、直流重畳された入力の第2磁界と出力の第2磁束密度との関係を表し、前記試料から出力される前記第2磁束密度の波形が振幅方向に対称となるように、前記試料に入力される前記第2磁界の波形を制御して測定された第2ヒステリシス曲線との比較に基づき、前記モデルのパラメータを同定する解析方法、並びに、そのような処理をコンピュータに実行させる解析プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、磁性材料のヒステリシス曲線の適正な比較が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】直流重畳なしの入力で得られた測定結果の一例を示す図である。
【
図4】直流重畳ありの入力で得られた測定結果の一例を示す図である。
【
図5】直流重畳ありの場合に生じる問題点について説明する図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る磁性材料の直流重畳特性の測定及び解析における入出力波形について説明する図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る磁性材料の直流重畳特性の測定及び解析について説明する図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る測定装置が有する機能の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態に係る解析装置が有する機能の一例を示す図である。
【
図10】解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図11】磁性材料の測定及び解析のフローの一例を示す図である。
【
図12】測定装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図13】解析装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図14】解析装置の処理フローの別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに、磁性材料の直流重畳特性について説明する。
例えば、DC-DCコンバータ等に用いられるインダクタは、交流電流に直流電流が重畳された、いわゆる直流重畳の条件下で動作する。このような直流重畳の条件下で動作する、インダクタ等、磁性材料が用いられた素子では、直流重畳によってその性能が変化し得る。そのため、磁性材料が用いられた素子及びそれを用いたデバイスの設計には、素子に用いられる磁性材料の直流重畳特性、例えば、磁界Hと磁束密度Bとの関係を示すヒステリシス曲線(以下、BH曲線とも言う)が重要な情報となってくる。磁性材料が用いられた素子及びそれを用いたデバイスの、シミュレーションを利用した設計を実現するためには、素子に用いられる磁性材料のBH曲線等の直流重畳特性が適正に予測できることが望ましい。
【0013】
ここで、
図1はBH曲線について説明する図である。
磁性材料(強磁性体)は、例えば、
図1に示すように、磁化されていない状態(磁界H=0,磁束密度B=0)から、印加する磁界Hを増加させていくと、初磁化曲線130に沿って磁束密度Bが増加していき、やがて飽和する(飽和磁束密度a)。磁束密度Bの飽和後、印加する磁界Hを減少させ(飽和磁束密度b)、再び増加させていくと(飽和磁束密度a)、
図1に示すようなヒステリシス曲線(メジャーループ)100Aに沿って磁束密度Bが変化する。その際、印加する磁界Hを0にしても磁性材料には磁束密度Bが残り(残留磁束密度c,d)、また、磁束密度Bは一定の磁界Hで0になる(保磁力e)。直流重畳下で用いられる磁性材料の磁束密度Bは、交流磁界振幅hの範囲で、直流磁界H
dcの位置をH座標の原点とする、初磁化曲線130上の比較的小さなヒステリシス曲線(マイナーループ)100に沿って変化する。
【0014】
磁性材料の磁気特性を再現するために、磁気ヒステリシスモデルを用いた磁界シミュレーションが研究されている。磁界シミュレーションによって適正なBH曲線を得て、得られたBH曲線に基づいて磁性材料及びそれを用いた素子の高精度な解析、性能予測を行うためには、磁界シミュレーションに適正なパラメータを用いることが重要となってくる。磁界シミュレーションに用いるパラメータとしては、例えば、飽和磁束密度、異方性磁界、磁気損失、ダンピング定数、及びこれら各パラメータの平均や分散等が挙げられる。磁界シミュレーションに用いる適正なパラメータを得るため、例えば、磁性材料モデルの磁界シミュレーションの結果と、磁性材料について実際に測定(実測)を行った結果との比較に基づき、磁界シミュレーションに用いるパラメータの同定が行われる。
【0015】
ここで、
図2はBH曲線の測定について説明する図である。
BH曲線の測定には、例えば、
図2に示すような、1次側巻線210及び2次側巻線220が施されたトロイダルコア200が用いられる。1次側巻線210には、直流重畳電流源230が接続される。直流重畳電流源230から1次側巻線210に電流Iが流されると磁界H(∝I)が発生し、それによって2次側巻線220に誘導起電力(∝dB/dt)が発生する。この誘導起電力を検出し、時間積分することで、磁束密度Bが得られる。このような、電流I及びそれによって発生する磁界Hを入力とし、磁界Hによって発生する誘導起電力及びそれを時間積分して得られる磁束密度Bを出力とする測定方法を用い、磁界Hと磁束密度Bとの関係をプロットすることで、BH曲線が得られる。
【0016】
BH曲線の測定時に、交流電流に加えて直流電流を印加する、即ち交流磁界に加えて直流磁界を印加する直流重畳では、得られるBH曲線(マイナーループ)が非対称となる。前述の通り、磁束密度B(その波形)は、2次側巻線220で検出される誘導起電力を時間積分して得られるため、このように直流重畳でマイナーループが非対称であると、その原点を明確に定めることができない。そのため、シミュレーション結果と測定結果との適正な比較が行えず、磁界シミュレーションに用いる適正なパラメータを得ることができない場合がある。この点について、更に
図3~
図5を参照して説明する。
【0017】
図3は直流重畳なしの入力で得られた測定結果の一例を示す図である。
図3(A)には、マイナーループの一例を示し、
図3(B)には、磁束密度Bの波形の一例を示している。また、
図4は直流重畳ありの入力で得られた測定結果の一例を示す図である。
図4(A)には、マイナーループの一例を示し、
図4(B)には、磁束密度Bの波形の一例を示している。但し、
図3及び
図4においては、暫定的に平均値がゼロになるようにプロットしている。
【0018】
また、
図5は直流重畳ありの場合に生じる問題点について説明する図である。
図5(A)には、磁束密度Bの波形の原点について説明する図を示し、
図5(B)には、マイナーループ内の原点について説明する図を示し、
図5(C)には、測定結果とシミュレーション結果との比較について説明する図を示している。
【0019】
図3(A)に示すように、直流重畳なしの入力に対して得られるマイナーループ(BH曲線)300aは、対称形となる。
図3(B)に示すように、直流重畳なしの入力に対して出力される誘導起電力を時間積分して得られる磁束密度Bの波形(B波形)310aは、上下対称の波形となる。ここで、上下対称とは、波形の周期をTとして、時刻0から時刻T/2までの波形と、時刻T/2から時刻Tまでの波形とを比較した時に、それらが上下対称、即ち正負の符号のみが逆転した状態となっていることを言う。
図3(B)の例では、B波形310aが上下対称となるため、そのB波形310aの上下の中心を原点(B波形310a及びマイナーループ300a内の原点)に設定することができる。
【0020】
一方、
図4(A)に示すように、直流重畳ありの入力に対して得られるマイナーループ(BH曲線)300bは、非対称形となる。
図4(B)に示すように、直流重畳ありの入力に対して出力される誘導起電力を時間積分して得られるB波形310bは、上下非対称の波形となる。そのため、
図4(B)(及び
図5(A))に示すように、非対称のB波形310bでは、その上下の中心が定まらず、原点(B=0の位置)が不明となる。
【0021】
図5(A)(及び
図4(B))に示すように、B波形310bの原点が不明であると、
図5(B)の左図に示すように、マイナーループ300b内の原点が不明となる。ここで、メジャーループ内(BH座標系内)におけるマイナーループ300bの原点は、磁性材料の初磁化曲線及び印加される直流磁界H
dcに基づいて決まる。即ち、マイナーループ300bの原点は、BH座標系内において、初磁化曲線上であって直流磁界H
dcとそれに対応する磁束密度B
dcとによって決まる位置(点(H
dc,B
dc))となる。しかし、
図5(B)の左図に示すように、マイナーループ300b内の原点320bが不明であると、マイナーループ300b内の原点320bがどこにあるかによって、
図5(B)の右図に示すように、BH座標系内でのマイナーループ300bの位置が変動する。
【0022】
ここで、例えば
図5(C)の左図に示すように、磁界シミュレーションにより、初磁化曲線330c及び直流磁界H
dcに基づいて決まる点を原点320cとするマイナーループ300cが得られたとする。
【0023】
しかし、
図5(C)の左図に示すようなシミュレーション結果のマイナーループ300cと、
図5(C)の右図に示すような、BH座標系内での位置が定まらない測定結果のマイナーループ300bとの間では、適正に比較を行うことができない。シミュレーション結果のマイナーループ300cと、測定結果のマイナーループ300bとの比較が適正に行えないと、磁界シミュレーションに用いるパラメータを同定することができず、適正なパラメータを得ることができないことが起こり得る。
【0024】
このように、これまでの手法では、磁性材料の測定及び磁界シミュレーションによって得られるヒステリシス曲線を適正に比較することができないために、その直流重畳特性の高精度な解析を実現することができない場合があった。
【0025】
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を採用する。
[第1の実施の形態]
図6は第1の実施の形態に係る磁性材料の直流重畳特性の測定及び解析における入出力波形について説明する図である。
図6(A)には比較のため、従来の直流重畳特性の測定及び解析において入力される磁界Hの波形及び出力される磁束密度Bの波形の一例を示している。
図6(B)には、第1の実施の形態の直流重畳特性の測定及び解析において入力される磁界Hの波形及び出力される磁束密度Bの波形の一例を示している。
【0026】
上記
図2で述べたように、直流重畳下のマイナーループ(BH曲線)の測定では、直流重畳電流源230から1次側巻線210に電流Iを流して磁界Hを発生させ(入力)、それによって2次側巻線220に発生する誘導起電力を時間積分して磁束密度Bを得る(出力)。このように直流重畳下でマイナーループを測定する際の入力として、例えば、
図6(A)に示すような、上下対称の磁界Hの波形(H波形)340bが用いられると、出力として、上記のような、原点が不明となる上下非対称のB波形310bが得られる。
【0027】
そこで、
図6(B)に示すように、直流重畳下でマイナーループを測定する際の入力として、上下対称のB波形410が出力として得られるようなH波形440を用いる。このようにすると、出力のB波形410が上下対称となるため、その上下の中心411を原点として設定することができる。
【0028】
直流重畳下のマイナーループの磁界シミュレーションにおいても、測定の際と同様に、上下対称のB波形410が出力として得られるようなH波形440を入力に用いる。
このように、入力のH波形440及び出力のB波形410を制御することで、磁性材料の直流重畳特性の測定結果、更にその磁性材料(モデル)の直流重畳特性のシミュレーション結果の、高精度な解析を実現することが可能になる。
【0029】
図7は第1の実施の形態に係る磁性材料の直流重畳特性の測定及び解析について説明する図である。
図7(A)には、磁束密度Bの波形の原点について説明する図を示し、
図7(B)には、マイナーループ内の原点について説明する図を示し、
図7(C)には、測定結果とシミュレーション結果との比較について説明する図を示している。
【0030】
上記のように、直流重畳下で磁性材料のマイナーループを測定する際の入力として、上下対称のB波形410が出力として得られるようなH波形440を用いると、
図7(A)に示すように、出力となるB波形410の上下の中心411を原点として設定することができる。これにより、
図7(B)に示すように、そのB波形410に対応するマイナーループ400内の原点420が定まる。マイナーループ400内の原点420が定まることで、
図7(C)の右図に示すように、初磁化曲線430及び直流磁界H
dcに基づいて決まる、メジャーループ内(BH座標系内)でのマイナーループ400の位置が定まる。即ち、マイナーループ400が、初磁化曲線430上であって直流磁界H
dcとそれに対応する磁束密度B
dcとによって決まる点(H
dc,B
dc)を原点420とする位置に定まる。
【0031】
磁性材料についてのこのような測定により、得られるヒステリシス曲線を他のヒステリシス曲線と適正に比較することが可能になり、その直流重畳特性の高精度な解析を実現することが可能になる。
【0032】
直流重畳下の磁性材料のマイナーループの磁界シミュレーションにおいても、上記測定の場合と同様に、上下対称のB波形410が出力として得られるようなH波形440を入力に用いる。このようにすると、磁界シミュレーションにおいても、出力となるB波形410の上下の中心411を原点として設定することができる。これにより、
図7(C)の左図に示すように、磁界シミュレーションで得られる、そのB波形410に対応するマイナーループ400c内の原点420cが定まる。マイナーループ400c内の原点420cが定まることで、
図7(C)の左図に示すように、初磁化曲線430c及び直流磁界H
dcに基づいてBH座標系内でのマイナーループ400cの位置が定まる。即ち、マイナーループ400が、初磁化曲線上であって直流磁界H
dcとそれに対応する磁束密度B
dcとによって決まる点(H
dc,B
dc)を原点420cとする位置に定まる。
【0033】
磁性材料についてのこのような磁界シミュレーションにより、得られるヒステリシス曲線を他のヒステリシス曲線と適正に比較することが可能になり、その直流重畳特性の高精度な解析を実現することが可能になる。
【0034】
測定で得られる、BH座標系内での位置が定まったマイナーループ400(
図7(C)の右図)と、磁界シミュレーションで得られる、BH座標系内での位置が定まったマイナーループ400c(
図7(C)の左図)とは、適正に比較が行える。測定で得られるマイナーループ400と、磁界シミュレーションで得られるマイナーループ400cとの比較に基づき、マイナーループ400cを得る磁界シミュレーションで用いられるパラメータの同定を適正に行うことが可能になる。
【0035】
上記手法によれば、磁性材料についての直流重畳下の測定及び磁界シミュレーションによって得られるヒステリシス曲線同士を適正に比較することが可能になり、その磁性材料の直流重畳特性の高精度な解析を実現することが可能になる。
【0036】
[第2の実施の形態]
ここでは、上記第1の実施の形態で述べたような測定を実現する測定装置の例、及び上記第1の実施の形態で述べたような解析を実現する解析装置の例、並びに、それらを用いた磁性材料の測定及び解析の例を、第2の実施の形態として説明する。
【0037】
まず、測定装置について説明する。
図8は第2の実施の形態に係る測定装置が有する機能の一例を示す図である。
図8に示す測定装置500は、磁性材料の磁気特性であるBH曲線を測定する装置の一例である。測定装置500は、測定部510、記憶部520及び出力部530を備える。測定装置500が有する機能は、例えば、コンピュータを用いて実現される。
【0038】
測定部510は、磁性材料を用いた試料10の直流重畳特性の測定(直流重測定)を行う。試料10には、上記
図2に示したような、磁性材料を用いたトロイダルコア200に1次側巻線210及び2次側巻線220を施したものが用いられる。試料10(そのトロイダルコア200に用いられている磁性材料)の磁気特性を測定する測定部510は、入力信号発生部511、出力信号検出部512及び処理部513を有する。
【0039】
入力信号発生部511は、試料10に入力される信号(電流I及び磁界H)を発生する。入力信号発生部511は、交流電流を発生する交流波形発生部511a、及び直流電流を発生する直流波形発生部511bを含む。入力信号発生部511は、交流波形発生部511aで発生した交流電流に、直流波形発生部511bで発生した直流電流を重畳した電流Iを生成し、生成された電流Iを試料10(その1次側巻線210)に入力し、磁界Hを発生させる。
【0040】
出力信号検出部512は、試料10から出力される信号(誘導起電力及び磁束密度B)を検出する。出力信号検出部512は、試料10に電流Iが入力され、それによって試料10(その2次側巻線220)に発生する誘導起電力を検出し、これを時間積分して磁束密度Bを得る。
【0041】
処理部513は、試料10からの出力に基づいて試料10への入力を制御(フィードバック制御)する入出力波形制御部513a、及び入力及び出力に基づきBH曲線としてマイナーループを生成するBH曲線生成部513bを含む。
【0042】
入出力波形制御部513aは、出力信号検出部512によって検出される信号に基づき、入力信号発生部511によって試料10に入力される信号をフィードバック制御する。入出力波形制御部513aは、試料10からの出力であるB波形が上下対称となるように、入力信号発生部511の交流波形発生部511a及び直流波形発生部511bを制御し、試料10への入力であるH波形をフィードバック制御する。例えば、入出力波形制御部513aは、B波形を正弦波にするのであれば、まず、各時刻tにおける所望の正弦波の値B0(t)と、測定されたB波形の値B(t)の差(ΔB(t)=B0(t)-B(t))を算出する。そして、入出力波形制御部513aは、算出された差に比例する形で、H波形にフィードバック量ΔH(t)を与える(ΔH(t)=α×ΔB(t),αは比例定数)。
【0043】
入出力波形制御部513aは、出力信号検出部512によって検出される出力のB波形が上下対称であるか否かを判定する。入出力波形制御部513aは、出力のB波形が上下対称である場合には、そのB波形の情報と、それが得られた入力のH波形の情報とを、BH曲線生成部513bに送る。入出力波形制御部513aは、出力信号検出部512によって検出される出力のB波形が上下対称でない場合には、上記のようなフィードバック制御を行い、出力のB波形が上下対称となるまでフィードバック制御を繰り返す。
【0044】
BH曲線生成部513bは、入出力波形制御部513aによって生成される、上下対称の出力のB波形と、それが得られた入力のH波形とを用い、入力の磁界Hと出力の磁束密度Bとの関係を表すマイナーループを生成する。BH曲線生成部513bは、上下対称のB波形の上下の中心を原点に設定し、そのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定する。BH曲線生成部513bは、このようにマイナーループ内の原点を設定し、初磁化曲線及び直流磁界Hdcに基づいてBH座標系内での位置を設定したマイナーループを生成する。即ち、初磁化曲線上であって直流磁界Hdcとそれに対応する磁束密度Bdcとによって決まる点(Hdc,Bdc)を原点とするマイナーループを生成する。
【0045】
上記のような測定部510の機能は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。プロセッサには、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等が含まれてもよい。プロセッサは、RAM(Random Access Memory)等のメモリや記憶部520に記憶されたプログラムを実行し、上記のような測定部510の機能を実現する。
【0046】
記憶部520は、測定に用いられるプログラムや各種データの情報、試料10に用いられる磁性材料の初磁化曲線の情報、測定部510により得られるH波形、B波形及びマイナーループの情報等を記憶する。記憶部520は、RAM等の揮発性の半導体メモリでもよいし、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性のストレージでもよい。
【0047】
出力部530は、試料10に関する情報、測定部510により得られるH波形、B波形、マイナーループの情報等を出力する。例えば、出力部530は、測定部510により得られるH波形、B波形、マイナーループの情報等を、測定装置500と有線又は無線の通信手段で接続された他の装置、例えば、後述する解析装置600へ送信する。或いは、出力部530は、測定部510により得られるH波形、B波形、マイナーループの情報等を、測定装置500が備える又は測定装置500と接続されるディスプレイ等の表示装置に表示する。
【0048】
尚、試料10に用いられる磁性材料の初磁化曲線は、例えば、同材料の試料を適切な形状に加工したうえで、VSM(Vibrating Sample Magnetometer)やSQUID(Superconducting QUantum Interface Device)等の装置によって測定することで、得られる。例えば、予めこのような装置を用いて測定された初磁化曲線の情報が、測定装置500の記憶部520に記憶される。或いは、このような初磁化曲線の測定機能を測定装置500に持たせ、その測定機能によって測定された初磁化曲線の情報が記憶部520に記憶されてもよい。
【0049】
次に、解析装置について説明する。
図9は第2の実施の形態に係る解析装置が有する機能の一例を示す図である。
図9に示す解析装置600は、磁性材料モデルの磁界シミュレーションを行う装置の一例である。この解析装置600は更に、磁界シミュレーションのシミュレーション結果と測定結果との比較、及び比較に基づく磁界シミュレーションのパラメータの同定を行う機能を有する。解析装置600は、入力部610及び測定情報取得部620を備える。解析装置600は更に、記憶部630、処理部640及び出力部650を備える。解析装置600が有する機能は、例えば、コンピュータを用いて実現される。
【0050】
解析装置600には、入力部610により、磁界シミュレーションに用いられる磁性材料モデル及びそのパラメータの情報が入力される。磁性材料モデルには、例えば、測定装置500によって測定される試料10に対応する(試料10を表現する)モデルが用いられる。例えば、解析装置600には、入力部610により、磁性材料の仕様、パラメータの初期値等が入力される。磁性材料の仕様としては、材質、寸法、使用される条件等が挙げられる。パラメータとしては、飽和磁束密度、異方性磁界、磁気損失、ダンピング定数、及びこれら各パラメータの平均や分散等が挙げられる。入力されたパラメータは、記憶部630に記憶される。
【0051】
測定情報取得部620は、測定装置500(
図8)によって測定されたマイナーループ(BH曲線)の情報や、測定されたマイナーループに対応したH波形の情報等を取得する。測定情報取得部620は、測定装置500で測定された又は測定されて記憶部520に記憶されたマイナーループの情報や、測定されたマイナーループに対応したH波形の情報等を、解析装置600と有線又は無線の通信手段で接続された測定装置500から取得する。
【0052】
記憶部630は、解析に用いられるプログラムや各種データの情報、磁性材料モデル及びそのパラメータの情報、解析により得られるマイナーループ(BH曲線)のシミュレーション結果の情報、マイナーループに基づいて同定されたパラメータの情報等を記憶する。記憶部630は更に、測定情報取得部620によって取得された情報、即ち、測定装置500によって測定されたマイナーループの情報や、測定されたマイナーループに対応したH波形の情報等を記憶する。記憶部630は、RAM等の揮発性の半導体メモリでもよいし、HDDやフラッシュメモリ等の不揮発性のストレージでもよい。
【0053】
処理部640は、磁性材料モデルの直流重畳特性の磁界シミュレーション(直流重畳シミュレーション)、並びに、そのシミュレーション結果と測定結果との比較、及び比較に基づく磁界シミュレーションのパラメータの同定を行う。処理部640は、入出力波形制御部641、BH曲線生成部642及びBH曲線比較部643を含む。
【0054】
入出力波形制御部641は、磁性材料モデルに入力する信号(直流重畳された電流I及び磁界H)に対して磁性材料モデルから出力される信号(誘導起電力及び磁束密度B)に基づき、磁性材料モデルに入力する信号を制御(フィードバック制御)する。入出力波形制御部641は、磁性材料モデルの出力となるB波形が上下対称となるように、磁性材料モデルの入力となるH波形をフィードバック制御する。例えば、入出力波形制御部641は、B波形を正弦波にするのであれば、まず、各時刻tにおける所望の正弦波の値B0(t)と、測定されたB波形の値B(t)の差(ΔB(t)=B0(t)-B(t))を算出する。そして、入出力波形制御部641は、算出された差ΔB(t)に比例定数αを乗じたフィードバック量ΔH(t)(=α×ΔB(t))を生成し、そのフィードバック量ΔH(t)をH波形に与え、制御後のH波形とする。
【0055】
入出力波形制御部641は、磁性材料モデルから出力されるB波形が上下対称となっているか否かを判定する。入出力波形制御部641は、出力のB波形が上下対称となっている場合には、そのB波形の情報と、それが得られた入力のH波形の情報とを、BH曲線生成部642に送る。入出力波形制御部641は、出力のB波形が上下対称となっていない場合には、上記のようなフィードバック制御を行い、出力のB波形が上下対称となるまでフィードバック制御を繰り返す。
【0056】
BH曲線生成部642は、入出力波形制御部641によって生成される、上下対称の出力のB波形と、その入力のH波形とを用いた磁界シミュレーションにより、入力の磁界Hと出力の磁束密度Bとの関係を表すマイナーループを、初磁化曲線を含めて生成する。この場合、BH曲線生成部642は、上下対称のB波形の上下の中心を原点に設定し、そのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定する。BH曲線生成部642は、このようにマイナーループ内の原点を設定し、初磁化曲線及び直流磁界Hdcに基づいてBH座標系内での位置を設定したマイナーループを生成する。即ち、初磁化曲線上であって直流磁界Hdcとそれに対応する磁束密度Bdcとによって決まる点(Hdc,Bdc)を原点とするマイナーループを生成する。
【0057】
或いは、BH曲線生成部642は、測定装置500でB波形が上下対称となるように制御されたH波形を入力とし、そのH波形とそれに対して磁界シミュレーションにより出力されるB波形とを用い、初磁化曲線を含めてマイナーループを生成してもよい。この場合、測定装置500でB波形が上下対称となるように制御された入力のH波形には、測定情報取得部620によって取得された情報、又は測定情報取得部620によって取得され記憶部630に記憶された情報が用いられる。BH曲線生成部642は、磁界シミュレーションにより出力されるB波形の上下の中心を原点に設定し、そのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定する。BH曲線生成部642は、このようにマイナーループ内の原点を設定し、初磁化曲線及び直流磁界Hdcに基づいてBH座標系内での位置(原点(Hdc,Bdc))を設定したマイナーループを生成する。
【0058】
BH曲線比較部643は、BH曲線生成部642によって生成されたシミュレーション結果のマイナーループと、測定装置500によって測定された測定結果のマイナーループとの比較を行う。シミュレーション結果のマイナーループと比較される、測定結果のマイナーループの情報には、測定情報取得部620によって取得された情報、又は測定情報取得部620によって取得され記憶部630に記憶された情報が用いられる。BH曲線比較部643は、その比較に基づき、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの差が所定の基準を満たすか否かを判定する。例えば、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの差の基準として、同じ磁界Hにおける磁束密度Bの差が10%以下、或いはマイナーループが描くループ面積の差が5%以下といった基準が設けられる。
【0059】
BH曲線比較部643は、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの所定の差が所定の基準を満たす場合には、そのシミュレーション結果が得られた磁界シミュレーションで用いられた磁性材料モデルのパラメータを同定する。
【0060】
BH曲線比較部643は、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの所定の差が所定の基準を満たさない場合には、そのシミュレーション結果が得られた磁界シミュレーションに用いられた磁性材料モデルのパラメータを修正する。パラメータの修正は、適当なアルゴリズムを用いて行われる。例えば、BH曲線比較部643は、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの差ΔRを0に近付けるような修正量ΔPをパラメータに与え、パラメータを修正する。一例として、BH曲線比較部643は、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの差ΔRに、パラメータの種類に応じた比例定数βを乗じた修正量ΔP(=β×ΔR)を生成し、その修正量ΔPをパラメータに与え、パラメータを修正する。
【0061】
BH曲線比較部643により、パラメータが修正された場合、修正されたパラメータを適用した磁性材料モデルが用いられ、入出力波形制御部641及びBH曲線生成部642による磁界シミュレーションが再度行われる。このような処理が、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの所定の差が所定の基準を満たし、磁界シミュレーションに用いられた磁性材料モデルのパラメータが同定されるまで繰り返される。
【0062】
上記のような処理部640の機能は、CPUやDSP等のプロセッサにより実現される。プロセッサには、ASICやFPGA等が含まれてもよい。プロセッサは、RAM等のメモリや記憶部630に記憶されたプログラムを実行し、上記のような処理部640の機能を実現する。
【0063】
出力部650は、磁界シミュレーションに用いられる情報、磁界シミュレーションにより得られるマイナーループの情報、シミュレーション結果のマイナーループと測定結果のマイナーループとの比較に関する情報等を出力する。例えば、出力部650は、このような情報を、解析装置600と有線又は無線の通信手段で接続された他の装置へ送信する。或いは、出力部650は、このような情報を、解析装置600が備える又は解析装置600と接続されるディスプレイ等の表示装置に表示する。
【0064】
続いて、解析装置600のハードウェア構成について説明する。
図10は解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
解析装置600は、プロセッサ601、RAM602、HDD603、画像信号処理部604、入力信号処理部605、読み取り装置606及び通信インタフェース607を有する。ここで、プロセッサ601は、上記処理部640の機能を実現するものの一例である。RAM602又はHDD603は、上記記憶部630の機能を実現するものの一例である。
【0065】
プロセッサ601は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ601は、CPU、DSP、ASIC、FPGA等である。プロセッサ601は、CPU、DSP、ASIC、FPGA等のうちの2種以上の組合せであってもよい。
【0066】
RAM602は、解析装置600の主記憶装置である。RAM602は、プロセッサ601に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部を一時的に記憶する。また、RAM602は、プロセッサ601による処理に用いる各種データを記憶する。
【0067】
HDD603は、解析装置600の補助記憶装置である。HDD603は、内蔵した磁気ディスクに対して、磁気的にデータの書き込み及び読み出しを行う。HDD603には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、及び各種データが格納される。解析装置600は、SSD(Solid State Drive)等の他の種類の補助記憶装置を備えてもよく、複数の補助記憶装置を備えてもよい。
【0068】
画像信号処理部604は、プロセッサ601からの命令に従って、解析装置600に接続されたディスプレイ604aに画像を表示させる。ディスプレイ604aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等を用いることができる。
【0069】
入力信号処理部605は、解析装置600に接続された入力デバイス605aから入力信号を取得し、プロセッサ601に出力する。入力デバイス605aとしては、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイス、キーボード等を用いることができる。
【0070】
読み取り装置606は、記録媒体606aに記録されたプログラムやデータを読み取る装置である。記録媒体606aとして、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDD等の磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)を使用できる。また、記録媒体606aとして、例えば、フラッシュメモリカード等の不揮発性の半導体メモリを使用することもできる。読み取り装置606は、例えば、プロセッサ601からの命令に従って、記録媒体606aから読み取ったプログラムやデータをRAM602又はHDD603に格納する。
【0071】
通信インタフェース607は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワークを介して測定装置500等の他の装置と通信を行うためのインタフェースである。
【0072】
ここでは解析装置600のハードウェア構成について述べたが、上記測定装置500も、
図10に示したような解析装置600と同様のハードウェア構成を用いて実現することができる。
【0073】
続いて、上記のような測定装置500及び解析装置600を用いた磁性材料の測定及び解析のフローについて説明する。
図11は磁性材料の測定及び解析のフローの一例を示す図である。
【0074】
(S10)測定装置500は、磁性材料を用いた試料10の、入力されるH波形に対して出力されるB波形を上下対称とする直流重畳測定を行う。ここで、測定装置500は、入出力波形制御部513aにより、試料10から出力されるB波形が上下対称となるように、試料10へ入力するH波形を制御する。そして、測定装置500は、BH曲線生成部513bにより、上下対称の出力のB波形の、上下の中心を原点に設定し、それによってそのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定して、BH座標系内での位置を設定した試料10のマイナーループを得る。このステップS10の測定装置500の処理については更に後述する。
【0075】
(S11)解析装置600は、試料10に対応する磁性材料モデルの、入力されるH波形に対して出力されるB波形を上下対称とする直流重畳シミュレーションを行う。ここで、解析装置600は、例えば、入出力波形制御部641により、磁性材料モデルから出力されるB波形が上下対称となるように、磁性材料モデルへ入力するH波形を制御する。そして、解析装置600は、BH曲線生成部642により、上下対称の出力のB波形の、上下の中心を原点に設定し、それによってそのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定して、BH座標系内での位置を設定した磁性材料モデルのマイナーループを得る。或いは、解析装置600は、測定装置500においてB波形が上下対称となるように制御されたH波形を入力とし、そのH波形とそれに対して出力されるB波形とを用いて、磁性材料モデルのマイナーループを得る。このステップS11の解析装置600の処理については更に後述する。
【0076】
(S12)解析装置600は、ステップS10の直流重畳測定で得られたマイナーループ、及びステップS11の直流重畳シミュレーションで得られたマイナーループとの比較を行う。ここで、解析装置600は、測定装置500の直流重畳測定で得られたマイナーループ(測定装置500の記憶部520に記憶されたマイナーループ)を取得し、記憶部630に記憶する。解析装置600の直流重畳シミュレーションで得られたマイナーループは、その記憶部630に記憶される。解析装置600は、記憶部630を参照し、BH曲線比較部643により、測定装置500の直流重畳測定で得られたマイナーループと、解析装置600の直流重畳シミュレーションで得られたマイナーループとを比較する。解析装置600は、これら直流重畳測定及び直流重畳シミュレーションで得られたマイナーループ同士を比較し、それらの所定の差、例えば、同じ磁界Hにおける磁束密度Bの差、或いはマイナーループのループ面積の差を求める。
【0077】
(S13)解析装置600は、ステップS12で求められた所定の差が、所定の基準を満たすか否かを判定する。ここで、解析装置600は、BH曲線比較部643により、例えば、同じ磁界Hにおける磁束密度Bの差が10%以下、或いはマイナーループのループ面積の差が5%以下といった所定の基準を満たすか否かを判定する。解析装置600は、BH曲線比較部643により、ステップS12で求められた所定の差が所定の基準を満たすと判定された場合、処理をステップS14に進め、所定の差が所定の基準を満たさないと判定された場合、処理をステップS15に進める。
【0078】
(S14)解析装置600は、BH曲線比較部643により、ステップS12で求められた所定の差が、ステップS13において所定の基準を満たすと判定された場合、直流重畳シミュレーションに用いた磁性材料モデルのパラメータを同定する。
【0079】
(S15)解析装置600は、BH曲線比較部643により、ステップS12で求められた所定の差が、ステップS13において所定の基準を満たさないと判定された場合、直流重畳シミュレーションに用いた磁性材料モデルのパラメータを、有限要素法等の適当なアルゴリズムを用いて修正する。そして、解析装置600は、修正されたパラメータを適用した磁性材料モデルを用い、ステップS11の直流重畳シミュレーションを再度行う。
【0080】
解析装置600は、BH曲線比較部643により、ステップS12で求められた所定の差が、ステップS13において所定の基準を満たすと判定されるまで、ステップS11~S13,S15の処理を繰り返す。
【0081】
図12は測定装置の処理フローの一例を示す図である。
図12に示す測定装置の処理は、上記ステップS10で実行される処理の一例である。
(S20)測定装置500は、試料10に用いられる磁性材料の初磁化曲線を取得する。試料10に用いられる磁性材料の初磁化曲線は、例えば、同材料の試料を適切な形状に加工したうえで、VSMやSQUID等の装置によって測定される。例えば、予めこのような装置を用いて測定された初磁化曲線の情報が、測定装置500に対して入力、送信等され、その記憶部520に記憶される。或いは、このような初磁化曲線の測定機能が測定装置500に設けられてもよく、その測定機能によって測定された初磁化曲線の情報が、記憶部520に記憶されてもよい。
【0082】
(S21)測定装置500は、測定部510によって直流重畳測定を行う。この直流重畳測定において、測定装置500は、入力信号発生部511により、交流波形発生部511a及び直流波形発生部511bで発生させた直流重畳電流を試料10に入力し、磁界Hを発生させる。そして、測定装置500は、出力信号検出部512により、直流重畳電流の入力に対して試料10に発生する誘導起電力を検出し、これを時間積分して磁束密度Bを得る。
【0083】
(S22)測定装置500は、入出力波形制御部513aにより、出力信号検出部512によって検出される、試料10からの出力である磁束密度Bの波形、即ちB波形が、上下対称であるか否かを判定する。測定装置500は、入出力波形制御部513aにより、出力のB波形が上下対称でないと判定された場合には、処理をステップS23に進め、入出力波形制御部513aにより、出力のB波形が上下対称であると判定された場合には、処理をステップS24に進める。
【0084】
(S23)測定装置500は、ステップS22において、入出力波形制御部513aにより、出力のB波形が上下対称でないと判定された場合には、出力のB波形が上下対称となるように、入力となるH波形をフィードバック制御する。測定装置500は、フィードバック制御された入出力波形制御部513a及び入力信号発生部511によって発生される直流重畳電流、それによって発生するH波形を入力とし、ステップS21の直流重畳測定を再度行う。
【0085】
測定装置500は、ステップS22において、入出力波形制御部513aにより、出力のB波形が上下対称であると判定されるまで、ステップS21~S23の処理を繰り返す。
【0086】
(S24)測定装置500は、ステップS22において、入出力波形制御部513aにより、出力のB波形が上下対称であると判定された場合には、次のような処理を行う。即ち、測定装置500は、BH曲線生成部513bにより、上下対称の出力のB波形とそれが得られた入力のH波形とを用い、磁界Hと磁束密度Bとの関係を表す試料10のマイナーループを生成する。ここで、測定装置500は、BH曲線生成部513bにより、上下対称のB波形の上下の中心を原点に設定し、そのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定する。そして、測定装置500は、BH曲線生成部513bにより、初磁化曲線上であって直流磁界Hdcとそれに対応する磁束密度Bdcとで決まる点(Hdc,Bdc)を原点として、試料10のマイナーループを生成する。
【0087】
(S25)測定装置500は、BH曲線生成部513bによって生成された試料10のマイナーループを記憶部520に記憶する。
測定装置500は、例えば、上記
図11のステップS10において、この
図12のステップS20~S25に示すような処理を実行し、試料10のBH座標系内での位置(原点(H
dc,B
dc))が定まったマイナーループを得る。
【0088】
図13は解析装置の処理フローの一例を示す図である。
図13に示す解析装置の処理は、上記ステップS11で実行される処理の一例である。
(S30)解析装置600は、試料10に対応する磁性材料モデルの直流重畳シミュレーションを行う。この直流重畳シミュレーションにおいて、解析装置600は、入出力波形制御部641により、磁性材料モデルに対してH波形を入力し、磁性材料モデルから出力されるB波形を得る。
【0089】
(S31)解析装置600は、入出力波形制御部641により、磁性材料モデルから出力されるB波形が、上下対称であるか否かを判定する。解析装置600は、入出力波形制御部641により、出力のB波形が上下対称でないと判定された場合には、処理をステップS32に進め、入出力波形制御部641により、出力のB波形が上下対称であると判定された場合には、処理をステップS33に進める。
【0090】
(S32)解析装置600は、ステップS31において、入出力波形制御部641により、出力のB波形が上下対称でないと判定された場合には、出力のB波形が上下対称となるように、入力となるH波形をフィードバック制御する。解析装置600は、フィードバック制御されたH波形を入力とし、ステップS30の直流重畳シミュレーションを再度行う。
【0091】
解析装置600は、ステップS31において、入出力波形制御部641により、出力のB波形が上下対称であると判定されるまで、ステップS30~S32の処理を繰り返す。
(S33)解析装置600は、ステップS31において、入出力波形制御部641により、出力のB波形が上下対称であると判定された場合には、次のような処理を行う。即ち、解析装置600は、BH曲線生成部642により、上下対称の出力のB波形とそれが得られた入力のH波形とを用い、磁界Hと磁束密度Bとの関係を表す磁性材料モデルのマイナーループを、その磁性材料の初磁化曲線を含めて生成する。ここで、解析装置600は、BH曲線生成部642により、上下対称のB波形の上下の中心を原点に設定し、そのB波形に対応するマイナーループ内の原点を設定する。そして、解析装置600は、BH曲線生成部642により、初磁化曲線上であって直流磁界Hdcとそれに対応する磁束密度Bdcとで決まる点(Hdc,Bdc)を原点として、磁性材料モデルのマイナーループを生成する。
【0092】
(S34)解析装置600は、BH曲線生成部642によって生成された磁性材料モデルのマイナーループを記憶部630に記憶する。
解析装置600は、例えば、上記
図11のステップS11において、この
図13のステップS30~S34に示すような処理を実行し、試料10に対応する磁性材料モデルのBH座標系内での位置(原点(H
dc,B
dc))が定まったマイナーループを得る。
【0093】
また、解析装置600では、次の
図14に示すような処理が実行されてもよい。
図14は解析装置の処理フローの別例を示す図である。
図14に示す解析装置の処理は、上記ステップS11で実行される処理の別例である。
【0094】
(S40)解析装置600は、測定情報取得部620により、測定装置500でB波形が上下対称となるように制御されたH波形(測定装置500の記憶部520に記憶されたH波形)を、測定装置500から取得する。解析装置600は、測定装置500から取得したH波形の情報を、記憶部630に記憶する。
【0095】
(S41)解析装置600は、取得したH波形を入力とし、BH曲線生成部642によって磁性材料モデルの磁界シミュレーション、即ち直流重畳シミュレーションを行い、磁性材料モデルから出力されるB波形を得る。
【0096】
(S42)解析装置600は、BH曲線生成部642により、入力のH波形と出力のB波形とを用い、磁界Hと磁束密度Bとの関係を表す磁性材料モデルのマイナーループを、その磁性材料の初磁化曲線を含めて生成する。ここで、解析装置600は、BH曲線生成部642により、出力のB波形に基づいて原点を設定し、初磁化曲線上であって直流磁界Hdcとそれに対応する磁束密度Bdcとで決まる点(Hdc,Bdc)を原点として、磁性材料モデルのマイナーループを生成する。
【0097】
(S43)解析装置600は、BH曲線生成部642によって生成された磁性材料モデルのマイナーループを記憶部630に記憶する。
解析装置600は、例えば、上記
図11のステップS11において、この
図14のステップS40~S43に示すような処理を実行し、試料10に対応する磁性材料モデルのBH座標系内での位置(原点(H
dc,B
dc))が定まったマイナーループを得てもよい。
【0098】
上記
図11のステップS12では、
図12に示す処理で得られる試料10のマイナーループの直流重畳測定結果と、
図13又は
図14に示す処理で得られる磁性材料モデルのマイナーループの直流重畳シミュレーション結果とが比較される。直流重畳測定では、入力のH波形が制御され、出力のB波形が上下対称となっていることで、B波形の原点が定まり、それによって試料10のBH座標系内での位置(原点(H
dc,B
dc))が定まったマイナーループが得られる。直流重畳シミュレーションでも同様に、磁性材料モデルのBH座標系内での位置(原点(H
dc,B
dc))が定まったマイナーループが得られる。
【0099】
このようにして直流重畳測定及び直流重畳シミュレーションでそれぞれ得られる、BH座標系内での位置が定まったマイナーループ同士は、適正に比較することができる。直流重畳シミュレーションで得られる、位置の定まった磁性材料モデルのマイナーループを、直流重畳測定で得られる、位置の定まった試料10のマイナーループと比較することで、磁性材料モデルのパラメータを適正に同定する、又は修正し同定することが可能になる。これにより、磁性材料の磁界シミュレーションによる直流重畳特性の高精度な解析、それに基づくインダクタ等の素子及びそれを用いたデバイスの高精度な設計を実現することが可能になる。
【0100】
尚、第2の実施の形態では、磁性材料が用いられた試料10のマイナーループの直流重畳測定結果と、その磁性材料モデルのマイナーループの直流重畳シミュレーション結果との比較を例示した。このほか、複数の試料10の各々について上記手法を採用して得られるマイナーループの直流重畳測定結果同士を比較し、複数の試料10に用いられる磁性材料の解析を行うこともできる。同様に、複数の試料10の各々に対応する磁性材料モデルについて上記手法を採用して得られるマイナーループの直流重畳シミュレーション結果同士を比較し、複数の磁性材料モデルの解析を行うこともできる。
【0101】
第2の実施の形態で述べた装置の機能、例えば、測定装置500及び解析装置600の機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供され、そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、HDD、フレキシブルディスク、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD,DVD等がある。光磁気記録媒体には、MO等がある。
【0102】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD-ROM(Digital Versatile Disc-Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0103】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。尚、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0104】
第2の実施の形態では、直流重畳測定を行う測定装置500及びその機能を実現するプログラム、並びに、直流重畳シミュレーションを行う解析装置600及びその機能を実現するプログラムについてそれぞれ説明した。第1及び第2の実施の形態で述べたような磁性材料のヒステリシス曲線の比較、それによる磁性材料の直流重畳特性の高精度な解析を実現するためには、測定装置500と解析装置600とを兼ね備えたシステムが提供されてもよい。或いは、測定装置500が有する機能と解析装置600が有する機能とを兼ね備えたシステム、測定装置500が有する機能と解析装置600が有する機能とを実現するプログラムが提供されてもよい。
【0105】
第1及び第2の実施の形態で述べたような手法は、例えば、ソフトウェアやクラウドで提供される磁界シミュレータによる解析に適用可能である。また、第1及び第2の実施の形態で述べたような手法は、磁界シミュレーションのパラメータの同定やそれに用いる測定データの提供サービス、デバイス設計ソリューション等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 試料
100,300a,300b,300c,400,400c マイナーループ
100A メジャーループ
130,330c,430,430c 初磁化曲線
200 トロイダルコア
210 1次側巻線
220 2次側巻線
230 直流重畳電流源
310a,310b,410 B波形
320b,320c,420,420c 原点
411 中心
340b,440 H波形
500 測定装置
510 測定部
511 入力信号発生部
511a 交流波形発生部
511b 直流波形発生部
512 出力信号検出部
513,640 処理部
513a,641 入出力波形制御部
513b,642 BH曲線生成部
520,630 記憶部
530,650 出力部
600 解析装置
601 プロセッサ
602 RAM
603 HDD
604 画像信号処理部
604a ディスプレイ
605 入力信号処理部
605a 入力デバイス
606 読み取り装置
606a 記録媒体
607 通信インタフェース
610 入力部
620 測定情報取得部
643 BH曲線比較部