(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 25/02 20060101AFI20230125BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65G25/02 H
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2019013195
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6320686(JP,B2)
【文献】特開2014-024665(JP,A)
【文献】特開2018-184295(JP,A)
【文献】特開昭49-068466(JP,A)
【文献】実開昭54-150292(JP,U)
【文献】特開平07-299398(JP,A)
【文献】特開平10-110799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/02
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品と係合する複数の物品係合部を有するレイクと、上記レイクを物品の搬送方向に往復移動させるとともに該搬送方向と交差する横方向に往復移動させるレイク移動手段とを備え、上記レイク移動手段は、上記レイクを上記横方向に往復移動させて上記物品係合部を物品に係合又は離脱させ、かつ上記物品係合部に物品を係合させた状態で上記搬送方向に沿って送り移動させ又は上記物品係合部を物品から脱離させた状態で上記搬送方向とは逆方向に戻り移動させて、上記物品係合部に係合した物品を上記搬送方向に沿った直線上で間欠的に搬送する物品搬送装置において、
上記レイク移動手段は、上記搬送方向に沿って直線的に配置した電磁コイルと、該電磁コイルに沿って進退動自在に設けた第1キャリアと第2キャリアと、上記第1キャリア、第2キャリアおよびレイクに連動して設けられ、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔が拡縮されることによりレイクを上記横方向に進退動させる往復作動機構と、上記第1キャリアと第2キャリアとに設けた永久磁石と、上記電磁コイルに電流を供給して各キャリアの移動を制御する制御装置とから構成され、
上記制御装置は、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔を拡縮させることにより上記往復作動機構を作動させてレイクを上記横方向に往復動させるとともに、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔を所定の間隔に維持した状態で各キャリアを電磁コイルに沿って移動させることによりレイクを上記搬送方向に移動させることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
上記往復作動機構は、上記レイクと第1キャリアとをそれぞれ揺動可能に連結する第1リンクと、該第1リンクと上記第2キャリアとをそれぞれ揺動可能に連結する第2リンクとを備えることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品と係合する複数の物品係合部を有するレイクを備えた物品搬送装置に関し、より詳しくは、上記レイクの物品係合部に係合した物品を上記搬送方向に沿って直線上で間欠的に搬送することができるようにした物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品搬送装置として、物品と係合する複数の物品係合部を有するレイクと、上記レイクを物品の搬送方向に往復移動させるとともに該搬送方向と交差する横方向に往復移動させるレイク移動手段とを備えた物品搬送装置が知られている(特許文献1)。
上記レイク移動手段は、上記レイクを上記横方向に移動させて上記物品係合部を物品に係合させ、次に上記物品係合部に物品を係合させた状態で上記搬送方向に沿って送り移動させるようになっている。そして物品を送り移動で前進させたら上記レイクを上記横方向に移動させて上記物品係合部を物品から脱離させ、次にこの状態で上記搬送方向とは逆方向に戻り移動させることができるようになっている。
したがって、かかる作動を繰り返すことによって上記物品係合部に係合した物品を上記搬送方向に沿った直線上で間欠的に順次搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1におけるレイク移動手段は、無菌充填に用いられることを考慮して粉塵の発生源となる機構を削減することができるように配慮したものであるが、サーボモータによって駆動される複雑な構成となっており、粉塵のさらなる低減が望まれていた。
本発明はそのような事情に鑑み、レイク移動手段としてリニアモータを利用することにより、粉塵の発生を一層低減することが可能な物品搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、物品と係合する複数の物品係合部を有するレイクと、上記レイクを物品の搬送方向に往復移動させるとともに該搬送方向と交差する横方向に往復移動させるレイク移動手段とを備え、上記レイク移動手段は、上記レイクを上記横方向に往復移動させて上記物品係合部を物品に係合又は離脱させ、かつ上記物品係合部に物品を係合させた状態で上記搬送方向に沿って送り移動させ又は上記物品係合部を物品から脱離させた状態で上記搬送方向とは逆方向に戻り移動させて、上記物品係合部に係合した物品を上記搬送方向に沿った直線上で間欠的に搬送するようになっている物品搬送装置において、
上記レイク移動手段は、上記搬送方向に沿って直線的に配置した電磁コイルと、該電磁コイルに沿って進退動自在に設けた第1キャリアと第2キャリアと、上記第1キャリア、第2キャリアおよびレイクに連動して設けられ、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔が拡縮されることによりレイクを上記横方向に進退動させる往復作動機構と、上記第1キャリアと第2キャリアとに設けた永久磁石と、上記電磁コイルに電流を供給して各キャリアの移動を制御する制御装置とから構成され、
上記制御装置は、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔を拡縮させることにより上記往復作動機構を作動させてレイクを上記横方向に往復動させるとともに、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔を所定の間隔に維持した状態で各キャリアを電磁コイルに沿って往復移動させることによりレイクを上記搬送方向に往復移動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、上記第1キャリアと第2キャリアとの間隔を拡縮させることにより上記往復作動機構を作動させてレイクを上記横方向に往復動させることができ、また第1キャリアと第2キャリアとの間隔を所定の間隔に維持した状態で各キャリアを電磁コイルに沿って往復移動させることによりレイクを上記搬送方向に往復移動させることができる。
したがって可動部分は第1キャリア、第2キャリアおよび往復作動機構だけとなるので、従来装置に比較してレイク移動手段の構成を簡素化することができ、それによって粉塵の発生を可及的に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明の作動を説明するための要部の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、
図1において、物品としての空の容器1はサイドガイド2aによって両側をガイドされながら搬送コンベヤ2Aにより
図1の右方向に連続的に搬送され、タイミングスクリュウ3に係合されると該スクリュウ3よって所定の間隔に拡げられるようになっている。
上記搬送コンベヤ2Aはタイミングスクリュウ3の末端部を所定量超えた位置まで設けられており、搬送コンベヤ2Aの先端部から先は、容器1の底部を支持する支持プレート2Bとなっている。また上記サイドガイド2aは、タイミングスクリュウ3を設けた位置については省略されている。
上記タイミングスクリュウ3によって所定の間隔に拡げられた容器1は、該タイミングスクリュウ3の回転に伴って上記支持プレート2B上を
図1の右方向に連続的に直線上で搬送され、図示実施例では先行する連続した9本の容器1がスクリュウ3に係合されて最先端の容器1がタイミングスクリュウ3の先端部に到達すると、タイミングスクリュウ3の回転が停止されて容器1の搬送が停止されるようになっている。
【0009】
上記タイミングスクリュウ3の回転が停止されて容器1の搬送が停止されると、長方形状のレイク4が後に詳述するレイク移動手段5によって、上記容器1の搬送方向Xと交差する横方向Yに前進され、これによりレイク4の側面に等間隔で形成した半円弧状の物品係合部4aは、上記タイミングスクリュウ3に係合している9本の容器1と該タイミングスクリュウ3よりも搬送方向前方に搬送されて既に上記支持プレート2B上に載置されて停止されている複数本の容器1にそれぞれ係合されるようになる。
すなわち
図2(a)に示すように、上記レイク4に設けた物品係合部4aのうち、搬送方向最後方側の9個の物品係合部4aがタイミングスクリュウ3に係合して停止している9本の容器1のそれぞれに係合するとともに、これと同時に、それよりも搬送方向前方側の複数個の物品係合部4aが支持プレート2B上で停止している複数本の容器1のそれぞれに係合するようになる。
なお上記レイク4は、サイドガイド2aと干渉しない位置に設けられていることは勿論である。
【0010】
上記レイク4の全ての物品係合部4aがそれぞれ容器1に係合すると、各容器1はタイミングスクリュウ3と各物品係合部4aによって、又はサイドガイド2aと各物品係合部4aとによってそれぞれ位置決めされるようになる。
上記レイク4の長手方向中央部位置には充填ゾーンA(
図1)が設けられており、該充填ゾーンAには、図示しないが連続した9カ所に充填装置のノズルをそれぞれ設けてある。上記充填装置の各ノズルは位置決めされた各容器1の直上位置となるように配置してあり、容器1が位置決めされると各ノズルが一斉に降下されて充填ゾーンA内に停止した9本の容器1内に挿入され、これにより各容器1内に充填液が充填される。
各容器1内への充填液の充填が終了して各ノズルが上昇されると、
図2(b)に示すように、レイク4はレイク移動手段5によって、上記物品係合部4aに容器1を係合させた状態のまま上記搬送方向Xに沿って送り移動される。これと同時に、上記タイミングスクリュウ3の運転が開始され、レイク4の後ろ側に新たな空の容器1を順次搬入するようになる。
【0011】
上記レイク4が各物品係合部4aに係合した各容器1を9本分の距離だけ前進させ、それによってレイク4の後ろ側に新たに9本の空の容器1が搬入されると、レイク4の前進とタイミングスクリュウ3の回転とが停止される。
この状態となると、
図2(c)に示すように、レイク4はレイク移動手段5によって上記横方向Yに沿って後退され、これにより全ての物品係合部4aを各容器1から離脱させる。
各物品係合部4aが各容器1から離脱されると、引き続きレイク4はレイク移動手段5によって上記搬送方向Xとは逆方向に戻り移動されるようになり、さらに元の位置まで復帰されると再び上記横方向Yに前進されて、
図2(a)で示すように、レイク4の搬送方向後方に形成した9つの各物品係合部4aが新たに供給された9本の容器1に係合するとともに、それよりも前方に設けられた各物品係合部4aが既に前進されて支持プレート2B上で停止している複数の容器1のそれぞれに係合されるようになる。
以後、上述の作動が繰り返されて、9本ずつの容器1が順次間欠的に搬送され、その間に9本の容器1内に充填液が充填されるようになる。またレイク4の先端部側の物品係合部4aに係合していた物品1は、上記支持プレート2Bから搬送コンベヤ2C(
図1参照)上に送り出されて、該搬送コンベヤ2Cによって下流側に搬送されるようになる。
上述した構成を有する物品搬送装置7および充填装置は図示しない無菌室内に設けられており、それによって無菌充填が行えるようになっている。
【0012】
次に上記レイク移動手段5の構成について説明すると、該レイク移動手段5は従来公知のリニアモータを利用したもので、上記搬送方向Xに沿って直線的に配置した電磁コイル11と、該電磁コイル11に沿ってそれぞれ進退動自在に設けた第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとを備えている。
上記第1キャリア12Aと第2キャリア12Bは、レイク4の両端部分に2組設けてあり、各組の第1キャリア12A、第2キャリア12Bおよびレイク4に連動させて往復作動機構13をそれぞれ設けてある。この往復作動機構13の構成については後述する。
上記第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとのそれぞれには永久磁石14を設けてあり、無菌室の外部に設けた制御装置15によって上記電磁コイル11に電流を供給することにより各キャリア12A、12Bの移動を制御することができるようになっている。
【0013】
上記往復作動機構13は、上記第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとの間隔を拡縮することにより上記レイク4を上記横方向Yに進退動させることができるようになっており、図示実施例では平行リンク機構を利用してある。
具体的には、上記各往復作動機構13は、上記レイク4の右方又は左方の端部と各第1キャリア12Aとをそれぞれ揺動可能に連結する第1リンク18と、各第1リンク18の中央部と各第2キャリア12Bとをそれぞれ揺動可能に連結する第2リンク19とを備えている。
上記各往復作動機構13と各キャリア12A、12Bとは同一の配置となるように構成してあり、第1キャリア12A、第1リンク18およびレイク4によって平行クランク機構を構成してある。
図示実施例ではレイク4の各端部から電磁コイル11側に突出させて設けたブラケット20の先端部に第1リンク18の先端部を揺動可能に連結しているが、ブラケット20を省略して第1リンク18の先端部をレイク4に直接揺動可能に連結してもよい。
【0014】
以上の構成において、上記制御装置15により、
図2(b)に示すように2組の第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとの間隔を一定の間隔に維持した状態で各キャリア12A、12Bを電磁コイル11に沿って往復移動させれば、レイク4を上記搬送方向Xに送り移動させ、又はレイク4を上記搬送方向Xと逆方向に戻り移動させることができる。
これに対し、
図2(c)に示すように上記制御装置15により、各組の第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとの間隔を拡大した場合には、各第1リンク18を時計方向に回転させることができるので、平行リンク機構の原理によりレイク4の長手方向を搬送方向Xと平行な状態に保ったまま該レイク4を横方向Yに後退移動させてレイク4の物品係合部4aを容器1から離隔させることができる。
【0015】
他方、これとは逆に、各組の第1キャリア12Aと第2キャリア12Bとの間隔を縮小した場合には、各第1リンク18を反時計方向に回転させることができるので、レイク4を横方向Yに前進移動させてレイク4の物品係合部4aを容器1に係合させることができる。
したがって、上記制御装置15による上記電磁コイル11への電流制御により、レイク4に上述した作動を行わせることができることが可能となる。
【0016】
なお、上記実施例では2組の第1キャリア12A、第2キャリア12Bおよび往復作動機構13を設けているが、レイク4の長さが短い場合にはより簡素化することができる。具体的には1つの第1キャリア12Aの長さを長くしてこれに2つの第1リンク18、18を設けることにより平行リンク機構を構成し、さらに一方の第1リンク18に1つの第2リンク19を揺動自在に連結して、該第2リンク19を1つの第2キャリア12Bに揺動自在に連結すればよい。
【0017】
また上記実施例では、往復作動機構13として平行リンク機構を利用しているがこれに限定されるものではなく、カム機構やラック&ピニオン機構などを用いることが可能である。例えばカム機構を用いる場合には、第1キャリア12Aに上記横方向Yに進退動自在なロッドを設けて該ロッドの先端にレイク4を連結するとともに、該第1キャリア12Aに上記搬送方向Xに進退動自在なカム部材を設ける。そして上記ロッドの端部にカムフォロワを設けるとともに、上記カム部材に搬送方向Xに対して斜めに形成したカム溝に上記カムフォロワを係合させる。そして上記カム部材と第2キャリア12Bとをプッシュロッドで連結し、該プッシュロッドによりカム部材を第1キャリア1Aに対して進退動させれば、上記カム溝、カムフォロワおよびロッドを介してレイク4を横方向Yに進退動させることができる。
【0018】
またラック&ピニオン機構を用いる場合には、上記第1キャリア12Aにカム部材の代わりにピニオンを回転自在に設け、レイク4に連結したロッドにラックを形成して該ラックを上記ピニオンに噛合させ、さらに第2キャリア12Bに設けたプッシュロッドにラックを形成して該ラックを上記ピニオンに噛合させればよい。これにより第2キャリア12Bに設けたプッシュロッドを進退動させてピニオンを回転させれば、レイク4に連結したロッドを介してレイクを上記Y方向に進退動させることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 容器(物品) 4 レイク
4a 物品係合部 5 レイク移動手段
7 物品搬送装置 11 電磁コイル
12A 第1キャリア 12B第2キャリア
13 往復作動機構 14 永久磁石
15 制御装置 18 第1リンク
19 第2リンク