(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】インクジェット記録用水性プライマーインク
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20230125BHJP
C09D 151/06 20060101ALI20230125BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20230125BHJP
C09D 11/54 20140101ALI20230125BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20230125BHJP
【FI】
B41M5/00 132
C09D151/06
C09D5/02
C09D11/54
C09D11/30
(21)【出願番号】P 2018189965
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000109635
【氏名又は名称】星光PMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100164828
【氏名又は名称】蔦 康宏
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 好正
(72)【発明者】
【氏名】飯田 直人
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-336399(JP,A)
【文献】特開2006-001974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00-5/52
C09D 151/06
C09D 5/02
C09D 11/54
C09D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非吸収性記録媒体に対するインクジェット記録用水性プライマーインクであって、
(A)コア部に少なくともダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(b)を含有し、シェル部に少なくとも酸性基含有単量体とエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(a)を含有するコアシェル構造を有する樹脂粒子、
(B)ジヒドラジド化合物、
(C)水
を含
み、共重合物(a)の酸価が50~200mgKOH/gであることを特徴とするインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項2】
(A)樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミド由来の含有量が1~15質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項3】
(A)樹脂粒子の含有量が1~45質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項4】
(B)ジヒドラジド化合物の含有量が、(A)樹脂粒子中に含まれるケト基1モル等量に対し0.6モル等量以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項5】
更に(D)界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項6】
インクジェット記録用水性プライマー中の(A)樹脂粒子、(B)ジヒドラジド化合物、(C)水の質量割合が、(A)/(B)/(C)=1~45/0.001~5/40~98.9(%)であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインクを記録媒体へ塗工、あるいは印刷することによりプライマー層を設け、ついでインクジェットインクを印刷することにより得られる印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非吸収性記録媒体への密着性を向上できるインクジェット記録用水性プライマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データ信号に基づき、紙等の被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式が知られている。これらの中でもインクジェット方式は安価な装置で実施可能であり、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出して被記録媒体上に直接画像を形成可能であるため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストを低減できる。さらに騒音も少なく、画像記録方式として優れている。
【0003】
上記インクジェット方式で用いられるインク(インクジェット記録用インク)としては、有機溶剤を主溶媒とした溶剤系インク、水を主溶媒とした水性インク、重合性モノマーを主成分とするUVインクがある。中でも、水を主溶媒とした水性インクは環境負荷が低く、人体への影響も少ないことから、広く使用されている。しかしながら、水性インクは紙のような吸収性のある材料への印刷は適しているが、合成樹脂や金属のようにインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(非吸収性記録媒体)への印刷は適していない。
【0004】
そこで、合成樹脂や金属等の非吸収性記録媒体にも印刷可能な方法として、受理層を設けたインクジェット記録媒体や、インクジェット記録用プライマーインク等が提案されている。たとえば特許文献1では、疎水性モノマー、カチオン変性アクリルモノマー、及びダイアセトンアクリルアミドの少なくとも1つをモノマー成分とする重合体を含有する受理層を設けたインクジェット記録媒体が提案されている。特許文献2では、水溶性多価金属塩、ヒドラジン誘導体、アクリル系エマルションを含むインクジェット記録用プライマーインクが提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1の受理層および特許文献2のインクジェット記録用プライマーインクでは、非吸収性記録媒体へのインクの密着性及び印刷物の耐摩擦性、耐水性が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-321085号公報
【文献】特開2018-12219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に対し、インクジェットインクの非吸収性記録媒体へ密着性が良好で、かつ印刷物の耐摩擦性、耐水性を向上しうるインクジェト記録用プライマーインクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の手段により達成される。
(1)非吸収性記録媒体に対するインクジェット記録用水性プライマーインクであって、
(A)コア部に少なくともダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(b)を含有し、シェル部に少なくとも酸性基含有単量体とエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(a)を含有するコアシェル構造を有する樹脂粒子、
(B)ジヒドラジド化合物、
(C)水
を含むことを特徴とするインクジェット記録用水性プライマーインク、
(2)(A)樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミド由来の含有量が1~15質量%であることを特徴とする前記(1)に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
(3)(A)樹脂粒子の含有量が1~45質量%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
(4)(B)ジヒドラジド化合物の含有量が、(A)樹脂粒子中に含まれるケト基1モル等量に対し0.6モル等量以上であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
(5)更に(D)界面活性剤を含有することを特徴とする前記(1)~(4)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
(6)インクジェット記録用水性プライマーインク中の(A)樹脂粒子、(B)ジヒドラジド化合物、(C)水の質量割合が、(A)/(B)/(C)=1~45/0.001~5/40~98.9(%)であることを特徴とする前記(1)~(5)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
(7)スチレンアクリル樹脂またはウレタン樹脂を含有するインクジェットインクでの印刷に用いることを特徴とする前記(1)~(6)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性プライマーインク、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、インクジェットインクの非吸収性記録媒体へ密着性が良好で、かつ印刷物の耐摩擦性、耐水性を向上しうるインクジェト記録用プライマーインクを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のインクジェット記録用プライマーインクについて、具体的に説明する。
【0011】
本発明は、(A)樹脂粒子と(B)ジヒドラジド化合物と(C)水を含有するインクジェット記録用プライマーインクである。
【0012】
(A)樹脂粒子は、コア部に少なくともダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(b)を含有し、シェル部に少なくとも酸性基含有単量体とエチレン性不飽和単量体を成分とする共重合物(a)から構成される、コアシェル構造を有する樹脂粒子である。
【0013】
コア部に含まれる共重合物(b)を構成するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの直鎖状構造の飽和アルキル基含有単量体;(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルなどの分岐鎖状構造の飽和アルキル基含有単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0014】
シェル部に含まれる共重合物(a)を構成する酸性基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等の不飽和一塩基酸;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和二塩基酸;不飽和二塩基酸とメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、シクロヘキサノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、n-ドデシルアルコール、n-オクタデシルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-i-プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等とのモノエステル化物の群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を挙げることができる。
【0015】
また、共重合物(a)を構成するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの直鎖状構造の飽和アルキル基含有単量体;(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルなどの分岐鎖状構造の飽和アルキル基含有単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0016】
さらに、本発明の効果に差支えのない範囲内において、その他の単量体を用いることができる。その他の単量体としては、例えば、スルホン酸-2-プロピルアクリルアミド、アクリルアミド-t-ブチルスルホン、ビニルスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;2-ホスホン酸エチル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルホスホン酸などのリン酸基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有する単量体;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのカチオン性基を有する単量体;(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリルアミド類、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミドなどのビニル化合物類などが挙げられる。その他の単量体の含有量は、共重合物を構成する全単量体の10質量%以内であることが好ましく、5質量%以内であるとより好ましく、1質量%以内であるとさらに好ましい。
【0017】
共重合物(a)の酸価は、印刷物の耐水性の観点から、50~200mgKOH/gが好ましく、50~150mgKOH/gがより好ましい。
【0018】
(A)樹脂粒子は、共重合物(a)の存在下で、ダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を重合することで、シェル部が共重合物(a)であり、コア部が共重合物(b)であるコアシェル構造を有する樹脂粒子とすることができる。具体的には、シェル部を構成する共重合物(a)を塩基性化合物により水に可溶化した共重合物(a)水溶液中に、コア部を構成するダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を滴下し乳化重合する、または共重合物(a)を塩基性化合物により水に可溶化した共重合物(a)水溶液とコア部を構成するダイアセトンアクリルアミドとエチレン性不飽和単量体を予め混合して単量体ミセル状態を形成させた後に乳化重合する等の方法が採用できる。
【0019】
前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、イソプロピルアミン、プロパノールアミン、2-メチル-2-アミノプロパノール、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等のアミン類が挙げられる。なかでも、インクの吐出安定性の観点から2-メチル-2-アミノプロパノール、N,N-ジメチルエタノールアミンがより好ましい。
【0020】
(A)樹脂粒子の製造においては、プライマーインクの発泡性や吐出安定性、印刷物の耐水性の観点から、樹脂粒子を形成させる際に乳化重合用の低分子乳化剤は使用しない方が好ましい。
【0021】
(A)樹脂粒子中の共重合物(a)と共重合物(b)の質量比は、非吸収記録媒体へのインクジェットインクの密着性及び印刷物の耐摩擦性、耐水性の観点から、(a)/(b)=10/90~90/10であることが好ましく、(a)/(b)=20/80~80/20であることがより好ましい。
【0022】
(A)樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミドの含有量は、非吸収記録媒体へのインクジェットインクの密着性及び印刷物の耐摩擦性、耐水性の観点から、1~15質量%であることが好ましい。
【0023】
(A)樹脂粒子は、非吸収記録媒体へのインクジェットインクの密着性および印刷物の耐摩擦性、耐水性や、本発明のインクジェット記録用水性プライマーインクをインクジェット方式で印刷する場合のインクジェットヘッドでの吐出性の観点から、本発明のインクジェット記録用水性プライマーインク中に1~45質量%含有することが好ましい。
【0024】
(A)樹脂粒子の粒子径は、本発明のインクジェット記録用水性プライマーインクをインクジェット方式で印刷する場合においてのインクジェットヘッドでの吐出性の観点から、10~300nmが好ましい。
【0025】
(B)ジヒドラジド化合物は、分子中に2個以上のヒドラジド基を含有するジヒドラジド化合物であり、樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミド骨格に由来するケト基と架橋反応するものであればよい。アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの脂肪族ジヒドラジドの他、炭酸ポリヒドラジド、脂肪族、脂環族、芳香族ビスセミカルバジド、芳香族ジカルボン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸のポリヒドラジド、芳香族炭化水素のジヒドラジド、ヒドラジン-ピリジン誘導体およびマレイン酸ジヒドラジドなどの不飽和ジカルボン酸のジヒドラジドなどがあげられる。好ましくは、アジピン酸ジヒドラジドである。
【0026】
(B)ジヒドラジド化合物の含有量は、非吸収記録媒体へのインクジェットインクの密着性および印刷物の耐水性の観点から、樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミドに由来するケト基1モル当量に対して0.6モル等量以上であることが好ましく、0.6~1.5モル等量であることがより好ましい。ジヒドラジド化合物の含有量が0.6モル等量未満である場合に比べて、非吸収記録媒体への密着性が良好であるため好ましく、1.5モル等量以下であると、耐水性が良好な塗膜が得られるため、より好ましい。
【0027】
(C)水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、プライマーインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
【0028】
本発明のインクジェット記録用水性プライマーインク中の(A)樹脂粒子、(B)ジヒドラジド化合物、(C)水の質量割合は、前記した理由から(A)/(B)/(C)=1~45/0.001~5/40~98.9(%)であることが好ましい。
【0029】
本発明のインクジェット記録用水性プライマーインクには、インクの表面張力を調製する目的で、必要に応じて(D)界面活性剤を使用することができる。(D)界面活性剤としては、非吸収性記録媒体上に均一に濡れ広がる作用を付与できるノニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤の中でも、シリコーン系界面活性剤及び/又はアセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
【0030】
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。具体的には、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、WET250、WET260、WET265、WET270、WET280、WET500、WET510、WET520(以上商品名、EVONIK社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14、AE-3(以上商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0032】
(D)界面活性剤は単独もしくは2種以上を混合し使用してもよい。(D)界面活性剤のプライマーインク中の含有量は非吸収性記録媒体へのプライマーインクの濡れ性の観点から0.01~3質量%が好ましく、0.10~2質量%がより好ましい。
【0033】
本発明のインクジェット記録用水性プライマーインクには、必要に応じて(E)有機溶剤を使用することができる。(E)有機溶剤としてはプライマーインクの乾燥性、湿潤性の観点および非吸収性記録媒体への濡れ性の観点から水溶性有機溶剤が好ましい。
【0034】
水溶性有機溶剤としては、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、単独もしくは2種以上を混合し使用してもよい。
【0035】
また、本発明の効果に差支えのない範囲内において、本発明の(A)樹脂粒子以外の樹脂を使用することができる。たとえばポリウレタン樹脂、塩化ビニル-アクリル複合樹脂、酢酸ビニル-アクリル複合樹脂、変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、非吸収性記録媒体への観点からポリウレタン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0036】
その他、本発明のプライマーインクには、溶解助剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、腐食防止剤、ワックス微粒子、pH調整剤などの種々の添加剤についても、本発明の効果を損なわない範囲(インク100質量%に対し0.01~2.0質量%)であれば適宜添加できる。
【0037】
本発明のプライマーインクは、前記各成分を、必要に応じて攪拌混合することにより作製できる。攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができる。しかし、製造方法は特に限定されず、公知の方法を適宜使用できる。
【0038】
このようにして得られた本発明プライマーインクは、紙やプラスチックフィルムなどの各種記録媒体へ塗工、あるいは印刷することによりプライマー層を設け、ついでインクジェットインクを印刷することにより得られる印刷物は、非吸収性記録媒体に対してインクジェットインクの密着性や、印刷物の耐摩擦性、耐水性に優れるため、非吸収性記録媒体への印刷に好適に用いることができる。
【0039】
ここで非吸収性記録媒体とは、インクを全く吸収しない、またはほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、非吸収性記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPANTAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPANTAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に述べられている。このような非吸収性の性質を備える記録媒体としては、インク吸収性を備えるインク受容層を記録面に備えない記録媒体や、インク非吸収性のコート層を記録面に備える記録媒体が挙げられる。
【0040】
非吸収性記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0041】
本発明のプライマーインクの塗工、印刷方法は特に限定されない。従来周知塗工装置を用いることができ、たとえばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、フレキソコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ、ダイコータ等が挙げられる。
【0042】
また、本発明のプライマーインクは、インクジェットインクと同様に、インクジェット記録装置に装着されたインクジェットヘッドを用い、非吸収記録媒体にインクジェット印刷することにより、プライマー層を設けることができきる。
【0043】
本発明のプライマーインクを使用した印刷に使用できるインクジェットインクは特に限定されない。従来周知のインクジェットインクを用いることができ、たとえば水性インクジェットインク、油性インクジェットインク、UV硬化型インクジェットインク等が挙げられる。特に、プライマーインクとの密着性の観点から、スチレンアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂を含有するインクジェットインクが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を提示して本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例は本発明を限定するものではない。なお、特に断りのない限り、%は質量%を表す。
【0045】
(製造例1)樹脂粒子の水分散液(A-1)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100質量部仕込み、撹拌しながら内温135℃まで昇温した。そこにメタクリル酸15質量部、メタクリル酸メチル65質量部、アクリル酸-n-ブチル20質量部、ジ-t-ブチルパーオキサイド3質量部を定量ポンプにて4時間かけて滴下した。仕込み終了後、内温145℃で1時間保温し、その後系内の未反応物及び溶媒を除去し、シェル部となる共重合物(a)であるアルカリ可溶性樹脂(a―1)を得た。次に、別途用意した撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、得られたアルカリ可溶性樹脂(a-1)50質量部、水および25%アンモニア水をアルカリ可溶性樹脂(a-1)の酸価と等量となるように仕込み、80℃まで加熱してアルカリ可溶性樹脂(a-1)を溶解しアルカリ可溶性樹脂(a-1)の水溶液を得た。その後80℃を保ったまま窒素ガスを導入しながら、コア部を構成する共重合物(b)の共重合成分として、ダイアセトンアクリルアミド5質量部と、エチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル25質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル20質量部の混合物と、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液0.5質量部を定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了から80℃にて更に2時間保温することで残存する単量体を重合し、コアシェル構造を有する樹脂粒子の水分散液A-1(固形分40%)を得た。
【0046】
(製造例2~12)樹脂粒子の水分散液(A-2)~(A-12)の製造
シェル部を構成するアルカリ可溶性樹脂(a-1)の量、コア部を構成する単量体の種類、量を表1のように変更した以外は、製造例1と同様に樹脂粒子の水分散液(A-2)~(A-12)を得た。
【0047】
(製造例13)樹脂粒子の水分散液(A-13)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100質量部仕込み、撹拌しながら内温135℃まで昇温した。そこにアクリル酸10質量部、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル20質量部、ジ-t-ブチルパーオキサイド3質量部を定量ポンプにて4時間かけて滴下した。仕込み終了後、内温145℃で1時間保温し、その後系内の未反応物及び溶媒を除去し、シェル部となる共重合物(a)であるアルカリ可溶性樹脂(a―2)を得た。次に、別途用意した撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルカリ可溶性樹脂(a-2)50質量部、水および25%アンモニア水をアルカリ可溶性樹脂(a-2)の酸価と等量となるように仕込み、80℃まで加熱してアルカリ可溶性樹脂(a-2)を溶解しアルカリ可溶性樹脂(a-2)の水溶液を得た。その後80℃を保ったまま窒素ガスを導入しながら、コア部を構成する共重合物(b)の共重合成分として、ダイアセトンアクリルアミド5質量部と、エチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル25質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル20質量部の混合物と、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液0.5質量部を定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了から80℃にて更に2時間保温することで残存する単量体を重合し、コアシェル構造を有する樹脂粒子の水分散液A-13を得た。
【0048】
(製造例14)樹脂粒子の水分散液(A-14)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100質量部仕込み、撹拌しながら内温135℃まで昇温した。そこにアクリル酸20質量部、スチレン55質量部、アクリル酸-n-ブチル25質量部、ジ-t-ブチルパーオキサイド3質量部を定量ポンプにて4時間かけて滴下した。仕込み終了後、内温145℃で1時間保温し、その後系内の未反応物及び溶媒を除去し、シェル部となる共重合物(a)であるアルカリ可溶性樹脂(a―3)を得た。アルカリ可溶性樹脂(a-3)50質量部、水および25%アンモニア水をアルカリ可溶樹脂(a-3)の酸価と等量となるように仕込み、80℃まで加熱してアルカリ可溶性樹脂(a-3)を溶解しアルカリ可溶性樹脂(a-3)の水溶液を得た。その後80℃を保ったまま窒素ガスを導入しながら、コア部を構成する共重合物(b)の共重合成分として、ダイアセトンアクリルアミド5質量部と、エチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル25質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル20質量部の混合物と、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液0.5質量部を定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了から80℃にて更に2時間保温することで残存する単量体を重合し、コアシェル構造を有する樹脂粒子の水分散液A-14を得た。
【0049】
(製造例15)樹脂粒子の水分散液(A-15)の製造
本製造例は、コア部を構成する共重合物(b)がダイアセトンアクリルアミドを共重合成分に含まない例である。シェル部を構成するアルカリ可溶性樹脂a-1の量、コア部を構成する単量体の種類、量を表1のように変更した以外は、製造例1と同様に樹脂粒子の水分散液A-15を得た。
【0050】
(製造例16)樹脂粒子の水分散液(A-16)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた容器に、水およびエマルゲン120(花王社製)2質量部を仕込み80℃まで加熱した。その後80℃を保ったまま窒素ガスを導入しながら、ダイアセトンアクリルアミド5質量部と、エチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル65質量部、アクリル酸-2-エチルヘキシル20質量部、アクリル酸-n-ブチル8質量部の混合物と、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液0.5質量部を定量ポンプにて3時間かけて滴下した。滴下終了から80℃にて更に2時間保温することで残存する単量体を重合し、共重合物(a)を含まない樹脂粒子の水分散液A-16(固形分40%)を得た。
【0051】
(製造例17)ポリマー溶液(A-17)の製造
本製造例は、コアシェル構造を有する樹脂粒子ではないポリマー溶液の例である。攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた容器に、エタノール70質量部、ダイアセトンアクリルアミド10質量部、メタクリル酸メチル50質量部、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド40質量部を仕込み、撹拌しながら60℃まで加熱した。アゾビスブチロニトリル0.2質量部を添加し、60℃で4時間保温して、ポリマー溶液A-17(固形分59%)を得た。
【0052】
【0053】
表1中の略号の説明:
ST:スチレン、MMA:メタクリル酸メチル、BA:アクリル酸-n-ブチル、EHA:アクリル酸-2-エチルヘキシル、DAAM:ダイアセトンアクリルアミド、MAPAC:メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
【0054】
(実施例1)プライマーインク(P-1)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に表2に示す質量比率になるように樹脂粒子水分散液(A-1)と水を仕込み、撹拌しながら50℃まで加熱し、ジヒドラジド化合物としてアジピン酸ジヒドラジドを添加して溶解した。その後室温まで冷却し、界面活性剤としてTEGO WET250(EVONIK社製)を混合してプライマーインク(P-1)を得た。
【0055】
(実施例2~26)プライマーインク(P-2)~(P-26)の製造
樹脂の水分散液、有機溶剤、界面活性、水の種類および質量比率を表2及び表3にように変更する以外は実施例1と同様し、プライマーインク(P-2)~(P-26)を得た。
【0056】
(比較例1~6)プライマーインク(P-27)~(P-32)の製造
樹脂の水分散液、有機溶剤、界面活性、水の種類および質量比率を表4にように変更する以外は実施例1と同様し、プライマーインク(P-27)~(P-32)を得た。
【0057】
(評価用インクジェットインク1の作成)
顔料分散液HOSTAJET BLACK-OPT(クラリアント社製ブラック顔料)16.7質量部、X-436(星光PMC社製スチレンアクリルエマルション 固形分40質量%)12.5質量部、プロピレングリコール15質量部、3-メトキシ-1-ブタノール10質量部、2-ピロリドン5質量部、BYK345(ビックケミージャパン社製)0.5質量部、サーフィノール104(日信化学工業社製)0.5質量部、水39.8質量部を混合してスチレンアクリル樹脂タイプのインクジェットインク1を得た。
【0058】
(評価用インクジェットインク2の作成)
顔料分散液HOSTAJET BLACK-OPT(クラリアント社製ブラック顔料 顔料分15質量%)16.7質量部、ユーコートUWS-145(三洋化成工業社製ポリウレタン樹脂エマルション 固形分35質量%)14.3質量部、プロピレングリコール15質量部、3-メトキシ-1-ブタノール10質量部、2-ピロリドン5質量部、BYK345(ビックケミージャパン社製)0.5質量部、サーフィノール104(日信化学工業社製)0.5質量部、水38.0質量部を混合してウレタン樹脂タイプのインクジェットインク2を得た。
【0059】
(プライマー層の形成)
プライマーインクをPETフィルム(未処理)、ポリプロピレンフィルム(コロナ放電処理)に#4のバーコータで塗布し、加熱乾燥することより、プライマーインクベタ印刷物を得た。
【0060】
(印刷物の作成)
評価用インクジェットインクを水性インクジェットプリンターPX-S160T(セイコーエプソン株式会社製)に充填し、プライマーベタ印刷物に印刷し、加熱乾燥することにより印刷物を得た。
【0061】
(印刷物の密着性評価)
作成した印刷物にカッターで、幅1mm、10×10マスの切れ目を入れ、切れ目を入れた印刷物にセロハンテープを貼り、セロハンテープを剥がしたときの基材に残るマス目の数で評価する。評価結果を表2,3及び4に示す。
○(良):残っているマス目が90個以上
△(可):残っているマス目が80個以上90個未満
×(不可):残っているマス目が80個未満
【0062】
(耐摩擦性評価)
上記で作成した印刷物を染色堅ろう度用摩擦試験(株式会社東洋精機製作所社製)にて、荷重500g、綿ガーゼにて100往復させた時の印刷塗膜状態で評価する。評価結果を表2、3及び4に示す。
○(良):90往復させてもインクがはがれていない
△(可):60~90往復でインク塗膜がはがれ始める
×(不可):60往復未満でインク塗膜がはがれ始める
【0063】
(耐水性評価)
綿ガーゼに水を浸みこませる以外は上記耐摩擦性評価と同様の方法で評価を行う。評価結果を表2、3及び4に示す。
【0064】
【0065】
【0066】
表2および表3中の略号の説明
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
WET250:TEGO WET250(EVONIK社製界面活性剤)、BYK345:BYK345(ビックケミー・ジャパン株式会社製界面活性剤)
MPA:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、2P:2-ピロリドン
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、PP:ポリプロピレンフィルム
【0067】
(参考例)
プライマーを使用していない印刷物として、評価用インクジェットインクを水性インクジェットプリンターPX-S160T(セイコーエプソン株式会社製)に充填し、プライマーと塗工していないPETフィルム(未処理)、ポリプロピレンフィルム(コロナ放電処理)に印刷し、加熱乾燥することにより印刷物を作成した。
【0068】
【0069】
表4中の略号の説明
UX-200:ユーコートUX-200(三洋化成工業社製ポリウレタン樹脂エマルション 固形分30質量%)
701:ビニブラン701(日信化学工業社製塩化ビニル-アクリルエマルション 固形分30質量%)
【0070】
表2~4から、実施例1~26で得られるプライマーインクは、比較例1~6で得られるプライマーインク及び参考例1のプライマーインクを使用しない場合に比べて、印刷物の密着性、耐摩擦性、耐水性のいずれもが良好であった。
【0071】
実施例1と実施例3、実施例5との対比から、(A)樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミドの含有量1~15質量%である場合、密着性、耐摩擦性、耐水性はより良好であった。
【0072】
実施例6と実施例7との対比から、(A)樹脂粒子の含有量が1質量%以上である場合、密着性、耐摩擦性、耐水性はより良好であった。
【0073】
実施例1と実施例15との対比から、(A)樹脂粒子中のダイアセトンアクリルアミドに由来するケト基1モル当量に対して0.6モル等量以上である場合、密着性、耐摩擦性、耐水性はより良好であった。