(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】分岐型単分散ポリエチレングリコール、中間体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/333 20060101AFI20230125BHJP
C08G 65/331 20060101ALI20230125BHJP
C08G 65/334 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
C08G65/333
C08G65/331
C08G65/334
(21)【出願番号】P 2019051107
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2018052365
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】羽村 美華
(72)【発明者】
【氏名】松野 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宏樹
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528857(JP,A)
【文献】特開2009-102649(JP,A)
【文献】特開2004-197077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G65/00-67/04
A61K 9/00- 9/72
A61K47/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される
ポリエチレングリコールからなり、特定のエチレングリコール鎖長を有するポリエチレングリコールの純度が90%以上であることを特徴とする、分岐型単分散ポリエチレングリコール。
【化1】
(式(1)中、
X
1は生体機能分子に存在する官能基と反応して共有結合を形成する官能基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す
8~24の整数である;
L
1は単結合、-NH-、-L
2-(CH
2)
m1-、または-L
2-(CH
2)
m1-L
3-(CH
2)
m2-を表し、L
2はエーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、または単結合を表し、L
3はエーテル結合、アミド結合またはウレタン結合を表し、m1およびm2はそれぞれ独立して1~5の整数を表す.)
【請求項2】
X
1が活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基およびアジド基よりなる群から選択される、請求項1記載の分岐型単分散ポリエチレングリコール。
【請求項3】
式(2)で表されることを特徴とする、
請求項1または2記載の分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体。
【化2】
(式(2)中、
Y
1は水酸基またはアミノ基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す
8~24の整数である。)
【請求項4】
請求項3記載の中間体を製造する方法であって、下記式(3)で表される単分散ポリエチレングリコール誘導体と下記式(4)で表される化合物とをカップリングさせ、下記式(5)で表される化合物を得る工程(A)と、
【化3】
(式(3)中、
Aは脱離基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す
8~24の整数である)
【化4】
(式(4)中、
Y
2は酸素原子または窒素原子である;
kは1または2の整数を表し、Y
2が酸素原子のときkは1、窒素原子のときは2である。)
【化5】
(式(5)中、
Y
2は酸素原子または窒素原子である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す
8~24の整数である;
kは1または2の整数を表し、Y
2が酸素原子のときkは1、窒素原子のときは2である。)
前記式(5)で表される化合物に対して、水と有機溶媒による分液抽出精製を施す工程(B)と、
前記式(5)で表される化合物が有するベンジル基を切断する処理を施して式(2)で表される分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体を得る工程(C)
の三工程を、前記工程(A)、前記工程(B)および前記工程(C)の順で実施することを特徴とする、中間体の製造方法。
【請求項5】
前記工程(C)を接触水素還元処理にて行うことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
請求項1記載の分岐型単分散ポリエチレングリコールを製造する方法であって、
請求項3記載の中間体のY
1をL
1-X
1に変換する工程(D)を有することを特徴とする、分岐型単分散ポリエチレングリコールの製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応可能な官能基を有する高純度の分岐型単分散ポリエチレングリコール、分岐型単分散ポリエチレングリコール誘導体、並びにそれらの製造方法に関する。より詳しくは、生理活性タンパク質、ペプチド、抗体、核酸および低分子薬物などの生体機能性分子、ドラッグデリバリーシステムにおける薬物キャリア、または診断用材料や医用デバイスなどの修飾に用いられ、特に抗体医薬における薬物の修飾に有用な分岐型単分散ポリエチレングリコールに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品分野において、生理効果に優れた多くの低分子薬物は疎水性物質であるため、低い溶解度や凝集によって生体への利用が困難という欠点があり、可溶化剤の利用や、リポソームやポリマーミセルなどの薬物キャリアを用いた薬物送達技術が開発されている。
【0003】
低分子薬物の送達技術の一つとして、抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)が挙げられ、ADCは抗体に薬物を結合させ、抗体の抗原特異性を利用して薬剤を疾患部位に能動的に運搬することを目的とした抗体医薬であり、近年、ガン治療の分野で最も急速に成長している技術の一つである。ADCは抗体、薬物、そして抗体と薬物を結合させるリンカーの各部分から構成される。
【0004】
ADCに用いられる薬物は疎水性のものが多く、薬物を抗体に複数結合してADCを調製すると、薬物の疎水性に起因する凝集の発生や抗体の血中安定性の低下が問題となる。よって、抗体一つあたりに搭載可能な薬物の数に制約が生じ、結果としてADCの薬効が十分に得られない場合がある。
【0005】
この課題に対して検討されている解決方法の一つが、親水性リンカーの利用である。親水性リンカーとしてポリエチレングリコール、親水性ペプチド、糖鎖等が用いられており、特にポリエチレングリコールは抗原性が低く、生体適合性が高いことから、現在、臨床試験および前臨床試験段階にある複数のADCに採用されている。
【0006】
また、ADC分野では、ADCの均一性を保証し、精製、分析および医薬品承認申請を簡便にすることを目的として、特定のエチレングリコール鎖長を有する成分が90%以上含まれる化合物が使用される。このような化合物は、単分散ポリエチレングリコールと呼称される。
【0007】
近年では単分散ポリエチレングリコールを抗体と薬物とを繋ぐリンカー主鎖として用いるのではなく、抗体と薬物とを繋ぐリンカーに側鎖として単分散ポリエチレングリコールを導入したADCが報告されている。
【0008】
非特許文献1では、抗体と薬物とを繋ぐリンカー主鎖として単分散ポリエチレングリコールを用いたADC、および抗体と薬物とを繋ぐリンカーに側鎖として単分散ポリエチレングリコールを用いたADCの薬物動態および治療効果を比較しており、後者の方が薬物の疎水性を遮蔽する(masking)効果が高く、優れた薬物動態および治療効果を示すことが報告されている。単分散ポリエチレングリコールをリンカー主鎖として用いたADCでは、単分散ポリエチレングリコールの末端に薬物が結合していることから、長いリンカーを用いると疎水性の薬物が抗体の外側に露出され、ADCの疎水性が大きくなり、血中安定性が低下する。単分散ポリエチレングリコールをリンカーの側鎖として用いたADCでは、短いリンカーが用いられるために薬物は抗体に近接しており、側鎖の単分散ポリエチレングリコール鎖が薬物を覆うように配置するため、薬物の疎水性を効果的に遮蔽していると推察される。
【0009】
上述したように、ADC分野においては、薬物の疎水性をいかに遮蔽できるかが重要である。これまでの報告では親水性リンカーを用いることによって、薬物の疎水性に起因する凝集の発生や抗体の血中安定性の低下を抑制することが一般的であったが、単分散ポリエチレングリコールを、リンカーではなく、直接薬物に結合させることにより、効果的に薬物の疎水性を遮蔽することが可能となる。また、薬物に結合する単分散ポリエチレングリコールは、1つの反応点に対して1つのポリエチレングリコール鎖を有する構造よりも、1つの反応点に対して複数のポリエチレングリコール鎖を有する分岐型構造のほうが、より効果的に薬物の疎水性を遮蔽できると考えられる。
【0010】
特許文献1では、グリセリン骨格の1位の1級炭素に生体機能分子に存在する官能基と反応して共有結合を形成する官能基を、2位と3位にポリエチレングリコール鎖を有し、1つの反応点に対して2本のポリエチレングリコール鎖を導入することができ、効果的なポリエチレングリコール修飾が可能な分岐型ポリエチレングリコールが開示されている。しかし、特許文献1に記載の分岐型ポリエチレングリコールは、重合反応によりポリエチレングリコール鎖を結合させた、いわゆる多分散ポリマーであり、その分子量は単一ではない。ADCを製造する際は、通常、薬物の結合個数を質量分析計やHPLCを用いて確認するため、リンカー材料にエチレングリコール鎖長の異なる化合物が不純物として存在すると、その確認が困難になるという製造上の問題があった。その他にも、エチレングリコール鎖長の異なる化合物が不純物として存在すると、ADC製造時に添加する抗体や薬物の当量が不明確となるために高価な抗体や薬物を過剰に使用する必要が生じるという問題や、医薬品申請の際に複数の分子量の化合物が生じ、化合物の同定や各種試験の実施等が複雑となるという問題があった。
【0011】
また、特許文献2ではトリスヒドロキシメチルアミノメタンや、リシンなどのアミノ酸からなる分岐部位に単分散ポリエチレングリコールを結合させることで、単分散ポリエチレングリコール鎖が3本または4本導入された分岐型単分散ポリエチレングリコールが開示されている。分岐型単分散ポリエチレングリコールの精製方法としては、再結晶やカラム精製等が挙げられ、特許文献2では反応時に過剰に加えた単分散ポリエチレングリコールをカラムクロマトグラフィーにより除去している。しかしながらカラムクロマトグラフィーによる精製方法は操作が煩雑であり、歩留の低下の原因となるため、工業的に大量製造する場合には適さないという問題があった。
【0012】
そのため、生体機能分子と反応して共有結合を形成する官能基と、複数の単分散ポリエチレングリコール鎖を有する高純度の分岐型単分散ポリエチレングリコール、およびその簡便かつ大量製造に適した製造方法が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Nature Biotechnology, 2015, 33, 733-735
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2004―197077号
【文献】US20130052130A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、薬物の疎水性を効果的に遮蔽する高純度の分岐型単分散ポリエチレングリコール、前記分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体、並びに前記分岐型単分散ポリエチレングリコールと中間体を簡便に得ることが出来る製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、式(1)に示すように、グリセリン骨格の1位の1級炭素に生体機能分子に存在する官能基と反応して共有結合を形成する官能基を、2位と3位に単分散ポリエチレングリコール鎖を有する分岐型単分散ポリエチレングリコールが得られることを見出した。さらに、前記分岐型単分散ポリエチレングリコールを製造するための中間体を、末端に特定の官能基を用いて合成することにより、カラムクロマトグラフィーによる精製方法を用いなくとも、簡便な分液抽出のみで、高純度の分岐型単分散ポリエチレングリコールが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
[1] 式(1)で表されることを特徴とする、分岐型単分散ポリエチレングリコール。
【化1】
(式(1)中、
X
1は生体機能分子に存在する官能基と反応して共有結合を形成する官能基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数である;
L
1は単結合、-NH-、-L
2-(CH
2)
m1-、または-L
2-(CH
2)
m1-L
3-(CH
2)
m2-を表し、L
2はエーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、または単結合を表し、L
3はエーテル結合、アミド結合またはウレタン結合を表し、m1およびm2はそれぞれ独立して1~5の整数を表す。)
【0018】
[2] X1が活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、ジチオピリジル基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基およびアジド基よりなる群から選択される、[1]の分岐型単分散ポリエチレングリコール。
【0019】
[3] 式(2)で表されることを特徴とする、分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体。
【化2】
(式(2)中、
Y
1は水酸基またはアミノ基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数である。)
【0020】
[4] [3]の中間体を製造する方法であって、下記式(3)で表される単分散ポリエチレングリコール誘導体と下記式(4)で表される化合物とをカップリングさせ、下記式(5)で表される化合物を得る工程(A)と、
【化3】
(式(3)中、
Aは脱離基である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数である)
【化4】
(式(4)中、
Y
2は酸素原子または窒素原子である;
kは1または2の整数を表し、Y
2が酸素原子のときkは1、窒素原子のときは2である。)
【化5】
(式(5)中、
Y
2は酸素原子または窒素原子である;
nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数である;
kは1または2の整数を表し、Y
2が酸素原子のときkは1、窒素原子のときは2である。)
前記式(5)で表される化合物に対して、水と有機溶媒による分液抽出精製を施す工程(B)と、
前記式(5)で表される化合物が有するベンジル基を切断する処理を施して式(2)で表される中間体を得る工程(C)、
の三工程を、前記工程(A)、前記工程(B)および前記工程(C)の順で実施することを特徴とする、中間体の製造方法。
【0021】
[5] 前記工程(C)を接触水素還元処理にて行うことを特徴とする、[4]の方法。
【0022】
[6] [1]の分岐型単分散ポリエチレングリコールを製造する方法であって、
[3]の中間体のY1をL1-X1に変換する工程(D)を有することを特徴とする、分岐型単分散ポリエチレングリコールの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、効果的に薬物の疎水性を遮蔽する高純度の分岐型単分散ポリエチレングリコール、前記分岐型単分散ポリエチレングリコール中間体、並びに前記分岐型単分散ポリエチレングリコールと中間体を簡便に得ることが出来る製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における分岐型単分散ポリエチレングリコールとは、グリセリン骨格の1位の1級炭素に反応性官能基を有し、2位と3位に末端がメトキシ基でキャップされた単分散ポリエチレングリコール鎖を結合させた化合物である。単分散ポリエチレングリコールとは、特定のエチレングリコール鎖長を有する成分の純度(以下、鎖長純度という)が90%以上である化合物のことである。
【0025】
この分岐型単分散ポリエチレングリコールは式(1)で表される。
【化6】
【0026】
式(1)におけるX1は、分岐型単分散ポリエチレングリコールによる修飾の対象となる生体機能性分子(生理活性タンパク質、ペプチド、抗体、核酸および低分子薬物など)に存在する官能基と反応して共有結合を形成する官能基を少なくとも含む原子団であれば特に制限されない。前記官能基の例としては、「Hermanson, G. T. Bioconjugate Techniques, 2nd ed.; Academic Press:
San Diego, CA, 2008」、「Harris, J. M. Poly(Ethylene
Glycol) Chemistry; Plenum Press: New York, 1992」および「PEGylated
Protein Drugs: Basic Science and Clinical Applications; Veronese, F. M., Ed.;
Birkhauser: Basel, Switzerland, 2009」などに記載されている官能基が挙げられる。
【0027】
その中でも式(1)におけるX1に含まれる官能基は、タンパク質に代表される天然の生体機能性分子に存在する官能基(アミノ基、チオール基、アルデヒド基、カルボキシ基等)や前記生体機能性分子に人工的に導入可能な官能基(マレイミド基、ケトン基、アジド基、アルキニル基等)に穏和な反応条件、かつ高い反応効率で反応可能な官能基であることが好ましい。より具体的には、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、2-ピリジルジチオ基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基、ビニル基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基、アジド基、およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)基が好ましく、さらに反応効率を考慮すると、活性エステル基、活性カーボネート基、マレイミド基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アジド基およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)基が好ましい。
【0028】
更に具体的には、式(1)におけるX1に含まれる官能基は、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がアミノ基である場合には、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、α-ハロアセチル基、スルホニルオキシ基またはカルボキシ基であることが好ましく、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がチオール基である場合には、活性エステル基、活性カーボネート基、アルデヒド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、アクリル基、スルホニルオキシ基、カルボキシ基、チオール基、2-ピリジルジチオ基、α-ハロアセチル基、アルキニル基、アリル基またはビニル基であることが好ましく、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がアルデヒド基またはカルボキシ基である場合には、チオール基、アミノ基、オキシアミノ基またはヒドラジド基であることが好ましく、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がアルキニル基である場合には、チオール基、アミノ基、オキシアミノ基、ヒドラジド基またはアジド基であることが好ましく、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がアジド基である場合には、アルキニル基およびジベンゾシクロオクチン基であり、修飾の対象となる生体機能性分子に存在する官能基がハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルである場合には、チオール基またはアミノ基であることが好ましい。
【0029】
ここで「活性エステル基」とは、式:-C(=O)-Dで表される活性化されたカルボキシ基を示し、Dは脱離基を示す。Dで表される脱離基としては、スクシンイミジルオキシ基、フタルイミジルオキシ基、4-ニトロフェノキシ基、1-イミダゾリル基、ペンタフルオロフェノキシ基、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ基および7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ基などが挙げられる。「活性カーボネート」とは、式:-O-C(=O)-Dで表される活性化されたカーボネート基を示し、Dは前記と同様の脱離基を示す。
【0030】
本発明の好適な実施形態において、X1は群(I)、群(II)、群(III)、群(IV)、群(V)または群(VI)で示される基である。
群(I): 生体機能性分子のアミノ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b-1)、(b-2)、(c)、(d)、(e)および(f)
群(II): 生体機能性分子のチオール基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(a)、(b-1)、(b-2)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)および(l)
群(III): 生体機能性分子のアルデヒド基またはカルボキシ基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(i)、(j)および(k)
群(IV): 生体機能性分子のアルキニル基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)、(i)、(j)、(k)および(n)
群(V): 生体機能性分子のアジド基と反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(l)および(m)
群(VI): 生体機能性分子のハロゲン化アルキル基、アルキルスルホン酸エステルまたはアリールスルホン酸エステルと反応して共有結合を形成することが可能な官能基
下記の(g)および(i)
【0031】
【0032】
前記式中、R1、R3は水素原子または炭素数1~5の炭化水素基であり、炭化水素基としては例えばアルキル基が挙げられ、具体的な炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基およびペンチル基などが挙げられる。R2は塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択されるハロゲン原子である。
【0033】
式(1)におけるL1は、グリセリンとX1との間のリンカーであり、共有結合で構成される。具体的には、L1は単結合、-NH-、-L2-(CH2)m1-、または-L2-(CH2)m1-L3-(CH2)m2-を表し、L2はエーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、または単結合を表し、L3はエーテル結合、アミド結合またはウレタン結合を表し、m1およびm2はそれぞれ独立して1~5の整数を表す。
【0034】
式(1)におけるL1は、グリセリンと反応性官能基との間のリンカーであり、共有結合であれば特に制限は無いが、好ましくは単結合、-NH-、アルキレン基、並びに、ウレタン結合、アミド結合、及びエーテル結合から選ばれる少なくとも1つを含んだアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基として好ましいものは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
【0035】
式(1)におけるnは、エチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数であり、より好ましくは6~48の整数であり、特に好ましくは8~24の整数である。
【0036】
本発明における分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体は、下記式(2)で表される。
【化8】
【0037】
式(2)におけるY1は、水酸基またはアミノ基を表す。nはエチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数である。
【0038】
式(2)におけるnは、エチレンオキシド単位の繰り返し単位数を表す4~50の整数であり、より好ましくは6~48の整数であり、特に好ましくは8~24の整数である。
【0039】
〈中間体の製造方法〉
本発明の中間体は以下の製造方法により得ることができる。本発明の分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体の製造方法は、下記の工程(A)、工程(B)および工程(C)を含むことを特徴とするものである。
【0040】
[工程(A)]
本発明に係る工程(A)は、下記式(3)で表される単分散ポリエチレングリコール誘導体
【化9】
と下記式(4)で表される化合物を
【化10】
好ましくは、無水溶媒中、強塩基存在下でカップリング反応させ、下記式(5)で表される化合物を得る工程である。また、過剰に添加した上記式(3)で表される化合物は、工程(A)にて下記式(6)で表される副生成物に変換される。
【化11】
【化12】
【0041】
式(3)におけるAは、脱離基であり、前記カップリング反応において反応性を有する脱離基であれば特に制限はないが、例えばクロロ基、ブロモ基、ヨード基、メシラート基、トシラート基、クロロメタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基などが挙げられる。合成容易性の観点からは、Aはブロモ基、メシラート基、トシラート基、クロロメタンスルホナート基が好ましく、メシラート基がより好ましい。
【0042】
式(3)におけるnは、エチレンオキシド単位の繰り返し単位を表す4~50の整数であり、より好ましくは6~48の整数であり、特に好ましくは8~24の整数である。
【0043】
式(4)におけるY2は、酸素原子または窒素原子である。
式(4)におけるkは1または2の整数を表し、Y2が酸素原子のときkは1、Y2が窒素原子のときは2である。
【0044】
式(4)におけるY2が酸素原子の化合物は、3-ベンジルオキシ-1,2-プロパンジオールである。
【0045】
式(4)におけるY2が窒素原子の化合物は、3-アミノ-1,2-プロパンジオールより適宜公知の方法を利用することで合成可能である。
【0046】
式(5)におけるY2は、酸素原子または窒素原子である。
式(5)におけるkは、1または2の整数を表し、Y2が酸素原子のときkは1、Y2が窒素原子のときは2である。
【0047】
式(5)におけるnは、エチレンオキシド単位の繰り返し単位を表す4~50の整数であり、より好ましくは6~48の整数であり、特に好ましくは8~24の整数である。
【0048】
式(6)におけるBは、使用した塩基触媒に由来する官能基である。例えば、前記カップリング反応における塩基触媒が水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのとき、Bは水酸基であり、ナトリウムメトキシドのとき、メトキシ基であり、ナトリウムエトキシドのとき、エトキシ基である。
式(6)におけるnは、エチレンオキシド単位の繰り返し単位を表す4~50の整数であり、より好ましくは6~48の整数であり、特に好ましくは8~24の整数である。
【0049】
前記カップリング反応における塩基触媒としては、反応が進行する塩基触媒であれば特に制限はないが、カップリング反応後に過剰に添加した式(3)で表される化合物を塩基触媒と反応させ、式(6)で表される副生成物へと変換した後に工程(B)の分液抽出精製により、水層へ除去するという観点から、式(6)で表される副生成物が水溶液への溶解性が高いものであることが好ましく、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。また、前記塩基触媒の使用量としては、反応が進行すれば問題ないが、式(4)で表される化合物に対して、通常、モル比で2.0~20倍、好ましくは2.1~10倍である。前記塩基触媒の使用量が前記下限未満である場合、反応が完全に進行せず、前記式(4)で表される化合物の水酸基に単分散ポリエチレングリコール鎖が導入されずに水酸基が残る傾向がある。他方、前記上限を超える場合、過剰な塩基によって副反応が進行する恐れがある。
【0050】
前記カップリング反応は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、式(3)及び式(4)で表される化合物と反応しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、DMF(ジメチルホルムアミド)、ジクロロメタン、クロロホルム等の非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。前記溶媒の使用量としては、前記式(3)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは2~50倍、最も好ましくは3~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記上限を超える場合には、前記カップリングの進行が遅くなる傾向にある。
【0051】
前記カップリング反応の反応温度としては、使用する溶媒等により異なるが、通常0~100℃である。前記反応温度が前記下限未満である場合には、反応の進行が遅くなる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、過剰な温度によって副反応が進行する恐れがある。また、前記カップリング反応の反応時間としては、前記反応温度等の条件により異なるが、通常1~48時間程度が好ましい。
【0052】
前記カップリング反応における式(3)で表される化合物の使用量としては、式(4)表される化合物に対して、通常、モル比で2.0~10倍、好ましくは2~4倍である。式(3)で表される化合物の使用量が前記下限未満である場合、反応が完全に進行せず、式(4)で表される化合物の水酸基に単分散ポリエチレングリコール鎖が導入されずに水酸基が残る傾向がある。他方、上限を超える場合、過剰の式(3)で表される化合物が無駄になり、製造コストが増大する。
【0053】
[工程(B)]
本発明に係る工程(B)は、前記式(5)で表される化合物に(典型的には前記式(5)で表される化合物を含有する反応生成物に)分液抽出精製を施す工程である。
【0054】
前記工程(A)において、過剰に加えた式(3)で表される化合物は、塩基触媒との反応により式(6)で表される化合物副生成物へと変換され、反応生成物である式(5)で表される化合物中に残存する。
【0055】
前記工程(B)は有機溶媒に溶解した式(5)で表される目的の化合物に含まれる式(6)で表される副生成物を、水(水は水溶液として提供されてもよい)に除去する分液抽出精製の工程である。
【0056】
前記工程(B)において、式(5)で表される目的の化合物は疎水性のベンジル基を有しているため、有機溶媒に分配されやすく、式(6)で表される副生成物は疎水性部位を含まないため、水又は水溶液に分配されやすい。このように、式(6)で表される副生成物のみを選択的に分離することを特徴とする分液抽出精製の工程である。
【0057】
前記工程(B)に用いる有機溶媒としては、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられ、前記式(5)で表される目的の化合物の溶解性の観点からは、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン及びこれらの混合物が好ましい。前記有機溶媒の使用量としては、式(5)で表される化合物と式(6)で表される副生成物とを含む反応生成物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記有機溶媒の使用量が前記下限未満である場合には、式(5)で表される化合物が水又は水溶液に溶け込む恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、式(6)で表される副生成物の洗浄効率が低下する傾向にある。
【0058】
前記工程(B)に用いる水又は水溶液としては、式(6)で表される副生成物を溶解可能であれば特に限定されず、例えば、イオン交換水、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム等の塩濃度0~25%の水溶液が挙げられる。前記水又は水溶液の使用量としては、前記式(5)で表される化合物と式(6)で表される副生成物とを含む反応生成物に対して、通常、質量比で2~30倍、好ましくは3~20倍である。前記水又は水溶液の使用量が前記下限未満である場合には、式(6)で表される副生成物の洗浄効率が低下し、他方、前記上限を超える場合には、式(5)で表される化合物が水層に溶け込む恐れがある。
【0059】
前記工程(B)において、前記有機溶媒と前記水又は水溶液との比率としては、通常、質量比で有機溶媒/水又は水溶液の値が、0.2~3.0であり、0.5~2.0であることが好ましい。
【0060】
前記工程(B)の温度の好適範囲としては、nによって異なる。nが6~10の場合、前記温度としては、1~25℃であることが好ましく、5~20℃であることがより好ましい。nが11~50の場合、前記温度としては、1~15℃であることが好ましく、1~10℃であることがより好ましい。前記温度が前記上限を超える場合には、式(6)で表される副生成物が有機層に溶解するため除去できない。また、前記分液抽出精製を行う回数としては、特に限定はなく、TLC(薄層クロマトグラフィー)やMS(質量分析)測定等によって有機溶媒中に含まれる式(6)で表される副生成物を確認しながら複数回行うことが好ましい。
【0061】
[工程(C)]
本発明に係る工程(C)は、式(5)で表される化合物が有するベンジル基を切断する処理を施して式(2)で表される分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体を得る工程であり、好ましくは式(5)で表される化合物に接触水素添加処理を施して式(2)で表される分岐型単分散ポリエチレングリコールを得る工程である。
【0062】
接触水素添加処理の触媒としては、パラジウム炭素や水酸化パラジウム炭素等が挙げられる。前記触媒の当量としては、式(5)で表される化合物に対して、通常、重量比で0.01~1倍、好ましくは0.05~0.2倍である。前記接触水素添加は、溶媒中で反応を行うことができる。前記溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、DMF及びこれらの混合物が挙げられる。前記溶媒の使用量としては、式(5)で表される化合物に対して、通常、質量比で1~100倍、好ましくは2~50倍、最も好ましくは3~30倍量である。前記溶媒の使用量が前記上限を超える場合には、前記接触水素添加の進行が遅くなる傾向にある。前記接触水素添加の反応温度としては、使用する溶媒等により異なるが、通常0~100℃である。前記反応温度が前記下限未満である場合には、反応の進行が遅くなる恐れがあり、他方、前記上限を超える場合には、過剰な温度によって副反応が進行する恐れがある。また、前記加水分解の反応時間としては、前記反応温度等の条件により異なるが、通常1~48時間程度が好ましい。
【0063】
〈分岐型単分散ポリエチレングリコールの製造方法〉
本発明の分岐型単分散ポリエチレングリコールは、本発明の製造方法により得ることができる。特に、式(2)で表される分岐型単分散ポリエチレングリコールの中間体を用いて、式(2)の官能基Y1をL1-X1に変換して式(1)で表される分岐型単分散ポリエチレングリコールを製造する方法は、適宜公知の合成方法を用いることができ、工程(D)と表す。
【0064】
[工程(D)-1]
例えば、活性カーボネート基を導入する方法としては、トリエチルアミン等の塩基存在下、式(2)で表される中間体の水酸基(Y1)に対して、炭酸ジスクシンイミジルと反応させる方法等が挙げられる。
【0065】
[工程(D)-2]
例えば、活性エステル基を導入する方法としては、式(2)で表される中間体の水酸基(Y1)に対して、水酸化カリウム等の塩基存在下、tert-ブチルアクリレートを反応させ、塩酸などの酸触媒存在下、加水分解反応させカルボキシ基とした後、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤存在下、N-ヒドロキシスクシンイミドを反応させる方法等が挙げられる。
【0066】
[工程(D)-3]
例えば、マレイミド基を導入する方法としては、3-マレイミドプロピオン酸やマレイミド酪酸等を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤と反応させた後、式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)と反応させる方法や、トリエチルアミン等の塩基存在下、式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)に対して3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジルやマレイミド酪酸N-スクシンイミジルを反応させる方法が挙げられる。
【0067】
[工程(D)-4]
例えば、ブロモアセトアミド基を導入する方法としては、式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)に対して、トリエチルアミン等の塩基存在下、ブロモ酢酸N-スクシンイミジル等を反応させる方法が挙げられる。
【0068】
[工程(D)-5]
例えば、アジド基を導入する方法としては、5-アジドペンタン酸を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩等の縮合剤と反応させた後、式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)と反応させる方法等が挙げられる。
【0069】
本発明の好適な実施形態における式(1)のL1の具体的な構造、並びに前記X1を有する分岐型単分散ポリエチレングリコールの典型的な合成例を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
(a)活性カーボネート基を有する化合物の合成
前記式(2)で表される中間体の水酸基(Y1)へ、ジクロロメタン溶媒中、トリエチルアミン存在下、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネートを反応させて、下記式(7)で表される化合物を得る。
【0071】
【0072】
(b)活性エステル基を有する化合物の合成
前記式(2)で表される中間体の水酸基(Y1)へ、ジクロロメタン中、水酸化カリウム存在下、tert-ブチルアクリレートを反応させ、塩酸存在下、加水分解反応させカルボキシ基とした後、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩存在下、N-ヒドロキシスクシンイミドを反応させて、下記式(8)で表される化合物を得る。
【0073】
【0074】
(c)マレイミド基を有する化合物の合成
前記式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)へ、ジクロロメタン中、トリエチルアミン存在下、3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジルを反応させて、下記式(9)で表される化合物を得る。
【0075】
【0076】
(d)ブロモアセトアミド基を有する化合物の合成
前記式(2)で表される中間体のアミノ基(Y1)へ、ジクロロメタン中、トリエチルアミン存在下、ブロモ酢酸N-スクシンイミジルを反応させて、下記式(10)で表される化合物を得る。
【0077】
【0078】
(e)アジド基を有する化合物の合成
前記式(2)で表される中間体のアミノ基(Y
1)へ、ジクロロメタン中、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩存在下、5-アジドペンタン酸を反応させて、下記式(11)で表される化合物を得る。
【化17】
【実施例】
【0079】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限られるものではない。
【0080】
(実施例1)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコにオクタエチレングリコールモノメチルエーテル (55.0g, 143mmol)、トルエン (275g)、トリエチルアミン (18.8g, 186mmol)、塩化メタンスルホニル(18.0g, 157mmol)を仕込み、40℃にて3時間反応を行った。ジクロロメタンを加えて希釈した後に水洗を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し式(12)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.08 (3H, s, -O-SO2-CH
3
),
3.38 (3H, s, -O-CH
3
),
3.45-3.85 (30H, m, CH3-O-(CH
2
CH
2
O)7-CH
2
CH2-O-SO2-CH3),
4.38 (2H, m, -CH
2
-O-SO2-CH3)
【0081】
【0082】
(実施例2)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコに3-ベンジルオキシ-1,2-プロパンジオール(3.43g, 18.8mmol)、脱水THF(テトラヒドロフラン)(67.5 g)、式(12)の化合物(26.8g, 48.9mmol)、粉末水酸化カリウム(6.86g, 122mmol)を仕込み、50℃にて8時間反応を行った。粉末水酸化カリウム(0.951g, 16.9mmol)を加えてしばらく撹拌し、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン(268g)を加えて希釈した。有機層を25%塩化アンモニウム水溶液(268g)、25%塩化ナトリウム水溶液(268g)、イオン交換水(268g)にて20℃で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(13)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (69H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)8-, -CH-(OCH
2
CH
2
)8,
-CH
2
O-CH2Ph),
4.54 (2H, s, -CH2O-CH
2
Ph),
7.27-7.38 (5H, m, arom.H) (Phはフェニル基を示す)
【0083】
【0084】
(実施例3)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mL四つ口フラスコに5%パラジウム炭素(50%含水品)(11.1g)、式(13)の化合物(22.2g, 24.3mmol)、メタノール(702g)、シクロヘキセン(34.0g, 574mmol)を仕込み、50℃にて2時間反応を行った。パラジウム炭素を濾別後、溶媒を減圧留去し、残渣を2.5%塩化ナトリウム水溶液に溶解した。水層をトルエンにて洗浄した後、20%塩化ナトリウム水溶液となるように食塩を溶解し、トルエンを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(14)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (69H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)8, -CH-(OCH
2
CH
2
)8, -CH
2
OH)
【0085】
【0086】
(実施例4)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(14)の化合物(3.53g, 4.28mmol)、ジクロロメタン(101g)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(0.7mg)、N,N-ジスクシンイミジルカーボネート(3.29g, 12.8mmol)を仕込んだ後、滴下漏斗に準備したトリエチルアミン(1.38g, 13.7mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後、25℃にて6時間反応を行った。15%塩化ナトリウム水溶液となるよう食塩を添加した0.2Mクエン酸リン酸緩衝液(pH2.5)にて水洗を行った後、有機層にアセトニトリル、ヘキサンを加えて、0.2Mクエン酸リン酸緩衝液(pH7.0)、0.2Mクエン酸リン酸緩衝液(pH3.0)にて水洗を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(15)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
2.84 (4H, s, -succinimide),
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (67H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)8,-CH-(OCH
2
CH
2
)8),
4.35-4.50 (2H, m, -CH
2
-OCOO-succinimide)
【0087】
【0088】
(実施例5)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコにテトラコサエチレングリコールモノメチルエーテル(55.0g, 50.5mmol)、トルエン(275g)、トリエチルアミン(6.64g, 65.6mmol)、塩化メタンスルホニル(6.36g, 55.5mmol)を仕込み、実施例1と同様に反応および精製を行い、式 (16)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.08 (3H, s, -O-SO2-CH
3
),
3.38 (3H, s, -O-CH
3
),
3.45-3.85 (94H, m, CH3-O-(CH
2
CH
2
O)23-CH
2
CH2-O-SO2-CH3),
4.38 (2H, m, -CH
2
-O-SO2-CH3)
【0089】
【0090】
(実施例6)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコに3-ベンジルオキシ-1,2-プロパンジオール(3.43g, 18.8mmol)、脱水THF(155g)、式(16)の化合物(61.3g, 48.9mmol)、粉末水酸化カリウム(6.86g, 122mmol)を仕込み、実施例2と同様に反応を行った。粉末水酸化カリウム(0.951g, 16.9mmol)を加えてしばらく撹拌し、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン(613g)を加えて希釈した。有機層を25%塩化アンモニウム水溶液(613g)、25%塩化ナトリウム水溶液(613g)、イオン交換水(613g)にて5℃で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(17)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (197H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)24-, -CH-(OCH
2
CH
2
)24,
-CH
2
O-CH2Ph),
4.54 (2H, s, -CH2O-CH
2
Ph),
7.27-7.38 (5H, m, arom.H) (Phはフェニル基を示す)
【0091】
【0092】
(実施例7)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mL四つ口フラスコに5%パラジウム炭素(50%含水品)(11.1g)、式(17)の化合物(22.2g, 9.55mmol)、メタノール(702g)、シクロヘキセン(18.5g, 226mmol)を仕込み、実施例3と同様に反応および精製を行い、式(18)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H,s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (197H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)24, -CH-(OCH
2
CH
2
)24, -CH
2
OH)
【0093】
【0094】
(実施例8)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(18)の化合物(3.53g, 1.58mmol)、ジクロロメタン(39.8g)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(0.7mg)、トリエチルアミン(0.400g, 3.95 mmol)、p-ニトロフェニルクロロホルメート(0.637g, 3.16mmol)を仕込み、25℃にて2時間反応を行った。イオン交換水(171mg, 9.48mmol)を加えてしばらく撹拌した後、反応混合液にヘキサンを加えて希釈した。25%塩化ナトリウム水溶液にて水洗を行った後、さらに0.2Mホウ酸緩衝液(pH10)、10%塩化ナトリウム水溶液にて水洗を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(19)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (195H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)24, -CH-(OCH
2
CH
2
)24),
4.30-4.50 (2H, m, -CH
2
-OCOOPhNO2),
7.37-8.33 (4H, m, -arom.H) (Phはフェニル基を示す)
【0095】
【0096】
(実施例9)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコにドデカエチレングリコールモノメチルエーテル(55.0g, 98.1mmol)、トルエン(275g)、トリエチルアミン(12.9g, 127mmol)、塩化メタンスルホニル(12.4g, 108 mmol)を仕込み、実施例1と同様に反応および精製を行い、式(20)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS);δ(ppm):
3.08 (3H, s, -O-SO2-CH
3
),
3.38 (3H, s, -O-CH
3
),
3.45-3.85 (46H, m, CH3-O-(CH
2
CH
2
O)11-CH
2
CH2-O-SO2-CH3),
4.38 (2H, m, -CH
2
-O-SO2-CH3)
【0097】
【0098】
(実施例10)
温度計、窒素吹き込み管、攪拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mLの四つ口フラスコに3-ベンジルオキシ-1,2-プロパンジオール(3.43g, 18.8mmol)、脱水THF(89.2g)、式(20)の化合物(35.4g, 48.9mmol)、粉末水酸化カリウム(6.86g, 122 mmol)を仕込み、実施例2と同様に反応を行った。粉末水酸化カリウム(0.951g, 16.9mmol)を加えてしばらく撹拌し、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン(354g)を加えて希釈した。有機層を25%塩化アンモニウム水溶液(354g)、25%塩化ナトリウム水溶液(354g)、イオン交換水(354g)にて5℃で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(21)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (101H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12-, -CH-(OCH
2
CH
2
)12,
-CH
2
O-CH2Ph),
4.54 (2H, s, -CH2O-CH
2
Ph),
7.27-7.38 (5H, m, arom.H) (Phはフェニル基を示す)
【0099】
【0100】
(実施例11)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した500mL四つ口フラスコに5%パラジウム炭素(50%含水品)(11.1g)、式(21)の化合物(22.2g, 17.5mmol)、メタノール(702g)、シクロヘキセン(34.0g, 414mmol)を仕込み、実施例3と同様に反応および精製を行い、式(22)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (101H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12, -CH-(OCH
2
CH
2
)12, -CH
2
OH)
【0101】
【0102】
(実施例12)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(22)の化合物(10.6g, 9.00mmol)、ジクロロメタン(70.5g)、フタルイミド(1.85g, 12.6mmol)、トリフェニルホスフィン(3.30g, 12.6mmol)を仕込んだ後、滴下漏斗に準備したアゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.18g, 10.8mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後、25℃にて1時間反応を行った。メタノール(0.346g, 10.8mmol)を加えてしばらく撹拌した後、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣をメタノール(28.2g)に溶解してからエチレンジアミン・一水和物(10.5g, 135mmol)を仕込み、40℃にて1時間反応を行った。反応混合液にトルエンを加え、20%塩化ナトリウム水溶液にて水洗を行った。有機層を減圧留去した後、残渣をイオン交換水に溶解、ろ過後、10℃に冷却しながら5%りん酸二水素ナトリウム水溶液を用いて溶液をpH6.0に調整し、酢酸エチルにて洗浄を行った。25%塩化ナトリウム水溶液となるよう水層に食塩を加えて、クロロホルムにて抽出を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(23)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
2.93-3.11 (2H, m, -CH
2
-NH2),
3.40-3.80 (99H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12, -CH-(OCH
2
CH
2
)12)
【0103】
【0104】
(実施例13)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(23)の化合物(3.53g, 3.00mmol)、ジクロロメタン(177g)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(1.06mg)、3-マレイミドプロピオン酸N-スクシンイミジル(0.958g, 3.60 mmol)を仕込んだ後、滴下漏斗に準備したトリエチルアミン(0.395g, 3.90mmol)のジクロロメタン溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、25℃にて2時間反応を行った。食塩を15%溶解した0.2Mクエン酸りん酸緩衝液(pH2.5)にて反応混合液を水洗した後、有機層を減圧留去した。残渣を0.2Mクエン酸りん酸緩衝液(pH3.0)に溶解し、トルエン、ジクロロメタンを加えて洗浄した後、ジクロロメタンにて抽出を行った。有機層を20%塩化ナトリウム水溶液にて水洗した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去して式(24)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
2.51 (2H, t, -NHCO-CH
2
CH2-),
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (99H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12, -CH-(OCH
2
CH
2
)12,
-CH
2
-NHCO-CH2CH
2
-),
6.69 (2H, s, -maleimide),
6.86 (1H, t, -CH2-NHCO-)
【0105】
【0106】
(実施例14)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(23)の化合物(2.35g, 2.00mmol)、ジクロロメタン(120g)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(0.7mg)、ブロモ酢酸N-スクシンイミジル(0.566g, 2.40mmol)を仕込み、滴下漏斗に準備したトリエチルアミン(0.263g, 2.60mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後、25℃にて1時間反応を行った。酢酸(0.312g, 5.20mmol)を加えてしばらく撹拌した後、反応混合液をpH2.0に調整した20%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をpH2.0に調整した20%塩化ナトリウム水溶液に再度溶解し、水層をトルエンにて洗浄した後、クロロホルムにて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(25)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (99H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12,-CH-(OCH
2
CH
2
)12,
-CH
2
-NHCO-),
4.10 (2H, s, -NHCO-CH
2
Br),
7.20 (2H, s, -NHCO-)
【0107】
【0108】
(実施例15)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(23)の化合物(2.35g, 2.00mmol)、クロロホルム(14.0g)、Dibenzocyclooctyne-N-hydroxysuccinimidyl ester(0.877g, 2.18mmol)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(0.5mg)を仕込み、滴下漏斗に準備したトリエチルアミン(0.239g, 2.36mmol)のクロロホルム溶液(7.00g)を徐々に滴下した。滴下終了後、25℃にて4時間反応を行った。反応混合液を1M塩酸、25%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶剤を減圧留去して式(26)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
1.93-2.80 (4H, m, -CH
2
CH
2
-NCO-),
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (102H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12, -CH-(OCH
2
CH
2
)12, -CH
2
-NHCO-, -NCO-CH
2
-(1H)),
5.13 (1H, d, -NCO-CH
2
-(1H)),
6.84 (1H, s, -CH2-NHCO-),
7.25-7.45 (8H, m, -arom.H)
【0109】
【0110】
(実施例16)
温度計、窒素吹き込み管、撹拌機、Dean-stark管および冷却管を装備した100mL三つ口フラスコに式(23)の化合物(2.35g, 2.00mmol)、クロロホルム(17.5g)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(0.5mg)、5-アジドペンタン酸(0.312g, 2.18mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.373g, 2.40mmol)を仕込み、25℃にて4時間反応を行った。反応混合液をろ過後、ろ液を飽和重曹水、25%塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧留去して式(27)の化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3, 内部標準TMS); δ(ppm):
1.63-1.78 (4H, m, -NHCO-CH2CH
2
CH
2
CH2-N3),
2.41 (2H, t, -NHCO-CH
2
-),
3.31 (2H, t, -CH
2
-N3),
3.38 (6H, s, -O-CH
3
),
3.40-3.80 (101H, m, -CH
2
-(OCH
2
CH
2
)12, -CH-(OCH
2
CH
2
)12, -CH
2
-NHCO-)
【0111】