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  • 特許-エンジンブロックの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】エンジンブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/00 20060101AFI20230125BHJP
   F02F 1/18 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
F02F1/00 C
F02F1/00 D
F02F1/00 S
F02F1/18 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019005731
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020112147
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304000836
【氏名又は名称】学校法人 名古屋電気学園
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】岡坂 周
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊夫
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016130(WO,A1)
【文献】特開昭59-049352(JP,A)
【文献】特開2017-106405(JP,A)
【文献】特開2006-336612(JP,A)
【文献】特開2017-110576(JP,A)
【文献】特開昭60-081451(JP,A)
【文献】特開平11-223153(JP,A)
【文献】水野貴大他,1次元シミュレーションを用いたSIエンジンの燃費性能改善予測,日本機械学会東海支部第65期総会・講演会講演論文集,No. 163-1,2016年03月17日,p.514-1 - 514-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00
F02F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属外周面を有するシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む金属ブロックと、を有するベースブロックを形成する工程と、
前記ベースブロックから前記金属ブロックを除去する工程と、
前記金属ブロックを除去した後、前記シリンダライナを樹脂ブロックで囲む工程と、
を含む、エンジンブロックの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンブロックの製造方法において、
前記ベースブロックを形成する工程は、前記シリンダライナ及び前記金属ブロックの間にウォータジャケットを画定する工程を含む、エンジンブロックの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエンジンブロックの製造方法において、
前記ベースブロックを形成する工程における前記ベースブロックは、シリンダヘッドを前記エンジンブロックに固定するための固定具を挿入可能な開口をさらに有し、
前記ベースブロックから前記金属ブロックを除去する工程は、前記開口を残したままにする、エンジンブロックの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のエンジンブロックの製造方法において、
前記ベースブロックから前記金属ブロックを除去する工程は、前記開口を有する突起を形成し、
前記シリンダライナを前記樹脂ブロックで囲む工程は、前記突起を前記樹脂ブロックの開口に貫通させる工程を含む、エンジンブロックの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のエンジンブロックの製造方法において、
前記ベースブロックから前記金属ブロックを除去した後、前記シリンダライナを囲む前記樹脂ブロックで囲む前、前記シリンダライナの前記金属外周面上に接着剤を形成する工程をさらに含む、エンジンブロックの製造方法。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のエンジンブロックの製造方法において、
前記シリンダライナを前記樹脂ブロックで囲む工程は、前記金属ブロックが除去された前記ベースブロックを金型内に配置して、前記樹脂ブロックを形成する樹脂を前記金型内に供給する工程を含む、エンジンブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関は、エンジンブロックを有している。エンジンブロックは、シリンダライナを備えている。
【0003】
非特許文献1には、エンジンの一例について記載されている。エンジンは、シリンダライナ及びこのシリンダライナを囲む樹脂を備えている。シリンダライナは、鉄からなっている。非特許文献1には、エンジンの冷却損失は、樹脂がシリンダライナを囲む場合において、アルミニウムがシリンダライナを囲む場合よりも低減することが記載されている。
【0004】
特許文献1及び2には、エンジンブロックの一例について記載されている。エンジンブロックは、シリンダライナ及びこのシリンダライナを囲むブロックを備えている。シリンダライナは、金属からなっている。ブロックは、樹脂からなっている。シリンダライナには、ウォータジャケットが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2015/0159581号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0159582号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】水野 貴大、辻 龍希、藤村 俊夫「1次元シミュレーションを用いたSIエンジンの燃費性能改善予測」日本機械学会東海支部第65期総会・講演会講演論文集(2016年3月17-18日)No.163-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に記載されているように、冷却損失の低減のため、シリンダライナを樹脂で囲むことがある。本発明者は、シリンダライナを樹脂で囲むための製造プロセスを低コストで実現することを検討した。
【0008】
本発明の目的の一例は、シリンダライナを樹脂で囲むための製造プロセスを低コストで実現することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、
金属外周面を有するシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む金属ブロックと、を有するベースブロックを形成する工程と、
前記ベースブロックから前記金属ブロックを除去する工程と、
前記金属ブロックを除去した後、前記シリンダライナを樹脂ブロックで囲む工程と、
を含む、エンジンブロックの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、シリンダライナを樹脂で囲むための製造プロセスを低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るエンジンブロック及びシリンダヘッドの分解図である。
図2図1に示したエンジンブロックの製造方法の一例を説明するための図である。
図3図1に示したエンジンブロックの製造方法の一例を説明するための図である。
図4図1に示したエンジンブロックの製造方法の一例を説明するための図である。
図5図1に示したエンジンブロックの製造方法の一例を説明するための図である。
図6】シリンダライナの詳細の一例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るエンジンブロック10及びシリンダヘッド20の分解図である。
【0014】
図1を用いて、エンジンブロック10の概要を説明する。エンジンブロック10は、シリンダライナ120及び樹脂ブロック200を備えている。シリンダライナ120は、金属外周面122を有している。樹脂ブロック200は、第1部分210及び空隙230を含んでいる。第1部分210は、シリンダライナ120の金属外周面122を覆っている。空隙230は、第1部分210より外側に位置しており、ウォータジャケット232を画定している。
【0015】
上述した構成によれば、シリンダライナ120から発生する熱による樹脂ブロック200の損傷を低減することができる。具体的には、上述した構成においては、樹脂ブロック200の第1部分210は、ウォータジャケット232によって囲まれている。したがって、ウォータジャケット232に流れる冷媒(例えば、水)によって樹脂ブロック200の第1部分210の熱損傷を低減することができる。
【0016】
図1を用いて、エンジンブロック10の詳細を説明する。
【0017】
エンジンブロック10は、ブロック部材110、シリンダライナ120、突起130及び樹脂ブロック200を備えている。
【0018】
ブロック部材110は、金属(例えば、鋳鉄、アルミニウム合金又はマグネシウム合金)からなっている。図1に示す例において、ブロック部材110は、樹脂ブロック200を支持するためのベースとして機能している。
【0019】
シリンダライナ120は、ブロック部材110に取り付けられている。シリンダライナ120は、ブロック部材110と一体となっていてもよいし、又はブロック部材110に取り付け可能かつ取り外し可能であってもよい。
【0020】
シリンダライナ120は、金属(例えば、鉄又はアルミニウム)からなっている。シリンダライナ120は、金属からなる外周面(すなわち、金属外周面122)を有している。
【0021】
突起130は、ブロック部材110からシリンダヘッド20(すなわち、エンジンブロック10の上方)に向けて突出している。突起130は、開口132を有している。開口132には、固定具22を挿入可能である。固定具22は、シリンダヘッド20をエンジンブロック10に固定するためのものである。固定具22は、例えば、ボルトにすることができる。
【0022】
樹脂ブロック200は、第1部分210、第2部分220及び空隙230を含んでいる。第2部分220は、空隙230の外側に位置している。空隙230は、第1部分210及び第2部分220の間にある。第1部分210及び第2部分220は、互いに一体となっている。
【0023】
樹脂ブロック200の第1部分210は、接着剤(例えば、図4を用いて後述する接着剤300)を介してシリンダライナ120の金属外周面122に取り付けられていてもよい。接着剤は、樹脂ブロック200の第1部分210及びシリンダライナ120の金属外周面122の間に位置し、樹脂ブロック200の第1部分210及びシリンダライナ120の金属外周面122を互いに接着する。接着剤は、応力緩和層として機能してもよい。
【0024】
樹脂ブロック200の第1部分210は、接着剤(例えば、図4を用いて後述する接着剤300)を介さないでシリンダライナ120の金属外周面122と一体的に接合されていてもよい。この場合、樹脂ブロック200の第1部分210及びシリンダライナ120の金属外周面122の間の界面では、樹脂(樹脂ブロック200)及び金属(シリンダライナ120)の直接接合が形成される。
【0025】
樹脂ブロック200は、上面202を有している。上面202は、空隙230を形成する溝を有しており、ブロック部材110から露出している。このような構造においては、シリンダライナ120の上端及びその近傍における樹脂ブロック200の熱損傷を特に低減することができる。したがって、上述した構造は、シリンダライナ120の温度がシリンダライナ120の上端及びその近傍において特に上昇する場合において特に有意義である。さらに、上述した構造においては、空隙230は、樹脂ブロック200をシリンダライナ120に取り付ける前だけでなく、樹脂ブロック200をシリンダライナ120に取り付けた後であっても、形成可能である。したがって、空隙230を形成するためのプロセスの自由度を高くすることができる。
【0026】
空隙230は、樹脂ブロック200の上面202から露出されていなくてもよく、樹脂ブロック200の内部に存在していてもよい。この場合においても、ウォータジャケット232に流れる冷媒によって樹脂ブロック200の第1部分210の熱損傷を低減することができる。
【0027】
第2部分220は、開口222を有している。樹脂ブロック200は、突起130が第2部分220の開口222を貫通するように、位置している。突起130は、樹脂ブロック200をブロック部材110に取り付けるためのガイドとして機能することができる。
【0028】
樹脂ブロック200の第1部分210及び第2部分220は、熱硬化樹脂の硬化物を含んでいる。言い換えると、樹脂ブロック200は、熱硬化性樹脂からなっている。樹脂ブロック200は、無機フィラー(例えば、ガラス繊維)をさらに含んでいてもよい。樹脂ブロック200は、樹脂ブロック200の全重量に対して、例えば50重量%以上の無機フィラーを含んでいてもよい。
【0029】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂にすることができる。
【0030】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の熱伝導率は、低くすることができ、例えば、1.00W/m・K以下にすることができる。当該熱伝導率が低いことで、エンジンブロック10の冷却損失を低減することができる。
【0031】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の密度は、小さくすることができ、例えば、2.2g/cm以下にすることができる。当該密度が小さいことで、エンジンブロック10を軽量化することができる。
【0032】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂のガラス転移点は、高くすることができ、例えば、160℃以上、好ましくは200℃以上にすることができる。当該ガラス転移点が高いことで、エンジンブロック10を高温下で使用することができる。
【0033】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の線膨張係数は、シリンダライナ120の金属外周面122を形成する金属の線膨張係数と等しくし、又は近似させることができる。例えば、樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の機械方向(MD)線膨張係数は、シリンダライナ120を形成する金属のMD線膨張係数の75%以上125%以下にしてもよく、樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の横断方向(TD)線膨張係数は、シリンダライナ120を形成する金属のTD線膨張係数の75%以上125%以下にしてもよい。樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂の線膨張係数及びシリンダライナ120を形成する金属の線膨張係数が等しくし、又は近似させることで、シリンダライナ120及び樹脂ブロック200の双方が加熱された際におけるシリンダライナ120から樹脂ブロック200への応力を緩和することができる。
【0034】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂のMD線膨張係数及びシリンダライナ120を形成する金属のMD線膨張係数のそれぞれは、例えば、10ppm以上40ppm以下にすることができる。
【0035】
樹脂ブロック200を形成する熱硬化性樹脂のTD線膨張係数及びシリンダライナ120を形成する金属のTD線膨張係数のそれぞれは、例えば、10ppm以上40ppm以下にすることができる。
【0036】
図2から図5は、図1に示したエンジンブロック10の製造方法の一例を説明するための図である。
【0037】
図2図3及び図5を用いて、エンジンブロック10の製造方法の一例の概要を説明する。まず、図2に示すように、ベースブロック100を形成する。ベースブロック100は、シリンダライナ120及び金属ブロック140を有している。シリンダライナ120は、金属外周面122を有している。金属ブロック140は、シリンダライナ120を囲んでいる。次いで、図3に示すように、ベースブロック100から金属ブロック140を除去する。次いで、図5に示すように、シリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲む。
【0038】
上述したプロセスによれば、シリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲むための製造プロセスを低コストで実現することができる。具体的には、上述したプロセスにおいては、金属ブロック140を含むベースブロック100は、既存のエンジンブロックを形成するための既存の設備(例えば、既存のエンジンブロックを形成するための鋳造に用いられる金型)を用いて形成することができる。つまり、金属ブロック140が取り除かれたベースブロック100を形成するための新規の設備を設ける必要がない。したがって、シリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲むための製造プロセスを低コストで実現することができる。
【0039】
図2から図5を用いて、エンジンブロック10の製造方法の一例の詳細を説明する。
【0040】
まず、図2に示すように、ベースブロック100を形成する。ベースブロック100は、ブロック部材110、シリンダライナ120及び金属ブロック140を有している。ブロック部材110、シリンダライナ120及び金属ブロック140のそれぞれは、金属からなっている。特に、金属ブロック140は、例えば、鋳鉄、アルミニウム合金又はマグネシウム合金からなっている。
【0041】
ベースブロック100は、シリンダライナ120及び金属ブロック140の間の空隙150を有している。空隙150は、ウォータジャケット152を画定している。ベースブロック100は、既存のエンジンブロック(すなわち、ウォータジャケット152を有するエンジンブロック)を形成するための既存の設備を用いて形成することができる。一例において、ベースブロック100は、鋳造、より具体的には、ダイカストによって形成することができる。この例において、ダイカストに用いられる金型は、既存のエンジンブロックを形成するための金型を用いることができる。
【0042】
ベースブロック100は、開口132をさらに有している。図1を用いて説明したように、開口132には、固定具22(図1)を挿入可能である。ベースブロック100は、図3に示す突起130を形成する部分を含んでいる。この部分は、図3に示す工程(金属ブロック140を除去する工程)において、突起130を形成する。
【0043】
次いで、図3に示すように、ベースブロック100から金属ブロック140を除去する。図3に示す例では、金属ブロック140は、突起130が形成され、かつ開口132が残るように、除去されている。
【0044】
次いで、図4に示すように、シリンダライナ120の金属外周面122上に接着剤300を形成する。図4に示すように、接着剤300は、突起130の外周面上にも形成してもよい。
【0045】
次いで、図5に示すように、シリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲む。樹脂ブロック200は、突起130が樹脂ブロック200の開口222を貫通するように取り付けられる。樹脂ブロック200の第1部分210及びシリンダライナ120の金属外周面122は、接着剤300(図4)を介して互いに接着され、樹脂ブロック200の開口222の内面及び突起130の外周面は、接着剤300(図4)を介して互いに接着される。
【0046】
接着剤300(図4)は形成しなくてもよい。接着剤300を形成しない場合、樹脂ブロック200の第1部分210は、接着剤(例えば、接着剤300(図4))を介さないでシリンダライナ120の金属外周面122と一体的に接合されていてもよい。
【0047】
図5に示す例において、樹脂ブロック200は、第1部分210、第2部分220及び空隙230を含んでいる。空隙230は、ウォータジャケット232を画定している。空隙230は、シリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲む前に形成されてもよいし、又はシリンダライナ120を樹脂ブロック200で囲んだ後に形成されてもよい。
【0048】
エンジンブロック10の製造方法は、図2から図5に示した例に限定されない。エンジンブロック10は、以下の例のようにして製造されてもよい。
【0049】
第1に、図2に示したベースブロック100を形成することなく、図3に示したブロック(ブロック部材110、シリンダライナ120及び突起130)を形成してもよい。図3に示したブロックは、鋳造、より具体的には、ダイカストによって形成することができる。この例において、ダイカストに用いられる金型は、図3に示すブロックに沿った形状を有している。
【0050】
第2に、エンジンブロック10をインサート成形によって製造してもよい。この例においては、図3に示したブロック(ブロック部材110、シリンダライナ120及び突起130)を金型内に配置して、樹脂ブロック200を形成する樹脂を金型内に供給する。この例によれば、図4に示した接着剤300を設けることなく、樹脂ブロック200をシリンダライナ120に直接的に接合させることができる。
【0051】
図6は、シリンダライナ120の詳細の一例を説明するための断面図である。図6は、シリンダライナ120の高さ(図1における上下方向)に垂直な断面を示している。
【0052】
シリンダライナ120は、鉄層120a及びアルミニウム層120bを含んでいる。鉄層120aは、シリンダライナ120の内周面を形成している。鉄層120aは、鉄及び合金鉄のうちの少なくとも一方を含んでいる。アルミニウム層120bは、鉄層120aの外側に位置しており、金属外周面122を形成している。アルミニウム層120bは、アルミニウム及びアルミニウム合金のうちの少なくとも一方を含んでいる。
【0053】
シリンダライナ120の金属外周面122の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、例えば、0.2μm以上3.0μm以下にすることができる。
【0054】
シリンダライナ120の金属外周面122は、90°未満の先端角を有する突出部を有しないようにしてもよい。このような突出部は、シリンダライナ120及び樹脂ブロック200の熱応力の集中部になり得、樹脂ブロック200のクラックを引き起こし得る。このような突出部がない場合、樹脂ブロック200のクラックを低減することができる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0056】
10 エンジンブロック
20 シリンダヘッド
22 固定具
100 ベースブロック
110 ブロック部材
120 シリンダライナ
120a 鉄層
120b アルミニウム層
122 金属外周面
130 突起
132 開口
140 金属ブロック
150 空隙
152 ウォータジャケット
200 樹脂ブロック
202 上面
210 第1部分
220 第2部分
222 開口
230 空隙
232 ウォータジャケット
300 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6