(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20230125BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230125BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230125BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230125BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230125BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/37
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021195369
(22)【出願日】2021-12-01
【審査請求日】2021-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 まり
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大祐
(72)【発明者】
【氏名】福地 智也
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-018952(JP,A)
【文献】特開2019-196374(JP,A)
【文献】特開2016-121146(JP,A)
【文献】特開2016-121147(JP,A)
【文献】特開2016-199505(JP,A)
【文献】特開2013-170145(JP,A)
【文献】特開2011-093829(JP,A)
【文献】特開2008-150303(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110612094(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡吐出装置用の外用組成物であって、
(A成分)オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤、(B成分)炭素原子数1~3のアルコール、及び(C成分)エステル油を含有し、
前記外用組成物中の前記A成分の含有率が0.05質量%以上15質量%以下であり、
前記外用組成物中の前記B成分の含有率が0.5質量%以上45質量%以下であり、
前記外用組成物中の前記C成分の含有率が0.9質量%以下であり、且つ
前記C成分が、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~
6のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油を含む、
外用組成物。
【請求項2】
前記C成分が、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~4のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油である、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記外用組成物中の前記C成分の含有率が0.005質量%以上0.9質量%以下である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
前記A成分のHLB値が10以上である、請求項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項5】
前記A成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
前記外用組成物中の前記A成分の含有率が
0.08質量%以上12質量%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
前記外用組成物中の前記B成分の含有率が
0.5質量%以上35質量%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
薬効成分を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項9】
前記外用組成物中の水の含有率が40質量%以上である、請求項1~8のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項10】
前記泡吐出装置が非ガス型泡吐出装置である、請求項1~9のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
外用剤の剤形として、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤等がある。軟膏剤やクリーム剤は、半固形状であるので、広範囲に塗り広げ難い。また、ローション剤は、液状であるので、広範囲に塗り広げることには向いているが、使用時に液が垂れることがあり使い難い。
【0003】
一方、近年、簡便で広範囲に使用可能なフォーム剤が注目されている。フォーム剤は、吐出時は泡状態であるので液垂れが抑制されており、また液体であるので広範囲に塗り広げることにも適している。フォーム剤としては、皮膚への刺激を抑えるために、噴射剤を用いて発泡させるものではなく、非イオン性界面活性剤を用いた、ポンプ型泡吐出装置等の非ガス型泡吐出装置を用いたフォーム剤が望ましい(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、研究を進める中で、オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤を使用する場合、塗布して乾燥させた後の肌にべたつき感、かさつき感、きしみ感等の好ましくない感触が生じることを見出した。
【0006】
本発明は、オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤を含有しながらも、塗布して乾燥させた後のべたつき感、かさつき感、及びきしみ感からなる群より選択される少なくとも1種が抑制された、泡吐出装置用の外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、泡吐出装置用の外用組成物であって、(A成分)オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤、(B成分)炭素原子数1~3のアルコール、及び(C成分)エステル油を含有し、前記外用組成物中の前記C成分の含有率が1質量%未満である、外用組成物、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0008】
項1. 泡吐出装置用の外用組成物であって、(A成分)オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤、(B成分)炭素原子数1~3のアルコール、及び(C成分)エステル油を含有し、前記外用組成物中の前記C成分の含有率が1質量%未満である、外用組成物。
【0009】
項2. 前記C成分が、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~10のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油を含む、項1に記載の外用組成物。
【0010】
項3. 前記C成分が、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~4のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油である、項1又は2に記載の外用組成物。
【0011】
項4. 前記外用組成物中の前記C成分の含有率が0.005質量%以上1質量%未満である、項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
【0012】
項5. 前記A成分のHLB値が10以上である、項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【0013】
項6. 前記A成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1~5のいずれかに記載の外用組成物。
【0014】
項7. 前記外用組成物中の前記A成分の含有率が0.05質量%以上15質量%以下である、項1~6のいずれかに記載の外用組成物。
【0015】
項8. 前記外用組成物中の前記B成分の含有率が0.5質量%以上45質量%以下である、項1~7のいずれかに記載の外用組成物。
【0016】
項9. 薬効成分を含有する、項1~8のいずれかに記載の外用組成物。
【0017】
項10. 前記外用組成物中の水の含有率が40質量%以上である、項1~9のいずれかに記載の外用組成物。
【0018】
項11. 前記泡吐出装置が非ガス型泡吐出装置である、項1~10のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤を含有しながらも、塗布して乾燥させた後のべたつき感、かさつき感、及びきしみ感からなる群より選択される少なくとも1種が抑制された、泡吐出装置用の外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0021】
本発明は、その一態様において、泡吐出装置用の外用組成物であって、(A成分)オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤、(B成分)炭素原子数1~3のアルコール、及び(C成分)エステル油を含有し、前記外用組成物中の前記C成分の含有率が1質量%未満である、外用組成物(本明細書において、「本発明の外用組成物」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
【0022】
オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤(A成分)は、分子内にオキシアルキレン単位(アルキレンオキサイドの単独重合鎖)を有する非イオン性界面活性剤である限り、特に制限されない。オキシアルキレン単位は、複数個に分かれて存在することができる。「アルキレン」の炭素原子数は、例えば2~4、好ましくは2~3、より好ましくは2である。オキシアルキレン単位におけるアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、特に制限されないが、例えば5~300、好ましくは5~200、より好ましくは7~100、さらに好ましくは8~50である。
【0023】
A成分である非イオン性界面活性剤のHLB値は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは10以上である。当該HLB値は、より好ましくは10~20、さらに好ましくは10.5~20、よりさらに好ましくは10.5~18である。
【0024】
A成分である非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキアルキレンデシルエーテル等)、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル(例えばモノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例えばモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油(例えばポリオキシエチレン硬化ひまし油等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられ、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられ、特に好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0025】
A成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0026】
本発明の一態様において、A成分は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を含むを含むことが好ましい。また、本発明の一態様において、A成分は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。また、本発明の一態様において、A成分は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むことがさらに好ましい。
【0027】
本発明の外用組成物中のA成分の含有率は、泡を形成可能である限り、特に制限されない。該含有率は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.08質量%以上12質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、よりさらに好ましくは0.2質量%以上7質量%以下、とりわけ好ましくは0.4質量%以上5質量%以下、とりわけより好ましくは0.7質量%以上4質量%以下、とりわけよりさらに好ましくは0.8質量%以上3.5質量%以下である。
【0028】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、A成分以外の他の界面活性剤を含有することができる。他の界面活性剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤; 陰イオン性界面活性剤; 陽イオン性界面活性剤; 両性界面活性剤等が挙げられる。ただ、その場合、皮膚への刺激性、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、他の界面活性剤の含有量はより低いことが好ましい。
【0029】
他の界面活性剤は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
本発明の外用組成物において、界面活性剤中のA成分の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0031】
本発明の外用組成物において、非イオン性界面活性剤中のA成分の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0032】
本発明の外用組成物中の他の界面活性剤(特に、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤)の含有率は、例えば0質量%以上5質量%未満、好ましくは0質量%以上4質量%未満、より好ましくは0質量%以上3質量%未満、さらに好ましくは0質量%以上2質量%未満、よりさらに好ましくは0質量%以上1質量%未満、とりわけ好ましくは0質量%以上0.5質量%未満、とりわけさらに好ましくは0質量%以上0.1質量%未満、とりわけよりさらに好ましくは0質量%以上0.01質量%未満である。本発明の一態様において、該含有率は、0質量%であることができる。
【0033】
炭素原子数1~3のアルコール(B成分)は、分子を構成する炭素原子の数が1~3のものである限り、特に制限されない。B成分により、主に、C成分の添加による成分分離現象を抑制することが可能である。B成分であるアルコールの炭素原子数は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは2である。B成分であるアルコールの価数(分子中のヒドロキシ基の数)は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、例えば1~6、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらに好ましくは1である。B成分であるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくはエタノールが挙げられる。
【0034】
B成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
本発明の一態様において、B成分は、エタノールを含むことが好ましい。
【0036】
本発明の外用組成物中のB成分の含有率は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは0.5質量%以上45質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上35質量%以下、よりさらに好ましくは0.8質量%以上30質量%以下、とりわけ好ましくは1.5質量%以上30質量%以下、とりわけより好ましくは5質量%以上30質量%以下、とりわけさらに好ましくは8質量%以上30質量%以下である。外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、本発明の好ましい一態様において、該含有率の上限は、例えば25質量%、20質量%、15質量%、又は12質量%であり得る。
【0037】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、B成分以外の他のアルコールを含有することができる。他のアルコールとしては、例えば糖アルコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ただ、その場合、皮膚への刺激性、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、他のアルコールの含有量はより低いことが好ましい。
【0038】
他のアルコールは、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0039】
本発明の外用組成物において、アルコール中のB成分の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0040】
エステル油(C成分)は、脂肪酸とアルコールとのエステルからなる油性成分であって、常温(20℃)で液体のものである限り、特に制限されない。C成分により、主に、塗布して乾燥させた後のべたつき感、かさつき感、及びきしみ感からなる群より選択される少なくとも1種を抑制することができる。
【0041】
C成分であるエステル油は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~10のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油を含む。ここで、主鎖とは、エステル結合(-C(=O)-O-)に結合しているアルキル基(水酸基(例えば1~3、好ましくは1~2、より好ましくは1個の水酸基)で置換されていてもよいアルキル基)において、鎖構成原子が最も多い直鎖部分を意味する。当該主鎖炭素原子数は、好ましくは1~8、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4、よりさらに好ましくは1~3である。
【0042】
エステル油としては、例えば以下の具体例が挙げられる。
【0043】
コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、等の二塩基酸のエステル油。
【0044】
乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルドデシル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、等の水酸基を有するエステル油;
ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、等の直鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル油;
カプリン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、等の直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油;ラウリン酸シソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノール酸オクチルドデシル、等の直鎖脂肪酸と分岐鎖を有するアルコールとのエステル油;
イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、等の分岐鎖を有する脂肪酸と低級アルコールとのエステル油;
2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル等の分岐鎖を有する脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油;
ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル酸・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸ジプロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、リイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル油;
ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペラルゴン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、等の分岐鎖を有する脂肪酸と分岐鎖を有するアルコールとのエステル油。
【0045】
上記の具体例の中でも、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは二塩基酸のエステル油、水酸基を有するエステル油等が挙げられ、より好ましくは二塩基酸のエステル油が挙げられる。
【0046】
C成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0047】
本発明の外用組成物中のC成分の含有率は、外用組成物の溶解時の状態(白濁、ダマ、分離等)、泡の状態、塗布して乾燥後の感覚(べたつき感、かさつき感、きしみ感)等の観点から、好ましくは0.005質量%以上1質量%未満、より好ましくは0.008質量%以上0.95質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.95質量%以下、よりさらに好ましくは0.02質量%以上0.9質量%以下、とりわけ好ましくは0.04質量%以上0.8質量%以下、とりわけより好ましくは0.06質量%以上0.5質量%以下、とりわけよりさらに好ましくは0.08質量%以上0.3質量%以下、特に好ましくは0.08質量%以上0.15質量%以下である。
【0048】
C成分が、水酸基で置換されていてもよい主鎖炭素原子数1~10のアルキル基がエステル基に結合してなるエステル油(C1成分)を含む場合、本発明の外用組成物において、C成分中のC1成分の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上、とりわけ好ましくは97質量%以上、とりわけさらに好ましくは98質量%、特に好ましくは99質量%以上である。該含有率は、100質量%以下である。
【0049】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、薬効成分を含有することができる。薬効成分は、水溶性薬効成分であることが好ましい。薬効成分としては、例えば、保湿剤、抗炎症剤、ビタミン剤、抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、ステロイド、抗生物質、抗掻痒剤、抗免疫抑制剤、局所麻酔剤、尋常性乾癬治療剤、美白剤等が挙げられる。
【0050】
保湿剤としては、例えば、ヘパリン類似物質、ヘパリン又はその塩、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の生体高分子; グリシン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸; 乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子; ラベンダーエキス、ユーカリエキス、ペパーミントエキス等の植物抽出物等が挙げられる。
【0051】
抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アラントイン又はその誘導体、トラネキサム酸又はその塩、ε-アミノカプロン酸、カンゾウ抽出物、メントール、カンフル等が挙げられる。
【0052】
ビタミン剤としては、例えば、アスコルビン酸及びそのナトリウム等の塩等のビタミンC類; アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸-2-グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステ
ル、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、パルミトイルアスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸リン酸エステル塩等のアスコルビン酸誘導体; チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、コリン類等のビタミンB群類; パントテン酸、パンテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン等のその他ビタミン類; トコフェロールリン酸エステル等の水溶性ビタミンE類等が挙げられる。
【0053】
抗菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、エタノール、パラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0054】
美白剤としては、例えば、ハイドロキノン、α-アルブチン、β-アルブチン、アスコルビン酸、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、3-O-セチルアスコルビン酸、テトラ2-ヘキシルデシルデカン酸アスコルビル、アスコルビン酸メチルシラノール、アスコルビン酸硫酸、アスコルビルグルコシド、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルリン酸、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム、リン酸アスコルビルアミノプロピル、ステアリン酸アスコルビル、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸2ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸亜鉛、キトサンアスコルビン酸、アスコルビルリン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビル3ナトリウム、コウジ酸、ルシノール、トラネキサム酸等が挙げられる。
【0055】
薬効成分は、1種単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0056】
本発明の外用組成物が薬効成分を含有する場合、本発明の外用組成物中の薬効成分の含有率は、薬効を発揮することができ、且つ本発明の効果を著しく阻害しない限りにおいて、特に制限されない。該含有率は、例えば、0.0001~10質量%、0.001~3質量%、又は0.01~1質量%である。
【0057】
本発明の一態様において、本発明の外用組成物は、上記以外の他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば、炭化水素類(例えば、流動パラフィン、スクワラン等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、N-アルキルピロリドン、アルキレンカーボネート、アセトン、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、ポリエチレングリコール等)、水溶性高分子(例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、キトサン、ポビドン、ポリビニルアルコール等)、防腐剤、保存剤、安定化剤等が挙げられる。
【0058】
本発明の外用組成物中の他の成分の含有率は、本発明の効果を著しく阻害しない限りにおいて、特に制限されない。該含有率は、例えば、0~10質量%、0~5質量%、0~2質量%、0~1質量%、又は0~0.1質量%である。
【0059】
本発明の外用組成物は、通常、水を含有する。本発明の組成物中の水の含有率は、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは75質量%以上、とりわけ好ましくは80質量%以上、とりわけさらに好ましくは85質量%以上である。該含有率の上限は、例えば95質量%、90質量%、85質量%、又は80質量%であることができる。上記下限及び上限は、任意に組合わせることができる。
【0060】
本発明の外用組成物は、皮膚への塗布に用いることができる。本発明の外用組成物は、泡の状態が良好であるので、泡状で吐出した際の液垂れを抑制しつつ、泡切れも良好であるので、容易に塗り広げることができる。本発明の外用組成物は、皮膚外用医薬、化粧料等の皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。本発明の外用組成物は、塗布後に除去しない態様で用いられるものであり、泡立て使用した後に水で除去する(例えば洗い流す)ことを前提とした洗浄剤とは区別されるものである。
【0061】
本発明の外用組成物は、各成分を溶媒と共に混合することにより調製することができる。本発明の組成物は、好ましくは可溶化状態である。可溶化状態とは、界面活性剤がミセルを形成し、溶媒に溶解しない物質が透明かつ均一に溶解し、一相の溶液となっている状態をいう。また、可溶化状態は、マイクロエマルションの状態を含む。マイクロエマルションは、100nm以下の微細な粒子径の乳化粒からなり、熱力学的に安定なミセル溶液である。可溶化状態であることは、外観が透明であることをもって確認できる。また、常法により、粒子サイズを測定することにより可溶化状態を確認することもできる。可溶化状態の組成物は、必要に応じて各成分を加温下で溶解して、その後冷却することにより得ることが可能である。
【0062】
本発明の外用組成物は、泡吐出装置用の組成物である。ここで、泡吐出装置とは、発泡させる機構を備えるものを意味する。すなわち、本発明の外用組成物は、泡吐出装置により発泡して用いるためのものである。泡吐出装置としては、皮膚への刺激の観点から、非ガス型泡吐出装置であることが好ましい。非ガス型泡吐出装置としては、例えばスクリーン型泡吐出装置が挙げられる。スクリーン型泡吐出装置とは、液体を加圧し、ネット状のスクリーンを通過させることにより、空気と混合せしめ、発泡させる機構のものを意味する。スクリーン型泡吐出装置としては、例えばポンプ型泡吐出装置、チューブ型泡吐出装置、スクイズ型泡吐出装置等が挙げられる。これらの中でも、ポンプ型泡吐出装置が好適である。
【0063】
泡吐出装置としては、公知のもの、市販されているもの等を採用することができる。例えばポンプ型泡吐出装置であれば、特開2012-45525号公報、特開2008-307478号公報等に記載のものを使用することができる。
【0064】
本発明の外用組成物は、泡吐出装置を備える容器に充填して用いることができる。この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の外用組成物を泡吐出装置を備える容器に充填してなる、外用剤、にも関する。「外用剤」については、上記した本発明の外用組成物と同様である。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0066】
試験例1.評価試験1
表1~5(数字の単位は質量%)に示す処方に従って、泡吐出装置を備える容器への充填用の液体組成物(比較例1~4及び実施例1~35)を調製した。具体的には、界面活性剤を精製水に加温下で溶解させた後、得られた溶液を常温に戻してから、常温下で、アルコールに溶解させたエステル油を加え、均一になるまで攪拌し、比較例1~4及び実施例1~35の液体組成物を得た。
【0067】
使用した材料の詳細は以下の通りである。
【0068】
(界面活性剤)
・ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(日光ケミカルズ社製、BL-9EX、HLB:14.5)
・ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(日光ケミカルズ社製、BO-10V、HLB:14.5)
・ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(日光ケミカルズ社製、BO-20V、HLB:17.0)
・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(日光ケミカルズ社製、BS-20、HLB:18.0)
・モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)(日光ケミカルズ社製、MYS-40MV、HLB:17.5)
・モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(日光ケミカルズ社製、TS-10MV、HLB:14.9)
・ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製、HCO-40、HLB:12.5)
・ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ社製、HCO-60、HLB:14.0)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(10E.O)(4P.O.)(日光ケミカルズ社製、PBC-33、HLB:10.5)
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20E.O)(8P.O.)(日光ケミカルズ社製、PBC-44、HLB:12.5)
・"ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(200E.O)(70P.O.)(日油社製、ユニルーブ70DP-950B、HLB:10.9)
・" ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(160E.O.)(30P.O.)(日油社製、プロノン#188P、HLB:14.1)。
【0069】
(アルコール)
・エタノール。
【0070】
(エステル油)
・アジピン酸ジイソプロピル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL DID)
・セバシン酸ジエチル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL DES-SP)
・オレイン酸エチル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL EOO)
・パルミチン酸2-ヘキシルデシル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL IPM-100)
・パルミチン酸イソプロピル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL IPP-EX)
・クエン酸トリエチルへキシル(日光ケミカルズ社製、NIKKOL TOC)
・乳酸オクチルドデシル(ナショナル美松社製、エステロール LOD)
・ジエチルヘキサン酸ネオペンチレングリコール(高級アルコール工業社製、KAK NDO)。
【0071】
調製工程における液体組成物の溶解時の状態(白濁の有無、ダマの有無、分離の有無)について、以下の評価基準に従って評価した。
【0072】
<白濁の有無の評価基準>
〇:界面活性剤及び水からなる相とエタノール及びエステル油からなる相とを混合した際でも、溶液の色が無色透明のままであった。
×:界面活性剤及び水からなる相とエタノール及びエステル油からなる相とを混合した際に、溶液の色が無色透明から半透明や乳白色に変化した。
【0073】
<ダマの有無の評価基準>
〇:加熱により固体から液体へと状態変化した界面活性剤が、調製工程の途中に再度固体に戻って塊を形成することがなかった。
×:加熱により固体から液体へと状態変化した界面活性剤が、調製工程の途中に再度固体に戻って塊を形成した。
【0074】
<分離の有無の評価基準>
〇:界面活性剤及び水からなる相とエタノール及びエステル油からなる相とを混合した際でも、エステル油が表面に浮き出ない。
×:界面活性剤及び水からなる相とエタノール及びエステル油からなる相とを混合した際に、エステル油が表面に浮き出た。
【0075】
また、泡の状態のを次のようにして評価した。まず、得られた液体組成物をポンプ型泡吐出装置容器に充填し、ポンプ型泡吐出装置容器から1プッシュ分の泡を黒色表面の台上に吐出した。吐出吐出10秒後に、泡を、台に対して垂直方向の上方から、撮影した。得られた画像を画像解析ソフト(Image J)で解析し、泡の全体(台表面の濡れている部分全体)の広さ(ピクセル数:X1)と、泡の全体の内、白色の部分(泡のきめ細かさ及び/又は泡の厚みによって台表面の黒色が隠されて、白色に見える部分)の広さ(ピクセル数:X2)を計測した。式:泡残存率(%)=[X2/X1]×100 により泡残存率を算出し、その値を以下の評価基準に当てはめて泡の状態を評価した。
【0076】
<泡の状態の評価基準>
◎:泡残存率が100%~90%である。
〇:泡残存率が89%~80%である。
△:泡残存率が79%~70%である。
×:泡残存率が69%~0%である。
【0077】
溶解時の状態、及び泡の状態の評価結果を、表1~5に示す。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
表1~5に示される通り、実施例の液体組成物は、溶解時の状態及び泡の状態のいずれも良好であった。
【0084】
試験例2.評価試験2
試験例1で得られた液体組成物の内、溶解時の状態及び泡の状態の評価が良好な液体組成物を用いて、次のようにして官能評価を行った。なお、官能評価者は、外用剤の開発業務に1年以上従事しており、日常的に外用剤の使用感の評価を行っている者(5名)である。まず、液体組成物をポンプ型泡吐出装置容器に充填し、ポンプ型泡吐出装置容器から1プッシュ分の泡を手のひらに吐出した。続いて、両方の手のひらに泡を広げ、完全に乾くまで塗り込んだ後、3つの評価項目(乾燥後のべたつき感(皮膚が接触したときに生じるべたべたとねばりつく感覚)、乾燥後の手のかさつき感(皮膚の表面が過度に乾燥した感覚)、乾燥後のきしみ感(皮膚がこすれたときのひっかかりや、滑らかさがない感覚))のそれぞれを以下の評価基準に基づいて評価した。
【0085】
<官能評価の評価基準>
3点:基準処方(比較例2)よりも優れている(評価項目の感覚をより感じない)。
2点:基準処方(比較例2)と同等である(評価項目の感覚が同等である)。
1点:基準処方(比較例2)よりも劣っている(評価項目の感覚をより感じる)。
【0086】
各評価項目の得点について、評価者5名の平均点を算出した。平均点を以下の評価基準に当てはめて評価した。
【0087】
<平均点に基づく評価基準>
◎:2.4~3.0点。
〇:2.1~2.3点。
△:1.6~2.0点。
×:0.0~1.5点。
【0088】
結果を表6に示す。
【0089】
【0090】
表6に示される通り、実施例の液体組成物は、乾燥後のべたつき感、乾燥後のかさつき感、及び乾燥後のきしみ感からなる群より選択される少なくとも1つ以上の感覚が、基準処方(比較例2)に比べて改善されていた。
【要約】
【課題】オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤を含有しながらも、塗布して乾燥させた後のべたつき感、かさつき感、及びきしみ感からなる群より選択される少なくとも1種が抑制された、泡吐出装置用の外用組成物を提供すること。
【解決手段】泡吐出装置用の外用組成物であって、(A成分)オキシアルキレン単位を含む非イオン性界面活性剤、(B成分)炭素原子数1~3のアルコール、及び(C成分)エステル油を含有し、前記外用組成物中の前記C成分の含有率が1質量%未満である、外用組成物。
【選択図】なし