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特許7216463ビア遅延層を用いる薄膜抵抗器のためのデバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ビア遅延層を用いる薄膜抵抗器のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20230125BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20230125BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230125BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230125BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H01L21/90 M
H01L21/90 B
H01L27/04 P
H01L27/04 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020501462
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018041539
(87)【国際公開番号】W WO2019014287
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】15/646,917
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】アッバス アリ
(72)【発明者】
【氏名】ディシャン カンデ
(72)【発明者】
【氏名】チージョン ホン
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502522(JP,A)
【文献】特開2004-282081(JP,A)
【文献】特開2009-266918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069334(US,A1)
【文献】特開平10-209393(JP,A)
【文献】特開2001-176879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0187632(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105874599(CN,A)
【文献】米国特許第06734076(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
H01L 21/822
H01L 21/3205-21/3213
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)チップを製造する方法であって、
第1のレベル間誘電体(ILD)層上に第1の薄膜抵抗器材料を堆積すること
第1の抵抗器を形成するために前記第1の薄膜抵抗器材料をパターニングしてエッチングすることと、
前記第1の抵抗器に重なる第2のILD層を堆積することと、
前記第1の抵抗器のためのヘッド領域を形成するために前記第2のILD層をパターニングしてエッチングすることと、
前記第2のILD層上と前記ヘッド領域上とに第2の薄膜抵抗器材料を堆積することと、
前記第の薄膜抵抗器材料に重なるエッチ遅延層を堆積ること
の抵抗器と前記第1の抵抗器のための抵抗器ヘッドとを形成するために前記エッチ遅延層前記第の薄膜抵抗器材料をパターニングしてエッチングすること
前記の抵抗器と前記抵抗器ヘッドとに重なる第のILD層を堆積ること
前記第のILD層前記エッチ遅延層を介する前記第の抵抗器へのビアと前記第3のILD層と前記エッチ遅延層とを介する前記抵抗器ヘッドへのビアとを形成するため第1のエッチ化学成分を用いて前記第のILD層と前記エッチ遅延層とをパターニングしてエッチングすること
を含み、
前記エッチ遅延層が前記第1のエッチ化学成分に対して選択的であり、
前記エッチ遅延層の厚みが、前記エッチ遅延層をエッチングすることが前記エッチ遅延層のすべての露出部分を実質的に除去してその下にある前記第の薄膜抵抗器材料の消費を実質的に防止するような厚みである、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチ遅延層を堆積ることが、第1の誘電体を堆積ることと、エッチ遅延材料を堆積ることと、第2の誘電体を堆積ることとを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチ遅延が、シリコン窒化物シリコンカーバイドを含むグループから選択される、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記エッチ遅延が、50~700オングストロームの範囲の厚みを有する、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記第の薄膜抵抗器材料を堆積する前に、
半導体デバイスがその上に形成されている半導体基板を提供すること
前記半導体基板に直接重なる第4のILD層を堆積ること
前記第4のILD層を介して延在するコンタクトを形成すること
前記第4のILD層上に前記コンタクトに結合されるメタライゼーション層を形成すること
前記メタライゼーション層に重なる前記第のILD層を堆積ること
を更に含み、
前記第のILD層と前記エッチ遅延層とをパターニングしてエッチングすることが、前記第、第2及び第のILD層を介する前記コンタクトへのビアを更に形成する、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の薄膜抵抗器材料前記第2の薄膜抵抗器材料との各々、シリコンクロムニッケルクロムクロムシリコン酸化物シリコンオキシナイトライドCrSi を含むグループから選択される材料を含み、V、W、X、Y及びZが0以上4以下である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のエッチ化学成分が、アルゴン酸素CF を含むグループから選択され、X、Y及びZの各々が1~4の間の数値に等しい、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチ遅延層前記第の薄膜抵抗器材料をパターニングしてエッチングすることが、
第1のマスクを用いて、前記エッチ遅延層に重なる第1のフォトレジスト層を堆積してパターニングすること
前記エッチ遅延層をエッチングすること
前記第1のフォトレジスト層の残りの部分をアッシングし前記ICチップを洗浄すること
前記第1のマスクを用いて、前記エッチ遅延層前記第の薄膜抵抗器材料に重なる第2のフォトレジスト層を堆積してパターニングすること
前記第の薄膜抵抗器材料をエッチングすること
前記第2のフォトレジスト層の残りの部分をアッシングし前記ICチップを洗浄すること
を含む、方法。
【請求項9】
集積回路(IC)チップ製造する方法であって、
半導体デバイスがその上に形成されている半導体基板を提供すること
前記半導体基板に直接重なる第1のレベル間誘電体(ILD)層を堆積すること
前記第1のILD層を介して延在するコンタクトを形成すること
前記コンタクトに結合されるメタライゼーション層を形成すること
第2のILDを堆積すること
前記第2のILD層上に第1の薄膜抵抗器材料を堆積ること
第1の抵抗器を形成するため前記第1の薄膜抵抗器材料をパターニングしてエッチングすること
前記第1の抵抗器に重なる第3のILD層を堆積ること
前記第1の抵抗器のためのヘッド領域を形成するため前記第3のILD層をパターニングしてエッチングすること
前記第3のILD層上に第2の薄膜抵抗器材料を堆積ること
前記第2の薄膜抵抗器材料に重なるエッチ遅延層を堆積ること
第2の抵抗器と前記第1の抵抗器のための抵抗器ヘッドとを形成するため前記エッチ遅延層前記第2の薄膜抵抗器材料をパターニングしてエッチングすること
前記第2の抵抗器と前記抵抗器ヘッドとに重なる第4のILD層を堆積ること
前記抵抗器ヘッドと前記第2の抵抗器前記コンタクトへのビアを形成するため前記第4のILDをパターニングすること
前記抵抗器ヘッドに延びるビアと前記第2の抵抗器に延びるビアと前記コンタクトに延びるビアとを同時に形成するように、第1のエッチ化学成分を用いて、前記第4のILD層と前記第3のILD層と前記第2のILD層と前記エッチ遅延層をエッチングすること
を含み、
前記エッチ遅延層が前記第1のエッチ化学成分に対して選択的であり、
前記エッチ遅延層の厚みが、前記エッチ遅延層をエッチングすることが前記エッチ遅延層のすべての露出部分を実質的に除去してその下にある前記第2の薄膜抵抗器材料の消費を実質的に防止するような厚みである、方法。
【請求項10】
集積回路(IC)チップであって、
メタライゼーション層
前記メタライゼーション層に直接重なる第1の誘電体層
前記第1の誘電体層上に形成される第1の薄膜抵抗器
前記第1の薄膜抵抗器に重なる第2の誘電体層
前記第2の誘電体層上に形成される第2の薄膜抵抗器であって、抵抗器材料を含む、前記第2の薄膜抵抗器と、
前記第2の誘電体層を介して前記第1の薄膜抵抗器に結合される抵抗器ヘッドであって、前記抵抗器材料を含む、前記抵抗器ヘッドと、
前記第2の薄膜抵抗器と前記抵抗器ヘッドとの双方の前記抵抗器材料に重なるエッチ遅延層と、
前記第2の薄膜抵抗器に重なる第3の誘電体層と、
前記第の誘電体層前記エッチ遅延層を介して前記第2の薄膜抵抗器にる第1及び第2のビア
前記第の誘電体層と前記第2の誘電体層の一部と前記エッチ遅延層を介して前記抵抗器ヘッドにる第3及び第4のビア
前記第の誘電体層前記第2の誘電体層と前記第1の誘電体層とを介して前記メタライゼーション層に延びる第のビア
を含む、ICチップ。
【請求項11】
請求項10に記載のICチップであって、
前記第1の薄膜抵抗器と前記抵抗器材料が、シリコンクロムニッケルクロムクロムシリコン酸化物シリコンオキシナイトライドCrSi を含むグループから選択される材料を含み、V、W、X、Y及びZが各々0以上4以下である、ICチップ。
【請求項12】
請求項10に記載のICチップであって、
前記エッチ遅延層が、第1の誘電体エッチ遅延材料第2の誘電体の3層を含む、ICチップ。
【請求項13】
請求項10に記載のICチップであって、
前記エッチ遅延が、SiNSiONSiCzとを含むグループから選択される材料を含む、ICチップ。
【請求項14】
請求項10に記載のICチップであって、
前記エッチ遅延が、50~700オングストロームの範囲の厚みを有する、ICチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、薄膜抵抗器(TFR)に関し、より詳細には、ビア遅延層を用いる薄膜抵抗器のためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の抵抗器を備えるチップを設計する際の問題の1つは、回路が適切に機能するように、同じ抵抗率を有するように設計されたすべての抵抗器が最終製品において調和することを保証することである。チップにわたってTFRを調和させるタスクに更なる複雑度を加える一因は、TFRを形成するプロセスを組み込むのに必要なステップ数及びマスク数を制限することによってコストを抑えたいという要望である。異なる抵抗値を必要とする複数の薄膜抵抗器を含めることは、プロセスを更に複雑にする恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
説明される実施例は、薄膜抵抗器を有する集積回路を製造するためのプロセスに関する。記載されるプロセスは、薄膜抵抗器材料上に穏やかな着地を提供しつつ、エッチングプロセスの間に完全にエッチング除去され得るエッチ遅延剤を用いる。このプロセスは、電気的特性の有意な改善を提供し、薄膜抵抗器材料上のビアのための穏やかな着地を提供する一方で、下にある金属層への良好なビア結合を提供することによって、集積回路全体の改善された抵抗器の調和を促進する。
【0004】
集積回路チップを製造するための方法の一態様において、この方法は、第1のレベル間誘電体(ILD)層上に第1の薄膜抵抗器材料を堆積することと、第1の薄膜抵抗器材料に重なるエッチ遅延層を堆積することと、第1の抵抗器を形成するためにエッチ遅延層及び第1の薄膜抵抗器材料をパターニング及びエッチングすることと、第1の抵抗器に重なる第2のILD層を堆積することと、第2のILD層及びエッチ遅延層を介する第1の抵抗器へのビアを形成するために第1のエッチ化学成分を用いて第2のILD層をパターニング及びエッチングすることとを含む。エッチ遅延層は第1のエッチ化学成分に対して選択的であり、エッチ遅延層の厚みは、ビアエッチングが、エッチ遅延層の実質的に全ての露出部分を除去し、下にある第1の薄膜抵抗器材料の消費を実質的に防止するような厚みである。
【0005】
別の態様において、集積回路チップが、メタライゼーション層、メタライゼーション層に直接重なる第1の誘電体層、第1の誘電体層上に形成される薄膜抵抗器、薄膜抵抗器に重なるエッチ遅延層、薄膜抵抗器に重なる第2の誘電体層、薄膜抵抗器の第1の端部付近に位置し、第1の誘電体層及びエッチ遅延層を介して延在し、薄膜抵抗器に接する第1のビア、第1のビアとは反対の薄膜抵抗器の端部に位置し、第1の誘電体層及びエッチ遅延層を介して延在し、薄膜抵抗器に接する第2のビア、メタライゼーション層に接するために第1の誘電体層及び第2の誘電体層を介して延在する第3のビアを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施例に従った、異なるレベル間誘電体ILD層上の2つの異なるタイプの抵抗器を有する例示的な集積回路(IC)チップを示す。
【0007】
図1A】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1B】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1C】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1D】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1E】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1F】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
図1G】一実施例に従って図1に示される抵抗器を形成するプロセスの異なる段階及び層を示す。
【0008】
図2】低シート抵抗器の調和を提供するために、記載される方法を含む幾つかの異なるプロセスの能力を比較する。
【0009】
図3】一実施例に従った、単一タイプの抵抗器を有する例示的な集積回路チップを示す。
【0010】
図4A】一実施例に従った、TFRを含むチップを製造する全体的な方法を示す。
図4B】一実施例に従った、TFRを含むチップを製造する全体的な方法を示す。
図4C】一実施例に従った、TFRを含むチップを製造する全体的な方法を示す。
図4D】一実施例に従った、TFRを含むチップを製造する全体的な方法を示す。
図4E】一実施例に従った、TFRを含むチップを製造する全体的な方法を示す。
【0011】
図5】異なるILD上の2つの異なるタイプの抵抗器を有するICチップの一部、及び本設計を実装するために克服しなければならない問題を示す。
図5A】異なるILD上の2つの異なるタイプの抵抗器を有するICチップの一部、及び本設計を実装するために克服しなければならない問題を示す。
図5B】異なるILD上の2つの異なるタイプの抵抗器を有するICチップの一部、及び本設計を実装するために克服しなければならない問題を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面において、類似の参照符号は同様の要素を示す。本記載において、「結合する(couple)」という用語は、「通信可能に結合される」と称されない限り、間接的又は直接的な電気的接続のいずれかを意味し、これは、ワイヤレス接続を含み得る。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介する間接的電気的接続を介するものであり得る。
【0013】
図5は、異なる抵抗率要件を有する2つの抵抗器を有する例示的なチップ500を示し、2つの抵抗器は、通常、異なるレベルの誘電体上に形成される。チップ500は、集積回路(特に図示せず)の構成要素が上に形成されたシリコン基板502を含む。2つの薄膜抵抗器がチップ500内に示されているが、通常、これらの抵抗器の各々の複数のバージョンが提供される。薄膜抵抗器は、通常、0.1マイクロメートル又はそれ以下のオーダーの厚みを有するものとして定義される。これら2つの抵抗器は、高シート抵抗の抵抗器(本明細書では高シート抵抗器(HSR)とも呼ばれる)と考えられ、実質的に500~2000Ω/cm2の抵抗を有する薄膜抵抗器512と、低シート抵抗の抵抗器(本明細書では低シート抵抗器(LSR)とも呼ばれる)と考えられ、実質的に50~300Ω/cm2の抵抗を有する薄膜抵抗器517とを含む。図示の例では、抵抗器512、517は、金属‐1層506と金属‐2層(特に図示せず)との間に形成される。誘電体層504は、シリコン基板502上に形成されており、コンタクト508が、誘電体層504を介して延在し、金属‐1層506の一部を基板502内の下にある構成要素(特に図示せず)に結合する。誘電体層510が金属-1層506に重なる。誘電体510の頂部上に抵抗器512が形成され、その後、付加的な誘電体層514が堆積されている。誘電体層514を介する開口が、抵抗器517が形成されるのと同時に抵抗器ヘッド516が形成され得る空間を提供する。誘電体層518が、抵抗器517及び抵抗器ヘッド516に重なる。ビア520がすべて同時にエッチングされて、3つの個別の層、抵抗器ヘッド516、抵抗器517、及び金属‐1層506に接する。メタライゼーション層506に達し得るエッチングプロセスを提供するために、抵抗器ヘッド516及び抵抗器517に接するビアをオーバーエッチングしないように注意しなければならない。
【0014】
図5Aは、抵抗器512にエッチングされたビアのうちの1つのみが示されているが、ビア520を同時にエッチングするために非最適化ビアエッチングプロセスが用いられるチップ500Aを示す。このプロセスは、金属‐1接続のための良好なビア特性を提供するパラメータを用いて行われたが、チップ500Aに示されるように、エッチングプロセスは、抵抗器512及び抵抗器ヘッド516を完全にパンチスルーしている。この問題を解決する1つのアプローチは、薄膜抵抗器材料に対して非常に高い選択性を提供するエッチングプロセスに依存することである。図5Bは、薄膜抵抗器材料に対して高度に選択的なエッチングプロセスを用いて金属‐1ビアがエッチングされるチップ500Bを示す。このプロセスは、以前のビア‐1エッチングを超える改善を示しているが、このエッチングプロセスは依然として、抵抗器ヘッド516及び抵抗器512をパンチスルーするか、又は、これらの中へ著しくエッチングしている。別の解決策は、抵抗器ヘッド516及び抵抗器517を形成するために堆積された薄膜抵抗器材料に重なる、エッチストップ層を用いることである。しかしながら、エッチストップ層を用いると、エッチングプロセスが完了した後にビアの下にあるエッチストップ層を除去するための付加的な工程が必要となる。より重要なのは、エッチストップ層のこの後続の除去が、所望のレベルの抵抗器の調和を可能にする薄膜抵抗器材料上の着地を提供しないことである。
【0015】
図1は、一実施例に従ったICチップ100の一部を示す。ICチップ100は半導体基板102を含み、その上に誘電体層104が形成されている。半導体基板102は、シリコンウェハ又は任意の他の半導体材料であってもよく、具体的には示されていない集積回路デバイスを含む。参考までに、金属‐1層106が示されており、金属‐1層106は、半導体基板102に形成されるデバイス(特に図示せず)にコンタクト108を介して接する。ILD110が金属‐1層106に重なっており、抵抗器112がILD110の表面上に形成されている。抵抗器112はHSRであり、これは通常、500~2000Ω/cm2の範囲の抵抗を有する。一実施例において、抵抗器112の抵抗は1000Ω/cm2である。2つの抵抗器ヘッド116が、抵抗器112の両端部に形成される。以下に説明するように、抵抗器117が、抵抗器ヘッド116を形成する薄膜抵抗器材料と同じ層で形成されている。抵抗器117は、50~300Ω/cm2の範囲の抵抗を有するLSRである。一実施例において、抵抗器117の抵抗は100Ω/cm2である。ビアエッチングの間、抵抗器ヘッド116及び抵抗器117を形成する薄膜抵抗器材料のパンチスルー又は消費を防止するために、抵抗器ヘッド116及び抵抗器117上にエッチ遅延剤118の層が設けられる。ILD120が、抵抗器ヘッド116、抵抗器117、及びILD114に重なっており、ビア122A、122Bが、ILD120を介して延在して、抵抗器ヘッド116、抵抗器117、及び金属‐1層106に接する。特に示されていないが、金属‐2層が、ILD120の表面上に形成され得る。
【0016】
(従来技術で用いられるような)エッチストップ材料と(例示の実施例で用いられるような)エッチ遅延材料との間の差は、主に、層の厚みと、層が用いられる方式にある。エッチストップ層は、エッチングプロセスが、エッチストップ層を貫通しないが下にある層を保護するためにエッチストップ層の部分をそのままにして停止するように、充分厚く設計される。ビアエッチングプロセスはエッチストップを除去しないので、ビアの底部でエッチストップを除去するために個別のプロセスが用いられる。これに比べ、エッチ遅延層118は、エッチ遅延層を通るエッチングプロセスの進行を遅らせるが、下にある薄膜抵抗器材料の消費を実質的に防止しつつエッチングプロセスによって実質的に完全に除去されるような厚みに注意深く設計される。ウェハ製造において用いられる特殊なスタックを考慮してエッチ遅延層118を注意深く設計することにより、エッチングプロセスが、抵抗器ヘッド116、抵抗器117、及び金属‐1層106の各々の上にほぼ同時に穏やかに着地することができる。
【0017】
図1A図1Gは、チップ100を形成する方法の様々な段階を示す。例示の実施例のために、この方法は、複数のデバイスをつくるように半導体基板が処理され、誘電体層104が形成され、金属‐1層106及びコンタクト108が形成され、ILD110が堆積された後に始まる。上述した層の各々は、全体としてICチップにとって重要であるが、これらの層を形成するために用いられる具体的なプロセスは、ここで説明される方法とは無関係であり、詳細には記載しない。説明する方法は、抵抗器112を形成することになる薄膜抵抗器材料112Aの層の堆積で始まる。一実施例において、薄膜抵抗器材料112Aはシリコンクロム(SiCr)である。一実施例において、薄膜抵抗器材料112Aはニッケルクロム(NiCr)である。薄膜抵抗器材料112Aとして用いることができる他の材料には、炭素及び/又は酸素を含むSiCr及びNiCrの合金が含まれる。薄膜抵抗器材料の一般化された式は、CrVCWSiXNYOZと書くことができ、ここで、V、W、X、Y、及びZは各々、0以上4以下である。薄膜抵抗器材料112Aの厚みは、20~100オングストロームの範囲とし得る。一実施例において、薄膜抵抗器材料112Aは32オングストロームの厚みを有する。
【0018】
薄膜抵抗器材料112Aが堆積された後、フォトレジスト130の層が堆積され、薄膜抵抗器材料112Aの薄膜抵抗器が所望される部分のみを覆うようにパターニングされる。チップ100Aにおいて示されるように、ウェハは、フォトレジスト130によって覆われていない薄膜抵抗器材料112Aの部分を除去するためのエッチングプロセスの準備ができている。エッチングプロセスが完了した後、抵抗器112が形成されており、抵抗器112のためのヘッド厚みを画定するILD114が堆積される。図1Bに示されるように、フォトレジスト層132が、チップ100BのILD114上に堆積されており、抵抗器112の両端部上のヘッド領域を露出させるようにパターニングされ、その後、抵抗器112の表面上で停止するエッチングプロセスが続く。
【0019】
抵抗器112のヘッド領域のためのエッチングプロセスが完了した後、フォトレジスト132が除去され、薄膜抵抗器材料116Aが堆積される。ヘッド領域のための開口がILD114を介してエッチングされた位置において、薄膜抵抗器材料116Aはコンタクト開口のエッジをライニングし、ILD114の表面のすべての他のエリアにおいて、薄膜抵抗器材料116Aは平坦な層を形成する。抵抗器112と同様に、薄膜抵抗器材料116Aは、SiCr、NiCr、又は、炭素及び/又は酸素を含むこれらの2つの材料の任意の合金とし得る。薄膜抵抗器材料116Aの厚みは、250~500オングストロームの範囲とし得る。一実施例において、薄膜抵抗器材料116Aは400オングストロームの厚みを有する。その後、エッチ遅延層118が層114の上に堆積され、エッチ遅延層118は薄膜抵抗器材料116Aの輪郭に従う。一実施例において、エッチ遅延層118は、エッチ遅延剤の薄い層が2つの誘電体層の間に挟まれる3層サンドイッチ状の材料を含む。
【0020】
図1Dは、エッチ遅延層118を形成する3層の材料100Dの一実施例を示す。この実施例の最も低いレベルにおいて、誘電体層119が、薄膜抵抗器材料116Aに直接重なり、エッチ遅延層121が薄膜抵抗器材料116Aに接するのを防止して、エッチ遅延層121と薄膜抵抗器材料116Aとの間の望ましくない反応を防止する。誘電体層119は、酸化物又は窒化物などの任意の適切な誘電体とし得、0~500オングストロームの範囲の厚みを有し得る。一実施例において、誘電体層119は100オングストロームの厚みを有する酸化物である。エッチ遅延層121は、3つの層の中央を形成し、エッチングプロセスに対して選択的である同じ性質の窒化物、シリコンカーバイド、又はその他の誘電体から形成され得る。少なくとも一実施例において、エッチ遅延層121は、エッチングプロセスに対して高度に選択的である。エッチ遅延層121は50~700オングストロームの範囲の厚みを有し得る。一実施例において、エッチ遅延層121は400オングストロームのシリコン窒化物を含む。エッチ遅延層121の正確な厚みは、用いられるスタック、及び具体的なエッチングプロセスに基づく。3層100Dの第3の層は、ハードマスクとして機能する誘電体層123である。一実施例において、誘電体層123は150オングストロームの酸化物を含む。
【0021】
図1Eは、図1Cの点線140で囲まれた領域を示し、わかりやすくするために拡大されている少数の層のみを含む。層119、121、123を含むエッチ遅延層118の堆積後、フォトレジスト層134が堆積され、所望の抵抗器116の外側の薄膜抵抗器材料116Aの部分を除去するようにパターニングされる。図1Eに示されるように、エッチ遅延層118の層119、121、123はエッチングされているが、下にある層116Aはまだエッチングされていない。説明される実施例において、エッチ遅延層118を除去するエッチングプロセスに続いて、フォトレジスト134の残りの部分がアッシングされ、ウェハが洗浄される。アッシング及び洗浄は、特定の望ましくないデバイス効果を防止するために行われる。これに続いて、フォトレジスト層136が堆積され、フォトレジスト層136はパターニングされ、薄膜抵抗器材料116Aの不要な部分をエッチング除去して、抵抗器ヘッド116及び抵抗器117を形成するために用いられ、続いて、フォトレジスト136が取り除かれる。なお、図1Eのエッチングのために用いられるマスクと、図1Fのエッチングのために用いられるマスクは同じマスクである。
【0022】
その後、ILD120が、抵抗器117及び抵抗器ヘッド116に重なって堆積される。記載される方法における最終的な要素は、ビア120を形成することである。フォトレジスト138が、ILD120上に堆積され、エッチングプロセスのためにパターニングされる。通常、ビアエッチ化学成分は、CF4、CXFY、CXHYFZなどのフッ素化プラズマを用い、ここで、X=1-4、Y=1-4、及びZ=1-4である。ビアエッチ化学成分は、アルゴンプラズマ又は酸素プラズマを用いることもできる。レベル間誘電体の層は、約4000オングストローム~約1ミクロンの厚みで変動し得、レベル毎で変動し得る。ILD層104、110、114のために用いられる材料は、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)、プラズマ励起TEOS堆積(PETEOS)を用いて堆積された二酸化シリコンなどの誘電体を含み得、或いは、フッ素化又は低k誘電体であってもよい。層120のための誘電体は、酸化物、ドープされた酸化物、低k誘電体、又はフルオロシリケートガラス(FSG)とし得る。ビアの臨界寸法は、0.15ミクロン~1.0ミクロンの範囲とし得る。エッチ遅延剤の厚みは、エッチ遅延剤がエッチングプロセスによって除去されるが、エッチングプロセスが実質的に薄膜抵抗器材料116Aのいずれも消費することができないように、注意深く調整され得る。記載されるプロセスは、ビアエッチングプロセスが3つの異なるレベル上に実質的に同時に穏やかに着地することを可能にする。特に、2つのタイプの抵抗器をプロセスフローに追加することは、3つの付加的なマスク、すなわち、図1Aに示されるようなフォトレジストレイアウトを提供するための第1のマスク、図1Bに示されるようなフォトレジストレイアウトを提供するための第2のマスク、及び図1Eに示されるようなフォトレジストレイアウト及び図1Fに示されるようなフォトレジストレイアウトの両方のために用いられる第3のマスクしか必要としない。(ビアのために図1Gのチップをパターニングするために用いられるマスクは、チップの他の部分のために不可欠であり、付加的な要素ではない。)また、説明される方法は、単一のタイプのTFRのみがプロセスに追加される場合に用いることができ、TFRの単一のタイプは、HSR又はLSRのいずれかとし得る。この状況では、第2の抵抗器を画定するために必要なマスクは不要であり、下にある抵抗器のためのヘッドを画定するためのマスクも不要である。
【0023】
図2は、考察された他の方法と比べた、記載される方法に対するLSR調和を示す。X軸は個別の方法を示し、Y軸はチップ上の抵抗器間の差(Δ)の累積(Σ)を表す調和数を表す。ΣΔがゼロであるのが理想的である。BSL0は、出発点であり、約8000の芳しくないΣΔ値となった。他のテストされたプロセスBSL1、BSL2、BSL3は、約3500~5200の範囲のΣΔ値を提供した。BSL4として示される記載されたプロセスは、ΣΔを3000未満の約2600の値まで低下させる唯一のプロセスであった。ここで、ΣΔの値を更に低下させるために、抵抗器調和の他の要素における改善を考察することができる。
【0024】
図3はICチップ300の一部を示し、ICチップ300は、記載されるプロセスを用いるが、この実施例においてLSRである1つのタイプの抵抗器のみを含む。ICチップ300は半導体基板302を含み、その上にデバイスが形成されているが、具体的には示されていない。ILD304が、半導体基板302に重なり、コンタクト308を含み、コンタクト308は、ILD304を介して、基板302に組み込まれるデバイス(具体的には示されていない)に金属-1層306を結合するように延在する。第2のILD層310が、金属‐1層306に重なっており、抵抗器317を支持する。エッチ遅延層318が、やはり3層であり得、抵抗器317の頂部表面に重なるが、ビア322によって貫通され、金属‐1層との電気的コンタクトを成すために他のビア322も存在する。ILD320が抵抗器317に重なる。LSR抵抗器のみが用いられる場合、抵抗器112をエッチングするための図1Aに示されるマスクも、抵抗器112へのコンタクトをエッチングするための図1Bに示されるマスクも不要であり、従って、単一タイプの抵抗器を提供することは、単一の付加的なマスク、すなわち、抵抗器117の境界をエッチングすることのみを必要とする。エッチ遅延層318を用いることにより、エッチングプロセスは、抵抗器304及び金属‐1層106の両方に実質的に同時に穏やかに着地することができる。
【0025】
図4A図4Dは、ICチップ上のTFR調和を改善するための方法400を示す一連のフローチャートを示す。この方法は、チップ上に2つの異なるタイプの抵抗器を形成することに向けられているが、抵抗器の1つのタイプのみを形成するときに排除される要素が記載されている。図4Aにおいて、フローチャート400Aは、半導体デバイスが上に形成された半導体基板を提供する(405)プロセスで開始する。上述したように、半導体基板内及び上に形成されるデバイスの厳密な性質は、記載される方法には関連しない。任意のタイプの電子デバイスが、任意のタイプの半導体基板において形成され得る。この方法は、半導体基板に直接重なる第1のILD層を堆積すること(410)で続く。第1のILD層を介して延在するコンタクトが形成され(415)、一般に、数百又は数千のこのようなコンタクトが単一のチップ上に形成される。コンタクトに結合されるメタライゼーション層も形成される(420)。用いられる具体的な金属プロセス又は金属は、任意の既知又は未知のプロセスとし得る。上述の実施例では、この層は金属‐1層であり、そのため、抵抗器は金属‐1と金属‐2層との間に形成されたが、他のメタライゼーション層間に配置された抵抗器もこの例示の実施例の範囲内に入る。次に、第2のILD層がメタライゼーション層上に堆積される(425)
【0026】
図4Bにおいて、方法400Bは、第2のILD層上に第1の薄膜抵抗器材料を堆積すること(430)で続く。薄膜抵抗器材料のこの層は、パターニング及びエッチングされて(435)、第1の抵抗器が形成される、すなわち、抵抗器の境界が画定される。その後、第3のILD層が第1の抵抗器に重なって堆積され(440)、この第3のILD層がパターニング及びエッチングされて(445)、第1の抵抗器のためのヘッド領域が形成される。要素430~445を含む、フローチャート400Bによって表される方法は、特定の実施例のために一つのタイプの抵抗器のみが不可欠である場合には排除され得る。
【0027】
図4Cは、第3のILD層上に第2の薄膜抵抗器材料を堆積すること(450)によってフローチャート400Cで継続する。この第2の薄膜抵抗器材料は、第3のILD層の表面上に堆積され得、二つのタイプの抵抗器が提供される場合、第1の抵抗器にエッチングされたヘッド領域の表面上にも堆積され得る。第2の薄膜抵抗器材料に重なってエッチ遅延層が堆積される(455)。一実施例において、エッチ遅延層は3層ハードマスクであり、その堆積は、図4Dに示す3つの個別の堆積プロセスを必要とする。プロセス400Dにおいて、第1の誘電体が堆積され(480)、続いてエッチ遅延材料が堆積される(482)。最後に、第2の誘電体がエッチ遅延材料の上に堆積される(484)。
【0028】
再び方法400Cを参照すると、エッチ遅延層が堆積された後、エッチ遅延層と第2の薄膜抵抗器材料の両方がパターニング及びエッチングされて(460)、第2の抵抗器及び第1の抵抗器ヘッドが形成される。このプロセスの一実施例は図4Eにおいてより詳細に示され、ここで、方法400Eは、第1のマスクを用いてエッチ遅延層に重なる第1のフォトレジスト層を堆積及びパターニングすること(488)、それに続いて、エッチ遅延層をエッチングする(490)ことを含む。第1のフォトレジスト層の残りの部分がアッシングされ(492)、ICチップが洗浄される。これに続いて、同じく第1のマスクを用いて、エッチ遅延層及び第2の薄膜抵抗器材料に重なる第2のフォトレジスト層が堆積及びパターニングされる(494)。第2の導電性材料はエッチングされる(496)。これに続いて、第2のフォトレジスト層の残りの部分をアッシングし(498)、ICチップを洗浄する。再び方法400Cを参照すると、第4のILD層が第2の抵抗器に重なって堆積され(465)、続いて、第1の抵抗器、第2の抵抗器のヘッド、及びコンタクトにビアを形成するために第4のILD層がパターニングされる(470)。次いで、この方法は、第1のエッチ化学成分を用いて、第1の抵抗器、第2の抵抗器のヘッド、及びコンタクトへのビアを同時にエッチングする。エッチ遅延層は第1のエッチ化学成分に対して選択的であり、エッチ遅延層の厚みは慎重に選択されたので、このビアエッチングプロセスは、エッチ遅延層の実質的に全ての露出部分を除去し、下にある第1の薄膜抵抗器材料の消費を実質的に防止する。これで記載される方法が終了するが、金属‐2層の堆積など、チップが完了したと見なされる前に、更なるプロセスがICチップ上で実施され得る。
【0029】
ICチップ上のTFR調和を改善するための記載されるデバイス及び方法は、薄膜抵抗器上のビアの改善された着地のため、改善された抵抗器調和を実証する。記載されるプロセスは、TFR又はTFRヘッドに、よりスムーズで制御されたオーミックコンタクトを提供する。エッチングプロセスに所望の選択性を提供するSiN、SiON、SiC、又は他の化合物とし得るエッチ遅延層が、TFRを画定する頂部伝導性層に重なり、下にあるTFRのヘッドを画定することもできる。エッチ遅延層の厚みは、用いられる具体的なエッチング、及びエッチングが作用しなければならない層に関して決定され、抵抗器及び抵抗器ヘッド上に穏やかに着地するように注意深く微調整される。
【0030】
特許請求の範囲内で、記載される配置に変形が可能であり、他の付加的な配置が可能である。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図5A
図5B