(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ロールディスペンサー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230125BHJP
B65D 25/52 20060101ALI20230125BHJP
B65D 5/72 20060101ALI20230125BHJP
A47K 10/32 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65D83/08 G
B65D25/52 C
B65D5/72 A
A47K10/32
(21)【出願番号】P 2018120318
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】中島 亮
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-230146(JP,A)
【文献】特開平10-086938(JP,A)
【文献】特開平07-096937(JP,A)
【文献】特開2007-055614(JP,A)
【文献】特開2002-347780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/52
B65D 5/72
A47K 10/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールワイパーを収容して、持ち運び可能なロールディスペンサーであって、
シート状に展開可能に構成され、
周面及び前記周面に折れ線を介して接続された端面フラップを少なくとも備え、前記ロールワイパーを収容する筒状に形成された段ボール製の本体と、
前記
周面に前記ロールワイパーの軸方向に対応する第1の方向に沿って形成され、前記ロールワイパーを取り出し可能なスリットと、
前記
周面に形成され、前記第1の方向に沿って長手方向が設定されて、前記ロールワイパーを引き出す際に前記本体を把持可能な複数の切り欠き部と、
前記端面フラップに折れ線を介して接続され、前記第1の方向から視て
前記本体の周方向における前記スリット
の端部及び複数の切り欠き部
の各端部を頂点とした多角形の内部に配置され、前記ロールペーパーを軸支する支持片と、
前記端面フラップに形成され、前記支持片が差し込まれて前記支持片を前記第1の方向に直交する第2の方向への倒れを規制するスリット状の規制部と、
を備えていることを特徴とするロールディスペンサー。
【請求項2】
前記支持片は、前記本体に前記第1の方向の両端に設けられ、前記ロールワイパーの中空軸を軸支可能であることを特徴とする請求項1記載のロールディスペンサー。
【請求項3】
前記本体は、断面正n角形状(n≧6)に形成されていることを特徴とする請求項1
又は2記載のロールディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールワイパーが収容されるロールディスペンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等では、油汚れ等を拭き取る目的でロールワイパーが使用されている。このようなロールワイパー表面への汚れの付着を防止して清浄状態で持ち運び可能なロールワイパーの収容容器が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ロールワイパーの切断後に、切断端部が収容箱内に引き込まれないように、取出口に切り込みを設けたものが開示されている。また、特許文献2には、スリットを通してロール状シートを引き出すことにより、シートの先端部分の巻き戻りを防止するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-34180号公報
【文献】特開2010-235191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような収容箱は、収容容器がロールワイパーの引き出しに伴って回転しないように、ユーザが、収容容器をテーブル等に押えつけながらロールワイパーを引き出さなければならず、収容容器の使い勝手が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、ロールワイパーを引き出し易いロールディスペンサーを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にロールディスペンサーは、ロールワイパーを収容して、持ち運び可能なロールディスペンサーであって、シート状に展開可能に構成され、周面及び前記周面に折れ線を介して接続された端面フラップを少なくとも備え、前記ロールワイパーを収容する筒状に形成された段ボール製の本体と、前記周面に前記ロールワイパーの軸方向に対応する第1の方向に沿って形成され、前記ロールワイパーを取り出し可能なスリットと、前記周面に形成され、前記第1の方向に沿って長手方向が設定されて、前記ロールワイパーを引き出す際に前記本体を把持可能な複数の切り欠き部と、前記端面フラップに折れ線を介して接続され、前記第1の方向から視て前記本体の周方向における前記スリットの端部及び複数の切り欠き部の各端部を頂点とした多角形の内部に配置され、前記ロールペーパーを軸支する支持片と、前記端面フラップに形成され、前記支持片が差し込まれて前記支持片を前記第1の方向に直交する第2の方向への倒れを規制するスリット状の規制部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、ユーザが切り欠き部に指を入れてロールディスペンサーを把持することにより、ロールワイパーの引き出しに伴ってロールディスペンサーが回転することが抑制されるため、ロールワイパーを簡便に引き出し、またはシートをカットすることができる。また、本体が段ボールで構成されていることにより、ロールディスペンサーを省コストで製造することができる。さらに、規制部が支持片の姿勢を維持するため、ロールワイパーを長期に亘って引き出すことができる。
【0009】
また、本発明に係るロールディスペンサーは、前記支持片が、前記本体に前記第1の方向の両端に設けられ、前記ロールワイパーの中空軸を軸支可能であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、支持片がロールワイパーをロールディスペンサー内の所定位置に位置決めするために、ロールワイパーがロールディスペンサーに接触することなく円滑に引き出すことができる。
【0013】
また、本発明に係るロールディスペンサーは、前記本体は、断面正n角形状(n≧6)に形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ユーザがロールディスペンサーを把持し易い形状にロールディスペンサーの断面形状が形成されるため、ロールワイパーを簡便に引き出すことができる
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ユーザが切り欠き部に指を入れてロールディスペンサーを把持することにより、ロールワイパーの引き出しに伴ってロールディスペンサーが回転することが抑制されるため、ロールワイパーを簡便に引き出し、またはシートをカットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロールディスペンサーを示す斜視図。
【
図2】ロールワイパーを収容した状態のロールディスペンサーの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0022】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0023】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るロールディスペンサー1を模式的に示す斜視図である。
図2は、ロールワイパーRを収容した状態のロールディスペンサー1の縦断面図である。
【0025】
ロールディスペンサー1は、所定間隔毎に設けられたミシン目を介して連続する紙や不織布等をロール状に形成したロールワイパーRを収容するものである。
【0026】
ロールディスペンサー1の本体2は、ロールワイパーRよりも若干大きく形成されている。例えば、ロールワイパーRの軸方向の寸法が300mmであり、外径寸法が150mmである場合、本体2は、ロールワイパーRの軸方向に沿った長手方向Lの寸法が310mmであり、長手方向Lに直交する幅方向の寸法が160mmに設定される。
【0027】
本体2は、略正六角柱状に形成されている。なお、本体2の断面形状は、多角形に形成されるのが好ましい。これにより、ロールディスペンサー1がテーブル等の上で回転することを抑制することができる。さらに好ましくは、本体2の断面形状は、正n角形(n≧6)に形成される。これにより、後述するスリット3をユーザが把持し易い位置に設けることができる。
【0028】
本体2の素材は、例えば、プラスチック、金属、段ボール等が好ましい。本体2を段ボールやプラスチックで構成した場合には、後述するようにロールディスペンサー1を小さく折り畳むことができる。また、本体2を段ボールで構成した場合には、ロールディスペンサー1の省コストを製造することができる。
【0029】
本体2の周面には、スリット3が設けられている。スリット3は、本体2に収容されたロールワイパーRを引き出すために設けられている。ロールワイパーRをスリット3の端部にそれぞれ設けられた凹部4に引っ掛けた状態でミシン目に沿ってロールワイパーRを切り取ることにより、隣接するロールワイパーRの巻き戻りを抑制することができる。スリット3は、ロールワイパーRを引き出し可能な大きさに形成され、例えば、長手方向Lの寸法が300mm、幅方向の寸法が15mmに設定される。
【0030】
また、本体2の周面には、2つの切り欠き部5が設けられている。2つの切り欠き部5は、ユーザが本体2からロールワイパーRを引き出す際に、指を引っ掛けて把持し易い位置に設けられている。切り欠き部5は、ユーザの手が挿入可能な大きさに形成され、例えば、長手方向Lの寸法が150mm、幅方向の寸法が30mmに設定される。
【0031】
本体2の内部には、ロールワイパーRの中空軸を軸支する支持片6が設けられている。支持片6は、長手方向Lに沿って立設されており、ロールワイパーRの両端にそれぞれ2つずつ設けられている。支持片6が、ロールワイパーRをロールディスペンサー1の略中央に位置決めすることにより、ロールワイパーRが本体2に接触して引き出しにくくなることを抑制できる。なお、支持片6は、片持ち状態でロールワイパーRの端部を支持するため、支持片6を高強度の材質で形成するか、後述するように規制部15で支持片6を補強するのが好ましい。
【0032】
ロールディスペンサー1は、折り畳み可能に形成されている。
図3は、ロールディスペンサー1の展開図である。
図3中の破線部分は、折れ線を示す。本体2は、1枚のシートで構成されており、周面7と、端面8と、周面フラップ9と、端面フラップ10と、を備えている。
【0033】
6つの周面7及び周面フラップ9は、長手方向Lに直交する幅方向Wに沿う折れ線を介して連続して形成されている。周面7の端部に設けられた第1の差し込み片11は、周面フラップ9の第1の差し込み部12に差し込み可能である。第1の差し込み片11を第1の差し込み部12に差し込むことにより、本体2を筒状に形成することができる。
【0034】
周面7の長手方向Lの両端には、折れ線を介して端面8又は端面フラップ10が接続されている。
【0035】
2つの端面8のうち長手方向Lの固定側に設けられた第2の差し込み片13aは、略台形に形成されており、端面フラップ10の第2の差し込み部14aにいわゆるはめ殺し状態で差し込まれる。
【0036】
一方、2つの端面8のうち長手方向Lの開閉側に設けられた第2の差し込み片13bは、略正方形に形成されており、端面フラップ10の第2の差し込み部14bに抜き差し自在に差し込まれる。
【0037】
これにより、ロールワイパーRが消費された後には、第2の差し込み片13aを第2の差し込み部14aに差し込んだ状態で、第2の差し込み片13bを第2の差し込み部14bから抜いて開閉側の端面8を開くことにより、ロールワイパーRを交換することができる。
【0038】
このようにして、ロールディスペンサー1は、シート状の折り畳み状態から、接着剤等を用いることなくロールワイパーRを収容可能な使用状態に簡便に移行することができる。
【0039】
長手方向Lの固定側に設けられた5つの端面フラップ10のうち2つ及び長手方向Lの開閉側に設けられた5つの端面フラップ10のうち2つには、支持片6が設けられている。支持片6は、端面フラップ10に対して折り返されることにより、片持ち状態でロールワイパーRを軸支可能である。
【0040】
長手方向Lの固定側に設けられた端面フラップ10のうち少なくとも1つには、支持片6を差し込むスリット状の規制部15が形成されている。固定側の2つの支持片6が規制部15に差し込まれることにより、規制部15がロールワイパーRを支持する支持片6の姿勢を維持するため、支持片6がロールワイパーRを長期に亘って軸支することができる。
【0041】
このようにして、本実施形態に係るロールディスペンサー1は、ユーザがスリット3に指を入れてロールディスペンサー1を把持することにより、ロールワイパーRの引き出しに伴ってロールディスペンサー1が回転することが抑制されるため、ロールワイパーRを簡便に引き出すことができる。
【0042】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0043】
1 ・・・ロールディスペンサー
2 ・・・本体
3 ・・・スリット
4 ・・・凹部
5 ・・・切り欠き部
6 ・・・支持片
7 ・・・周面
8 ・・・端面
9 ・・・周面フラップ
10 ・・・端面フラップ
11 ・・・第1の差し込み片
12 ・・・第1の差し込み部
13a、13b・・・第2の差し込み片
14a、14b・・・第2の差し込み部
15 ・・・規制部
L ・・・長手方向
W ・・・幅方向