IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-オイル分離装置 図1
  • 特許-オイル分離装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】オイル分離装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
F01M13/04 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018179195
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020051289
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁尾 雅彦
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-036738(JP,A)
【文献】特開平11-324636(JP,A)
【文献】実開昭57-171113(JP,U)
【文献】特開2013-231395(JP,A)
【文献】実開平04-107433(JP,U)
【文献】実開昭57-171112(JP,U)
【文献】特開2018-204443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00- 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのクランク室の下部に形成されたオイルパンと、
吸気流路およびチェーン室に接続され、前記チェーン室から導入したガスからオイルを分離するとともに、前記オイルを分離したガスを前記吸気流路に供給するオイルセパレータと、
前記オイルパン内または前記クランク室内において鉛直上方に向かって一端が開口し、前記オイルセパレータ内において鉛直上方に向かって他端が開口し、前記オイルセパレータによって分離されたオイルが前記他端から導入され、鉛直下方に向かって少なくとも一部が湾曲するオイル戻しパイプと、
を備え、
前記オイル戻しパイプにおける前記一端に向かって鉛直上方に延伸する第1の部分の断面積と、前記オイル戻しパイプにおける前記一端の開口面積とが等しく、
前記オイル戻しパイプにおける前記他端に向かって鉛直上方に延伸する第2の部分の断面積と、前記オイル戻しパイプにおける前記他端の開口面積とが等しく、
前記オイル戻しパイプにおいて、前記一端の開口面積および前記第1の部分の断面積が、前記他端の開口面積および前記第2の部分の断面積よりも小さいオイル分離装置。
【請求項2】
前記一端は、前記他端よりも、鉛直下方に位置する請求項1に記載のオイル分離装置。
【請求項3】
前記一端は、前記エンジン内を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻し孔の鉛直下方に位置する請求項1または2に記載のオイル分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンに設けられたオイルリターン装置において、オイルリターン通路の下方部を、オイルパン内に開口した開口端が上方を向いたU字状に形成し、U字状の最下方部から開口端までの高さを、クランク室内圧上昇時にブローバイガスが最下方部を超えることのない高さ以上に設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平6-45606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、オイルリターン通路の最下方部から開口端までの高さを確保するために、スペースを多くとるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、オイル分離装置を省スペースとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のオイル分離装置は、エンジンのクランク室の下部に形成されたオイルパンと、吸気流路およびチェーン室に接続され、前記チェーン室から導入したガスからオイルを分離するとともに、前記オイルを分離したガスを前記吸気流路に供給するオイルセパレータと、前記オイルパン内または前記クランク室内において鉛直上方に向かって一端が開口し、前記オイルセパレータ内において鉛直上方に向かって他端が開口し、前記オイルセパレータによって分離されたオイルが前記他端から導入され、鉛直下方に向かって少なくとも一部が湾曲するオイル戻しパイプと、を備え、前記オイル戻しパイプにおける前記一端に向かって鉛直上方に延伸する第1の部分の断面積と、前記オイル戻しパイプにおける前記一端の開口面積とが等しく、前記オイル戻しパイプにおける前記他端に向かって鉛直上方に延伸する第2の部分の断面積と、前記オイル戻しパイプにおける前記他端の開口面積とが等しく、前記オイル戻しパイプにおいて、前記一端の開口面積および前記第1の部分の断面積が、前記他端の開口面積および前記第2の部分の断面積よりも小さい。
【0007】
また、前記一端は、前記他端よりも、鉛直下方に位置するとよい。
【0008】
また、前記一端は、前記エンジン内を潤滑したオイルを前記オイルパンに戻すオイル戻し孔の鉛直下方に位置するとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オイル分離装置を省スペースとすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エンジンの構成を説明する概略図である。
図2】オイル分離装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、エンジン100の構成を説明する概略図である。なお、図1は、エンジン100の正面図である。図1に示すように、エンジン100は、2つのシリンダブロック102a、102bと、2つのシリンダヘッド104a、104bと、2つのキャリア106a、106bと、2つのロッカーカバー108a、108bと、チェーンカバー112とが設けられている。
【0013】
2つのシリンダブロック102a、102bの間には、シリンダブロック102aと一体形成されたクランクケース110aと、シリンダブロック102bと一体形成されたクランクケース110bとが設けられている。
【0014】
本実施形態のエンジン100は、チェーンカバー112が車両の前方向に位置するように、エンジンルーム内に配置される。
【0015】
エンジン100は、図1中、右側から左側に向かって、ロッカーカバー108a、キャリア106a、シリンダヘッド104a、シリンダブロック102a、クランクケース110a、クランクケース110b、シリンダブロック102b、シリンダヘッド104b、キャリア106b、ロッカーカバー108bが水平方向に並んで配置される水平対向エンジンである。
【0016】
また、シリンダブロック102a、102b、シリンダヘッド104a、104b、キャリア106a、106b、ロッカーカバー108a、108bの前面側には、これらの前面を覆うようにチェーンカバー112が接合されている。
【0017】
そして、シリンダブロック102a、102b、シリンダヘッド104a、104b、キャリア106a、106b、および、ロッカーカバー108a、108bの前面と、チェーンカバー112とにより囲まれた空間がチェーン室114として形成される。また、シリンダヘッド104aとロッカーカバー108aとに囲まれた空間、および、シリンダヘッド104bとロッカーカバー108bとに囲まれた空間がロッカー室109a、109bとして形成される。
【0018】
また、2つのクランクケース110a、110bの内部空間(すなわち、2つのクランクケース110a、110bに囲繞された空間)がクランク室111として形成される。
【0019】
2つのシリンダブロック102a、102bの間には、クランクシャフト116が回転自在に支持される。キャリア106aには、吸気ポートを開閉する吸気弁を移動させるためのカムが固定された吸気用カムシャフト118a、および、排気ポートを開閉する排気弁を移動させるためのカムが固定された排気用カムシャフト120aが回転自在に支持されている。同様に、キャリア106bには、吸気用カムシャフト118bおよび排気用カムシャフト120bが回転自在に支持されている。
【0020】
なお、詳しい説明は省略するが、シリンダブロック102a、102bには、複数のシリンダボアが形成されている。それぞれのシリンダボアには、クランクシャフト116に対してコネクティングロッド(不図示)を介して接続されたピストン(不図示)が水平方向に摺動可能に配置されている。そして、ピストンの往復動により、クランクシャフト116が回転駆動される。
【0021】
また、チェーン室114には、吸気用カムシャフト118a、118bの一端に設けられたカムスプロケット130a、130b、排気用カムシャフト120a、120bの一端に設けられたカムスプロケット132a、132bが配置されている。
【0022】
また、チェーン室114には、クランクシャフト116の一端に設けられた駆動用のスプロケット134が配置されている。そして、駆動用のスプロケット134と、カムスプロケット130aと、カムスプロケット132aとには、タイミングチェーン136aが掛け渡される。また、駆動用のスプロケット134と、カムスプロケット130bと、カムスプロケット132bとには、タイミングチェーン136bが掛け渡されている。
【0023】
これにより、クランクシャフト116が回転すると、タイミングチェーン136aを介して吸気用カムシャフト118aおよび排気用カムシャフト120aが回転駆動される。また、タイミングチェーン136bを介して吸気用カムシャフト118bおよび排気用カムシャフト120bが回転駆動される。なお、本実施形態では、クランクシャフト116は、図1中、時計回りに回転駆動し、タイミングチェーン136a、136bは、クランクシャフト116の回転に伴って、時計回りに移動する。
【0024】
また、シリンダブロック102a、102bおよびクランクケース110a、110bの鉛直下方にはオイルパン201が設けられている。オイルパン201内には、オイルが貯留されている。オイルパン201には、不図示のオイルポンプが接続されており、オイルパン201内に貯留されているオイルを吸引し、吸引したエンジンオイルをエンジン100各部に供給する。
【0025】
具体的には、オイルポンプにより吸引されたオイルがオイルギャラリを介してロッカー室109a、109bに供給される。そして、ロッカー室109a、109bに供給されたオイルの一部が、シリンダブロック102bに設けられたオイル戻し孔206a、206bを介してオイルパン201に導かれる。また、ロッカー室109a、109bに供給されたオイルの一部は、吸気用カムシャフト118a、118bおよび排気用カムシャフト120a、120bの内部空間を通ってチェーン室114に供給される。チェーン室114に供給されたオイルは、カムスプロケット130a、130b、132a、132bに供給され、カムスプロケット130a、130b、132a、132bを潤滑する。その後、オイルは、タイミングチェーン136a、136bに付着し、タイミングチェーン136a、136bの移動に伴って駆動用のスプロケット134に導かれ、駆動用のスプロケット134を潤滑する。また、オイルパン201内またはクランク室111内には、オイルセパレータ202が設けられている。
【0026】
また、エンジン100は、シリンダブロック102aおよびシリンダヘッド104aに、クランク室111とロッカー室109aを連通する連通路142aを設けている。また、エンジン100は、シリンダブロック102bおよびシリンダヘッド104bに、クランク室111とロッカー室109bを連通する連通路142bを設けている。
【0027】
連通路142a、142bは、鉛直方向(図1中、上下方向)において、吸気用カムシャフト118a、118bおよび排気用カムシャフト120a、120bよりも高い位置でロッカー室109a、109bとそれぞれ接続する。
【0028】
また、連通路142aには、クランク室111内のガスをロッカー室109aに供給(送出)するポンプ140aが設けられている。また、連通路142bには、クランク室111内のガスをロッカー室109bに供給(送出)するポンプ140bが設けられている。ポンプ140a、140bは、例えば、インラインポンプやベーンポンプである。さらに、ロッカー室109a、109b内を流通したガスは、ロッカー室109a、109bとチェーン室114とを連通する不図示の連通路を介して、チェーン室114へと導入される。
【0029】
図2は、オイル分離装置200の概略図である。オイル分離装置200は、オイルパン201と、オイルセパレータ202と、オイル戻しパイプ205と、を備える。
【0030】
オイルセパレータ202は、吸気流路210およびチェーン室114に接続される。オイルセパレータ202は、チェーン室114から導入したガスからオイルを分離するとともに、オイルを分離したガスを吸気流路210に供給する。
【0031】
オイルセパレータ202には、チェーン室ガス導入口203aおよび吸気流路排出口203bが鉛直方向上側に設けられる。
【0032】
上記したように、クランク室111内およびロッカー室109a、109b内を流通した後にチェーン室114内へと到達したガスは、オイルを含んでいる。チェーン室ガス導入口203aは、チェーン室114と連通し、チェーン室114内のガスがオイルセパレータ202内へと導入される。吸気流路排出口203bは、吸気流路210と連通し、オイルセパレータ202内に導入されたガスを吸気流路210に排出(還流)する。
【0033】
オイルセパレータ202の内部空間には、複数の衝突板204a、204bが設けられている。複数の衝突板204a、204bは、鉛直方向と直交する方向(水平方向)に延在する。また、オイルセパレータ202の内部空間には、チェーン室ガス導入口203aと吸気流路排出口203bとを隔てる壁部204cが設けられている。
【0034】
衝突板204aの一端は、オイルセパレータ202の内壁と接触しており、衝突板204aの他端は壁部204cと非接触である。衝突板204bの一端は、オイルセパレータ202の内壁と非接触であり、衝突板204aの他端は壁部204cと接触している。複数の衝突板204a、204bは、鉛直方向に並んで交互に配される。
【0035】
また、オイルセパレータ202の内部空間には、チェーン室ガス導入口203aから導入されたガスを吸気流路排出口203bへと導くとともに、チェーン室ガス導入口203aから導入されたガスが衝突板204a、204bに衝突し、自重により落下したオイルをオイル戻しパイプ205へと導く板部204dが設けられる。板部204dの一端は、オイルセパレータ202の内壁と非接触であり、板部204dの他端はオイルセパレータ202の内壁と接触している。また、オイルセパレータ202の内壁と板部204dの接触する一端よりも、オイルセパレータ202の内壁と非接触である板部204dの他端は、鉛直下方に位置する。
【0036】
チェーン室ガス導入口203aからオイルセパレータ202内に導入されたガスは、衝突板204a、204bと衝突する。また、衝突板204a、204bと衝突したガスは、衝突板204a、204bを迂回しながら、チェーン室ガス導入口203aから吸気流路排出口203bに向かって移動する。
【0037】
チェーン室ガス導入口203aからオイルセパレータ202内に導入されたガスは、衝突板204a、204bと衝突した際、ガスに含まれるオイルが分離される。また、ガスが衝突板204a、204bを迂回する際の遠心力により、ガスに含まれるオイルが分離される。
【0038】
このように、ガスがオイルセパレータ202内を流通する過程で、オイルが分離される。オイルセパレータ202によりオイルが低減されたガスは、吸気流路排出口203bから排出され、吸気流路に還流される。
【0039】
オイルセパレータ202の下方には、オイル戻しパイプ205が接続されている。オイル戻しパイプ205は、全体として、例えばU字形状を有し、オイルパン201内またはクランク室111内において鉛直上方に向かって一端205aが開口し、オイルセパレータ202内において鉛直上方に向かって他端205bが開口する。したがって、上記のようにしてオイルセパレータ202においてガスから分離されたオイルは、重力によって下方へと流下していき、他端205bから、オイル戻しパイプ205内へ供給される。
【0040】
また、オイル戻しパイプ205の一端205aは、エンジン100内を潤滑したオイルをオイルパン201に戻すオイル戻し孔206bの鉛直下方に位置する。例えば、図1に示すように、ロッカー室109bに供給されたオイルを戻すための流路がシリンダブロック102bに形成されており、この流路のオイルパン201に臨む開口部(オイル戻し孔206b)がオイル戻しパイプ205の一端205aの鉛直上方に位置している。したがって、オイル戻し孔206bから、オイル戻しパイプ205の一端205aを介してオイル戻しパイプ205内へオイルが供給される。
【0041】
このように、オイル戻しパイプ205へは、オイル戻し孔206bから常時オイルが供給されることとなるため、オイル戻しパイプ205内には常に一定量以上のオイルが入っている。そのため、オイルセパレータ202内とクランク室111内とが直接連通することはない。したがって、例えば、不図示のシリンダボアおよびピストンの隙間を介してクランク室111に流出したブローバイガスが、オイル戻しパイプ205を通って吸気流路210に直接導入されることを抑制することができる。
【0042】
また、オイル戻しパイプ205の一端205aの開口面積は、オイル戻しパイプ205の他端205bの開口面積よりも小さい。また、オイル戻しパイプ205の両側の鉛直方向に延伸する部分の断面積は、それぞれ、オイル戻しパイプ205の一端205aの開口面積、および、オイル戻しパイプ205の他端205bの開口面積と略等しくなっている。図2(a)は、クランク室111内の圧力P1が、オイルセパレータ202内の圧力P2と等しい場合を示している。例えば、エンジン100が低回転・低負荷の場合、圧力P1が圧力P2と略等しくなる。この場合、図2(a)に示すように、一端205a側のオイルの油面の高さ位置と、他端205b側のオイルの油面の高さ位置とが等しくなる。
【0043】
図2(b)は、クランク室111内の圧力P1が、オイルセパレータ202内の圧力P2よりも高い場合を示している。エンジン100が高回転・低負荷の場合には、不図示のシリンダボアおよびピストンの隙間を介してブローバイガスがクランク室111に多く流出することになる。そうすると、クランク室111内の圧力P1が、オイルセパレータ202内の圧力P2よりも高くなる。このようにクランク室111内とオイルセパレータ202内とで圧力差が生じると、一端205a側のオイルの油面の高さ位置と、他端205b側のオイルの油面の高さ位置とが異なることとなる。
【0044】
本実施形態では、オイル戻しパイプ205の一端205aの開口面積は、オイル戻しパイプ205の他端205bの開口面積よりも小さい。そのため、パスカルの原理により、オイルの吸い上げ高さh(一端205a側のオイルの油面の高さ位置と、他端205b側のオイルの油面の高さ位置との差)を極力小さくすることができる。これにより、オイルセパレータ202内へのオイルの侵入を抑制ことが可能となるので、オイル噴き(オイルが203bから吸気流路210へと導入されること)を抑制することできる。
【0045】
一方、例えば、オイル戻しパイプ205の一端205aの開口面積が、オイル戻しパイプ205の他端205bの開口面積と同じである場合や、オイル戻しパイプ205の一端205aの開口面積が、オイル戻しパイプ205の他端205bの開口面積より小さい場合、クランク室111内の圧力P1が、オイルセパレータ202内の圧力P2よりも高くなると、オイルの吸い上げ高さが上記hよりも高くなる。このような場合、オイルの油面位置がオイルセパレータ202内へ達してしまい、オイルが吸気流路210内へと導入されてしまうオイル噴きという現象が発生するおそれが生じてしまう。
【0046】
また、オイル戻しパイプ205の一端205aは、他端205bよりも、鉛直下方に位置する。これにより、クランク室111内の圧力P1が、オイルセパレータ202内の圧力P2よりも高くなり、オイル戻しパイプ205の一端205a側よりも他端205b側の油面が高くなったとしても、オイルセパレータ202内へのオイルの侵入を抑制することが可能となる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
上記実施形態では、オイル戻しパイプ205がU字形状を有する場合を示したが、オイル戻しパイプ205は、鉛直下方に向かって少なくとも一部が湾曲すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、オイル分離装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 エンジン
111 クランク室
114 チェーン室
200 オイル分離装置
201 オイルパン
202 オイルセパレータ
205 オイル戻しパイプ
205a 一端
205b 他端
206b オイル戻し孔
210 吸気流路
図1
図2