(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ペット用採尿セット及びペットの尿採取方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20230125BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20230125BHJP
G01N 33/493 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
A01K1/01 801Z
A01K29/00 B
G01N33/493 Z
(21)【出願番号】P 2018223727
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 武
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-158568(JP,A)
【文献】特開2013-247922(JP,A)
【文献】特開2005-058167(JP,A)
【文献】特開平10-229767(JP,A)
【文献】実開平02-113163(JP,U)
【文献】国際公開第2004/008843(WO,A1)
【文献】台湾実用新案公告第M423835(TW,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
A01K 23/00
A01K 29/00
G01N 33/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ本体と、該トイレ本体内を上層部分及び下層部分に区画する尿透過性の仕切層とを備え、底壁及び該底壁の周縁の全域に立設された側壁を具備する尿受け部を前記下層部分に有するペット用トイレを含んで構成されるペット用採尿セットであって、
前記ペット用採尿セットは、液透過性部材、第1非吸水性部材、及び該液透過性部材と該第1非吸水性部材との間に配された吸収体を具備する吸水性部材を更に備え、
前記吸水性部材は、前記液透過性部材が前記仕切層と対向するように前記尿受け部内に配置され、
前記吸水性部材が前記尿受け部内に配置された状態において、第1非吸水性部材の周縁部が該尿受け部の前記側壁に沿って立ち上がるように構成されており、
前記ペット用採尿セットは、前記吸水性部材が前記尿受け部内に配置された状態において、該吸水性部材上に配置され且つ前記仕切層に直面する第2非吸水性部材を更に備え
、
第2非吸水性部材が、尿の色を判断するための指標となる色見本部を有し、
第2非吸水性部材は、前記色見本部が前記仕切層に直面するように、前記尿受け部内に配置される、ペット用採尿セット。
【請求項2】
前記尿受け部は、前記トイレ本体に対して出し入れ可能なトレーであり、該トレーは、平面視で略四角形状を有している請求項1に記載のペット用採尿セット。
【請求項3】
第2非吸水性部材が第1白色部を有し、
第2非吸水性部材は、第1白色部が前記仕切層に直面するように、前記尿受け部内に配置される請求項1又は2に記載のペット用採尿セット。
【請求項4】
前記液透過性部材が第2白色部を有し、
第2非吸水性部材が透明部を有し、
第2白色部上に前記透明部が位置するように、前記液透過性部材及び第2非吸水性部材が前記尿受け部内に配置される請求項1又は2に記載のペット用採尿セット。
【請求項5】
ペットから排泄されて第2非吸水性部材上に落下した尿を採取するための請求項1~
4の何れか1項に記載のペット用採尿セット。
【請求項6】
前記請求項1~
5の何れか1項に記載のペット用採尿セットを用いたペットの尿採取方法であって、
前記ペットから排泄されて第2非吸水性部材上に落下した尿を吸い取って密封可能な容器に移し替えるか、或いは吸引機能を有する密封可能な容器で尿を直接吸い取って採取するペットの尿採取方法。
【請求項7】
前記ペットは、猫である請求項
6に記載のペットの尿採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用採尿セット及びこれを用いたペットの尿採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、屋内で猫や犬等のペットの排泄物を処理するためのペット用トイレが既に提案されて実用に供されている。このペット用トイレは、トイレ本体と、該トイレ本体内を上層部分と下層部分とに区画する尿透過性の仕切層を備え、前記下層部分に、尿を受けるためのトレー等の尿受け部を設けて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、ペットの健康管理の一環として、ペットの尿を採取して該ペットの健康状態を検査することが行われている。この検査は、ペットの腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の早期発見に有効であり、尿のpH値や比重の測定、尿の色や濁り具合等の目視観察等によって行われている。
【0004】
ペットがペット用トイレで排泄する場合、そのペットの尿を採取する方法の1つとして、ペットから排泄されて尿受け部であるトレーで受けられた尿をトレーから採尿カップ等に移し替えて採取することが行われている。この場合、トレーに受けられた尿を採尿カップ等へ容易に移し替えることができるように、トレーに注ぎ口を設ける提案が本出願人によってなされている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-174918号公報
【文献】特開2011-004664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ペット用トイレのトレーに受けられた尿をそのまま採尿カップ等に移し替える尿採取方法を採用した場合、トレーが汚れていると、尿が雑菌等によって汚染されてしまい、尿検査が正確に行われない可能性がある。このため、トレーを清潔に保つ必要があり、その手間が大変であるという問題がある。そして、採尿後にはトレーが尿で汚れてしまうため、トレーを掃除しなければならず、その手間も大変で飼い主の肉体的負担が大きいという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その課題は、尿を汚染させることなく簡単に採取でき、掃除の手間を少なくすることができるペット用採尿セット及びペットの尿採取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トイレ本体と、該トイレ本体内を上層部分及び下層部分に区画する尿透過性の仕切層とを備え、前記下層部分に、尿を受けるための尿受け部を有するペット用トイレを含んで構成されるペット用採尿セットであって、
前記ペット用採尿セットは、シート状の非吸水性部材を更に備え、
前記非吸水性部材は、前記ペット用採尿セットの使用時に、前記仕切層に直面するように前記尿受け部内に配置されるペット用採尿セットを提供するものである。
【0009】
本発明は、上記ペット用採尿セットを用いたペットの尿採取方法であって、
前記ペットから排泄されて前記非吸水性部材上に落下した尿を吸い取って密封可能な容器に移し替えるか、或いは吸引機能を有する密封可能な容器で尿を直接吸い取って採取するペットの尿採取方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、尿を汚染させることなく簡単に採取でき、掃除の手間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明に係るペット用採尿セットの排泄物処理材を省略して示す斜視図である。
【
図2】
図2は本発明に係るペット用採尿セットの斜視図である。
【
図3】
図3は本発明に係るペット用採尿セットの分解斜視図である。
【
図4】
図4は本発明に係るペット用採尿セットにおけるトレーへの非吸水性部材の配置構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は非吸水性部材の表面に形成された第1白色部と色見本部を示す平面図である。
【
図6】
図6(a)~(d)は本発明に係るペットの尿採取方法をその工程順に示す図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は本発明に係るペットの尿採取方法を示す図である。
【
図8】
図8(a)~(c)は本発明の他の実施形態を示すトレーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明のペット用採尿セットの一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
先ず、本発明に係るペット用採尿セットの構成を
図1~
図3に基づいて以下に説明する。
【0013】
図1は本発明に係るペット用採尿セットの排泄物処理材を省略して示す斜視図、
図2は同ペット用採尿セットの斜視図、
図3は同ペット用採尿セットの分解斜視図であり、本発明に係るペット用採尿セット10は、基本的にペット用トイレ1と、該ペット用トイレ1のトレー4内に敷設される非吸水性部材7(
図3参照)とを有している。
【0014】
ペット用トイレ1は、以下のように構成されている。
即ち、ペット用トイレ1は、トイレ本体2と、該トイレ本体2内を上層部分A及び下層部分Bに区画する尿透過性の仕切層3とを備えており、下層部分Bには、尿を受けるための尿受け部を構成するトレー4がトイレ本体2に対して出し入れ可能に設けられている。
図2に示すように、仕切層3上には、多孔質構造を有する粒状やペレット状の多数の排泄物処理材(チップ)20が敷設される。排泄物処理材20は、後述の内容器6内に収容される。
【0015】
トイレ本体2は、上面が開口する矩形ボックス状の外容器5と、該外容器5内に着脱可能に装着された矩形トレー状の内容器6とを備えている。ここで、外容器5は、
図3に示すように、底面を形成する平坦な底壁51と、該底壁51の周縁から立ち上がって当該外容器5の側面を形成する周壁52とを有している。底壁51と周壁52によって囲まれた内側部分に内容器6とトレー4とが収容される。
【0016】
図3に示すように、内容器6も外容器5と同様に底壁61と周壁62を有している。底壁61と周壁62によって囲まれた内側部分に、仕切層3上に敷設される多数の排泄物処理材20(
図2参照)が収容される。底壁61は、尿透過性の仕切層3として機能する。即ち、内容器6の底壁61は、略矩形の板状部材で構成されており、これには細長い矩形
スリット状の複数の貫通孔63が上下方向に貫設されている。複数の貫通孔63は、長手方向及び幅方向にそれぞれ所定の間隔をおいて整然と配列されており、各貫通孔63の幅は、粒状の排泄物処理材20(
図2参照)が通過しない程度の大きさに設定されている。
【0017】
トレー4は、底面を形成する平坦な底壁41と、該底壁41の周縁から斜めに立ち上がって当該トレー4の側面を形成する側壁42,43,44とを有しており、平面視で略四角形状を成す容器として構成されている。ここで、トレー4の底壁41は、外容器5の底壁51と同等の面積を有している。トレー4の側壁42~44の高さは、その上端部が内容器6の底壁61(仕切層3)に接触しない値に設定されている。尚、トレー4の側壁42,43は、何れも当該トレー4の長手方向(後述するトレー4の引き出し方向X)と直交するY方向(トレー4の幅方向)に延びており、一方の側壁42は、当該トレー4の引き出し方向Xの前端側に位置し、他方の側壁43は、引き出し方向Xの後端側に位置している。そして、トレー4の側壁44は、当該トレー4の引き出し方向X(長手方向)に延びている。
【0018】
前述のように、トレー4は、トイレ本体2(外容器5)に対して出し入れ可能であり、
図3に示すように、外容器5の周壁52の長手方向(
図3のX方向)の一方(トレー4の引き出し方向Xの前端側)に位置する部分には、幅方向に細長い矩形スリット状の開口部52aが形成されている。従って、トレー4は、開口部52aを通過してトイレ本体2(外容器5)から
図3の矢印方向Xに引き出すことができるとともに、引き出したトレー4を開口部52aに差し込んでこれを矢印方向Xとは逆方向に押し込むことによって該トレー4をトイレ本体2(外容器5)内に収納することができる。ここで、外容器5に形成された開口部52aの形状及び大きさは、トレー4の引き出し方向Xと直交するY方向(幅方向)の断面の形状及び大きさと略同じになるように設定されている。又、トレー4の長手方向(引き出し方向X)の長さは、外容器5の長手方向の長さと同等に設定されている。
【0019】
図3に示すように、トレー4の引き出し方向Xの前端側に位置する側壁42の上端には、トレー4の外側方に向かって略水平に延びるフランジ部45が一体に延設されている。フランジ部45の先端部には、鉛直下方に向かって延びる返し部46が一体に形成されており、この返し部46は、トレー4を引き出す際に指を引っ掛けるための把手として機能する。
【0020】
トイレ本体2を構成するトレー4と外容器5及び内容器6(仕切層3)の材質としては、耐食性を有するものであれば特に制限はないが、軽量で取り扱い易く、成形性に優れているものが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等の汎用の合成樹脂が好適に用いられる。又、トイレ本体2の表面には、撥水加工や抗菌加工を施すことが好ましい。
【0021】
多数の排泄物処理材20は、トイレ本体2の仕切層3(内容器6の底壁61)上に敷設された状態で
図2に示すように内容器6内に収容される。排泄物処理材20としては、ペットの尿の組成や特性に影響を与えないか、殆んど与えないものが好ましく、例えば、ガラスや、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂や、玉砂利等の鉱物等から成るものが好適に使用される。又、この排泄物処理材20の形状としては、例えば、円筒形状、球状、立方体、直方体等が選定される。
【0022】
ペット用採尿セット10の有する非吸水性部材7は、非吸水性の可撓性のシート状部材である。非吸水性部材7は、例えば、全体が尿を透過しない非吸水性の薄いフィルムによって構成されており、食品等を包むために一般家庭においても使用されているラップ等で
あっても良い。非吸水性部材7は、シート状の液透過性部材と、液難透過性のシート状の非吸水性部材と、それら部材の間に配された液保持性の吸収体とを具備するペット用トイレシートにおける該非吸水性部材であっても良い。また、非吸水性部材7は、プラスチック製或いはアルミニウム製の矩形状の部材であっても良い。
【0023】
非吸水性部材7は、ペット用採尿セット10の使用時に、仕切層3に直面するようにトレー4内に配置されるものである。仕切層3に直面するとは、非吸水性部材7と仕切層3との間に他の構成部材が何ら配されることなく、仕切層3に最も近い位置に非吸水性部材7が配置されることを意味する。
【0024】
図3及び
図4に示す本実施形態においては、非吸水性部材7として、トレー4の底壁41の面積と同等の面積を有する大きさの矩形のフィルム状のものが使用されている。該非吸水性部材7は、トレー4の底壁41上にほぼぴったり嵌め込まれた状態で敷設される。
【0025】
図5に示すように、非吸水性部材7の表面における尿が落下する箇所には、印刷等によって矩形の第1白色部71が形成されており、この第1白色部71の近傍には、非吸水性部材7上に落下して溜められる尿の色を判断するための指標となる色見本部72が印刷等によって形成されている。第1白色部71及び色見本部72は、ペット用採尿セット10の使用時に、仕切層3に直面するようにトレー4内に配置される。尚、本実施形態では、色見本部72は、濃い黄色に着色された黄色部分72aと、薄い黄色に着色された薄黄色部分72b及び赤色に着色された赤色部分72cの3つに区画されている。
【0026】
次に、以上のように構成されたペット用採尿セット10を用いてペットの尿を採取する方法について説明する。尚、以下においては、ペットが猫である場合の尿の採取方法について説明する。
【0027】
ペット用採尿セット10は、例えば、屋内の水平な床面上に
図2に示す状態で設置されてペットである猫の排泄に供される。猫は、ペット用トイレ1のトイレ本体2を乗り越えて内容器6内に収容された排泄物処理材20の上に載った状態で排泄を行う。そして排泄物処理材20によって消臭された尿は、内容器6の底壁61(仕切層3)に形成された貫通孔63(
図1及び
図3参照)を通過して落下し、外容器5内に収容されたトレー4によって受けられる。ここで、ペット用採尿セット10では、
図4に示すように、フィルム状の非吸水性部材7が仕切層3に直面するようにトレー4内に配置されているため、猫によって排泄された尿は、
図6(a)に示すように、非吸水性部材7上に落下して溜まる。
【0028】
非吸水性部材7上に尿が落下して溜まると、トレー4の返し部46(
図3参照)に手を掛けてトレー4をトイレ本体2の外容器5から
図3の矢印方向Xに引き出す。そして、引き出されたトレー4の底壁41上に敷設された非吸水性部材7上に溜まった尿は、
図6(b)に示すように、例えば、スポイト等の吸引具8によって吸い取ることができ、ペットから排泄される尿を汚染させることなく簡単に採取でき、掃除の手間を少なくすることができる。この吸引具8に吸い取られた尿は、
図6(c)に示すように、一端が開口する密封可能な細い有底筒状の容器9に移し替えられる。そして、尿が収容された容器9の開口部は、
図6(d)に示すように、栓9aによって密閉される。内部に尿が密封された容器9は、例えば動物病院に持ち込まれる。動物病院では、持ち込まれた容器9内の尿のpH値や比重の測定、尿検査紙による評価、尿の色や濁り具合等の目視観察等によって所要の尿検査が行われる。この尿検査は、猫の腎臓病、肝臓病、下部尿路疾患、糖尿病等の疾患の早期発見に有効である。
【0029】
本実施形態では、
図5に示すように、非吸水性部材7の表面には、第1白色部71が形成されている。そのため、この第1白色部71上に落下して溜まった尿の色を正確に判別
することができる。
図5に示す実施形態では、この第1白色部71において判別された尿の色は、非吸水性部材7の表面に形成された色見本部72の黄色部分72a、薄黄色部分72b及び赤色部分72cに着色された色(濃い黄色、薄い黄色及び赤色)と比較することもできる。この比較によって、尿の色が濃い黄色である場合には、猫の健康状態は正常であり、尿の色が薄い黄色である場合には、腎臓病が疑われ、尿の色が赤色である場合には、血尿であることが疑われる。このように尿の色を猫の飼い主自身が観察することによって、飼い主自身が猫の健康状態を或る程度判断することができる。
【0030】
図5に示す実施形態においては、非吸水性部材7の表面に、第1白色部71及び色見本部72が形成されているが、第1白色部71及び色見本部72の少なくとも一方を形成しなくてもよい。また、非吸水性部材7の表面の一部に第1白色部71を形成する代わりに、非吸水性部材7の表面の全体にわたって第1白色部71を形成してもよい。非吸水性部材7の表面の全体にわたって第1白色部71を形成するときには、該第1白色部71内に色見本部72を形成することが好ましい。
【0031】
ペット用採尿セット10を用いてペットの尿を採取する他の例としては、
図7(a)に示すように、しょう油差し等のような吸引機能を有する密閉可能な容器30を用いる方法である。容器30のキャップ31を外した状態で、非吸水性部材7上に溜まった尿を容器30によって直接吸い取る。このように尿を汚染させることなくペットから排泄される尿を簡単に採取でき、掃除の手間を少なくすることができる。その後、
図7(b)に示すように、該容器30をキャップ31によって密封する。この方法によって尿を密封した容器30は、例えば動物病院に持ち込まれて尿検査に供される。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、トレー4の底壁41上に非吸水性部材7を仕切層3に直面するように敷設している。その為、猫から排出されて落下する尿を非吸水性部材7によって受け、この非吸水性部材7上に溜まった尿を採取することができる。採取された尿は、トレー4の汚れによって汚染されることがなく、ペットから排泄される尿を簡単に採取できる。また例えば採取された尿を検査することによって猫の種々の疾患を早期に発見することができる。そして、尿を採取した後に非吸水性部材7をトレー4から取り除けば、トレー4には尿が付着することがないため、尿を採取した後にトレー4を掃除する必要がなく、そのための手間を省略して飼い主の肉体的負担を軽減することができる。
【0033】
本実施形態では、トレー4をトイレ本体2(外容器5)から引き出し、非吸水性部材7上に溜まった尿をスポイト等の吸引具8、又はしょう油差し等の吸引可能な容器30で吸い取る。吸引具8で吸い取った尿を容器9に移し替えた後、該容器9に栓9aをして尿を容器9に密封する(
図6参照)。或いは容器30に尿を吸い取った後に該容器30をキャップ31によって密閉する(
図7参照)。容器9又は容器30に密封した猫の尿は例えば動物病院に持ち込むことができる。
【0034】
次に、本発明のペット用採尿セットの他の実施形態を
図8(a)~(c)に基づいて以下に説明する。他の実施形態については、上述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、上述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0035】
図8(a)に示す例においては、トレー4の底壁41上に敷設された非吸水性部材7として、トレー4の底面積よりも大きな面積を有するフィルム状のものを用いている。該非吸水性部材7は、ペット用採尿セット10の使用時に、その周縁部がトレー4の側壁42~44に沿って立ち上げるようにトレー4内に配置される。このように配置されることによって、非吸水性部材7上に落下して溜まった尿がトレー4へと溢れるという不具合の発生を防ぐことができ、ペットから排泄される尿を簡単に採取できる。尚、
図8(a)に示
す非吸水性部材7においても、非吸水性部材7の表面に、
図5に示す第1白色部71や色見本部72が設けられていても良い。
【0036】
図8(b)に示すペット用採尿セットは、フィルム状の非吸水性部材7に加えて、シート状の吸収性部材としてのペット用トイレシート17を更に備えている。ペット用トイレシート17は、シート状の液透過性部材16と、液難透過性のシート状の非吸水性部材18と、それら部材16,18の間に配された液保持性の吸収体19とを具備する。ペット用トイレシート17は、ペット用採尿セット10の使用時に、ペット用トイレシート17における吸水可能部位である液透過性部材16が仕切層3に対向するように、トレー4内に配置される。そして、ペット用トイレシート17の非吸水性部材18は、トレー4の底面積よりも大きな面積を有している。該非吸水性部材18は、ペット用採尿セット10の使用時に、その周縁部がトレー4の側壁42~44に沿って立ち上げるようにトレー4内に配置される。このように配置されることによって、猫によって排泄された尿がトレー4へと溢れるという不具合の発生を防ぐことができる。
【0037】
図8(b)に示すペット用採尿セットにおいては、使用時に、非吸水性部材7が、ペット用トイレシート17の液透過性部材16上に重なるとともに、仕切層3に直面するように、トレー4内に配置される。尚、この場合も、非吸水性部材7の表面に、
図5に示す第1白色部71及び色見本部72を設けるようにしても良い。或いは、図示しないが、ペット用トイレシート17の液透過性部材16の表面に第2白色部を設けてもよい。吸水可能部位である液透過性部材16が第2白色部を有するときには、ペット用トイレシート17上に重ねられる非吸水性部材7が透明部を有することが好ましい。ペット用トイレシート17が第2白色部を有し、且つ非吸水性部材7が透明部を有するときには、ペット用トイレシート17の液透過性部材16の第2白色部に重なる位置に非吸水性部材7の透明部を設けるようにしても良い。このようにペット用トイレシート17の第2白色部上に非吸水性部材7の透明部を重ねることによって、非吸水性部材7上に落下して溜まった尿の色を、非吸水性部材7の透明部を通してペット用トイレシート17の液透過性部材16の第2白色部の白色と対比することができ、尿の色を一層鮮明に判別することができる。
【0038】
図8(b)に示す例においては、猫によって排泄されてトレー4に向かって落下する尿は、非吸水性部材7によって受けられて採取される。仮に、尿が非吸水性部材7から溢れたとしても、溢れた尿は、その下のペット用トイレシート17の吸収体19によって吸収される。そのため、尿によってトレー4を一層汚しにくくなっている。また、排泄された尿量が多く、スポイト等の吸引具8、又はしょう油差し等の吸引可能な容器30で尿の全量を吸い取ってトレー4内の尿を除去することが困難な場合にも、非吸水性部材7の一端を持ち上げれば、残った尿がペット用トイレシート17の吸収体19にそのまま吸収される。このように非吸水性部材7の下にペット用トイレシート17を配置すれば、簡単に尿の後処理ができ、かつトレー4が汚れることがない。特に、図示のように面積がトレー4の底面積よりも大きなペット用トイレシート17をトレー4上に敷設し、その周縁をトレー4の側壁42~44に沿って立ち上げれば、尿のトレー4への漏れが確実に防がれる。
【0039】
図8(c)に示すペット用採尿セットは、シート状の吸収性部材としてのペット用トイレシート17を更に備えている。該ペット用採尿セットにおいては、非吸水性部材7が、ペット用トイレシート17を構成する非吸水性部材18である。
図8(c)に示すペット用採尿セットにおいては、使用時に、非吸水性部材18が仕切層3に直面するように、トレー4内にペット用トイレシート17が配置される。非吸水性部材18が仕切層3に直面するように配置されているので、猫によって排泄されてトレー4に向かって落下する尿は、非吸水性部材18によって受けられて採取される。尚、この場合も、非吸水性部材18に、
図5に示す第1白色部71及び色見本部72を設けるようにしても良い。
【0040】
図8(c)に示す例においては、ペット用トイレシート17の非吸水性部材18は、トレー4の底面積よりも大きな面積を有している。該非吸水性部材18は、ペット用採尿セット10の使用時に、その周縁部がトレー4の側壁42~44に沿って立ち上げるようにトレー4内に配置される。このように配置されることによって、非吸水性部材18上に落下して溜まった尿がトレー4へと溢れるという不具合の発生を防ぐことができ、ペットから排泄される尿を簡単に採取できる。
【0041】
尚、以上はペットが猫である場合の該猫の尿を採取するためのペット用採尿セットとこれを用いた尿採取方法について説明したが、本発明は、猫以外の任意のペットの尿の採取に対しても同様に適用可能である。
【0042】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、種々の変形が可能であり、例えばトレー4等の引出しの無いタイプのトイレ本体であってもよい。また、以上説明した実施の形態における各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0043】
1 ペット用トイレ
2 トイレ本体
3 仕切層
4 トレー
41 トレーの底壁
42~44 トレーの側壁(周壁)
5 外容器
6 内容器
7 非吸水性部材
71 第1白色部
72 色見本部
8 吸引具
9 容器
10 ペット用採尿セット
17 ペット用トイレシート(吸水性部材)
30 容器
A 上層部分
B 下層部分