IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工メカトロシステムズ株式会社の特許一覧

特許7216554料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム
<>
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図1
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図2
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図3
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図4
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図5
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図6
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図7
  • 特許-料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230125BHJP
【FI】
G07B15/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019004379
(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公開番号】P2020113110
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】今村 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和久
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 若菜
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-187493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金収受機の本体に設けられた保守操作装置による操作を受け付ける第1受付処理部と、
複数の遠隔監視装置のうち何れか一の遠隔監視装置による操作を受け付ける第2受付処理部と、
前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の操作権に基づく状態を設定する操作権設定部と、
を備え、
前記操作権設定部は、
前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定し、
前記第1状態において、前記保守操作装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、
前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる、
料金収受機。
【請求項2】
前記操作権設定部により設定された前記状態を複数の前記遠隔監視装置に通知する通知部を更に備える、
請求項1に記載の料金収受機。
【請求項3】
前記操作権設定部は、前記第3状態において、前記保守操作装置による操作を制限する、
請求項1又は2に記載の料金収受機。
【請求項4】
前記操作権設定部は、前記第2状態において前記保守操作装置による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、又は、前記第3状態において前記遠隔監視装置による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、前記第1状態に遷移させる、
請求項1から3の何れか一項に記載の料金収受機。
【請求項5】
料金収受機を遠隔監視するための遠隔監視装置であって、
前記料金収受機の操作権に基づく状態を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された状態が、前記料金収受機及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機に指示を出力する操作指示部と、
を備える遠隔監視装置。
【請求項6】
前記操作指示部は、前記状態取得部により取得された状態が、前記料金収受機が前記操作権を持っている第2状態である場合、前記操作入力部による操作を制限する、
請求項5に記載の遠隔監視装置。
【請求項7】
前記状態取得部は、取得した状態が、複数の前記遠隔監視装置のうち何れか一の遠隔監視装置が前記操作権を持っている第3状態である場合、当該操作権を持っている遠隔監視装置を示す識別情報を更に取得し、
前記操作指示部は、前記第3状態において、
前記識別情報が自機を示す場合、前記操作入力部を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機に指示を出力し、
前記識別情報が他の遠隔監視装置を示す場合、前記操作入力部による操作を制限する、
請求項5又は6に記載の遠隔監視装置。
【請求項8】
請求項1から4の何れか一項に記載の料金収受機と、
請求項5から7の何れか一項に記載の遠隔監視装置と、
を備える遠隔監視システム。
【請求項9】
複数の遠隔監視装置により料金収受機を遠隔監視する遠隔監視方法であって、
前記料金収受機が、前記料金収受機の本体に設けられた保守操作装置による操作を受け付ける第1受付処理ステップと、
前記料金収受機が、複数の前記遠隔監視装置のうち何れか一の遠隔監視装置による操作を受け付ける第2受付処理ステップと、
前記料金収受機が、前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の操作権に基づく状態を設定する操作権設定ステップと、
を有し、
前記操作権設定ステップは、
前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定し、
前記第1状態において、前記保守操作装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、
前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる、
遠隔監視方法。
【請求項10】
複数の遠隔監視装置により料金収受機を遠隔監視する遠隔監視方法であって、
前記料金収受機の操作権に基づく状態を取得する状態取得ステップと、
前記状態取得ステップで取得された状態が、前記料金収受機及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機に指示を出力するステップと、
を有する遠隔監視方法。
【請求項11】
料金収受機のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記料金収受機の本体に設けられた保守操作装置による操作を受け付ける第1受付処理ステップと、
複数の遠隔監視装置のうち何れか一の遠隔監視装置による操作を受け付ける第2受付処理ステップと、
前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の操作権に基づく状態を設定する操作権設定ステップと、
を実行させ、
前記操作権設定ステップは、
前記保守操作装置及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定し、
前記第1状態において、前記保守操作装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、
前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる、
プログラム。
【請求項12】
料金収受機を遠隔監視するための遠隔監視装置のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記料金収受機の操作権に基づく状態を取得する状態取得ステップと、
前記状態取得ステップで取得された状態が、前記料金収受機及び前記遠隔監視装置の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機に指示を出力するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、利用者から通行料金を収受するための料金自動収受機が設けられている。また、料金自動収受機は、料金所事務所等の遠隔監視場所に設置された遠隔監視装置と通信可能に接続されている。料金所事務所に駐在する係員は、通行料金への割引の適用、証明書の確認等の応対が必要となる場合、遠隔監視装置を通じて料金自動収受機を遠隔操作する。
【0003】
料金所には複数の車線に一台ずつ料金自動収受機が設けられ、これら複数の料金自動収受機それぞれを複数の遠隔監視装置により遠隔操作する場合がある。このとき、ある一台の料金自動収受機に対し、複数の遠隔監視装置が異なる遠隔操作を行ってしまうと、操作に不整合が生じる可能性がある。これを抑制するため、従来のシステムでは、ある料金自動収受機が遠隔監視装置による遠隔操作を受け付けている間、他の遠隔監視装置による遠隔操作を受け付けないように操作権による排他制御を行うことが考えられている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-187493号公報
【文献】特開2013-69347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
係員による応対が必要なケースのうち、例えば料金自動収受機に異常が発生した場合は、係員が直接車線に出向き、料金自動収受機本体に設けられた保守操作装置を通じて操作を行うことがある。しかしながら、従来のシステムでは、料金自動収受機本体による操作と、遠隔監視装置による遠隔操作との排他制御を行う仕組みがない。このため、係員が車線において料金自動収受機を操作しているときに、遠隔監視装置からも当該料金自動収受機の遠隔操作が行われてしまうと、料金自動収受機に対する操作指示に不整合が生じてしまう可能性がある。このような不整合を避けるため、料金自動収受機本体による操作と、遠隔監視装置による遠隔操作との排他制御を行う技術が求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、料金収受機による操作と、遠隔監視装置による遠隔操作との排他制御を行うことができる料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、料金収受機(10)は、本体に設けられた保守操作装置(12)による操作を受け付ける第1受付処理部(110)と、複数の遠隔監視装置(20)のうち何れか一の遠隔監視装置(20)による操作を受け付ける第2受付処理部(111)と、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の操作権に基づく状態を設定する操作権設定部(112)と、を備える。前記操作権設定部(112)は、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置(12)が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置(20)が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定する。前記操作権設定部(112)は、前記第1状態において、前記保守操作装置(12)から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置(20)から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる。
このようにすることで、料金収受機は、料金収受機本体に設けられた保守操作装置を通じた操作と、複数の遠隔監視装置のうち何れか一の遠隔監視装置を通じた遠隔操作との排他制御を行うことができる。これにより、料金収受機が複数の機器により操作されて、操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る料金収受機(10)において、前記操作権設定部により設定された前記状態を複数の前記遠隔監視装置に通知する通知部を更に備える。
料金収受機は、このように遠隔監視装置に対して自機の操作権をどの機器が持っているかを通知することにより、操作権の排他制御をよりスムーズに行うことができる。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る料金収受機(10)において、前記操作権設定部(112)は、前記第3状態において、前記保守操作装置(12)による操作を制限する。
このようにすることで、料金収受機は、料金収受機に対する操作指示に不整合が生じることをより確実に抑制することができる。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る料金収受機(10)において、前記操作権設定部(112)は、前記第2状態において前記保守操作装置(12)による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、又は、前記第3状態において前記遠隔監視装置(20)による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、前記第1状態に遷移させる。
このようにすることで、料金収受機は、保守操作装置又は遠隔監視装置が応対処理を完了して操作されなくなった後も操作権を持ち続けてしまい、他の機器による操作ができなくなることを抑制することができる。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、料金収受機(10)を遠隔監視するための遠隔監視装置(20)は、前記料金収受機(10)の操作権に基づく状態を取得する状態取得部(210)と、前記状態取得部(210)により取得された状態が、前記料金収受機(10)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部(23)を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機(10)に指示を出力する操作指示部と、を備える。
このようにすることで、遠隔監視装置は、他の機器が料金収受機の操作権を持っていないことを確認した上で、料金収受機に対する指示を行うことができる。これにより、料金収受機が複数の機器により操作されて、操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様に係る遠隔監視装置(20)において、前記操作指示部(211)は、前記状態取得部(210)により取得された状態が、前記料金収受機(10)が前記操作権を持っている第2状態である場合、前記操作入力部(23)による操作を制限する。
このようにすることで、遠隔監視装置は、料金収受機により操作が行われているときは、遠隔監視装置による遠隔操作を制限することにより、料金収受機が複数の機器により操作されて操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、第5又は第6の態様に係る遠隔監視装置(20)において、前記状態取得部(210)は、取得した状態が、複数の前記遠隔監視装置(20)のうち何れか一の遠隔監視装置(20)が前記操作権を持っている第3状態である場合、当該操作権を持っている遠隔監視装置(20)を示す識別情報を更に取得する。前記操作指示部(211)は、前記第3状態において、前記識別情報が自機を示す場合、前記操作入力部(23)を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機(10)に指示を出力し、前記識別情報が他の遠隔監視装置(20)を示す場合、前記操作入力部(23)による操作を制限する。
このようにすることで、遠隔監視装置は、自機による操作と、他の遠隔監視装置による操作との排他制御を行うことができる。
【0014】
本発明の第8の態様によれば、遠隔監視システム(1)は、第1から第4の何れか一の態様に係る料金収受機(10)と、第5から第7の何れか一の態様に係る遠隔監視装置(20)と、を備える。
【0015】
本発明の第9の態様によれば、遠隔監視方法は、本体に設けられた保守操作装置(12)による操作を受け付ける第1受付処理ステップと、複数の遠隔監視装置(20)のうち何れか一の遠隔監視装置(20)による操作を受け付ける第2受付処理ステップと、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の操作権に基づく状態を設定する操作権設定ステップと、を有する。前記操作権設定ステップは、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置(12)が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置(20)が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定する。前記操作権設定ステップは、前記第1状態において、前記保守操作装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる。
【0016】
本発明の第10の態様によれば、料金収受機(10)の遠隔監視方法は、前記料金収受機(10)の操作権に基づく状態を取得する状態取得ステップと、前記状態取得ステップで取得された状態が、前記料金収受機(10)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部(23)を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機(10)に指示を出力するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第11の態様によれば、料金収受機(10)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムは、前記コンピュータ(900)に、本体に設けられた保守操作装置(12)による操作を受け付ける第1受付処理ステップと、複数の遠隔監視装置(20)のうち何れか一の遠隔監視装置(20)による操作を受け付ける第2受付処理ステップと、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の操作権に基づく状態を設定する操作権設定ステップと、を実行させる。前記操作権設定ステップは、前記保守操作装置(12)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態と、前記保守操作装置(12)が前記操作権を持っている第2状態と、何れか一の前記遠隔監視装置(20)が前記操作権を持っている第3状態と、のうちの何れか一つを設定する。前記操作権設定ステップは、前記第1状態において、前記保守操作装置(12)から所定の操作を受け付けた場合に前記第2状態に遷移させ、前記第1状態において、何れか一の前記遠隔監視装置(20)から所定の操作を受け付けた場合に前記第3状態に遷移させる。
【0018】
本発明の第12の態様によれば、料金収受機(10)を遠隔監視するための遠隔監視装置(20)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムは、前記コンピュータ(900)に、前記料金収受機(10)の操作権に基づく状態を取得する状態取得ステップと、前記状態取得ステップで取得された状態が、前記料金収受機(10)及び前記遠隔監視装置(20)の何れも前記操作権を持っていない第1状態である場合、操作入力部(23)を通じて受け付けた操作に基づいて前記料金収受機(10)に指示を出力するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
上述の何れか一の態様に係る料金収受機、遠隔監視装置、遠隔監視システム、遠隔監視方法、及びプログラムによれば、料金収受機による操作と、遠隔監視装置による遠隔操作との排他制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る遠隔監視システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の機能構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の状態遷移を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の機能構成を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る料金自動収受機及び遠隔監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る遠隔監視システム1について、図を参照しながら説明する。
【0022】
(遠隔監視システムの全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視システムの全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、遠隔監視システム1は、複数の料金自動収受機10と、複数の遠隔監視装置20と、を備えている。
【0023】
料金自動収受機10は、有料道路の入口又は出口に設けられた料金所Aにおいて、有料道路の利用者から通行料金を収受するための装置である。なお、料金自動収受機10は、本実施形態における料金収受機の一態様である。
図1に示すように、料金所Aには複数の車線Lが設けられ、車線Lそれぞれに一台ずつ、料金自動収受機10A、10B、10C、・・・が配置される。
【0024】
料金自動収受機10は、保守操作パネル12(保守操作装置)と、利用者操作部13とを有している。
【0025】
保守操作パネル12は、料金自動収受機10の本体側面に配置され、料金自動収受機10に異常等が生じた場合、これを解消するために料金所Aの係員により操作されるボタン、タッチパネル等を有する装置である。なお、保守操作パネル12は、利用者に操作されないように、係員のみが開閉可能な扉で塞がれていてもよい。なお、保守操作パネル12は、本実施形態における保守操作装置の一態様である。他の実施形態では、保守操作装置は、例えば音声による操作が可能な装置であってもよい。
【0026】
利用者操作部13は、利用者が通行料金を支払う際に、通行券、クレジットカード、現金等を挿入する操作を受け付ける。また、利用者操作部13は、利用者が通行料金の割引等を求める際に、係員を呼び出すための呼出しボタン、係員との通話を行うためのインターフォン子機、証明書の提示等を行うためのカメラ等を有している。
【0027】
また、料金所Aには、複数の車線Lそれぞれの状態を撮影するための監視カメラ15が設けられている。
【0028】
遠隔監視装置20は、料金所事務所等の遠隔監視場所Bに駐在する係員により、複数の車線Lそれぞれの監視と、複数の料金自動収受機10それぞれの遠隔操作を行うために用いられる。図1に示すように、遠隔監視場所Bには、複数の料金自動収受機10の遠隔操作を同時並行して行えるように、複数の遠隔監視装置20A、20B、20C、・・・が設置される。
なお、遠隔監視装置20は、複数の異なる料金所Aに設けられた料金自動収受機10と接続され、遠隔監視場所Bの係員が複数の料金所Aの監視及び遠隔操作を行えるようにしてもよい。
【0029】
遠隔監視装置20は、制御部21と、車線モニタ22と、タッチパネル23とを備えている。
【0030】
制御部21は、遠隔監視装置20全体の動作を司る。制御部21の機能の詳細については後述する。
【0031】
車線モニタ22は、料金所Aの監視カメラ15が撮影した車線Lの画像が表示される。車線モニタ22は、監視対象となる車線Lの数に応じて、2台以上設置されてもよい。また、車線モニタ22は、監視対象となる車線Lの数に応じて表示画面を分割し、全ての車線Lの画像が同時に表示されるようにしてもよい。
【0032】
タッチパネル23は、料金自動収受機10の遠隔監視を行うための表示部、及び、遠隔操作を行うための操作入力部として機能する。
タッチパネル23は、表示部として、複数の車線Lのうち、係員が選択した車線Lの監視カメラ15により撮影された画像、料金自動収受機10の利用者操作部13が有するカメラにより撮影された証明書及び利用者の顔を含む画像、料金自動収受機10の処理状態及び機器状態を示す情報等を表示する。料金自動収受機10の処理状態には、例えば利用者が搭乗する車両の車種区分、ナンバープレート情報、利用区間、通行料金等の料金収受処理に用いられる各種情報が含まれる。また、料金自動収受機10の機器状態には、料金自動収受機10に発生している異常(カード詰まり、釣銭切れ等)を示す情報、釣銭の状態(紙幣、硬貨の残数)を示す情報等が含まれる。
また、タッチパネル23は、操作入力部として、利用者の通行料金に対し割引を適用する、乗継券を発行する等の操作を受け付ける。
なお、他の実施形態では、遠隔監視装置20は、タッチパネル23に代えて、表示部として機能するディスプレイ、及び、操作入力部として機能するマウス、キーボード等を備えていてもよい。
【0033】
(料金自動収受機の機能構成)
図2は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金自動収受機10は、CPU11と、保守操作パネル12と、利用者操作部13と、通信I/F14と、を備えている。
【0034】
通信I/F14は、インターネット等の通信回線を介して複数の遠隔監視装置20それぞれと通信を行う。
【0035】
CPU11は、料金自動収受機10全体の動作を司るプロセッサであり、プログラムに従って動作することにより、第1受付処理部110、第2受付処理部111、操作権設定部112、通知部113としての機能を発揮する。
【0036】
第1受付処理部110は、料金自動収受機10の本体に設けられた保守操作パネル12による操作を受け付ける。
【0037】
第2受付処理部111は、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一の遠隔監視装置20による操作を受け付ける。
【0038】
操作権設定部112は、保守操作パネル12及び遠隔監視装置20の操作権に基づく状態を設定する。操作権は、料金自動収受機10に対し操作指示を与えることができる権利であり、料金自動収受機10自身に設けられた保守操作パネル12と、複数の遠隔監視装置20とのうち、何れか一つのみが操作権を持つことができる。これにより、料金自動収受機10が複数の機器により操作され、不整合が生じることを抑制する。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の状態遷移を説明するための図である。
図3に示すように、操作権設定部112は、保守操作パネル12及び遠隔監視装置20の何れも操作権を持っていない「第1状態」と、保守操作パネル12が操作権を持っている「第2状態」と、何れか一の遠隔監視装置20が操作権を持っている「第3状態」と、のうちの何れか一つを設定する。
【0040】
操作権設定部112は、「第1状態」において、保守操作パネル12から所定の操作を受け付けた場合に「第2状態」に遷移させる。
また、操作権設定部112は、「第1状態」において、何れか一の遠隔監視装置20から所定の操作を受け付けた場合に「第3状態」に遷移させる。このとき、操作権設定部112は、操作権を持っている遠隔監視装置20を特定可能な識別情報を記憶する。
【0041】
操作権設定部112は、「第2状態」において、遠隔監視装置20による操作を制限する。また、操作権設定部112は、保守操作パネル12が操作権を放棄すると、「第1状態」に遷移させる。
【0042】
操作権設定部112は、「第3状態」において、保守操作パネル12による操作、及び、操作権を持っていない遠隔監視装置20による操作を制限する。また、操作権設定部112は、「第3状態」において、遠隔監視装置20から操作権を放棄する指示を受け付けると、「第1状態」に遷移させる。
【0043】
通知部113は、操作権設定部112により設定された状態を、通信I/F14を介して複数の遠隔監視装置20に通知する。なお、通知部113は、操作権設定部112により設定された状態の他、料金自動収受機10に発生した異常を示す情報等、料金自動収受機10に関連する各種情報を遠隔監視装置20に通知する。
【0044】
(遠隔監視装置の機能構成)
図4は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の機能構成を示す図である。
図4に示すように、遠隔監視装置20は、制御部21と、車線モニタ22と、タッチパネル23と、通信I/F24と、を備えている。
【0045】
通信I/F24は、インターネット等の通信回線を介して複数の料金自動収受機10それぞれと通信を行う。
【0046】
制御部21は、プログラムに従って動作することにより、状態取得部210、操作指示部211としての機能を発揮する。
【0047】
状態取得部210は、料金自動収受機10の操作権に基づく状態を取得する。
また、状態取得部210は、取得した状態が、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一の遠隔監視装置20が操作権を持っていることを示す「第3状態」である場合、操作権を持っている遠隔監視装置20を示す識別情報を更に取得する。
【0048】
操作指示部211は、状態取得部210により取得された状態が、料金自動収受機10及び遠隔監視装置20の何れも操作権を持っていないことを示す「第1状態」である場合、タッチパネル23(操作入力部)を通じて受け付けた操作に基づいて料金自動収受機10に指示を出力する。
【0049】
操作指示部211は、状態取得部210により取得された状態が、料金自動収受機10が操作権を持っていることを示す「第2状態」である場合、タッチパネル23による操作を制限する。
【0050】
操作指示部211は、「第3状態」において、識別情報が自機を示す場合、タッチパネル23を通じて受け付けた操作に基づいて料金自動収受機10に指示を出力し、識別情報が他の遠隔監視装置20を示す場合、タッチパネル23による操作を制限する。
【0051】
(料金自動収受機の処理フロー)
図5は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機の処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図5を参照しながら、料金自動収受機10における操作権の設定処理の一例について説明する。
【0052】
図4に示すように、料金自動収受機10の操作権設定部112は、自機の初期状態として、自機(保守操作パネル12)及び遠隔監視装置20の何れも操作権を持っていない「第1状態」に設定する(ステップS10)。このとき、通知部113は、自機の操作権に基づく状態(「第1状態」)を、複数の遠隔監視装置20それぞれに通知する。
【0053】
操作権設定部112は、「第1状態」において、自機の保守操作パネル12から所定の操作を受け付けたか判断する(ステップS11)。なお、操作権設定部112は、例えば保守操作パネル12を通じて料金自動収受機10を操作するためのボタンが押下された場合、所定の操作を受け付けたと判断する。また、操作権設定部112は、保守操作パネル12の扉が開かれたことを検知して、所定の操作を受け付けたと判断してもよい。
操作権設定部112は、保守操作パネル12から所定の操作を受け付けていない場合(ステップS11:NO)、操作を受け付けるまで待機する。
一方、操作権設定部112は、保守操作パネル12から所定の操作を受け付けた場合(ステップS11:YES)、自機の状態を、自機(保守操作パネル12)が操作権を持っている「第2状態」に設定する(ステップS12)。このとき、通知部113は、自機の操作権に基づく状態(「第2状態」)を、複数の遠隔監視装置20それぞれに通知する。
【0054】
次に、第1受付処理部110は、「第2状態」において、料金所Aの係員による自機の保守操作パネル12を通じた操作を受け付けて、操作に応じた処理を実行する(ステップS13)。また、このとき、第2受付処理部111は、「第2状態」において遠隔監視装置20からの操作指示を受け付けた場合、この操作指示を破棄して遠隔監視装置20による操作を制限するようにしてもよい。
【0055】
次に、操作権設定部112は、「第2状態」において、保守操作パネル12が操作権を放棄したか判断する(ステップS14)。なお、操作権設定部112は、料金所Aの係員が応対処理を終了する操作(例えば保守操作パネルの処理終了ボタン押下)を行った場合、保守操作パネル12が操作権を放棄したと判断する。また、操作権設定部112は、係員により保守操作パネル12の扉が閉められたときに、保守操作パネル12が操作権を放棄したと判断してもよい。更に、操作権設定部112は、第1受付処理部110が保守操作パネル12からの操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、操作権の開放忘れを抑制するために、保守操作パネル12が操作権を放棄したとみなすようにしてもよい。 操作権設定部112は、料金所Aの係員が保守操作パネル12を通じた操作を継続中であり、操作権が放棄されていない場合(ステップS14:NO)、ステップS13に戻る。
一方、操作権設定部112は、保守操作パネル12が操作権を放棄した場合(ステップS14:YES)、自機の状態を「第1状態」に設定する(ステップS15)。このとき、通知部113は、自機の操作権に基づく状態(「第1状態」)を、複数の遠隔監視装置20それぞれに通知する。
【0056】
また、操作権設定部112は、「第1状態」において、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一台から所定の操作を受け付けたか判断する(ステップS16)。
操作権設定部112は、何れか一台の遠隔監視装置20から所定の操作を受け付けていない場合(ステップS16:NO)、操作を受け付けるまで待機する。
一方、操作権設定部112は、何れか一台の遠隔監視装置20から所定の操作を受け付けた場合(ステップS16:YES)、自機の状態を、遠隔監視装置20が操作権を持っている「第3状態」に設定する(ステップS17)。このとき、通知部113は、自機の操作権に基づく状態(「第3状態」)、及び操作権を有する遠隔監視装置20の識別情報を、複数の遠隔監視装置20それぞれに通知する。また、操作権設定部112は、保守操作パネル12による操作を制限する。例えば、操作権設定部112は、保守操作パネル12のボタンを無効にする。また、保守操作パネル12は、料金所Aの係員に対し、自機が遠隔監視装置20により遠隔操作されていることを、文字、ランプの点灯、音声等により通知するようにしてもよい。
【0057】
次に、第2受付処理部111は、「第3状態」において、遠隔監視場所Bの係員による遠隔監視装置20を通じた操作を受け付けて、操作に応じた処理を実行する(ステップS18)。このとき、第2受付処理部111は、操作権を持っていない他の遠隔監視装置20からの操作指示を破棄して、他の遠隔監視装置20による操作を制限するようにしてもよい。このとき、第2受付処理部111は、通知部113を介してこの遠隔監視装置20に操作権を持っていないことを通知するようにしてもよい。また、第1受付処理部110は、「第3状態」において保守操作パネル12からの操作指示を受け付けた場合、この操作指示を破棄して保守操作パネル12による操作を制限するようにしてもよい。
【0058】
次に、操作権設定部112は、「第3状態」において、遠隔監視装置20が操作権を放棄したか判断する(ステップS19)。
操作権設定部112は、遠隔監視場所Bの係員が遠隔監視装置20を通じた操作を継続中であり、操作権が放棄されていない場合(ステップS19:NO)、ステップS18に戻る。
一方、操作権設定部112は、遠隔監視装置20から操作権を放棄する指示を受け付けた場合(ステップS19:YES)、自機の状態を「第1状態」に設定する(ステップS15)。このとき、通知部113は、自機の操作権に基づく状態(「第1状態」)を、複数の遠隔監視装置20それぞれに通知する。また、操作権設定部112は、第2受付処理部111が遠隔監視装置20からの操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、操作権の開放忘れを抑制するために、遠隔監視装置20が操作権を放棄したとみなし(ステップS19:YES)、自機の状態を「第1状態」に設定(ステップS15)するようにしてもよい。
【0059】
料金自動収受機10は、上述の処理を繰り返し実行し、自機の状態を都度、更新する。
【0060】
(遠隔監視装置の処理フロー)
図6は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
遠隔監視装置20の状態取得部210は、複数の料金自動収受機10それぞれから、操作権に基づく状態を逐次、取得している。例えば、状態取得部210が複数の料金自動収受機10のうち、一の料金自動収受機10A(図1)から状態を取得したとする。このとき、遠隔監視装置20は、この料金自動収受機10Aについて、図6に示す一連の処理を実行する。
【0061】
図6に示すように、遠隔監視装置20の操作指示部211は、状態取得部210が取得した料金自動収受機10Aの状態が「第1状態」、「第2状態」、及び「第3状態」のうち何れであるか判断する(ステップS20)。
【0062】
料金自動収受機10Aの状態が「第1状態」である場合、操作指示部211は、遠隔監視場所Bの係員による料金自動収受機10Aの操作の受け付けを許可する(ステップS21)。例えば、操作指示部211は、タッチパネル23に対し、料金自動収受機10Aの操作画面へ遷移するボタン、料金自動収受機10Aの操作を行うためのボタンを有効にする表示を行わせる。
【0063】
料金自動収受機10Aの状態が「第2状態」である場合、操作指示部211は、遠隔監視場所Bの係員による料金自動収受機10Aの操作の受け付けを制限する(ステップS22)。例えば、操作指示部211は、タッチパネル23に対し、料金自動収受機10Aの操作画面へ遷移するボタン、料金自動収受機10Aの操作を行うためのボタンを無効にする表示を行わせる。
【0064】
また、料金自動収受機10Aの状態が「第2状態」である場合、複数の遠隔監視装置20のうち一台のみ、この料金自動収受機10Aの処理状態及び機器状態を監視できるようにしてもよい。この場合、操作指示部211は、他の遠隔監視装置20がこの料金自動収受機10Aを監視しているか否かを更に判断する(ステップS23)。
他の遠隔監視装置20が料金自動収受機10Aを監視中である場合(ステップS23:YES)、操作指示部211は、この料金自動収受機10Aの監視の受け付けを制限する(ステップS24)。例えば、操作指示部211は、タッチパネル23に対し、例えば料金自動収受機10Aが他の遠隔監視装置20により監視されていることを示すアイコンを表示させるとともに、この料金自動収受機10の監視画面(処理状態及び機器状態を表示する画面)へ遷移するボタン、処理状態及び機器状態を取得するボタンを無効にする表示を行わせる。
一方、何れの遠隔監視装置20も料金自動収受機10Aを監視していない場合(ステップS23:NO)、操作指示部211は、この料金自動収受機10Aの監視の受け付けを許可する(ステップS25)。例えば、操作指示部211は、例えば、この料金自動収受機10の監視画面(処理状態及び機器状態を表示する画面)へ遷移するボタン、処理状態及び機器状態を取得するボタンを有効にする表示を行わせる。
【0065】
料金自動収受機10Aの状態が「第3状態」である場合、操作指示部211は、自機が料金自動収受機10Aの操作権を持っているか判断する(ステップS26)。このとき、状態取得部210は、料金自動収受機10から、操作権を持っている遠隔監視装置20を特定可能な識別情報を更に取得する。そして、操作指示部211は、状態取得部210により取得された識別情報が自機を示すものである場合、自機が操作権を持っていると判断する。
自機が料金自動収受機10Aの操作権を持っている場合(ステップS26:YES)、操作指示部211は、遠隔監視場所Bの係員による料金自動収受機10Aの操作の受け付けを許可する(ステップS27)。この処理は上述のステップS21の処理と同様である。
一方、自機が料金自動収受機10Aの操作権を持っていない場合(ステップS26:NO)、操作指示部211は、遠隔監視場所Bの係員による料金自動収受機10Aの操作の受け付けを制限する(ステップS28)。この処理は上述のステップS22の処理と同様である。
【0066】
遠隔監視装置20は、複数の料金自動収受機10それぞれについて、上述の処理を繰り返し実行し、操作及び監視の受け付け可否を判断し、タッチパネル23の表示内容を変更させる。
【0067】
図7は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図7は、図6のステップS21において発生し得る一連の処理を詳細に説明するものである。遠隔監視装置20は、ある料金自動収受機10Aが「第1状態」である場合、この料金自動収受機10Aについて、図7に示す一連の遠隔操作処理を実行する。
【0068】
図7に示すように、遠隔監視装置20の操作指示部211は、タッチパネル23を介して所定の操作を受け付けたか判断する(ステップS30)。所定の操作とは、料金自動収受機10Aの遠隔操作を開始する操作であって、例えば、タッチパネル23上に表示されている、料金自動収受機10Aの操作画面へ遷移するボタン、料金自動収受機10Aの操作を行うためのボタンを押下する操作である。遠隔監視場所Bの係員は、料金自動収受機10Aにおいて何らかの異常が発生している場合、又は、料金自動収受機10Aの呼出しボタンが押下された場合、これらの応対処理を行うために、タッチパネル23を介してこの料金自動収受機10Aの遠隔操作を開始する操作を行う。
操作指示部211は、所定の操作を受け付けていない場合(ステップS30:NO)、所定の操作を受け付けるまで待機する。
一方、操作指示部211は、所定の操作を受け付けた場合(ステップS30:YES)、料金自動収受機10Aに対し、遠隔操作開始指示を出力する(ステップS31)。このとき、料金自動収受機10Aの操作権設定部112は、自機の状態を「第3状態」に設定する(図5のステップS16~S17)。
【0069】
次に、操作指示部211は、タッチパネル23を介して料金自動収受機10Aに対する操作を受け付けたか判断する(ステップS32)。
操作指示部211は、料金自動収受機10Aに対する操作を受け付けた場合(ステップS32:YES)、この操作が遠隔操作を終了するための操作であるか判断する(ステップS33)。遠隔操作を終了するための操作とは、例えば遠隔監視場所Bの係員が実行中の応対処理を終了する(操作画面から抜ける)ためのボタンを押下する操作である。
操作指示部211は、受け付けた操作が遠隔操作を終了するための操作であった場合(ステップS33:YES)、料金自動収受機10Aに操作権を放棄する指示を出力する(ステップS34)。そうすると、料金自動収受機10Aの操作権設定部112は、自機の状態を「第1状態」に設定する(図5のステップS19、S15)。
一方、操作指示部211は、受け付けた操作が遠隔操作を終了するための操作ではない場合(ステップS33:NO)、受け付けた操作に応じた操作指示を料金自動収受機10Aに出力する(ステップS35)。
【0070】
また、操作指示部211は、料金自動収受機10Aに対する操作を受け付けていない場合(ステップS32:NO)、次の操作を受け付けるまで待機する。
【0071】
遠隔監視装置20は、「第1状態」である料金自動収受機10それぞれについて、上述の処理を繰り返し実行して、遠隔操作を行う。
【0072】
(料金自動収受機及び遠隔監視装置のハードウェア構成)
図8は、本発明の一実施形態に係る料金自動収受機及び遠隔監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示すように、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の料金自動収受機10、及び遠隔監視装置20は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した料金自動収受機10及び遠隔監視装置20の各機能部は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901(料金自動収受機10のCPU11、遠隔監視装置20の制御部21)は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、各種処理に用いる記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0073】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904を介してコンピュータ900に有線接続又は無線接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0074】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0075】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金自動収受機10(料金収受機)は、本体に設けられた保守操作パネル12(保守操作装置)による操作を受け付ける第1受付処理部110と、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一の遠隔監視装置20による操作を受け付ける第2受付処理部111と、自機(保守操作パネル12)及び遠隔監視装置20の操作権に基づく状態を設定する操作権設定部112と、を備える。操作権設定部112は、保守操作パネル12及び遠隔監視装置20の何れも操作権を持っていない「第1状態」と、保守操作パネル12が操作権を持っている「第2状態」と、何れか一の遠隔監視装置20が操作権を持っている「第3状態」と、のうちの何れか一つを設定する。操作権設定部112は、「第1状態」において、保守操作パネル12から所定の操作を受け付けた場合に「第2状態」に遷移させ、「第1状態」において、何れか一の遠隔監視装置20から所定の操作を受け付けた場合に「第3状態」に遷移させる。
このようにすることで、料金自動収受機10は、自機本体に設けられた保守操作パネル12を通じた操作と、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一の遠隔監視装置20を通じた遠隔操作との排他制御を行うことができる。これにより、料金自動収受機10が複数の機器により操作されて、操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0076】
また、料金自動収受機10は、前記操作権設定部により設定された前記状態を複数の前記遠隔監視装置に通知する通知部を更に備える。
料金自動収受機10は、このように遠隔監視装置20に対して自機の操作権をどの機器が持っているかを通知することにより、操作権の排他制御をよりスムーズに行うことができる。
【0077】
また、料金自動収受機10の操作権設定部112は、「第3状態」において、保守操作パネル12による操作を制限する。
このようにすることで、料金自動収受機10は、料金自動収受機10に対する操作指示に不整合が生じることをより確実に抑制することができる。
【0078】
また、操作権設定部112は、第2状態において保守操作パネル12による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、又は、第3状態において遠隔監視装置20による操作を受け付けない期間が所定時間以上継続した場合、第1状態に遷移させる。
このようにすることで、料金自動収受機10は、保守操作パネル12又は遠隔監視装置20が応対処理を完了して操作されなくなった後も操作権を持ち続けてしまい、他の機器による操作ができなくなることを抑制することができる。
【0079】
また、料金自動収受機10を遠隔監視するための遠隔監視装置20は、料金自動収受機10の操作権に基づく状態を取得する状態取得部210と、状態取得部210により取得された状態が、料金自動収受機10及び遠隔監視装置20の何れも操作権を持っていない「第1状態」である場合、タッチパネル23(操作入力部)を通じて受け付けた操作に基づいて料金自動収受機10に指示を出力する操作指示部と、を備える。
このようにすることで、遠隔監視装置20は、他の機器が料金収受機の操作権を持っていないことを確認した上で、料金自動収受機10に対する指示を行うことができる。これにより、料金自動収受機10が複数の機器により操作されて、操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0080】
また、遠隔監視装置20の操作指示部211は、状態取得部210により取得された状態が、料金自動収受機10が操作権を持っている「第2状態」である場合、タッチパネル23による操作を制限する。
このようにすることで、遠隔監視装置20は、料金自動収受機10により操作が行われているときは、遠隔監視装置20による遠隔操作を制限することにより、料金自動収受機10が複数の機器により操作されて操作指示に不整合が生じることを抑制することができる。
【0081】
また、遠隔監視装置20の状態取得部210は、取得した状態が、複数の遠隔監視装置20のうち何れか一の遠隔監視装置20が操作権を持っている「第3状態」である場合、当該操作権を持っている遠隔監視装置20を示す識別情報を更に取得する。操作指示部211は、「第3状態」において、識別情報が自機を示す場合、タッチパネル23を通じて受け付けた操作に基づいて料金自動収受機10に指示を出力し、識別情報が他の遠隔監視装置20を示す場合、タッチパネル23による操作を制限する。
このようにすることで、遠隔監視装置20は、自機による操作と、他の遠隔監視装置20による操作との排他制御を行うことができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、上述の実施形態において、料金収受機が料金自動収受機10である態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、遠隔監視システム1は、料金所Aの係員が駐在する有人ブースに設置され、当該係員に操作される料金収受機を遠隔操作の対象としてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 遠隔監視システム
10 料金自動収受機(料金収受機)
11 CPU
110 第1受付処理部
111 第2受付処理部
112 操作権設定部
113 通知部
12 保守操作パネル(保守操作装置)
13 利用者操作部
15 監視カメラ
20 遠隔監視装置
21 制御部
210 状態取得部
211 操作指示部
22 車線モニタ
23 タッチパネル(表示部、操作入力部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8