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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】自己管理支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230125BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230125BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 102C
A61B5/11 200
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019032299
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2019153295
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2018036376
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114476
【弁理士】
【氏名又は名称】政木 良文
(72)【発明者】
【氏名】柴田 広之
(72)【発明者】
【氏名】岡 克己
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115413(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104044(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/077724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 20/00
A61B 5/00
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を前記対象者に通知する自己管理支援システムであって、データ送受信部、データ記憶部、及び、演算処理部を備え、前記演算処理部が、
前記対象者の住居内の1箇所以上の所定位置に設置された人の動作を感知する人感センサから、前記人感センサが感知した前記対象者の動作回数の測定データを、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで逐次受信し、前記動作回数の1日毎の所定の第1単位時間刻みの第1時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第1データ保存処理と、
複数日に亘る前処理期間の前記第1時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第1確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第1確認データを前記対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信する第1確認データ送信処理と、
前記第1確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第1確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第1確認済データに基づいて前記第1時系列データを修正し、修正後の第1時系列データに基づいて、また、前記第1確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第1時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第1の標準状態を示す第1標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第1標準状態導出処理と、
1日または複数日の所定の評価期間の前記第1時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第1被評価行動パターンを導出し、前記第1被評価行動パターンの前記第1標準行動パターンからの所定の第1乖離度を導出する第1乖離度作成処理と、
前記第1乖離度を含む第1出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第1出力データを所定の第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第1乖離度を前記対象者に通知する第1出力処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする自己管理支援システム。
【請求項2】
前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日の1以上の所定の時間帯における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数が所定の基準値以上である第1活動時間を前記前処理期間内で合計した第1総活動時間で、前記第1総活動時間における前記動作回数の合計である第1総活動量を除した第1平均活動量を含み、
前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間の前記1以上の所定の時間帯における前記感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数が前記基準値以上である第2活動時間で、前記第2活動時間における前記動作回数の合計である第2総活動量を除した第2平均活動量を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己管理支援システム。
【請求項3】
前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数に基づいて算出される日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻に対する前記前処理期間の全期間における所定の第1統計値を含み、
前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間における前記日別滞在開始時刻と前記日別滞在終了時刻を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自己管理支援システム。
【請求項4】
前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数に基づいて算出される日別の利用回数に対する前記前処理期間の全期間における所定の第2統計値を含み、
前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間における前記日別の利用回数を含むことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項5】
前記人感センサが、前記対象者の住居内の居間、トイレ、及び、寝室の少なくとも何れか1箇所に設置されている人感センサであり、
前記第1時系列データが前記人感センサの設置個所別に作成されることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項6】
前記所定の第1単位時間が1分以上60分以下であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項7】
前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンが、夫々、前記第1時系列データの時間的粒度と同じか粗い時間的粒度の時系列データを含むことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項8】
前記演算処理部が、更に、前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンを所定の表示形式で比較表示する行動パターン対比データを、前記第1出力データの一部または全部として生成するように構成されていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項9】
前記演算処理部が、更に、
前記対象者に装着されることで前記対象者の1または複数の生体情報と加速度情報の少なくとも1つを含む人体情報を検知する人体に装着可能な人体情報センサから、前記対象者の前記人体情報を、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで受信し、前記人体情報の種類別の前記第1単位時間毎の1つの測定値または前記第1単位時間毎の複数の測定値に対する所定の第3統計値に基づいて、前記測定値または前記第3統計値の1日毎の前記第1単位時間刻みの第2時系列データを、前記人体情報の種類別に作成し、前記データ記憶部に保存する第2データ保存処理と、
前記前処理期間の前記第2時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第2確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第2確認データを前記確認用端末に向けて送信する第2確認データ送信処理と、
前記第2確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第2確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第2確認済データに基づいて前記第2時系列データを修正し、修正後の第2時系列データに基づいて、また、前記第2確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第2時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第2の標準状態を示す第2標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第2標準状態導出処理と、
前記評価期間の前記第2時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第2被評価行動パターンを導出し、前記第2被評価行動パターンの前記第2標準行動パターンからの所定の第2乖離度を導出する第2乖離度作成処理と、
前記第2乖離度を含む第2出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第2出力データを前記第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第2乖離度を前記対象者に通知する第2出力処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項10】
前記演算処理部が、更に、
前記対象者に装着されることで前記対象者の前記住居外での地理的位置情報を検知する人体に装着可能な測位センサから、前記対象者の前記地理的位置情報を、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで受信し、前記地理的位置情報に基づいて前記第1単位時間毎の移動距離を計算して前記対象者の前記住居外での活動内容を特定して、前記活動内容の1日毎の前記第1単位時間刻みの第3時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第3データ保存処理と、
前記前処理期間の前記第3時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第3確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第3確認データを前記確認用端末に向けて送信する第3確認データ送信処理と、
前記第3確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第3確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第3確認済データに基づいて前記第3時系列データを修正し、修正後の第3時系列データに基づいて、また、前記第3確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第3時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第3の標準状態を示す第3標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第3標準状態導出処理と、
前記評価期間の前記第3時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第3被評価行動パターンを導出し、前記第3被評価行動パターンの前記第3標準行動パターンからの所定の第3乖離度を導出する第3乖離度作成処理と、
前記第3乖離度を含む第3出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第3出力データを前記第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第3乖離度を前記対象者に通知する第3出力処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項11】
前記演算処理部が、更に、
前記対象者の住居における消費電力に対して用途分解処理を行い、前記対象者の前記住居内での前記活動パターンと関連する複数の電気機器の消費電力の時間的推移を機器別に特定し、総消費電力及び前記電気機器別の消費電力の処理対象日における所定の第2単位時間刻みの第4時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第4データ保存処理と、
前記第1時系列データと前記第4時系列データに基づいて、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解して活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する活動ログデータ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記活動ログデータを前記第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記活動ログデータを前記対象者及び予め登録された前記対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知する第4出力処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項12】
記演算処理部が、前記活動ログデータ作成処理において、前記処理対象日の終了前の前記処理対象日の開始から途中時点までの前記対象者の住居内での活動内容、または、前記処理対象日の終了後の前記処理対象日の前記対象者の住居内での活動内容について、時系列に分解された前記活動種別に誤りがある場合に、前記対象者が前記活動種別及びその活動時間帯を訂正可能な第4確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第4確認データを前記対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信し、前記第4確認データに対して前記対象者が前記活動種別またはその活動時間帯を訂正した第4確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第4確認済データに基づいて、作成途中または作成後の前記活動ログデータを修正することを特徴とする請求項11に記載の自己管理支援システム。
【請求項13】
対象者の日常的な活動パターンを前記対象者に通知する自己管理支援システムであって、データ送受信部、データ記憶部、及び、演算処理部を備え、前記演算処理部が、
前記対象者の住居内の1箇所以上の所定位置に設置された人の動作を感知する人感センサから、前記人感センサが感知した前記対象者の動作回数の測定データを、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで逐次受信し、前記動作回数の処理対象日における所定の第1単位時間刻みの第1時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第1データ保存処理と、
前記対象者の住居における消費電力に対して用途分解処理を行い、前記対象者の前記住居内での前記活動パターンと関連する複数の電気機器の消費電力の時間的推移を機器別に特定し、総消費電力及び前記電気機器別の消費電力の処理対象日における所定の第2単位時間刻みの第4時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第4データ保存処理と、
前記第1時系列データと前記第4時系列データに基づいて、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解して活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する活動ログデータ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記活動ログデータを所定の第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記活動ログデータを前記対象者及び予め登録された前記対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知する第4出力処理と、
を実行するように構成され、
前記演算処理部が、前記活動ログデータ作成処理において、前記処理対象日の終了前の前記処理対象日の開始から途中時点までの前記対象者の住居内での活動内容、または、前記処理対象日の終了後の前記処理対象日の前記対象者の住居内での活動内容について、時系列に分解された前記活動種別に誤りがある場合に、前記対象者が前記活動種別及びその活動時間帯を訂正可能な第4確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第4確認データを前記対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信し、前記第4確認データに対して前記対象者が前記活動種別またはその活動時間帯を訂正した第4確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第4確認済データに基づいて、作成途中または作成後の前記活動ログデータを修正することを特徴とする自己管理支援システム。
【請求項14】
前記演算処理部が、前記活動ログデータ作成処理において、前記人感センサの設置場所と前記動作回数が所定数以上または以下の時間帯、及び、前記電気機器別の動作時間に基づいて、前記処理対象日における前記活動種別別の活動時間帯を抽出し、前記活動内容の前記活動種別別に分解することを特徴とする請求項11~13の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項15】
前記演算処理部が、更に、
複数日に亘る前記活動ログデータに基づいて、前記活動種別別の標準的な活動時間帯を導出して、前記対象者の住居内での標準的な活動内容を示す標準活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する標準活動ログデータ作成処理と、
前記標準活動ログデータと前記処理対象日における前記活動ログデータを比較して、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容の標準的な活動内容からの乖離状態を報告する乖離状態報告データを作成し、前記データ記憶部に保存する乖離状態報告データ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記乖離状態報告データを前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記乖離状態報告データを前記対象者及び前記関係者の少なくとも何れか一方に通知する第5出力処理と、
を実行するように構成されていることを特徴とする請求項11~14の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【請求項16】
前記演算処理部が、前記乖離状態報告データ作成処理において、前記標準活動ログデータに記録されている前記活動種別別の標準的な活動時間帯と、前記処理対象日における前記活動種別別の活動時間帯を比較して、前記活動時間帯の長さの差、または、前記活動時間帯の開始時刻または終了時刻の差が、所定の閾値を超えている場合に、前記乖離状態報告データに、前記閾値を超えている前記活動種別と前記活動時間帯を含めることを特徴とする請求項15に記載の自己管理支援システム。
【請求項17】
前記演算処理部が、
前記活動ログデータ作成処理において、前記処理対象日の終了を待たずに、前記処理対象日の開始から途中時点までの前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解してなる中間活動ログデータを作成し、前記中間活動ログデータを逐次更新し、
前記第4出力処理において、前記中間活動ログデータが更新される毎に、前記中間活動ログデータを前記第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信することを特徴とする請求項11~16の何れか1項に記載の自己管理支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人に通知する自己管理支援システムに関し、特に、一人暮らしの対象者向けの自己管理支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
お年寄り等の見守り対象者の日々の生活状況や健康状態等の安否情報を遠隔で検知して、当該対象者以外の家族、特に別居家族、介護施設、自治体等に通知する見守りシステム及び見守りサービスが数多く提案されている(例えば、下記の特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-168098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の見守りシステム及び見守りサービスでは、基本的には、日々の生活を営むに際して何らかの支障が慢性的に生じているか、突発的に生じる可能性の高い、或いは、健康状態に不安のあるお年寄り等が対象となっており、例えば、健康な10代から50代程度の若年層や中年層の人は対象として想定されていない。
【0005】
しかし、健康な若年層或いは中年層の人であっても、一人暮らしをしていると、日々の生活が仕事の忙しさ等の要因で不規則になり、睡眠、食事、運動等が十分に取れずに、不健康な生活を長期に亘って強いられる場合があり、本人が当該生活状況の変化になかなか気付かない場合があり得る。また、気付いていても、その程度を客観的に把握することは困難である。更に、同居人がいないので、当該変化を他人から指摘される機会もなく、健康状態の緩やかな悪化が知らず知らずのうちに重篤化する危険もある。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人に通知する自己管理支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る自己管理支援システムは、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を前記対象者に通知する自己管理支援システムであって、データ送受信部、データ記憶部、及び、演算処理部を備え、前記演算処理部が、
前記対象者の住居内の1箇所以上の所定位置に設置された人の動作を感知する人感センサから、前記人感センサが感知した前記対象者の動作回数の測定データを、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで逐次受信し、前記動作回数の1日毎の所定の第1単位時間刻みの第1時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第1データ保存処理と、
複数日に亘る前処理期間の前記第1時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第1確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第1確認データを前記対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信する第1確認データ送信処理と、
前記第1確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第1確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第1確認済データに基づいて前記第1時系列データを修正し、修正後の第1時系列データに基づいて、また、前記第1確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第1時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第1の標準状態を示す第1標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第1標準状態導出処理と、
1日または複数日の所定の評価期間の前記第1時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第1被評価行動パターンを導出し、前記第1被評価行動パターンの前記第1標準行動パターンからの所定の第1乖離度を導出する第1乖離度作成処理と、
前記第1乖離度を含む第1出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第1出力データを所定の第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第1乖離度を前記対象者に通知する第1出力処理と、
を実行するように構成されていることを第1の特徴とする。
【0008】
上記第1の特徴の自己管理支援システムによれば、人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での第1単位時間毎の対象者の感知された動作回数の多寡を対象者の活動の程度を示す一指標として用いて、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人に提示することができる。具体的には、演算処理部が、第1確認データ送信処理により、第1確認データを確認用端末に向けて送信することで、第1標準行動パターンの基礎となる第1時系列データ内の対象者本人により標準状態でないと判断される箇所が存在する場合は、第1確認済データの入力を受け付けて、当該第1確認済データに基づいて前記第1時系列データを修正することができるため、対象者本人により標準状態でないと判断される部分を除外して、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態を示す第1標準行動パターンを正確に作成することができ、所定の評価期間における対象者の活動パターンを示す第1被評価行動パターンの第1標準行動パターンからの乖離を、対象者に通知することができる。ここで、第1確認データの出力及び第1確認済データの入力という対象者本人によるフィードバックがなければ、第1標準行動パターンの導出対象の複数日に亘る前処理期間において、既に、対象者の活動パターンが標準状態から変化している場合には、上記第1被評価行動パターンの第1標準行動パターンからの乖離が正確に導出されずに、対象者は、自己の活動パターンの変化を正確に認識することができないところ、上記第1の特徴の自己管理支援システムによれば、上記フィードバックが可能な構成を備えているため、対象者は、自己の活動パターンの変化を正確に認識することができる。
【0009】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日の1以上の所定の時間帯における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数が所定の基準値以上である第1活動時間を前記前処理期間内で合計した第1総活動時間で、前記第1総活動時間における前記動作回数の合計である第1総活動量を除した第1平均活動量を含み、前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間の前記1以上の所定の時間帯における前記感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数が前記基準値以上である第2活動時間で、前記第2活動時間における前記動作回数の合計である第2総活動量を除した第2平均活動量を含むことが好ましい。
【0010】
前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンが、夫々、平均活動量という統計値で表されることで、両行動パターンの対比及び第1乖離度を導出が容易になるとともに、対象者による両行動パターンの対比結果の理解が容易になる。
【0011】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数に基づいて算出される日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻に対する前記前処理期間の全期間における所定の第1統計値を含み、前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間における前記日別滞在開始時刻と前記日別滞在終了時刻を含むことが好ましい。
【0012】
前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンが、夫々、滞在開始時刻と滞在終了時刻で表されることで、両行動パターンの対比及び第1乖離度を導出が容易になるとともに、対象者による両行動パターンの対比結果の理解が容易になる。
【0013】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記第1標準行動パターンが、前記前処理期間の各日における、前記人感センサの設置箇所における人の動作の感知可能範囲内での前記対象者の前記第1単位時間毎の動作回数に基づいて算出される日別の利用回数に対する前記前処理期間の全期間における所定の第2統計値を含み、前記第1被評価行動パターンが、前記評価期間における前記日別の利用回数を含むことが好ましい。
【0014】
前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンが、夫々、利用回数に基づいて表されることで、両行動パターンの対比及び第1乖離度を導出が容易になるとともに、対象者による両行動パターンの対比結果の理解が容易になる。
【0015】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記人感センサが、前記対象者の住居内の居間、トイレ、及び、寝室の少なくとも何れか1箇所に設置されている人感センサであり、前記第1時系列データが前記人感センサの設置個所別に作成されることが好ましい。これにより、対象者は、人感センサの設置個所別に自己の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を客観的に認識できる。
【0016】
具体的には、人感センサが居間に設置されている場合は、対象者は、自己の居間での日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を客観的に認識できる。また、人感センサがトイレに設置されている場合は、対象者は、自己の用便に関する日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離、つまり、用便の頻度等の健康状態の変化を客観的に認識できる。また、人感センサが寝室に設置されている場合は、対象者は、自己の睡眠に関する日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離、つまり、睡眠時間の変化を客観的に認識できる。
【0017】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記所定の第1単位時間が1分以上60分以下であることが好ましい。
【0018】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンが、前記第1時系列データの時間的粒度と同じか粗い時間的粒度の時系列データであることが好ましい。これにより、対象者は両行動パターンを時系列で対比でき、時間軸上での両行動パターンの乖離の度合い(第1乖離度)を把握できる。
【0019】
更に、上記第1の特徴の自己管理支援システムは、前記演算処理部が、更に、前記第1標準行動パターンと前記第1被評価行動パターンを所定の表示形式で比較表示する行動パターン対比データを、前記第1出力データの一部または全部として生成するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第1の特徴に加えて、前記演算処理部が、更に、
前記対象者に装着されることで前記対象者の1または複数の生体情報と加速度情報の少なくとも1つを含む人体情報を検知する人体に装着可能な人体情報センサから、前記対象者の前記人体情報を、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで受信し、前記人体情報の種類別の前記第1単位時間毎の1つの測定値または前記第1単位時間毎の複数の測定値に対する所定の第3統計値に基づいて、前記測定値または前記第3統計値の1日毎の前記第1単位時間刻みの第2時系列データを、前記人体情報の種類別に作成し、前記データ記憶部に保存する第2データ保存処理と、
前記前処理期間の前記第2時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第2確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第2確認データを前記確認用端末に向けて送信する第2確認データ送信処理と、
前記第2確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第2確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第2確認済データに基づいて前記第2時系列データを修正し、修正後の第2時系列データに基づいて、また、前記第2確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第2時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第2の標準状態を示す第2標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第2標準状態導出処理と、
前記評価期間の前記第2時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第2被評価行動パターンを導出し、前記第2被評価行動パターンの前記第2標準行動パターンからの所定の第2乖離度を導出する第2乖離度作成処理と、
前記第2乖離度を含む第2出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第2出力データを前記第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第2乖離度を前記対象者に通知する第2出力処理と、
を実行するように構成されていることを第2の特徴とする。
【0021】
更に、上記第2の特徴の自己管理支援システムによれば、人感センサの設置されていない場所、例えば、屋外等においても、対象者の1または複数の生体情報と加速度情報の少なくとも1つの人体情報の種類別の第1単位時間毎の測定値または第3統計値を対象者の活動の程度を示す一指標として用いて、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を把握することができる。また、第2標準行動パターンを導出する過程においても、上記第1の特徴の自己管理支援システムと同様に、対象者本人によるフィードバックが可能な構成を備えているため、対象者は、第2標準行動パターンと第2被評価行動パターンの対比により、自己の活動パターンの変化を正確に認識することができる。
【0022】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第1または第2の特徴に加えて、前記演算処理部が、更に、
前記対象者に装着されることで前記対象者の前記住居外での地理的位置情報を検知する人体に装着可能な測位センサから、前記対象者の前記地理的位置情報を、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで受信し、前記地理的位置情報に基づいて前記第1単位時間毎の移動距離を計算して前記対象者の前記住居外での活動内容を特定して、前記活動内容の1日毎の前記第1単位時間刻みの第3時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第3データ保存処理と、
前記前処理期間の前記第3時系列データに基づいて、一括してまたは複数回に分けて、前記対象者が標準状態でないと判断する箇所を特定可能な第3確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第3確認データを前記確認用端末に向けて送信する第3確認データ送信処理と、
前記第3確認データに対して前記対象者が前記標準状態でないと判断した箇所が判別可能な第3確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第3確認済データに基づいて前記第3時系列データを修正し、修正後の第3時系列データに基づいて、また、前記第3確認済データの入力を前記確認用端末から受け付けていない場合、当初作成した前記前処理期間の前記第3時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの第3の標準状態を示す第3標準行動パターンを導出し、前記データ記憶部に保存する第3標準状態導出処理と、
前記評価期間の前記第3時系列データに基づいて、前記対象者の前記活動パターンの評価対象となる第3被評価行動パターンを導出し、前記第3被評価行動パターンの前記第3標準行動パターンからの所定の第3乖離度を導出する第3乖離度作成処理と、
前記第3乖離度を含む第3出力データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第3出力データを前記第1ユーザ端末に向けて送信して、前記第3乖離度を前記対象者に通知する第3出力処理と、
を実行するように構成されていることを第3の特徴とする。
【0023】
上記第3の特徴の自己管理支援システムによれば、人感センサの設置されていない場所、例えば、屋外等においても、第1単位時間毎の対象者の移動距離を対象者の活動の程度を示す一指標として用いて、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を把握することができる。また、第3標準行動パターンを導出する過程においても、上記第1の特徴の自己管理支援システムと同様に、対象者本人によるフィードバックが可能な構成を備えているため、対象者は、第3標準行動パターンと第3被評価行動パターンの対比により、自己の活動パターンの変化を正確に認識することができる。
【0024】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第1乃至第3の何れかの特徴に加えて、前記演算処理部が、更に、
前記対象者の住居における消費電力に対して用途分解処理を行い、前記対象者の前記住居内での前記活動パターンと関連する複数の電気機器の消費電力の時間的推移を機器別に特定し、総消費電力及び前記電気機器別の消費電力の処理対象日における所定の第2単位時間刻みの第4時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第4データ保存処理と、
前記第1時系列データと前記第4時系列データに基づいて、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解して活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する活動ログデータ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記活動ログデータを前記第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記活動ログデータを前記対象者及び予め登録された前記対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知する第4出力処理と、
を実行するように構成されていることを第4の特徴とする。
【0025】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、対象者の日常的な活動パターンを前記対象者に通知する自己管理支援システムであって、データ送受信部、データ記憶部、及び、演算処理部を備え、前記演算処理部が、
前記対象者の住居内の1箇所以上の所定位置に設置された人の動作を感知する人感センサから、前記人感センサが感知した前記対象者の動作回数の測定データを、前記データ送受信部を介して所定の受信タイミングで逐次受信し、前記動作回数の処理対象日における所定の第1単位時間刻みの第1時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第1データ保存処理と、
前記対象者の住居における消費電力に対して用途分解処理を行い、前記対象者の前記住居内での前記活動パターンと関連する複数の電気機器の消費電力の時間的推移を機器別に特定し、総消費電力及び前記電気機器別の消費電力の処理対象日における所定の第2単位時間刻みの第4時系列データを作成し、前記データ記憶部に保存する第4データ保存処理と、
前記第1時系列データと前記第4時系列データに基づいて、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解して活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する活動ログデータ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記活動ログデータを前記第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記活動ログデータを前記対象者及び予め登録された前記対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知する第4出力処理と、
を実行するように構成されていることを第5の特徴とする。
【0026】
上記第4または第5の特徴の自己管理支援システムによれば、対象者の日常的な活動パターンを、人感センサの設置箇所における動作回数の多寡だけでなく、活動パターンと関連する複数の電気機器の機器別の動作状況も考慮して、活動内容の活動種別別に分解して、対象者本人または対象者の関係者に提示することができる。これにより、対象者本人または関係者は、対象者の日常的な活動パターンを、より具体的且つ詳細に把握することができる。
【0027】
更に、上記第4または第5の特徴の自己管理支援システムは、前記演算処理部が、前記活動ログデータ作成処理において、前記処理対象日の終了前の前記処理対象日の開始から途中時点までの前記対象者の住居内での活動内容、または、前記処理対象日の終了後の前記処理対象日の前記対象者の住居内での活動内容について、時系列に分解された前記活動種別に誤りがある場合に、前記対象者が前記活動種別及びその活動時間帯を訂正可能な第4確認データを作成し、前記データ送受信部を介して前記第4確認データを前記対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信し、前記第4確認データに対して前記対象者が前記活動種別またはその活動時間帯を訂正した第4確認済データの入力を前記確認用端末から前記データ送受信部を介して受け付けた場合、前記第4確認済データに基づいて、作成途中または作成後の前記活動ログデータを修正することが好ましい。
【0028】
上記好適な実施態様により、活動ログデータの推定精度が向上する。更に、対象者による第4確認データに対するフィードバックにより、活動ログデータ作成処理で使用する推定ロジックまたはルールを学習することで、当該推定ロジックまたはルールの精度が向上し、結果として、活動ログデータの推定精度が向上する。
【0029】
更に、上記第4または第5の特徴の自己管理支援システムは、前記演算処理部が、更に、前記演算処理部が、前記活動ログデータ作成処理において、前記人感センサの設置場所と前記動作回数が所定数以上または以下の時間帯、及び、前記電気機器別の動作時間に基づいて、前記処理対象日における前記活動種別別の活動時間帯を抽出し、前記活動内容の前記活動種別別に分解することが好ましい。
【0030】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第4または第5の特徴に加えて、前記演算処理部が、更に、
複数日に亘る前記活動ログデータに基づいて、前記活動種別別の標準的な活動時間帯を導出して、前記対象者の住居内での標準的な活動内容を示す標準活動ログデータを作成し、前記データ記憶部に保存する標準活動ログデータ作成処理と、
前記標準活動ログデータと前記処理対象日における前記活動ログデータを比較して、前記処理対象日における前記対象者の住居内での活動内容の標準的な活動内容からの乖離状態を報告する乖離状態報告データを作成し、前記データ記憶部に保存する乖離状態報告データ作成処理と、
前記データ送受信部を介して前記乖離状態報告データを前記第1ユーザ端末及び前記第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信して、前記乖離状態報告データを前記対象者及び前記関係者の少なくとも何れか一方に通知する第5出力処理と、
を実行するように構成されていることを第6の特徴とする。
【0031】
上記第6の特徴の自己管理支援システムによれば、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を、活動内容の活動種別別に分解して、より具体的に対象者本人または対象者の関係者に提示することができる。
【0032】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第6の特徴に加えて、前記演算処理部が、前記乖離状態報告データ作成処理において、前記標準活動ログデータに記録されている前記活動種別別の標準的な活動時間帯と、前記処理対象日における前記活動種別別の活動時間帯を比較して、前記活動時間帯の長さの差、または、前記活動時間帯の開始時刻または終了時刻の差が、所定の閾値を超えている場合に、前記乖離状態報告データに、前記閾値を超えている前記活動種別と前記活動時間帯を含めることが好ましい。
【0033】
更に、本発明に係る自己管理支援システムは、上記第4乃至第6の何れかの特徴に加えて、前記演算処理部が、
前記活動ログデータ作成処理において、前記処理対象日の終了を待たずに、前記処理対象日の開始から途中時点までの前記対象者の住居内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解してなる中間活動ログデータを作成し、前記中間活動ログデータを逐次更新し、
前記第4出力処理において、前記中間活動ログデータが更新される毎に、前記中間活動ログデータを前記第1ユーザ端末及び予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信することが好ましい。
【0034】
上記好適な実施態様により、対象者本人または対象者の関係者は、対象者の住居内での活動内容がどのような状況にあるかが、逐次更新される中間活動ログデータによって、ほぼリアルタイムに把握することができる。このため、例えば、対象者が高齢者で、関係者がその親族等の場合において、当該関係者が、高齢者である対象者の活動内容を逐次見守ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る自己管理支援システムによれば、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人が認識可能に通知することができる。これにより、当該通知を受け取った対象者は、本人の生活状況や健康状態の変化を客観的に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態に係る自己管理支援システムの一構成例を模式的に示すブロック図。
図2】3種類のシナリオプレイに対する人感センサの測定結果の時系列データの一例を示す図。
図3】第1実施形態に係る自己管理支援システムの演算処理部の処理内容の一例の概略を示すフローチャート。
図4図3に示す第1確認データ送信処理で作成される第1確認データの一例を模式的に示す図。
図5図3に示す第1確認データ送信処理で作成される第1確認データの他の一例を模式的に示す図。
図6図3に示す第1出力処理で作成される第1出力データの一例を模式的に示す図。
図7】第2及び第3実施形態に係る自己管理支援システムの一構成例を模式的に示すブロック図。
図8】第2実施形態に係る自己管理支援システムの演算処理部の処理内容の一例の概略を示すフローチャート。
図9】第3実施形態に係る自己管理支援システムの演算処理部の処理内容の一例の概略を示すフローチャート。
図10】第4実施形態に係る自己管理支援システムの一構成例を模式的に示すブロック図。
図11】第4実施形態に係る自己管理支援システムの演算処理部の処理内容の一例の概略を示すフローチャート。
図12】活動ログデータ作成処理における活動種別の推定に使用する第1時系列データと第4時系列データの内容の概略を活動種別別に示す表。
図13】活動ログデータの画面表示例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る自己管理支援システム(以下、適宜「本システム」と略称する)の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0038】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態に係る本システム1は、データ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13を備えて構成されている。また、本システム1は、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人に通知する自己管理支援システムであって、対象者の住居20内の1箇所以上の所定位置に人の動作を感知する1または複数の人感センサ21が設置されている。更に、住居20内には、人感センサ21が感知した人の動作の測定データを収集して、インターネット等のデータ通信網Nを介して、本システム1に向けて送信するデータ中継装置22が設置されている。
【0039】
本実施形態では、本システム1は、複数の対象者A1~Anに対して、個別に上記自己管理支援サービス(以下、適宜「本サービス」と略称する)を提供可能に構成されており、データ送受信部11は、各対象者A1~Anの住居20内のデータ中継装置22と各別に、インターネット等のデータ通信網を介してデータ送受信可能に接続されている。また、本実施形態では、各対象者は、一例として、住居10内で実質的に一人暮らしをしている人を対象としており、完全な一人暮らしであってもよく、例えば、1日の大半が一人暮らしとなる人でもよい。
【0040】
データ送受信部11は、例えば、インターネット等の所定のデータ通信網Nを介して、対象者A1~Anに設置されたデータ中継装置22の夫々とデータを送受信する既存の通信装置等を備えて構成される。
【0041】
データ記憶部12は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートディスク)等の大容量のデータを不揮発的に記録可能な記録装置等を備え、演算処理部13からの制御により、データの書き込み、読み出し、検索等が可能に、データベースとして機能するように構成されている。
【0042】
演算処理部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置及び半導体メモリ等の記憶装置等を備えたコンピュータとして構成される。
【0043】
また、一実施態様では、本システム1のデータ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13は、WEBサーバシステム或いは一種のクラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドコンピューティングシステムとして構成され、予め登録した対象者A1~Anが、インターネットを介して、所定のURL(uniform resource locator)を指定してアクセス可能に構成されている。
【0044】
対象者の住居20の形態は、複数の対象者A1~An間で同じである必要はなく、戸建て住居、集合住宅内の1住区画等が想定される。
【0045】
人感センサ21は、一例として、焦電型赤外線センサを用いた一般に市販されている人感センサを使用して構成され、例えば、1秒~10秒程度の間隔で、各人感センサ21の感知エリア内での人体から放射される赤外線強度の変化を検知する。これにより、該感知エリア内での対象者の動作(人体の少なくとも一部の移動)が赤外線強度の変化として感知される。本実施形態では、一例として、各人感センサ21が、1秒間隔で検知した対象者の動作の有無を所定の第1単位時間(例えば1分)毎に集計して、当該1分間の動作回数を第1測定データとして1分毎にデータ中継装置22に送信するように構成されている。この場合、1分毎の当該第1測定データが示す動作回数は0~60の整数値となる。上記対象者の動作回数を集計する第1単位時間は、1分以上60分以下が好ましいが、なるべく短く設定する方が、対象者の一連の動作の特徴(活発度、継続時間、回数等)を正確に把握でき好ましい。尚、人感センサ21は、焦電型赤外線センサ式に限定されるものではない。
【0046】
また、人感センサ21は、対象者の日常的な活動パターンの導出に適した住居20内の所定箇所、例えば、居間、寝室、トイレ等に、夫々必要数が設置される。例えば、対象者の主たる生活空間が居間である場合、当該居間で対象者が移動する全範囲を各人感センサ21の感知エリアがカバーできるように、必要数を設置する。尚、1つの感知対象範囲を複数の人感センサ21でカバーする必要がある場合は、各感知エリアがオーバーラップする領域は、対象者が長時間滞在する場所(例えば、椅子、机、テーブル、ソファー等の置いてある場所)を避けるのが好ましく、当該オーバーラップ領域はなるべく狭くなるように、各人感センサ21の設置位置、感知エリアの広狭、または、その両方を調整するのが好ましい。
【0047】
図2に、12畳程度の広さの居間兼食堂(リビングダイニングルーム)に、試験的に焦電型赤外線センサを用いた市販の人感センサを設置して、3種類のシナリオプレイ(1.リビング内を動き回る(PLAY1)、2.ソファーに座ってテレビを視聴(PLAY2)、3.ソファーに座って新聞、雑誌等を閲覧(PLAY3))を、夫々10分間ずつ(図2の時間軸上の1~10分、11~20分、及び、31~40分)行って計測した1秒粒度の動作感知データを1分毎に集計した測定データを示す。図2に示すように、本実施形態で使用する人感センサ21によって、対象者の動作が活発であるほど、人感センサが検知する1分間の動作回数は増えることが分かり、対象者の日常的な活動パターンの活発度及びその変化を捉え得ることが分かる。
【0048】
データ中継装置22は、各人感センサ21から、所定の通信経路Cを介して、人感センサ21が生成した第1測定データを1分毎に受信する第1通信装置22aと、各人感センサ21から受信した1分毎の第1測定データを一定期間(例えば、1日~1ヶ月)分記録する測定データ記録部22bと、測定データ記録部22bに記録された各人感センサ21から受信した1分毎の測定データの連続する一定時間(例えば、1~24時間)分に、対象者及び人感センサを識別可能な第1識別情報と、当該一定時間の開始日時と長さ(または終了日時)を識別可能な第1時刻情報を追加して人感センサ21毎の第2測定データを生成して、上記一定時間毎に、インターネット等の所定のデータ通信網Nを介して、本システム1のデータ送受信部11に送信する第2通信装置22cを備えて構成される。尚、上記説明では、人感センサ21側で、1秒間隔で検知した対象者の動作の有無を第1単位時間毎に集計したが、データ中継装置22側で当該集計処理を行う構成でもよい。
【0049】
人感センサ21と第1通信装置22aの間の通信経路Cは、有線通信路と無線通信路の何れでもよいが、人感センサ21の設置箇所の選択自由度を考慮すれば、無線通信路であるのが好ましく、例えば、特定小電力無線、Wi-Fi(IEEE802.11規格の無線LAN)、または、Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式による無線通信路が利用できる。
【0050】
データ中継装置22は、図1では、1台の装置として図示されているが、第1通信装置22aが、人感センサ21の通信親機として構成され、測定データ記録部22bと第2通信装置22cが、住居20内で使用されているインターネット等への接続可能なパーソナルコンピュータの一部として構成され、当該パーソナルコンピュータと第1通信装置22aが、住居20内に設置された家庭内LAN(有線LANまたはWi-Fi)を介してデータ通信可能に接続されている実施態様であってもよい。
【0051】
次に、本システム1が本サービスを対象者に提供するために実行する処理内容について説明する。以下の説明では、一人の対象者に対する処理内容を説明するが、他の対象者についても基本的に同じである。
【0052】
本システム1では、演算処理部13が、第1データ保存処理、第1確認データ送信処理、第1標準状態導出処理、第1乖離度作成処理、及び、第1出力処理の5つの処理を行う。各処理の相互間の関係は、図3に示すような関係となっている。尚、5つの処理は、夫々の具体的な処理内容を記述したコンピュータプログラムのプログラムコードが、演算処理部13の記憶装置の記憶領域内に格納され、演算装置が当該プログラムを実行することで、実行される。
【0053】
演算処理部13は、以下の要領で、人感センサ21の設置場所(例えば、居間、寝室、トイレ等)別に、第1データ保存処理を行う。第1データ保存処理では、演算処理部13は、データ中継装置22から一定時間(例えば、1時間)毎に、人感センサ21毎の第2測定データを、データ送受信部2を介して受信すると、対象者及び人感センサ21の別を識別可能に、一旦、データ記憶部12に格納する。そして、1日分の第2測定データがデータ記憶部12に格納されると、人感センサ21の設置場所に1つの人感センサ21だけが設置されている場合は、例えば、60個の1分間(第1単位時間)の第1測定データからなる1時間分の第2測定データを24個、データ記憶部12から読み出して順番に並べて、1日(24時間)分の1分刻みの第1時系列データを作成する。尚、第1時系列データの1分刻みの構成単位である第1測定データを、便宜的に「単位時間データ」と称する場合がある。
【0054】
ここで、人感センサ21の1つの設置場所に2以上の人感センサ21が設置されている場合は、先ず、上記と同様に、人感センサ21別に第1時系列データと同様の24時間分の1分刻みのセンサ別時系列データを人感センサ21の個数分作成し、各センサ別時系列データの同じ時分の1分間の動作回数を合計して、1日(24時間)分の1分刻みの第1時系列データを作成する。後者の場合、対象者が2つの人感センサ21の感知エリアのオーバーラップ領域に止まって身体を動かしている場合は、当該2つの人感センサ21によって同じ動作が重複して感知される可能性があり、上述のように、単純に動作回数を合計すると、第1時系列データの或る1分間の動作回数が60を超える場合があり得る。更に、オーバーラップ領域が無くても、2つの感知エリア間を例えば1秒毎に往復する動作を1分間繰り返せば、各時間センサの第1測定データの値は60となり得る。しかし、同じ1秒毎の往復動作を1つの感知エリア内で行った場合は、当該感知エリアに対応する1つの第1測定データの値だけが60となる。従って、極めて特殊なケースを除いて、2以上のセンサ別時系列データの同じ時分の1分間の動作回数を合計して60を超える場合は稀であるとの前提で、合計後の上限を60に制限する何らかの補正処理を行うようにしてもよい。当該補正処理の一例として、60を超過する動作回数を単純に60にする補正(第1補正処理)、2以上のセンサ別時系列データの同じ時分の1分間の動作回数の最大値に、次に大きい値の動作回数に所定の係数(例えば、0.1~0.5)を乗じた値を加算して、加算後に60を超える場合は60にする補正(第2補正処理)等が考えられる。また、上記の合計する処理に代えて、2以上のセンサ別時系列データの同じ時分の1分間の動作回数の最大値を選択して第1時系列データを作成してもよい。上述の何れかの要領で作成された人感センサ21の設置場所別の第1時系列データは、対象者と人感センサ21の設置場所を識別可能に、データ記憶部12に保存する。第1データ保存処理は、本サービスの提供が継続している対象者に対しては、毎日、継続的に実行される。
【0055】
演算処理部13は、以下の要領で、第1確認データ送信処理を行う。人感センサ21の設置場所別の1日単位の第1時系列データが、本サービスの運用を開始する前の複数日に亘る前処理期間(例えば、運用開始前の2週間~6週間程度)分作成された後に一括して、または、作成の途中段階において複数回に分けて(例えば、1日~7日毎)に、以下の要領で作成した第1確認データを、データ送受信部11から、インターネット等のデータ通信網Nを介して、対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信する。ここで、対象者の使用する確認用端末としては、インターネット等のデータ通信網Nに接続可能なパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等が想定される。
【0056】
本実施形態では、第1確認データの確認用端末への送信処理は、一例として、第1確認データの確認要求メールを対象者の予め登録されているメールアドレスに送信し、対象者が当該確認要求メールを確認用端末で受信し、当該確認要求メール内に記載された第1確認データの確認用のURLで指定されている本システム1のWEBページに、確認用端末に予め搭載されているブラウザを起動して、データ通信網Nを介してアクセスすることで、第1確認データが、データ送受信部11からデータ通信網Nを介して、確認用端末に送信され、確認用端末の当該ブラウザの表示画面上に表示される当該WEBページ上に、第1確認データが表示されるように構成されている。
【0057】
第1確認データは、例えば、図4及び図5に示すように、設置場所(居間、寝室、トイレ)別の第1時系列データを、月日と設置場所の違いが分かるように1日毎に1つのグラフとして統合して、順番に表示し、対象者が標準状態でないと判断する箇所を入力する2つの入力欄23,24を、各グラフの右横に設けている。入力欄23には、「標準状態である」ことを示す『通常』と「標準状態でない」ことを示す『特別』の何れか一方を選択して入力でき、入力欄24には、『特別』(標準状態でない)と考える時間帯を、5つまで選択して入力可能に構成されている。デフォルトでは、0時~24時となっている。図4に示す12月1日~12月3日の3日間は、対象者が2泊3日の旅行で外出しており、当該3日間を『特別』(標準状態でない)と判定され除外されている。図4に示す例では、12月1日~12月3日の3日間は、3つの設置場所の全てにおいて、0時~24時の全範囲が『特別』(標準状態でない)と判定されている。図5に示す12月4日~12月6日の3日間は、対象者は、『通常』(標準状態である)と判定している。
【0058】
第1確認データは、図4及び図5の例示では、1つのグラフ内に、人感センサ21の3つの設置場所(居間、寝室、トイレ)別の第1時系列データを統合して表示しているが、表示する第1時系列データを設置場所別に選択できるようにしてもよい。そして、設置場所別に、『特別』と『通常』、及び、『特別』(標準状態でない)と考える時間帯を指定できるようにしてもよい。例えば、「居間での来客接待」、「寝室の模様替え」、「トイレ掃除」等を『特別』(標準状態でない)と判定して、その時間帯が除外できる。
【0059】
演算処理部13は、以下の要領で、第1標準状態導出処理を行う。対象者は、所定の確認用端末のブラウザの表示画面上に表示された第1確認データに対して、当該画面上で、『特別』(標準状態でない)と考える月日、または、月日と時間帯を指定して、所定の「送信」ボタン(図示せず)をクリック(または、タッチ)すると、当該内容が、第1確認済データとして、データ通信網Nを介して本システム1に送信される。演算処理部13は、データ送受信部11を介して第1確認済データを受信すると、一旦、データ記憶部12に保存する。第1確認データ送信処理で、第1確認データが一括して確認用端末に送信されるケースでは、第1確認済データの受信は1回であり、第1確認データが複数回に分けて確認用端末に送信されるケースでは、第1確認済データの受信は同じ複数回となる。演算処理部13は、確認用端末に送信された全ての第1確認データに対応した第1確認済データを全て受信した後に、受信した第1確認済データに基づいて、第1データ保存処理で作成した前処理期間内の第1時系列データに対して、当該第1確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯のデータを後の処理で使用されないように無効化(データの存在しない状態に)する修正を行う。当該第1確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯がない場合は、或いは、所定の期限までに、対象者から第1確認済データを受信しなかった場合は、第1データ保存処理で作成した前処理期間内の第1時系列データに対する上記修正は行わず、そのまま修正後の第1時系列データとする。そして、演算処理部13は、修正後の第1時系列データに基づいて、対象者の人感センサ21の各設置場所(居間、寝室、トイレ)での活動パターンの第1の標準状態を示す第1標準行動パターンを導出し、データ記憶部12に保存する。
【0060】
第1標準行動パターンは、設置場所別に、以下の要領で算出する。居間での第1標準行動パターンは、前処理期間内の居間の修正後の第1時系列データで、動作回数が1以上の単位時間データの数を居間での総滞在時間(分)とし、前処理期間内の動作回数の合計を総活動量とし、総活動量を総滞在時間で除した平均活動量として計算される。
【0061】
また、寝室での第1標準行動パターンは、例えば、以下の要領で算出される寝室滞在開始時刻と寝室滞在終了時刻とする。以下に示す例では、午後10時から午前6時までの間でデータが無効化されていない前処理期間内の寝室の修正後の第1時系列データを使用する。午後10時から午前6時までの間の動作回数が1以上の単位時間データの先頭の時分を仮の滞在開示時刻として、当該仮の滞在開示時刻の動作回数が所定の基準値(例えば、40)以上であって、その直前の所定時間(例えば、2時間)内に、動作回数が1以上の単位時間データが無い場合は、その時刻を当該月日の日別滞在開始時刻とし、仮の滞在開示時刻の動作回数が前記基準値未満で、その直前の所定時間(例えば、2時間)内に、動作回数が1以上の単位時間データがあって、その先頭の時分を仮の滞在開示時刻として、同じ処理を繰り返して、当該月日の日別滞在開始時刻を検索する。所定回数(例えば、2回)繰り返しても、日別滞在開始時刻が決定されない場合は、当該月日の日別滞在開始時刻は敢えて決定しない。
【0062】
次に、午後10時から午前6時までの間の動作回数が1以上の単位時間データの最後の時分を仮の滞在終了時刻として、当該仮の滞在終了時刻の動作回数が所定の基準値(例えば、40)以上であって、その直後の所定時間(例えば、2時間)内に、動作回数が1以上の単位時間データが無い場合は、その時刻を当該月日の日別滞在終了時刻とし、仮の滞在終了時刻の動作回数が前記基準値未満で、その直後の所定時間(例えば、2時間)内に、動作回数が1以上の単位時間データがあって、その最後の時分を仮の滞在開示時刻として、同じ処理を繰り返して、当該月日の日別滞在終了時刻を検索する。所定回数(例えば、2回)繰り返しても、日別滞在終了時刻が決定されない場合は、当該月日の日別滞在終了時刻は敢えて決定しない。
【0063】
上記要領で決定された前処理期間内の日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻に対して、例えば、夫々の平均値または中央値を算出して、寝室滞在開始時刻と寝室滞在終了時刻とする。尚、日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻の母数が大きい場合には、平均値または中央値に代えて、最頻値を算出してもよい。この場合、最頻値は、日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻を、例えば、10分刻みでグループ化したものの最頻グループを求め、その最頻グループ内での平均値または中央値を算出するようにしてもよい。
【0064】
また、トイレでの第1標準行動パターンは、例えば、前処理期間内のトイレの修正後の第1時系列データを使用して、以下の要領で算出される標準トイレ回数とする。日別の修正後の各第1時系列データに対して、動作回数が1以上の単位時間データが1以上連続するグループ内に動作回数が基準値(例えば、30)以上となる単位時間データがある場合に、1回のトイレ利用と判断して、1日のトイレ利用回数をカウントする。但し、修正後の何れかの1つの設置場所の第1時系列データで無効化された時間の日別の合計が、例えば、所定時間(例えば、6~12時間)以上となる日のトイレの修正後の第1時系列データは除外する。そして、有効な修正後の各第1時系列データに対して算出された1日のトイレ利用回数の平均値を標準トイレ回数として算出する。
【0065】
演算処理部13は、以下の要領で、第1乖離度作成処理を行う。演算処理部13は、先ず、前処理期間後の1日または複数日の所定の評価期間の第1時系列データを、データ記憶部12から読み出し、読み出した所定の評価期間の第1時系列データに基づいて、設置場所別に、以下の要領で、日別の第1被評価行動パターンを算出して、データ記憶部12に保存する。評価期間が複数日に亘る場合は、当該複数日分の第1被評価行動パターンを算出する。評価期間は、日別の第1被評価行動パターンの算出を行う周期であって、例えば、1日~7日である。以下、評価期間が1日の場合を例に説明するが、評価期間が複数日の場合は、同様の処理を複数回繰り返すことになる。
【0066】
居間での第1被評価行動パターンは、評価期間内の1日の居間の第1時系列データで、動作回数が1以上の単位時間データの数を居間での総滞在時間(分)とし、当該1日の居間の第1時系列データの動作回数の合計を総活動量とし、総活動量を総滞在時間で除した平均活動量として計算される。
【0067】
また、寝室での第1被評価行動パターンは、評価期間内の1日とその前日及び翌日の寝室の第1時系列データに基づいて、寝室での第1標準行動パターンと同様の要領で、算出される日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻である。日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻の少なくとも一方が決定されない場合は、その点も、寝室での第1被評価行動パターンに含まれる。尚、日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻の決定方法は、寝室での第1標準行動パターンの算出時の日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻の決定方法と同じであるので、重複する説明は割愛する。
【0068】
また、トイレでの第1被評価行動パターンは、例えば、評価期間内の1日のトイレの第1時系列データを使用して、以下の要領で算出される1日のトイレ利用回数とする。当該1日のトイレの第1時系列データに対して、動作回数が1以上の単位時間データが1以上連続するグループ内に動作回数が基準値(例えば、30)以上となる単位時間データがある場合に、1回のトイレ利用と判断して、1日のトイレ利用回数をカウントする。
【0069】
引き続き、演算処理部13は、算出した評価期間の1日の設置場所別の各第1被評価行動パターンと既に算出された設置場所別の各第1標準行動パターンを比較して、設置場所別の第1乖離度を算出して、データ記憶部12に保存する。居間での第1乖離度は、一例として、居間での第1被評価行動パターン(平均活動量)から居間での第1標準行動パターン(平均活動量)を差し引いた平均活動量の差として与えられる。
【0070】
寝室での第1乖離度は、一例として、滞在開始時刻と滞在終了時刻の2種類の第1乖離度を算出する。第1乖離度(滞在開始時刻)は、一例として、寝室の第1被評価行動パターン(日別滞在開始時刻)から寝室の第1標準行動パターン(寝室滞在開始時刻)を差し引いた滞在開始時刻の差を、寝室での第1標準行動パターンの算出過程で求めた前処理期間内の日別滞在開始時刻の最大値と最小値の差で除した比として与えられる。第1乖離度(滞在終了時刻)は、一例として、寝室の第1被評価行動パターン(日別滞在終了時刻)から寝室の第1標準行動パターン(寝室滞在終了時刻)を差し引いた滞在終了時刻の差を、寝室での第1標準行動パターンの算出過程で求めた前処理期間内の日別滞在終了時刻の最大値と最小値の差で除した比として与えられる。尚、寝室の第1被評価行動パターン(日別滞在開始時刻)と第1被評価行動パターン(日別滞在終了時刻)は、何れか一方または両方が算出されない場合もあるため、その場合には、上記2種類の第1乖離度には、関係する第1乖離度が算出不能である旨が含まれる。
【0071】
トイレでの第1乖離度は、一例として、トイレでの第1被評価行動パターン(1日のトイレ利用回数)をトイレでの第1標準行動パターン(標準トイレ回数)で除した比として与えられる。
【0072】
演算処理部13は、以下の要領で、第1出力処理を行う。演算処理部13は、算出した評価期間の1日の設置場所別の各第1乖離度を所定の表示形式で表示するための第1出力データを作成し、データ送受信部11から所定のデータ通信網Nを介して、第1出力データを含む電子メールメッセージを、対象者の予め登録されているメールアドレスに送信する。対象者は、当該電子メールメッセージを、対象者の使用する所定の第1ユーザ端末で受信することで、第1ユーザ端末の表示画面上で第1出力データを閲覧できる。第1ユーザ端末としては、インターネット等のデータ通信網Nに接続可能なパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等が想定され、上述の確認用端末と同じであっても、別端末であってもよい。
【0073】
対象者は、第1出力データを閲覧することで、居間での活動パターンの標準状態からの変化の有無及びその程度の確認、寝室における就寝リズムの標準状態からの変化の有無及びその程度の確認、及び、トイレの利用回数の標準状態からの変化の有無及びその程度の確認を、夫々客観的に行うことができる。
【0074】
図6に、第1出力データの表示形式の一例を示す。図6に示す例は、第1標準行動パターン、第1被評価行動パターン、及び、第1乖離度の夫々を、設置場所別に表形式に纏めて、簡易的に表示するものである。尚、図6中の記号(英字)または数式で表示してある箇所には、各算出結果の数値が表示される。
【0075】
上述の第1出力処理に加えて、対象者に対して、以下に説明する第1被評価行動パターンと第1乖離度の閲覧オプションを提供するのも好ましい実施態様である。具体的には、第1出力処理で対象者に対して送信した電子メールメッセージ内に当該閲覧オプションサービスにアクセスするためのURLを追加しておき、対象者が、第1ユーザ端末の表示画面上において電子メールメッセージ内の当該URLをクリック(または、タッチ)すると、第1ユーザ端末に予め搭載されているブラウザが起動し、表示画面上に閲覧オプションサービスのWEBページが表示される。当該閲覧オプションサービスでは、一例として、演算処理部13は、所定の演算処理を行って、過去の第1出力処理で対象者に提供した複数日に亘る第1被評価行動パターンと第1乖離度の1日単位での推移をグラフ形式または表形式で提示する、或いは、第1被評価行動パターンと第1乖離度の1週間毎及び1カ月毎の平均値の推移をグラフ形式または表形式で提示する。
【0076】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る本システム2について、図7及び図8を参照して説明する。本システム2は、第1実施形態と同様、データ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13を備えて構成されている。本システム2では、本サービスを対象者に提供するために実行する処理内容として、第1実施形態で説明した処理内容に、以下に説明する処理内容が追加されている。
【0077】
本システム2では、複数の対象者A1~Anの少なくとも一部が、複数の生体情報(心拍数、呼吸数、等)と加速度情報の少なくとも1つを含む人体情報を検知する人体に装着可能な人体情報センサ31、例えば、腕時計式のウェアラブルセンサを装着している場合を想定する。本実施形態では、人体情報センサ31は、モーションセンサ(加速度センサ)と心拍センサの少なくとも何れか一方を備えている場合を想定する。
【0078】
人体情報センサ31がモーションセンサ(加速度センサ)を備えていると、例えば、対象者の手首に装着された場合の当該手首の速度変化を伴う動作を検知できる。従って、第1実施形態の人感センサ21の場合と同様に、当該速度変化を伴う動作の回数を第1単位時間(1分)毎に集計すると、例えば、居間に設置した人感センサ21と同様に、対象者の一連の動作の特徴(活発度、継続時間、回数等)を把握できる。但し、腕時計式のウェアラブルセンサの場合は、その動作は手首の動作に限定されるため、椅子に座ったままの動作であっても、手首が頻繁に動く動作は、非常に活発な動作として把握される。このため、本実施形態では、人体情報センサ31による対象者の日常的な活動パターンの測定は、人感センサ21による測定を補足するものとして利用する。また、人感センサ21の場合、対象者の一連の動作の特徴の把握は、対象者が人感センサ21の感知範囲内に存在することが前提となるが、人体情報センサ31の場合は、対象者が人体情報センサ31を装着していることが前提となる。従って、人体情報センサ31の場合は、対象者の存在場所に限定されず、対象者の日常的な活動パターンの測定が可能となる点において、人感センサ21による測定を補足する。
【0079】
人体情報センサ31が心拍センサを備えていると、対象者の運動負荷が増大すると心拍数の増加として現れるため、対象者の或る程度大きな運動負荷を伴う動作を検知できる。本実施形態では、一例として、第1単位時間(1分)毎に心拍数を測定する。
【0080】
人体情報センサ31が測定した1分毎の集計データ(モーションデータ)と1分毎の心拍数(心拍データ)は、住居20内に設置されているデータ中継装置32に一旦取り込まれた後、新たに取り込まれたデータが纏めて、インターネット等のデータ通信網Nを介して、本システム1に向けて送信される。具体的には、対象者が、当該人体情報センサ31を取り外して、データ中継装置32とデータ通信可能に接続すると、上記各データがデータ中継装置32内の所定の記憶領域に取り込まれる。データ中継装置32は、人体情報センサ31と接続されると、データ通信網Nを介して、本システム1に接続し、上記各データが取り込まれると、本システム1に向けて転送する。モーションデータと心拍データには、人体情報センサ31の計測時の付加された日時情報に加えて、データ中継装置32において、対象者と人体情報センサ31のセンサの種類を識別可能な第2識別情報が付加される。データ中継装置32は、一例として、インターネット等への接続可能なパーソナルコンピュータを利用して構成される。また、データ中継装置32として、第1実施形態で説明した対象者の使用する第1ユーザ端末を利用してもよい。人体情報センサ31からデータ中継装置32へのデータの取り込みは、例えば、Wi-FiやBluetooth等の無線通信またはUSBケーブル等を介した有線シリアルデータ通信によって行われる。
【0081】
次に、本システム2が本サービスを対象者に提供するために、第1実施形態で説明した処理内容に追加して実行する処理内容について説明する。以下の説明では、一人の対象者に対する処理内容を説明するが、他の対象者についても基本的に同じである。
【0082】
本システム2では、演算処理部13が、第2データ保存処理、第2確認データ送信処理、第2標準状態導出処理、第2乖離度作成処理、及び、第2出力処理の5つの処理を行う。各処理の相互間の関係は、図8に示すような関係となっている。尚、5つの処理は、夫々の具体的な処理内容を記述したコンピュータプログラムのプログラムコードが、演算処理部13の記憶装置の記憶領域内に格納され、演算装置が当該プログラムを実行することで、実行される。
【0083】
演算処理部13は、以下の要領で、第2データ保存処理を行う。第2データ保存処理では、演算処理部13は、データ中継装置22から、モーションデータと心拍データを新たに受信する毎に、モーションデータと心拍データを対象者と人体情報センサ31のセンサの種類(モーションセンサ、心拍センサ)を識別可能に、一旦、データ記憶部12に格納する。そして、1日分のモーションデータと心拍データがデータ記憶部12に格納されると、モーションデータと心拍データの構成単位である1分間(第1単位時間)の各単位時間データをデータ記憶部12から読み出し、順番に並べて、1日(24時間)分の1分刻みの第2時系列データを作成する。ここで、データ中継装置22から受信するモーションデータと心拍データは、人体情報センサ31で実際に計測された時間分のデータしか含まれていないため、人体情報センサ31で計測されていない時間のデータ値は、データ値0と区別してNUL(空白)として、つまり、データの無い状態として、第2時系列データ内に挿入する。尚、第2時系列データの1分刻みの構成単位を、便宜的に「単位時間データ」と称する場合がある。
【0084】
演算処理部13は、以下の要領で、第2確認データ送信処理を行う。人体情報センサ31のセンサの種類別の1日単位の第2時系列データが、本サービスの運用を開始する前の複数日に亘る前処理期間(例えば、運用開始前の2週間~6週間程度)分作成された後に一括して、または、作成の途中段階において複数回に分けて(例えば、1日~7日毎)に、以下の要領で作成した第2確認データを、データ送受信部11から、インターネット等のデータ通信網Nを介して、対象者の使用する確認用端末に向けて送信する。
【0085】
本実施形態では、第2確認データの確認用端末への送信処理は、一例として、第2確認データの確認要求メールを対象者の予め登録されているメールアドレスに送信し、対象者が当該確認要求メールを確認用端末で受信し、当該確認要求メール内に記載された第2確認データの確認用のURLで指定されている本システム1のWEBページに、確認用端末に予め搭載されているブラウザを起動して、データ通信網Nを介してアクセスすることで、第2確認データが、データ送受信部11からデータ通信網Nを介して、確認用端末に送信され、確認用端末の当該ブラウザの表示画面上に表示される当該WEBページ上に、第2確認データが表示されるように構成されている。第2確認データは、一例として、第1実施形態で説明した第1確認データと同様に表示形式で表示される。
【0086】
演算処理部13は、以下の要領で、第2標準状態導出処理を行う。対象者は、所定の確認用端末のブラウザの表示画面上に表示された第2確認データに対して、当該画面上で、『特別』(標準状態でない)と考える月日、または、月日と時間帯を指定して、所定の「送信」ボタンをクリック(または、タッチ)すると、当該内容が、第2確認済データとして、データ通信網Nを介して本システム1に送信される。演算処理部13は、データ送受信部11を介して第2確認済データを受信すると、一旦、データ記憶部12に保存する。第2確認データ送信処理で、第2確認データが一括して確認用端末に送信されるケースでは、第2確認済データの受信は1回であり、第2確認データが複数回に分けて確認用端末に送信されるケースでは、第2確認済データの受信は同じ複数回となる。演算処理部13は、確認用端末に送信された全ての第2確認データに対応した第2確認済データを全て受信した後に、受信した第2確認済データに基づいて、第2データ保存処理で作成した前処理期間内の第2時系列データに対して、当該第2確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯のデータを後の処理で使用されないように無効化(データの存在しない状態に)する修正を行う。当該第2確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯がない場合は、或いは、所定の期限までに、対象者から第2確認済データを受信しなかった場合は、第2データ保存処理で作成した前処理期間内の第2時系列データに対する上記修正は行わず、そのまま修正後の第2時系列データとする。そして、演算処理部13は、修正後の第2時系列データに基づいて、対象者の活動パターンの人体情報センサ31の計測結果に基づく第2の標準状態を示す第2標準行動パターンを導出し、データ記憶部12に保存する。
【0087】
第2標準行動パターンは、人体情報センサ31のセンサの種類別に、以下の要領で算出する。モーションデータの第2標準行動パターンは、前処理期間内のモーションデータの修正後の第2時系列データで、動作回数が1以上の単位時間データの数を総活動時間(分)とし、前処理期間内の単位時間データの動作回数の合計を総活動量とし、総活動量を総活動時間で除した平均活動量として計算される。
【0088】
また、心拍データの第2標準行動パターンは、一例として、前処理期間内の心拍データの修正後の第2時系列データの各単位時間データの心拍数の平均値(平均心拍数)として計算される。
【0089】
演算処理部13は、以下の要領で、第2乖離度作成処理を行う。演算処理部13は、先ず、前処理期間後の1日または複数日の所定の評価期間の第2時系列データを、データ記憶部12から読み出し、読み出した所定の評価期間の第2時系列データに基づいて、人体情報センサ31のセンサの種類別に、以下の要領で、日別の第2被評価行動パターンを算出して、データ記憶部12に保存する。評価期間が複数日に亘る場合は、当該複数日分の第2被評価行動パターンを算出する。評価期間は、日別の第2被評価行動パターンの算出を行う周期であって、例えば、1日~7日である。以下、評価期間が1日の場合を例に説明するが、評価期間が複数日の場合は、同様の処理を複数回繰り返すことになる。
【0090】
モーションデータの第2被評価行動パターンは、評価期間内の1日のモーションデータの修正後の第2時系列データで、動作回数が1以上の単位時間データの数を総活動時間(分)とし、当該1日の単位時間データの動作回数の合計を総活動量とし、総活動量を総活動時間で除した平均活動量として計算される。
【0091】
また、心拍データの第2被評価行動パターンは、一例として、評価期間内の1日の心拍データの修正後の第2時系列データの各単位時間データの心拍数の平均値(平均心拍数)として計算される。
【0092】
引き続き、演算処理部13は、算出した評価期間の1日の人体情報センサ31のセンサの種類別の各第2被評価行動パターンと既に算出された該センサの種類別の各第2標準行動パターンを比較して、該センサの種類別の第2乖離度を算出して、データ記憶部12に保存する。モーションデータの第2乖離度は、一例として、モーションデータの第2被評価行動パターン(平均活動量)を同第2標準行動パターン(平均活動量)で除した平均活動量の比として与えられる。
【0093】
また、心拍データの第2乖離度は、一例として、心拍データの第2被評価行動パターン(平均心拍数)を同第2標準行動パターン(平均心拍数)で除した平均心拍数の比として与えられる。
【0094】
演算処理部13は、以下の要領で、第2出力処理を行う。演算処理部13は、算出した評価期間の1日の人体情報センサ31のセンサの種類別の各第2乖離度を所定の表示形式で表示するための第2出力データを作成し、データ送受信部11から所定のデータ通信網Nを介して、第2出力データを含む電子メールメッセージを、対象者の予め登録されているメールアドレスに送信する。対象者は、当該電子メールメッセージを、対象者の使用する所定の第1ユーザ端末で受信することで、第1ユーザ端末の表示画面上で第2出力データを閲覧できる。第2出力データは、一例として、第1実施形態で説明した第1出力データと同様に、表形式に纏めて簡易的に表示することができる。更に、第1実施形態で説明した閲覧オプションと同様に、第2被評価行動パターンと第2乖離度の閲覧オプションを提供するのも好ましい実施態様である。
【0095】
対象者は、第2出力データを閲覧することで、人体情報センサ31で計測される活動パターン(動作回数及び心拍数)の標準状態からの変化の有無及びその程度の確認を客観的に行うことができる。
【0096】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る本システム3について、図7及び図9を参照して説明する。本システム3は、第1実施形態と同様、データ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13を備えて構成されている。本システム3では、本サービスを対象者に提供するために実行する処理内容として、第1実施形態または第2実施形態で説明した処理内容に、以下に説明する処理内容が追加されている。
【0097】
本システム3では、複数の対象者A1~Anの少なくとも一部が、対象者の住居20外での地理的位置情報を検知することで、対象者の移動量と移動速度(活動量)を計測可能な人体に装着可能な測位センサ33、例えば、GPS式活動量センサを装着している場合を想定する。
【0098】
測位センサ33は、例えば、1秒粒度で地理的位置情報(緯度及び経度)を検知すると、1秒毎の移動距離が計算でき、当該1秒毎の移動距離を、例えば、第1単位時間(1分)毎に集計すると、第1単位時間(1分)毎の対象者の移動量(1分間の平均移動速度(活動量))を計測できる。これにより、例えば、居間に設置した人感センサ21、或いは、人体情報センサ31のモーションセンサと同様に、対象者の一連の動作の特徴(活発度、継続時間、回数等)を把握できる。
【0099】
測位センサ33が測定した1分毎の集計データ(移動量データ)は、住居20内に設置されているデータ中継装置32に一旦取り込まれた後、新たに取り込まれたデータが纏めて、インターネット等のデータ通信網Nを介して、本システム1に向けて送信される。具体的には、対象者が、当該測位センサ33を取り外して、データ中継装置32とデータ通信可能に接続すると、上記各データがデータ中継装置32内の所定の記憶領域に取り込まれる。データ中継装置32は、測位センサ33と接続されると、データ通信網Nを介して、本システム1に接続し、上記移動量データが取り込まれると、本システム1に向けて転送する。移動量データには、移動量データの計測時の付加された日時情報に加えて、データ中継装置32において、対象者と移動量データである旨を識別可能な第3識別情報が付加される。測位センサ33からデータ中継装置32へのデータの取り込みは、例えば、Wi-FiやBluetooth等の無線通信またはUSBケーブル等を介した有線シリアルデータ通信によって行われる。
【0100】
次に、本システム3が本サービスを対象者に提供するために、第1または第2実施形態で説明した処理内容に追加して実行する処理内容について簡単に説明する。以下の説明では、一人の対象者に対する処理内容を説明するが、他の対象者についても基本的に同じである。
【0101】
本システム3では、演算処理部13が、第3データ保存処理、第3確認データ送信処理、第3標準状態導出処理、第3乖離度作成処理、及び、第3出力処理の5つの処理を行う。各処理の相互間の関係は、図9に示すような関係となっている。尚、5つの処理は、夫々の具体的な処理内容を記述したコンピュータプログラムのプログラムコードが、演算処理部13の記憶装置の記憶領域内に格納され、演算装置が当該プログラムを実行することで、実行される。
【0102】
本システム3で、上記移動量データに対して行われる第3データ保存処理、第3確認データ送信処理、第3標準状態導出処理、第3乖離度作成処理、及び、第3出力処理の5つの処理は、第2実施形態で説明したモーションデータに対して行われる第2データ保存処理、第2確認データ送信処理、第2標準状態導出処理、第2乖離度作成処理、及び、第2出力処理の5つの処理と基本的に同じである。
【0103】
演算処理部13は、以下の要領で、第3データ保存処理を行う。第3データ保存処理では、演算処理部13は、データ中継装置22から、移動量データを新たに受信する毎に、移動量データを対象者と移動量データである旨を識別可能に、一旦、データ記憶部12に格納する。そして、1日分の移動量データがデータ記憶部12に格納されると、移動量データの構成単位である1分間(第1単位時間)の各単位時間データをデータ記憶部12から読み出し、順番に並べて、1日(24時間)分の1分刻みの第3時系列データを作成する。ここで、データ中継装置22から受信する移動量データは、測位センサ33で実際に計測された時間分のデータしか含まれていないため、測位センサ33で計測されていない時間のデータ値は、データ値0と区別してNUL(空白)として、つまり、データの無い状態として、第3時系列データ内に挿入する。尚、第3時系列データの1分刻みの構成単位を、便宜的に「単位時間データ」と称する場合がある。
【0104】
演算処理部13は、以下の要領で、第3確認データ送信処理を行う。1日単位の第3時系列データが、本サービスの運用を開始する前の複数日に亘る前処理期間(例えば、運用開始前の2週間~6週間程度)分作成された後に一括して、または、作成の途中段階において複数回に分けて(例えば、1日~7日毎)に、以下の要領で作成した第3確認データを、データ送受信部11から、インターネット等のデータ通信網Nを介して、対象者の使用する確認用端末に向けて送信する。
【0105】
本実施形態では、第3確認データの確認用端末への送信処理は、第1実施形態で説明した第1確認データ、及び、第2実施形態で説明した第2確認データの送信処理と同様に行う。よって、重複する説明は割愛する。
【0106】
演算処理部13は、以下の要領で、第3標準状態導出処理を行う。対象者は、所定の確認用端末のブラウザの表示画面上に表示された第3確認データに対して、当該画面上で、『特別』(標準状態でない)と考える月日、または、月日と時間帯を指定して、所定の「送信」ボタンをクリック(または、タッチ)すると、当該内容が、第3確認済データとして、データ通信網Nを介して本システム1に送信される。演算処理部13は、データ送受信部11を介して第3確認済データを受信すると、一旦、データ記憶部12に保存する。第3確認データ送信処理で、第3確認データが一括して確認用端末に送信されるケースでは、第3確認済データの受信は1回であり、第3確認データが複数回に分けて確認用端末に送信されるケースでは、第3確認済データの受信は同じ複数回となる。演算処理部13は、確認用端末に送信された全ての第3確認データに対応した第3確認済データを全て受信した後に、受信した第3確認済データに基づいて、第3データ保存処理で作成した前処理期間内の第3時系列データに対して、当該第3確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯のデータを後の処理で使用されないように無効化(データの存在しない状態に)する修正を行う。当該第3確認済データで『特別』(標準状態でない)と指定された月日または月日と時間帯がない場合は、或いは、所定の期限までに、対象者から第3確認済データを受信しなかった場合は、第3データ保存処理で作成した前処理期間内の第3時系列データに対する上記修正は行わず、そのまま修正後の第3時系列データとする。そして、演算処理部13は、修正後の第3時系列データに基づいて、対象者の活動パターンの測位センサ33の計測結果に基づく第3の標準状態を示す第3標準行動パターンを導出し、データ記憶部12に保存する。
【0107】
第3標準行動パターンは、前処理期間内の移動量データの修正後の第3時系列データで、移動量が0またはNULでない単位時間データの数を総移動時間(分)とし、前処理期間内の単位時間データの移動量の合計を総移動量とし、総移動量を総移動時間で除した平均移動速度として計算される。
【0108】
演算処理部13は、以下の要領で、第3乖離度作成処理を行う。演算処理部13は、先ず、前処理期間後の1日または複数日の所定の評価期間の第3時系列データを、データ記憶部12から読み出し、読み出した所定の評価期間の第3時系列データに基づいて、以下の要領で、日別の第3被評価行動パターンを算出して、データ記憶部12に保存する。評価期間が複数日に亘る場合は、当該複数日分の第3被評価行動パターンを算出する。評価期間は、日別の第3被評価行動パターンの算出を行う周期であって、例えば、1日~7日である。以下、評価期間が1日の場合を例に説明するが、評価期間が複数日の場合は、同様の処理を複数回繰り返すことになる。
【0109】
第3被評価行動パターンは、評価期間内の1日の修正後の第3時系列データで、移動量が0またはNULでない単位時間データの数を総移動時間(分)とし、当該1日の単位時間データの移動量の合計を総移動量とし、総移動量を総移動時間で除した平均移動速度として計算される。
【0110】
引き続き、演算処理部13は、算出した評価期間の1日の第3被評価行動パターンと既に算出された第3標準行動パターンを比較して、第3乖離度を算出して、データ記憶部12に保存する。第3乖離度は、一例として、第3被評価行動パターン(平均移動速度)を第3標準行動パターン(平均移動速度)で除した平均移動速度の比として与えられる。
【0111】
演算処理部13は、以下の要領で、第3出力処理を行う。演算処理部13は、算出した評価期間の1日の第3乖離度を所定の表示形式で表示するための第3出力データを作成し、データ送受信部11から所定のデータ通信網Nを介して、第3出力データを含む電子メールメッセージを、対象者の予め登録されているメールアドレスに送信する。対象者は、当該電子メールメッセージを、対象者の使用する所定の第1ユーザ端末で受信することで、第1ユーザ端末の表示画面上で第3出力データを閲覧できる。第3出力データは、一例として、第1実施形態で説明した第1出力データと同様に、表形式に纏めて簡易的に表示することができる。更に、第1実施形態で説明した閲覧オプションと同様に、第3被評価行動パターンと第3乖離度の閲覧オプションを提供するのも好ましい実施態様である。
【0112】
対象者は、第3出力データを閲覧することで、測位センサ33で計測される活動パターン(移動速度)の標準状態からの変化の有無及びその程度の確認を客観的に行うことができる。
【0113】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る本システム4について、図10図13を参照して説明する。本システム4は、第1実施形態と同様、データ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13を備えて構成されている。本システム4では、本サービスを対象者に提供するために実行する処理内容として、第1、第2または第3実施形態で説明した処理内容に、以下に説明する処理内容が追加されている。
【0114】
本システム4では、複数の対象者A1~Anの少なくとも一部において、住居20における総消費電力の瞬時値の時間的変化(電力波形)を計測する電力メータ34を各住居20に備えている。電力メータ34は、一例として、各住居20内に系統電力から引き込まれる電力が単層3線式の交流電力の場合、分電盤内のリミッタの2次側または主幹ブレーカの2次側の2本の電圧線にそれぞれ電流計を設け、1本の電圧線と中性線の間に電圧計を設けて構成される。更に、電力メータ34で計測される電力波形または電流波形を、後述する用途分解処理で使用する電力波形または電流波形に求められる時間分解能等の要件に応じて、所定タイミング及び周期でサンプリングして時系列のディジタルデータ(第1消費電力データ)に変換する波形変換部35が、電力メータ34に接続されている。
【0115】
波形変換部35で生成された第1消費電力データは、一例として、第2単位時間(例えば、1~60分)分が纏められ、波形変換部35との通信用にデータ中継装置22内に別途設けられた別の第1通信装置22aを介して、データ中継装置22の測定データ記録部22bに一時的に記録されるとともに、対象者を識別可能な第4識別情報と、第2単位時間の開始時刻(日時分)を示す第4時刻情報を追加して、第2消費電力データとして、データ中継装置22の第2通信装置22cとデータ通信網Nを介して、第2単位時間毎に本システム4に向けて送信される。尚、波形変換部35内に測定データ記録部22b及び第2通信装置22cと同等の記憶装置及び通信装置が内蔵されている場合は、当該第2消費電力データは、データ通信網Nを介して、波形変換部35から直接、第2単位時間毎に本システム4に向けて送信されてもよい。
【0116】
本システム4では、人感センサ21は、第1実施形態で説明したように、1秒間隔で検知した対象者の動作の有無を所定の第1単位時間(例えば1分)毎に集計して、当該1分間の動作回数を第1測定データとして1分毎にデータ中継装置22に送信するように構成されており、更に、対象者の日常的な活動パターンの導出に適した住居20内の所定箇所、例えば、居間、寝室、トイレ等に、夫々必要数が設置されている。
【0117】
第1実施形態では、第1測定データは、測定データ記録部22bに記録され、一定時間(例えば、1~24時間)分が纏められ、第1識別情報と第1時刻情報が付加された後、第2測定データとして、一定時間毎に、第2通信装置22cとデータ通信網Nを介して、上記一定時間毎に本システム4に向けて送信される場合を想定した。しかし、第4実施形態では、一例として、上記一定時間は、第1単位時間以上、第2消費電力データの送信間隔と同じ第2単位時間以下とし、後述する演算処理部13が行う第1データ保存処理、第4データ保存処理、活動ログデータ作成処理、及び、第4出力処理の繰り返し周期である第2単位時間とするのが好ましい。
【0118】
次に、本システム4が本サービスを対象者に提供するために、第1、第2または第3実施形態で説明した処理内容に追加して実行する処理内容について簡単に説明する。以下の説明では、一人の対象者に対する処理内容を説明するが、他の対象者についても基本的に同じである。
【0119】
本システム4では、演算処理部13が、第1データ保存処理、第4データ保存処理、活動ログデータ作成処理、標準活動ログデータ作成処理、乖離状態報告データ作成処理、第4出力処理、及び、第5出力処理の7つの処理を行う。第1データ保存処理、第4データ保存処理、活動ログデータ作成処理、及び、第4出力処理は、第2単位時間毎に繰り返し実行され、標準活動ログデータ作成処理、乖離状態報告データ作成処理、及び、第5出力処理は、1日に1回実行される。各処理の相互間の関係は、図11に示すような関係となっている。尚、7つの処理は、夫々の具体的な処理内容を記述したコンピュータプログラムのプログラムコードが、演算処理部13の記憶装置の記憶領域内に格納され、演算装置が当該プログラムを実行することで、実行される。
【0120】
演算処理部13は、以下の要領で、人感センサ21の設置場所(例えば、居間、寝室、トイレ等)別に、第1データ保存処理を行う。第1データ保存処理では、演算処理部13は、データ中継装置22からデータ送受信部2を介して、第2単位時間毎に、人感センサ21毎の第2測定データを受信すると、対象者及び人感センサ21の別を識別可能に、一旦、データ記憶部12に格納する。そして、第2測定データを受信する毎に、第2測定データをデータ記憶部12から読み出して、人感センサ21の設置場所別に処理対象日の第1測定データを時系列に順番に並べた1分刻みの第1時系列データを作成して、データ記憶部12に保存する。2回目以降は、第2単位時間毎に、処理対象日の既に作成した第1時系列データに新たに受信した第2測定データ内の第1測定データを時系列に追加して、第1時系列データを更新して、データ記憶部12に上書き保存する。
【0121】
演算処理部13は、以下の要領で、第4データ保存処理を行う。第4データ保存処理では、演算処理部13は、データ中継装置22または波形変換部35からデータ送受信部2を介して、第2単位時間毎に第2消費電力データを受信すると、対象者の別を識別可能に、一旦、データ記憶部12に格納する。そして、第2消費電力データを受信する毎に、処理対象日の第2単位時間毎の第2消費電力データ内の第1消費電力データを時系列に順番に並べた第3消費電力データを作成して、データ記憶部12に保存する。2回目以降は、第2単位時間毎に、処理対象日の既に作成した第3消費電力データに新たに受信した第2消費電力データ内の第1消費電力データを時系列に追加して、第3消費電力データ(第4時系列データの一部に相当)を更新して、データ記憶部12に上書き保存する。
【0122】
演算処理部13は、第4データ保存処理において、第2単位時間毎に、データ記憶部12に上書き保存された処理対象日の第3消費電力データに対して、所定の用途分解処理を行い、処理対象日の用途分解処理時点での第3消費電力データから、予め設定された対象者の住居20内での活動パターンと関連する複数の電気機器(例えば、エアコン、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、テレビ、掃除機、IH調理機器、電気ケトル、ドライヤ、電気ヒータ等)で消費される機器別の第4消費電力データ(第4時系列データの他の一部に相当)を各別に抽出し、データ記憶部12に上書き保存する。
【0123】
用途分解処理は、既に幾つかの技術が実用化されており、一例として、インフォメティス株式会社が提供する機器分離推定技術が利用できる。用途分解処理は、第4実施形態における活動ログデータの作成に適用できるものであれば、当該機器分離推定技術に限定されるものではない。
【0124】
演算処理部13は、以下の要領で、活動ログデータ作成処理を行う。活動ログデータ作成処理では、演算処理部13は、第2単位時間毎に、第1時系列データと、総消費電力の第3消費電力データと、機器別の第4消費電力データに基づいて、処理対象日における対象者の住居20内での活動内容を、活動種別別に時系列に分解して活動ログデータを作成し、データ記憶部12に格納する。活動種別としては、一例として、これらに限定されるものではないが、睡眠(就寝から起床まで)、食事(朝食、昼食、夕食)、入浴、用便、洗濯、掃除、外出、その他の在宅等が想定される。尚、処理対象日の終了前の中間時点で作成された、つまり、処理対象日の開始から途中時点までの活動ログデータは、中間活動ログデータに相当する。以下の説明では、中間活動ログデータを、処理対象日の終了後の1日分の活動ログデータと同様に、活動ログデータと称す。
【0125】
演算処理部13は、第1時系列データから、活動種別と関連する箇所に設置されている人感センサ21の第1単位時間毎の動作回数が所定数以上または以下となる時間帯を抽出し、第3消費電力データから、活動種別と関連する総消費電力の小さい時間帯を抽出し、第4消費電力データから活動種別と関連する電気機器の稼働している時間帯または稼働していない時間帯を抽出し、これらの活動種別別に抽出された時間帯を組み合わせて、各活動種別の活動時間帯を推定して、推定した活動種別別の活動時間帯を時系列に並べて活動ログデータを作成する。図12に、活動種別の活動時間帯の推定に利用する人感センサ21の設置場所及び判定基準、総消費電力の判定基準、電気機器と稼働有無の判定基準を、活動種別別に整理した一例を示す。
【0126】
演算処理部13は、以下の要領で、第4出力処理を行う。第4出力処理では、演算処理部13は、第2単位時間毎に、作成された活動ログデータを、データ送受信部11からデータ通信網Nを介して、対象者の使用する第1ユーザ端末と対象者の関係者が使用する予め登録された第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信する。活動ログデータの送信方法は、第1実施形態で説明した第1出力処理と同様に、活動ログデータを含む電子メールメッセージを、対象者及び関係者の予め登録されているメールアドレスに送信する。また、活動ログデータ自体を送信するのではなく、活動ログデータを閲覧できるインターネット上のサーバのURLを含む電子メールメッセージを送信し、対象者または関係者が、第1または第2ユーザ端末の表示画面上において電子メールメッセージ内の当該URLをクリック(または、タッチ)すると、第1または第2ユーザ端末に予め搭載されているブラウザが起動し、表示画面上に、活動ログデータを閲覧するWEBページが表示されるようにしてもよい。図13に、第1または第2ユーザ端末の表示画面上に表示される活動ログデータの画面表示例を模式的に示す。尚、図13に示す画面表示例は、処理対象日が終了した後の1日分の活動ログデータの概略を模式的に示している。
【0127】
従って、活動ログデータは、第2単位時間毎に、対象者及び対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知される。これにより、対象者は、住居20内で無意識に過ごしている活動内容を、ほぼリアルタイムに客観的に把握することが可能となり、対象者の関係者(対象者の保護者等)は、対象者の住居20内での活動内容の詳細、及び、対象者の健康状態や安全を、ほぼリアルタイムに確認することが可能となる。
【0128】
演算処理部13は、以下の要領で、標準活動ログデータ作成処理を行う。標準活動ログデータ作成処理では、演算処理部13は、処理対象日の開始直前に、処理対象日の直前の所定日数(例えば、5~30日)分の既に作成済みの活動ログデータに基づいて、活動種別別の標準的な活動時間帯及び該当する場合はその回数を抽出して、対象者の住居20内での標準的な活動内容を示す標準活動ログデータを作成し、データ記憶部12に格納する。標準活動ログデータは、一例として、平均睡眠時間、平均就寝時刻、平均起床時刻、平均食事時間(朝食、昼食、夕食)、1日の平均食事回数、平均食事時間帯(朝食、昼食、夕食)、平均入浴時間、1日当たりの平均入浴回数、平均入浴時間帯、平均用便時間(平均トイレ利用時間)、1日の平均用便回数(平均トイレ利用回数)、1日当たりの平均洗濯回数、1日当たりの平均掃除回数、1日当たりの平均外出回数、平均外出時間、平均外出時間帯、その他の平均在宅時間、等を、所定の算出式により算出して作成される。
【0129】
演算処理部13は、以下の要領で、乖離状態報告データ作成処理を行う。乖離状態報告データ作成処理では、演算処理部13は、処理対象日の終了後に、処理対象日における活動ログデータにおける各稼働種別の活動時間帯、該当する場合は、開始時刻、終了時刻及び回数等の項目を、標準活動ログデータの対応する項目と比較して、項目別に、乖離状態(処理対象日の各項目の値と、標準活動ログデータの対応する項目の値との差分)が所定の閾値を越える場合は、乖離状態の大きい活動種別の項目を一覧に纏めて、処理対象日における対象者の住居20内での活動内容の標準的な活動内容からの乖離状態として報告する乖離状態報告データを作成し、データ記憶部12に格納する。
【0130】
演算処理部13は、以下の要領で、第5出力処理を行う。第5出力処理では、演算処理部13は、処理対象日の翌日の所定時刻(例えば、対象者が予め設定した時刻)に、処理対象日の終了後に作成された乖離状態報告データを、データ送受信部11からデータ通信網Nを介して、第1ユーザ端末と第2ユーザ端末の少なくとも何れか一方に向けて送信する。乖離状態報告データの送信方法は、上述の第4出力処理と同様の方法を用いる。これにより、乖離状態報告データは、1日1回、対象者及び対象者の関係者の少なくとも何れか一方に通知される。これにより、対象者及び関係者は、対象者の前日の活動内容において何れの活動種別がどの程度、標準的な活動内容から乖離しているかを客観的に把握することが可能となる。
【0131】
[別実施形態]
次に、上記各実施形態の変形例について説明する。
【0132】
〈1〉上記第1乃至第3実施形態では、対象者の活動パターンを評価するために、人感センサ21、人体情報センサ31、及び、測位センサ33を使用し、使用するセンサの設置場所、及び、センサの種類に応じた、設置場所別の第1標準行動パターンと第1被評価行動パターン、センサの種類(モーションセンサ、心拍センサ)別の第2標準行動パターンと第2被評価行動パターン、及び、第3標準行動パターンと第3被評価行動パターンについて詳細に説明したが、これらの標準行動パターンと被評価行動パターンの各規定内容は、上記説明した内容に限定されるものではない。
【0133】
例えば、上記標準行動パターンと被評価行動パターンは、基本的に1日を基準として算出されているが、1日(24時間)を複数の時間帯、例えば、0時~6時、6時~12時、12時~18時、18時~24時の4つの時間帯に分割して、時間帯別に、標準行動パターンと被評価行動パターンを算出し、対応する第1乃至第3乖離度も、当該時間帯別に算出するようにしてもよい。
【0134】
更に、居間の第1標準行動パターンと第1被評価行動パターンは、前処理期間内の全日と評価期間内の1日における総活動量を総滞在時間で除した平均活動量として算出したが、例えば、単位時間データの動作回数を複数レベル(例えば、1~20、21~40、41以上)に区分し、各レベルに該当する単位時間データの数をレベル別の滞在時間として、各レベルの滞在時間を総滞在時間で除した比としてもよい。
【0135】
更に、寝室の第1標準行動パターンと第1被評価行動パターンは、日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻に加えて、または、代えて、日別滞在開始時刻と日別滞在終了時刻から算出される日別滞在時間としてもよい。この場合、第1乖離度(日別滞在時間)は、一例として、寝室の第1被評価行動パターン(日別滞在終了時刻)と、それ以前の当日または前日の寝室の第1被評価行動パターン(日別滞在開始時刻)との間の滞在時間を第1被評価行動パターン(日別滞在時間)とし、寝室の第1標準行動パターン(寝室滞在開始時刻)から寝室の第1標準行動パターン(寝室滞在終了時刻)までの間の滞在時間を第1標準行動パターン(日別滞在時間)とし、前者を後者で除した比、または、前者から後者を差し引いた差として与えられる。
【0136】
また、トイレの第1標準行動パターンと第1被評価行動パターンを算出する際の1回のトイレ利用と判断する基準は、上記説明した基準に限定されるものではない。
【0137】
更に、モーションデータの第2標準行動パターンと第2被評価行動パターンは、前処理期間内の全日と評価期間内の1日における総活動量を総活動時間で除した平均活動量として算出したが、例えば、単位時間データの動作回数を複数レベルに区分し、各レベルに該当する単位時間データの数をレベル別の活動時間として、各レベルの活動時間を総活動時間で除した比としてもよい。
【0138】
更に、第3標準行動パターンと第3被評価行動パターンは、前処理期間内の全日と評価期間内の1日における総移動量を総移動時間で除した平均移動速度として算出したが、例えば、単位時間データの移動量を複数レベルに区分し、各レベルに該当する単位時間データの数をレベル別の移動量時間として、各レベルの移動量時間を総活動時間で除した比としてもよい。
【0139】
更に、第1乃至第3乖離度の算出方法も、第1乃至第3被評価行動パターンと第1乃至第3標準行動パターンの差または比を算出して求める場合を説明したが、差を算出する代わりに比を算出、或いは、その逆としてもよい。
【0140】
〈2〉更に、第1標準行動パターンと第1被評価行動パターンは、上記第1実施形態及び上記別実施形態〈1〉で規定内容に加えて、または、代えて、上記第1単位時間(1~60分)以上の時間的粒度(例えば、30分または1時間)の時系列データとしてもよい。
【0141】
この場合、第1標準行動パターンの時系列データは、例えば、前処理期間内の各日の修正後の第1時系列データを上記時間的粒度で分割し、各粒度内で動作回数を平均化し、更に、その平均値を、前処理期間内を通して平均化して算出する。第1被評価行動パターンの時系列データは、同様に、評価期間内の1日の第1時系列データを上記時間的粒度で分割し、各粒度内で動作回数を平均化して算出する。そして、第1乖離度は、各粒度内での、第1被評価行動パターンの平均動作回数から第1標準行動パターンの平均動作回数を差し引いた差の時系列データ、または、第1被評価行動パターンの平均動作回数を第1標準行動パターンの平均動作回数で除した比の時系列データとする。
【0142】
〈3〉上記第1乃至第3実施形態では、対象者の活動パターンを評価するために、人感センサ21、人体情報センサ31、及び、測位センサ33を使用する実施形態を説明したが、上記各センサに加えて、或いは、代えて、他のセンサを使用してもよい。
【0143】
上記第2及び第3実施形態では、人体情報センサ31と測位センサ33を個別のセンサとして扱ったが、人体情報センサ31と測位センサ33を1つのウェアラブルセンサとして対象者が装着する実施態様であってもよい。また、人体情報センサ31と測位センサ33の対象者への装着箇所は、必ずしも手首に限定されるものではない。
【0144】
例えば、住居20内での、電力または都市ガス等のエネルギの使用量を計測する計測器を設けて、エネルギの使用量の時系列データを分析して、対象者の特定の活動(例えば、調理、入浴)についても、標準行動パターンと被評価行動パターンとその乖離度を算出して、対象者に通知するようにしてもよい。
【0145】
更に、住居20内の人感センサ21を設置した場所の温度及び湿度を計測する温湿度計を設置して、第1標準行動パターン及び第1被評価行動パターンと、温度及び湿度との関係を分析して、その分析内容を、対象者に通知するようにしてもよい。
【0146】
〈4〉上記第1乃至第4実施形態では、本システム1は、複数の対象者A1~Anを対象とし、各対象者が、インターネット等のデータ通信網Nを介して、アクセス可能な構成としたが、個々の対象者を対象としたシステムとして、各対象者が使用する上記確認用端末または第1ユーザ端末内に、データ送受信部11とデータ記憶部12と演算処理部13を備える構成としてもよい。この場合、本システム1と対象者が使用する上記確認用端末または第1ユーザ端末間のインターネット等のデータ通信網Nを介した通信は不要となる。
【0147】
〈5〉上記第4実施形態では、演算処理部13は、上記第4実施形態で説明した処理内容のみならず、第1、第2または第3実施形態で説明した処理内容も実行可能に構成されている場合を説明したが、上記第4実施形態で説明した処理内容のみを実行可能に構成されていてもよい。
【0148】
〈6〉上記第4実施形態及び上記変形例〈5〉の活動ログデータ作成処理において、作成した活動ログデータが第4出力処理により第1または第2ユーザ端末に向けて送信される前に、作成した活動ログデータに対して、活動ログデータ内の時系列に分解された活動種別(推定された活動種別またはその活動時間帯)に誤りがある場合に、活動ログデータ内の当該誤り箇所を対象者本人が訂正可能な第4確認データを作成し、作成した第4確認データを、データ送受信部11からデータ通信網Nを介して、対象者の使用する所定の確認用端末に向けて送信するのも、好ましい実施態様である。この場合、第4確認データの送信処理は、第1実施形態で説明した第1確認データ送信処理と同様に行えばよい。
【0149】
第4確認データの送信処理後、確認用端末で受信された第4確認データは、確認用端末の表示画面上に表示されると、対象者のマニュアル操作により、誤り箇所の修正または削除が可能となる。具体的には、一例として、第4確認データは、図13に模式的に示される活動ログデータの画面表示例と同様の活動種別が時系列に配置された画面構成を有し、対象者が、誤り箇所の活動種別をマウスまたは指等でクリックまたはタップして選択すると、例えば、画面右側の余白に、選択された活動種別の名称、活動時間帯の開始時刻(時分)と終了時刻(時分)が表示されるように構成されている。そして、当該選択された活動種別を削除する場合は、削除ボタンをクリックまたはタップし、当該選択された活動種別の名称、活動時間帯の開始時刻及び終了時刻の何れかを修正したい場合は、当該修正箇所に直接、或いは、プルダウンメニュー等を操作して、正しい名称または時刻を入力することで、誤り箇所の訂正が可能に構成されている。
【0150】
本変形例〈6〉では、引き続き、誤り箇所があって訂正された第4確認データ、または、誤り箇所が無くその旨が確認された第4確認データは、第4確認済データとして、対象者のマニュアル操作により、データ通信網Nを介して、確認用端末から本システム4に向けて送信される。
【0151】
第4確認済データを受信した本システム4側では、第4確認済データにおいて、時系列に分解された活動種別の少なくとも1つにおいて、修正または削除がされている場合は、当該修正または削除された内容に基づいて、作成された活動ログデータを修正し、修正または削除がされていない場合は、作成された活動ログデータを修正せず、第4出力処理用の活動ログデータとする。
【0152】
本変形例〈6〉における第4確認データの作成及び送信、第4確認済データの受信、及び、活動ログデータの修正の一連の処理を、活動ログデータ作成処理に追加することにより、活動ログデータの推定精度が向上する。更に、対象者による第4確認データに対するフィードバックにより、活動ログデータ作成処理で使用する推定ロジックまたはルールを学習することで、当該推定ロジックまたはルールの精度が向上し、結果として、活動ログデータの推定精度が向上する。
【0153】
〈7〉上記第4実施形態及び上記変形例〈5〉では、標準活動ログデータ作成処理、乖離状態報告データ作成処理、及び、第5出力処理を1日に1回実行する場合を説明したが、当該3つの一連の処理の処理回数は、必ずしも1日に1回である必要はなく、1日に複数回であってもよく、例えば、第2単位時間毎であってよく、また、複数日に1回であってもよく、更には、全く行わない実施態様であってもよい。
【0154】
〈8〉上記第4実施形態及び上記変形例〈5〉では、第1データ保存処理、第4データ保存処理、活動ログデータ作成処理、及び、第4出力処理を、処理対象日において、第2単位時間毎に繰り返し実行する場合を説明したが、当該4つの一連の処理の処理回数は、1日に複数回であるのが好ましいが、必ずしも1日に複数回である必要はなく、1日または複数日に1回であってもよい。
【0155】
〈9〉上記第4実施形態及び上記変形例〈5〉では、演算処理部13が、活動ログデータ作成処理において、第1時系列データと、総消費電力の第3消費電力データと、機器別の第4消費電力データに基づいて、活動ログデータを作成する場合を説明した。しかし、演算処理部13は、活動種別及びその活動時間帯の推定に、第1時系列データ、第3消費電力データ、及び、第4消費電力データに加えて他のデータを利用するのも好ましい。当該他のデータを追加することで、活動種別及びその活動時間帯の推定精度の向上が期待される。
【0156】
一例として、住居20内の人感センサ21の設置場所、或いは、人感センサ21の設置されていない場所に、温湿度センサ、照度センサ、COセンサ、音圧または騒音センサを設置し、これらのセンサの検知データの少なくとも1つを、上記他のデータとして利用する。
【0157】
温湿度センサの検知データは、電気ヒータ以外の暖房機器の動作状態の推定に利用できる。更に、電気ヒータの第4消費電力データの抽出が困難な場合に、当該電気ヒータの動作状態の推定に利用できる。例えば、冬季の朝の起床時間帯において、台所、リビング等の室温の上昇が検知された場合は、当該検知内容が、起床時刻の推定に利用できる。更に、冬季において、睡眠中に寝室を暖房する習慣のある対象者に対しては、朝の起床時間帯において、寝室の温度の低下が検知された場合は、当該検知内容が、起床時刻の推定に利用できる。
【0158】
照度センサの検知データは、照明のオンオフ、雨戸の開け閉め等の推定に利用できる。つまり、照度センサの検知データにより、対象者が照明のオンオフまたは雨戸の開け閉め等を行ったことを推定できるので、仮に、照度センサが、人感センサ21の設置されていない場所に設置されている場合は、当該照度センサの設置個所での対象者の存在の推定に利用できる。
【0159】
COセンサの検知データは、COセンサの設置場所における対象者の呼気反応、及び、ガス機器または灯油機器の使用等によるCO濃度の上昇の推定に利用できる。つまり、COセンサの検知データにより、当該COセンサの設置場所における対象者の存在の推定に利用できる。
【0160】
音圧または騒音センサの検知データは、対象者が発する生活雑音、対象者が発する声、テレビやオーディオ機器が発生する音声の有無によって、音圧または騒音センサの設置場所における対象者の存在、就寝状況、テレビやオーディオ機器の視聴状況の推定に利用できる。
【0161】
更に、他の一例として、住居20内に、人感センサ21以外の上記何れかのセンサの設置に加えて、或いは、代えて、住居20における総ガス消費量の単位時間(例えば、1~15分)毎の時間的変化を計測するガスメータを住居20に設けて、或いは、給湯器等に内蔵されている当該ガスメータの機能を利用して、演算処理部13が、当該ガスメータで計測された処理対象日の総ガス消費量データに対して、ガス消費量に対する所定の用途分解処理を行い、処理対象日の用途分解処理時点での総ガス消費量データから、予め設定された対象者の住居20内での活動パターンと関連する複数のガス機器(例えば、ガス調理機器、給湯器の浴槽の湯張り、暖房機器、浴室乾燥機等)で消費される機器別のガス消費量データを各別に抽出し、総ガス消費量データ及び機器別のガス消費量データをデータ記憶部12に格納し、第1時系列データ、第3消費電力データ、及び、第4消費電力データとともに、総ガス消費量データ及び機器別のガス消費量データを、活動種別及びその活動時間帯の推定に使用するのも好ましい実施態様である。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本システムは、対象者の日常的な活動パターンにおける標準状態からの乖離を対象者本人に通知する自己管理支援システム、及び、対象者の日常的な活動パターンを対象者本人または対象者の関係者に通知する自己管理支援システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1~3 : 自己管理支援システム
11 : データ送受信部
12 : データ記憶部
13 : 演算処理部
20 : 対象者の住居
21 : 人感センサ
22 : データ中継装置
22a : 第1通信装置
22b : 測定データ記録部
22c : 第2通信装置
23,24: 第1確認データの入力欄
31 : 人体情報センサ
32 : データ中継装置
33 : 測位センサ
34 : 電力メータ
35 : 波形変換部
A1~An: 対象者
C : 通信経路
N : データ通信網(インターネット)
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