(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ステントデリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20230125BHJP
【FI】
A61F2/966
(21)【出願番号】P 2019039575
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 友希弘
(72)【発明者】
【氏名】北井 麻里奈
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0133925(US,A1)
【文献】特表2008-504078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0185184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔と、先端から基端に向かって外径が増大するテーパ部とを有する先端シャフトと、
前記テーパ部の外周面上に設けられ、前記先端シャフトの長軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、
前記先端シャフトの基端に接続され、前記先端シャフトの内腔に連通する内腔を有すると共に前記先端シャフトの長軸方向における基端側に向かって延設された内側シャフトと、
前記内側シャフトを覆い、前記内側シャフトの径方向に拡縮可能な自己拡張型のステントと、
前記内側シャフトを覆い、前記内側シャフトの長軸方向に沿って摺動可能な外側シャフトと、を備えているステントデリバリーシステムであって、
前記外側シャフトは、前記内側シャフトの長軸方向において、前記ステントを縮小状態で覆う第一の位置と前記ステントより基端側の第二の位置との間を摺動可能であり、
前記先端シャフトの長軸方向における先端側からの前面視において、前記外側シャフトの最外周が前記螺旋状の凸部の最外周の内側に収まって
おり、
前記先端シャフトの基端の外径と前記外側シャフトの先端の外径とが略一致し、
前記第一の位置において、前記先端シャフトの基端の外周縁と前記外側シャフトの先端の外周縁とが合致するように、前記先端シャフトの基端と前記外側シャフトの先端とが当接していることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
穿刺孔や、病変などによって生じた血管や消化管などの狭窄部を拡張するデバイスとして、例えば、金属製の素線をメッシュ状に編網したステントが知られている。
【0003】
このようなステントで血管や消化管などに生じた狭窄部を拡張する場合、ステントの狭窄部への留置に先立って、狭窄部を、縮径状態のステントを挿入できる程度の大きさまで予備的に拡げておく操作が必要となる。このような予備的操作に用いる器具としては、例えば、ダイレータが提案されている。
【0004】
ダイレータは、基端側に向かって拡径するテーパ状の先端部に有しており、上記テーパ状の部位が狭窄部等を通過する際にこの狭窄部等が拡げられる(例えば、特許文献1参照)。そして、この拡げられた狭窄部等に縮径状態のステントを挿入した後、このステントを径方向外側に押し拡げて留置することで血管や消化管などの狭窄部が安定的に拡張される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来のダイレータを用いる場合、予備的に拡げられた狭窄部等からダイレータを引き抜いた後、ステントを狭窄部等まで搬送する必要がある。このため、弾力性に富むような血管や消化管などの体腔内においては、予備的操作にて拡げられた狭窄部等が再度窄まってしまうことがあり、再度の予備的操作が必要になるなど円滑な手技が妨げられる虞がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、血管や消化管などの体腔内へステントを円滑に留置することが可能なステントデリバリーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のいくつかの態様は、
(1)内腔と、先端から基端に向かって外径が増大するテーパ部とを有する先端シャフトと、
前記テーパ部の外周面上に設けられ、前記先端シャフトの長軸方向(以下、単に「長軸方向」とも称する)に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、
前記先端シャフトの基端に接続され、前記先端シャフトの内腔に連通する内腔を有すると共に前記先端シャフトの長軸方向における基端側に向かって延設された内側シャフトと、
前記内側シャフトを覆い、前記内側シャフトの径方向に拡縮可能な自己拡張型のステントと、
前記内側シャフトを覆い、前記内側シャフトの長軸方向に沿って摺動可能な外側シャフトと、を備えているステントデリバリーシステムであって、
前記外側シャフトは、前記内側シャフトの長軸方向において、前記ステントを縮小状態で覆う第一の位置と前記ステントより基端側の第二の位置との間を摺動可能であり、
前記先端シャフトの長軸方向における先端側からの前面視において、前記外側シャフトの最外周が前記螺旋状の凸部の最外周の内側に収まっていることを特徴とするステントデリバリーシステム、および
(2)前記先端シャフトの基端の外径と前記外側シャフトの先端の外径とが略一致し、
前記第一の位置において、前記先端シャフトの基端の外周縁と前記外側シャフトの先端の外周縁とが合致するように、前記先端シャフトの基端と前記外側シャフトの先端とが当接している前記(1)に記載のステントデリバリーシステム、
である。
【0009】
なお、本明細書において、「先端側」とは、先端シャフトの長軸方向に沿う方向であって、内側シャフトに対して先端シャフトが位置する方向を意味する。また、「基端側」とは、先端シャフトの長軸方向に沿う方向であって、先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。「最外周」とは、先端シャフトの長軸方向から見たときの特定の部材(螺旋状の凸部、外側シャフトなど)の輪郭がなす形状を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、血管などの体腔内へステントを円滑に留置することが可能なステントデリバリーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の概略的側面図であって、外側シャフトが第一の位置にある状態を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態の概略的側面図であって、外側シャフトが第二の位置にある状態を示す図である。
【
図4】
図1の実施形態の使用態様の一例を示す概略的側面図であって、(a)~(f)はそれぞれ手技の過程を示す図である。
【
図5】
図1の変形例を示す概略的側面図であって、(a)~(c)はそれぞれ第一の位置にある状態での外側シャフトの各種形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当該ステントデリバリーシステムは、内腔と、先端から基端に向かって外径が増大するテーパ部とを有する先端シャフトと、上記テーパ部の外周面上に設けられ、上記先端シャフトの長軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、上記先端シャフトの基端に接続され、上記先端シャフトの内腔に連通する内腔を有すると共に上記先端シャフトの長軸方向における基端側に向かって延設された内側シャフトと、上記内側シャフトを覆い、上記内側シャフトの径方向に拡縮可能な自己拡張型のステントと、上記内側シャフトを覆い、上記内側シャフトの長軸方向に沿って摺動可能な外側シャフトと、を備えているステントデリバリーシステムであって、上記外側シャフトは、上記内側シャフトの長軸方向において、上記ステントを縮小状態で覆う第一の位置と上記ステントより基端側の第二の位置との間を摺動可能であり、上記先端シャフトの長軸方向における先端側からの前面視において、上記外側シャフトの最外周が上記螺旋状の凸部の最外周の内側に収まっていることを特徴とする。
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示したステントデリバリーシステムの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の概略的側面図であって、外側シャフトが第一の位置にある状態を示す図である。
図2は、
図1の前面視の概略図である。当該ステントデリバリーシステム1は、
図1および
図2に示すように、概略的に、先端シャフト11と、螺旋状の凸部21と、内側シャフト31と、ステント41と、外側シャフト51と、コネクタ61とにより構成されている。
【0015】
先端シャフト11は、内腔11aと、先端から基端に向かって外径が増大するテーパ部11bとを有する。具体的には、内腔11aは、例えば先端から基端に亘って貫通する貫通孔で構成することができる。テーパ部11bは、その外周形状が、例えば、先端から基端に向かって漸次拡径するもの(
図1参照)、先端から基端に向かって段階的に拡径するもの(不図示)、およびこれらを組み合わせたもの(不図示)等を採用することができる。なお、内腔11aには、例えば、図示していないガイドワイヤが挿通され、このガイドワイヤに沿って当該ステントデリバリーシステム1が進退する。
【0016】
先端シャフト11を構成する材料としては、体腔内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料;ステンレス鋼、超弾性合金(ニッケル-チタン合金)などの金属材料等を採用することができる。
【0017】
なお、先端シャフト11は、その外周面11cの側に各種の被膜(不図示)を有していてもよい。このような被膜としては、例えば、先端シャフト11の表面を保護するための保護膜(代表例、めっき膜)、先端シャフト11と後述する螺旋状の凸部21との密着性を向上させるための下地膜等が挙げられる。
【0018】
螺旋状の凸部21は、テーパ部11bの外周面11c上に設けられ、先端シャフト11の長軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間21a(隣り合う凸部21どうしが長軸方向において離間)を有する。この螺旋状の凸部21は、具体的には、例えば、先端シャフト11の外周面11cからこの先端シャフト11の径方向外側に向かって突出し、ステントデリバリーシステム1の長軸方向における先端側からの前面視において、螺旋状の凸部21の最外周(
図1の二点鎖線21b参照)が先端シャフトの最外周(本実施形態では先端シャフト11の基端の外形)よりも径方向外側に位置するように形成されている。
【0019】
螺旋状の凸部21は、連続または断続した一条または多条の突起部として形成することができる。また、螺旋状の凸部21は、1または複数の素線を、先端シャフト11の外周面11cに螺旋状に巻回することによっても形成することができる。螺旋状の凸部21は、先端シャフト11と一体または別体のどちらであってもよい。本実施形態では、螺旋状の凸部21は、連続した一条の突起部として形成されており、鋳造等で先端シャフト11と一体的に形成されている。
【0020】
螺旋状の凸部21が形成される先端シャフト11の部位は、長軸方向における先端シャフト11の先端と基端との間のいずれの部位であってもよく、例えば、先端シャフト11の先端から基端の全体に亘って形成されているもの(
図1参照)、先端シャフトの先端から中途に亘って形成されているもの(不図示)、先端シャフトの中途から基端に亘って形成されているもの(不図示)等を採用することができる。
【0021】
螺旋状の凸部21は、刃物を構成していない(生体組織を切断する形状ではない)ことが好ましい。すなわち、螺旋状の凸部21は、その横断面(螺旋状の凸部21の螺旋方向に直交する断面)の形状において、先端シャフト11の径方向外側の端部(頂部)が、鋭角の角部ではないことが好ましい。このような端部としては、例えば、鈍角の角部で構成された端部、曲線(例えば、円や楕円の一部を含む曲線など)を含む形状の角部で構成された端部等が挙げられる。これにより、当該ステントデリバリーシステム1は、予備的操作(縮径状態のステントを挿入する前の狭窄部等の予備的な拡張)を行う際に対象物の孔の内壁面の生体組織を損傷することなく、対象物の孔を拡張することができる。
【0022】
螺旋状の凸部21を構成する材料としては、螺旋状の凸部と先端シャフトとが別体として設けられる場合、例えば、上述した先端シャフトを構成する材料と同様の材料等を採用することができる。
【0023】
内側シャフト31は、先端シャフト11の基端に接続され、先端シャフト11の内腔11aに連通する内腔31aを有すると共に先端シャフト11の長軸方向における基端側に向かって延設されている。この内側シャフト31は、具体的には、内腔31aが例えば先端から基端に亘って貫通する貫通孔で構成されている。内側シャフト31の外周面は、ステント41(後述)を保持できるように、長軸方向における少なくとも一部に円筒状の面を有する。内側シャフト31の外周面は、ステント41の基端を係止する係止部31bを有していてもよい。内側シャフト31の外周面の基端側の一部は、コネクタ61(後述)を摺動可能に保持できるように、コネクタ61の内腔61aの内周面に見合う形状に形成することができる。内側シャフト31の基端には、内側シャフト31を介して先端シャフト11を回転させるためのハンドル71が接続されている。内側シャフト31と先端シャフト11の基端、および内側シャフト31の基端とハンドル71は、例えば、それぞれ溶接による接合、接着剤による接着等により接続することができる。
【0024】
内側シャフト31を構成する材料としては、体腔内に挿通されることから、例えば、上述した先端シャフト11を構成する材料と同様の材料等を採用することができる。
【0025】
ステント41は、内側シャフト31を覆い、この内側シャフト31の径方向に拡縮可能な自己拡張型の部材である。このステント41としては、具体的には、例えば、一または二以上の金属製の素線41aを用いてメッシュ状に編網されたステント(
図1参照)、略円筒体の一部を切削、レーザ加工等により穿設してメッシュ状に形成したステント(不図示)等を採用することができる。
【0026】
ステント41を構成する材料としては、体腔内に留置されることから、例えば、上述した先端シャフト11を構成する材料と同様の材料等を採用することができる。
【0027】
外側シャフト51は、内側シャフト31を覆い、内側シャフト31の長軸方向に沿って摺動可能なシャフトである。この外側シャフト51は、具体的には、その内周面51aでステント41を包持(支持)しかつ内側シャフト31の長軸方向に沿って摺動できるように、例えば、先端から基端に亘って貫通孔が形成された中空円筒形状の部材を用いて構成することができる。
【0028】
外側シャフト51は、内側シャフト31の長軸方向において、ステント41を縮小状態で覆う第一の位置とステント41より基端側の第二の位置との間を摺動する。第一の位置は、ステント41全体を縮径状態(非拡張状態)にて外側シャフト51の内部に収納する位置であり(
図1参照)、第二の位置は、外側シャフト51が第一の位置よりも基端側に位置しかつステント41が外部に完全に露出する位置である(
図3参照)。外側シャフト51の摺動は、例えば、外側シャフト51の基端をコネクタ61に連結し、コネクタ61を長軸方向に沿って前後することで行うことができる。
【0029】
外側シャフト51の最外周51b(本実施形態では外側シャフト51の先端の外形と同じ)は、先端シャフト11の長軸方向における先端側からの前面視において、螺旋状の凸部21の最外周(
図1の二点鎖線21b参照)の内側に収まるように配置されている。
【0030】
ここで、先端シャフト11の基端の外径と外側シャフト51の先端の外径とが略一致し、第一の位置において、先端シャフト11の基端の外周縁と外側シャフト51の先端の外周縁とが合致するように、先端シャフト11の基端と外側シャフト51の先端とが当接していることが好ましい(
図1参照)。これにより、例えば、先端シャフト11と外側シャフト51との境界部Bが狭窄部等を通過する際、境界部Bが狭窄部等の内壁に引っ掛かることなく外側シャフト51を前進することができ、結果としてステント41をより円滑に留置することができる。
【0031】
外側シャフト51を構成する材料としては、体腔内に挿通されることから、例えば、上述した先端シャフト11を構成する材料と同様の材料等を採用することができる。
【0032】
コネクタ61は、手技者が当該ステントデリバリーシステム1を操作する部位である。このコネクタ61は、例えば、長軸方向に沿う貫通孔61aを有しこの貫通孔61aに内側シャフト31が貫通するように構成することができる。コネクタ61の外形は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。コネクタ61は、例えば、外側シャフト51の基端に、溶接による接合、接着剤による接着等により接続することができる。
【0033】
ステントデリバリーシステム1の各部の寸法としては、通常、先端シャフト11は、外径が先端で0.8mm~3.0mm、基端で1.4mm~5.0mmである。螺旋状の凸部21は、最外周の最大径が1.6mm~6.0mmである。外側シャフト51は、外径が1.4mm~6.0mmである。ステント41は、収縮状態での外径が0.7mm~2.0mm、長さが50mm~250mmである。先端シャフト11および内側シャフト31の内腔11a、31aの内径は、0.5mm~1.5mmである。
【0034】
次に、当該ステントデリバリーシステム1の使用態様の一例について、
図4(a)~(f)を参照して説明する。ここでは、病変により胆管や膵管等の消化管K内に発生した狭窄部Cを予備的に拡張した後、ステント41を留置する手技の一例について説明する。
【0035】
まず、当該ステントデリバリーシステム1の挿入に先立ってガイドワイヤWを狭窄部Cに挿通する。(
図4(a)参照)。
【0036】
次に、ガイドワイヤWの基端を当該ステントデリバリーシステム1の内腔11aに挿入し、ステントデリバリーシステム1の基端から突出させた後、このステントデリバリーシステム1を狭窄部Cの直近までガイドワイヤWに沿って押し進める。次いで、先端シャフト11をその先端から狭窄部Cに挿入した後、ハンドル71を回転して螺旋状の凸部21を狭窄部Cの内壁Cwに螺合させながらステントデリバリーシステム1を前進させ(
図4(b)参照)、ステント41が狭窄部Cに入り込んだ位置にてステントデリバリーシステム1の前進を止める(
図4(c)参照)。これにより、狭窄部Cの予備的な拡張が完了する。
【0037】
次に、当該ステントデリバリーシステム1が有するステント41を分離することで予備的な拡張がなされた狭窄部Cを拡張する。具体的には、内側シャフト31に対してコネクタ61を基端側に引っ張ることで外側シャフト51を第一の位置から第二の位置まで移動(摺動)させる。ステント41は、外側シャフト51の第一の位置から第二の位置までの移動に従って、徐々に露出されていく。ステント41は、その自己拡張作用により、徐々に露出されていく部分が径方向外側に向かって拡張する(
図4(d)参照)。第二の位置においてステント41が外部に完全に露出した状態では、ステント41は、全体が拡径し、狭窄部Cの内壁Cwを径方向外側に押し広げる(
図4(e)参照)。次いで、自己拡張したステント41の内側を通るように先端シャフト11を基端側に引き抜き(
図4(f)参照)、ステント41が分離したステントデリバリーシステム1を体外に抜去する。これにより、ステント41を消化管K内に留置する一連の手技が完了する。
【0038】
以上のように、当該ステントデリバリーシステム1は、上記構成であるので、狭窄部Cの拡張とステント41の留置とを連続して行うことでき、消化管Kなどの体腔内へステント41を円滑に留置することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、第一の位置において先端シャフト11の基端の外周縁と外側シャフト51の先端の外周縁とが合致するステントデリバリーシステム1について説明したが、前面視において、外側シャフト51の最外周が螺旋状の凸部21の最外周の内側に収まっていればいずれの態様であってもよい。
【0041】
このようなステントデリバリーシステムとしては、例えば、前面視において、外側シャフト51m1の最外周が、螺旋状の凸部21の最外周と同じ形状であるステントデリバリーシステム1m1(
図5(a)参照)、外側シャフト51m2の最外周が、螺旋状の凸部21の最外周よりも内側に位置しかつ先端シャフト11の基端の外周縁よりも外側に位置するステントデリバリーシステム1m2(
図5(b)参照)、外側シャフト51m3の最外周が、螺旋状の凸部21の最外周よりも内側に位置しかつ先端シャフト11の基端の外周縁よりも内側に位置するステントデリバリーシステム1m3(
図5(c)参照)等が挙げられる。
【符号の説明】
【0042】
1 ステントデリバリーシステム
11 先端シャフト
11a 内腔
11b テーパ部
21 螺旋状の凸部
31 内側シャフト
31a 内腔
41 ステント
51 外側シャフト