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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】車両の走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230125BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019045482
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020149271
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】植草 康之
(72)【発明者】
【氏名】江本 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕樹
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037084(WO,A1)
【文献】特開2012-014265(JP,A)
【文献】特開2017-228198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定した目標経路に沿って自動走行する車両の走行制御システムであって、
車両の自己位置を検出する位置検出器と、
車両から少なくとも車幅方向片側の測定対象物までの距離を検出する距離検出器と、
車両の走行系の制御を行う車両制御装置と、
車両の行動計画を作成する行動計画装置とを備え、
行動計画装置が、車両の走行中に、距離検出器で検出した測定対象物までの距離に基づいて、予め設定した目標経路と現在位置との誤差を算出し、その誤差に基づいて、車両制御装置に対して車両を目標経路に戻す指令を出力する機能を有し、
車両が、コンテナ運搬用のトレーラーであって、
車両の走行領域が、複数のコンテナを集積する区画を所定間隔で配置したコンテナヤードであって、走行可能なクレーンによるコンテナの積み卸し位置を含むと共に、予め設定した目標経路が、前記区画に沿った経路であり、
前記距離検出器の測定対象物がコンテナ及びクレーンであると共に、距離検出器が、複数箇所の距離を検出することにより形状認識を行う機能を有し、
行動計画装置が、距離検出器で検出したクレーンまでの距離に基づいて、車両制御装置に対して車両をコンテナの積み卸し位置に停止させる指令を出力する機能を有し、
行動計画装置で用いるクレーンまでの距離が、距離検出器で形状認識したクレーンの所定部位までの距離であることを特徴とする車両の走行制御システム。
【請求項2】
前記距離検出器が、車両の少なくとも左右両側及び前側にレーザ光を走査するレーザレンジファインダであることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御システム。
【請求項3】
遠隔位置との間でデータの送受信を行う無線通信装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定した目標経路に沿って自動走行する車両の走行制御に用いられる車両の走行制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行制御システムとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがあった。特許文献1は、鉱山の走行経路を走行する産業機械の制御システムに関するものである。この制御システムは、位置検出手段により産業機械の位置を検出すると共に、非接触センサにより検出した上方突出物の位置を地図情報として記憶し、走行経路を走行する制御を行う。そして、制御システムは、位置検出手段の検出精度が低下した際、地図情報の記憶を停止させて、地図情報の精度の低下を防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6059846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の走行制御では、車両の自己位置を検出する手段として、GPSやジャイロセンサが用いられる。ところが、これらの手段は、GPSの場合には、電離層の異常やマルチパスなどの外乱により誤差が生じ、また、ジャイロセンサの場合には、ジャイロのドリフトなどにより誤差が生じることがある。
【0005】
特に、コンテナヤードで車両の走行制御を行う場合には、高く積まれたコンテナやクレーンの近くを走行する際、GPS等の受信が一部不能になる恐れが高くなる。また、車両へのコンテナの積み降ろしをクレーンで行う際、車両が正確な経路を走行し、決められた位置に停止していないと、クレーン側で位置合わせを行う必要があり、クレーン側で位置合わせを行うには時間と熟練が必要である。
【0006】
このため、予め設定した経路に沿って自動走行する車両において、とくに、車両の自己位置を検出する手段を備えたものでは、その検出値に誤差が生じた場合でも、経路に沿った正確な走行を実現することが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、予め設定した目標経路に沿って自動走行する車両の走行制御システムであって、車両の自己位置の検出値に誤差が生じた場合でも、その誤差を補正して目標経路に沿った正確な走行を実現できる車両の走行制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる車両の走行制御システムは、予め設定した目標経路に沿って自動走行する際に用いるものであって、車両の自己位置を検出する位置検出器と、車両から少なくとも車幅方向片側の測定対象物までの距離を検出する距離検出器と、車両の走行系の制御を行う車両制御装置と、車両の行動計画を作成する行動計画装置とを備えている。
【0009】
そして、上記の車両の走行制御システムは、行動計画装置が、車両の走行中に、距離検出器で検出した測定対象物までの距離に基づいて、予め設定した目標経路と現在位置との誤差を算出し、その誤差に基づいて、車両制御装置に対して車両を目標経路に戻す指令を出力する機能を有し、車両が、コンテナ運搬用のトレーラーであって、車両の走行領域が、複数のコンテナを集積する区画を所定間隔で配置したコンテナヤードであって、走行可能なクレーンによるコンテナの積み卸し位置を含むと共に、予め設定した目標経路が、前記区画に沿った経路であり、前記距離検出器の測定対象物がコンテナ及びクレーンであると共に、距離検出器が、複数箇所の距離を検出することにより形状認識を行う機能を有し、行動計画装置が、距離検出器で検出したクレーンまでの距離に基づいて、車両制御装置に対して車両をコンテナの積み卸し位置に停止させる指令を出力する機能を有し、行動計画装置で用いるクレーンまでの距離が、距離検出器で形状認識したクレーンの所定部位までの距離である
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わる車両の走行制御システムは、上記構成を採用したことにより、予め設定した目標経路に沿って自動走行する車両の走行制御システムにおいて、車両の自己位置を検出するための位置検出器の検出値に誤差が生じた場合でも、その誤差を補正して目標経路に沿った正確な走行を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係わる車両の走行制御システムの第1実施形態を説明するブロック図である。
図2図1に示す走行制御システムを搭載した車両を示す側面図である。
図3】コンテナヤードにおける車両の位置を説明する正面図である。
図4】車両が目標経路を走行している状態を示す平面図である。
図5】走行制御の過程を説明するフローチャートである。
図6】車両が目標経路から外れて走行している状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係わる車両の走行制御システムは、予め設定した目標経路に沿って自動走行する車両の走行制御を行うものである。この走行制御システムは、基本的に、ユニット化して車両に搭載するのが望ましいが、例えば、演算処理を行う機器を外部に設け、その外部機器と車載機器との間で信号の送受信を行う構成にすることも可能である。
【0013】
車両の走行制御システムは、図1及び図2に示すように、車両Mに搭載してあり、概略として、位置検出器1,2と、距離検出器3と、行動計画装置5と、車両制御装置6と、カメラ7と、主制御装置8と、無線通信装置9とを備えている。車両Mは、人による運転が可能であると共に、人為的走行と、遠隔操作走行や自律走行を含む自動走行とを切り替えることが可能である。
【0014】
位置検出器1,2は、車両Mの自己位置を検出するものである。この実施形態の位置検出器1,2は、GPS(Global Positioning System)と、INS(Inertial Navigation System)であり、車両MのルーフにGPSのアンテナ1Aが設けてある。なお、位置検出器は、上記の如くGPS(1)及びINS(2)の両方を用いても良いし、いずれか一方を用いても良く、GPSやINS以外の機器を用いることもできる。
【0015】
距離検出器3は、車両Mから少なくとも車幅方向片側の測定対象物までの距離を検出するものであれば良いが、この実施形態では、車両Mの左右両側及び前側にレーザ光を走査するレーザセンサ(例えば、レーザレンジファインダ(LRF))であって、車両Mのルーフに設けてある。なお、距離検出器3は、車両Mの全周囲にレーザ光を走査するものであっても構わない。
【0016】
行動計画装置5は、コンピュータ若しくはその一部であって、車両Mの行動計画を作成する。この行動計画装置5の特徴的な機能については後述する。
【0017】
車両制御装置6は、車両Mの走行系の制御、すなわち、車両MのアクセルA,ブレーキB、及びステアリングSを制御するものであって、データの出入力を行う電子回路機器や、アクセルA,ブレーキB及びステアリングSを駆動するアクチュエータ類などを含むものである。また、車両制御装置6は、アクチュエータ類の動作を検出してフィードバック制御を行うものとしても良い。
【0018】
カメラ7は、図2に示すように、車両Mのルーフに取り付けてあり、車両Mの前方を撮影する。主制御装置8は、コンピュータ若しくはその一部であって、システム全体の制御を統括する。無線通信装置9は、主制御装置8と、遠隔位置に設けた通信機器との間でデータの送受信を行うものであり、そのアンテナ9Aが車両Mのルーフに設けてある。
【0019】
そして、車両Mの走行制御システムは、行動計画装置5が、車両Mの走行中に、距離検出器3で検出した測定対象物までの距離に基づいて目標経路P1と現在位置との誤差を算出し、その誤差に基づいて、車両制御装置6に対して車両Mを目標経路に戻す指令を出力する機能(プログラム)を有している。
【0020】
ここで、上記の車両Mの走行制御システムは、車両Mの走行領域の好適な例として、コンテナヤードが挙げられる。この場合、車両Mは、コンテナCを運搬するトレーラーである。コンテナヤードは、図3及び図4に示すように、複数のコンテナCを集積する区画CAを所定間隔で配置したものである。
【0021】
コンテナCは、横長の直方体状を成す周知のものである。各区画CAでは、コンテナCの長辺方向を前後方向とした場合に、平面上で前後左右に配列され、且つ適数を積層した状態で集積されている。全てのコンテナCは、いずれも同一方向を向いた状態で集積されている。コンテナCは、上部四隅に、別のコンテナCの下部四隅が係合するガイド(図示せず)を有しているので、積層状態を安定して維持することができる。
【0022】
コンテナヤードには、1つの区画CAを跨ぐクレーン(トランスファークレーン)100が配置されている。このクレーン100は、区画CAの左右側(図3の左右側)で対を成す脚部101,101と、両脚部101の上端部間に架設したビーム102と、ビーム102に沿って移動する移動台103と、移動台103に配置されたクレーン本体部104とを備えている。
【0023】
そして、コンテナヤードでは、コンテナCの保管位置やクレーン100の移動領域、車両の走行領域は、区画CA毎に予め決められている。具体的には、集積したコンテナCとクレーン100の脚部101との間を、コンテナCの積み卸しを行う車両Mの作業走行レーンL1とし、隣接するクレーン100,100の脚部101,101同士の間を、車両Mの追い越し走行レーンL2としている。
【0024】
クレーン本体部104は、コンテナCの上部を把持する把持部104A、把持部104Aを吊下する複数の吊索104B、及び吊索104Bの繰り出し及び巻取りを行う駆動部104C等を含むものである。また、クレーン100は、脚部の下端に走行装置を備え、1つの区画を跨いだ状態でコンテナCの前後方向(図3の紙面に垂直な方向)に自走することが可能である。
【0025】
上記のクレーン100は、コンテナCの左右方向への移動台103の移動と、コンテナCの前後方向への自走と、把持部104Aの昇降とを組み合わせることで、選択したコンテナCを所望の位置に移動させることができる。
【0026】
この実施形態の走行制御システムは、上記コンテナヤードに好適な機能を有する。すなわち、走行制御システムでは、車両Mの走行領域が、走行可能なクレーン100によるコンテナCの積み卸し位置を含んでいる。そこで、走行制御システムは、距離検出器3が、クレーン100までの距離を検出すると共に、行動計画装置5が、距離検出器3で検出したクレーン100までの距離に基づいて、車両制御装置6に対して車両Mをコンテナの積み卸し位置に停止させる指令を出力する機能を有している。この際、クレーン100の測定対象部位としては、脚部101の所定部位やタイヤの位置などが挙げられる。
【0027】
さらに、この実施形態の走行制御システムは、距離検出器3が、複数箇所の距離を検出することにより形状認識を行う機能を有する。距離検出器3の好適例は、レーザレンジファインダである。そこで、走行制御システムでは、行動計画装置5で用いるクレーン100までの距離を、距離検出器3で形状認識したクレーン100の所定部位までの距離として、車両制御装置6に対して車両Mをコンテナの積み卸し位置に停止させる指令を出力することができる。
【0028】
図4に示す車両Mの目標経路P1は、車両の走行領域が区画CA毎に予め決められているので、いずれかの区画CAを選択することで設定することができる。この場合、距離検出器(LRF)3の測定対象物は、コンテナCである。
【0029】
次に、図5に示すフローチャートに基づいて、上記コンテナヤードにおける車両Mの走行制御システムの動作を説明する。
【0030】
走行制御システムでは、ステップS1において、区画CA(走行領域)を選択し、これにより目標経路P1が設定される。コンテナヤードでは、所定位置において、車両Mに対してコンテナCの積み卸しを行うので、それらの停止位置を含む目標経路P1が設定される。
【0031】
ステップS1の目標経路設定では、コンテナヤードにおいてコンテナCの保管位置、クレーン100の移動領域、車両Mの作業走行レーンL1及び追い越し走行レーンL2が区画CA毎に厳密に決められているので、事前に区画CA毎に車両Mの走行領域の経路情報が行動計画装置5に記憶させてある。これにより、車両Mを走行させたい区画CAを選択することで、目標経路P1(走行領域)を設定することが可能である。
【0032】
次に、走行制御システムは、ステップS2において、コンテナCの積み卸しを行うために、行動計画装置5が記憶する選択した区画CAの目標経路P1に沿って車両Mを自動走行させる。その際、走行制御システムは、車両制御装置6により、車両Mが目標経路P1に沿って走行するように、車両MのアクセルA、ブレーキB及びステアリングSを駆動する。
【0033】
ここで、走行制御システムでは、位置検出器1,2としてGPS及びINSを使用しているので、GPSのマルチパスやINSのジャイロのドリフトなどの外乱により、位置データに誤差Eが生じる場合がある。図6は、車両Mが目標経路P1から左側に外れて走行している状態を示している。
【0034】
そこで、走行制御システムでは、自動走行の間、ステップS3において、位置検出器1,2及び距離検出器3の夫々のデータを取得し、位置検出器1,2により車両Mの自己位置を検出する一方で、距離検出器3により車両MとコンテナCまでの距離を算出する。
【0035】
そして、走行制御システムは、コンテナCの保管位置や車両Mの走行領域(目標経路P1)が区画CA毎に設定してあり、コンテナCと目標経路P1の間隔が既知であるから、行動計画装置5において、距離検出器3による距離に基づいて現在位置を算出し(ステップS4)、現在位置と目標経路P1との誤差E、すなわちコンテナCと目標経路P1の既知の間隔との誤差Eを算出する(ステップS5)。
【0036】
その後、走行制御システムは、ステップS6において、車両制御を行う。この車両制御では、上記の誤差EがゼロになるようにステアリングSを駆動する。図6に示す状態では、車両Mを目標経路P1に戻すように、車両MのステアリングSを右に操作する。
【0037】
これにより、走行制御システムは、位置検出器(GPSやINS)1,2に外乱による検出誤差が生じた場合でも、車両Mを速やかに目標経路P1に戻すことができる。その後、走行制御システムは、上記のステップS2~S6を繰り返し行い、目標経路P1に沿って車両Mを自動走行させると共に、クレーン100によるコンテナCの積み卸しの位置に車両Mを停止させる。
【0038】
その際、走行制御システムは、行動計画装置5において、距離検出器3により検出したクレーン100までの距離が所定値に達したところ、又は形状認識により所定位置に達したと判断したところで、車両制御装置6によりブレーキBを作動させる。これにより、走行制御システムは、コンテナCの積み卸し位置に車両Mを正確に停止させることができる。
【0039】
また、上記の走行制御システムは、車両Mの前方を撮影するカメラ7を備えると共に、全てのデータを記憶する主制御装置8や、データの送受信を行う無線通信装置9を備えているので、遠隔位置において車両Mの走行状態を常に監視することができる。また、走行制御システムは、遠隔操作により車両Mを停止させることもできるので、安全性の高い自動走行が可能である。
【0040】
さらに、上記の走行制御システムは、距離検出器3として、車両Mの左右両側及び前側にレーザ光を走査するレーザレンジファインダを採用している。これにより、走行制御システムは、測定対象物の位置が、車幅方向の片側及び両側のいずれでも距離データを取得することができると共に、前方の障害物を検出してこれを回避する走行を実施することも可能になる。
【0041】
しかも、上記のレーザレンジファインダは、車幅方向のみならず、斜め方向の距離も検出し得るので、真横にコンテナCが無い位置であっても、車両Mから斜め方向のコンテナCまでの距離を検出して、現在位置と目標経路P1との誤差Eを検出し、経路修正を行うことが可能である。
【0042】
さらに、コンテナヤードでは、車両Mとして、コンテナ運搬用の大型のトレーラーが使用されると共に、その大型のトレーラーをクレーン100の昇降位置に対して正確に停止させる必要があるため、コンテナCの位置に応じて車両Mの位置を補正する上記の走行制御システムは、車両Mの自動走行に好適である。
【0043】
また、コンテナヤードで使用するクレーン100は、車両Mの走行速度に比べて低速である。そこで、一般的には、クレーン100を積み卸し位置まで移動させておき、車両Mをその積み卸し位置に停止させる。この際、走行制御システムは、上述したように、車両Mからクレーン100までの距離を検出して車両Mを停止させることができる。なお、距離検出器3によるクレーン100の検出部位は、脚部101やタイヤの位置に限らず、その周辺や別途設けた検出用のマーカーなどを用いることができる。
【0044】
このようにして、上記の走行制御システムは、位置検出器1,2の誤差を補正しながら、目標経路P1に沿ってトレーラー(車両M)を正確に自動走行させると共に、所定位置にトレーラーを正確に停止させることが可能である。また、コンテナヤードでは、複数の区画CAにコンテナCを整列状態で集積しているので、コンテナC自体を距離検出器3の測定対象物にすることができ、通常、大きさや形状等がほぼ同等であるコンテナCが使用されているので、測定対象物としての検出も容易であり、新たに測定対象物を設置する必要もない。
【0045】
さらに、上記の走行制御システムは、位置検出器1,2のある程度の検出誤差が許容できる広い領域を走行する場合には、位置検出器1,2のデータに基づく走行も可能である。但し、上記の走行制御システムは、位置検出器1,2の検出誤差に対処するものであるから、とくに、コンテナヤードの作業走行レーンL1のように、検出誤差が大きく影響するような狭い領域を走行する際には、距離検出器3の距離データを優先的に用いて車両Mの走行制御を行うこととなる。
【0046】
本発明に係わる車両の走行制御システムは、その構成が上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明の車両の走行制御システムは、コンテナヤードで自動走行する車両に限らず、様々な走行領域で実施することが可能であり、距離検出器の測定対象物としては、縁石やガードレールなどの立体的な設置物を利用することも可能であり、画像処理を行う距離検出器を使用すれば、立体的な設置物に加えて白線なども測定対象物にすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 GPS(位置検出器)
2 INS(位置検出器)
3 距離検出器(LRF)
5 行動計画装置
6 車両制御装置
7 カメラ
9 無線通信装置
100 クレーン
C コンテナ(測定対象物)
CA 区画
M 車両
P1 目標経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6