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  • 特許-ポンプモニタリングシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ポンプモニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20230125BHJP
   F04B 43/12 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
F04C5/00 341N
F04B43/12 T
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019050899
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2019167959
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】1804602.9
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501472618
【氏名又は名称】ケイメッド(メディカル アンド インダストリアル イクイプメント) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KEYMED (MEDICAL & INDUSTRIAL EQUIPMENT) LTD.
【住所又は居所原語表記】Keymed House, Stock Road, SOUTHEND-ON-SEA, Essex, SS2 5QH, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】サイクス、ガレス
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517557(JP,A)
【文献】特開2015-222042(JP,A)
【文献】独国実用新案第202012009626(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
F04B 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプモニタリングシステムであって、
ポンプ本体、及びポンプ本体に取り外し可能に取り付けられたポンプヘッドを備えるポンプと、
ポンプヘッドに固定されたRFIDトランスポンダーと、
ポンプ本体のプロセッサと通信するRFIDリーダーと、を備え、
RFIDトランスポンダーは、ポンプヘッドの作動に関する情報を受け取り、格納するように作動し、RFIDリーダーは、RFIDトランスポンダーからの情報を読み取り、RFIDトランスポンダーに更なる情報を送信するように作動し、プロセッサは、RFIDトランスポンダーから読み取った情報を解釈し、情報に応じてポンプの作動を制御
RFIDトランスポンダーに格納された情報は、ポンプヘッドが曝された摩耗量を示す値を含み、
摩耗値は、ポンプヘッドの作動継続時間と、ポンプヘッドの作動速度との積である、
ポンプモニタリングシステム。
【請求項2】
RFIDトランスポンダーに格納されている情報は、ポンプヘッドの識別子と、ポンプヘッドの使用回数を含む、請求項1に記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項3】
プロセッサは、使用回数又は摩耗値が予め決定された閾値を越えたときにアラームを作動させる、請求項1又は2に記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項4】
プロセッサは、使用回数又は摩耗値が、ポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示すときに、アラームを作動させる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項5】
アラームは、可聴式、及び/又は可視式警告である、請求項又はに記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項6】
プロセッサは、使用回数若しくは摩耗値が予め決定された閾値を越えた場合、又はポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示す場合、ポンプヘッドの更なる作動を妨げるように作動する、請求項乃至のいずれか1項に記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項7】
ポンプは、蠕動ポンプである、請求項1乃至のいずれか1項に記載のポンプモニタリングシステム。
【請求項8】
ポンプ本体、及びポンプ本体に取り外し可能に取り付けられたポンプヘッドを備えるポンプのモニタリング方法であって、
ポンプヘッドにRFIDトランスポンダーを設け、
ポンプ本体のプロセッサと通信するRFIDリーダーを準備し、
RFIDトランスポンダーを用いて、ポンプヘッドの作動に関する情報を受け取り、格納し、
RFIDリーダーを用いて、RFIDトランスポンダーから情報を読み取り、ポンプヘッドが作動する間、更なる情報をRFIDトランスポンダーに送信し、プロセッサを用いて、RFIDトランスポンダーから読み取った情報を解釈し、情報に応じてポンプの作動を制御
RFIDに更なる情報を送信するステップは、ポンプヘッドが曝された摩耗量を示す値を送信することをさらに含み、
摩耗値は、ポンプヘッドの作動継続時間と、ポンプヘッドの作動速度との積である、
方法。
【請求項9】
RFIDトランスポンダーに格納された情報は、ポンプヘッドの識別子を含み、
RFIDトランスポンダーに更なる情報を送信するステップは、ポンプヘッドの使用回数を送信することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
RFIDトランスポンダーに格納され、RFIDリーダーによって読み取られた情報が、使用回数又は摩耗値が予め決定された閾値を越えていることを示す場合、アラームを作動させるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
RFIDトランスポンダーに格納され、RFIDリーダーによって読み取られた情報が、ポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示していることを示す場合、アラームを作動させるステップをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
使用回数若しくは摩耗値が予め決定された閾値を越えた場合、又はポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示す場合、ポンプヘッドの更なる作動を妨げるステップをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に蠕動ポンプに適したポンプモニタリングシステムに関し、使用及び摩耗、並びに予防メンテナンスに役立つシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蠕動ポンプが多くの用途で、特に医療分野で使用されており、ここでは、圧送される液体を無菌状態で維持する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的には、蠕動ポンプは、コントロールシステムを収容するメインポンプユニット、及びポンプユニットに取り外し可能に取り付けられた、回転可能なポンプヘッドを備える。ポンプヘッドは、圧送されるべき液体を運ぶ管を圧縮するローラを備える。ポンプヘッドは、使用されるにしたがって摩耗し、ポンプの効率を維持するために時々、交換する必要がある。したがって、摩耗により著しい効率の低下を引き起こす前に、交換が必要なときにユーザーに知らせることができるようにポンプヘッドの摩耗を監視することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ポンプモニタリングシステムであって、ポンプ本体、及びポンプ本体に取り外し可能に取り付けられたポンプヘッドを備えるポンプと、ポンプヘッドに固定されたRFIDトランスポンダーと、ポンプ本体のプロセッサと通信するRFIDリーダーと、を備え、RFIDトランスポンダーは、ポンプヘッドの作動に関する情報を受け取り、格納するように作動し、RFIDリーダーは、RFIDトランスポンダーからの情報を読み取り、RFIDトランスポンダーに更なる情報を送信するように作動し、プロセッサは、トランスポンダーから読み取った情報を解釈し、情報に応じてポンプの作動を制御する。
【0005】
好ましくは、RFIDトランスポンダーに格納されている情報は、ポンプヘッドの識別子と、ポンプヘッドの使用回数を含む。
【0006】
好ましくは、情報は、ポンプヘッドが曝された摩耗量を示す値を含む。
【0007】
好ましくは、プロセッサは、使用回数又は摩耗値が予め決定された閾値を越えたときにアラームを作動させる。プロセッサは、使用回数又は摩耗値が、ポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示すときに、アラームを作動させる。アラームは、可聴式、及び/又は可視式警告であっても良い。使用回数若しくは摩耗値が予め決定された閾値を越えた場合、又はポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示す場合、ポンプユニットが、ポンプヘッドの更なる作動を妨げるように作動してもよい。
【0008】
好ましい実施形態では、摩耗値は、ポンプヘッドの作動継続時間と、ポンプヘッドの作動速度との積である。
【0009】
好ましくは、ポンプは蠕動ポンプである。
【0010】
本発明は、ポンプ本体、及びポンプ本体に取り外し可能に取り付けられたポンプヘッドを備えるポンプのモニタリング方法を提供し、方法は、ポンプヘッドに固定されたRFIDトランスポンダーを準備し、ポンプ本体のプロセッサと通信するRFIDリーダーを準備し、RFIDトランスポンダーを用いて、ポンプヘッドの作動に関する情報を受け取り、格納し、RFIDリーダーを用いて、RFIDトランスポンダーから情報を読み取り、ポンプヘッドが作動する間、更なる情報をRFIDトランスポンダーに送信し、プロセッサを用いて、トランスポンダーから読み取った情報を解釈し、情報に応じてポンプの作動を制御する。
【0011】
好ましくは、RFIDトランスポンダーに格納された情報は、ポンプヘッドの識別子を含み、RFIDトランスポンダーに更なる情報を送信するステップは、ポンプヘッドの使用回数を送信することを含む。ポンプが曝された摩耗量を示す値を送信することをさらに含んでも良い。
【0012】
好ましくは、方法は、RFIDトランスポンダーに格納され、RFIDリーダーによって読み取られた情報が、使用回数又は摩耗値が予め決定された閾値を越えていること、又はポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示していることを示す場合、アラームを作動させるステップをさらに含む。
【0013】
方法は、使用回数若しくは摩耗値が予め決定された閾値を越えた場合、又はポンプヘッドの予め決定された仕様以外のパターンの使用を示す場合、ポンプユニットが、ポンプヘッドの更なる作動を妨げることを含んでもよい。
【0014】
添付の図面を参照しながら本発明の詳細を例示の目的で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態によるポンプを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポンプ10は、メインポンプユニット12と、ポンプヘッド14とを備える蠕動ポンプである。ポンプユニット12は、電源に接続可能であり、コントロールシステムと、ポンプヘッド14を駆動するための手段を有する。ポンプヘッド14は、複数のローラ18を有するローター16を備える。ポンプヘッド14は、ポンプユニット12に取り外し可能に取り付けられる。ポンプユニット12は、ポンプヘッド14を回転させるように作動でき、回転速度(例えば、1分あたりの回転数-RPM)及び作動の継続時間を制御する。使用中は、ローター16の周りに可撓性チューブ28が取り付けられる。ローター16が回転すると、チューブ内に液体を通すためにローラ18がチューブ28を圧縮する。これらの特性は、従来の蠕動ポンプのものである。
【0017】
本発明によれば、ポンプ10は、以下のような追加の特徴を含む。RFIDトランスポンダー又はタグ20が、ポンプヘッド14に恒久的に固定されている。ポンプユニット12は、ポンプ10の作動を制御するように作動するプロセッサ24と通信するRFIDリーダー22を含む。
【0018】
タグ20は、従来型のパッシブRFIDトランスポンダーであり、情報を格納するマイクロチップと、情報を受信し、送信するためのアンテナを含む。タグ20は、劣化することなく、数千回にわたってマイクロチップの読み取り及びマイクロチップへの情報のさらなる書き込み、並びに再読み取りができるほど十分に長持ちする。
【0019】
RFIDリーダー22は、情報を受信し、送信するためのアンテナを含む従来型のRFID読み取り/書き込みデバイスである。図1の破線矢印で概略的に示すように、タグ20に格納された情報を読み取り、タグ20に更なる情報を書き込むように作動する。タグ20から読み取られた情報は、プロセッサ24に通信され、プロセッサ24が情報を解釈し、これに応じてポンプの作動を制御する。
【0020】
タグ20に格納された情報は、ポンプヘッド14の識別子を含む。識別子は、ポンプヘッド14のシリアル番号であっても良い。タグ20は、恒久的にポンプヘッド14に固定されているため、識別子は、ポンプヘッド14がどのポンプユニット12に取り付けられているに関わらず、ポンプヘッド14を識別するのに役立つ。
【0021】
タグ20に格納されている情報は、ポンプヘッド14の使用及び摩耗を示すデータを含む。好ましくは、使用値は、単に、ポンプヘッド14が作動、即ち回転させられた回数を数えた記録である。ポンプヘッド14が新しく、未使用である場合は、使用値はゼロである。ポンプヘッド14が作動するたびに、この値は1ずつ増加する。使用値は、非常に短時間の作動に過ぎない場合でも、ポンプヘッド14が作動するたびに増加する。これは、ある医療処置では、(使用者の反応時間によって)1秒又はこれよりも少ない短時間で一気に(in short burst)複数回使用されることがあるからである。
【0022】
使用回数に加えて、ポンプヘッド14の摩耗を示す値も記録される。ポンプヘッド14の寿命は、作動した時間の合計だけによらず、使用の種類にもよる。ある用途では、ポンプは一定時間、連続的に駆動することもあり、他の用途では、短時間で一気に(in short burst)複数回使用される。これは、異なる摩耗特徴を生じさせる。同様に、回転速度も摩耗量に影響を及ぼすため、使用回数が同じであり、合計駆動時間が同じ2つのポンプヘッドでも、一方の回転速度が他方の2倍であれば、異なる摩耗特徴を有する。したがって、摩耗データは、好ましくは時間T(即ち、それぞれの使用についてどのくらいポンプヘッド14が作動したか)と、回転速度Sとの積として取得される。したがって、それぞれの使用について記録される値は、T×Sである。摩耗値は累積的に記録され、それぞれの使用の後、摩耗値は以前の全ての使用から取得された合計に加算される。
【0023】
使用回数、駆動時間、及び駆動速度に関する情報は、ポンプユニット12内のプロセッサ24によって測定され、必要な情報は、RFIDリーダー22に通信され、タグ20に書き込まれ、その後タグ20から読み取られる。情報は、どのポンプユニット12に取り付けられているかに関わらずタグ20に残される。タグ20から読み取られた情報は、解釈のためにプロセッサに通信される。
【0024】
使用値、又は摩耗値が予め決定された閾値を越えたことをプロセッサ24が検出したら、プロセッサ24は、ユーザーに対して警報26を作動させる。これは、ポンプヘッド14を交換すべきことをユーザーに通知するために、警報灯のような視覚的警報、及び/又は警報音のような聴覚的警報であってもよい。
【0025】
その上、プロセッサ24は、使用値又は摩耗値が所望の閾値を越えたときに、ポンプヘッド14の更なる作動を妨げるように作動し、ユーザーにポンプヘッド14の交換を強制しても良い。
【0026】
タグ20から読み取った情報がポンプ14の誤操作を示す場合には、プロセッサ24が警報を作動させ、及び/又はポンプ10を停止させても良い。例えば、幾つかの使用プロフィールが特定のポンプヘッド14の仕様外であることが知られているならば、この情報は、記録され、プロセッサ24が、ユーザーに警告し又はポンプ10の使用を停止させるために使用しても良い。
【0027】
異なる医療処置によって、ポンプ10の異なる使用パターンが要求され、ポンプヘッド14の摩耗特徴が異なる。例えば、高い使用値及び低い摩耗値は、繰り返し使用しているが、短時間の低速度の使用を示し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のような処置で起こり得る。低い使用値及び高い摩耗値は、長時間の高速度の使用を示し、消化管手術(GI)で起こり得る。したがって、タグ20で収集された情報は、所与のポンプの典型的な使用実態を構築すると共に、ポンプヘッドを異なる方法で使用したときに期待される摩耗特徴の種類を構築する。この情報は、プロセッサ24がポンプ10の作動を制御し、警報26を作動させるかの閾値を決定するために使用される。
【0028】
この方法により、本発明は、ポンプヘッド14の摩耗を容易にモニタリングでき、したがってポンプ10の効率を維持できるシステムを提供する。圧送される液体がチューブ内にあり、ポンプのどの部分にも直接接触せず、圧力、又は流量センサのような他のポンプ効率のモニタリング方法の使用が困難な、又は不可能なことを意味する、蠕動ポンプにおいて特に有用である。それにも関わらず、本発明は、繰り返しの使用により部品が摩耗する種類のポンプに適用しても良い。したがって、ポンプヘッドへの言及は、使用により摩耗に曝され、かつポンプ効率を維持するために交換できるポンプの部品を含む。
図1