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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】遠心ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20230125BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20230125BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20230125BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20230125BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20230125BHJP
   F16C 23/06 20060101ALI20230125BHJP
   F16F 1/38 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
F04D29/056 B
F04D29/42 N
F04D29/66 Q
F16C35/077
F16C19/06
F16C23/06
F16F1/38 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019051375
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153278
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】奈良 精久
(72)【発明者】
【氏名】津崎 淳
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-281278(JP,A)
【文献】特開2016-031022(JP,A)
【文献】実開平04-061458(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102014118553(DE,A1)
【文献】特開平07-194053(JP,A)
【文献】特開2017-115796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
F16C 19/00-19/56、
21/00-27/08、
33/30-33/66、
35/00-39/06、
43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉軸受の外輪が内側に固定された第1の筒状の部材と、
前記第1の筒状の部材の外周に接触して配置された弾性材と、
前記弾性材に内側が接触する第2の筒状の部材と、
前記玉軸受により回転自在な状態で保持されたシャフトと、
前記第2の筒状の部材を保持するケーシングと
を備え
前記第1の筒状の部材には、前記玉軸受の位置を確認するための貫通孔が設けられている遠心ファン。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記玉軸受の軸方向における端部が見える位置に設けられている請求項に記載の遠心ファン。
【請求項3】
前記貫通孔から前記玉軸受の外輪を前記第1の筒状の部材に固定するための接着剤が塗布されている請求項1または2に記載の遠心ファン。
【請求項4】
前記玉軸受は、軸方向で離間して配置された複数が用いられており、
前記弾性材は、軸方向で離間して複数が配置されており、
前記貫通孔は、軸方向で離間して隣接する弾性材の間に設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遠心ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、OA機器、産業機器の冷却、換気、空調や、車両用の空調、送風などに広く用いられている送風機として、遠心ファンが知られている。従来の遠心ファンとして、ケースが上ケーシング(第1ケース部)と下ケーシング(第2ケース部)とからなり、上ケーシングと下ケーシングの間にインペラを収納し、インペラの回転に伴って吸い込み口から吸入した空気を上ケーシングと下ケーシングの間の側面に形成された開口からケース外方に向けて吹き出す遠心ファンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の図5には、下ケーシングと一体成形にて形成された軸受ホルダーの内側に、一対の玉軸受を内側に嵌着した金属製の軸受スリーブが嵌合されており、予圧ばねによって一方の玉軸受に予圧をかけている。
【0004】
通常、この種の遠心ファンでは、モータの回転数を変更することで遠心ファンの送風量を調整している。このため、モータを駆動する回転数に応じてモータの振動も変化する。モータの振動は、モータのステータコイルとマグネットとの間で生じる電磁振動であり、この電磁振動がシャフトを回転可能に支持する玉軸受を介してケーシングに伝搬し、遠心ファンの振動や騒音が発生する。また、玉軸受自体に起因する振動もケーシングに伝搬して、遠心ファンの振動や騒音の発生原因となる。
【0005】
上記の振動を低減するために、回転軸を支持する軸受の外輪にゴム等の弾性材を装着して軸受からの振動の伝搬を低減することが行われている。例えば、回転軸を支持する軸受と、軸受を装着したハウジングとの間にゴム等の弾性材を装着して軸受からの振動が伝搬することを低減した転がり軸受が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-155188号公報
【文献】特開2000-192979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の遠心ファンでは、軸受の振動を低減するために予圧ばねで玉軸受に予圧をかけた定圧予圧であるが、この構造は玉軸受の外輪が固定できないので、玉軸受の外輪の外周に振動を吸収するゴム等の弾性材を接触して配置する構造は難しい。
【0008】
このような背景において、本発明は、軸受の外輪の外周を固定した構造の遠心ファンにおいて、軸受の振動がケーシングに伝搬することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、玉軸受の外輪が内側に固定された第1の筒状の部材と、前記第1の筒状の部材の外周に接触して配置された弾性材と、前記弾性材に内側が接触する第2の筒状の部材と、前記玉軸受により回転自在な状態で保持されたシャフトと、前記第2の筒状の部材を保持するケーシングとを備え、前記第1の筒状の部材には、前記玉軸受の位置を確認するための貫通孔が設けられている遠心ファンである。
【0010】
こで、前記貫通孔は、前記玉軸受の軸方向における端部が見える位置に設けられている態様が挙げられる。また、前記貫通孔から前記玉軸受の外輪を前記第1の筒状の部材に固定するための接着剤が塗布されている態様が挙げられる。また、前記玉軸受は、軸方向で離間して配置された複数が用いられており、前記弾性材は、軸方向で離間して複数が配置されており、前記貫通孔は、軸方向で離間して隣接する弾性材の間に設けられている態様が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軸受の外輪の外周を固定した構造の遠心ファンにおいて、軸受の振動がケーシングに伝搬することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の遠心ファンの断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】実施形態の遠心ファンを構成する部材の断面図である。
図4】実施形態の遠心ファンを構成する部材の断面図である。
図5】実施形態の遠心ファンを構成する部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(構成)
図1は、発明を利用した遠心ファン100を、軸を含む面で切断した断面図である。図2は、図1の一部を拡大した部分拡大断面図である。以下において、軸方向とは、回転軸であるシャフト125の延在方向のことであり、径方向とは、軸方向に直交する方向のことである。また、上とは、図1の視点から見て、下ケーシング130から見た上ケーシング110の方向であり、下は、その逆の方向のことである。
【0014】
遠心ファン100は、樹脂製の上ケーシング110と樹脂製の下ケーシング130から構成されたケーシング150を備えている。上ケーシング110と下ケーシング130は支柱140で結合され、上ケーシング110と下ケーシング130の間には、樹脂製のインペラ120が回転可能な状態で収納されている。
【0015】
上ケーシング110の中央には、吸込口111が設けられている。上ケーシング110と下ケーシング130は樹脂の成形品であり、上ケーシング110と支柱140は一体成形で一体物として形成されている。下ケーシング130には、コネクタハウジング131が一体成形により一体物として形成されている。コネクタハウジング131には、後述する回路基板133への外部からの電気的な接続を行うための端子ピン134が配置されている。
【0016】
上ケーシング110と下ケーシング130は、上ケーシング110と下ケーシング130の間に介装した支柱140によって結合されている。ケーシング150の側面における支柱140を除いた部分は、上ケーシング110と下ケーシング130の間の隙間となっており、この隙間の部分が吹出口112となっている。
【0017】
この例では、上ケーシング110側の支柱140の先端にボス(樹脂ピン)が形成され、このボスが下ケーシング130に形成した貫通孔に挿通され、その状態で、ボスの先端を熱や赤外線、等々で潰してカシメを行うことで、上ケーシング110と下ケーシング130とが支柱140を介して結合されている。
【0018】
上記の結合方法として、超音波による溶着を利用する形態も可能である。また、上記の結合の方法として、下ケーシング130の側からタッピングねじを支柱140に挿通し、締結する構造等も可能である。
【0019】
インペラ120は樹脂製であり、環状のシュラウド121と、主板122と、シュラウド121と主板122の間に配置された複数の羽根123とから構成されている。羽根123は全て同じ形状の後向き羽根で周方向に均等に配置されている。
【0020】
インペラ120は、軟磁性材(例えば、鉄材)からなる環状のロータヨーク124と、回転軸となる金属製のシャフト125と一体に形成されている。すなわち、樹脂製のインペラ120は、ロータヨーク124とシャフト125をインサート成形することで作製されている。
【0021】
インペラ120は、吸込口111の方向に突出したボス126を有し、シャフト125は、ボス126の中に埋め込まれている。ボス126の下面には、軸方向に突出する環状の突起部127が形成されている。ロータヨーク124の内周面には、ロータマグネットとなる環状のマグネット128が接着剤を用いて固定されている。
【0022】
環状のマグネット128の内側(軸中心側)には、隙間を介してステータ160を構成するステータコア161が配置されている。ステータコア161は、電磁鋼板等の薄板状の軟磁性材料を積層したもので、環状の形状を有し、外周に複数の突極(磁極)が設けられている。ステータコア161には、樹脂製のインシュレータ162が装着され、各突極には、インシュレータ162を介してステータコイル163が巻かれている。
【0023】
下ケーシング130には、筒形状を有した軸受ホルダー170が固定され、軸受ホルダー170の外周にステータコア161が固定されている。軸受ホルダー170の外周には、フランジ171aが設けられており、このフランジ171a上端の段差の部分を利用してステータコア161が固定されている。
【0024】
軸受ホルダー170は、筒形状を有し、内部に振動を吸収するための弾性材を保持している。すなわち、軸受ホルダー170は、振動吸収機能を有している。軸受ホルダー170は、中空の筒形状の外側スリーブ171、外側スリーブ171の内側に配置された中空の筒形状の内側スリーブ172、外側スリーブ171と内側スリーブ172の間に配置された弾性材173により構成されている。軸受ホルダー170の詳細については後述する。
【0025】
ステータコア161、インシュレータ162およびステータコイル163により、ステータ160が構成されている。また、ロータヨーク124およびマグネット128により、ロータ129が構成されている。なおロータ129は、インペラ120と一体化されており、ロータ129と共にインペラ120が回転する。ステータ160とロータ129により、アウターロータ型のブラシレスDCモータが構成されている。なお、シャフト125は、ボス126の中に埋め込まれているが、ロータヨーク124がシャフト125と結合した構成であってもよい。
【0026】
下ケーシング130は、平たい有底筒状の構造を有し、凹部132を有している。凹部132には、回路基板133が収納されている。回路基板133は、下ケーシング130に固定され、ステータコイル163への駆動電流を供給する駆動回路を備えている。
【0027】
軸受ホルダー170を構成する内側スリーブ172の内側には、玉軸受181,182が装着され、玉軸受181,182により、シャフト125が回転自在な状態で軸受ホルダー170の内側に保持されている。
【0028】
軸受ホルダー170を構成する内側スリーブ172の内側には、フランジ172aが形成され、その上端の段差の部分にコイルばね183の下端が接触している。コイルばね183の上端は、玉軸受181の外輪181aの下端に接触し、外輪181aを上方に弾性的に押圧している。玉軸受181の内輪181bの上端は、ボス126から下方に突出した突起部127の先端に接触している。
【0029】
コイルばね183により、玉軸受181には、予圧が加えられている。すなわち、コイルばね183により玉軸受181の外輪181aが上方に押されることで、玉軸受181の内輪181bが突起部127に押え付けられ、それにより玉軸受181に予圧が加えられている。
【0030】
(動作)
ステータ160とロータ129を備えたモータに駆動されてインペラ120が回転すると、その回転に伴って吸込口111から空気がケーシング150の内側に吸い込まれ、吸い込まれた空気は、インペラ120の羽根123の間を通過してインペラ120から径外側の方向に吹き出し、吹出口112からケーシング150の外方に向けて噴出する。
【0031】
(軸受ホルダー)
以下、軸受ホルダー170について説明する。軸受ホルダー170は、金属製の外側スリーブ171と金属製の内側スリーブ172を有し、外側スリーブ171と内側スリーブ172の間には弾性材173が配置されている。弾性材173としては、弾性変形する材質の材料、例えばシリコーンゴムや合成ゴムが採用されている。内側スリーブ172の内側には、一対の玉軸受181,182が固定されている。玉軸受181,182の外輪は、内側スリーブ172の内側に圧入、接着、あるいはそれらの組み合わせにより固定されている。
【0032】
弾性材173は、内側スリーブ172の外周を被覆する形で形成され、内側スリーブ172の外周に固着している。内側スリーブ172の外周において、弾性材173が一部形成されていない部分がある。この弾性材173が一部形成されていない部分の内側スリーブ172には、外側から内側に貫通する貫通孔(円筒構造の外側と内側を貫通する貫通孔)が形成されている。
【0033】
図5には、弾性材173が被覆された内側スリーブ172の一例が示されている。図5の例では、弾性材173は、上中下の三カ所のそれぞれに帯状に形成された弾性材173a,173b,173cにより構成されている。軸方向で隣接する帯状の弾性材173aと173bの間における内側スリーブ172には、貫通孔172bが形成されている。また、軸方向で隣接する帯状の弾性材173bと173cの間における内側スリーブ172には、貫通孔172cが形成されている。貫通孔172b,172cは、周方向に複数個(例えば、均等な間隔で3個)が形成されている。
【0034】
図5の例では、貫通孔172b,172cが形成された列が、軸方向に2例、形成されている。貫通孔172bは、玉軸受181の外輪181aの下端が見える位置に形成されている。貫通孔172cは、玉軸受182の外輪182aの上端が見える位置に形成されている。貫通孔172bから、玉軸受181の外輪181aの下端の位置を観察することで、軸方向における内側スリーブ172に対する玉軸受181の位置を知ることができる。また、貫通孔172cから、玉軸受182の外輪182aの上端の位置を観察することで、軸方向における内側スリーブ172に対する玉軸受182の位置を知ることができる。貫通孔の部分だけ弾性材を形成しない構成も可能である。図2には、その場合の一例が示されている。
【0035】
また、貫通孔172bから、接着剤を塗布することで、玉軸受181の外輪181aを内側スリーブ172の内側に固定することができる。同様に、貫通孔172cから、接着剤を塗布することで、玉軸受182の外輪182aを内側スリーブ172の内側に固定することができる。
【0036】
(製造工程)
図3は、内側スリーブ172に玉軸受181,182を装着したサブアッシーに、インペラ120と結合したシャフト125を取り付けた状態を示す断面図である。図4は、下ケーシング130に外側スリーブ171を装着した状態を示す断面図である。図5は、弾性材173が被覆され、内側に玉軸受181,182を装着した状態の内側スリーブ172の側面図である。
【0037】
まず、樹脂製の上ケーシング110を、樹脂の射出成型にて支柱140と一体成形にて形成する(図1参照)。また、樹脂製の下ケーシング130を、金属製の外側スリーブ171をインサートして一体成形にて形成する(図4参照)。樹脂製の下ケーシング130との結合がより強固になるように、外側スリーブ171の外周には環状の溝171bが形成されている。
【0038】
外側スリーブ171がインサートされた下ケーシング130を得たら、下ケーシング130に回路基板133を固定し、外側スリーブ171にステータ160を組み付け、図4に示す下側アッセンブル部材を得る。
【0039】
他方で、図3に示すように、インペラ120の側の玉軸受(上側玉軸受)181の内輪181bを、インペラ120と結合したシャフト125に圧入する。こうして、インペラ120と一体となっているシャフト125に玉軸受181を固定する。
【0040】
また、弾性材173を被覆した内側スリーブ172を用意する。なお、図3では、弾性材173は図示省略されている。そして、治具にセットした内側スリーブ172の下方端側の開口(下側)から下ケーシング側の玉軸受(下側玉軸受)182を内側スリーブ172の内側に圧入する。この際、玉軸受182の外輪182aの上端がフランジ172aに当接するようにして、玉軸受182を内側スリーブ172の内側に圧入する(外輪圧入)。この結果、玉軸受182の外輪182aの外周が内側スリーブ172の内側に固定される。この際、必要であれば、内側スリーブ172に形成した貫通孔172c(図5参照)より接着剤を塗布して玉軸受182の外輪182aを内側スリーブ172に固着してもよい。
【0041】
次に、内側スリーブ172の上方端側の開口(上側)から、内側スリーブ172の内側に、コイルバネ183と図示省略したワッシャを挿入する。その後更に、上方から内側スリーブ172の内側に、インペラ120と結合したシャフト125を挿入する。
【0042】
この際、シャフト125は、内側スリーブ172の内側に固定された玉軸受182の内輪182bの内側に圧入される。また、シャフト125に固定された玉軸受181が内側スリーブ172の内側に挿入される。
【0043】
この際、シャフト125に固定された玉軸受181の外輪181aが軸上の所定の位置になるように、シャフト125(インペラ120)の内側スリーブ172に対する軸方向での位置を調整する。この調整は、内側スリーブ171に形成した貫通孔172bを通して、外輪181aの位置を確認しつつ行われる。その後、貫通孔172bより接着剤を塗布して玉軸受181の外輪181aを内側スリーブ172に固着する。こうして、図3に示す内側スリーブ172にインペラ120を組み付けた上側アッセンブル部材を得る。
【0044】
次に、図3に示す上側アッセンブル部材と図4に示す下ケーシング130に固定した外側スリーブ171にステータ160を組み付けた下側アッセンブル部材とを結合する。具体的には、図3のインペラ120を装着した内側スリーブ172を、図4に示す下ケーシング130に固定されている外側スリーブ171の内側に圧入する。内側スリーブ172を外側スリーブ171の内側に圧入し、弾性材173が外側スリーブ171の内側を押圧して装着される。こうして、図1の遠心ファン100を得る。また、弾性材173を設けていない箇所に接着剤を塗布して固着する手段を併用してもよい。
【0045】
(優位性)
内側スリーブ172と外側スリーブ171の間に弾性材173を介装しているため、玉軸受181,182から下ケーシング130に振動が伝搬することを抑制できる。また、内側スリーブ172に予め、一対の玉軸受181,182を装着し、インペラ120を結合したシャフト125を装着した状態で、玉軸受181,182をサブアッシー化できるため、製造工程における作業性が向上する。また、内側スリーブ172に貫通孔172b,172cを設けることで、貫通孔172bを利用して外輪181aの位置を観察できると共に、貫通孔172b,172cより塗布状況を確認しながら接着剤を塗布することができる。
【0046】
特に内側スリーブ172に対する軸方向における玉軸受181の位置は、コイルばね182による予圧の値を決める上で重要であるので、貫通孔172bを介してその位置を確認できることで、予圧の値を精密にコントロールでき、軸受構造の特性を均一性良く得ることができる。また、外側スリーブ171をインサートして下ケーシング130を樹脂で一体成形することで、軸受ホルダー170の位置と姿勢、特に姿勢を精度よく決めることができる。
【符号の説明】
【0047】
100…遠心ファン、110…上ケーシング、111…吸込口、112…吹出口、120…インペラ、121…環状のシュラウド、122…主板、123…羽根、124…ロータヨーク、125…シャフト、126…ボス、127…突起部、128…マグネット、129…ロータ、130…下ケーシング、131…コネクタハウジング、132…凹部、133…回路基板、134…端子ピン、140…支柱、150…ケーシング、160…ステータ、161…ステータコア、162…インシュレータ、163…ステータコイル、170…軸受ホルダー、171…外側スリーブ、171a…フランジ、171b…環状の溝、172…内側スリーブ、172a…フランジ、172b…貫通孔、172c…貫通孔、173…弾性材、173a…帯状の弾性材、173b…帯状の弾性材、173c…帯状の弾性材、181…玉軸受、181a…外輪、181b…内輪、182…玉軸受、182a…外輪、182b…内輪、183…コイルばね。

図1
図2
図3
図4
図5