(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】端末装置、システム、通過数測定方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06M 7/00 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
G06M7/00 301P
(21)【出願番号】P 2019185973
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】南 雄也
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117573(JP,A)
【文献】特開平10-79012(JP,A)
【文献】特開2019-36038(JP,A)
【文献】特開2007-241960(JP,A)
【文献】特開2006-322891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 7/00
G01B 11/00 ー 11/30
G01C 3/00 ー 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離を測定する距離センサー部と、
前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似する演算部と、
前記演算部による一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出する推定部と
を備え
、
前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定する、端末装置。
【請求項2】
前記演算部は、複数の前記測定結果から、エラーを含む測定結果を除去し、エラーを含む前記測定結果を除去した残りの測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、近似式を導出し、
前記推定部は、前記演算部が導出した前記近似式の傾きに基づいて
、前記動体の移動方
向を導出する、請求項1
又は請求項
2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、連続する二個の前記測定結果の差分を導出し、導出した複数の前記差分から統計値を導出し、前記差分と、前記統計値とに基づいて、複数の前記測定結果のいずれかを削除し、
複数の前記測定結果のいずれかを削除することによって得られた一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、近似式を導出する、請求項
3に記載の端末装置。
【請求項5】
距離を測定する距離センサー部と、
前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似する演算部と、
前記演算部による一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出する推定部と
を備え
、
前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定する、システム。
【請求項6】
距離を測定する距離センサー部を備える端末装置が実行する測定方法であって、
前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似するステップと、
前記近似するステップによる一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出するステップと
、
一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定するステップと
を有する通過数測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似するステップと、
前記近似するステップによる一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出するステップと
、
一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定するステップと
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、システム、通過数測定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通過人数を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、通路付近に設置したマイクロホンで集音した音響情報を、信号強度(パワー)に変換し、過去に記録した音響データと比較することで、通過人数の推定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術では、通路付近に設置したマイクロホンで集音した音響情報に基づいて、通過者の足音から通過人数の測定を行うため、マイクロホンの設置箇所が屋外の登山道などの未舗装道路の場合、雨音などの環境雑音がノイズとして集音される場合がある。環境雑音がノイズとして集音される場合、動体の通過人数を正確に測定できない場合がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方の測定精度を向上できる端末装置、システム、通過数測定方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、距離を測定する距離センサー部と、前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似する演算部と、前記演算部による一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出する推定部とを備え、前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定する、端末装置である。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の端末装置において、前記演算部は、複数の前記測定結果から、エラーを含む測定結果を除去し、エラーを含む前記測定結果を除去した残りの測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出する。
(3)本発明の一態様は、上記(1)又は上記(2)に記載の端末装置において、前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、近似式を導出し、前記推定部は、前記演算部が導出した前記近似式の傾きに基づいて、前記動体の移動方向を導出する。
(4)本発明の一態様は、上記(3)に記載の端末装置において、前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、連続する二個の前記測定結果の差分を導出し、導出した複数の前記差分から統計値を導出し、前記差分と、前記統計値とに基づいて、複数の前記測定結果のいずれかを削除し、複数の前記測定結果のいずれかを削除することによって得られた一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の前記測定結果の時系列に基づいて、近似式を導出する。
【0006】
(5)本発明の一態様は、距離を測定する距離センサー部と、前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似する演算部と、前記演算部による一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出する推定部とを備え、前記演算部は、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定する、システムである。
【0007】
(6)本発明の一態様は、距離を測定する距離センサー部を備える端末装置が実行する測定方法であって、前記距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似するステップと、前記近似するステップによる一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出するステップと、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定するステップとを有する通過数測定方法である。
【0008】
(7)本発明の一態様は、コンピュータに、距離センサー部が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似するステップと、前記近似するステップによる一又は複数の前記ブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出するステップと、一又は複数の前記ブロックの各々の長さに基づいて、動体の数が、複数であるか否かを判定するステップとを実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方の測定精度を向上できる端末装置、システム、通過数測定方法、及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る通過数測定システムに含まれる端末装置を示すブロック図である。
【
図3】ブロック判定の一例を説明するための図である。
【
図4】有効ブロックから分割レコードを取得する処理を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る端末装置の動作の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例に係る通過数測定システムを示すブロック図である。
【
図10】実施形態の変形例に係る通過数測定システムの動作の一例を示す図である。
【
図11】実施形態の変形例に係る通過数測定システムの適用例を説明するための図である。
【
図12】実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例1を示す図である。
【
図13】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例1を示す図である。
【
図14】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例2を示す図である。
【
図15】実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例2を示す図である。
【
図16】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例3を示す図である。
【
図17】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例4を示す図である。
【
図18】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例5を示す図である。
【
図19】実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例3を示す図である。
【
図20】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例6を示す図である。
【
図21】実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例7を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本実施形態の端末装置、システム、通過数測定方法、及びコンピュータプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0012】
(実施形態)
(端末装置)
本発明の実施形態に係る通過数測定システム100は、端末装置1を備える。
図1は、本発明の実施形態に係る通過数測定システムに含まれる端末装置を示すブロック図である。実施形態に係る端末装置1は、測定範囲を通過した被対象物の数と、その被対象物の移動方向とを導出する。
端末装置1は、スマートフォン、携帯端末、又はパーソナルコンピュータ、タブレット端末装置、腕時計型端末装置、あるいはその他の情報処理機器として実現される。端末装置1は、例えば、動体検出部10と、処理部11と、距離センサー部12と、演算部13と、推定部14と、記憶部15とを備える。
動体検出部10は、動く物体(以下「動体」という)の存在を検出する。例えば、動体検出部10は、撮像装置を含んで構成され、端末装置1の周辺に動体が存在する場合に、その物体を検出する。動体には、動体検出部10によって検出可能な領域に存する通過者が含まれる。動体検出部10は、動体を検出した場合、処理部11へ、動体を検出したことを通知するための信号である動体検出通知を出力する。
距離センサー部12は、距離を測定し、距離の測定結果である距離値を、処理部11へ出力する。例えば、距離センサー部12は、動体と端末装置1との間の距離を測定する。
【0013】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部15には、通過者カウント情報15aと、設定情報15cとが記憶される。通過者カウント情報15aと、設定情報15cとがクラウド上に記憶されていてもよい。
通過者カウント情報15aは、測定結果と、測定日時情報とを関連付けたテーブル形式の情報である。測定結果には、通過者の人数を示す情報と、移動方向を示す情報とが含まれる。移動方向を示す情報は、端末装置1へ近づく方向と、端末装置1から遠ざかる方向とによって表されてもよい。
図2は、通過者カウント情報の一例を示す図である。通過者カウント情報15aの一例には、測定結果として、通過者の人数「***」、及び移動方向「***」と、測定日時情報「****/**/**/**:**」とが関連付けられている。また、通過者カウント情報15aの一例には、測定結果として、通過者の人数「+++」、及び移動方向「+++」と、測定日時情報「++++/++/++/++:++」とが関連付けられている。
図1に戻り説明を続ける。
設定情報15cは、集計時刻間隔と、距離閾値と、有効ブロック閾値と、無効値閾値と、ブロック長閾値と、有効傾き閾値とを関連付けたテーブル形式の情報である。集計時刻間隔は、通過者の人数と、移動方向との集計を行う時間間隔である。距離閾値と、有効ブロック閾値と、無効値閾値と、ブロック長閾値と、有効傾き閾値とについては後述する。ここで、設定情報15cに、集計時刻間隔の代わりに又は集計時刻間隔とともに集計時刻が記憶されてもよい。集計時刻は、通過者の人数と、移動方向との集計を行う時間である。また、設定情報15cに、端末装置1が搭載する距離センサー部12が、距離を測定する時間間隔情報が記憶されてもよいし、端末装置1の記憶部15の通過者カウント情報15aに保持される情報の保持期間を示す情報と、情報の数とのいずれか一方又は両方が記憶されてもよい。設定情報15cに記憶される情報は、通過数測定システム100を使用する際に登録される。
【0014】
処理部11、演算部13、および推定部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部15に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
処理部11は、端末装置1の動作全般の制御と管理とを行う。処理部11は、動体検出部10が出力した動体検出通知を取得し、取得した動体検出通知に基づいて、距離センサー部12を起動させる。処理部11は、起動させた距離センサー部12に、距離の測定を開始させる。処理部11は、距離センサー部12が出力した距離値を取得し、取得した距離値を、演算部13へ出力する。
【0015】
演算部13は、処理部11が出力した距離値を取得する。演算部13は、取得した距離値の時系列データである時系列的な距離値を含む測定結果から、ブロック抽出アルゴリズムを用いて、通過者との間の距離値と判定される距離値を含む測定結果のデータ群を抽出する。演算部13は、抽出した測定結果から、距離センサー部12によるノイズの影響などのエラーを含む距離値を除去する。ブロック抽出アルゴリズムの詳細については後述する。
演算部13は、ノイズの影響などのエラーを含む距離値を除去することによって得られる時系列的な距離値の変化から、通過者グルーピングアルゴリズムを用いて、時系列的な距離値のブロック化を行う。通過者グルーピングアルゴリズムの詳細については後述する。演算部13は、時系列的な距離値のブロック化を行った結果を、推定部14へ出力する。
【0016】
推定部14は、演算部13が出力した時系列的な距離値のブロック化を行った結果を取得し、取得した時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、通過者の人数の推定を行う。
推定部14は、通過者の人数の推定結果が、一人以下であった場合に、その時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、時系列的な距離値の傾きを導出する。例えば、推定部14は、最小二乗法などの近似手法によって、時系列的な距離値の傾きを導出する。推定部14は、導出した近似式の傾きに基づいて、通過者の移動方向を導出する。推定部14は、通過者のカウント値を示す情報と、その通過者の移動方向を示す情報とを、処理部11へ出力する。
推定部14は、通過者の人数の推定結果が、二人よりも多い場合に、その時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、その時系列的な距離値のブロック化を行った結果を、複数の分割レコードに分割する。推定部14は、複数の分割レコードの各々に含まれる複数の測定値であるレコード群から外れ値を除去する。推定部14は、レコード群に含まれる複数のレコードから、外れ値を除去した残りのレコードに基づいて、最小二乗法などの近似手法を用いて、近似式を導出することによって評価する。推定部14は、全ての分割レコードの評価が完了した後に、導出した近似式の傾きに基づいて、通過者のカウント値と、その通過者の移動方向とを導出する。推定部14は、通過者のカウント値を示す情報と、通過者の移動方向を示す情報とを、処理部11へ出力する。
処理部11は、時計機能を有する。処理部11は、推定部14が出力した通過者のカウント値を示す情報と、その通過者の移動方向を示す情報とを取得した場合に、時刻情報を取得する。処理部11は、取得した時刻情報と、通過者のカウント値を示す情報と、その通過者の移動方向を示す情報とを関連付けて、記憶部15の通過者カウント情報15aに記憶する。
【0017】
(ブロック抽出アルゴリズム)
前述したブロック抽出アルゴリズムの詳細について説明する。
ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、距離センサー部12が出力する距離値の時系列データである時系列的な距離値を含む測定結果(データ群)から、その測定結果に含まれるノイズの影響などのエラーを含む距離値が含まれる場合に、その測定値を除去させる。ノイズの影響などのエラーを含む距離値を無効値と呼び、無効値以外の測定値を有効値と呼ぶ。ここで、有効値には、外れ値が含まれる場合がある。
ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、距離センサー部12が出力した複数の距離値のうち、無限遠を示す値を無効値とさせる。例えば、ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、距離センサー部12が出力した複数の距離値のうち、距離閾値以上の距離値を無効値とさせる。距離閾値は、距離センサー部12と、想定される通過者の位置とに基づいて設定される。ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、複数の距離値から、無効値を除去させる。ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、複数の距離値から、無効値を除去させた残りの複数の距離値から、連続する有効値を含むレコードを一又は複数抽出させる。ブロック抽出アルゴリズムは、演算部13に、一又は複数のレコードをブロックとして扱わせる。
【0018】
具体的に説明する。演算部13は、ブロック抽出アルゴリズムを実行することによって、以下のように機能する。
(1) 演算部13は、データ群からブロックを一又は複数抽出する。
(2) 演算部13は、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる有効値のレコード数が、事前に設定されている有効ブロック閾値以上であるか否かを確認する。演算部13に、有効値のレコード数が、有効ブロック閾値以上であるものを有効ブロックとする。演算部13は、有効値のレコード数が、有効ブロック閾値未満であるものを無効ブロックとする。ここで、有効ブロック閾値は、通過者のデータ群であると認識できる値に基づいて、事前に設定される。
図3は、ブロック判定の一例を説明するための図である。
図3には、データ群の例として、データ群例1、データ群例2、データ群例3、及びデータ群例4が示されている。ここでは、一例として、有効ブロック閾値を「5」とした場合について示す。
【0019】
データ群例1について説明する。演算部13は、連続する有効値を含むレコードを一つ抽出し、抽出したレコードを、ブロックとして扱う。演算部13は、ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウント結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、ブロックに含まれる有効値の数は4であり、有効ブロック閾値未満であるため、抽出したレコードを無効ブロックであると判定する。
データ群例2について説明する。演算部13は、連続する有効値を含むレコードを一つ抽出し、抽出したレコードを、ブロックとして扱う。演算部13は、ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウント結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、ブロックに含まれる有効値の数は24であり、有効ブロック閾値以上であるため、抽出したレコードを有効ブロックであると判定する。
データ群例3について説明する。演算部13は、連続する有効値を含むレコードを二つ抽出し、抽出した二つのレコードの各々を、ブロックして扱う。ここでは、
図2の上から、第1ブロック、第2ブロックとする。演算部13は、第1ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウントした結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、第1ブロックに含まれる有効値の数は11個であり、有効ブロック閾値以上であるため、第1ブロックを有効ブロックであると判定する。演算部13は、第2ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウントした結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、第2ブロックに含まれる有効値の数は10個であり、有効ブロック閾値以上であるため、第2ブロックを有効ブロックであると判定する。
演算部13は、第1ブロックと第2ブロックとの間の無効値をカウントし、無効値をカウントした結果が、無効値閾値以上であるか否かを判定する。無効値閾値は、通過者のデータ群でないと認識できる無効値の数に基づいて、事前に設定される。演算部13は、無効値閾値以上連続して無効値が得られた場合には、通過者によるものではないと判定する。つまり、演算部13は、無効値をカウントした結果が、無効値閾位以上である場合に、第1ブロックと、第2ブロックとを別々の有効ブロックとして扱う。
演算部13は、無効値をカウントした結果が、無効値閾値未満である場合には、通過者が通過している可能性があると判定する。演算部13は、無効値をカウントした結果が、無効値閾値未満である場合に、第1ブロックと、第2ブロックと、第1ブロックと第2ブロックとの間の一又は複数の無効値とを一つの有効ブロックとして扱う。以下、無効値閾値を5とした場合について説明を続ける。データ群例3の場合、第1ブロックと第2ブロックとの間の無効値の数は3個であり、無効値閾値未満であるため、第1ブロックと第2ブロックと3個の無効値とを一つの有効ブロックとして扱う。
【0020】
データ群例4について説明する。演算部13は、連続する有効値を含むレコードを二つ抽出し、抽出した二つのレコードの各々を、ブロックして扱う。ここでは、
図2の上から、第1ブロック、第2ブロックという。演算部13は、第1ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウントした結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、第1ブロックに含まれる有効値の数は11個であり、有効ブロック閾値以上であるため、第1ブロックを、有効ブロックであると判定する。演算部13は、第2ブロックに含まれる有効値の数をカウントし、カウントした結果と有効ブロック閾値とを比較する。ここでは、第2ブロックに含まれる有効値の数は8個であり、有効ブロック閾値以上であるため、第2ブロックを、有効ブロックであると判定する。
演算部13は、第1ブロックと第2ブロックとの間の無効値をカウントし、無効値をカウントした結果が、無効値閾値以上であるか否かを判定する。演算部13は、無効値をカウントした結果が、無効値閾位以上である場合に、第1ブロックと、第2ブロックとを別々の有効ブロックとして扱う。演算部13は、無効値をカウントした結果が、無効値閾値未満である場合に、第1ブロックと、第2ブロックと、第1ブロックと第2ブロックとの間の一又は複数の無効値とを一つの有効ブロックとして扱う。データ群列4の場合、第1ブロックと第2ブロックとの間の無効値の数は5個であり、無効値閾値以上であるため、第1ブロックと第2ブロックと3個の無効値とを別々の有効ブロックとして扱う。
【0021】
(通過者グルーピングアルゴリズム)
次に、前述した通過者グルーピングアルゴリズムの詳細について説明する。
通過者グルーピングアルゴリズムは、演算部13に、ブロック抽出アルゴリズムを実行させることによって、抽出させた有効ブロックに含まれる有効値レコードの時系列的な変化を導出させる。通過者グルーピングアルゴリズムは、推定部14に、演算部13に導出させた有効値レコードの時系列的な変化に基づいて、通過者の人数と移動方向とを推定させる。演算部13と、推定部14とは、通過者グルーピングアルゴリズムを実行することによって、以下のように機能する。
演算部13は、有効ブロックの長さを導出する。有効ブロックの長さは、時間で表されてもよいし、有効ブロックに含まれる有効値と無効値との和で表されてもよい。以下、一例として、有効ブロックの長さが、時間で表される場合について説明する。演算部13は、有効ブロックの長さの導出結果が、事前に設定されたブロック長閾値以上であるか否かを判定する。演算部13は、有効ブロックの長さの導出結果が、ブロック長閾値未満であると判定した場合に、その有効ブロックは、一人が通過したことによって得られたものであると判定する。演算部13は、有効ブロックの長さの導出結果が、ブロック長閾値以上であると判定した場合に、その有効ブロックは、二人以上(複数人)が通過したことによって得られたものであると判定する。
【0022】
以下、演算部13が、一人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定した場合と、複数人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定した場合とに分けて説明する。
演算部13が、一人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定した場合について説明する。この場合、演算部13は、有効ブロックに含まれる複数の測定値であるレコード群から外れ値を除去する。ここで、外れ値とは、他の値から大きく外れた値である。レコード群から外れ値を除去する処理の一例について説明する。レコード群に含まれる複数のレコードを測定順に並べた場合に、その一方から順に、レコードR1、レコードR2、・・・、レコードRn(nは、n>3の整数)とする。演算部13は、レコードR1、レコードR2、・・・、レコードRnのうち、隣り合う順序のレコード同士の差分値(R(x+1)-Rx(xは、1<xの整数))を導出する。演算部13は、導出した複数の差分値(R(x+1)-Rx)を含むデータ群から統計値、例えば、平均値mと標準偏差σとを導出する。推定部14は、導出した複数の差分値(R(x+1)-Rx)と、導出した平均値mと標準偏差σとに基づいて、m-Xσ<(R(x+1)-Rx)<m+Xσ(Xは事前に指定する任意値)の範囲外となる差分値(R(x+1)-Rx)を抽出する。推定部14は、m-Xσ<(R(x+1)-Rx)<m+Xσの範囲外となる差分値(R(x+1)-Rx)を抽出できた場合に、外れ値として、レコード(R(x+1))を、レコード群から削除する。
【0023】
演算部13は、レコード群に含まれる複数のレコードから、外れ値を除去した残りのレコードに基づいて、最小二乗法などの近似手法を用いて、近似式を導出することによって、レコードを近似する。推定部14は、演算部13が導出した近似式の傾きに基づいて、通過者の移動方向を導出する。
推定部14は、導出した近似式の傾きが事前に指定した第1有効傾き閾値以上である場合には、通過者が端末装置1から遠ざかる方向へ移動していると判定する。推定部14は、導出した近似式の傾きが事前に指定した第2有効傾き閾値未満である場合には、通過者が端末装置1へ近づく方向へ移動していると判定する。推定部14は、導出した近似式の傾きが第2有効傾き閾値より大きく、第1有効傾き閾値未満である場合には、通過者でないものを検出したと判定する。第1有効傾き閾値と、第2有効傾きとは、通過者が端末装置1から通過者が遠ざかる方向へ移動した場合に得られる第1傾きと、通過者が端末装置1へ通過者が近付く方向へ移動した場合に得られる第2傾きとに基づいて、予め設定されている。
例えば、推定部14は、事前に指定した第1有効傾き閾値が0.2である場合に、導出した近似式の傾きが0.3である場合には、通過者が端末装置1から遠ざかる方向へ移動していると判定する。推定部14は、事前に指定した第2有効傾き閾値が-0.2である場合に、導出した近似式の傾きが-0.3である場合には、通過者が端末装置1へ近づく方向へ移動していると判定する。
推定部14は、導出した近似式の傾きが第2有効傾き閾値である-0.2より大きく、第1有効傾き閾値である0.2未満である場合には、この近似式に該当するレコード群である場合には、通過者でないものを検出したと判定する。通過者でないものを検出したと判定した場合には、推定部14は、通過者なしとして処理する。
【0024】
演算部13が、複数人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定した場合について説明する。この場合、演算部13は、有効ブロックに含まれる複数の測定値であるレコード群を事前に指定するレコード数である分割レコード数毎に分割する。演算部13は、事前に指定するレコード数である重複レコード数重複させて、レコード群を分割レコード数毎に分割することで、複数の分割レコードを取得する。
図4は、有効ブロックから分割レコードを取得する処理を説明するための図である。
図4には、有効ブロックは20個の測定値を含み、分割レコード数を8、重複レコード数を2とした例を示す。この例の場合には、演算部13は、有効ブロックを、分割レコード数である8個のレコード毎に、重複レコード数である2個のレコード重複させて分割することによって、分割レコード#1と、分割レコード#2と、分割レコード#3とに分割する。
【0025】
演算部13は、複数の分割レコードの各々に含まれる複数の測定値であるレコード群から外れ値を除去する。レコード群から外れ値を除去する処理の一例について説明する。レコード群に含まれる複数のレコードを測定順に並べた場合に、その一方から順に、レコードR1、レコードR2、・・・、レコードRn(nは、n>3の整数)とする。推定部14は、レコードR1、レコードR2、・・・、レコードRnのうち、隣り合う順序のレコード同士の差分値(R(x+1)-Rx(xは、1<xの整数))を導出する。演算部13は、導出した複数の差分値(R(x+1)-Rx)を含むデータ群から統計値、例えば平均値mと標準偏差σとを導出する。
演算部13は、導出した複数の差分値(R(x+1)-Rx)と、導出した平均値mと、標準偏差σとに基づいて、m-Xσ<(R(x+1)-Rx)<m+Xσ(Xは事前に指定する任意値)の範囲外となる差分値(R(x+1)-Rx)を抽出する。推定部14は、m-Xσ<(R(x+1)-Rx)<m+Xσの範囲外となる差分値(R(x+1)-Rx)を抽出できた場合に、外れ値として、レコード(R(x+1))を、レコード群から削除する。
【0026】
演算部13は、レコード群に含まれる複数のレコードから、外れ値を除去した残りのレコードに基づいて、最小二乗法などの近似手法を用いて、近似式を導出する。推定部14は、演算部13が導出した近似式の傾きに基づいて、通過者の移動方向を導出する。推定部14は、導出した近似式の傾きが事前に指定した第1有効傾き閾値以上である場合には、通過者が端末装置1から遠ざかる方向へ移動していると判定する。推定部14は、導出した近似式の傾きが事前に指定した第2有効傾き閾値未満である場合には、通過者が端末装置1へ近づく方向へ移動していると判定する。推定部14は、導出した近似式の傾きが第2有効傾き閾値より大きく、第1有効傾き閾値未満である場合には、この近似式に該当するレコード群である場合には、通過者でないものを検出したと判定する。第1有効傾き閾値と、第2有効傾きとは、通過者が端末装置1から通過者が遠ざかる方向へ移動した場合に得られる第1傾きと、通過者が端末装置1へ通過者が近付く方向へ移動した場合に得られる第2傾きとに基づいて、予め設定されている。
レコード群を分割レコード数に分割する際に、重複レコード数重複させているため、最小二乗法による近似式を算出する際に、複数人が通過する際の距離値の変化を捉えやすくできる。
例えば、推定部14は、事前に指定した第1有効傾き閾値が0.2である場合に、導出した近似式の傾きが0.3である場合には、通過者が端末装置1から遠ざかる方向へ移動していると判定する。推定部14は、事前に指定した第2有効傾き閾値が-0.2である場合に、導出した近似式の傾きが-0.3である場合には、通過者が端末装置1へ近づく方向へ移動していると判定する。
推定部14は、導出した近似式の傾きが第2有効傾き閾値である-0.2より大きく、第1有効傾き閾値である0.2未満である場合には、通過者でないものを検出したと判定する。通過者でないものを検出したと判定した場合には、推定部14は、通過者なしとして処理する。
【0027】
さらに、推定部14は、複数の分割レコードの各々から導出した傾きに基づいて、通過者をカウントする。推定部14は、分割レコードを測定順に並べ、連続する二個の分割レコードの各々から導出した傾きの符号に基づいて、以下の評価ルールで評価する。
(1) 推定部14は、連続する二個の分割レコードの各々に基づいて導出した傾きの符号の正負が同じである場合には、二個の分割レコードは、同一人が通過したことによって得られた分割ブロックと判定する。この場合、推定部14は、一人が通過したとしてカウントする。
(2) 推定部14は、連続する二個の分割レコードの各々に基づいて傾きを導出し、連続する二個の分割レコードの各々傾きのうち、分割レコードの符号の正負が、その分割レコードの直前の分割レコードの符号の正負と異なった場合には、その分割レコードは、直前の分割レコードとは異なる通過者が登場したことによって得られたものであると判定する。この場合、推定部14は、その分割レコードを削除する。
(3) 推定部14は、(2)に示したルールに基づいて、削除した分割レコードに連続する次の分割レコードに基づいて導出した傾きの符号が、削除した分割レコードに基づいて導出した傾きの符号と同じである場合又は、削除した分割レコードの直前の分割レコードに基づいて導出した傾きの符号と正負が同じである場合には、別の通過者が登場したことによって得られたものであると判定する。この場合、推定部14は、通過者が通過したとしてカウントする。推定部14は、全ての分割レコードの評価が完了した後に、評価結果に基づいて、通過者のカウント値を示す情報と、その通過者の移動方向を示す情報と、処理部11へ出力する。
【0028】
(端末装置の動作)
図5は、本実施形態に係る端末装置の動作の一例を示す図である。
図5は、端末装置1の演算部13が、ブロック抽出アルゴリズムを実行することによって、データ群から、一又は複数の有効ブロックを抽出し、演算部13が、通過者グルーピングアルゴリズムを実行することによって、有効ブロックが、複数人が通過したことによって得られたものであると判定した後の動作を示す。具体的には、
図5は、端末装置1の推定部14が、有効ブロックから分割レコードを取得し、取得した分割レコードを評価する方法を示す。
(ステップS100)
端末装置1において、演算部13は、有効ブロックに含まれる全分割レコードにおいて、時系列的に早いものを取得し、取得した分割レコードから評価を開始する。
(ステップS101)
端末装置1において、演算部13は、最初に取得した分割レコードに基づいて傾きを導出する。推定部14は、演算部13が導出した傾きの符号の正負を取得することによって評価する。
(ステップS102)
端末装置1において、推定部14は、最初に取得したその分割レコードを、有効とする。
(ステップS103)
端末装置1において、推定部14は、ステップS101で、演算部13が導出した傾きに基づいて、通過者の移動方向を導出する。推定部14は、ステップS101で、演算部13が導出した傾きの符号の正負に基づいて、通過者をカウントアップする。
(ステップS104)
端末装置1において、演算部13は、次の分割レコードが存在するか否かを判定する。
(ステップS105)
端末装置1において、演算部13は、ステップS104で、次の分割レコードが存在すると判定した場合に、次の分割レコードを取得する。ここで、次の分割レコードを、分割レコードに置き換えて説明する。演算部13は、取得した分割レコードに基づいて傾きを導出する。推定部14は、演算部13が導出した傾きの符号の正負を取得することによって評価する。
【0029】
(ステップS106)
端末装置1において、推定部14は、演算部13が取得した分割レコードの直前の分割レコードが有効として処理されているか否かを確認する。
(ステップS107)
端末装置1において、推定部14は、分割レコードの直前の分割レコードが有効として処理されている場合に、その有効として処理されている直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであるか否かを判定する。
(ステップS108)
端末装置1において、推定部14は、直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであると判定した場合に、分割レコードを有効レコードとして処理する。
(ステップS109)
端末装置1において、推定部14は、分割レコードを、有効として処理されている直前の分割レコードと同一通過者を測定したレコードであると判定する。推定部14は、カウントアップ処理を行わない。ステップS104へ移行する。
【0030】
(ステップS110)
端末装置1において、推定部14は、ステップS107で、直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが異なると判定した場合に、分割レコードを削除することによって、無効レコードとして処理する。分割レコードを無効レコードとして処理することにより、他の分割レコードを評価するときに参照できない状態となる。ステップS104へ移行する。
(ステップS111)
端末装置1において、推定部14は、ステップS106で、分割レコードの直前の分割レコードが有効として処理されていないと判定した場合に、直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであるか否かを判定する。直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであると判定した場合には、ステップS102へ移行する。
(ステップS112)
端末装置1において、推定部14は、直前の分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じでないと判定した場合には、最後に有効ブロックと判定した分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであるか否かを判定する。最後に有効ブロックと判定した分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じであると判定した場合には、ステップS102へ移行する。最後に有効ブロックと判定した分割レコードの傾きの符号と、分割レコードの傾きの符号とが同じでないと判定した場合には、ステップS110へ移行する。
(ステップS113)
端末装置1において、演算部13は、ステップS104で、次の分割レコードが存在しない場合に、全分割レコードの評価を完了したと判定し、分割レコードの評価を終了する。
【0031】
前述した実施形態では、端末装置1が一個の距離センサー部12を備える場合について説明したが、この例に限られない。例えば、端末装置1が複数個の距離センサー部を備えるようにしてもよい。
前述した実施形態では、第1有効傾き閾値と、第2有効傾き閾値とに基づいて、通過者の移動方向を判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、一個の有効傾き閾値に基づいて、通過者の移動方向を判定してもよいし、三個以上の有効傾き閾値に基づいて、通過者の移動方向を判定してもよい。
前述した実施形態において、重複レコード数を、ノイズ、通過者の数などの外部要因に基づいて変更してもよい。重複レコード数を増加させることによって、測定値が急激に変化した場合でも、その変化に追従できる。重複レコード数を減少させることによって、ノイズに対する耐性を向上できる。
本実施形態に係る端末装置1によれば、端末装置1は、一又は複数の距離センサー部と、一又は複数の距離センサー部の各々が測定することによって得られた複数の測定結果を含む測定結果群から、測定時間に基づいて、複数の測定結果を含むブロックを一又は複数抽出し、抽出した一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果を近似する演算部と、演算部による一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、前記距離センサー部が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出する推定部とを備える。このように構成することによって、端末装置1は、端末装置1と通過者との間の距離を継続的に測定する。端末装置1は、距離の測定結果を、ブロック抽出アルゴリズムと、通過者グルーピングアルゴリズムとによって、分析できる。一又は複数のブロックの各々に含まれる複数の測定結果の近似結果に基づいて、一又は複数の距離センサー部の各々が測定した動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方を導出することによって、動体の数と、移動方向とのいずれか一方又は両方の測定精度を向上できる。
【0032】
(実施形態の変形例)
(端末装置)
図6は、本発明の実施形態の変形例に係る通過数測定システムを示すブロック図である。実施形態の変形例に係る通過数測定システム100aは、端末装置1aと、サーバー2とを備える。
図6には、端末装置1aと、サーバー2とに加え、測定結果を取得するユーザーUと、ユーザーUが使用する端末装置1bとが示されている。
端末装置1aと端末装置1bとサーバー2とは、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。
端末装置1aは、前述した端末装置1と比較して、通信部16を備え、処理部11の代わりに処理部11aを備える点で異なる。
【0033】
(端末装置1a)
端末装置1aは、スマートフォン、携帯端末、又はパーソナルコンピュータ、タブレット端末装置、腕時計型端末装置、あるいはその他の情報処理機器として実現される。端末装置1aは、例えば、動体検出部10と、処理部11aと、距離センサー部12と、演算部13と、推定部14と、記憶部15と、通信部16とを備える。
処理部11aは、前述した処理部11の機能に加え、以下の機能を有する。処理部11aは、予め設定された時刻となるまでは休止状態を維持する。処理部11aは、予め設定された時刻となったときに休止状態から復帰し、記憶部15に記憶されている通過者カウント情報15aに含まれる情報の少なくとも一部を含み、サーバー2を宛先とする通過者カウント通知情報を作成する。処理部11aは、作成した通過者カウント通知情報を、通信部16へ出力する。
処理部11aは、通信部が出力した転送情報を取得し、取得した転送情報に含まれる設定情報の変更内容を処理することによって反映する。例えば、処理部11aは、設定情報の変更内容を、記憶部15に記憶されている設定情報15cに反映する。
【0034】
通信部16は、通信モジュールによって実現される。通信部16は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部16は、例えば有線LAN(Local Area Network)などの通信方式で通信してもよい。また、通信部16は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの通信方式で通信してもよい。通信部16は、ネットワークNWを介してサーバー2と通信するために必要な通信情報を保持する。通信部16は、処理部11aが出力した通過者カウント通知情報を取得し、取得した通過者カウント通知情報を、サーバー2へ送信する。通信部16は、サーバー2が送信した転送情報を受信し、受信した転送情報を、処理部11aへ出力する。
【0035】
(端末装置1b)
端末装置1bは、スマートフォン、携帯端末、又はパーソナルコンピュータ、タブレッ
ト端末装置、腕時計型端末装置、あるいはその他の情報処理機器として実現される。
端末装置1bは、ユーザーが、端末装置1bに対して通過者カウント情報を要求する操作を行った場合に、端末装置IDと、通過者カウント情報を要求する情報を含み、サーバー2を宛先とする通過者カウント情報要求を作成する。端末装置1bは、作成した通過者カウント情報要求を、サーバー2へ送信する。端末装置1bは、サーバー2が送信した通過者カウント情報応答を受信し、受信した通過者カウント情報応答に含まれる通過者カウント情報を取得する。端末装置1bは、取得した通過者カウント情報を処理することによって出力する。例えば、端末装置1bは、通過者カウント情報の処理結果を、表示部(図示なし)に表示するようにしてもよい。
【0036】
(サーバー2)
サーバー2は、パーソナルコンピュータ、サーバー、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。サーバー2は、例えば、処理部21と、記憶部25と、通信部27と、入出力部29とを備える。
記憶部25は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。記憶部25には、通過者関連情報25aと、端末情報25bと、設定情報25cとが記憶される。通過者関連情報25aと、端末情報25bと、設定情報25cとがクラウド上に記憶されていてもよい。
通過者関連情報25aは、測定結果と測定日時情報とを送信した端末装置の端末装置IDと、測定結果と、測定日時情報とを関連付けたテーブル形式の情報である。測定結果には、通過者の人数を示す情報と、移動方向を示す情報とが含まれる。
図7は、通過者関連情報の一例を示す図である。通過者関連情報25aの一例には、端末装置ID「M0001」と、測定結果として、通過者の人数「***」、及び移動方向「***」と、測定日時情報「****/**/**/**:**」とが関連付けられている。また、通過者関連情報25aの一例には、端末装置ID「M0002」と、測定結果として、通過者の人数「+++」、及び移動方向「+++」と、測定日時情報「++++/++/++/++:++」とが関連付けられている。
【0037】
端末情報25bは、端末装置IDと、IPアドレスと、MACアドレスとを関連付けたテーブル形式の情報である。
図8は、端末情報の一例を示す図である。端末情報25bの一例には、端末装置ID「M0001」と、IPアドレス「***」と、MACアドレス「****」とが関連付けられている。また、端末情報25bの一例には、端末装置ID「M0002」と、IPアドレス「+++」と、MACアドレス「++++」とが関連付けられている。端末情報25bに記憶される情報は、通過数測定システム100aを使用する際に登録される。
設定情報25cは、端末装置IDと、集計時刻間隔と、通知時刻間隔と、距離閾値と、有効ブロック閾値と、無効値閾値と、ブロック長閾値と、有効傾き閾値とを関連付けたテーブル形式の情報である。
図9は、設定情報の一例を示す図である。設定情報25cの一例には、端末装置ID「M0001」と、集計時刻間隔「**:**」と、通知時刻間隔「**:**」と、距離閾値「**」と、有効ブロック閾値「**」と、無効値閾値「**」と、ブロック長閾値「**」と、有効傾き閾値「**」とが関連付けられている。また、設定情報25cの一例には、端末装置ID「M0002」と、集計時刻間隔「++:++」と、通知時刻間隔「++:++」と、距離閾値「++」と、有効ブロック閾値「++」と、無効値閾値「++」と、ブロック長閾値「++」と、有効傾き閾値「++」とが関連付けられている。
ここで、設定情報25cに、集計時刻間隔の代わりに又は集計時刻間隔とともに集計時刻が記憶されてもよいし、通知時刻間隔の代わりに又は通知時刻間隔とともに通知時刻が記憶されてもよい。また、設定情報25cに、端末装置1aが搭載する距離センサー部12が、動体と端末装置1aとの間の距離を測定する時間間隔情報が記憶されてもよいし、端末装置1aの記憶部15の通過者カウント情報15aに保持される情報の保持期間を示す情報と、情報の数とのいずれか一方又は両方が記憶されてもよい。設定情報25cに記憶される情報は、通過数測定システム100aを使用する際に登録される。
図6に戻り説明を続ける。
【0038】
処理部21、及び入出力部29は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部25に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
処理部21は、サーバー2の動作全般の制御と管理とを行う。処理部21は、通信部27が出力した通過者カウント通知情報を取得し、取得した通過者カウント通知情報に基づいて、その通過者カウント通知情報を送信した端末装置を特定する。処理部21は、記憶部25に記憶された端末情報25bから、一又は複数の端末装置の各々と通信するためのIPアドレスと、MACアドレスとのいずれか一方又は両方を参照し、一又は複数の端末装置の各々を特定する。処理部21は、特定した端末装置を示す情報と、取得した通過者カウント通知情報とを関連付けて、記憶部25の通過者関連情報25aに記憶する。
【0039】
処理部21は、通信部27が出力した通過者カウント情報要求を取得し、取得した通過者カウント通知情報に含まれる端末装置IDに基づいて、記憶部25に記憶された通過者関連情報25aから、その端末装置IDに関連付けられている測定結果と、測定日時情報とを取得する。処理部21は、取得した測定結果と、測定日時情報とを含み、通過者カウント情報要求を送信した端末装置を宛先とする通過者カウント情報応答を作成し、作成した通過者カウント情報応答を、通信部27へ出力する。
処理部21は、記憶部25に記憶されている設定情報25cに含まれる設定情報が変更された場合に、設定情報の変更内容を示す情報を含み、設定情報に該当する端末装置を宛先とする転送情報を作成する。処理部21は、作成した転送情報を、通信部27へ出力する。処理部21は、記憶部25に記憶された端末情報25bから、一又は複数の端末装置の各々と通信するためのIPアドレスと、MACアドレスとのいずれか一方又は両方を取得し、取得したIPアドレスと、MACアドレスとのいずれか一方又は両方に基づいて、一又は複数の端末装置の各々と通信を行う。
入出力部29は、端末装置1aの設定情報の変更と確認とのいずれか一方又は両方を行う。
【0040】
通信部27は、通信モジュールによって実現される。通信部27は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部27は、例えば有線LANなどの通信方式で通信してもよい。また、通信部27は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの通信方式で通信してもよい。通信部27は、サーバー2が情報を管理している一又は複数の端末装置の各々と通信可能である。通信部27は、端末装置1aが送信した通過者カウント通知情報を受信し、受信した通過者カウント通知情報を、処理部21へ出力する。通信部27は、端末装置1bが送信した通過者カウント情報要求を受信し、受信した通過者カウント情報要求を、処理部21へ出力する。通信部27は、処理部21が出力した通過者カウント情報応答を取得し、取得した通過者カウント情報応答を、端末装置1bへ送信する。通信部27は、処理部21が出力した転送情報を取得し、取得した転送情報を、端末装置1aへ送信する。
【0041】
(通過数測定システムの動作)
本実施形態の変形例に係る通過数測定システムの動作の一例について説明する。端末装置1aが、有効ブロックから分割レコードを取得し、取得した分割レコードを評価する方法は、前述した
図5を適用できる。ここでは、端末装置1aの処理部11aが、時刻情報と、通過者のカウント値を示す情報と、その通過者の移動方向を示す情報とを関連付けて、記憶部15の通過者カウント情報15aに記憶した後の処理について説明する。
図10は、実施形態の変形例に係る通過数測定システムの動作の一例を示す図である。
(ステップS201)
端末装置1aにおいて、処理部11aは、予め設定された時刻となったときに休止状態から復帰し、記憶部15に記憶されている通過者カウント情報15aに含まれる情報の少なくとも一部を含み、サーバー2を宛先とする通過者カウント通知情報を作成する。ここで、通過者カウント情報15aに含まれる情報の少なくとも一部とは、通過者カウント情報15aに含まれる情報のうち、サーバー2に通知していない情報である。
(ステップS202)
端末装置1aにおいて、処理部11aは、作成した通過者カウント通知情報を、通信部16へ出力する。通信部16は、処理部11aが出力した通過者カウント通知情報を取得し、取得した通過者カウント通知情報を、サーバー2へ送信する。
(ステップS203)
サーバー2において、通信部27は、端末装置1aが送信した通過者カウント通知情報を受信し、受信した通過者カウント通知情報を、処理部21へ出力する。処理部21は、通信部27が出力した通過者カウント通知情報を取得し、取得した通過者カウント通知情報に基づいて、その通過者カウント通知情報を送信した端末装置を特定する。処理部21は、特定した端末装置を示す情報と、取得した通過者カウント通知情報とを関連付けて、記憶部25の通過者関連情報25aに記憶する。
【0042】
(ステップS204)
端末装置1bは、ユーザーが、端末装置1bに対して通過者カウント情報を要求する操作を行った場合に、通過者カウント情報を要求する対象である端末装置1aの端末装置IDと、通過者カウント情報を要求する情報とを含み、サーバー2を宛先とする通過者カウント情報要求を作成する。
(ステップS205)
端末装置1bは、作成した通過者カウント情報要求を、サーバー2へ送信する。
(ステップS206)
サーバー2において、通信部27は、端末装置1bが送信した通過者カウント情報要求を受信し、受信した通過者カウント情報要求を、処理部21へ出力する。処理部21は、通信部27が出力した通過者カウント情報要求を取得し、取得した通過者カウント情報要求に含まれる端末装置IDを取得する。処理部21は、取得した端末装置IDに関連付けて記憶されている測定結果と、測定日時情報とを取得し、端末装置IDと、取得した測定結果と、測定日時情報とを含み、端末装置1bを宛先とする通過者カウント情報応答を作成する。
(ステップS207)
サーバー2において、処理部21は、作成した通過者カウント情報応答を、通信部27へ出力する。通信部27は、処理部21が出力した通過者カウント情報応答を取得し、取得した通過者カウント情報応答を、端末装置1bへ送信する。
(ステップS208)
端末装置1bは、サーバー2が送信した通過者カウント情報応答を受信し、受信した通過者カウント情報応答を取得し、取得した通過者カウント情報応答に含まれる端末装置IDと、測定結果と、測定日時情報とを取得する。端末装置1bは、取得した端末装置IDと、測定結果と、測定日時情報とを処理することによって出力する。
【0043】
前述した実施形態の変形例では、通過数測定システム100aに、一台の端末装置1aが含まれる場合について説明したが、この例に限られない。例えは、端末装置1aが複数であってもよい。このように構成することによって、サーバー2は、複数の端末装置1aの各々が送信する通過者カウント通知情報に基づいて、通過者関連情報25aに通過者カウント情報を記憶できる。端末装置1bは、通過者カウント情報要求を送信することによって、複数の端末装置1aのいずれかによって通知された通過者カウント情報を取得できる。
前述した実施形態の変形例では、通過者カウント情報要求に、端末装置IDが含まれ、サーバー2が、その端末装置IDに該当する通過者カウント情報を含む通過者カウント情報応答を作成する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、通過者カウント情報要求に、端末装置IDに加え、測定日時情報が含まれてもよい。この場合、サーバー2は、その端末装置IDと、測定日時情報との組み合わせに該当する通過者カウント情報を含む通過者カウント情報応答を作成する。また、測定日時情報の代わりに、測定日時の範囲が含まれてもよい。この場合、サーバー2は、その端末装置IDと、測定日時の範囲との組み合わせに該当する通過者カウント情報を含む通過者カウント情報応答を作成する。
前述した実施形態の変形例において、端末装置1aは、通過者カウント情報15aに含まれる情報から、サーバー2に通知した情報を削除してもよい。このように構成することによって、端末装置1aの記憶容量を確保できる。
本実施形態の変形例に係る通過数測定システム100aによれば、前述した実施形態に係る通過数測定システム100の効果に加えて、端末装置1aの通信機能を使用して、測定結果を、サーバー2などの外部のDBへ送信できる。このため、端末装置1bのユーザーUは、ネットワークNWを介して、サーバー2から測定結果を取得することによって、測定結果を確認できる。
【0044】
(適用例)
実施形態の変形例に係る通過数測定システム100aの適用例について説明する。
図11は、実施形態の変形例に係る通過数測定システムの適用例を説明するための図である。
端末装置1aは、登山道等の道路幅が限定された屋外環境に設置される。端末装置1aは、距離センサー部12が、距離を計測できる範囲である計測範囲MRを通過する物体などの被対象物4の数と、被対象物4の移動方向とを推定する。被対象物4の一例は、通過者である。端末装置1aは、被対象物4の数と、被対象物4の移動方向との推定結果を、記憶部15に記憶されている通過者カウント情報15aに反映する。
図11に示されるように、端末装置1aは、道路Rの脇の既設杭や案内板の支柱に括り付けて設置される。端末装置1aの一例は、持ち運び可能な可搬型のサイズである。端末装置1aは、道路Rを含む水平面に対して、角度を付けて設置される。例えば、端末装置1aの距離センサー部12の測定範囲MRが、道路Rの両端を含むように、端末装置1aが設置されてもよい。
端末装置1aは、被対象物4までの距離を時系列的に測定し、通過者グルーピングアルゴリズムと、ブロック抽出アルゴリズムとを実行することによって、測定結果から、通過者の人数と、通過者の移動方向とを推定する。
【0045】
具体的に説明する。端末装置1aの処理部11aは、距離センサー部12が出力した距離値を取得し、取得した距離値を、演算部13へ出力する。
図12は、実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例1を示す図である。
図12は、経過時間[s]と距離値[m]との関係の一例を示す。ここで、経過時間は、測定を開始したときからの経過時間である。
図12は、一例として、被対象物4が、端末装置1aから遠ざかる方向に移動した場合の距離値の測定結果を示す。
図12によれば、端末装置1aでは、動体検出部10が動体を検出した後に、距離センサー部12が距離の測定を開始してから、約3秒後に、距離センサー部12が距離値を取得しているのが分かる。3秒から3.2秒の間の距離値は無効値であるのが分かる。
さらに、
図12によれば、有効ブロックの長さは約3秒であるのが分かる。仮に、ブロック長閾値を5秒とした場合には、推定部14は、一人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定する。
【0046】
図13は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例1を示す図である。端末装置1aの演算部13は、ブロック抽出アルゴリズムを用いて、通過者との間の距離値と判定される距離値を含む測定結果のデータ群を抽出し、抽出した測定結果のデータ群から、距離センサー部12によるノイズの影響などのエラーを含む距離値を除去する。
図13には、測定結果から、距離センサー部12によるノイズの影響などのエラーを含む距離値を除去した結果が示される。
図13において、縦軸は隣り合う順序のレコード同士の差分値であり、横軸は測定開始時からの経過時間である。黒の破線部分を含む実線は、
図12に示した測定値の差分値を示す。距離値の平均値をmとし、標準偏差をσとし、90%信頼区間内を示す係数をXとした場合に、横軸に平行である三本の実線は、上から順に、m+Xσ、m、m-Xσを示す。m-Xσ未満の差分値と、m+Xσより大きい差分値とを除去することによって得られる差分値を、実線で示す。
図14は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例2を示す図である。
図14において、縦軸は距離値[m]であり、横軸は経過時間[s]である。
図14は、
図12において、差分値がm-Xσ未満に該当する測定値と、差分値がm+Xσより大きいものに該当する測定値とを除去したものである。つまり、
図14は、ノイズの影響を含む距離値を除去することによって得られる時系列的な距離値のブロック化を行った結果を示す。
推定部14は、時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、時系列的な距離値の傾きを導出する。例えば、推定部14は、最小二乗法などの近似手法によって、時系列的な距離値の傾きを導出する。
図14の場合には、傾き値は、1.1014である。仮に、第1有効傾き閾値を0.2とした場合に、推定部14は、一人の通過者が端末装置1aから遠ざかる方向に移動したと推定する。
【0047】
図15は、実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例2を示す図である。
図15は、経過時間[s]と距離値[m]との関係の一例を示す。ここで、経過時間は、測定を開始したときからの経過時間である。
図15は、一例として、複数の被対象物が、端末装置1aの距離センサー部12の測定範囲MRを同一方向へ通過する場合に取得される測定結果の一例が示される。ここでは、一例として、被対象物4aと被対象物4bとが端末装置1aから遠ざかる方向に通過した場合に得られる測定結果の一例を示す。
図15によれば、端末装置1aでは、動体検出部10が動体を検出した後に、距離センサー部12が距離の測定を開始してから、約4.5秒後に、距離センサー部12が距離値を取得しているのが分かる。4.5秒から4.8秒の間の距離値は無効値であるのが分かる。さらに、
図15によれば、有効ブロックの長さは約5秒であるのが分かる。仮に、ブロック長閾値を5秒とした場合には、推定部14は、複数人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定する。
図16は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例3を示す図である。推定部14は、有効ブロックに含まれる複数のレコード群を事前に指定する分割レコード数毎に分割する。推定部14は、事前に指定する重複レコード数重複させて、レコード群を分割レコード数毎に分割することで、複数の分割レコードを取得する。
図16に示すように、推定部14は、第1分割レコードから第6分割レコードを取得する。推定部14は、複数の分割レコードの各々に含まれる複数の測定値であるレコード群からノイズの影響を含む距離値を除去する。
図16には、複数の分割レコードの各々に含まれるレコード群からノイズの影響を含む距離値を除去した結果が示される。
図16において、縦軸は隣り合う順序のレコード同士の差分値であり、横軸は測定開始時からの経過時間である。黒の破線部分を含む実線は、
図15に示した測定値の差分値を示す。第1分割レコードから第6分割レコードの各々において、距離値の平均値をmとし、標準偏差をσとし、90%信頼区間内を示す係数をXとした場合に、横軸に平行である三本の実線は、上から順に、m+Xσ、m、m-Xσを示す。m-Xσ未満の差分値と、m+Xσより大きい差分値とを除去することによって得られる差分値を、実線で示す。
【0048】
図17は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例4を示す図である。
図17において、縦軸は距離値[m]であり、横軸は経過時間[s]である。
図17は、
図15において、差分値がm-Xσ未満に該当する測定値と、差分値がm+Xσに該当する測定値とを除去したものである。つまり、
図17は、ノイズの影響を含む距離値を除去することによって得られる時系列的な距離値のブロック化を行った結果を示す。
推定部14は、時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、時系列的な距離値の傾きを導出する。例えば、推定部14は、最小二乗法などの近似手法によって、時系列的な距離値の傾きを導出する。推定部14は、第1分割レコードから第6分割レコードの各々に含まれる時系列的な距離値の傾きを導出する。その結果、
図17に示されるように、第1分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、0.8793であり、第2分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、-0.3409であり、第3分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、0.8011である。また、
図17に示されるように、第4分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、1.0656であり、第5分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、1.264であり、第6分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、1.1825である。
図18は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例5を示す図である。
図18は、第1分割レコードから第6分割レコードの各々に含まれる時系列的な距離値の傾きを、前述した評価ルールに基づいて、評価した結果を示す。
推定部14は、第2分割レコードの傾きの符号の正負が、第1分割レコードの傾きの符号の正負を異なっているため、第2分割レコードは、第1分割レコードとは異なる通過者が登場したことによって、得られたものであると判定する。このため、推定部14は、第2分割レコードを削除する。
推定部14は、削除した第2分割レコード以外の第1分割レコード、第3分割レコード、第4分割レコード、第5分割レコード、及び第6分割レコードの各々の傾きの符号の正負が同じであるため、二人の通過者が、端末装置1aから遠ざかる方向へ移動したと推定する。
【0049】
図19は、実施形態の変形例に係る端末装置が取得する距離値の例3を示す図である。
図19は、経過時間[s]と距離値[m]との関係の一例を示す。ここで、経過時間は、測定を開始したときからの経過時間である。
図19は、一例として、複数の被対象物が端末装置1aの距離センサー部12の測定範囲MRを異なる方向へ通過する場合に取得される測定結果の一例が示される。ここでは、一例として、被対象物4aと被対象物4bとが端末装置1aの距離センサー部12の測定範囲MR内で交差する(すれ違う)ように移動した場合に得られる測定結果の一例を示す。
図19によれば、端末装置1aでは、動体検出部10が動体を検出した後に、距離センサー部12が距離の測定を開始してから、約5.5秒後に、距離センサー部12が距離値を取得しているのが分かる。5.5秒から5.8秒の間の距離値は無効値であるのが分かる。さらに、
図19によれば、有効ブロックの長さは約5秒であるのが分かる。仮に、ブロック長閾値を5秒とした場合には、推定部14は、複数人が通過したことによって得られた有効ブロックと判定する。
推定部14は、有効ブロックに含まれる複数のレコード群を事前に指定する分割レコード数毎に分割する。推定部14は、事前に指定する重複レコード数重複させて、レコード群を分割レコード数毎に分割することで、複数の分割レコードを取得する。推定部14は、第1分割レコードから第7分割レコードを取得する。推定部14は、複数の分割レコードの各々に含まれる複数の測定値であるレコード群からノイズの影響を含む距離値を除去する。距離値の平均値をmとし、標準偏差をσとし、90%信頼区間内を示す係数をXとした場合に、第1分割ブロックから第7分割ブロックの各々において、横軸に平行である三本の実線は、上から順に、m+Xσ、m、m-Xσを示す。m-Xσ未満の差分値と、m+Xσより大きい差分値とは除去される。
【0050】
図20は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例6を示す図である。
図20において、縦軸は距離値[m]であり、横軸は経過時間[s]である。
図20は、
図19において、差分値がm-Xσ未満に該当する測定値と、差分値がm+Xσに該当する測定値とを除去したものである。つまり、
図20は、ノイズの影響を含む距離値を除去することによって得られる時系列的な距離値のブロック化を行った結果を示す。
推定部14は、時系列的な距離値のブロック化を行った結果に基づいて、時系列的な距離値の傾きを導出する。例えば、推定部14は、最小二乗法などの近似手法によって、時系列的な距離値の傾きを導出する。推定部14は、第1分割レコードから第7分割レコードの各々に含まれる時系列的な距離値の傾きを導出する。その結果、
図20に示されるように、第1分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、0.6597であり、第2分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、1.0277であり、第3分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、0.9944である。また、
図20に示されるように、第4分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、-1.1277であり、第5分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、-0.9861であり、第6分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、-0.7876であり、第7分割レコードに含まれる時系列的な距離値の傾きは、-0.7876である。
【0051】
図21は、実施形態の変形例に係る端末装置の処理の例7を示す図である。
図21は、第1分割レコードから第7分割レコードの各々に含まれる時系列的な距離値の傾きを、前述した評価ルールに基づいて、評価した結果を示す。
推定部14は、第4分割レコードの傾きの符号の正負が、第3分割レコードの傾きの符号の正負を異なっているため、第4分割レコードは、第3分割レコードとは異なる通過者が登場したことによって、得られたものであると判定する。このため、推定部14は、第4分割レコードを削除している。
推定部14によって削除された第4分割レコード以外について考える。第1分割レコードから第3分割レコードの各々の傾きの符号の正負は同じであり、第5分割レコードから第7分割レコードの各々の符号の正負は同じである。また、第1分割レコードから第3分割レコードと、第5分割レコードから第7分割レコードとの符号の正負は異なる。この場合、推定部14は、一人の通過者は端末装置1aから遠ざかる方向へ移動し、一人の通過者は端末装置1aへ近づく方向に移動し、計二人が通過したと推定する。
実施形態の変形例では、一例として、端末装置1aが、一人又は二人を通過者として検出した場合について説明したが、この例に限られない。通過者が三人以上の場合についても適用できる。
ここでは、適用例として、通過数測定システム100aが、登山道等の道路幅が限定された屋外環境に適用される場合について説明したが、この限りでない。たとえば、通過数測定システム100が、登山道等の道路幅が限定された屋外環境に適用される場合についても適用できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0053】
1、1a、1b…端末装置、2…サーバー、10…動体検出部、11、11a…処理部、12…距離センサー部、13…演算部、14…推定部、15…記憶部、15a…通過者カウント情報、15c…設定情報、16…通信部、21…処理部、25…記憶部、25a…通過者関連情報、25b…端末情報、25c…設定情報、27…通信部、29…入出力部、100、100a…通過数測定システム