(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】レンチウイルス製造用無血清懸濁系
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20230125BHJP
C12N 15/64 20060101ALI20230125BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
C12N7/01
C12N15/64 Z
C12N15/867 Z
(21)【出願番号】P 2019517825
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 US2017054511
(87)【国際公開番号】W WO2018064584
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-29
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514078933
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ユー シン
(72)【発明者】
【氏名】デ モルラット デュ ジュ グザヴィエ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-533516(JP,A)
【文献】特表2015-515859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045600(US,A1)
【文献】Human Gene Therapy, 2011, Vol.22, pp.93-100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチウイルスベクター産生系であって、
a.細胞成長を制御するためのレンチウイルス培養補充物であって、アミノ酸及び糖源を含み、かつ約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kgの浸透圧を有するレンチウイルス培養補充物と、
b.カチオン性脂質、ならびに少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質を含む、脂質集合体と、
c.プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生亢進剤と、
d.293細胞と
を含み、
無血清である、前記レンチウイルスベクター産生系。
【請求項2】
前記カチオン性脂質がDHDMSを含む、請求項1に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項3】
前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質がDOPEを含むか、又はDOPEとコレステロールとを含む、請求項1に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項4】
前記293細胞が浮遊培養で成長するものであ
る、請求項1~3のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項5】
前記293細胞が高密度条件下での浮遊培養における成長に適応
されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項6】
前記293細胞
が293F細胞
である、請求項5に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項7】
前記293F細胞、またはそれに由来する細胞が、5日後以降の細胞死が20%未満で、約1×10
6~約20×10
6の密度で成長することができる、請求項6に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項8】
前記レンチウイルス培養補充物が、
ジペプチド、糖アルコール、および/または炭素源を更に含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項9】
前記レンチウイルス培養補充物がグルコースを含む、請求項1に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項10】
前記レンチウイルス培養補充物が、
a.鉱物および/または微量金属、および/または
b.ビタミンおよび/またはビタミン前駆体、
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項11】
前記レンチウイルス培養補充物が、約1%~約10%容積/細胞培養培地容積、または、約1%、3.5%、5%、もしくは10%容積/細胞培養培地容積での使用のためのものである、請求項1~10のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項12】
前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの浸透圧が、約500mOsm/kg~約700mOsm/kg、約550mOsm/kg~約650mOsm/kg、もしくは約575mOsm/kg~約625mOsm/kgである、および/または前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの濃度が、約85mg/ml~約115mg/ml、約90mg/ml~約110mg/ml、もしくは約95mg/ml~約105mg/mlである、請求項9に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項13】
前記レンチウイルス培養補充物が、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kg、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有するか、または約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、もしくは約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項14】
前記レンチウイルス亢進剤がバルプロ酸を含み、バルプロ酸が約0.5~1mMで含まれてもよい、請求項1~13のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生
系。
【請求項15】
プロピオン酸ナトリウムが約3~15mM、または約3~5mM、または約5~約8mMで含まれる、および/または酪酸ナトリウムが約1.5~3mM、または約1.5~2.5mM、または約2.5mM~3mMで含まれる、および/またはカフェインが約0.75~3mM、または約2~3mM、または約1~2mMで含まれる、請求項1~14のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項16】
前記レンチウイルス培養補充物の前記アミノ酸の各々が約0.1mg/ml~約8mg/mlの濃度を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系を使用することを含む、レンチウイルスベクター産生のための方法。
【請求項18】
レンチウイルスベクター産生のための方法であって、
a.無血清培地中で
293細胞を浮遊培養することと、
b.細胞成長を制御するためにレンチウイルス培養補充物を前記培地に提供することであって、前記補充物がアミノ酸と糖源とを含み、かつ約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、該提供することと、
c.カチオン性脂質と、少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質とを含むトランスフェクション試薬を用いて、前記
293細胞にレンチウイルスベクターをトランスフェクトすることと、
d.レンチウイルス産生を促進することができる、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生亢進剤を提供することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記
293細胞が、約1×10
6~約20×10
6個/mLの細胞密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記
293細胞が、
293F細胞
である、請求項18~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記レンチウイルス培養補充物が、前記培地の約1%~約10%容積/容積、または、前記培地の約1%、3.5%、5%、もしくは10%容積/容積で添加される、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記カチオン性脂質がDHDMSを含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質がDOPEを含むか、又はDOPEとコレステロールとを含む、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記レンチウイルス培養補充物が、細胞培養培地中の細胞播種の24~36時間後に添加される、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大規模無血清懸濁液中の新たなレンチウイルスベクター産生系。
【背景技術】
【0002】
近年、レンチウイルスベクターが遺伝子療法における遺伝子移入ベクターとしての使用について注目の的となってきた。現行の新世代療法の1つであるCAR-T細胞療法は、癌細胞を認識し殺滅するためにT細胞の表面上に遺伝子操作されたキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる効率的な遺伝子移入ツールとしてレンチウイルスベクターを採用する。それ故、前臨床および臨床研究者は、はるかに大規模で、高い力価の、動物無血清培地でのレンチウイルス産生を求めてきた。レンチウイルス産生は、CAR-T細胞療法を開発する高コストに寄与する。
【0003】
現行のレンチウイルス産生系は、フラスコまたは細胞工場における細胞成長を支持するためにウシ胎仔血清を必要とする接着細胞を主に使用する。この系は小規模での研究目的には適しているが、大型のインキュベーターや大型の細胞培養容器を必要とする大規模では適していない。接着細胞を培養することは操作者にとってより困難であり、大量のレンチウイルスベクターを産生するためには、費用を増大させるとともに、より多くの尽力を必要とする。
【0004】
カフェインは、血清ベースの培養系におけるレンチウイルスベクター産生を増強するためにすでに使用されていたが、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤である酪酸ナトリウムは、カフェインと同様に約50%しか作用しないことが示された。Ellis et al.,Creating Higher Titer Lentivirus with Caffeine,Human Gene Therapy 22:93-100(2011)。
【0005】
本発明者らは、無血清懸濁プラットフォームにおいて高力価でベクターを産生するための新たなレンチウイルス系を開発した。この技術は、新たな培地、新たな細胞、新たなトランスフェクション試薬、新たなレンチウイルス亢進剤、および精製されていないレンチウイルスベクターを4℃条件下で24~48時間安定化するための任意の安定化剤からなる良好な製造加工(GMP)試薬の新たに開発された妥当なセットを採用する。この新しい系により、約1.5E+08(TU/ml)の濃縮されていないレンチウイルスベクターを供給することができる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に従って、レンチウイルスベクター産生系は以下を含む。
細胞成長を制御するためのレンチウイルス培養補充物、
DHDMSと少なくとも1つのヘルパーおよび/または中性脂質とを含むトランスフェクション試薬、
プロピオン酸ナトリウムと、酪酸ナトリウムと、カフェインとを含むレンチウイルス産生増強剤。
【0007】
ここでレンチウイルスベクター産生系は無血清である。
【0008】
一部の実施形態において、少なくとも1つのヘルパーおよび/または中性脂質はDOPEを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つのヘルパーおよび/または中性脂質は、DOPEとコレステロールとを含む。
【0009】
一部の実施形態において、系は、懸濁293細胞、293F細胞、またはこれらの誘導体中のレンチウイルスの産生のために設計される。
【0010】
一部の実施形態において、293F細胞、またはそれに由来する細胞は、約1×106~約20×106の密度で成長することができ、5日後以降に20%未満の細胞死となる。
【0011】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、アミノ酸および/またはジペプチドと、糖源、糖アルコール、および/または炭素源とを含む。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物はアミノ酸とグルコースとを含む。
【0012】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1%~約10%で添加される。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物中の該グルコースの浸透圧は、約500mOsm/kg~約700mOsm/kg、約550mOsm/kg~約650mOsm/kg、約575mOsm/kg~約625mOsm/kgである。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物中のグルコースの濃度は、約85mg/ml~約115mg/ml、約90mg/ml~約110mg/ml、約95mg/ml~約105mg/mlの範囲である。
【0013】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kgの浸透圧、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有する。
【0014】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0015】
一部の実施形態において、DHDMSは約0.4~0.6mMで含まれる。一部の実施形態において、DOPEは、約0.2~0.5mM/mLで含まれる。一部の実施形態において、コレステロールは、0.1~0.6mM/mLで含まれる。一部の実施形態において、唯一のヘルパーおよび/または中性脂質はDOPEである。
【0016】
一部の実施形態において、レンチウイルス亢進剤はバルプロ酸を含む。一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムおよび/または酪酸ナトリウムは水溶液として提供される。一部の実施形態において、カフェインはレンチウイルス発現培地中に提供される。一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムは、約3~15mMで含まれる。一部の実施形態において、酪酸ナトリウムは、約1.5~3mMで含まれる。一部の実施形態において、カフェインは、約0.75~3mMで含まれる。一部の実施形態において、バルプロ酸は、約0.5~1mMで含まれる。
【0017】
一部の実施形態において、レンチウイルスベクター産生のための方法は、本明細書で説明する任意のレンチウイルスベクター産生系を使用することを含む。
【0018】
一部の実施形態において、レンチウイルスベクター産生のための方法は、無血清培地中で真核細胞を培養することと、細胞成長を制御するためのレンチウイルス培養補充物を提供することと、トランスフェクション効率を高めるためにDHDMS、DOPE、およびコレステロールを含むトランスフェクション試薬を用いて、細胞にレンチウイルスベクターをトランスフェクトすることと、レンチウイルス産生を増強することができるプロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含むレンチウイルス産生増強剤を提供することとを含む。
【0019】
一部の実施形態において、該培養真核細胞は、高密度条件下での成長に適応した浮遊培養物中にある。一部の実施形態において、細胞は、少なくとも約1×106~20×106個/mLの細胞密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する
【0020】
一部の実施形態において、本方法は、293細胞、293細胞の誘導体、293F細胞、または293F細胞の誘導体の培養のためのものである。
【0021】
一部の実施形態において、本方法は、約2.5×108TU/mlの非濃縮レンチウイルスベクターを産生することができる。いくつかの態様において、浮遊細胞培養物の容積は、約10mL~約5Lである。いくつかの態様において、細胞生存度は5日後以降に少なくとも80%である。
【0022】
さらなる目的および利点は、一部には以下の説明に記載され、一部には説明から明白になるか、または実践によって習得され得る。目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素および組合せによって実現および達成されることになる。
【0023】
前述の概要および以下の詳細な説明のいずれも、例示および説明に過ぎず、特許請求の範囲を制限するものではないことを理解されたい。
【0024】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、1つの(いくつかの)実施形態(複数可)を例解し、説明とともに、本明細書に記載の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aおよび
図1は、Bレンチウイルス産生における培養補充物の影響を示す。
図1A:ウイルス産生時に、培養培地は、種々の細胞密度で1%、5%、および10%のExpiCHO(商標)-Feed培養補充物を提供された。トランスフェクションの48時間後に、レンチウイルスベクターをそれぞれ収集し、力価を測定した。
【
図1B】
図1B:種々の量のExpiCHO(商標)-Feed補充物の存在下で浮遊細胞の生存度を監視した。
【
図2A】
図2Aおよび
図2Bは、新たなトランスフェクション試薬のスクリーニングを示す。
図2A:JMP(登録商標)Design of Experiments(DoE)で設計した新たなトランスフェクション試薬を、本実験でスクリーニングした。合計12の候補を設計し、12の新たなトランスフェクション試薬のうちの8を次のDoE実行のために選択した。
【
図2B】
図2B:いくつかのよりJMP(登録商標)で設計したDoE実験を実施した(データ非表示)。性能および配合組成に基づいて12の試薬を選択した。
【
図3A】
図3A~
図3は、Cレンチウイルス亢進剤の同定を示す。新たなレンチウイルス亢進剤リードを同定するためのベークオフ実験を、DoEのためのJMP(登録商標)ソフトウェアを使用することによって設計した。
図3A:対照レンチウイルス亢進剤を含む32の候補を検査した。
【
図3B】
図3B:2つのDoE亢進剤実験からの、JMP(登録商標)による分析、および予測プロファイラグラフを示す。
【
図3C】
図3C:2つのDoE亢進剤実験からの、JMP(登録商標)による分析、および予測プロファイラグラフを示す。
【
図4】レンチウイルス産生系の比較からの結果を提供する。具体的には、異なるトランスフェクション試薬を用いたレンチウイルスベクター1mlあたりの力価、レンチウイルス培養補充物の有無、レンチウイルス亢進剤の有無、および酪酸ナトリウムの有無を示す。
【
図5】無血清大規模懸濁レンチウイルス産生プロトコルの一実施形態を提供する。
【
図6】実施例6のレンチウイルス力価の測定における使用のための4ウェル×4ウェルパターンを提供する。
【
図7】実施例7に対応するレンチウイルス浮遊細胞培養の流れ図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
I.レンチウイルス産生系
A.細胞
本明細書で使用される「細胞」という用語は、あらゆる種類の真核生物および原核生物細胞を指し、それらを含む。一部の実施形態において、この用語は、真核細胞、特に哺乳類動物細胞を指す。ある特定の例示的であるが非限定的な実施形態において、「細胞」という用語は、ヒト胚腎(HEK)細胞もしくはヒト293細胞、または例えば懸濁液中で成長することができる293変異体のような、その変異体を指すことを意味する。一部の実施形態において、浮遊培養において成長し、増殖し、トランスフェクトすることができる293細胞の変異体、特に、高密度(例えば、≧約2×106個/ml、より大きな≧約3×106個/ml、または場合により≧約4×106個/mlもしくは約20×106個/ml)で培養することができる当該変異体である。このような変異体の例は、EXPI293(商標)F細胞などの293F細胞である。
【0027】
一部の実施形態において、細胞を培養しトランスフェクションの作業の流れを行う背景で使用されるときの「高密度」という用語は一般的に、高い効率でトランスフェクトされる能力をなおも保有しながら、約1×106個/ml以上、約2×106個/ml以上、約3×106個/ml以上、またはさらには任意で約4×106個/ml以上、または約20×106個/ml以上の密度まで適切な細胞培養培地中で成長するまたは培養されることができ、高レベル(例えば、200μg/ml以上、最大で約1mg/mlのレベル)で標的タンパク質を発現することができる、既知の細胞株、または既知の細胞株の変異体を指す。
【0028】
一部の実施形態において、細胞は、高密度細胞培養に適応している。これは、約80%またはそれを上回る細胞生存率を維持しながら、高密度培養培地において高密度で成長するように適応した細胞系列または同じ親細胞系列由来の(非クローン)細胞集団を指す。かかる細胞は、約40、50、60、70、または80以上の連続継代にわたって高密度で細胞を維持し、成長培地の割合を所望の高密度培養培地に徐々に置き換えることによって、細胞の親集団から単離されるか、または選別され得る。任意に、プロセス中、異なるプールの細胞は個々に伝播され、選択手順を経てもよく、それと同時にトランスフェクション効率およびまたはレンチウイルスベクター産生効率を評価し、その結果、高密度で持続および成長し、高効率でトランスフェクトされ、高レベルの所望の組換えタンパク質を発現することができる細胞の非クローン集団が選択され得る。様々な細胞型および系列がこの選択手順を経ることができることは当業者には容易に明らかであろうが、293線維芽細胞由来の細胞系列が高密度成長条件に適応するための選択プロセスに特に適していることが決定された。一部の場合には、高密度成長培養に適応し、本明細書の使用に適している細胞は、高効率でトランスフェクトされることもでき、かつ/または少なくとも約200μg/mLを超過する細胞培養から最大で約2mg/mLの細胞培養、より典型的には約500μg/mlの細胞培養から約1mg/mLの細胞培養という収量で組換えタンパク質を発現することもできる。いくつかのシナリオにおいて、高密度成長培養に適応し、本明細書での使用のために受け入れられる細胞はまた、高い効率でトランスフェクトすることができ、約1×106~約20×106個/ml、約2×106~約2×106個/ml、または約2.5×106~約6×106個/mlの範囲の密度で持続およびトランスフェクトすることができる。一部の実施形態において、細胞は、高密度培養に適応し得、約1×106~約20×106、約1×106~約4×106、約1×106~約3×106、約1×106~約2×106の範囲の密度でトランスフェクトされ得る。
【0029】
一部の実施形態において、細胞は浮遊培養で成長する。これは、培養槽中の細胞の大部分またはすべてが浮遊状態で存在し、培養槽中の細胞の少数が槽の表面または槽内の別の表面に接着するか、またはいずれも接着しない、細胞培養を意味する。一部の実施形態において、浮遊培養は、培養槽中の細胞の約75%以上が浮遊状態であり、培養槽上の表面または培養槽に接着しない。一部の実施形態において、浮遊培養は、培養槽中の細胞の約85%以上が浮遊状態で存在し、培養槽上の表面または培養槽に接着しない。一部の実施形態において、浮遊培養は、培養槽中の細胞の約95%以上が浮遊状態で存在し、培養槽上の表面または培養槽に接着しない。
【0030】
レンチウイルスベクター産生系は、293F細胞、またはそれに由来する細胞が、5日後以降に20%未満の細胞死を伴いながら、約1×106~約20×106の密度で成長することができることを可能にする。
【0031】
B.レンチウイルス培養補充物
レンチウイルス産生系は、レンチウイルス培養補充物を含む。レンチウイルス培養補充物は、産生時間中に細胞成長を遅延させ、レンチウイルスベクター産生の最大産生を可能にしながら細胞成長を制御するのに役立ち、トランスフェクトされていない細胞によって「貪食される」ウイルスを最小限にする。
図1Aおよび
図1Bを参照されたい。
【0032】
ある特定の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、場合によりグルコースとアミノ酸とを含む細胞培養フィードを含む。1つの例示的な細胞培養補充物、またはフィードは、CTS(商標)LV-MAX(商標)であるのに対し、別の例示的な細胞培養補充物、またはフィードは、ExpiCHO(商標)フィード(ExpiCHO(商標)Expression SystemにおけるThermo Fisher Scientificの製品)である。
【0033】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、アミノ酸と、ジペプチドと、糖源と、糖アルコールと、炭素源とを含む。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、鉱物および/もしくは微量金属、ならびに/またはビタミンおよび/もしくはビタミン前駆体をさらに含む。
【0034】
一部の実施形態において、ジペプチドは、L-アラニル-L-システインおよびL-アラニル-L-チロシンが含まれる。一部の実施形態において、アミノ酸は、任意のアミノ酸または任意の必須アミノ酸を含む。一部の実施形態において、「アミノ酸」という用語は、アミノ酸またはそれらの誘導体(例えば、アミノ酸類似体)、ならびにそれらのD形態およびL形態を指す。かかるアミノ酸の例としては、グリシン、L-アラニン、L-アスパラギン、L-システイン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-フェニルアラニン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-リジン、L-ロイシン、L-グルタミン、L-アルギニン、L-メチオニン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、およびL-バリン、N-アセチルシステインが挙げられる。一部の実施形態において、培養補充物に含まれるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、および/またはバリンが挙げられる。一部の実施形態において、糖源、糖アルコール、および炭素源は、D-グルコース、i-イノシトール、およびピルビン酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、補充物はグルコースを含む。
【0035】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は表1に列挙された成分を含む。
【表1】
【0036】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1%から約10%で添加される。一部の実施形態では、レンチウイルス培養補充物は約1%、3.5%、5%、または10%で添加される。一部の実施形態では、レンチウイルス培養補充物は約3.5%で添加される。
【0037】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物はグルコースを含み得る。一部の実施形態において、該レンチウイルス培養補充物中のグルコースの浸透圧は、約500mOsm/kg~約700mOsm/kg、約550mOsm/kg~約650mOsm/kg、約575mOsm/kg~約625mOsm/kgであり得る。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物中のグルコースの濃度は、約85mg/ml~約115mg/ml、約90mg/ml~約110mg/ml、約95mg/ml~約105mg/mlであり得る。
【0038】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、複数のアミノ酸を含み得、各アミノ酸は、約0.1mg/ml~約8mg/mlの濃度を有し得る。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kgの浸透圧、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有し得る。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有し得る。
【0039】
一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kgの浸透圧、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有する。一部の実施形態において、レンチウイルス培養補充物は、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0040】
C.トランスフェクション試薬
レンチウイルス産生系は、細胞への巨大分子の侵入を容易にするトランスフェクション試薬または組成物も含む。一実施形態において、トランスフェクション試薬は、「脂質凝集体」としてカチオン性脂質と1つ以上の中性/ヘルパー脂質とを含む。
【0041】
一部の実施形態において、脂質凝集体には、少なくとも第1のカチオン性脂質と、任意に少なくとも第1の中性脂質とが含まれてもよく、該脂質凝集体は、水溶液条件下で核酸とのカチオン性複合体を形成するのに好適であり、該カチオン性脂質は、以下の構造
【化1】
(式(I))、およびその塩を有し、式中、
R
1およびR
2は、独立して、8~30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、
8~30個の炭素原子を有し、アルコール、アミノアルコール、アミン、アミド、エーテル、ポリエーテル、エステル、メルカプタン、アルキルチオ、もしくはカルバモイル基のうちの1つ以上で任意に置換されたアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であるか、またはR
1が-(CH
2)
q-N(R
6)
tR
7R
8であり、
R
3およびR
4は、独立して、水素、または8~30個の炭素原子を有し、アルコール、アミノアルコール、アミン、アミド、エーテル、ポリエーテル、エステル、メルカプタン、アルキルチオ、もしくはカルバモイル基のうちの1つ以上で任意に置換された、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
5~R
8は、独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
9は、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、炭水化物、またはペプチドであり、
r、s、およびtは、1または0であり、示されるR基の存在または不在を示し、r、s、またはtのうちのいずれかが1である場合、示されるR基が結合する窒素は、正に荷電しており、r、s、またはtのうちの少なくとも1つが1であり、
qは、1~6の範囲の整数であり、
X
v-は、アニオンであり、vはアニオンの価数であり、Aはアニオンの数であり、
Lは、(CH
2)
nであり、式中、nは、1以上10以下の範囲の整数であり、これは、1つ以上のZR
10基で任意に置換され、ZはOまたはSであり、R
10は、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、あるいは
{-(CH
2)
k-Y-(CH
2)
m}
p-であり、kおよびmは、独立して、1以上10以下の範囲の整数であり、pは1以上6以下の範囲の整数であり、Yは、O、S、CO、COO、CONR
11、NR
11CO、またはNR
11COR
11Nであり、R
11は、いずれの他のR
11からも独立して、水素またはアルキル基であり、
R
1~R
10のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の1つ以上のCH
2基は、O、S、S-S、CO、COO、NR
12CO、NR
12COO、またはNR
12CONR
12で置き換えられてもよく、R
12は、いずれの他のR
12からも独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
1~R
12のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、1つ以上のOR
13、CN、ハロゲン、N(R
13)
2、ペプチド、または炭水化物基で任意に置換され、R
13は、他のR
13から独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
3およびR
4のうちの少なくとも1つは、アルキル基として存在する場合、OR
13およびN(R
13)
2基のいずれでも置換される。
【0042】
一実施形態では、カチオン性脂質は、以下の構造式によるDHDMS(ジヒドロキシ-ジミリスチルスペルミン四塩酸塩)である。
【化2】
【0043】
一部の実施形態では、中性脂質(またはヘルパー)は、DOPE、コレステロール、またはDOPCから選択され得る。一実施形態において、中性脂質は、コレステロール、DOPE、またはDOPCのうちの1つであり得る。ある実施形態において、中性脂質は、コレステロールである。ある実施形態において、中性脂質は、DOPEである。ある実施形態において、中性脂質は、DOPCである。一部の実施形態において、2つの中性脂質、例えば、DOPEおよびコレステロールが採用される。一部の実施形態において、ただ1つの中性脂質が採用される。
【0044】
一部の実施形態において、トランスフェクション試薬は、DHDMSと、DOPEと、コレステロールとを含む。一部の実施形態において、トランスフェクション試薬であるDHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は、約0.4~0.65mMのDHDMS、約0.1または0.125~0.25のDOPE、および約0.2~0.4または0.375のコレステロールの範囲である。一部の実施形態において、トランスフェクション試薬であるDHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は、約0.45~0.55mMのDHDMS、約0.1~0.25のDOPE、および約0.3~0.4コレステロールの範囲である。一部の実施形態において、トランスフェクション試薬であるDHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は、約0.475~0.5mMのDHDMS、約0.1~0.125DOPE、および約0.325~0.35のコレステロールの範囲である。一部の実施形態において、トランスフェクション試薬であるDHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は、約0.5~0.525mMのDHDMS、約0.125~0.15のDOPE、および約0.35~0.375のコレステロールの範囲である。トランスフェクション試薬は、高い細胞密度での複数のプラスミドの送達に適している。
図2A~
図2Dを参照されたい。
【0045】
一部の実施形態において、DHDMSは、約0.4~0.65mMで含まれる。一部の実施形態において、DOPEは、約0.05~0.5mM/mLで含まれる。一部の実施形態において、コレステロールは、0.1~0.6mM/mLで含まれる。
【0046】
一部の実施形態において、DHDMSおよびDOPEが含まれる。一部の実施形態において、DHDMS:DOPEの比は約0.6:0.4~0.7:0.3の範囲である。一部の実施形態において、DHDMS:DOPEの比は約0.625:0.375~0.675:0.325の範囲である。一部の実施形態では、DHDMS:DOPEの比は約0.6:0.4~0.625:0.375の範囲である。
【0047】
一部の実施形態において、DHDMS:DOPE:コレステロールの比(任意のゼロ量を含む)は、表2のものから選択してもよく、すべての数は「約」で修飾されるものと見なされる。他のヘルパーおよび/または中性脂質は、DOPEおよび/またはコレステロールに置換することができる。
【表2】
【0048】
一部の実施形態において、DHDMS:DOPE:コレステロール(任意のゼロ量を含む)のモル比は表2、表5または表6から選択され、すべての数は「約」によって修飾されているものとみなされる。
【0049】
一部の実施形態において、DHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は、表5由来の実行番号1×R3、1×R4、1×R6、1×R7、1×R9、1×R10、1×R11、1×R12、または表6由来の2b×R13もしくは2b×R14から選択される。
【0050】
いくつかの態様においておよび本節における先行段落において考察された比のいずれかへ任意に適用されて、DHDMS:DOPE:コレステロールのモル比は合計1.0になり、DHDMSモル比は約0.4~0.6の範囲であり、DOPEモル比は約0.2~0.5の範囲であり、コレステロールモル比は約0.1~0.6の範囲である。例えば、DHDMSが0.5のモル比であり、DOPEが0.2のモル比である場合、コレステロールモル比は、モル比が合計1.0になるように0.3である。
【0051】
D.レンチウイルス産生増強剤
レンチウイルス産生系は、レンチウイルス産生増強剤も含む。レンチウイルス産生増強剤は、プロピオン酸ナトリウムと、酪酸ナトリウムと、カフェインとを含む。
【0052】
一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムおよび/または酪酸ナトリウムは水中で提供される。一部の実施形態において、カフェインは、Expi293(商標)発現培地のような細胞培養発現培地中に提供される。一部の実施形態において、カフェインは、終濃度40mMまで培地中に溶解してもよい。
【0053】
一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムは、約7.5~15mMで含まれる。一部の実施形態において、酪酸ナトリウムは、約1.5~3mMで含まれる。一部の実施形態において、カフェインは、約0.75~3mMで含まれる。
【0054】
一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムは、約3~約5mMで含まれる。一部の実施形態において、プロピオン酸ナトリウムは、約5~8mMで含まれる。一部の実施形態において、酪酸ナトリウムは、約1.5~2.5mMで含まれる。一部の実施形態において、酪酸ナトリウムは、約2.5~3mMで含まれる。一部の実施形態において、カフェインは、約2~3mMで含まれる。一部の実施形態において、カフェインは、約1~2mMで含まれる。
【0055】
一部の実施形態において、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインの量はそれぞれ、表3に提供されている量から選択してもよく、すべての数は「約」によって修飾されているとみなされる。
【表3】
【0056】
一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤成分は、表3、表7、または表8にある成分のいずれかから選択され、すべての数字は「約」によって修飾されているとみなされる。一部の実施形態において、増強剤成分は、表7の実行1×R5、1×R6、1×R13、1×R14、1×R15、1×R16、1×R17、1×R18、1×R19、1×R22、1×R26、1×R27、1×R29、1×R30、または1×R31における成分のうちのいずれかから選択される。
【0057】
一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、バルプロ酸を任意に含む。一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、バルプロ酸を含んでいない。一部の実施形態において、バルプロ酸は、約0.5~1mMで含まれ得る。
【0058】
一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、トランスフェクションの約48時間後まで、トランスフェクション時(約0時間)のような1つまたは1つを超える時点で添加される。レンチウイルス産生増強剤は、レンチウイルスベクターの細胞パッケージングを促進するためにトランスフェクションの約16時間後に添加してもよい。一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、トランスフェクション時に添加されることがある。一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、トランスフェクション時およびトランスフェクション約16時間後に添加されることがある。一部の実施形態において、レンチウイルス産生増強剤は、トランスフェクションの約10~16時間後に添加されることがある。
【0059】
E.細胞培養培地
レンチウイルス産生系細胞を培養するために種々の細胞培養培地を使用してもよい。無血清培地はしばしば研究者によって望まれている。先の第I.Aにおいて先に説明した細胞の成長を支持する任意の無血清培地を使用してもよい。培地はまた、無タンパク質であってもよい。
【0060】
「無血清培地」(「SFM培地」とも称される場合がある)は、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、子ウシ血清、ウマ血清、ヤギ血清、ヒト血清など)を含有しない培地であり、一般的に、SFMという文字で表される。「無タンパク質」培養培地という句は、タンパク質を含有しない(例えば、血清アルブミンもしくは接着因子などの血清タンパク質、成長因子などの栄養素タンパク質、またはトランスフェリン、セルロプラスミンなどの金属イオンキャリアタンパク質のない)培養培地を指す。一部の実施形態において、ペプチドが存在する場合、ペプチドは、より小さいペプチド、例えば、ジペプチドまたはトリペプチドである。一部の実施において、デカペプチド長以上のペプチドは、無タンパク質培地中に存在するアミノ酸の約1%以下、約0.1%以下、および約0.01%以下である。
【0061】
一部の実施形態において、細胞培養培地は、Expi293(商標)発現培地(Thermo Fisher Scientificカタログ番号A14351-01)である。この培地は、293細胞の高密度浮遊培養およびトランスフェクションのために特別に開発された、化学的に定義された特殊な培地であり、ヒトまたは動物起源の生成物を含有していない。Expi293(商標)発現培地には、GlutaMAX(商標)-I試薬が配合されている。懸濁成長およびトランスフェクションの適用のために、この培地はいかなる補充もなしに使用してもよい。さらに、抗生物質は必要ないが、有益なときにペニシリン、ストレプトマイシン、およびアムホテリシンBを含有する5mL/Lの抗生物質-抗真菌剤(Thermo Fisher Scientificカタログ番号15240)を使用してもよい。
【0062】
一部の実施形態において、約80%を超える当該細胞の生存度を維持し、当該浮遊細胞が効率的にトランスフェクトされ、多量の組換えタンパク質を発現する能力を維持しながら、最大約2×107個/mlの細胞密度で、哺乳類細胞、一部の実施形態において、懸濁液中で成長する細胞の成長を持続させることができる任意の培養培地を含む高密度培養培地が使用され得る。使用される高密度培養培地は、異なる用途および使用によって異なってもよく、使用される細胞系の性質、一過的に発現される所望のタンパク質、発現ベクターの細胞内への移入のために選択されたトランスフェクションモダリティの性質、ならびに以下に記載される系に添加される任意の発現亢進剤の量および性質に依存し得る。それにもかかわらず、本一過性発現系および方法に使用するために企図される高密度培養培地は、典型的には、無血清、無タンパク質であり、浮遊細胞を最大約2×107細胞/ml、より典型的には約2×106細胞/ml~約1×107細胞/mlの密度に増殖および成長させることを可能にし、さらに一過性発現系において産生されたタンパク質の収量が少なくとも200μg/mLの細胞培養から最大2mg/mLの細胞培養の、より典型的には約500μg/mlの細胞培養~約1mg/mLの細胞培養を超過することを可能にする。一部の実施形態において、使用される高密度培養培地は、約1×106~約20×106個/ml、約2×106~約2×106個/ml、または約2.5×106~約6×106個/mlの範囲の密度の細胞のトランスフェクションを容易にするであろう。
【0063】
本明細書で使用するのに好適な例示的な高密度培養培地としては、HuMEC基礎無血清培地、KNOCKOUT(商標)CTS(商標)XenoFREE ESC/iPSC培地、STEMPRO(商標)-34 SFM培地、STEMPRO(商標)NSC培地、ESSENTIAL(商標)-8培地、培地254、培地,106、培地,131、培地,154、培地,171、培地171、培地200、培地231、HeptoZYME-SFM、ヒト内皮-SFM、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、培地154CF/PRF、培地154C、培地154 CF、培地106、培地200PRF、培地131、Essential(商標)-6培地、STEMPRO(商標)-34培地、Gibco(登録商標)アストロサイト培地、AIM V(登録商標)培地CTS(商標)、AMINOMAX(商標)C-100基礎培地、AMINOMAX(商標)-II完全培地、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO-S-SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、SF-900(商標)培地、EXPI293(商標)発現培地、LHC基礎培地、LHC-8培地、293 SFM培地、CD 293培地、AEM成長培地、PER.C6(登録商標)細胞培地、AIM V(登録商標)培地、EXPILIFE(登録商標)培地、Keratinocyte-SFM培地、LHC培地、LHC-8培地、LHC-9培地、およびそれらの任意の派生物または修飾物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の非限定的な実施形態において、高密度培養培地は、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO-S-SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、EXPI293(商標)発現培地、もしくは同様の培地、またはそれらの修飾形態であってもよい。上に列記される例示的な高密度培養培地は、293細胞、293細胞変異型、または高密度培養系における使用に適応した任意の他の細胞の高密度成長、伝播、トランスフェクション、および維持に特に好適であり得る。
【0064】
F.レンチウイルスプラスミド
種々のレンチウイルスプラスミドを本方法において使用してもよい。例えば、1以上のレンチ発現(移入)プラスミド、pLenti6.3/V5-GW/EmGFP、およびレンチパッケージングプラスミド、ViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックスを使用してもよい。#277.pCCLsin.cPT.hPGK.eGFP、Wpre(277-eGFP)を含む他のレンチウイルスベクターを使用してもよい。他の非限定的なレンチウイルスプラスミドも使用してもよい。
【0065】
組込みレンチウイルスベクターおよび組込み欠損レンチウイルスベクターの両方を使用してもよい(それぞれ、ICLVおよびIDLV)。
【0066】
無血清大規模懸濁レンチウイルス産生プロトコルを
図5に示す。これは、本明細書に記載のレンチウイルス産生系を使用する方法の一実施形態である。
【0067】
本発明の無血清懸濁LV産生系は、使いやすく、規模拡大可能であり、非常に効率的である。この系は、従来の方法よりも10倍多くのレンチウイルスベクターを産生することができる。本系およびトランスフェクション試薬は、レンチウイルス発現およびパッケージングベクターを無血清懸濁成長細胞へと高い細胞密度で効率的に送達することができる。また、培養補充物は、最大量のレンチウイルス粒子を産生するために、細胞を対数期中期に維持する。したがって、この系およびその構成要素の利点には、単純さ、培養物の均一性、高いレンチウイルス力価産生、規模拡大の容易さ、およびレンチウイルス産生系の密封自動化の実現可能性が含まれる。
【0068】
II.レンチウイルス産生系における使用のための方法
A.第1のレンチウイルス産生系
レンチウイルス浮遊細胞培養についての以下の指針に従い得る。細胞は、標準的なレンチウイルス浮遊細胞培養プロトコルによって成長させ得る。細胞は、およそ4×106~5×106個/mLの生細胞密度に到達すると、通常は3~4日ごとに、継代培養し得る。細胞は、約3日間または4日間の培養の後、0.3×106~0.6×106個の細胞に分裂させ得る。細胞成長は、毎日同じ時刻に毎日細胞を計数することによって監視し得る。細胞倍加時間は約24時間である。解凍日から2週間後、細胞はレンチウイルス産生の準備ができている。細胞培養の間、楕円軌道振盪器を125mLから1Lの振盪フラスコについて約125rpmで使用し得る。インキュベーターは、約37℃、約8%のCO2、および約75~80%の湿度へ設定し得る。培養培地は使用前に約37℃の水浴中で加温し得る。
【0069】
試薬および方法
・125mLポリカーボネート製の使い捨ての滅菌した換気性Erlenmeyer振盪フラスコ、
・15mLの滅菌コニカルチューブ、
・50mLの滅菌コニカルチューブ、
・Opti-MEM(登録商標)I培地、
・レンチ発現(移入)ベクター:pLENTI6.3/V5-GW-EmGFP、
・レンチパッケージングミックス:ViraPowerレンチウイルスパッケージングミックス。
・レンチウイルス浮遊細胞
・レンチウイルス培養補充物
・レンチウイルストランスフェクション試薬
・レニットウイルス亢進剤
【0070】
細胞が金曜日の朝に0.6×106個/mLの細胞数に分裂する場合、当該細胞は1Lフラスコ中で約250mLの培養培地で3日間培養され得る。例えば、月曜日の午前10時ちょうどに、細胞を計数することによって細胞が調製され、約4.5×106個/mLの細胞密度が予想され得る。細胞を新たに加温した培養培地で3.0×106個/mLに希釈し、さらに30時間培養し得る。
【0071】
トランスフェクションは、例えば火曜日の午後4時ちょうどに実施され得る。細胞は、予想される約5.5~6.0×10
6個/mLと計数され得る。表4は、追加のトランスフェクション指針を提供する。
【表4】
【0072】
火曜日の午後に、細胞をレンチウイルス補充物とともに播種することができる。30mLのトランスフェクションが選択される場合、17.5mL中105×106個/mLのような高密度細胞を用いて実施され得る。3.5%のレンチウイルス培養補充物を添加することができ、それは30mLのトランスフェクションで1.5mLになるだろう。新鮮な加温培養培地を使用して全容積を25.5mLにすることができる(1.05mLのレンチウイルス培養補充物および17.5mLの細胞懸濁液を使用したため、6.95mLの新鮮培地)。総容積30mLを達成するためにさらに4.5mLをDNA/試薬複合体から添加してもよい。
【0073】
DNA/トランスフェクション試薬は次のように調製することができる。2本のチューブにはTube-1とTube-2と標識され得る。Tube-1:2.25のOpti-MEM(登録商標)I培地と150μLのレンチウイルストランスフェクション試薬を混合し、室温で約5分間インキュベートし得る。チューブ2:2.25mLのOpti-MEM(登録商標)I培地を45μg(μL)のViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックス(ViraPower1μg/μL)および30μg(μL)のpLenti6.3/V5-GW/EmGFPプラスミド(pLenti発現ベクター1μg/μL))と混合され得る。Tube-1およびTube-2は、Tube-2溶液をTube-1に混合しながら添加することによって組み合わせられ得る。
【0074】
複合体溶液を室温で10分間インキュベートしてもよい。10分のインキュベーション後、調製した細胞に4.5mLのDNA/試薬複合体を添加することができる。
【0075】
翌日(水曜日の午前9時ちょうど)、フラスコにLV Enhancerを1.2mL添加する。
【0076】
トランスフェクションの48時間後(木曜日の午後、午後4時)に、50mLの滅菌コニカルチューブにLVVを採取し、室温で10分間、3000rpmで細胞をスピンダウンする。上清を回収し、再度3000rpmで10分間遠心する。上清を回収し、0.45μMフィルターでろ過する。
【0077】
ウイルスを回収した後にpHを調整するために、回収した上清にレンチウイルス安定化剤を任意に添加する。レンチウイルス安定化剤は、任意に、収集した上清の約1%(約300μL)として添加され得る。一部の状況において、ウイルスを安定化させるために産生系のpHが約5~8に調整される。
【0078】
翌日の精製のために4℃でレンチウイルスベクターを保存し、次のように、レンチウイルスベクターの連続希釈でHt1080細胞を感染させることによってウイルス力価を測定する。
【0079】
レンチウイルス力価(GFP+)の測定は、次のように実施され得る。
【0080】
材料:
・レンチウイルス:細胞上清または濃縮レンチウイルスベクターを集める。
・細胞株:HT1080。
・培養培地:Gibco(登録商標)DMEM高グルコース、GlutaMAX(商標)補充物、ピルビン酸+10%FBS。
・Polybrene(登録商標)(原液):滅菌H2O中100mg/mL(Fisher Scientific NCO663391)、および
・希釈用Costar96ウェル丸底プレート(Fisher Scientific 05539200)。
【0081】
1日後(午前)に、高処理量フロー分析のために96ウェルプレートフォーマットを使用してレンチウイルス力価の測定を開始する。午前11時ちょうどの午前中に、100μLの培地中に7000個/ウェルの細胞密度でHT1080細胞を96ウェルプレートに播種する(感染時に約30%コンフルエント)。
【0082】
午後4時ちょうどの午後に、次のように新鮮なウイルス希釈液を調製する。(A)15mLの新しい培地と12μLの10mg/mL Polybrene(登録商標)(最終濃度8μg/mL)を組み合わせる。十分にボルテックスにかけて組み合わせる。(B)ウイルスあたりの試料、4ウェル×4ウェルのパターンで96ウェル丸底プレートの16ウェルに(A)で調製した培地135μLを加える(
図6を参照されたい)。(C)第1行目の各ウェルに15μLのレンチウイルス上清試料(または濃縮ウイルス一定分量)を添加する(各ウェルの総容量150μL)。(D)ピペットを用いて十分に混合する(1:10)。(E)15μLを第1行目から第2行目に移すことによって第1行目の連続希釈を実施し(利用可能な場合、多重チャネルピペットを用いる)、十分に混合し(1:100)、第2行目から第3行目まで15μLを移して十分に混合し(1:1000)、第3行目から第4行目まで15μLを移し、十分に混合する(1:10,000)。ウイルスが濃縮された場合、さらに希釈する必要があり得る。
【0083】
細胞を感染させるために、HT1080細胞から播種培地を除去し、(利用可能な場合は多重チャネルピペットを使用して)調製した希釈液100μLを各対応するウェルへ移すことによって感染させる。96ウェル感染細胞プレートを室温で30分間、2000rpmで回転させ、感染細胞プレートを一晩インキュベートする。
【0084】
2日後(午前)に、ウイルスを含有する培地を除去し、新鮮なHT1080培養培地(Polybrene(登録商標)なし)と置き換え、細胞をさらに3日間インキュベートし、GFP陽性細胞の%を解析する(フローサイトメトリー分析を使用してもよい)。
【0085】
TU/mL単位で力価を計算するために、%GFP陽性度に基づいて使用する適切な希釈係数を決定する。1~20%の所望の感染範囲を使用してもよい。
【0086】
力価は次の式から計算され得る。
力価=[F*C/V]*D
F=GFP+細胞の頻度(%GFP+細胞/100)
C=形質導入時のウェルあたりの細胞数(7000個)
V=接種量(mL)(0.1mL)
D=レンチウイルス希釈係数。
【0087】
A.第2のレンチウイルス産生系プロトコル
第2のレンチウイルス産生系プロトコルは次のように実施され得る。
【0088】
材料
・125mL、250mL、500mL、1Lポリカーボネート製の、使い捨ての、滅菌済みの、ベントアップ振盪フラスコ
・温度37℃、8%CO2、および75~80%の湿度制御されたインキュベーターの中の楕円軌道振盪器
・細胞生存度を測定するための装置と試薬
【0089】
プロトコル概要
・解凍および回収:3~4日
・継代培養:3~4日ごと
・使用前に培地を37℃に加温
・楕円軌道振盪器速度:125mL~1Lの振盪フラスコにつき125rpm
【0090】
成長特性:特殊培養培地中での高密度懸濁成長
【0091】
細胞倍加時間:
・倍加時間(DT):約24時間
・計算式:DT=T×LN(2)/LN(Xe/Xb)
・T:細胞培養時間(時)
・Xe:終了時の細胞密度
・Xb:開始時の細胞密度
【0092】
生存度を確認するために、細胞が損なわれていないことを確認するために最初の3~4日間の細胞成長および生存度を監視する。解凍24時間後に、生存度は80%まで下落することがあるが、70%を下回ってはいけない。解凍後3~4日後までに、生存度は90~95%にならなければならない
【0093】
継代培養条件
図7は、培養細胞に従うことができるレンチウイルス浮遊細胞培養の流れ図を提供する。継代培養のために、一部の実施形態では、細胞は5×10
6個/mLを超えて成長するべきではない。継代番号40の後に細胞を廃棄することができる。
【0094】
細胞培養の規模拡大細胞は振盪器、スピナーフラスコまたはバイオリアクターで規模拡大してもよい。培養系に最適な振盪器、スピナーまたはインペラの速度と播種密度を決定する。一部の実施形態において、細胞は継代培養のために0.3x106~0.6x106個の生細胞/mLで播種すべきである。最適な振盪器速度は125mL~1Lの振盪フラスコに対しておよそ125rpmであり、Celligen(登録商標)撹拌タンクバイオリアクターにおける最適インペラ速度は70~100rpmである。
【0095】
考慮すべき指針細胞をトランスフェクション実験に使用する前に、細胞を解凍から回収させるために最低3回継代培養する。最良の挙動のために、細胞密度を3~5×106個/mLで維持する。本発明者らは、250mLまたは500mLのポリカーボネート製の、使い捨ての滅菌Erlenmeyer振盪フラスコ中に細胞を維持することを推奨する。細胞懸濁の作業容積は、振盪フラスコの大きさの30~40%である。例えば、500mLの振盪フラスコでは、作業容積は150mL~200mLである。ガラスフラスコを使用してもよいが、潜在的な毒性を避けるために各使用後にそれらを徹底的にきれいにする。
【実施例】
【0096】
実施例1.細胞培養
LV浮遊細胞を、細胞培養インキュベーター(37℃、8%CO 2、70~80%湿度)で、125rpmで楕円軌道振盪器の上で、30%~40%の振盪フラスコの大きさの容積のポリカーボネート製の使い捨て滅菌Vent-up振盪フラスコ(125mL~1L)中で培養した。細胞を3~4日ごとに分裂させ、密度は4~5×106/mLの間にした。
【0097】
実施例2:レンチウイルス産生実験
開発の必要性に基づき、レンチウイルス(LV)産生実験を2つのフォーマット、すなわち、96ウェルプレートおよび125mL振盪フラスコをそれぞれ1mLおよび30mL培養容積で実施した。細胞密度は4×106/mLとした。レンチウイルスベクター(LVV)を、同時トランスフェクションレンチ発現(移入)プラスミド(pLenti6.3/V5-GW/EmGFP)およびレンチパッケージングプラスミド(ViraPowerレンチウイルスパッケージングミックス)によって充填し、全DNAは3μg/mLとした。Opti-MEM(登録商標)Iを、トランスフェクション試薬およびDNA希釈物の両方について、7.5μL/mLのDNA/試薬複合体形成培地とし、全複合体容積は150μl/mLとした。複合体形成時間は10~20分とした。Expifectamine(商標)293は、LV補充物およびLV亢進剤の開発におけるトランスフェクション試薬であり、量は5~8ul/mLの間で種々であった。5%LV培養補充物を発生実験全体に含めた。本明細書に記載の発生の前に、5mMカフェインをLV亢進剤として先に使用し、トランスフェクション16~18時間後に添加した。トランスフェクションの48時間後、LVVを含有する細胞上清を、細胞をスピンダウンすることにより集め、ウイルス力価を測定した。
【0098】
実施例3:レンチウイルス力価測定
レンチウイルス力価は、Ht1080細胞を感染させることによって測定した。感染の4時間前に、96ウェルプレートに1ウェルあたり7000個を播種する。感染時には、細胞は約30%コンフルエンスで培養槽に接着した。101~105のLVVの連続希釈を、8μg/mLのPolybrene(登録商標)を含有する培養培地中で実施した。細胞を104および105のウイルス希釈物によって感染させた。細胞の感染後、感染したHt1080プレートを2000rpmで30分間室温でスピンさせた。感染の18時間後、培地をPolybrene(登録商標)を含有していない新鮮な培地と交換した。細胞をさらに72時間インキュベートし、GFP陽性細胞をAttune Flow Cytometryによって測定した。力価は、1~20%ウェル間のGFP細胞の百分率に基づいて計算した。
【0099】
トランスフェクション当日、3つの異なる細胞密度培養液30mLは、以下であった以下を調製する:125mLの振盪フラスコ中に2.5×106/mL、4×106/mLおよび5×106/mL。各密度の細胞は、異なる量のLV培養補充物を、それぞれ30mLの0%、1%、5%および10%を含有する4つのフラスコを有した。各30mLの培養細胞を、210μl(7μl/mL)のExpifectamine(商標)293を2.25mLのOpti-MEM(登録商標)I培地で希釈し、54μgのViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックスと36μgのpLenti/V5-GW/EmGFP発現ベクターを希釈することによってトランスフェクトし、これらの2つの溶液を組み合わせて(合計4.5mL)、室温で10分間インキュベートした後、細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの48時間後、細胞をスピンダウンすることによって細胞培養上清を回収した。
【0100】
レンチウイルス産生における培養補充物の量の影響を示す結果を
図1Aに提供する。
【0101】
次に、レンチウイルス浮遊細胞を、0%~10%(0%、1%、5%および10%)を含有することに由来する異なる量のLV培養補充物の下で培養し、細胞密度を6日間毎日測定した。結果を
図1Bに示す。
【0102】
実施例2:新たなトランスフェクション試薬のスクリーニング
JMP(登録商標)実験設計(DOE)プラットフォームを用いて、3つの中心となる化学物質すなわちDHDMS、DOPEおよびコレステロールを可能性のあるトランスフェクション試薬として用いて、スクリーニング実験を設計した。
【0103】
DOEプラットフォームにより、研究者らは、各パラメータを個別に変更してから最適化された製剤全体に対して各最適化パラメータを検討する代わりに、複数のパラメータを同時に変更することができた。パラメータ間の2次効果が結果に影響を与える可能性があるとき、DOEプラットフォームは、すべての候補パラメータを同時に変更することで、より効率的で正確な結果を可能にする。DOEプラットフォームを使用した実験でも、従来の実験手法よりも少ない実行回数を必要とし、経済的である。DOEプラットフォームに関する理論的考察については、Kauffman et al.,Optimization of Lipid Nanoparticle Formulations for mRNA Delivery in Vivo with Fractional Factorial and Definitive Screening Designs,NanoLetters 15:7300-7306 (2015)および補足資料を参照されたい。
【0104】
DHDMS、DOPE、およびコレステロールを異なるモル比で評価し、表
5の各行で成分の合計を1とした。この表では、ソフトウェアの自動設計された繰り返しが実験の正確さ、1×R1と1×R2、1×R6と1×R7を制御するために実行される。
【表5】
【0105】
表5に基づき、新たなトランスフェクション試薬を作製した。これらの新たな製剤された試薬を用いて、96深ウェルブロック、1mlの培養容積、3μgの全DNA(pLenti発現ベクター+ViraPower(商標)パッケージングミックス、これら2つのベクターは2:3(重量:重量)の比)において、トランスフェクションpLenti/V5-GW/EmGFP発現ベクターとViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックスとの同時トランスフェクションによってGFP LVVをパッケージし、トランスフェクション試薬の5ul/mL量および6uL/mL量を試験し、細胞密度は4×10
6/mL、5%LV培養補充物入りとした。
図2Aに示される結果は、これら2つの用量の平均であり、TU/mLで読み出された。
【0106】
このDoEの結果に基づき、DHDMSとDOPE、DHDMSとコレステロール、DHDMSとDOPEとコレステロールの組み合わせのような、検査化合物の異なる組み合わせを作製することによって、より多数の試薬を設計した。本発明者らは、30mL製造フォーマットで新たな試薬の各群を検査し、対照試薬としてリポフェクタミンを使用した。本発明者らは、DOPEを含むDHDMSが最も高い性能量を、具体的にはその他の2つのトランスフェクション試薬の組み合わせと比較して0.35 DOPEに対する0.65 DHDMSのモル比であることを見出した。
【0107】
性能および製剤組成に基づき12個の試薬を選択し、このベークオフランにおけるレンチウイルストランスフェクション試薬を表6に示す。結果を
図2Bに示す。
【表6】
【0108】
実施例3:レンチウイルス亢進剤の同定
次の実験を用いてレンチウイルス亢進剤を同定した。pLenti6.3/V5-GW/EmGFPおよびViraPowerレンチウイルスパッケージングミックスと複合体形成したExpifectamine(商標)293トランスフェクション試薬によって、96深ブロック2つをトランスフェクトした。各ウェル(1mLの反応)に対して、合計150μlの複合体について75μlのOpti-MEM(登録商標)I培地中の7μlのExpifectamine(商標)293および75μlのOpti-MEM中の3μgの全DNA(1.2μgのpLenti発現ベクターおよび1.8μgのViraPower(商標)ミックス)を組み合わせた。細胞に、5%LV培養補充物とともに、4×10
6/mLをトランスフェクトした。トランスフェクションの16時間後に、JMP(登録商標)によって設計された調製済みレンチウイルス亢進剤を、表7により、各レンチウイルス亢進剤について3つ組で添加した。
【表7】
【0109】
トランスフェクションの48時間後、レンチウイルス力価アッセイを実施した。結果を
図3Aに示す。
【0110】
結果をjmpによって解析し、予測プロファイラーを
図3Bにおいてグラフにした。2次DoEを以下のように設計および解析し、最適化された条件を見出した(表8を参照されたい)。
【表8】
【0111】
結果をjmpによって解析し、予測プロファイラーを
図3Cにおいてグラフにした。
【0112】
実施例4:レンチウイルス産生系の比較
本発明者らは、トランスフェクション試薬としてLentifectamine(商標)、Thermo Fisher、(LVR)を使用する我々の新たな開発した懸濁レンチウイルス産生系を、レンチウイルス産生についての、PEI媒介性(25KD線状ポリマー)、およびLipofectamine(商標)2000媒介性(L2K)トランスフェクション技術と、トランスフェクション試薬を変えて、かつ産生過程がレンチウイルス培養補充物、レンチウイルス亢進剤、および/または酪酸ナトリウムを含有したかどうかを変えて比較した。
【0113】
LV293系におけるトランスフェクションは次のように行った。系は、30mLのLV生産量を有する125mLの振盪フラスコとした。293F細胞由来のLV293細胞をトランスフェクション時に3.5M/mLの密度で播種した。使用時、レンチウイルス培養補充物の終濃度は3.5%とし、亢進剤は4%、酪酸ナトリウムは5mMとした。培養補充物はExpiCHO(商標)-Feedであり、レンチウイルス亢進剤は4.53 mMプロピオン酸ナトリウム、2.0 mM酪酸ナトリウム、および1.5 mMカフェインとした。
【0114】
簡潔にいえば、細胞をトランスフェクション当日に計数し、試料がそれを要求したときはいつでも、培養補充物を用いて最終的な25.5mL系で希釈した。チューブA:トランスフェクション試薬(LVRまたはL2K(Lipofectamine 2000)のいずれか)を2.25mLのGibco(商標)Opti-MEM(商標)に混合し、室温で5分間インキュベートした。チューブB:DNA混合物(ViraPower(商標)レンチウイルス混合物45μgおよび30μgのpLenti6.3/V5-GW/GFP)を別の2.25mL Gibco(商標)Opti-MEM(商標)で希釈した。次いで、チューブBをチューブAに添加し、混合し、室温で10分間インキュベートした。調製した細胞に最終混合物(およそ4.5mL)を添加した。試料中に要求された場合、トランスフェクション後16時間に1.2mL(生産量の4%)の亢進剤を添加した。試料中に要求されたとき、酪酸ナトリウムをトランスフェクションの24時間後に加えた。上清は、トランスフェクションの48時間後であった回収し、力価を記載のように行った。
【0115】
293F細胞におけるトランスフェクションでは、最終細胞密度は1M/mLとした。総DNA量を1μg/mLに減らした(30mL系用のViraPower(商標)レンチウイルス混合物18μgおよび12μgのpLenti6.3/V5-GW/GFP)。記載がない限り、トランスフェクションおよびウイルス回収手順はLV293系におけるものと同じものとした。
【0116】
図4Aに示すように、本発明者らのレンチウイルス産生はその他の2つの系よりも優れている。
【0117】
実施例5:第1のレンチウイルス産生プロトコル
レンチウイルス浮遊細胞の培養に関する次の指針に従った。細胞を標準的なレンチウイルス浮遊細胞培養プロトコルにより成長させた。細胞がおよそ4×106~5×106個/mLの生細胞密度に、典型的には3~4日ごとに達したとき、細胞を継代培養した。約3または4日間の培養の後、細胞を0.3×106~0.6×106個に分裂させた。毎日同じ時刻に毎日細胞を計数することによって細胞成長を監視した。細胞倍加時間は約24時間であった。解凍日から2週間後、細胞はレンチウイルス産生の準備ができていた。細胞培養中、楕円軌道振盪器を125mL~1Lの振盪フラスコに約125rpmで使用した。インキュベーターを約37℃、約8%のCO2、および約75~80%の湿度に設定した。使用前に培養培地を約37℃の水浴中で加温した。
【0118】
試薬および方法
・125mLポリカーボネート、使い捨て、滅菌済み、Vent-up Erlenmeyer振盪フラスコ。
・15mLの滅菌コニカルチューブ。
・50mLの滅菌コニカルチューブ
・Opti-MEM(商標)I培地
・Lenti発現(移入)ベクター:pLENTI6.3/V5-GW-EmGFP;
・レンチパッケージミックス:ViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックス。
・レンチウイルス浮遊細胞
・レンチウイルス培養補充物
・レンチウイルストランスフェクション試薬
・レニットウイルス亢進剤
・(任意)pH調整用レンチウイルス安定化剤
【0119】
例えば、細胞が金曜日の午前に0.6×106個/mLの細胞数へ分裂する場合、細胞は1Lフラスコ中で約250mLの培養培地で3日間培養され得る。例えば、月曜日の午前10時ちょうどに、細胞を計数することによって細胞が調製され、約4.5×106個/mLの細胞密度が予想され得る。新たに加温した培養培地で細胞を3.0×106個/mLに希釈し、さらに30時間培養し得る。
【0120】
トランスフェクションは、例えば火曜日の午後4時ちょうどに実施され得る。細胞は、予想される約5.5~6.0×10
6個/mLで計数され得る。表9は、に追加のトランスフェクション指針を提供する。
【表9】
【0121】
火曜日の午後に、細胞をレンチウイルス補充物とともに播種した。30mLのトランスフェクションが選択された場合、17.5mL中105×106細胞/mLなどの高密度細胞を用いて実施することができる。3.5%のレンチウイルス培養補充物を添加したが、これは30mLのトランスフェクションで1.5mLであろう。新鮮な加温培養培地を全容量25.5mLまで使用した(1.05mLのレンチウイルス培養補充物および17.5mLの細胞懸濁液を使用したため、6.95mLの新鮮培地)。総容積30mLを達成するための他の4.5mLをDNA/試薬複合体から添加した。
【0122】
DNA/トランスフェクション試薬は次のように調製した。2本のチューブにはチューブ1およびチューブ2と標識した。チューブ1において:2.25のOpti-MEM(商標)I培地および150μLのレンチウイルストランスフェクション試薬を混合し、室温で約5分間インキュベートした。チューブ2において:2.25mLのOpti-MEM(商標)I培地を45μg(μL)のViraPower(商標)レンチウイルスパッケージングミックス(ViraPower(商標)1μg/μL)および30μg(μL)のpLenti6.3/V5-GW/EmGFPプラスミド(pLenti発現ベクター1μg/μL)と混合した。チューブ1およびチューブ2は、チューブ2溶液をチューブ1へ混合しながら添加することによって組み合わせた。
【0123】
プレートを室温で10分間インキュベートした。インキュベーションの10分後、調製した細胞に4.5mLのDNA/試薬複合体を添加した。
【0124】
翌日(水曜日の午前9時ちょうど)、1.2mLのLV亢進剤をフラスコに添加した。
【0125】
トランスフェクションの48時間後(木曜日の午後4時ちょうど)に、50mLの滅菌コニカルチューブにLVVを採取し、室温で10分間、3000rpmで細胞をスピンダウンした。上清を回収し、3000rmpで10分間再度回転させた。上清を回収し、そして0.45μMフィルターでろ過した。
【0126】
ウイルス回収後のpH調整のために、回収した上清にレンチウイルス安定化剤を添加した。レンチウイルス安定化剤を、収集した上清の約1%として添加した(約300μL)。一部の状況において、ウイルスを安定にするために産生系のpHを約5から8に調整した。
【0127】
翌日の精製のためにレンチウイルスベクターを4℃で保存し、実施例6に記載のように、レンチウイルスベクターの連続希釈でHt1080細胞を感染させることによってウイルス力価を測定した。
【0128】
実施例6:実施例5の産生からのレンチウイルス力価(GFP+)の測定
レンチウイルス力価(GFP+)の測定は次のようにして行った。
【0129】
材料:
・レンチウイルス:細胞上清または濃縮レンチウイルスベクターを集める。
・細胞株:HT1080、
・培養培地Gibco(商標)DMEM高グルコース、GlutaMAX(商標)補充物、ピルビン酸+10%FBS、
・Polybrene(商標)(原液):滅菌H2O中の100mg/mL(フィッシャーサイエンティフィックNCO663391)、および
・希釈用のCostar(登録商標)96ウェル丸底プレート(Fisher Scientific 05539200)。
【0130】
1日後(午前)に、本発明者らは、高処理量フロー分析のために96ウェルプレートフォーマットを用いてレンチウイルス力価の測定を開始した。午前11時ちょうどに、100μLの培地中に7000個/ウェルの密度でHT1080細胞を含む96ウェルプレートに播種した(感染時に約30%コンフルエント)。
【0131】
午後4時ちょうどに、次のようにして新鮮なウイルス希釈液を調製した。(A)本発明者らは、15mLの新鮮な培養培地と12μLの10mg/mL Polybrene(登録商標)(終濃度8μg/mL)を組み合わせた。十分にボルテックスして組み合わせた。(B)ウイルス試料あたり、(A)で調製した135μLの培地を96ウェル丸底プレートの16ウェルに4ウェル×4ウェルパターンで添加した(
図6を参照されたい)。(C)第1列の各ウェルに15μLのレンチウイルス上清の1つの試料(または濃縮ウイルス一定分量)を添加した(各ウェル中の総容量150μL)。(D)ピペットを用いてよく混合した(1:10)。(E)15μLを第1行から第2行に移して十分に混合し(1:100)、15μLを第2行から第3行に移して十分に混合する(1:1000)ことによって第1行の連続希釈(利用可能な場合、多重チャネルピペットを使用)を行い、15μLを第3行を第4行まで移し、十分に混合する(1:10,000)。ウイルスが濃縮されている場合は、さらに希釈する必要があり得る。
【0132】
細胞を感染させるために、HT1080細胞から播種培地を除去し、100μLの調製された希釈液を対応する各ウェルに移すことによって感染させた(利用可能な場合、多重チャネルピペットを使用)。96ウェル感染細胞プレートを2000rpmで室温で30分間回転させ、感染細胞プレートを一晩インキュベートした。
【0133】
2日後(午前)に、ウイルスを含有する培地を除去し、新鮮なHT1080培地(Polybrene(登録商標)なし)と交換し、さらに3日間細胞をインキュベートし、GFP陽性細胞の%を分析した(フローサイトメトリー分析を使用してもよい)。
【0134】
TU/mLの単位で力価を計算するために、本発明者らは%GFP陽性に基づいて使用するのに適切な希釈係数を決定した。1~20%の所望の感染範囲を使用した。
【0135】
力価は次の式から計算した。
力価=[F*C/V]*D
F=GFP+細胞の頻度(%GFP+細胞/100)
C=形質導入時のウェルあたりの細胞数(7000細胞)
V=接種量(mL)(0.1mL)
D=レンチウイルス希釈係数。
【0136】
96ウェルプロトコルを用いて、次の計算を行った(表10を参照されたい)。
【表10】
【0137】
%EmGFP陽性細胞値が所望の1~20%の範囲内に収まるので、104を計算のために選択した。
F=18/100
C=7000
V=0.1
D=104
力価=(0.18×7000/0.1)×104=1.26×108TU/mL
【0138】
等価物
上述の明細書は、当業者が実施形態を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。上述の説明および実施例は特定の実施形態を詳述し、本発明者らによって企図される最良の様式を説明する。しかしながら、上述の内容がいかに詳述されていても、実施形態は多くの方法で実施され得、添付の特許請求の範囲およびその等価物に従って解釈されるべきである。
【0139】
本明細書で使用する場合、約という用語は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、例えば整数、分数、および百分率を含む数値を指す。約という用語は、一般に、当業者が、列挙された値と等価である(例えば、同じ関数または結果を有する)と考えるであろう数値範囲(例えば、列挙された範囲の±5~10%)を指す。少なくともおよび約のような用語が数値または範囲のリストに先行する場合、この用語はリストに提供されているすべての値または範囲を変更する。一部の場合、約という用語は最も近い有効数字に丸められる数値を含むことがある。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕レンチウイルスベクター産生系であって、
a.細胞成長を制御するためのレンチウイルス培養補充物と、
b.カチオン性脂質、ならびに少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質を含む、脂質集合体と、
c.プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生亢進剤と、を含み、
無血清である、前記レンチウイルスベクター産生系。
〔2〕前記カチオン性脂質がDHDMSを含む、前記〔1〕に記載のレンチウイルス産生系。
〔3〕前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質がDOPEを含む、前記〔1〕に記載のレンチウイルス産生系。
〔4〕前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質が、DOPEとコレステロールとを含む、前記〔1〕に記載のレンチウイルス産生系。
〔5〕293細胞におけるレンチウイルスの産生のために設計されている、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔6〕前記293細胞が浮遊培養におけるガウンである、前記〔5〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔7〕前記293細胞が293F細胞またはその誘導体である、前記〔5〕または〔6〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔8〕前記293F細胞、またはそれに由来する細胞が、5日後以降の細胞死が20%未満で、約1×106~約20×106の密度で成長することができる、前記〔7〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔9〕前記レンチウイルス培養補充物が、
a.アミノ酸および/またはジペプチドと、糖源、糖アルコール、および/または炭素源と、を含む、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔10〕前記レンチウイルス培養補充物がアミノ酸とグルコースとを含む、前記〔7〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔11〕前記レンチウイルス培養補充物が、
a.鉱物および/または微量金属、および/または
b.ビタミンおよび/またはビタミン前駆体、
を含む、前記〔9〕または〔10〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔12〕前記レンチウイルス培養補充物が、L-アラニル-L-システイン二量体と、L-アラニル-L-チロシン二水和物と、D-グルコースと、グリシンと、L-アラニンと、L-アルギニンと、L-アスパラギンと、L-アスパラギン酸と、L-グルタミン酸と、L-ヒスチジンと、L-ヒドロキシプロリンと、L-イソロイシンと、L-ロイシンと、L-リジンと、L-メチオニンと、L-フェニルアラニンと、L-プロリンと、L-セリンと、L-スレオニンと、L-トリプトファンと、L-バリンと、を含む、前記〔9〕~〔11〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔13〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1%~約10%で添加される、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔14〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1%、3.5%、5%、または10%で添加される、前記〔13〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔15〕前記レンチウイルス培養補充物が、約3.5%で添加される、前記〔14〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔16〕前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの浸透圧が、約500mOsm/kg~約700mOsm/kg、約550mOsm/kg~約650mOsm/kg、約575mOsm/kg~約625mOsm/kgである、前記〔1〕~〔15〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔17〕前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの濃度が、約85mg/ml~約115mg/ml、約90mg/ml~約110mg/ml、約95mg/ml~約105mg/mlである、前記〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔18〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kg、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有する、前記〔1〕~〔17〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔19〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、前記〔1〕~〔16〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔20〕前記DHDMSが約0.4~0.6mMで含まれる、前記〔1〕~〔19〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔21〕DOPEが約0.2~0.5mM/mLで含まれる、前記〔1〕~〔20〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔22〕コレステロールが0.1~0.6mM/mLで含まれる、前記〔1〕~〔21〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔23〕唯一のヘルパーおよび/または中性脂質がDOPEである、前記〔1〕~〔21〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔24〕DHDMS:DOPEのモル比が、合計1.0になり、かつ約0.6:0.4~0.7:0.3の範囲である、前記〔23〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔25〕DHDMS:DOPEのモル比が、合計1.0になり、かつ約0.625:0.375~0.675:0.325の範囲である、前記〔23〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔26〕DHDMS:DOPEのモル比が、合計1.0になり、約0.6:0.4~0.625:0.375の範囲である、前記〔23〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔27〕DHDMS:DOPE:コレステロールのモル比が合計1.0になり、前記DHDMSモル比が約0.4~0.6の範囲であり、前記DOPEモル比が約0.2~0.5の範囲であり、前記コレステロールモル比が約0.1~0.6の範囲である前記〔1〕~〔22〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔28〕DHDMS:DOPE:コレステロールのモル比が、表2、4または5から選択される、前記〔1〕~〔22〕または〔25〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔29〕DHDMS:DOPE:コレステロールのモル比が、表4からの実行番号1×R3、1×R4、1×R6、1×R7、1×R9、1×R10、1×R11、1×R12、または表5からの2×bR13もしくは2×bR14から選択される、前記〔1〕~〔22〕、〔25〕または〔26〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔30〕前記レンチウイルス亢進剤がバルプロ酸を含む、前記〔1〕~〔29〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔31〕プロピオン酸ナトリウムおよび/または酪酸ナトリウムが水溶液として提供される、前記〔1〕~〔30〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔32〕カフェインがレンチウイルス発現培地中で提供される、前記〔1〕~〔31〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔33〕プロピオン酸ナトリウムが約3~15mMで含まれる、前記〔1〕~〔32〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔34〕プロピオン酸ナトリウムが約3~5mMで含まれる、前記〔33〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔35〕プロピオン酸ナトリウムが約5~約8mMで含まれる、前記〔33〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔36〕酪酸ナトリウムが約1.5~3mMで含まれる、前記〔1〕~〔35〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔37〕酪酸ナトリウムが約1.5~2.5mMで含まれる、前記〔36〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔38〕酪酸ナトリウムが約2.5mM~3mMで含まれる、前記〔36〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔39〕カフェインが約0.75~3mMで含まれる、前記〔1〕~〔38〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔40〕カフェインが約2~3mMで含まれる、前記〔1〕~〔39〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔41〕カフェインが約1~2mMで含まれる、前記〔1〕~〔40〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔42〕バルプロ酸が約0.5~1mMで含まれる、前記〔1〕~〔41〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔43〕前記レンチウイルス産生亢進剤成分の量が、表3、表6、または表7における量のいずれかから選択される、前記〔1〕~〔42〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔44〕前記亢進剤成分の量が、表6中の実行1×R5、1×R6、1×R13、1×R14、1×R15、1×R16、1×R17、1×R18、1×R19、1×R22、1×R26、1×R27、1×R29、1×R30、または1×R31における量のいずれかから選択される、前記〔1〕~〔43〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター生産系。
〔45〕前記〔1〕~〔44〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系を使用することを含む、レンチウイルスベクター産生のための方法。
〔46〕レンチウイルスベクター産生のための方法であって、
a.無血清培地中で真核細胞を培養することと、
b.細胞成長を制御するためにレンチウイルス培養補充物を提供することと、
c.トランスフェクション効率を高めるために、DHDMSと、DOPEと、コレステロールとを含むトランスフェクション試薬を用いて、前記細胞をレンチウイルスベクターでトランスフェクトすることと、
d.レンチウイルス産生を促進することができる、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生増強剤を提供することと、
を含む、方法。
〔47〕前記培養真核細胞が、高密度条件下での成長に適応した浮遊培養物中にある、前記〔45〕~〔46〕のいずれか1項に記載の方法。
〔48〕前記細胞が、少なくとも1×106個/mLの細胞密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する、前記〔47〕に記載の方法。
〔49〕前記細胞が、少なくとも10×106個/mLの細胞密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する、前記〔47〕に記載の方法。
〔50〕前記細胞が、少なくとも20×106個/mLの密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する、前記〔47〕に記載の方法。
〔51〕前記方法が、293細胞または293細胞の誘導体の培養のためである、前記〔45〕~〔50〕のいずれか1項に記載の方法。
〔52〕前記方法が、293F細胞または293F細胞の誘導体の培養のためである、前記〔51〕に記載の方法。
〔53〕前記レンチウイルス培養補充物が、前記〔7〕~〔17〕のいずれか1項に従う、前記〔1〕~〔52〕のいずれか1項に記載の方法。
〔54〕前記トランスフェクション試薬が、前記〔2〕~〔4〕または〔20〕~〔29〕のいずれか1項に従う、前記〔1〕~〔53〕のいずれか1項に記載の方法。
〔55〕前記レンチウイルス産生増強剤が、前記〔30〕~〔44〕のいずれか1項に従う、前記〔1〕~〔54〕のいずれか1項に記載の方法。
〔56〕前記レンチウイルス培養補充物が、細胞培養培地中の細胞播種の24~36時間後に添加される、前記〔1〕~〔56〕のいずれか1項に記載の方法。
〔57〕前記方法により、約2.5×108TU/mlの非濃縮レンチウイルスベクターを産生することができる、前記〔1〕~〔56〕のいずれか1項に記載の方法。
〔58〕前記浮遊細胞培養物の容積が、約10mL~約5Lである、前記〔1〕~〔57〕のいずれか1項に記載の方法。
〔59〕細胞生存度が、5日後以降に少なくとも80%である、前記〔1〕~〔58〕のいずれか1項に記載の方法。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1'〕レンチウイルスベクター産生系であって、
a.細胞成長を制御するためのレンチウイルス培養補充物と、
b.カチオン性脂質、ならびに少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質を含む、脂質集合体と、
c.プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生亢進剤と、を含み、
無血清である、前記レンチウイルスベクター産生系。
〔2'〕前記カチオン性脂質がDHDMSを含む、前記〔1'〕に記載のレンチウイルス産生系。
〔3'〕前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質がDOPEを含むか、又はDOPEとコレステロールとを含む、前記〔1'〕に記載のレンチウイルス産生系。
〔4'〕293細胞におけるレンチウイルスの産生のために設計されており、前記293細胞が浮遊培養で成長するものであってもよい、前記〔1'〕~〔3'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔5'〕前記293細胞が293F細胞またはその誘導体である、前記〔4'〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔6'〕前記293F細胞、またはそれに由来する細胞が、5日後以降の細胞死が20%未満で、約1×10
6
~約20×10
6
の密度で成長することができる、前記〔5'〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔7'〕前記レンチウイルス培養補充物が、
アミノ酸および/またはジペプチドと、糖源、糖アルコール、および/または炭素源と、を含む、前記〔1'〕~〔6'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔8'〕前記レンチウイルス培養補充物がアミノ酸とグルコースとを含む、前記〔7'〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔9'〕前記レンチウイルス培養補充物が、
a.鉱物および/または微量金属、および/または
b.ビタミンおよび/またはビタミン前駆体、
を含む、前記〔7'〕または〔8'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔10'〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1%~約10%、または、約1%、3.5%、5%、もしくは10%、例えば約3.5%で添加される、前記〔1'〕~〔9'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔11'〕前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの浸透圧が、約500mOsm/kg~約700mOsm/kg、約550mOsm/kg~約650mOsm/kg、約575mOsm/kg~約625mOsm/kgである、および/または前記レンチウイルス培養補充物中の前記グルコースの濃度が、約85mg/ml~約115mg/ml、約90mg/ml~約110mg/ml、約95mg/ml~約105mg/mlである、前記〔8'〕に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔12'〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg~約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg~約1300mOsm/kg、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有するか、または約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、前記〔1'〕~〔11'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔13'〕前記レンチウイルス亢進剤がバルプロ酸を含み、バルプロ酸が約0.5~1mMで含まれてもよい、前記〔1'〕~〔12'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生
〔14'〕プロピオン酸ナトリウムが約3~15mM、または約3~5mM、または約5~約8mMで含まれる、および/または酪酸ナトリウムが約1.5~3mM、または約1.5~2.5mM、または約2.5mM~3mMで含まれる、および/またはカフェインが約0.75~3mM、または約2~3mM、または約1~2mMで含まれる、前記〔1'〕~〔13'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系。
〔15'〕前記〔1'〕~〔14'〕のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター産生系を使用することを含む、レンチウイルスベクター産生のための方法。
〔16'〕レンチウイルスベクター産生のための方法であって、
a.無血清培地中で真核細胞を浮遊培養することと、
b.細胞成長を制御するためにレンチウイルス培養補充物を提供することであって、前記補充物がアミノ酸および/またはジペプチドと、糖源、糖アルコール、および/または炭素源と、を含むことと、
c.カチオン性脂質と、少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質とを含むトランスフェクション試薬を用いて、前記細胞をレンチウイルスベクターでトランスフェクトすることと、
d.レンチウイルス産生を促進することができる、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、およびカフェインを含む、レンチウイルス産生増強剤を提供することと、
を含む、方法。
〔17'〕前記細胞が、約1×10
6
~約20×10
6
個/mLの細胞密度を有する浮遊細胞培養物中で成長する、前記〔16'〕に記載の方法。
〔18'〕前記方法が、293細胞または293細胞の誘導体、例えば293F細胞または293F細胞の誘導体の培養のためである、前記〔16'〕~〔17'〕のいずれか1項に記載の方法。
〔19'〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1%~約10%、または、約1%、3.5%、5%、もしくは10%、例えば約3.5%で添加される、前記〔16'〕~〔18'〕のいずれか1項に記載の方法。
〔20'〕前記レンチウイルス培養補充物が、約1000mOsm/kg~約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、前記〔16'〕~〔19'〕のいずれか1項に記載の方法。
〔21'〕前記カチオン性脂質がDHDMSを含む、前記〔16'〕~〔20'〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22'〕前記少なくとも1つのヘルパー脂質および/または中性脂質がDOPEを含むか、又はDOPEとコレステロールとを含む、前記〔16'〕~〔21'〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23'〕前記レンチウイルス培養補充物が、細胞培養培地中の細胞播種の24~36時間後に添加される、前記〔16'〕~〔22'〕のいずれか1項に記載の方法。