(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】前駆体から物体を製造する方法、および付加製造法におけるラジカル架橋性樹脂の使用
(51)【国際特許分類】
B29C 64/112 20170101AFI20230125BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20230125BHJP
C08G 18/02 20060101ALI20230125BHJP
B29C 64/135 20170101ALI20230125BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230125BHJP
【FI】
B29C64/112
C08G18/08 038
C08G18/02 020
B29C64/135
B33Y70/00
(21)【出願番号】P 2019524441
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017079155
(87)【国際公開番号】W WO2018087382
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-11
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アクテン,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】バスゲン,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ティラック,ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ルートビヒ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】トムザック,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ローランド
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-315617(JP,A)
【文献】特開2005-015627(JP,A)
【文献】特開2016-002683(JP,A)
【文献】特開2016-135477(JP,A)
【文献】特開平07-329191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体から物体を製造する方法であって、以下の工程:
I)フリーラジカル架橋樹脂を担体の上に堆積させて、前記前駆体の第1の選択断面に対応する、前記担体に接合された構成材料の層を得る工程、
II)前記構成材料の先に施工された層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前記前駆体のさらなる選択断面に対応する、先に施工された層に接合された前記構成材料のさらなる層を得る工程、
III)前記前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す工程、
を含み、
少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積が、前記前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択された領域の露光および/または照射によって行われ、
前記フリーラジカル架橋性樹脂が、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有し、
前記フリーラジカル架橋性樹脂がイソシアネート三量化触媒をさらに含み、
前記フリーラジカル架橋性樹脂が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合が存在する硬化性成分を含み、
前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下であること、ならびに
工程III)の後工程IV):
IV)工程III)の後に得られた前駆体を、前記得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理して、物体を得る工程、
がさらに実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
イソシアヌレート基が前記硬化性成分中にさらに存在し、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、前記硬化性成分において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記硬化性成分が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記硬化性成分が、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、
前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であり、
前記硬化性化合物において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、ならびに
前記硬化性化合物において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フリーラジカル架橋性樹脂がフリーラジカルスターター
をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種のフリーラジカルスターターが、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムおよびそれらの少なくとも2種の任意の組み合わせの群から選択され、
および/または
イソシアヌレート三量化触媒が、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、オクタン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン、および/またはトリブチルスズオキシドから選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂において、NCO基対Zerewitinoff活性H原子のモル比が500以上であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記硬化性成分が、200g/モル以上5000g/モル以下の数平均分子量M
nを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程IV)における、工程III)の後に得られた前駆体を、前記得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理する工程が、物体を60℃以上の温度に加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程III)の後に得られた前駆体の表面および/または工程IV)の後に得られた物体の表面を、Zerewitinoff活性H原子を含む化合物と接触させ、前記前駆体および/または前記物体の周りの雰囲気中に天然の大気湿度として生じる水が排除されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
-前記担体が容器の内側に配置されており、重力の方向に垂直に下降可能である、
-前記容器が、少なくとも前記担体および前記担体の上に堆積した架橋樹脂を覆うのに十分な量の前記フリーラジカル架橋性樹脂を含む、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て前記構成材料の最上層の上に前記フリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように、前記担体を所定の距離だけ降下させる、
-工程II)において、エネルギービームが、前記前駆体の個々の選択断面に対応する前記フリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を露光および/または照射する、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
-前記担体が容器の内側に配置されており、重力の方向とは反対に垂直に上昇可能である、
-前記容器が前記フリーラジカル架橋性樹脂を提供する、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て前記構成材料の最下層の下に前記フリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように、前記担体を所定の距離だけ上昇させる、
-工程II)において、複数のエネルギービームが、前記前駆体の個々の選択断面に対応する前記フリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を同時に露光および/または照射する、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
-工程II)において、前記フリーラジカル架橋性樹脂が前記前駆体の個々の選択断面に対応する1または複数の印刷ヘッドから塗布され、その後露光および/または照射される、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有するフリーラジカル架橋性樹脂の付加製造法における使用であって、
前記樹脂が、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、
NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であり、
前記硬化性化合物において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、ならびに
前記硬化性化合物において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内である、
ことを特徴とする使用。
【請求項15】
5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する樹脂の架橋によって得ることができるポリマーであって、
前記架橋は、C=C二重結合のフリーラジカル架橋と、それに続くイソシアヌレート基を得るNCO基の三量化からなる二段階法を介して行われ、
前記樹脂が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性成分含み、
NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内である、
ことを特徴とするポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前駆体から物体を製造する方法であって、以下の工程:
I)フリーラジカル架橋樹脂を担体の上に堆積させて、前駆体の第1の選択断面に対応する、前記担体に接合された構成材料の層を得る工程、
II)前記構成材料の先に施工された層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前記前駆体のさらなる選択断面に対応する、先に施工された層に接合された前記構成材料のさらなる層を得る工程、
III)前記前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す工程、
を含み、
少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積が、前記前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択された領域の露光および/または照射によって行われ、前記フリーラジカル架橋性樹脂が、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、付加製造法における、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃において、DIN EN ISO 2884-1に従ってWells/Brookfieldコーンプレート粘度計で測定)を有し、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を有する硬化性化合物を含むフリーラジカル架橋性樹脂の使用に関する。最後に、本発明はそのような樹脂を架橋することによって得ることができるポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリイソシアヌレート構造を有するポリマーは、それらの高い熱安定性および難燃性で知られている。芳香族4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびポリエーテルポリオールおよびポリエポキシドをベースとするポリイソシアヌレート含有フォーム(PUR/PIR-フォーム)は、それらの非常に低い熱伝導率のために、例えば、特に高性能断熱材として広く使用されている。
【0004】
ポリイソシアヌレートはまた、塗料化学における架橋剤として実用的用途を見出し、その製造は低い転化率で三量化反応を停止させ、過剰の未反応モノマー性ジイソシアネートを除去することを含む。このように、脂肪族および混合脂肪族および芳香族モノマー性ジイソシアネートから出発するイソシアヌレートをベースとする架橋剤の製造において、独国特許第3100263号;英国特許第952931号、英国特許第966338号、米国特許第3,211,703号または米国特許第3,330,828号は、非常に正確な温度制御を用いて、希薄な条件でまたは低い転化値までだけのいずれかで反応を行うことを想定している。架橋ポリイソシアヌレートプラスチック材料は特に形成されず、オリゴマーの低粘度の可溶性生成物のみが形成される。米国特許第6,133,397号は、低含有量の揮発性有機化合物および約200秒未満の粘度(ZAHNカップ2)を有するコーティング組成物を開示している。この組成物は、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネート、組成物中のポリイソシアネートの重量に基づいて0%~45%の量の溶媒、および三量化触媒から本質的になる。この組成物は揮発性モノ-およびジイソシアネートを本質的に含まない。
【0005】
複数のNCO官能価を有するイソシアネートをベースにして構築されたイソシアヌレートは遊離NCO基を保持し、これはその後の反応によってさらに官能化することもできる。
【0006】
欧州特許第0000658号は、ポリイソシアネートを一価アルコールを含有するヒドロキシル成分と反応させるエチレン性不飽和イソシアヌレートの製造方法を開示しており、ここで前記イソシアヌレートはビニリデン基を含有するがアリル基を含有せず、前記反応は銅塩の存在下で行われてイソシアネート含有ウレタンを得、ヒドロキシル成分およびポリイソシアネートの量は、前記反応後に、使用されるポリイソシアネート1モル当たり0.75~1.6モルの未転化イソシアネート基が保持されるように選択される。次いで、イソシアネート含有ウレタンの三量化を、ゲル化を起こすことなく開始するイソシアネート三量化触媒の触媒量を、イソシアネート含有ウレタンを三量化(timerized)して、エチレン性不飽和イソシアヌレートを製造するように添加する。一実施形態では、一価アルコールは、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、またはそれらの混合物であり得る。
【0007】
欧州特許第0315020号は、a)イソシアヌレート基を含みかつポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、b)アクリル酸またはメタクリル酸の少なくとも1種のヒドロキシアルキルエステルからなるオレフィン性不飽和アルコール成分との反応による、イソシアヌレート基およびオレフィン性二重結合を含む化合物を製造する方法であって、a)ポリイソシアネート成分として、(i)複数のイソシアヌレート環を含むその高級同族体との混合物中に存在していてもよいN,N’,N’’-トリス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、または(ii)(i)に記載のポリイソシアネートと、成分(a)の全体に基づき40NCO当量%までの、脂肪族および/または脂環式結合イソシアネート基を有する他のポリイソシアネートとの混合物、を使用し、反応が、c)(i)少なくとも80カルボキシル当量%程のアジピン酸および/またはイソフタル酸からなる酸成分、および(ii)少なくとも70ヒドロキシル当量%程の1,6-ヘキサンジオールからなるポリオール成分に基づき、80~350のOH価を有するポリエステルポリオールから本質的になるポリオール成分の同時使用により実施され、成分c)の量が、成分b)の重量に基づいて20~150重量%を構成し、0.9:1~1.1:1のNCO/OH当量比を維持しながら反応が行われ、アルコール成分b)およびc)を、任意の所望の順序で、または混合物としてポリイソシアネート成分と反応させることを特徴とする方法に関する。一実施形態では、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはこれらの化合物の任意の所望の混合物が成分b)として使用される。
【0008】
欧州特許第0347610号は、A)A)+B)+C)の合計を100重量%として15~60重量%の、ヒドロキシアルキルアクリレートと、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート基および少なくとも1つのウレトジオン基および/またはトリイソシアヌレート基および/またはビウレット基を含有する脂肪族ポリイソシアネートとの反応生成物;B)A)+B)+C)の合計を100重量%として30~84重量%の、分子量500未満を有する二官能性または三官能性(メタ)アクリレート;C)A)+B)+C)の合計を100重量%として1~10重量%の、1分子当たり1つの重合性基を有し、200未満の分子量を有する化合物、ならびにD)A)+B)+C)の合計を100重量%として慣用量の光開始剤、を含有するUV硬化性混合物を記載している。この混合物において、成分A)は、ヒドロキシエチルアクリレートと、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくウレトジオンおよび/またはトリイソシアヌレートおよび/またはビウレットとの反応生成物として表すことができる。
【0009】
米国特許第4,145,544号は、エチレン性不飽和イソシアヌレートを製造する方法であって、(1)イソシアネート三量化触媒および溶媒の存在下で、芳香族ポリイソシアネートを三量化して、NCO含有イソシアヌレートを形成する工程;ならびに(2)NCO含有イソシアヌレート中に存在するNCO基とビニリデン基を含有する一価アルコールのヒドロキシル基とを溶媒の存在下で反応させて、エチレン性不飽和イソシアヌレートを形成する工程、を含む方法を開示している。工程(1)および(2)で使用される溶媒は、イソシアネート基と反応する基を含まず、少なくとも20重量%のエチレン性不飽和極性溶媒を含有するビニリデン溶媒である。一実施形態では、一価アルコールは、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートまたはそれらの混合物である。
【0010】
米国特許第4,159,376号は、エチレン性不飽和イソシアヌレートを製造する方法であって、芳香族ポリイソシアネートと、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートまたはそれらの混合物から選択されるビニリデン基含有一価アルコールとを反応させて、モノイソシアネート含有ウレタンを形成する第1の工程、ならびに前記モノイソシアネート含有ウレタンと、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとを反応させてエチレン性不飽和イソシアヌレートを得る第2の工程を含む方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許第3100263号
【文献】英国特許第952931号
【文献】英国特許第966338号
【文献】米国特許第3,211,703号
【文献】米国特許第3,330,828号
【文献】米国特許第6,133,397号
【文献】欧州特許第0000658号
【文献】欧州特許第0315020号
【文献】欧州特許第0347610号
【文献】米国特許第4,145,544号
【文献】米国特許第4,159,376号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を少なくとも部分的に克服することである。本発明のさらなる目的は、製造された物体が高強度と相まって高解像度を示すことができる付加製造法を提供することである。最後に、本発明の目的は、可能な限り費用効率が高くおよび/または個別化されおよび/または資源節約的な方法でそのような物体を製造可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1に記載の方法および請求項12に記載の使用によって本発明に従って達成される。有利な展開は従属請求項に明記されている。反対のことが文脈から明らかでない限り、それらは望み通りに組み合わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前駆体から物体を製造する方法は、以下の工程:
I)フリーラジカル架橋樹脂を担体の上に堆積させて、前駆体の第1の選択断面に対応する、前記担体に接合された構成材料の層を得る工程、
II)前記構成材料の先に施工された層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前記前駆体のさらなる選択断面に対応する、先に施工された層に接合された前記構成材料のさらなる層を得る工程、
III)前記前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す工程、
を含み、
少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積が、前記前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択された領域の露光および/または照射によって行われ、前記フリーラジカル架橋性樹脂が、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する。
【0015】
この方法では、フリーラジカル架橋性樹脂は、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合が存在する硬化性成分を含み、前記硬化性成分において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下である。
【0016】
この方法では、工程III)の後に以下の工程IV):
IV)工程III)の後に得られた前駆体を、得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理して、物体を得る工程、
がさらに実施される。
【0017】
本発明による方法では、物体はこのように2つの製造段階で得られる。第1の製造段階は構築段階と見なすことができる。この構築段階は、インクジェット法、ステレオリソグラフィーまたはDLP(デジタル光処理)法などの光線光学付加製造法によって実現可能であり、工程I)、II)およびIII)によって表される。第2の製造段階は硬化段階と見なすことができ、工程IV)によって表される。ここで、構築段階後に得られる前駆体または中間体は、その形状をさらに変えることなく、より機械的に耐久性のある物体に転化される。本発明の文脈では、付加製造法において前駆体が得られる材料は、一般に「構成材料」と呼ばれる。
【0018】
本方法の工程I)は、フリーラジカル架橋樹脂を担体の上に堆積させる工程を含む。これは通常、インクジェット、ステレオリソグラフィーおよびDLP法の第1の工程である。このようにして、前駆体の第1の選択断面に対応する、担体に接合された構成材料の層が得られる。
【0019】
工程III)の指示に従って、所望の前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す。工程II)は、構成材料の先に施工した層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前駆体のさらなる選択断面に対応し、先に施工された層に接合する構成材料のさらなる層を得る工程を含む。構成材料の先に施工された層は、工程I)の第1の層であっても、または工程II)の前回の作業による層であってもよい。
【0020】
少なくとも工程II)における(好ましくは工程Iにおいても)フリーラジカル架橋樹脂の堆積が、物体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択された領域の露光および/または照射によってもたらされることが、本発明により提供される。これは、樹脂の選択的露光(ステレオリソグラフィー、DLP)によって、または樹脂の選択的施工とそれに続く露光工程のいずれかによって達成することができ、後者の露光は樹脂の先行する選択的施工を考慮すると、もはや選択的である必要はない(インクジェット法)。
【0021】
本発明の文脈において、用語「フリーラジカル架橋性樹脂」および「フリーラジカル架橋樹脂」が使用される。ここでフリーラジカル架橋性樹脂は、フリーラジカル架橋反応を引き起こす露光および/または照射によりフリーラジカル架橋樹脂に転化される。本文脈において「露光」とは、近赤外光と近紫外光の間の範囲(1400nmから315nmの波長)の光の作用を意味すると理解されたい。残りのより短い波長範囲は、用語「照射」、例えば遠紫外光、X線照射、ガンマ照射およびまた電子照射に含まれる。
【0022】
個々の断面の選択は、製造されるべき物体のモデルが生成されたCADプログラムによって有利に行われる。この操作は「スライシング」としても知られており、フリーラジカル架橋性樹脂の露光および/または照射を制御するための基礎として機能する。
【0023】
フリーラジカル架橋性樹脂は、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する。したがってそれは少なくとも付加製造の目的のための液体樹脂と見なすことができる。粘度は、好ましくは50mPa・s以上10000Pa・s以下、より好ましくは500mPa・s以上1000mPa・s以下である。
【0024】
この方法では、フリーラジカル架橋性樹脂は、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合が存在する硬化性成分をさらに含み、前記硬化性成分において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内である。これらの官能基の分子比は、13C-NMRスペクトルにおける試料のシグナルの積分によって決定することができる。
【0025】
硬化性成分に加えて、フリーラジカル架橋性樹脂は、例えば安定剤、充填剤などが包含される非硬化性成分も含み得る。硬化性成分において、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合は、別々の分子中、および/または共通の分子中に存在してもよい。NCO基およびオレフィン性C=C二重結合が別々の分子中に存在する場合、本発明による方法の工程IV)の後に得られる物体は相互貫入ポリマーネットワークを示す。
【0026】
この方法では、工程III)の後に工程IV)がさらに行われる。この工程は、工程III)の後に得られた前駆体を、得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理して、物体を得る工程を含む。
【0027】
工程IV)における処理は、最も単純な場合には室温(20℃)での貯蔵であり得る。室温より高い温度での貯蔵も可能である。工程IV)の間に、NCO基は互いに反応して、先のフリーラジカル架橋材料のさらなる架橋をもたらす。この反応は少なくとも部分的に三量化をもたらし、イソシアヌレート基を生じる。本発明はまた、ウレトジオン、アロファネート、尿素、ウレタン、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン基がNCO基から形成され得る可能性も包含する。そのような副反応は、例えば、得られた材料のガラス転移温度Tgに影響を与えるために特に使用することができる。
【0028】
硬化性成分中に存在するイソシアネート基の20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下が依然として存在するまで反応を実施することが好ましい。これは、定量的IR分光法によって決定することができる。工程IV)において、硬化性成分中に元々存在するイソシアネート基の50%以上、60%以上、70%以上または80%以上がイソシアヌレート基に変換されることがさらに好ましい。
【0029】
前駆体の構成材料全体がそのゲル化点に達したときにのみ工程IV)を実施することが好ましい。ゲル化点は、20℃でISO 6721-10に従ったプレート/プレート振動粘度計を用いた動的機械分析(DMA)において貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’のグラフが交差するときに到達したと見なされる。前駆体は、フリーラジカル架橋へのさらなる暴露および/または照射に供されていてもよい。フリーラジカル架橋樹脂は、106Pa以上の貯蔵弾性率G’(DMA、ISO 6721-10に従ったプレート/プレート振動粘度計、20℃および1/秒の剪断速度)を示し得る。
【0030】
フリーラジカル架橋性樹脂は、充填剤、UV安定剤、フリーラジカル抑制剤、酸化防止剤、離型剤、水捕捉剤、スリップ剤、消泡剤、流動化剤、レオロジー添加剤、難燃剤および/または顔料などの添加剤をさらに含み得る。充填剤および難燃剤を除くこれらの補助剤および添加剤は、典型的には、フリーラジカル架橋性樹脂に基づき10重量%未満、好ましくは5重量%未満、特に好ましくは3重量%までの量で存在する。難燃剤は、典型的には、フリーラジカル架橋性樹脂の総重量に基づいて、使用される難燃剤の総量として計算して、70重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは30重量%以下の量で存在する。
【0031】
適切な充填剤は、例えば、AlOH3、CaCO3、TiO2などの金属顔料およびさらなる公知の慣用の充填剤である。これらの充填剤は、フリーラジカル架橋性樹脂の総重量に基づいて、使用される充填剤の総量として計算して、70重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは30重量%以下の量で用いられることが好ましい。
【0032】
適切なUV安定剤は、好ましくは、ピペリジン誘導体、例えば、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-1-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スベレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ドデカンジオエート;ベンゾフェノン誘導体、例えば、2,4-ジヒドロキシ-、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-、2-ヒドロキシ-4-オクトキシ-、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシ-または2,2’-ジヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン;ベンゾトリアゾール誘導体、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、イソオクチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール;オキサラニリド、例えば、2-エチル-2’-エトキシ-または4-メチル-4’-メトキシオキサラニリド;サリチル酸エステル、例えば、フェニルサリチレート、4-tert-ブチルフェニルサリチレート、4-tert-オクチルフェニルサリチレート;桂皮酸エステル誘導体、例えばα-シアノ-β-メチル-4-メトキシ桂皮酸メチル、α-シアノ-β-メチル-4-メトキシ桂皮酸ブチル、α-シアノ-β-フェニル桂皮酸エチル、α-シアノ-β-フェニル桂皮酸イソオクチル;ならびにマロン酸エステル誘導体、例えば、4-メトキシベンジリデンマロン酸ジメチル、4-メトキシベンジリデンマロン酸ジエチル、4-ブトキシベンジリデンマロン酸ジメチルからなる群から好ましく選択することができる。これらの好ましい光安定剤は、個別にまたは互いに任意の所望の組み合わせで使用することができる。
【0033】
特に好ましいUV安定剤は、400nm未満の波長を有する放射線を完全に吸収するものである。これらには、例えば列挙されたベンゾトリアゾール誘導体が含まれる。非常に特に好ましいUV安定剤は、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールおよび/または2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノールである。
【0034】
例として挙げられた1または複数種のUV安定剤は、フリーラジカル架橋性樹脂の総重量に基づき、使用されるUV安定剤の総量として計算して、好ましくは0.001~3.0重量%、特に好ましくは0.005~2重量%の量でフリーラジカル架橋性樹脂に添加されていてもよい。
【0035】
適切な酸化防止剤は、好ましくは2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(イオノール)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)および2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群から選択され得る立体障害フェノールである。これらは、個別にまたは必要に応じて互いに任意の所望の組み合わせで使用することができる。これらの酸化防止剤は、フリーラジカル架橋性樹脂の総重量に基づいて、使用される酸化防止剤の総量として計算して、好ましくは0.01~3.0重量%、特に好ましくは0.02~2.0重量%の量で使用される。
【0036】
適切なフリーラジカル抑制剤/遅延剤は、好ましくは、所望の(照射された)領域外の樹脂配合物の制御されていないフリーラジカル重合を特異的に抑制するものである。これらは、前駆体における良好な輪郭鮮鋭度および画像形成精度にとって極めて重要である。適切なフリーラジカル抑制剤は、照射/露光工程からの所望のフリーラジカル収率および二重結合担体の重合速度および反応性/選択性に従って選択しなければならない。適切なフリーラジカル抑制剤は、例えば2,2-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾオキサゾール)、フェノチアジン、ハイドロキノン、ハイドロキノンエーテル、キノンアルキドおよびニトロキシル化合物およびそれらの混合物、ベンゾキノン、銅塩、カテコール、クレゾール、ニトロベンゼンおよび酸素である。これらの酸化防止剤は、好ましくは0.001重量%から3重量%の量で使用される。
【0037】
本発明の実施形態およびさらなる態様を以下に説明する。反対のことが文脈から明らかでない限り、それらは望み通りに互いに組み合わせることができる。
【0038】
好ましい実施形態では、イソシアヌレート基が硬化性成分中にさらに存在し、硬化性成分において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比は、100:1以下1:2以上(好ましくは70:1以下1:1以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内であり、ならびに硬化性成分において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比は100:1以下1:5以上(好ましくは70:1以下1:3以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内である。イソシアヌレート基は、好ましくはポリイソシアヌレートの一部である。NCO基またはC=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比は、試料の13C-NMRスペクトルにおける対応するシグナルの積分により決定することができる。
【0039】
さらに好ましい実施形態では、硬化性成分は、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内である。したがって、この化合物は1分子中に2つの列挙された基を含む。
【0040】
さらに好ましい実施形態では、硬化性成分は、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、
前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内であり、
前記硬化性化合物において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比は、100:1以下1:2以上(好ましくは70:1以下1:1以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内であり、ならびに
前記硬化性成分において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比は100:1以下1:5以上(好ましくは70:1以下1:3以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内である。
【0041】
したがって、この化合物は1分子中に3つの列挙された基を含む。ポリマーの各分子中にこれらの基を含む、前記化合物の分子量分布を有するポリマーもまた含まれる。
【0042】
硬化性成分中のNCO基含有量を増加させるために、ポリイソシアネートおよびNCO末端プレポリマーなどのさらなるNCO官能性化合物を添加してもよい。このようにして、得られた物体の機械的性質をさらに適合させることができる。
【0043】
硬化性成分中の二重結合含有量を増加させるために、1~6個のC=C二重結合を有するさらなる二重結合官能性化合物もまた添加され得る。このようにして、得られた物体の機械的性質および架橋性樹脂の粘度をさらに適合させることができる。
【0044】
さらに好ましい実施形態において、オレフィン性二重結合は、少なくとも部分的に(メタ)アクリレート基の形で硬化性化合物中に存在する。
【0045】
さらに好ましい実施形態では、硬化性化合物は、NCO末端ポリイソシアネートプレポリマーと、遊離NCO基に基づいてモル不足のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができる。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、硬化性化合物は、NCO末端ポリイソシアヌレートと、遊離NCO基に基づいてモル不足のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができる。
【0047】
NCO末端ポリイソシアヌレートの製造に適したポリイソシアネートは、例えば140~400g/モルの範囲の分子量を有し、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族結合イソシアネート基を有するものであり、例えば1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3-および1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)およびビス(4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)フェニル)カーボネート、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5-ジイソシアナトナフタレンおよびこのようなジイソシアネートの任意の所望の混合物である。
【0048】
本発明によれば、脂肪族および/または芳香族イソシアネート末端基含有プレポリマー、例えば脂肪族または芳香族イソシアネート末端基含有ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエポキシドまたはポリカーボネートプレポリマーもイソシアヌレート形成用の反応物として使用することがさらに可能である。適切な三量化触媒は、別の実施形態に関連して以下に記載される。
【0049】
適切なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、とりわけヒドロキシアルキル基中に2~12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートである。2-ヒドロキシエチルアクリレート、プロピレンオキシドのアクリル酸への付加中に形成される異性体混合物、または4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
【0050】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとNCO末端ポリイソシアヌレートとの間の反応は、DBTLなどの慣用のウレタン化触媒によって触媒することができる。この反応において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのNCO基対OH基のモル比は、10:1以上1.1:1以下(好ましくは5:1以上1.5:1以下、より好ましくは4:1以上2:1以下)の範囲内であり得る。得られた硬化性化合物は、200g/モル以上5000g/モル以下の数平均分子量Mnを有し得る。この分子量は、好ましくは300g/モル以上4000g/モル以下、より好ましくは400g/モル以上3000g/モル以下である。
【0051】
イソシアネート三量化触媒の存在下で1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから得られたNCO末端ポリイソシアヌレートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応から得られる硬化性化合物が特に好ましい。この硬化性化合物は、400g/モル以上3000g/モル以下の数平均分子量Mn、および1:5以上5:1以下、特に好ましくは1:3以上~3:1以下、非常に特に好ましくは1:2以上~2:1以下の範囲内のNCO基とオレフィン性C=C二重結合とのモル比を有する。
【0052】
さらなる好ましい実施形態では、フリーラジカル架橋性樹脂はフリーラジカルスターターおよび/またはイソシアネート三量化触媒をさらに含む。フリーラジカル架橋性樹脂の粘度の望ましくない増加を防ぐために、フリーラジカルスターターおよび/またはイソシアネート三量化触媒を、本発明による方法の開始直前にのみ樹脂に添加してもよい。
【0053】
企図されるフリーラジカルスターターとしては、熱的および/または光化学的フリーラジカルスターター(光開始剤)が挙げられる。熱的および光化学的フリーラジカルスターターを同時に使用することも可能である。適切な熱的フリーラジカルスターターは、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジベンゾイルペルオキシド(DBPO)、ジ-tert-ブチル過酸化物および/またはペルオキソ二硫酸塩などの無機過酸化物である。
【0054】
光開始剤は、原則として、単分子型(I)と二分子型(II)の2種に区別される。適切な(I)型系は芳香族ケトン化合物、例えば、第三級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは列挙された種類の混合物である。さらに、(II)型開始剤、例えば、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α-アミノアルキルフェノン、α,α-ジアルコキシアセトフェノンおよびα-ヒドロキシアルキルフェノンもまた適切である。具体例は、Irgacur(登録商標)500(ベンゾフェノンと(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトンの混合物、Ciba、Lampertheim、DE製)、Irgacure(登録商標)819 DW(フェニルビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、Ciba、Lampertheim、DE製)またはEsacure(登録商標)KIP EM(オリゴ-[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)-フェニル]-プロパノン]、Lamberti、Aldizzate、Italy製)およびビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムである。これらの化合物の混合物もまた使用することができる。
【0055】
光開始剤は、使用される放射線源に対して確実に十分な反応性を有さなければならない。複数の光開始剤が市場で知られている。市販の光開始剤は全UV-VISスペクトルの波長範囲に及ぶ。光開始剤は、塗料、印刷インキおよび接着剤の製造において、また歯科分野においても用途が見出される。
【0056】
本発明による方法では、光開始剤は一般に、使用される硬化性オレフィン性不飽和二重結合含有成分の量に基づいて、0.01~6.0重量%、好ましくは0.05~4.0重量%、特に好ましくは0.1~3.0重量%の濃度で使用される。
【0057】
適切なイソシアネート三量化触媒は、原則として、イソシアネート基の付加を促進してイソシアヌレート基を生じさせ、したがって存在するイソシアネート含有分子を架橋させる全ての化合物である。
【0058】
適切なイソシアネート三量化触媒は、例えば単純な第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジンまたはN,N’-ジメチルピペラジンである。適切な触媒としては、英国特許第2221465号に記載の第三級ヒドロキシアルキルアミン、例えばトリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N-イソプロピルジエタノールアミンおよび1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、または英国特許第2222161号により公知の、第三級二環式アミン、例えばDBUと単純な低分子量脂肪族アルコールとの混合物からなる触媒系が挙げられる。
【0059】
イソシアネート三量化触媒として同様に適しているのは、複数のさまざまな金属化合物である。適切な例は、独国特許第3240613号に触媒として記載されている、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、セリウムもしくは鉛のオクトエートおよびナフテネート、またはそれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムもしくはバリウムの酢酸塩との混合物、独国特許第3219608号により公知の、10個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルカンカルボン酸、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸およびウンデシレン酸のナトリウム塩およびカリウム塩、欧州特許第0100129号により公知の、2~20個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式または芳香族のモノおよびポリカルボン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えば安息香酸ナトリウムまたは安息香酸カリウム、英国特許第1391066号および英国特許第1386399号により公知のアルカリ金属フェノキシド、例えばナトリウムフェノキシドまたはカリウムフェノキシド、英国特許第809809号により公知のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルコキシドおよびフェノキシド、欧州特許第0056158号および欧州特許第0056159号により公知の、エノール化可能な化合物のアルカリ金属塩および脂肪族または脂環式の弱カルボン酸の金属塩、例えばナトリウムメトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アセト酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸鉛およびナフテン酸鉛、クラウンエーテルまたはポリエーテルアルコールと錯化した塩基性アルカリ金属化合物、例えば、錯化ナトリウムまたはカリウムカルボキシレート、欧州特許第0033581号により公知のピロリジノン-カリウム塩、欧州特許出願公開第13196508.9号により公知の、チタン、ジルコニウムおよび/またはハフニウムの単核錯体または多核錯体化合物、例えばジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-2-エチルヘキサノエートおよびジルコニウムテトラ-2-エチルヘキソキシド、ならびにEuropean Polymer Journal,vol.16,147-148(1979)に記載の型のスズ化合物、例えばジブチルスズジクロリド、ジフェニルスズジクロリド、トリフェニルスタンナノール、トリブチルスズアセテート、トリブチルスズオキシド、スズオクトエート、ジブチル(ジメトキシ)スタンナンおよびトリブチルスズイミダゾレートである。
【0060】
イソシアネート三量化触媒は、本発明による方法において、個別に、または互いに任意の所望の混合物の形態で使用することができる。
【0061】
強調され得るイソシアネート三量化触媒は、クラウンエーテルまたはポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールなどの錯化剤および脂肪族置換スズ化合物またはホスフィンと組み合わせた、2~20個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0062】
本発明による方法において、イソシアネート三量化触媒は一般に、使用される硬化性成分の量に基づいて0.0005~5.0重量%、好ましくは0.0010~2.0重量%、特に好ましくは0.0015~1.0重量%の濃度で使用される。
【0063】
本発明による方法で使用を見出されるイソシアネート三量化触媒は、一般に、三量化反応の開始に必要な量でフリーラジカル架橋性樹脂に十分な溶解度を有する。したがって、イソシアネート三量化触媒の添加は、好ましくは溶媒の不在下で行われる。
【0064】
さらなる好ましい実施形態では、フリーラジカルスターターは、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールおよび/または2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウム(Ivocerin(登録商標))の群から選択され、
および/または
イソシアヌレート三量化触媒は、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、オクタン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン、および/またはトリブチルスズオキシドから選択される。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、樹脂中のNCO基対Zerewitinoff活性H原子のモル比は、500以上(好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上)である。NCO基対Zerewitinoff活性H原子のモル比は、NCO指数または係数としても知られている。Zerewitinoff活性H原子の適切な例としては、特に、O-H、N-HまたはS-H結合を有する化合物が挙げられる。Zerewitinoff活性H原子を有する化合物の割合を可能な限り少なくすると、その結果、工程III)の後のイソシアヌレート形成のためにより多くのNCO基が利用可能となる。
【0066】
代替として、またはそれに加えて、この条件は、樹脂が、Zerewitinoff活性H原子を有する化合物を樹脂の質量に基づいて20重量%以下(好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)の量で含有するように指定することによって表すことができる。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、硬化性成分は、200g/モル以上5000g/モル以下の数平均分子量Mnを有する。この分子量は、好ましくは300g/モル以上4000g/モル以下、より好ましくは400g/モル以上3000g/モル以下である。
【0068】
さらに好ましい実施形態では、工程IV)における、工程III)の後に得られた前駆体を、得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理する工程は、物体を60℃以上の温度に加熱する工程を含む。この温度は、好ましくは80℃以上250℃以下、より好ましくは90℃以上190℃以下である。工程IV)において選択された温度または選択された温度範囲は、例えば5分以上48時間以下、好ましくは15分以上24時間以下、さらに好ましくは1時間以上12時間以下に維持されてよい。
【0069】
さらに好ましい実施形態では、工程III)の後に得られた前駆体の表面および/または工程IV)の後に得られた物体の表面を、Zerewitinoff活性H原子を含む化合物と接触させ、前駆体および/または物体の周りの雰囲気中に天然の大気湿度として生じる水が排除される。未だ遊離のNCO基とこれらの化合物との反応において、表面の官能化を達成することができる。Zerewitinoff活性H原子を含む化合物は、例えば、浸漬、スプレー塗布または散布によって前駆体の表面と接触させることができる。さらなる可能性は、例えばアンモニアまたは水蒸気によって気相を介して接触することである。触媒により反応が促進されていてもよい。
【0070】
官能化剤として適切な化合物の例は、アルコール、アミン、酸およびそれらの誘導体、エポキシド、特にポリオール、例えば糖、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルカーボネートポリオールおよびポリエステルカーボネートポリオール、長鎖脂肪族アルコール、フッ素化または塩素化アルコールである。さらなる例は、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチレート、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリアセタールおよびポリアミンである。アミンもまた、尿素の特定の形成に使用することができる。
【0071】
長鎖アルキルアルコール、長鎖(第二級)アルキルアミン、脂肪酸、エポキシ化脂肪酸エステル、(ペル)フッ素化長鎖アルコールまたはそれらの混合物を使用することが好ましい。「長鎖」は、本明細書において、化合物の最も長い鎖中の6個以上の炭素原子、好ましくは8個以上の炭素原子、より好ましくは10個以上の炭素原子を意味すると理解されるべきである。変性ポリイソシアネートの製造は原則として公知であり、例えば欧州特許第0206059号および欧州特許第0540985号に記載されている。それは、好ましくは40℃~180℃の温度で行われる。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、本方法は以下の追加の特徴を有する:
-担体は容器の内側に配置されており、重力の方向に垂直に下降可能である、
-容器は、少なくとも担体および担体の上に堆積した架橋樹脂を覆うのに十分な量のフリーラジカル架橋性樹脂を含む、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て構成材料の最上層の上にフリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように、担体を所定の距離だけ降下させる、
-工程II)において、エネルギービームが、前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を露光および/または照射する。
【0073】
したがって、この実施形態は、ステレオリソグラフィー(SLA)の付加製造法を包含する。それぞれの場合において、担体は、例えば1μm以上2000μm以下の所定の距離だけ降下させることができる。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、以下の追加の特徴を有する:
-担体は容器の内側に配置されており、重力の方向とは反対に垂直に上昇可能である、
-容器はフリーラジカル架橋性樹脂を提供する、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て構成材料の最下層の下にフリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように担体を所定の距離だけ上昇させる、
-工程II)において、複数のエネルギービームが、前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を同時に露光および/または照射する。
【0075】
したがって、この実施形態は、複数のエネルギービームが、個別に制御可能なマイクロミラーのアレイを介した露光および/または照射によって提供される画像を生成する場合のDLP技術の付加製造を含む。それぞれの場合において、担体は、例えば1μm以上2000μm以下の所定の距離だけ上昇させることができる。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、以下の追加の特徴を有する:
-工程II)において、フリーラジカル架橋性樹脂が前駆体の個々の選択断面に対応する印刷ヘッドから塗布され、その後露光および/または照射される。
【0077】
したがって、この実施形態は、インクジェット法の付加製造法を包含し、本発明による触媒とは別であってもよい架橋性樹脂が1または複数の印刷ヘッドを介して選択的に塗布され、その後の、例えばUVランプを介した照射および/または露光による硬化は非選択的であってもよい。樹脂を塗布するための1つまたは複数の印刷ヘッドは、(改造された)インクジェット印刷法用の印刷ヘッドであってもよい。担体が、印刷ヘッドから離れるように移動可能に構成されていてもよく、または印刷ヘッドが、担体から離れるように移動可能に構成されていてもよい。担体と印刷ヘッドとの間の間隔移動の増分は、例えば、1μm以上2000μm以下の範囲内であり得る。
【0078】
この実施形態では、特に工程II)の少数回の繰り返しを通して、非常に薄い前駆体を構築することができる。この前駆体はまた、製造された物体のその後の使用において機能を満たす、担体としての基板上に構築することもできる。その場合、担体または基板の上に表面を塗布することを指すことが妥当となる。基板は、例えば乗り物の内部または外部の部品であり得る。したがって、この実施形態による本発明による方法は、塗装法と見なすこともできる。
【0079】
本発明は同様に、付加製造法における、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有し、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を有する硬化性化合物を含むフリーラジカル架橋性樹脂の使用に関し、
ここで、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内であり、
NCO基対イソシアヌレート基のモル比は、100:1以下1:2以上(好ましくは70:1以下1:1以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内であり、ならびに
オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比は100:1以下1:5以上(好ましくは70:1以下1:3以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内である。
【0080】
この使用の好ましい実施形態では、樹脂は、フリーラジカルスターターおよび/またはイソシアネート三量化触媒をさらに含む。フリーラジカルスターターが、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールおよび/または2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムの群から選択され、
および/または
イソシアヌレート三量化触媒が、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、オクタン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン、および/またはトリブチルスズオキシドから選択されることが好ましい。
【0081】
硬化性化合物に関しては、本発明による方法に関して前述したことと同じ考察および好ましい実施形態が本発明による使用に適用される。不必要な繰り返しを避けるために、再度の引用は行わない。さらに好ましい実施形態では、オレフィン性二重結合が、硬化性化合物中に少なくとも部分的に(メタ)アクリレート基の形態で存在し、さらに好ましい実施形態では、硬化性化合物がNCO末端ポリイソシアヌレートと、遊離NCO基に基づいてモル不足のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができることのみに留意されたい。
【0082】
使用のさらに好ましい実施形態では、付加製造法は、フリーラジカル架橋性樹脂の予め選択された領域の露光および/または照射を含む。付加製造法は、例えば、ステレオリソグラフィー工程またはDLP(デジタルライトプロセッシング)工程であってもよい。本文脈において「露光」とは、近赤外光と近紫外光の間の範囲(1400nmから315nmの波長)の光の作用を意味すると理解されたい。残りのより短い波長範囲は、用語「照射」、例えば遠紫外光、X線照射、ガンマ照射およびまた電子照射に含まれる。
【0083】
本発明はさらに、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有し、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性成分を含む樹脂の架橋によって得ることができるポリマーを提供し、ここで、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比は、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内である。
【0084】
ポリマーが、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有し、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性成分を含む樹脂の架橋によって得ることができるポリマーであり、
ここで、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下(好ましくは1:4以上4:1以下、より好ましくは1:3以上3:1以下)の範囲内であり、
NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上(好ましくは70:1以下1:1以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内であり、ならびに
オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上(好ましくは70:1以下1:3以上、より好ましくは50:1以下2:1以上)の範囲内であることが好ましい。
【0085】
架橋は、特に、C=C二重結合のフリーラジカル架橋とそれに続くNCO基の三量化(三量化副反応を含む)からなる二段階法を介して行われ、イソシアヌレート基を得ることができる。
【0086】
硬化性化合物に関しては、本発明による方法に関して前述したことと同じ考察および好ましい実施形態が本発明による使用に適用される。不必要な繰り返しを避けるために、再度の引用は行わない。好ましい実施形態では、オレフィン性二重結合が、硬化性化合物中に少なくとも部分的に(メタ)アクリレート基の形態で存在し、さらに好ましい実施形態では、硬化性化合物がNCO末端ポリイソシアヌレートと、遊離NCO基に基づいてモル不足のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応から得ることができることのみに留意されたい。
【0087】
[実施例]
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明するが、本発明をそれらに限定することを意図するものではない。
【0088】
表1および2に報告されているフリーラジカル架橋性樹脂の配合物を製造した。表中のデータは特記しない限り重量部に関する。Vで示された項目は比較実施例である。
【表1】
【表2】
【0089】
イソシアネート1:1,6-HDI三量体とヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物および以下の理想的構造:
【化1】
【0090】
イソシアネート2:NCO末端ポリエーテル変性HDIプレポリマー(Desmodur(登録商標)N 3100 Covestro Deutschland AG)
イソシアネート3:脂肪族ポリイソシアネート、低粘度HDI trimerisate(Desmodur(登録商標)N 3600 Covestro Deutschland AG)
イソシアネート4:イソホロンジイソシアネート(Desmodur(登録商標)I Covestro Deutschland AG)
イソシアネート5:ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくポリエーテルの脂肪族で、ほぼ直鎖状イソシアネート官能性プレポリマー(Desmodur(登録商標)XP 2617 Covestro Deutschland AG)。
【0091】
アクリレート1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(Sigma-Aldrichから入手した分析用品質)
アクリレート2:イソボルニルアクリレート(Sigma-Aldrichから入手した分析用品質)
光開始剤1:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;TPO(Sigma-Aldrichから入手)
光開始剤2:2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン;Darocur 1173(Sigma-Aldrichから入手)
抑制剤:BBOT:2,2’-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-(1,1-ジメチルエチル))ベンゾオキサゾール;UV遮断剤(Sigma-Aldrichから入手)
触媒:ジエチレングリコール中の酢酸カリウム+18-クラウン-6クラウンエーテル(Sigma-Aldrichから入手し、0.148gの酢酸カリウム+0.485gの18-クラウン-6エーテル+3.115gのジエチレングリコールの比率で混合した成分)。
【0092】
樹脂配合物Autodesk Standard Clear Prototyping Resin PR48を比較実施例V1に選択した。この樹脂配合物は、約40重量%の脂肪族ウレタンアクリレートEbecryl(登録商標)8210、約40重量%のエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートSartomer(登録商標)SR 494、光開始剤としてTPO、反応性希釈剤として約20重量%の単官能ウレタンアクリレートRahn Genomer(登録商標)1122およびUV遮断剤としてMayzo(登録商標)OB+(2,2’-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾオキサゾール))を含有する。
【0093】
特記しない限り、全ての列挙された配合物は、全ての成分をレシピにより与えられた順序で添加し、Thinky ARE 250 Speedmixer中で2000rpmで2分間混合した。
【0094】
本発明による配合物1および2ならびに比較実施例V1の配合物を使用して、Autodesk Ember DLPベースの3D印刷装置における引張試験用の標準的なS3テストバーを製造した。露光波長は405nmであった。テストバーの個々の層は引張方向と平行に配置した。層厚はそれぞれ50μmであった。露光時間は5秒/層であった。
【0095】
配合物1および2から製造された前駆体を続いて強制風乾キャビネット中で130℃において30分間加熱した。
【0096】
このようにして得られたテストバーは、以下の表3に報告されている特性を有していた。
【表3】
【0097】
本発明による実施例1および2は、比較実施例V1と比較すると、同等の破断点伸びで著しく高い引張強度を示す。
【0098】
本発明による配合物3~10および比較配合物V2およびV3をドクターナイフを用いて400μm厚の層としてガラス板上に被覆し、UVランプ(ガリウムドープ水銀灯およびアンドープ水銀灯)を用いて、線速度5.0m/分および放射線量1400mJ/cm2で予備硬化させた。その後、本発明による配合物3~10ならびに比較配合物V2およびV3から得られた前駆体を強制風乾キャビネット中で180℃において10分間加熱した。
【0099】
このようにして得られたコーティングについて、Fischer Technology Inc.、USAのFischerscope HC100C装置を用いて、微小硬さを測定し、DIN EN ISO 14577-1bに従って、力-押込み曲線を使用してマルテンス硬度測定し、表4に列記した。
【0100】
さらに、このようにして得られたコーティングの光学的外観を記載し、表4にも列記した。
【0101】
所与のUV線量で硬化した後、全てのサンプルは自己支持しており、すなわち、プレートを垂直に配置した後でも、ガラスプレートからのサンプルの流れは見えない。この自己支持は、本発明による物品の製造を可能にする迅速で十分な弾性率発生の指標である。
【表4】
【0102】
表4の結果は、本発明による成分を用いて、特に良好な結果および適合性の透明な硬化生成物が達成されることを明らかに示しているが、比較実施例はもろく、しばしば曇っている。比較実施例とは対照的に、本発明による混合物は、少なくとも1つの配合成分(この場合、イソシアネート1)中にイソシアネート基および二重結合担体を含有する。驚くべきことに、これは、ポリイソシアヌレートとポリ(メタ)アクリレート基とから形成される、他の点では不適合な(V2およびV3に示されるような)ネットワークの安定化をもたらす。
本発明は一態様において以下を提供する。
[項目1]
前駆体から物体を製造する方法であって、以下の工程:
I)フリーラジカル架橋樹脂を担体の上に堆積させて、前記前駆体の第1の選択断面に対応する、前記担体に接合された構成材料の層を得る工程、
II)前記構成材料の先に施工された層の上にフリーラジカル架橋樹脂を堆積させて、前記前駆体のさらなる選択断面に対応する、先に施工された層に接合された前記構成材料のさらなる層を得る工程、
III)前記前駆体が形成されるまで工程II)を繰り返す工程、
を含み、
少なくとも工程II)におけるフリーラジカル架橋樹脂の堆積が、前記前駆体の個々の選択断面に対応するフリーラジカル架橋性樹脂の選択された領域の露光および/または照射によって行われ、
前記フリーラジカル架橋性樹脂が、5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有し、
前記フリーラジカル架橋性樹脂が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合が存在する硬化性成分を含み、
前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下であること、ならびに
工程III)の後工程IV):
IV)工程III)の後に得られた前駆体を、前記得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理して、物体を得る工程、
がさらに実施されることを特徴とする方法。
[項目2]
イソシアヌレート基が前記硬化性成分中にさらに存在し、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、前記硬化性成分において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内であることを特徴とする、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記硬化性成分が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であることを特徴とする、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
前記硬化性成分が、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、
前記硬化性化合物において、NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であり、
前記硬化性化合物において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、ならびに
前記硬化性化合物において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内であることを特徴とする、項目3に記載の方法。
[項目5]
前記フリーラジカル架橋性樹脂がフリーラジカルスターターおよび/またはイソシアネート三量化触媒をさらに含む、項目1から4のいずれかに記載の方法。
[項目6]
少なくとも1種のフリーラジカルスターターが、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムおよびそれらの少なくとも2種の任意の組み合わせの群から選択され、
および/または
イソシアヌレート三量化触媒が、酢酸カリウム、クラウンエーテルと組み合わせた酢酸カリウム、ポリエチレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、ポリプロピレングリコールと組み合わせた酢酸カリウム、オクタン酸スズ、ナトリウムフェノキシド、水酸化カリウム、トリオクチルホスフィン、および/またはトリブチルスズオキシドから選択されることを特徴とする、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記樹脂において、NCO基対Zerewitinoff活性H原子のモル比が500以上であることを特徴とする、項目1~6のいずれかに記載の方法。
[項目8]
前記硬化性成分が、200g/モル以上5000g/モル以下の数平均分子量M
n
を有することを特徴とする、項目1~7のいずれかに記載の方法。
[項目9]
工程IV)における、工程III)の後に得られた前駆体を、前記得られた前駆体のフリーラジカル架橋樹脂中に存在するNCO基を少なくとも部分的にイソシアヌレート基に三量化するのに十分な条件下で処理する工程が、物体を60℃以上の温度に加熱する工程を含むことを特徴とする項目1~8のいずれかに記載の方法。
[項目10]
工程III)の後に得られた前駆体の表面および/または工程IV)の後に得られた物体の表面を、Zerewitinoff活性H原子を含む化合物と接触させ、前記前駆体および/または前記物体の周りの雰囲気中に天然の大気湿度として生じる水が排除されることを特徴とする、項目1~9のいずれかに記載の方法。
[項目11]
-前記担体が容器の内側に配置されており、重力の方向に垂直に下降可能である、
-前記容器が、少なくとも前記担体および前記担体の上に堆積した架橋樹脂を覆うのに十分な量の前記フリーラジカル架橋性樹脂を含む、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て前記構成材料の最上層の上に前記フリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように、前記担体を所定の距離だけ降下させる、
-工程II)において、エネルギービームが、前記前駆体の個々の選択断面に対応する前記フリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を露光および/または照射する、
ことを特徴とする、項目1~10のいずれかに記載の方法。
[項目12]
-前記担体が容器の内側に配置されており、重力の方向とは反対に垂直に上昇可能である、
-前記容器が前記フリーラジカル架橋性樹脂を提供する、
-各工程II)の前に、垂直方向に見て前記構成材料の最下層の下に前記フリーラジカル架橋性樹脂の層が形成されるように、前記担体を所定の距離だけ上昇させる、
-工程II)において、複数のエネルギービームが、前記前駆体の個々の選択断面に対応する前記フリーラジカル架橋性樹脂の層の選択された領域を同時に露光および/または照射する、
ことを特徴とする、項目1~10のいずれかに記載の方法。
[項目13]
-工程II)において、前記フリーラジカル架橋性樹脂が前記前駆体の個々の選択断面に対応する1または複数の印刷ヘッドから塗布され、その後露光および/または照射される、
ことを特徴とする、項目1~10のいずれかに記載の方法。
[項目14]
5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有するフリーラジカル架橋性樹脂の付加製造法における使用であって、
前記樹脂が、イソシアヌレート基、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性化合物を含み、
NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内であり、
前記硬化性化合物において、NCO基対イソシアヌレート基のモル比が、100:1以下1:2以上の範囲内であり、ならびに
前記硬化性化合物において、オレフィン性C=C二重結合対イソシアヌレート基のモル比が100:1以下1:5以上の範囲内である、
ことを特徴とする使用。
[項目15]
5mPa・s以上100000mPa・s以下の粘度(23℃、DIN EN ISO 2884-1)を有する樹脂の架橋によって得ることができるポリマーであって、
前記樹脂が、NCO基およびオレフィン性C=C二重結合を含む硬化性成分含み、
NCO基対オレフィン性C=C二重結合のモル比が、1:5以上5:1以下の範囲内である、
ことを特徴とするポリマー。