(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】セルフシール留め具および使用方法
(51)【国際特許分類】
F16B 15/00 20060101AFI20230125BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20230125BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20230125BHJP
F16J 15/14 20060101ALN20230125BHJP
【FI】
F16B15/00 J
F16J15/10 K
F16B43/00 C
F16J15/14 C
(21)【出願番号】P 2019532119
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 US2017066756
(87)【国際公開番号】W WO2018112384
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514062471
【氏名又は名称】エスアール システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ドラモンド スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウォルワース ヴァン ティー
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-173623(JP,A)
【文献】特開平11-317240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0305540(US,A1)
【文献】国際公開第2015/191770(WO,A1)
【文献】実開平07-014211(JP,U)
【文献】米国特許第05193958(US,A)
【文献】特表2017-517700(JP,A)
【文献】米国特許第3469490(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 15/00ー15/08
F16J 15/00ー15/14
F16B 43/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフシール留め具であって、
第1端部と第2端部との間で長手方向に延出し、外側表面を有する軸部と、
前記軸部の前記第1端部から径方向外側に延出し、前記軸部の前記第1端部に隣接する裏面と、前記裏面とは反対側の上面を有するヘッドと、
前記軸部周りに環状に延出するシーリングワッシャであって、前記ヘッドの前記裏面に対向する上面と、前記上面とは反対側の底面とを有する平板状のシーリングワッシャと、
前記軸部の前記第2端
部に隣接
する前記軸部の前記外側表面
の一部および前記ヘッドの前記裏面に設けられると共に、前記シーリングワッシャの前記上面および前記底面の少なくとも一方に設けられ、前記セルフシール留め具の装着後に防水シールを提供するためのマスチックシーラントと、
前記軸部の前記第2端部に設けられる頂部と、
を備えることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項2】
請求項
1に記載のセルフシール留め具において、
前記ヘッドは外縁を有し、
前記ヘッドの前記裏面は、前記軸部の前記第1端部周りに環状に延びる溝により規定される凹面と、前記凹面と前記外縁との間で径方向に位置する径方向平面とを有し、
前記マスチックシーラントは、前記ヘッドの前記裏面の前記径方向平面および前記凹面に設けられることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項3】
請求項1に記載のセルフシール留め具において、
前記軸部は、シャンク径を有し、
前記軸部は、前記第1端部に円錐状支持部を備え、
前記シャンク径は、前記ヘッドに近づくにつれ、前記円錐状支持部に沿って次第に増加
することを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項4】
請求項
3に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントは、前記軸部の前記円錐状支持部に設けられることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項5】
請求項1に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントは、第1シーラント層および第2シーラント層を備え、
前記第1シーラント層は、前記軸部の前記外側表面および前記ヘッドの前記裏面の少なくとも一方と直に接触し、
前記第2シーラント層は、前記第1シーラント層上に設けられることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項6】
請求項
5に記載のセルフシール留め具において、
前記第2シーラント層における前記マスチックシーラントは、前記第2シーラント層が前記第1シーラント層の周りに保護皮膜を形成するように、前記第1シーラント層における前記マスチックシーラントよりもより硬化することを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項7】
請求項
6に記載のセルフシール留め具において、
前記第2シーラント層における前記マスチックシーラントは、前記第1シーラント層における前記マスチックシーラントより高い粘度を有することを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項8】
請求項
5に記載のセルフシール留め具において、
前記第1シーラント層における前記マスチックシーラントは、前記第2シーラント層における前記マスチックシーラントとは異なることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項9】
請求項
5に記載のセルフシール留め具において、
前記第1シーラント層における前記マスチックシーラントは、第1シーラント層厚さを有し、
前記第2シーラント層は、前記第1シーラント層厚さの25%から50%に等しい第2シーラント層厚さを有することを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項10】
請求項1に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントは、前記軸部の前記第2端部に隣接する前記軸部の前記外側表面に設けられることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項11】
請求項1に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントは、シリコーン系シーラント、エラストマー系シーラント、コーキング材系シーラント、エポキシシーラント、石油副生成物シーラント、およびコールタールのうちの1つであることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項12】
セルフシール留め具であって、
第1端部と第2端部との間で長手方向に延出し、外側表面を有する軸部と、
前記軸部の前記第1端部から外縁まで径方向外側に延出し、前記軸部の前記第1端部に隣接する裏面と、前記裏面とは反対側の上面を有するヘッドと、
前記軸部周りに環状に延出するシーリングワッシャであって、前記ヘッドの前記裏面に対向する上面と、当該上面とは反対側の底面とを有する平板状のシーリングワッシャと、
環状溝により規定される凹面と、前記凹面と前記外縁との間で径方向に位置する径方向平面とを有する前記ヘッドの前記裏面と、
前記第1端部に隣接する前記軸部の前記外側表面に第1の厚さで設けられ、前記ヘッドの前記裏面の前記凹面に第2の厚さで設けられ、前記ヘッドの前記裏面の前記径方向平面に第3の厚さで設けられる
と共に、前記軸部の前記第2端部に隣接する前記軸部の前記外側表面の一部に設けられるマスチックシーラントと、
前記軸部の前記第2端部に設けられる頂部と、
を備えることを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項13】
請求項1
2に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントの前記第1の厚さ、前記マスチックシーラントの前記第2の厚さ、前記マスチックシーラントの前記第3の厚さは等しいことを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項14】
請求項1
2に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントの前記第2の厚さは、前記マスチックシーラントの前記第3の厚さより厚く、前記マスチックシーラントの前記第3の厚さは、前記マスチックシーラントの前記第1の厚さより厚いことを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項15】
請求項1
2に記載のセルフシール留め具において、
前記マスチックシーラントの前記第1の厚さは、前記マスチックシーラントの前記第2の厚さより厚く、
前記マスチックシーラントの前記第3の厚さは、前記マスチックシーラントの前記第2の厚さと等しいことを特徴とするセルフシール留め具。
【請求項16】
基体にセルフシール留め具を装着する方法であって、
前記セルフシール留め具は、
第1端部と第2端部との間で長手方向に延出し、外側表面を有する軸部と
、
前記軸部の前記第1端部から外縁まで径方向外側に延出し、前記軸部の前記第1端部に隣接する裏面と、前記裏面とは反対側の上面を有するヘッドと、を有し、
前記方法は、
マスチックシーラントの第1層を、前記セルフシール留め具の前記軸部
の前記第2端部に隣接する前記軸部の前記外側表面の一部および前記セルフシール留め具の前記ヘッドの前記裏
面に塗布し、
マスチックシーラントの前記第1層上に保護皮膜を形成するように、マスチックシーラントの前記第1層が完全に硬化する前に、マスチックシーラントの前記第1層上に、前記第1層の厚さの25%から50%に等しい厚さとなるマスチックシーラントの第2層を塗布し、
前記第2層が前記第1層の周りに前記保護皮膜を形成するように、前記第1層よりも前記第2層を硬化させ、このとき、マスチックシーラントの前記第2層は、マスチックシーラントの前記第1層よりも高い粘度を有しており、
前記セルフシール留め具の前記軸部を前記基体に押し込み、マスチックシーラントの前記第2層が、前記基体と接触する際に破れ、マスチックシーラントの前記第1層が、前記セルフシール留め具と前記基体との間に流入し、防水シールを形成可能とすることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年12月14日に出願されたアメリカ特許出願番号第15/842,090の優先権を主張すると共に、2016年12月15日に出願されたアメリカ仮出願番号第62/434,527の利益を主張する。上記各出願の開示事項は全て、本明細書内に援用される。
【0002】
本願開示は、一般に、くぎ、ねじ、ボルトのような留め具に関するものであり、より詳細には、セルフシール留め具およびセルフシール留め具の装着方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本願開示に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術にはあたらない。
【0004】
建築業界において、木材は、くぎ、ねじ、ボルトのような留め具を用いて固定されたり、挟持されたりすることがよくある。例えば、くぎ、ねじ、ボルトは、通常、屋根構造や木造建築において使用される。留め具の目的は、第1木製基体を貫通し、第2木製基体に進入し、第1木製基体を第2木製基体に固定させることである。留め具を第1木製基体および第2木製基体に貫通させると、水が漏れる可能性のある箇所を作り出すことになる。
【0005】
時間の経過につれ、木製基体は環境条件に暴露され、木製基体の繊維が変化する。凍結と融解、高温と低温という環境に長期間暴露されると、木質繊維はすっかり乾燥し、その結果、木材が実質的に収縮して、基体を固定している留め具から離れてしまう。環境に暴露されるという温度変化サイクルを繰り返すことによっても、木製基体の強度が下がる。さらに、風や嵐への暴露、および、木製建造物自体の沈下でさえも、木製基体間の確実な装着を維持するという留め具の能力を減少し得る。
【0006】
これらの理由により、木製基体の留め具は時間とともに緩くなり、台風および/または竜巻のような天候時に簡単に外れてしまうことが多い。もし、留め具が、木製基体間の確実な装着を維持する能力を完全に失ったら、構造体は損壊してしまう。しかしながら、たとえ留め具が天気事象時に木製基体間の確実な装着を維持するとしても、天気事象は、風と共に雨を伴うことが多いので、漏れが起こり得る。風は、屋根板、フェルト状のロール層、サイディングのような被覆材をしばしば取り除いてしまう。風により被覆材がいったん取り外されてしまうと、留め具のヘッドは、環境因子および環境条件に直に曝されてしまう。時間経過による木製基体の収縮により、水漏れが、留め具のヘッドの下から留め具の軸部の下側を介し構造体内部に浸透し、被害をもたらす可能性がある。
【0007】
留め具は、木造建築構造の防御の第一線である。しかしながら、建築物の主構造は、質よりもスピードに重きを置いた状態で建設されることが多い。というのは、建築工事請負業者の建築単価は、ほとんど常に、平方フィートに応じたものだからである。こういう理由で、工事請負業者は、速く建設するほど儲かる。したがって、建築を急ぐあまり、構造体の主たる枠組みに、建築技術の不手際がみられることが多い。例えば、多くの場合で、留め具が不適切に装着され、留め具の先端および/または留め具の軸部の一部分がむきだしになり、第2木製基体から飛び出してしまう。留め具のむきだしの先端および/または軸部は、多くの段階で問題となる可能性がある。留め具の先端および/または軸部がむきだしとなったのは、取付作業員が間違った箇所に留め具を装着したからかもしれない。また、留め具の先端および/または軸部がむきだしとなったのは、木製基体の木目のせいで、装着中に、留め具がずれてしまったことから起こったとも考えられる。また、留め具の先端および/または軸部がむきだしとなったのは、そもそも長すぎる留め具を使用したことから起こったとも考えられる。理由にかかわらず、留め具の先端および/または軸部がむきだしとなったままでは、水漏れの可能性が高くなる。もし、建築プロセスにおいて構造体を改良するとしたら、適切な留め具装着技術を犠牲にして建築速度を急ぐことを補償するために、材料および留め具を改良する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本セクションは、本願開示の概要を提示するものであり、その範囲全体又はその全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0009】
本願開示によれば、セルフシール留め具は、留め具と基体との間の漏れを抑制するのに提供される。セルフシール留め具は、第1端部と第2端部との間で長手方向に延出する軸部を有する。軸部は外側表面を有する。また、セルフシール留め具は、軸部の第1端部から径方向外側へ延出するヘッドを有する。ヘッドは、軸部の第1端部に隣接する裏面と、裏面とは反対側の上面を有する。マスチックシーラントが、軸部の外側表面およびヘッドの裏面のうちの少なくとも一方に設けられる。
【0010】
本願開示によれば、セルフシール留め具のヘッドは、軸部の第1端部から外縁まで径方向外側に延出する。ヘッドの裏面は、環状溝により形成される凹面と、凹面と外縁との間で径方向に位置する径方向平面を有する。マスチックシーラントは、第1端部に隣接する軸部の外側表面に第1厚さで設けられる。マスチックシーラントは、ヘッドの裏面の凹面に第2厚さで設けられる。最後に、マスチックシーラントは、ヘッドの裏面の径方向平面に第3厚さで設けられる。マスチックシーラントの第1、第2および第3厚さは、用途に応じて、互いに異なっても等しくてもよい。マスチックシーラントは、セルフシール留め具が基体に装着された後、セルフシール留め具と基体との間に防水シールを有利に提供する。
【0011】
また本願開示の別の側面によれば、セルフシール留め具の装着方法が提供される。この方法は、マスチックシーラントの第1層を、軸部およびヘッド裏面のうちの少なくとも一方に塗布し、マスチックシーラントの第2層を、マスチックシーラントの第1層が完全に硬化する前に、マスチックシーラントの第1層上に塗布することを含む。この工程の結果、マスチックシーラントの第2層は、マスチックシーラントの第1層上に保護皮膜を形成する。また、この方法は、マスチックシーラントの第2層が基体と接触すると破れるように、セルフシール留め具の軸部を基体に押し込む工程を含む。この工程の結果、マスチックシーラントの第1層が、セルフシール留め具と基体との間に流入し、セルフシール留め具と基体との間に防水シールを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の他の効果は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより、より良く理解されるにつれ、容易に了解されるだろう。
【
図1】本願開示に従って構成された例示的留め具の側面図であり、当該留め具は、ヘッドと、円錐状支持部を有する平滑な軸部とを有する。
【
図2】
図1に示される例示的留め具の底面斜視図である。
【
図3】
図1に示される例示的留め具の側面断面図である。
【
図4】
図1に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントが軸部の円錐状支持部およびヘッドの裏面に塗布されている。
【
図5】
図4に示される例示的留め具の底面斜視図である。
【
図6】
図4に示される例示的留め具の側面断面図である。
【
図7】
図1に示される例示的留め具の側面断面図であり、2層のマスチックシーラントが、軸部の円錐状支持部およびヘッドの裏面に塗布されている。
【
図8】
図7に示される例示的留め具の側面断面図であり、留め具は、第一基体および第二基体を貫通して延出する。
【
図9】
図1に示される例示的留め具の部分側面断面図であり、留め具は、第一基体に差し込まれている。
【
図10】
図4に示される例示的留め具の部分側面断面図であり、留め具は、第一基体に差し込まれている。
【
図11】本願開示に従って構成された別の例示的留め具の側面図であり、当該留め具は、ヘッドと、環状突起部および円錐状支持部を有する軸部とを有する。
【
図13】
図11に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の円錐状支持部およびヘッドの裏面に塗布されている。
【
図15】
図1に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間に位置する軸部の一部分に塗布されている。
【
図16】
図1に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間で、3つの別々のリング状に軸部に塗布されている。
【
図17】
図1に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第2端部に塗布されている。
【
図18】
図1に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、ヘッドの裏面と、軸部の第1端部および第2端部と、軸部の第1端部および第2端部の間で3つの別々のリング状で軸部と、に塗布されている。
【
図19】
図11に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間に位置する軸部の一部分に塗布されている。
【
図20】
図11に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間で、3つの別々のリング状に軸部に塗布されている。
【
図21】
図11に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第2端部に塗布されている。
【
図22】
図11に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、ヘッドの裏面と、軸部の第1端部および第2端部と、軸部の第1端部および第2端部の間で3つの別々のリング状で軸部と、に塗布されている。
【
図23】本願開示に従って構成された例示的留め具の側面図であり、当該留め具は、ヘッドと、平滑な軸部とを有する。
【
図24】
図23に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部およびヘッドの裏面に塗布されている。
【
図25】
図23に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間に位置する軸部の一部分に塗布される。
【
図26】
図23に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第1端部と第2端部との間で、3つの別々のリング状に軸部に塗布されている。
【
図27】
図23に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、軸部の第2端部に塗布されている。
【
図28】
図23に示される例示的留め具の側面図であり、マスチックシーラントは、ヘッドの裏面と、軸部の第1端部および第2端部と、軸部の第1端部および第2端部の間で3つの別々のリング状で軸部とに塗布されている。
【
図29】
図4に示される例示的留め具の側面図であり、ワッシャが軸部上に滑り込ませてある。
【
図30】
図29に示されるワッシャの上面斜視図であり、マスチックシーラントは、ワッシャの上面に塗布されている。
【
図31】
図29に示される例示的留め具およびワッシャの底面斜視図であり、マスチックシーラントは、ワッシャの底面と、軸部の円錐状支持部と、ヘッドの裏面とに塗布されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照し、セルフシール留め具1を説明する。いくつかの図面を通して、同じ符号は対応する箇所を示す。
【0014】
本願開示が完全なものとなり、当業者に発明の範囲を完全に伝えるように、実施形態を提示する。本願開示の実施形態の完全な理解のために、特定の部品、装置および方法の例示のような具体的詳細が多数記載される。当業者にとって、具体的な詳細を用いる必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形態で実装可能であり、また本願開示を限定するものと解釈すべきでないことは明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、公知の方法、公知の素子構造及び公知の技術は、詳細に記載されない。
【0015】
本明細書中で用いられる用語は、具体的な例示的実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される際、単数形は、明示されていない限り複数形も含むことを意図する。用語「備える」、「備えて」、「含んで」および「有して」は包括的であり、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定する。しかし、1以上の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/または群の存在または追加を排除するものではない。本明細書で記載される方法工程、プロセスおよび操作は、実行順序として詳細に特定されない限り、必ずしも記載または図示された特定の順序で実行を要するものと解釈されるべきではない。追加工程または代替工程が用いられてもよいことも理解されるであろう。
【0016】
要素または層が、他の要素または層「上に」ある、「に係合」、「に接続」または「に連結」すると記される場合、この要素または層は直接に他の要素または層上にあるか、係合、接続、または連結してもよい。または、介在要素または層があってもよい。一方、要素が、他の要素または層の「直接上に」ある、「に直接係合」、「に直接接続」または「に直接連結」すると記される場合、介在要素または層は存在しなくてよい。要素同士の関係を説明するのに使用される他の文言(例えば、「の間に」と「直接の間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様に解釈されるべきである。本明細書で用いられる際、用語「および/または」は1以上の関連づけられたリスト項目の全ての組み合わせを含む。
【0017】
第一、第二、第三等の用語が各種要素、部品、領域、層および/または切断面を説明するために本明細書で使用されるが、これらの要素、部品、領域、層および/または切断面はこれらの用語により限定されるものではない。これらの用語は、ある要素、部品、領域、層または切断面を他の領域、層または切断面から区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される際の「第一」「第二」のような用語および他の数に関する用語は、文脈で明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、下記で論じられる第一要素、部品、領域、層または切断面は、実施例の教示から逸脱することなく第二要素、部品、領域、層または切断面と称されることも可能である。
【0018】
「インナー」、「アウター」、「真下に」、「下に」、「下側の」「上に」、「上部に」等のような空間的に相対的な用語が、図示する際、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係の記載を容易にするために、本明細書で使われてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時または操作時における装置の異なる向きを包含するとしてもよい。例えば、図の装置がひっくり返ると、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上に」置かれるだろう。このように、例示の用語「下に」は上と下両方への向きを包含することが可能である。装置は他方向に向かされてもよい(90度回動または他の向きに)。本明細書で使用される空間関連記述子は適宜解釈される。
【0019】
図1から3を参照して、例示的留め具1は、軸部2およびヘッド5を含む。軸部2は、円錐状支持部4と頂部3との間に配置される。軸部2は、第1端部31と第2端部32との間で長手方向に延出する。円錐状支持部4は、軸部2の第1端部31に配置され、頂部3は軸部2の第2端部32に配置される。軸部2は、
図1から3に示される実施形態において、平滑で円筒形状の外側表面33を有する。
ヘッド5は、軸部2の第1端部31から径方向外側に外縁10まで延出する。ヘッド5は、軸部2の第1端部31に隣接する裏面34を有する。また、ヘッド5は、裏面34の反対側に上面35を有する。ヘッド5の裏面34は、軸部2の第1端部31周りに環状に拡がる溝9により形成される凹面7を有する。また、ヘッド5の裏面34は、凹面7と外縁10との間で径方向に位置する径方向平面8を有する。ヘッド5の裏面34の溝9は、円錐状支持部4から径方向平面8まで径方向に拡がる。径方向平面8は、軸部2に対して横方向に、ヘッド5の外縁10に向かって設けられる。外縁10は、軸部2に対して平行である。円錐状支持部4が軸部2の外側表面33に会合するところに転移点6がある。転移点6は、軸部2の外側表面33と円錐状支持部4との間の半径、面取り面または類似の形状であり得る。軸部2は、シャンク径Dを有する。シャンク径Dは、円錐状支持部4に沿って、転移点6からヘッド5の裏面34に向かうにしたがって次第に増加する。
【0020】
留め具1は、選択された原料ワイヤ径までワイヤを引き抜き加工することにより製作されてもよい。所望の原料ワイヤ径に達すると、供給ワイヤはヘッダー機に供給される。ヘッダー機はワイヤを金型に固定し、形成作業が行われる。限定的ではないが、第1の形成作業は、用途での要件に従い、特定の長さに原料ワイヤを切断する。また、第1の形成作業は、留め具1の第2端部32に頂部3を形成することを含んでもよい。第1の形成作業は、また、留め具1の第1端部31にヘッド5を形成することを含んでもよい。
【0021】
前述の第一の形成作業は、同時に行われても行われなくてもよい。いくつかの作業では、複数工程の形成プロセスを必要とする場合がある。通常、留め具1の形状の複雑さおよび/またはサイズにより、どれくらい多くの第1の形成作業が必要であるかが決まる。第1の形成作業の完了後、追加の第2の形成作業が必要かもしれない。第2の形成作業は、限定的ではないが、軸部2の外側表面33に環状構造を形成する工程、軸部2に分断溝を形成する工程、軸部2の外側表面33に筋状構造を形成する工程、留め具1に接着剤を塗布する工程、留め具1に特殊マーキング/識別記号を付与する工程、留め具1をコイル状および/または棒状に並べる工程を含む。
【0022】
図4から6を参照すると、マスチックシーラント11が、軸部の外側表面およびヘッドの裏面に設けられる。より詳細には、マスチックシーラント11は、軸部2の円錐状支持部4と、ヘッド5の凹面7と、ヘッド5の径方向平面8に塗布される。マスチックシーラント11は、セルフシール留め具1の装着後に防水シールとなる。マスチックシーラント11は、転移点6を越えては、ほとんど、または、全く軸部2に塗布されない。マスチックシーラント11は、
図4において点線で示される。しかしながら、この好適な実施形態において、マスチックシーラント11は、当然のことながら点線に隣接する留め具1の部分および表面の全周を覆う。この表現は、本願開示の図面全部を通して一貫して使われる。同様に、
図5に示される留め具1の部分および表面は、点在したり、斑点のように表されたり、または、ドットパターンとして塗布されるマスチックシーラント11で覆われるように見える。マスチックシーラント11は、ドット、線、または他の形状のパターンで塗布可能であるが、好適な実施形態のマスチックシーラント11は、そのパターンが描かれるように、留め具1の部分および表面の全部を覆うように塗布される。この表現は、本願開示の図面全部を通して一貫して使われる。
【0023】
以下で説明されるように、実施形態は、マスチックシーラント11をヘッド5の裏面34、軸部2の各部分、および/または留め具1の頂部3に塗布することを含む。追加の粘着性コーティングとして、マスチックシーラント11を留め具1に塗布することも可能である。
【0024】
図7および8を参照すると、マスチックシーラント11は、第1シーラント層12および第2シーラント層13の態様で塗布される。第1シーラント層12は、ヘッド5の裏面34および円錐状支持部4に塗布される。適切な乾燥時間の後、第2シーラント層13が第1シーラント層12上に塗布される。マスチックシーラント11の乾燥時間は、マスチックシーラント11の成分により変わる。実施例を通して、限定することなく、第2シーラント層13の適切な乾燥時間は、短くて1時間、長くて24時間であってもよい。したがって、マスチックシーラント11のうちで、あるものは他のものより短い時間で乾燥するものもある。第1シーラント層12は、第2シーラント層13を塗布する前に所定の乾燥時間が必要となる。しかし、第1シーラント層12は、第2シーラント層13を塗布する前に完全に乾燥している必要はない。第1シーラント層12は、第2シーラント層13が塗布される前に部分的に硬化することは必要である。というのは、第2シーラント層13は、第1シーラント層12上に保護皮膜を提供し、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11が完全に乾燥したり、硬化するのを防ぐからである。第1シーラント層12を部分的に硬化させる好適な時間は、マスチックシーラント11を完全に乾燥させたり、硬化させるのに必要な時間の5%以上40%以下である。第1シーラント層12のマスチックシーラント11は、5分以上10分以下の短い時間で皮膜を形成し、その時点で第2シーラント層13が塗布可能である。留め具1が基体14に装着されるまで、第1シーラント層12は部分的に硬化されたままであるが、第2シーラント層13は完全に乾燥・硬化される。第2シーラント層13は大気に暴露され、および/または、低レベルの硬化方法が施される。結果として、第1シーラント層12は、ヘッド5の凹面7、ヘッド5の径方向平面8および軸部2の円錐状支持部4に設けられる。第2シーラント層13は、第1シーラント層12と同一面に、実質的に第1シーラント層12を覆うように塗布される。
【0025】
第1シーラント層12および第2シーラント層13は、
図7において点線で示される。しかしながら、第1シーラント層12および第2シーラント層13は、点線に隣接する留め具1の部分および表面の全周を覆う。この表現は、本願開示の図面全部を通して一貫して使われる。第2シーラント層13は、第1シーラント層12を硬化しつづける大気および/または環境条件への暴露から、第1シーラント層12を遮蔽し、保護する。第1シーラント層12の塗布から第2シーラント層13の塗布の間の時間の長さは、制御された製造施設および製造ラインシステムにおいて比較的短い。しかしながら、第1シーラント層12および第2シーラント層13を備えて完成した留め具1が、エンドユーザに配送される時と、留め具1が装着される時との間の時間の長さは、比較的長い。したがって、第2シーラント層13は、第1シーラント層12のマスチックシーラント11が、製造と装着との間の比較的長い期間において弾性および柔軟性を維持することを確実にする。留め具1を1つ以上の基体14、15に装着する前には、第2シーラント層13におけるマスチックシーラント11の「硬化状態」および「粘度」は、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11の「硬化状態」および「粘度」より大きい。言い換えれば、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11は、比較的低い粘度および/または硬化状態を有する。一方、第2シーラント層13におけるマスチックシーラント11は、比較的高い硬化状態および/または比較的高い粘度を有する。例えば、これには限らないが、マスチックシーラント11はシリコン系であってもよい。シリコン系マスチックシーラント11の粘度は、重合度ともに変動する。マスチックシーラント11の重合度が上がれば上がるほど、マスチックシーラント11の分子量が高くなる。マスチックシーラント11の分子量が大きくなるほど、分子鎖が長くなる。分子鎖が長くなるほど、マスチックシーラント11の相対粘度が高くなる。マスチックシーラント11の相対粘度が高くなるほど、マスチックシーラント11はゆっくり流れる。マスチックシーラントの粘度は、0.65センチストークの粘度(水より薄い)を有する高流動性マスチックシーラントから、20,000,000センチストークを超える粘度を有するかなり濃い(チューイングガムより濃い)マスチックシーラントまで変化可能である。限定的ではない例として、第1シーラント層12は、10センチストーク以上200センチストーク以下の粘度を有してもよく、第2シーラント層13は、200センチストーク以上20,000,000センチストーク以下の粘度を有してもよい。第1シーラント層12および第2シーラント層13の粘度の具体的な範囲は変動するが、第1シーラント層12の相対粘度が、第2シーラント層13の相対粘度より小さいことが重要である。
【0026】
第2シーラント層13は、薄い層として塗布されてもよく、その際、第1シーラント層12の厚みの25%から50%と等しい厚みを有してもよい。結果として、第2シーラント層13は、第1シーラント層12としてより硬化していないマスチックシーラント11上に保護皮膜を形成する。第1シーラント層12は第2シーラント層13の直下にあり、留め具1に隣接する。
図8に示すように、留め具1が基体14、15に装着されると、第2シーラント層13の皮膜は破れ、第1シーラント層12のより硬化していないマスチックシーラント11をギャップ18に、および、基体14に対して流入させ、接着部と可撓性シールの両方を形成する。
【0027】
図7および8に示されるセルフシール留め具1の装着方法を説明する。この方法は、マスチックシーラント11の第1シーラント層12を、セルフシール留め具1の軸部2およびセルフシール留め具1のヘッド5の裏面34のうちの少なくとも1つに塗布する工程を含む。この方法は、続いて、マスチックシーラント11の第2シーラント層13がマスチックシーラント11の第1シーラント層12上に保護皮膜を形成するように、マスチックシーラント11の第1シーラント層12が完全に硬化する前に、マスチックシーラント11の第1シーラント層12上にマスチックシーラント11の第2シーラント層13を塗布する工程を有する。この方法は、続いて、マスチックシーラント11の第2シーラント層13が、基体14と接触すると破れるように、セルフシール留め具1の軸部2を基体14に押し込む工程を有する。マスチックシーラント11の第2シーラント層13が破れた結果、マスチックシーラント11の第1シーラント層12は、セルフシール留め具1と基体14との間に流入可能となり、防水シールを形成する。
【0028】
図9および10を参照して、留め具1は、基体14に装着される。時間の経過につれ、基体14は環境条件に暴露され、基体14の繊維が変化する。凍結と融解、および高温と低温の環境サイクルに長期間暴露されると、木質繊維はすっかり乾燥し、基体14は実質的に収縮し留め具1から離れ、ギャップ18を形成する。その結果、基体14の表面20は、留め具1の円錐状支持部4と密着しない。
【0029】
ほとんど全ての材料と同様に、木には熱電動率において特有の性質がある。木は生来的に、比較的高い多孔性を有するので、木の熱伝導率は比較的低い。したがって、木の熱伝導率は、木の密度が下がるのに比例して下がる。木の熱伝導率は、木の水分量が増えるのに比例して上がる。これらの関係は、また、木の温度が、木が暴露される環境条件により下がるのに比例して、木の強度は増すということを意味する。環境暴露の温度変化サイクルを繰り返すことにより、基体14における木の強度は下がる。
【0030】
材料の熱伝導率も、所定の材料の熱膨張係数により評価可能である。例えば、木の熱膨張係数は、木の種類によって変化し、木目の向きとともに変化する。本願開示の範囲は、木の種類や木目の向きの詳細な区別を必要としない。したがって、木製のたいていの基体の熱膨張係数は、華氏1度あたり、約0.0000028インチ以上0.0000030インチ以下である。これは、この関係に従い環境温度変化に比例して、基体14全体が膨張および収縮することを意味する。
【0031】
同様に、留め具1も、基体14が暴露されるのと同じ環境条件に比例して熱膨張および収縮する。好適な実施形態において、留め具1は鋼鉄から製造される。鋼鉄の熱膨張係数は、鋼鉄の具体的な種類およびグレードによって変わる。本願開示の範囲は、鋼鉄の種類またはグレードの詳細な区別を必要としない。したがって、大部分の鋼鉄の熱膨張係数は、華氏1度あたり、約0.0000063インチ以上0.0000070インチ以下である。これは、この関係に従い環境温度変化に比例して、留め具1全体が膨張および収縮することを意味する。
【0032】
留め具1の熱膨張係数と基体14のそれを比較する際にもっとも注目すべきことは、同一の環境条件に暴露された場合、留め具1は、華氏1度あたり、基体14のおよそ2倍膨張することである。留め具1は、基体14より高い密度および硬度を有するので、基体14の穴の内径面20は拡げられ、当初のサイズを超えて、事実上大きくなる。熱に関する環境条件が反対である場合、留め具1は、基体14の2倍の率でサイズが収縮する。しかしながら、基体14の相対的非弾性により押し広げられた穴のサイズは、軸部2の外側表面33に対してたいていは押し広げられたままであり、穴内径面20と軸部2の外側表面33との間にギャップ18が形成される。留め具1の軸部2と基体14の穴内径面20との直径の違いにより、水が浸入する可能性のある漏れ経路が形成される。
【0033】
同じ理由で、留め具1のヘッド5の裏面34と基体14との間に、同様の緩み経路および/または漏れ経路が生じる。留め具1のヘッド5は基体14に比較的同一平面となるよう埋め込まれるので、くぼみ17が形成され、留め具1のヘッド5と基体14との間に、当初は密接な面接触がある。しかし、時間の経過とともに、留め具1と基体14との間の熱膨張係数の差により密接な面接触が減少し、留め具1のヘッド5の裏面34と基体14との間に水が漏れる機会が生じる。これらの理由により、留め具1は時間とともに緩くなり、台風および/または竜巻のような天候時に基体14から簡単に外れてしまうかもしれない。留め具1が基体において固定された位置を維持する能力を完全に喪失した場合、留め具1の保持力は損なわれる。
【0034】
たとえ留め具1が天気事象時に基体14における固定位置を維持するとしても、天気事象は、風の影響と共にかなりの雨を伴うことがしばしばである。風の影響としては、屋根板、フェルト状のロール層、サイディングのような被覆材をしばしば取り除いてしまう。風により被覆材がいったん取り外されてしまうと、留め具1のヘッド5は、環境因子および環境条件に直に曝されてしまう。基体14の収縮により、水漏れが留め具1のヘッド5の下および下方の留め具1の軸部2に浸透する可能性がある。この水漏れは基体14および周りの構造に被害をもたらす可能性がある。
【0035】
例えば、屋根板を保持するのに使われる留め具1は、時間経過と共に上方に動いてしまうことでよく知られている。熱が屋根板を乾燥させ、留め具1を緩める。これはよく知られる懸案事項である。留め具1のヘッド5は、水がしみ込んだり、漏れたりするのを許容する。もし発見されなければ、屋根板は劣化し、断熱材にかびが生え、石膏ボードは破損する。寒い季節には、環境条件により水の結氷が促進され、基体14が劣化および分裂してしまう。さらに、留め具1が錆びてしまうこともあり得る。
【0036】
図10に示されるように、マスチックシーラント11は、留め具1と基体14との間の最初の防水シールを形成し、留め具1と基体14との間の水漏れを防止する。より具体的には、マスチックシーラント11は、留め具1が基体14に装着される間に、ギャップ21、22、23および24に流入し、埋める。基体14が時間経過と共に収縮・収縮する際、マスチックシーラント11はギャップ18でのシールを維持する。
【0037】
木は時間経過と共に収縮するので、留め具1と基体14の膨張・収縮により、留め具1は、実質的に基体14に対してより緩んだ位置になる。若干緩んだ状態では、基体14および留め具1は、ごく小さな増加分ずつ相対的に移動する。相対移動の小さな増加分は、留め具1の鋼鉄の熱膨張に対する基体14の木の環境熱膨張により生じる。この熱膨張差は、構造体が寒冷状況に曝されると反対になる。しかし、マスチックシーラント11は、時間経過しても弾性を保つ。留め具1および基体14の漸次増加する相対移動が起こると、マスチックシーラント11は、留め具1と基体14との間の防水シールを維持する。すなわち、留め具1および基体14の相対位置が静止位置で動かない場合、マスチックシーラント11により提供される防水シールは、比較的静的である。しかし、留め具1および基体14の漸次増加相対移動がある場合、留め具1と基体14との間のマスチックシーラント11により提供される防水シールは、比較的動的である。マスチックシーラント11の可撓性により、留め具1と基体14との間に漸次増加相対移動が起こっている間、防水シールが維持される。上記議論では、木製基体14および鋼鉄製留め具1に注目したが、これらの材料は例示にすぎず、当然のことながら限定することを意図しない。
【0038】
留め具1と基体14との間の漏れ経路となりうる経路を密閉することに加え、マスチックシーラント11は他の利益ももたらす。例えば、マスチックシーラント11は基体14に結合するので、セルフシール留め具1は、従来の留め具より向上した地震/振動耐性を有する。さらに、マスチックシーラント11で被覆された留め具1の部分および表面は環境(例えば、湿気)から保護され、錆びにくくなる。これにより、従来の留め具の寿命より留め具1の寿命が延びる。
【0039】
マスチックシーラント11は、均一の厚さで、留め具1の各部分および表面に塗布されてもよい。あるいは、マスチックシーラント11は、留め具1の表面のうちある表面ではより厚く塗布され、他の表面ではより薄く塗布されてもよい。
図4から6および10を参照して、マスチックシーラント11を、円錐状支持部4に第1の厚さで塗布し、凹面7に第2の厚さで塗布し、径方向平面8に第3の厚さで塗布してもよい。汎用留め具等のいくつかの特定の産業上用途において、円錐状支持部4に塗布されたマスチックシーラント11の第1の厚さが、凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さと等しく、凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さが、径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さと等しくなるように、マスチックシーラント11は比較的均一に塗布される。下記方程式Aは、この塗布シナリオによる表面4、7および8へのマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式A表面4=表面7=表面8
【0040】
水に曝される公知の構造物等の、他の特定の産業上用途において、マスチックシーラント11は、ある表面では他の表面に比べて意図的に厚く塗布される。例えば、凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さが、径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さより厚く、径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さが、円錐状支持部4に塗布されたマスチックシーラント11の第1の厚さより厚くなるように、マスチックシーラント11を塗布してもよい。下記方程式Bは、この塗布シナリオによる表面4、7および8へのマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式B表面7>表面8>表面4
【0041】
極端な環境熱暴露によって基体14が過度に収縮または縮小して、収縮ギャップ18を生じる設置等のさらなる特定の産業上用途において、留め具1が基体14の中に装着される際に、ワイピング作用が余分なマスチックシーラント11をヘッド5の裏面34に向かって上方に押して、円錐状支持部4に隣接する基体表面20をより多く確実に被覆するように、マスチックシーラント11を余分に円錐状支持部4に塗布することが望ましいかもしれない。例えば、円錐状支持部4に塗布されたマスチックシーラント11の第1の厚さが、凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さより厚く、凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さが、径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さと等しくなるように、マスチックシーラント11を塗布してもよい。下記方程式Cは、この塗布シナリオによる表面4、7および8へのマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式C表面7=表面8<表面4
【0042】
方程式AからCに示されるように、留め具1は、特定の産業上の要件に合致するように提示された、マスチックシーラント11の複数の様々な塗布膜厚のうちのいずれか1つを有してもよい。同一のマスチックシーラント11および同一の塗布方法を用いて、塗布膜厚を変えてもよい。あるいは、異なるマスチックシーラント11および/または異なる塗布方法を、留め具1の異なる表面に用いてもよい。
【0043】
マスチックシーラント11を塗布する塗布方法は、限定的なものではないが、ディッピング、塗布を防ぐために留め具1のある部分へのマスキング、ブラッシング、スプレー、静電スプレー、転写、シルクスクリーン、および他の同様の方法や技術を含む。これらの例にもかかわらず、本願開示の範囲は、当然のことながらマスチックシーラント11を塗布するのに用いられた方法に依存しない。
【0044】
マスチックシーラント11は、いくつかの容易に入手できるマスチックシーラントおよび/またはマスチックのような製品、例えば、シリコーン系シーラント、エラストマー系シーラント、コールタールおよび/または石油副生成物シーラント、コーキング材のようなシーラント、エポキシシーラント、および、時間が経過しても比較的弾性のある特徴を保つ他の同様な製品、のいずれかでもよい。
【0045】
図7および8を再度参照して、汎用留め具等のいくつかの特定の産業上用途において、第1シーラント層12は、円錐状支持部4、凹面7および径方向平面8上に比較的均一な厚さで留め具1に塗布されてもよい。下記方程式Dは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第1シーラント層12の厚さ比較を表す。
第1シーラント層12のための方程式D表面4=表面7=表面8
【0046】
水に曝される公知の構造物等の他の特定の産業上用途において、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11は、意図的に、留め具1の表面のうち、ある表面では厚く、他の表面では薄く塗布される。例えば、第1シーラント層12のマスチックシーラント11は、ヘッド5の径方向平面8よりも凹面7においてより厚く、かつ、ヘッド5の径方向平面8における第1シーラント層12のマスチックシーラント11は、円錐状支持部4よりも厚く塗布されてもよい。下記方程式Eは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第1シーラント層12の厚さ比較を表す。
第1シーラント層12のための方程式E表面7>表面8>表面4
【0047】
極端な環境熱暴露によって基体14が過度に収縮または縮小して、収縮ギャップ18を生じる設置等のさらなる特定の産業上用途において、留め具1が基体14の中に装着される際に、ワイピング作用により余分なマスチックシーラント11がヘッド5の裏面34に向かって上方に押し上げられるように、第1シーラント層12のマスチックシーラント11を余分に円錐状支持部4に塗布することが望ましいかもしれない。これにより、第1シーラント層12のマスチックシーラント11が確実に円錐状支持部4をより多く被覆する。例えば、凹面7および径方向平面8における第1シーラント層12のマスチックシーラント11の厚さは等しく、円錐状支持部4における第1シーラント層12のマスチックシーラント11の厚さ未満であってもよい。下記方程式Fは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第1シーラント層12の厚さ比較を表す。
第1シーラント層12のための方程式F表面7=表面8<表面4
【0048】
汎用留め具等のいくつかの特定の産業上用途において、第2シーラント層13を、留め具1の円錐状支持部4、凹面7および径方向平面8にわたって比較的均一な厚さで留め具1に塗布してもよい。下記方程式Gは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第2シーラント層13の厚さ比較を表す。
第2シーラント層13のための方程式G表面4=表面7=表面8
【0049】
水に曝される公知の構造物等の他の特定の産業上用途において、第2シーラント層13におけるマスチックシーラント11は、意図的に、留め具1の表面のうち、ある表面では厚く、他の表面では薄く塗布される。例えば、第2シーラント層13のマスチックシーラント11は、ヘッド5の径方向平面8よりもヘッド5の凹面7においてより厚く、かつ、ヘッド5の径方向平面8における第2シーラント層13のマスチックシーラント11は、円錐状支持部4よりも厚く塗布されてもよい。下記方程式Hは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第2シーラント層13の厚さ比較を表す。
第2シーラント層13のための方程式H表面7>表面8>表面4
【0050】
極端な環境熱暴露によって基体14が過度に収縮または縮小して、収縮ギャップ18を生じる設置等のさらなる特定の産業上用途において、留め具1が基体14の中に装着される際に、ワイピング作用により余分なマスチックシーラント11がヘッド5の裏面34に向かって上方に押し上げられるように、第2シーラント層13のマスチックシーラント11を余分に円錐状支持部4に塗布することが望ましいかもしれない。これにより、確実に第2シーラント層13のマスチックシーラント11により円錐状支持部4に隣接する基体14の表面をより多く被覆する。例えば、凹面7および径方向平面8における第2シーラント層13のマスチックシーラント11の厚さは等しく、円錐状支持部4における第2シーラント層13のマスチックシーラント11の厚さ未満であってもよい。下記方程式Iは、この塗布シナリオによる表面4、7および8への第2シーラント層13の厚さ比較を表す。
第2シーラント層13のための方程式I表面7=表面8<表面4
【0051】
第1シーラント層12および第2シーラント層13は、同一種類のマスチックシーラント11を有してもよいし、有さなくてもよい。上述のマスチックシーラント11の例のいずれも、第1シーラント層12および/または第2シーラント層13に対して用いてよい。同様に、第1シーラント層12および第2シーラント層13は、同一の塗布プロセスまたは異なるプロセスで塗布されてもよい。上述の例示的塗布プロセスのいずれも、第1シーラント層12および/または第2シーラント層13を留め具1に塗布するのに用いてもよい。さらに、第1シーラント層12の厚さは、留め具1の任意の位置において第2シーラント層13の厚さと同一であっても、同一でなくてもよい。上述の通り、第2シーラント層13の厚さは、留め具1の任意の位置において第1シーラント層12の厚さの25%から50%と等しくてもよい。
【0052】
さらに、第1シーラント層12の部分の硬化の相対的状態は、第2シーラント層13の対応箇所と同程度に硬化されてもよいし、されなくてもよい。上述の通り、第2シーラント層13が第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11を遮蔽および保護できるように、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11は、第2シーラント層13におけるマスチックシーラント11より低い硬化状態であってもよい。このような構成において、留め具1が基体14の中に装着される際、第2シーラント層13が破れ、第1シーラント層12におけるマスチックシーラント11は、被覆されて閉じ込められた状態から流出する。その結果、比較的乾燥していないマスチックシーラント11が第1シーラント層12から留め具1と基体14との間に流れ、防水シールを形成する。
【0053】
図11から14を参照すると、留め具1の軸部2は、軸部2の外側表面33周りに環状に延出する複数の環状突起部25のような表面処理を含んでもよい。
図13および14に示されるように、図示される実施形態において、マスチックシーラント11は、軸部2の円錐状支持部4と、ヘッド5の凹面7と、ヘッド5の径方向平面8に塗布される。しかし、マスチックシーラント11の塗布および/または箇所は、留め具1が軸部2に表面処理を有するかどうかに、必ずしも依存するわけではない。
【0054】
図15から22を参照すると、マスチックシーラント11は、留め具1の異なる箇所に塗布されてもよい。例えば、
図15および19に示されるように、マスチックシーラント11は、軸部2の第1端部31と第2端部32との間に位置する軸部2の部分にのみ沿って塗布されてもよい。あるいは、マスチックシーラント11は、軸部2の第1端部31と第2端部32との間に長手方向に互いに間隔を有して設けられる3つの環状の細片またはリング状に塗布されてもよい(
図16および20)。あるいは、マスチックシーラント11は、留め具1の頂部3に隣接する箇所で、軸部2の第2端部32に塗布されてもよい(
図17および21)。あるいは、
図18および22に示される別の実施形態において、マスチックシーラント11は、ヘッド5の裏面34と、円錐状支持部4と、軸部2の第2端部32と、軸部の外側表面33上との、軸部2の第1端部31および第2端部32の間で長手方向に離間した3つのリング状に塗布されている。
【0055】
図23から28を参照すると、留め具26は、軸部2およびヘッド5を備える。留め具26は、留め具1の円錐状支持部4を含まない。その代り、軸部2は、ヘッドの凹面7と留め具26の頂部3との間を長手方向に延出する。
図9に示されるように、ヘッド5の凹面7は、軸部2の第1端部31周りに環状に拡がる溝9により形成される。比較的平坦な径方向面8は、軸部2に対して相対的に横向きである。径方向平面8は、凹面7からヘッド5の外縁10まで径方向に延出する。
【0056】
マスチックシーラント11は、第1の厚さで軸部2の第1端部31と、第2の厚さでヘッド5の凹面7と、第3の厚さでヘッド5の径方向平面8に塗布される。マスチックシーラント11は
図24において点線で示されるが、マスチックシーラント11は、点線に隣接する留め具26の部分および表面の全周を覆う。この表現は、本願開示の図面全部を通して一貫して使われる。
【0057】
汎用留め具等のいくつかの特定の産業上用途において、マスチックシーラント11は、比較的均一な厚さで留め具26に塗布されてもよい。すなわち、軸部2の第1端部31に塗布されるマスチックシーラント11の第1の厚さ、ヘッド5の凹面7に塗布されるマスチックシーラント11の第2の厚さ、ヘッド5の径方向平面8に塗布されるマスチックシーラント11の第3の厚さは、等しい。下記方程式Jは、この塗布シナリオによる表面2、7および8へのマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式J表面2=表面7=表面8
【0058】
水に曝される公知の構造等の他の特定の産業上用途において、マスチックシーラント11は、意図的に、留め具26の表面のうち、ある表面では厚く、他の表面では薄く塗布されてもよい。例えば、マスチックシーラント11は、径方向平面8よりも凹面7において厚くし、軸部2の第1端部よりも径方向平面8において厚くしてもよい。すなわち、ヘッド5の凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さが、ヘッド5の径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さより厚く、ヘッド5の径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さが、軸部2の第1端部31に塗布されたマスチックシーラント11の第1の厚さより厚い。下記方程式Kは、この塗布シナリオによる表面2、7および8へのマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式K表面7>表面8>表面2
【0059】
留め具26が
図10に示される基体14に装着される装着シナリオにおいて、極端な環境熱暴露によって収縮および/または収縮が起こるかもしれない。もし起これば、収縮ギャップ18が結果として生じる。このようなシナリオにおいて、留め具26を基体14中に装着する前に、マスチックシーラント11を余分に留め具26に塗布することが望ましい。ワイピング作用により余分なマスチックシーラント11がヘッド5の裏面34に向かって上方に押し上げられる。これにより、マスチックシーラント11は、確実に、軸部2に隣接する基体表面20をより多く被覆する。このようなシナリオにおいて、マスチックシーラント11は、軸部2の第1端部31においてより厚く、凹面7および径方向平面8においてより薄くてもよい。これによりマスチックシーラント11の厚さは等しくなるかもしれない。すなわち、軸部2の第1端部31に塗布されたマスチックシーラント11の第1の厚さが、ヘッド5の凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さより厚く、ヘッドの径方向平面8に塗布されたマスチックシーラント11の第3の厚さが、ヘッド5の凹面7に塗布されたマスチックシーラント11の第2の厚さと等しい。下記方程式Lは、この塗布シナリオによるマスチックシーラント11の厚さ比較を表す。
方程式L表面7=表面8<表面2
【0060】
図23から28に示される留め具26は、産業上の具体的要件に合致するように提示された、マスチックシーラント11の複数の様々な塗布膜厚のうちのいずれか1つを有してもよい。同一または異なるマスチックシーラント11および同一または異なる塗布方法を用いて、塗布膜厚を変えてもよい。マスチックシーラント11を留め具26に塗布するのに適した塗布方法は、限定的ではないが、ディッピング、塗布を防ぐために留め具26のある部分へのマスキング、ブラッシング、スプレー、静電スプレー、転写、シルクスクリーン、および他の同様の方法や技術を含む。本願開示の範囲は、マスチックシーラントを留め具26に塗布するのに用いられた方法に依存しない。留め具26に塗布されるマスチックシーラント11は、いくつかの容易に入手できるマスチックシーラントおよび/またはマスチックのような製品、例えば、シリコーン系シーラント、エラストマー系シーラント、コールタールおよび/または石油副生成物シーラント、コーキング材のようなシーラント、エポキシシーラント、および、時間経過しても比較的弾性のある特徴を保つ他の同様な製品、のいずれかでもよい。
【0061】
図23から28に示される留め具26は、平滑な軸部2を有するが、これに代えて、
図11から14に示される環状突起部25のような表面処理をすることもできる。留め具26は、
図7および8に示される二層マスチックシーラントのような二層マスチックシーラント塗布をなされてもよい。マスチックシーラント11の塗布および/または箇所、および/または第1シーラント層12および第2シーラント層13の組合せは、留め具26が軸部2に施される表面処理の特徴を有するかどうかに依存しない。
【0062】
図29から31を参照すると、
図4から6の留め具1が、留め具1の軸部2上に取り付けられたシーリングワッシャ27と共に図示される。シーリングワッシャ27は、留め具1のヘッド5の裏面34に対向する上面28と、上面28の反対側の底面29とを有する。シーリングワッシャ27の利点の1つは、装着中に留め具1のヘッド5によって、基体14に対して、および/または、基体14中に押し込まれる際に、防水連結部を提供することである。マスチックシーラント30は、シーリングワッシャ27の上面28および底面29の少なくとも一方に塗布される。たいていの産業上用途において、シーリングワッシャ27を特定の向きで(すなわち、マスチックシーラント30が上面または底面にある状態で)留め具1に取り付ける必要がないように、マスチックシーラント30をシーリングワッシャ27の上面28および底面29の両面に塗布することが好ましい。
【0063】
上面28のマスチックシーラント30は、シーリングワッシャ27が留め具1の軸部2に取り付けられる際、ヘッド5の裏面34上のマスチックシーラント11と一体になる。シーリングワッシャ27上のマスチックシーラント30は、留め具1上のマスチックシーラント11と類似の材料および/または同一材料であってよいし、そうでなくてもよい。マスチックシーラント11、30は、同一でないとしても相溶性があり、シーリングワッシャ27と留め具1との間が密閉される。組み合わされたマスチックシーラント11、30の余剰分は、ギャップ18中と基体14表面上に押し出され、留め具1、シーリングワッシャ27および基体14の間の密閉性を向上させる。一体化したマスチックシーラント11、30は、ギャップ18の形成および/またはより一層の収縮にかかわらず、時間が経過しても弾性および可撓性を保つ。
【0064】
シーリングワッシャ27の上面28および底面29に塗布されたマスチックシーラント30の厚さは同様のものである必要はないが、そうである可能性はある。しかしながら、シーリングワッシャ27の上面28および底面29に塗布されたマスチックシーラント30の厚さは、留め具1に塗布されたマスチックシーラント11の厚さと必ずしも同じではない。シーリングワッシャ27は、当然のことながら金属、プラスチック、繊維、または他の多くの適切な材料の1つから製造可能である。マスチックシーラント30は、上述の塗布方法のいずれかを用いて、シーリングワッシャ27に塗布される。当然のことながらこれに代えて、シーリングワッシャ27は、例えば、
図24に示される留め具26と組み合わせ可能である。
【0065】
本発明の多くの変更および変形は、上記教示に照らして可能であり、添付の請求項の範囲内において、具体的に記載されるのとは異なる形で実施されてもよい。上記記載は、発明的新規性が実用性を発揮する任意の組合せを包含すると解釈されるべきである。本明細書に記載される方法に関して、工程の順番は、本願開示の範囲および添付の方法クレームから逸脱することなく、本明細書に記載される順番から逸脱してもよい。さらに、方法の各種工程は、順番に、または、時間的に同時に行われてもよい。