(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】食道の機械的変位のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20230125BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20230125BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B90/00
(21)【出願番号】P 2019538664
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(86)【国際出願番号】 US2018014467
(87)【国際公開番号】W WO2018136768
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-19
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オザ、ヴェーラル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンゼル、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ダオード、エミール
(72)【発明者】
【氏名】メータ、ニシャキ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0033415(US,A1)
【文献】特表2008-535556(JP,A)
【文献】特表2003-520068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0112248(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0261673(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空システム及び食道位置決め装置と共に使用するためのアセンブリであって、前記食道位置決め装置は、ハンドルと、前記ハンドルに連結された第1のセグメントと、関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続された第2のセグメントと、関節運動時に第1の位置と第2の位置との間で第1のセグメントに対して前記第2のセグメントを枢動させる関節運動駆動機構と、を含み、
前記第1のセグメントは、中心軸を有し、
前記第2のセグメントは、遠位端を有し、
前記遠位端は、前記第1の位置において前記中心軸に沿って配置され、前記第2の位置において前記中心軸から変位され、
前記遠位端は、前記第1の位置及び前記第2の位置において、前記関節運動ピボットピンから同じ距離を維持し、
前記アセンブリは、
イントロデューサーを備え、
前記イントロデューサーは、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされた軟質外側管であって、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含んでおり、前記本体は、前記軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置された複数の径方向真空孔と、前記外側管の前記本体内で前記近位端から前記遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を画定し、前記1つ以上の内部真空通路は、前記真空システムを介して食道壁に真空を適用するように前記複数の真空孔と流体連通している、前記軟質外側管と、
前記外側管の前記遠位端に位置する管先端部と、を含む、アセンブリ。
【請求項2】
前記管先端部が、軟質の円形輪郭を有する硬質ポリマー先端部を含み、前記先端部が前記外側管の前記遠位端に結合されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記イントロデューサーが、真空ポート本体と真空ポートキャップとを含む真空ポートを更に含み、前記真空ポート本体は、前記1つ以上の内部真空通路と流体連通している真空ラインフックアップを含み、前記真空ポート本体が、前記イントロデューサーと前記真空ポートキャップとの両方に結合されて気密シールを形成している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記真空ポート本体が、真空ポートバルブ及びレバーを更に含み、前記レバーが前記真空システムを制御する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記真空ポートキャップは、前記真空ポート本体に結合され、かつ前記食道位置決め装置のハンドルを前記外側管の前記近位端に選択的に連結するためのスナップ機構及びクイック解放ヒンジ機構を含んでいる、硬質ポリマーキャップを含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記イントロデューサーは、前記ピボットピンが前記イントロデューサー内で存在するであろう位置の近位に配置された複数の放射線不透過性マーカーを更に含み、前記複数の放射線不透過性マーカーが、前記位置から前記管先端部まで遠位方向に広がっている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記食道位置決め装置が前記イントロデューサー内に完全に受容されたとき、前記複数の真空孔の少なくとも一部が、前記食道位置決め装置の前記第2のセグメントを覆うように設計された前記外側管の少なくとも一部分に広がるよう、前記複数の真空孔が前記外側管の外側表面に沿って位置決めされている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記外側管
の剛性が前記外側管の前記本体に沿って変化するように、前記外側管がマルチデュロメータ材料を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記アセンブリと食道との間に真空シールが形成されている程度を示すためのフィードバック機構を更に含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
真空システムに動作可能に連結されるアセンブリを備え、
前記アセンブリは、食道位置決め装置を受容するようサイズ決めされたイントロデューサーを備え、
前記イントロデューサーは、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされた軟質外側管であって、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含んでおり、前記本体は、前記外側管の周囲で円周方向に離間配置された複数の真空孔と、前記外側管の前記本体内で前記近位端から前記遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を画定し、前記1つ以上の内部真空通路は、前記真空システムを介して食道壁に真空を適用するように前記複数の真空孔と流体連通している、前記軟質外側管と、
前記外側管の前記遠位端に位置する管先端部と、を含み、
前記食道位置決め装置は、
前記アセンブリに選択的に連結可能なハンドルと、
前記ハンドルに連結された第1のセグメントと、
関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続された第2のセグメントと、
関節運動時に第1の位置と第2の位置との間で第1のセグメントに対して前記第2のセグメントを枢動させる関節運動駆動機構と、を含み、
前記第1のセグメントは、中心軸を有し、
前記第2のセグメントは、遠位端を有し、
前記遠位端は、前記第1の位置において前記中心軸に沿って配置され、前記第2の位置において前記中心軸から変位され、
前記遠位端は、前記第1の位置及び前記第2の位置において、前記関節運動ピボットピンから同じ距離を維持する、機械的食道変位システム。
【請求項11】
前記第2のセグメントが、関節運動時に前記食道壁を約4センチメートル変位させるようサイズ決めされている、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項12】
前記管先端部が、軟質の円形輪郭を有する硬質ポリマー先端部を含み、前記先端部が前記外側管の前記遠位端に結合されている、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項13】
前記イントロデューサーが、真空ポート本体と真空ポートキャップとを含む真空ポートを更に含み、前記真空ポート本体は、前記1つ以上の内部真空通路と流体連通している真空ラインフックアップを含み、前記真空ポート本体が、前記イントロデューサーと前記真空ポートキャップとの両方に結合されて気密シールを形成している、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項14】
前記真空ポート本体が、真空ポートバルブ及びレバーを更に含み、前記レバーが前記真空システムを制御する、請求項13に記載の機械的食道変位システム。
【請求項15】
前記真空ポートキャップは、前記真空ポート本体に結合され、かつ前記食道位置決め装置のハンドルを前記外側管の前記近位端に選択的に連結するためのスナップ機構及びクイック解放ヒンジ機構を含んでいる、硬質ポリマーキャップを含む、請求項13に記載の機械的食道変位システム。
【請求項16】
前記イントロデューサーは、前記ピボットピンが前記イントロデューサー内で存在するであろう位置の近位に配置された複数の放射線不透過性マーカーを更に含み、前記複数の放射線不透過性マーカーが、前記位置から前記管先端部まで遠位方向に広がっている、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項17】
前記食道位置決め装置が前記イントロデューサー内に完全に受容されたとき、前記複数の真空孔の少なくとも一部が、前記食道位置決め装置の前記第2のセグメントを覆うように設計された前記外側管の少なくとも一部分に広がるよう、前記複数の真空孔が前記外側管の外側表面に沿って位置決めされている、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項18】
前記第2のセグメントが、遠位バンド積層アセンブリと、遠位バンドガードと、遠位ピボット保持器とを含み、前記遠位バンドアセンブリは複数の遠位バンドを収容し、前記バンドのうちの1つを除く全てが前記複数の遠位バンドの遠位端にスロットを有しており、前記1つのバンドは、前記遠位端にスロットではなく孔を有しており、前記遠位バンドガードは、前記複数の遠位バンドを通過するピンによって前記遠位バンドアセンブリを保持し、前記遠位ガードは丸みを帯びた先端部を有する、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項19】
前記第1のセグメントが、近位ピボット保持器と、関節運動駆動ケーブルと、複数の近位バンドを含む
近位積層バンドアセンブリと、を含み、前記近位ピボット保持器は、前記近位積層バンドアセンブリを収容し、前記近位ピボット保持器は、前記遠位ピボット保持器が各側に45度を超えて関節運動することを制限して、過度の並進移動による前記食道への損傷のリスクを防止する、請求項18に記載の機械的食道変位システム。
【請求項20】
前記第2のセグメントが、関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続されており、前記関節運動ピボットピンは、前記遠位ピボット保持器及び前記近位ピボット保持器の両方を接続し、それらが枢動することを可能にする、請求項19に記載の機械的食道変位システム。
【請求項21】
前記第2のセグメントが、関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続されており、前記関節運動駆動ケーブルが、前記ハンドルを介してユーザーからの入力を前記関節運動ピボットピンに伝達して、前記装置を左又は右に約45度関節運動させる、請求項20に記載の機械的食道変位システム。
【請求項22】
前記第2のセグメントは、関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続されており、前記関節運動
駆動ケーブルを前記ハンドルから前記関節運動ピボットピンにガイドする複数の近位バンドケーブルガイドを更に含み、前記複数の近位バンドケーブルガイドは、前記複数の近位バンドに沿って均等に離間配置されている、請求項21に記載の機械的食道変位システム。
【請求項23】
前記ハンドルが、
関節運動ハンドルケース半体及びロックハンドルケース半体を含む2ピースハウジング構造体と、
真空ポートキャップと連動かつ連結している複数のスナップフックと、を含み、
前記関節運動ハンドルケース半体は、前記複数の近位バンドと、前記関節運動駆動機構と、第1の方向に回転させると前記第2のセグメントを右に関節運動させ、第2の方向に回転させると前記第2のセグメントを左に関節運動させる、関節運動制御ノブと、を収容し、
前記ロックハンドルケース半体は、前記複数の近位バンドと、前記関節運動駆動機構と、ロック制御ノブと、を収容する、請求項22に記載の機械的食道変位システム。
【請求項24】
前記ハンドルが上部及び下部ハンドルバンド保持器を更に含み、前記上部及び下部保持器が、屈曲時の前記複数の近位バンドの並進移動を可能にするように、前記近位バンドのピン及びホール及びスロット機構を使用して前記複数の近位バンドの近位端を収容する、請求項23に記載の機械的食道変位システム。
【請求項25】
前記管先端部に1つ以上のセンサを更に含む、請求項24に記載の機械的食道変位システム。
【請求項26】
前記外側管
の剛性が前記外側管の前記本体に沿って変化するように、前記外側管がマルチデュロメータ材料を含む、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項27】
前記アセンブリと食道との間に真空シールが形成されている程度を示すためのフィードバック機構を更に含む、請求項10に記載の機械的食道変位システム。
【請求項28】
口又は鼻腔を介してヒトを除く動物である患者の食道内にアセンブリを挿入することであって、前記アセンブリは、
イントロデューサーを備え、
前記イントロデューサーは、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされた軟質外側管であって、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含んでおり、前記本体は、前記外側管の周囲で円周方向に離間配置された複数の真空孔と、前記外側管の前記本体内で前記近位端から前記遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を画定し、前記1つ以上の内部真空通路は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するように前記複数の真空孔と流体連通している、前記軟質外側管と、
真空ポート本体と、真空ラインフックアップと、真空ポートキャップと、を含む真空ポートと、
前記外側管の前記遠位端に位置する管先端部と、を含み、
前記真空システムを前記イントロデューサーの前記真空ラインフックアップに連結することと、
前記イントロデューサーの前記外側管を通じて食道位置決め装置を前進させることであって、前記食道位置決め装置は、ハンドルと、前記ハンドルに連結された第1のセグメントと、関節運動ピボットピンを介して前記第1のセグメントに枢動可能に接続された第2のセグメントと、関節運動時に第1の位置と第2の位置との間で第1のセグメントに対して前記第2のセグメントを枢動させる関節運動駆動機構と、を含み、前記第1のセグメントは、中心軸を有し、前記第2のセグメントは、遠位端を有し、前記遠位端は、前記第1の位置において前記中心軸に沿って配置され、前記第2の位置において前記中心軸から変位され、前記遠位端は、前記第1の位置及び前記第2の位置において、前記関節運動ピボットピンから同じ距離を維持し、
前記食道位置決め装置の前記ハンドルを前記イントロデューサーの前記真空ポートキャップにスナップ嵌めすることと、
前記真空システムを係合して、前記外側管の一部分を食道壁に接着することと、
前記関節運動駆動機構を関節運動させて、前記第2のセグメントを前記第1のセグメントの周りで前記第1の位置から前記第2の位置まで選択された角度に枢動させることと、を含む、機械的食道変位システムを使用する方法。
【請求項29】
前記選択された角度が45度である、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「Systems and Methods for Mechanical Displacement of an Esophagus」と題する2017年1月19日出願の米国特許仮出願第62/448,139号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、患者の食道の機械的変位と結びついた食道の真空吸引接着のための医療装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(「AF」)を経験している患者の数は、20年で1000万人まで増加することが予測されている。AFを有する患者を治療するコストは、毎年、2,000USドルから10,000USドルに及ぶ。AFを治療する最も有効かつ拡張的な方法は、カテーテルアブレーションと呼ばれる処置である。カテーテルアブレーションは、心臓の左心房内に配置されたカテーテルを通じてエネルギー(例えば、高周波及びクライオエネルギー)を送達するように設計される。アブレーションは、心臓細胞の破壊をもたらす。アブレーションの対象となる心臓の領域は、AFを引き起こす領域である。左心房内のこれらの領域は、食道から2~4ミリメートル以内にあり、したがって、大きな懸念は、アブレーションカテーテルからのエネルギーの放出が前方へと進み、食道を損傷させる可能性があることである。米国では、およそ103,000件のAFアブレーション処置が毎年実施され、また更に57,000件の処置が米国の外で実施されている。AFアブレーション処置の重大な合併症は、心房食道瘻をもたらす食道への損傷である。アブレーションエネルギーが心臓及び食道に炎症を起こさせることから、食道と心臓との間にこの連通が発生する。その後の治癒は、心臓(無菌器官)と食道(無菌でない器官)との間に孔/連通をもたらす。この連通は、心臓の感染及び脳卒中をもたらす恐れがある。心房食道瘻は患者の約0.6%で発生し、転帰はたいてい致死的であるか、又は有意な罹患率と関連する。更に、心房食道瘻の前駆病変は食道内の潰瘍であり、これもまた、食道の損傷に起因し、患者の約30%で発生する。したがって、電気生理学者、アブレーション処置を実施する医師は、食道への損傷を防止し、心房食道瘻を回避することについて非常に気にかけている。
【0004】
従来の治療法は、温度を監視するために、及び管腔食道温度に変化があったらアブレーションエネルギーの送達を中止するために、装置を食道に挿入することを含む。しかしながら、これらの装置は、アブレーションのエネルギー源から離れる方向に食道を変位させることができず、したがって、食道への損傷に対して保護するための能動的保護機構を提供しない。
【0005】
したがって、食道への損傷のリスクを低減するために、食道を変位させるための改善されたシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
食道の真空吸引接着及び機械的変位のための装置、システム、及び方法が提供される。特に、真空システム及び食道位置決め装置と共に使用するためのアセンブリが開示される。同様に、機械的食道変位システム、及び使用方法も開示される。
【0007】
食道は可撓性の筋肉器官であり、医療処置の間に移動させられることが多い。食道を移動させるために単に機械的な力が加えられると、器官の領域の実際の動き及び変位ではなくてむしろ、食道のテンティングが結果として生じ得る。より具体的には、機械的力は食道壁の前縁部を変位させるが、食道壁の後縁部は、あっても小さい距離しか移動しない。結果として生じた食道のテンティングにより、機械的変位は保護効果をもたらすことができない。本明細書で開示されるシステムは、食道壁を引きつけ、食道壁を円周の態様で接着するために、吸引真空を利用して均一な力を食道に適用する。この生理学的条件の下では、機械的力の適用と共に、食道の円周セグメント全体が変位され、食道の遅れる縁部又は後縁部は存在しない。一般に、食道は、アセンブリを介して食道位置決め装置の方向変化に従う。この方向変化は、放射線不透過性マーカーの使用により、医師がX線装置上で容易に可視化することができる。可視化は、医師に即時のフィードバックを提供する。食道をアブレーション場の外側に移動させることによって、AF処置は、食道への損傷のリスクを伴わずに比較的安全に進行することができ、操作者は、食道損傷の懸念なしに自信を持って標的領域をアブレーションすることができる。
【0008】
例示的なアセンブリは、真空システム及び食道位置決め装置(an esophageal positioning device esophageal positioning device)と共に使用するためのイントロデューサーを含む。食道位置決め装置は、ハンドルと、第1のセグメントと、第2のセグメントと、関節運動駆動機構と、を含む。第1のセグメントは、ハンドルに連結されている。第2のセグメントは、第1のセグメントに枢動可能に接続されている。関節運動駆動機構は、関節運動時に第2のセグメントを第1のセグメントの周りで枢動させるように構成されている。いくつかの実施形態では、第2のセグメントは、食道壁を関節運動時に約4センチメートル変位させるようサイズ決めされている。
【0009】
例示的なアセンブリのイントロデューサーは、軟質周期外側管、及び管先端部を含む。軟質外側管は、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされており、軟質外側管は、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含む。外側管の本体は、穿孔された外側表面と、外側管の本体内で近位端から遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を含む。いくつかの実施形態では、穿孔された外側表面は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置され、かつそこから半径方向に延在する、複数の真空孔を含む。複数の真空孔は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置されているため、複数の真空孔は管の複数の側面上に位置し、複数の方向から食道を吸引することができる。1つ以上の内部真空通路は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するために、複数の真空孔と流体連通している。管先端部は、外側管の遠位端に位置する。
例示的な機械的食道変位システムは、アセンブリ及び食道位置決め装置を含んでおり、アセンブリは、真空システムに動作可能に連結可能である。アセンブリは、軟質周期外側管と管先端部とを含むイントロデューサーを含む。軟質外側管は、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされており、軟質外側管は、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含む。外側管の本体は、穿孔された外側表面と、外側管の本体内で近位端から遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を含む。いくつかの実施形態では、穿孔された外側表面は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置され、かつそこから半径方向に延在する、複数の真空孔を含む。複数の真空孔は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置されているため、複数の真空孔は管の複数の側面上に位置し、複数の方向から食道を吸引することができる。1つ以上の内部真空通路は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するために、複数の真空孔と流体連通している。管先端部は、外側管の遠位端に位置する。
【0010】
例示的な機械的食道変位システムの食道位置決め装置は、ハンドルと、第1のセグメントと、第2のセグメントと、関節運動駆動機構と、を含む。第1のセグメントは、ハンドルに連結されている。第2のセグメントは、第1のセグメントに枢動可能に接続されている。関節運動駆動機構は、関節運動時に第2のセグメントを第1のセグメントの周りで枢動させるように構成されている。
【0011】
機械的食道変位システムを使用する例示的な方法は、口又は鼻腔を介して患者の食道内にアセンブリを挿入することを含む。アセンブリは、軟質周期外側管と、真空ポートと、管先端部と、を有するイントロデューサーを含む。軟質外側管は、口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされており、軟質外側管は、遠位端と、近位端と、管腔と、本体と、を含む。外側管の本体は、穿孔された外側表面と、外側管の本体内で近位端から遠位端に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路と、を含む。いくつかの実施形態では、穿孔された外側表面は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置され、かつそこから半径方向に延在する、複数の真空孔を含む。複数の真空孔は、軟質外側管の周囲で円周方向に離間配置されているため、複数の真空孔は管の複数の側面上に位置し、複数の方向から食道を吸引することができる。1つ以上の内部真空通路は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するために、複数の真空孔と流体連通している。管先端部は、外側管の遠位端に位置する。真空ポートは、真空ポート本体と、真空ラインフックアップと、真空ポートキャップと、を含む。
【0012】
例示的な方法は、イントロデューサーの外側管を通じて食道位置決め装置を前進させることを更に含み、食道位置決め装置は、ハンドルと、第1のセグメントと、第2のセグメントと、関節運動駆動機構と、を含む。第1のセグメントは、ハンドルに連結されている。第2のセグメントは、第1のセグメントに枢動可能に接続されている。関節運動駆動機構は、関節運動時に第2のセグメントを第1のセグメントの周りで枢動させるように構成されている。
【0013】
例示的な方法は、食道位置決め装置のハンドルをイントロデューサーの真空ポートキャップにスナップ嵌めすることと、真空システムを係合して外側管の一部分を食道壁に接着することと、関節運動駆動機構を関節運動させて第2のセグメントを第1のセグメントの周りで選択された角度に枢動させることと、を更に含む。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明において記載される。本開示の他の特性、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の理解を容易にし、かつ本開示を説明する目的のために、例示的な特徴及び実装が添付の図面に開示されているが、しかしながら、本開示は、図示された正確な配置及び手段に限定されるものではないことは理解され、また、類似の参照文字は、いくつかの図の全体を通して類似の要素を示す。
【0016】
【
図1】本開示による、例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0017】
【
図2】本開示による、
図1の機械的食道変位システムの例示的なアセンブリの斜視図である。
【0018】
【
図3】
図2のアセンブリの一部の斜視拡大図である。
【0019】
【0020】
【
図5】
図1の機械的食道変位システムの断面図である。
【0021】
【
図6】
図1の機械的食道変位システムの一部の拡大図である。
【0022】
【
図7】
図1の機械的食道変位システムの一部の斜視図である。
【0023】
【
図8】
図1の機械的食道変位システムの一部の斜視図である。
【0024】
【
図9】
図1の機械的食道変位システムの例示的な食道位置決め装置の斜視図である。
【0025】
【
図10】
図9の食道位置決め装置の一部の斜視拡大図である。
【0026】
【0027】
【0028】
【
図13】
図1の機械的食道変位システムの例示的な図であり、患者の食道を下へ前進させられている機械的食道変位システムを示す。
【0029】
【
図14】本開示による、
図1の機械的食道変位システムの近位バンド積層アセンブリの例示的な図であり、食道経路の方向で近位バンド積層アセンブリに適用されている力を示す。
【0030】
【
図15】本開示による、
図1の機械的食道変位システムの近位バンド積層アセンブリの別の例示的な図であり、食道経路の方向に垂直な方向で適用されている力を示す。
【0031】
【
図16】
図1の機械的食道変位システムの一部の上面図を示しており、第1の角度方向に位置付けられている食道位置決め装置を示す。
【0032】
【
図17】
図16の食道位置決め装置の一部の上面拡大図である。
【0033】
【
図18】
図1の機械的食道変位システムの一部の上面図を示しており、直線方向に位置付けられている食道位置決め装置を示す。
【0034】
【
図19】
図1の機械的食道変位システムの一部の上面図を示しており、第2の角度方向に位置付けられている食道位置決め装置を示す。
【0035】
【
図20】
図19の食道位置決め装置の一部の上面拡大図である。
【0036】
【
図21】本開示による、
図1の機械的食道変位システムの食道位置決め装置の一部の上面である。
【0037】
【
図22】
図1の機械的食道変位システムのハンドルの斜視図である。
【0038】
【
図23】
図1の機械的食道変位システムのハンドルの内部構成要素の斜視図である。
【0039】
【0040】
【
図25】
図1の機械的食道変位システムの別の例示的なアセンブリの断面図である。
【0041】
【
図26】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの上面図である。
【0042】
【
図27】
図26の例示的な機械的食道変位システムの斜視拡大図である。
【0043】
【
図28】
図26の例示的な機械的食道変位システムの上面拡大図である。
【0044】
【
図29】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0045】
【
図30】
図29の機械的食道変位システムの例示的なアセンブリの斜視図である。
【0046】
【
図31】
図29の機械的食道変位システムの部分の一部の斜視断面図(perceptive, cross sectional view)である。
【0047】
【
図32】
図29の機械的食道変位システムの部分の一部の正面図である。
【0048】
【
図33】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図(perceptive view)である。
【0049】
【
図34】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視断面図である。
【0050】
【
図35】本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
【0051】
【
図36】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0052】
【
図37】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0053】
【
図38】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0054】
【
図39】本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
【0055】
【
図40】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0056】
【
図41】本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
【0057】
【
図42】本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
【0058】
【
図43】本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下は、出願人の発明の主題のいくつかの例示の説明である。特定の用語は、本明細書において便宜のためにのみ使用されており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。図面中、同じ参照番号が、いくつかの図全体を通して同じ要素を指定するために用いられる。複数の実施例が提供されるが、それでもなお、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の修正を加えてもよいことが理解される。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、単数形「a」、「an」、「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」及びその変化形は、用語「含む(including)」及びその変化形と同義的に使用され、制限のない非限定的用語である。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、様々の実施形態を記載するために、本明細書において使用されているが、本発明のより具体的な実施形態を提示するために、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用することができ、やはり開示もされている。
【0060】
本発明は、これから本発明の特定の実施形態を参照して以下により十分に説明される。実際には、本発明は、多くの異なる形態で具体化されることができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適当な法的要件を満たすように提供されるものである。
【0061】
図1~
図25は、食道のセグメントの真空吸引接着を介して医療処置中に食道を機械的に変位させるための、本開示による機械的食道変位システム1の実施例を示す。
図1及び
図5に示すように、例示的な機械的食道変位システム1は、アセンブリ5及び食道位置決め装置13を含んでおり、アセンブリ5は、真空システム(図示せず)に動作可能に連結可能である。いくつかの実施形態では、アセンブリ5は、機械的食道変位システム1の使い捨て構成要素であり、アセンブリ5は、医療処置後に取り外される及び/又は交換されることができる1つ以上の使い捨てピースを含む。以下で更に詳細に論じるように、いくつかの実施形態では、食道位置決め装置13は、ハンドル105、第1のセグメント110、第2のセグメント115、関節運動ピボットピン16、及び関節運動駆動機構120を含む。第1のセグメント110及び第2のセグメント115は、例えば、直線構造であり得る。
【0062】
図2~
図5、
図13、
図25は、本開示による、使い捨てであるアセンブリ5の実施例を示す。例示的なアセンブリ5は、食道位置決め装置13を受容するようサイズ決めされているイントロデューサー2を含む。食道位置決め装置13は、システム1の再利用可能構成要素であってもよく、この食道位置決め装置は、イントロデューサー2が患者37の食道を下へ前進させられた後にイントロデューサーの管腔内に挿入される。しかしながら、いくつかの実施形態では、イントロデューサー2及び食道位置決め装置13は、単一の装置として製造され、この単一ピースアセンブリ5は、使い捨てであっても、繰り返し使用のために滅菌されるように設計されてもよい。患者37は、ヒト又は他の動物であり得る。
【0063】
図5に示すように、イントロデューサー2は、軟質外側管125を含む。いくつかの実施形態では、軟質外側管125は円筒形である。軟質外側管125は、口又は鼻腔を通って食道内へ入ることができるようサイズ決めされている。軟質外側管125は、遠位端130、近位端135、管腔137、及び本体140を含む。いくつかの実施形態では、本体140は、連続した内側表面145を含む。外側管の本体140は、外側管の全長にわたる、穿孔された外側表面150と、外側管125の本体140内で近位端135から遠位端130に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路21(
図4及び
図25を参照)と、を含む。いくつかの実施形態では、穿孔された外側表面150は、
図1~
図3に見られるように、軟質外側管125の周囲で円周方向に離間配置され、かつそこから半径方向に延在する、複数の真空孔3を含む。複数の真空孔3は、軟質外側管125の周囲で円周方向に離間配置されているため、複数の真空孔3は管125の複数の側面上に位置し、複数の方向から食道を吸引することができる。1つ以上の内部真空通路21は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するために、複数の真空孔3と流体連通している。外側管125、又はその部分は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)又はシリコーンのような軟質ポリマーから作製することができる。外側管125は、食道位置決め装置13が打ち勝つことが必要になり得る不要な剛性をシステム1に加えることがないほど十分な可撓性を有するが、イントロデューサー2を食道内に挿入している間に外側管125がひだになるほど可撓性が高すぎることはない。いくつかの実施形態では、外側管125は、食道内への導入を容易にし、かつ食道の外傷を最小限に抑えるために、潤滑性材料コーティング(例えば、ハイドログライド)を含む。
【0064】
外側管125は単一の材料から作製され得るが、いくつかの実施形態では、外側管125に沿って様々な部分で所望の剛性を達成するように、マルチデュロメータ外側管125が2種類以上の材料から作製される。いくつかの実施形態では、遠位端130は、より硬い材料、例えば、シリコーンとポリウレタンとの組み合わせ又は他の材料から作製され、一方、複数の径方向真空孔3を含む、遠位端130と近位端135との間の部分は、より柔軟な材料から作製される。より硬い遠位端130は、食道内への軟質外側管125の導入をより容易にする。複数の径方向真空孔3を含む部分のより柔軟な材料は、軟質外側管125のこの部分が折り畳まれることを可能にし、軟質外側管125の直径は小さくなり、食道の折り畳みを強化する。結果的に、これは、食道を心臓から更に離れる方向に移動させ、食道の軟質外側管125へのより良好な円周接着を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態では、アセンブリ5は、食道内への装置の進入を容易にするために、装置の少なくとも一部分上に伸縮機構を含み得る。食道内の所望の位置に入ると、伸縮部分は、装置全体を展開するように拡張し得る。
【0066】
上述のように、食道のセグメントは、真空吸引を介してイントロデューサー2に接着され得る。その目的のために、イントロデューサー2の穿孔された外側表面150は、外側表面150の周りで様々な位置に位置付けられ得る複数の径方向真空孔3を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の又は径方向の真空孔3は、管先端部4から約3~5インチの位置から始めて外側表面150に沿って位置付けられ、開始位置から約2インチの長さに広がっている。真空がアセンブリ5に連結され、有効になると、真空システムが、食道壁と外側管125との間に真空を生成することができるように、複数の孔3は、1つ以上の内部真空通路21と流体連通するように設計されている。流体連通は、直接的又は間接的であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の内部真空通路21は、遠位端130に向かって延びているが、遠位端130までは延びていない。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の内部真空通路21は、最遠位の径方向真空孔3の位置まで延びているが、これを超えて延びてはない。いくつかの実施形態では、1つ以上の内部真空通路21は、本体140の全長にわたって延びている。いくつかの実施形態では、1つ以上の内部真空通路21は、管腔137と軸方向に整列された空洞をそれぞれ又は共に画定する1つ以上の円筒リングを含む(図示せず)。いくつかの実施形態では、本体140は、1つ以上の内部真空通路21を含まないが、むしろ、複数の径方向真空孔3は管腔137と流体連通し、真空は、管腔137に適用されて、食道壁と外側管125との間に真空を生成する。外側管125の一部分を食道壁の一部分に接着するのに十分な吸引力を提供することができる任意の好適な真空システムが使用され得る。1つの好適な例示的な真空システムは、300ミリメートル水銀柱の吸引力を提供する真空ポンプである。いくつかの実施形態では、機械的食道変位システム1は、真空シールが食道に沿って形成されていることを、システム内の圧力の変化を測定することによって確認するために、マノメータなどのフィードバック機構を含む。
【0067】
図1~
図3、
図5、及び
図13に示すように、イントロデューサー2は、外側管125の遠位端130に位置する管先端部4を含むことができる。いくつかの実施形態では、管先端部4は、軟質の円形輪郭を有する硬質ポリマー先端部を含み、先端部は、外側管125の遠位端130に結合されており、管先端部4は閉鎖構造体である。管先端部4が食道通路と直接接触するように設計されているので、管先端部4は、食道を害しないように成形される。管先端部4は、例えば、半ドーム形状を含み得る。いくつかの実施形態では、管先端部4は閉鎖構造体であり、管腔ではない。
【0068】
図1、
図2、
図5、
図13に示すように、アセンブリ5は、真空ポート本体6及び真空ポートキャップ7を含む真空ポート155を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、真空ポートキャップ7は、真空ポート本体6に結合された硬質ポリマーキャップである。真空ポートキャップ7は、食道位置決め装置13のハンドルを外側管125の近位端135に連結する及びこれらを分離するために、スナップ機構形状及びクイック解放ヒンジ機構(図示せず)を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、真空ポート本体6は、1つ以上の内部真空通路21と流体連通している真空ラインフックアップ170を含む。真空ポート本体6は、イントロデューサー2及び真空ポートキャップ7の両方に結合されて、気密シールを形成し得る。いくつかの実施形態では、本体6は、真空ポートバルブ及びレバー(図示せず)を更に含み、レバーは真空システムを制御し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、イントロデューサー2は、ピボットピン16がイントロデューサー2内で存在するであろう位置180の近位に位置する複数の放射線不透過性マーカー(図示せず)を更に含む。いくつかの実施形態では、複数の放射線不透過性マーカーは、ピボットピン16が存在するであろうおよその場所の位置180から管先端部4の位置まで、イントロデューサー2の外側管125に沿って又はその内部で遠位方向に広がっている。いくつかの実施形態では、複数の放射線不透過性マーカーは、管先端部4から約4~6センチメートルの距離に広がっている。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーは、外側管125の全体にわたって存在する。
【0070】
上述のように、いくつかの実施形態では、食道位置決め装置13は、ハンドル105、第1のセグメント110、第2のセグメント115、関節運動ピボットピン16、及び関節運動駆動機構120を含む。いくつかの実施形態では、第2のセグメント115は、食道壁を関節運動時に約4センチメートル変位させるようサイズ決めされている。いくつかの実施形態では、第2のセグメント115は、4~6センチメートルの長さである。
図4~
図21に示すように、第2のセグメント115は、遠位バンド積層アセンブリ12、遠位バンドガード8、及び遠位ピボット保持器14を含み得、遠位バンドアセンブリ12は複数の遠位バンド185を収容する。
図7~
図8に示すように、遠位バンドガード8は、複数の遠位バンド185を通過するピン9によって遠位バンドアセンブリ12を遠位端190において保持する。遠位バンドアセンブリ12は、例えば、420ステンレス鋼又は硬質ポリマーを含む、様々な好適な材料から作製され得る。複数の遠位バンド185は、例えば、ばね鋼から作製され得る。遠位ピボット保持器14は、例えば、420ステンレス鋼又は17-4ステンレス鋼から作製され得る。複数の遠位バンド185は、溶接する、ピンを使用する、又は接着することによって、遠位ピボット保持器14に組み付けられ得る。バンド185が遠位端190において自由に屈曲するので、遠位バンド185は、遠位ピボット保持器14に堅固に取り付けられ得る。
【0071】
図7~
図8に示すように、いくつかの実施形態では、遠位バンド185のうちの1つを除く全ては、バンドが屈曲しているときにピンと干渉しないようにスロット195を遠位端に有する。上部又は外側バンドのいずれかである、1つの遠位バンド10は、スロット195ではなく孔200を含み、孔200は、複数の遠位バンド185が屈曲しているときにバンド10が摺動するのを制限する。孔200は、遠位バンドアセンブリ12の複数の遠位バンド185の位置を特定することを更に支援する。いくつかの実施形態では、遠位ガード8は、挿入時の外側軟質管125への損傷を防止するために、鋭い縁部のない丸みを帯びた先端部205を有する。
【0072】
図10~
図24に示すように、いくつかの実施形態では、第1のセグメント110は、近位ピボット保持器15、関節運動駆動ケーブル18、及び近位バンド積層アセンブリ19を含む。近位バンドアセンブリ19は、複数の近位バンド210を含む。近位ピボット保持器15は、近位積層バンドアセンブリ19を収容する。近位バンド210がハンドル105内の近位端215において自由に屈曲するので、近位バンド210は、近位ピボット保持器15に堅固に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、近位ピボット保持器15は、遠位ピボット保持器14が各側に選択された角度、例えば45度、を超えて、関節運動することを制限して、過度の並進移動による食道への損傷のリスクを防止する。
【0073】
図14~
図15に示すように、近位バンド積層アセンブリ19は、食道経路の方向225での可撓性を維持しながら、食道経路の方向に垂直な方向220(
図15)での剛性を提供し得る。可撓性は、食道によって提供される垂直力の方向において厚い本体を形成するように(
図15)互いに(one and other)積層されている薄いバンド(
図14)の使用によって維持され得る。
【0074】
遠位バンドアセンブリ12と同様に、近位バンド積層アセンブリ19は、例えば、420ステンレス鋼又は硬質ポリマーを含む、様々な好適な材料から作製され得る。複数の近位バンド210は、例えば、ばね鋼から作製され得る。関節運動ピボットピン16は、例えば、420ステンレス鋼又は17-4ステンレス鋼から作製され得る。関節運動ピボットピン16は、遠位ピボット保持器14及び近位ピボット保持器15の両方を接続し、それらが枢動することを可能にする。関節運動ピボットピン16は、近位ピボット保持器15に圧力嵌めされ、遠位ピボット保持器14によって緩い嵌合状態に保持され得る。
【0075】
図10~
図12、及び
図17~
図20に示すように、いくつかの実施形態では、機械的食道変位システム1は関節運動駆動ケーブル18を更に含む。このケーブル18は、ユーザーによって入力された力をハンドル105から関節運動ピボットピン16に伝達して、遠位バンドアセンブリ12及び近位バンドアセンブリ19が互いに平行である中立位置から左又は右45度に第2のセグメント110を関節運動させることができる。いくつかの実施形態では、機械的食道変位システム1は、装置がその中立位置から関節運動させられている距離を測定及び表示するフィードバック機構を含む。いくつかの実施形態では、ケーブル18は、直径およそ0.024インチであり、UHMW-PE、ベクトラン、又はオリオンなどの編組ステンレス鋼又はポリマーから作製される。いくつかの実施形態では、機械的食道変位システム1は、関節運動ケーブルクリンプ17を更に含む。
図16~
図20に示すように、ケーブルクリンプ17は、ステンレス鋼編組ケーブル18上に圧着及び摩擦嵌めされた、小さいボールであり得る。このクリンプ17は、システム1を関節運動させるために、左又は右に引かれたときに遠位ピボット保持器14と連動することができる機構をケーブル18上に提供する。ボールは、関節運動ケーブル18上に圧着及び摩擦嵌めされて、連動表面を提供し得る。いくつかの実施形態では、ケーブルクリンプ17に加えて又はその代替手段として溶接することにより、関節運動駆動ケーブル18は、遠位ピボット保持器14に連結される。一体的に形成される、化学的に結合される、又は機械的に若しくは磁気的に接合されるなど、関節運動駆動ケーブル18を遠位ピボット保持器18に動作可能に連結するために、他の種類の機械的の化学的な締結具が使用され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、機械的食道変位システム1は、関節運動ケーブル18をハンドル105から関節運動ピボットピン16にガイドする複数の近位バンドケーブルガイド20を更に含み、複数の近位バンドケーブルガイド20は、複数の近位バンド210に沿って均等に離間配置されている。近位バンドケーブルガイド20は、近位バンド210を整列した状態に維持しながら、依然としてバンド210が屈曲されたときに独立して滑動及び並進移動することを可能にするように、近位バンド210のうちの1つ以上に溶接又は結合され得る。近位バンドケーブルガイド20は、関節運動駆動ケーブル18を食道位置決め装置13の全長にわたって下へガイドすることを支援する。近位バンドケーブルガイド20は、近位バンド積層アセンブリ19に追加の剛性及び構造を提供しながら、依然として積層バンドアセンブリ19が屈曲することを可能にする。
【0077】
図1、
図9、
図13、
図22~
図24に示すように、食道位置決め装置13のハンドル105は、様々な構成要素を含み得る。
図22に示すように、いくつかの実施形態では、ハンドル105は、関節運動ハンドルケース半体22とロックハンドルケース半体23とを含む2ピース外側ハウジングを含む。いくつかの実施形態では、関節運動ハンドルケース半体22は、ポリマー又は金属から作製され得、例えば、直径およそ1.9インチ及び長さおよそ5インチであり得る。関節運動ハンドルケース半体22は、複数の近位バンド185、関節運動駆動機構120、及び関節運動制御ノブ25を収容し得る。いくつかの実施形態では、ロックハンドルケース半体23は、ポリマー又は金属から作製され得、例えば、直径およそ1.9インチ及び長さおよそ5インチであり得る。ロックハンドルケース半体23は、近位バンド185、関節運動駆動機構120、及びロック制御ノブ24を収容し得る。ロック制御ノブ24は、システム1に摩擦を加えるために、及び選択された関節運動角度でシステム1を完全にロックするために、捻られ得る。ロック制御ノブ24を反対方向に捻ると、関節運動駆動機構120が解放されて、関節運動駆動機構120は自由に動くことが可能になる。ノブ24は、例えば、全径およそ1インチであり得る。関節運動制御ノブ25は、第1又は第2の方向に回転され得る。いくつかの実施形態では、制御ノブ25を時計方向に回転させることは、アセンブリ5の管先端部4を右に関節運動させ得、一方、制御ノブ25を反時計方向に回転させることは、アセンブリ5の管先端部4を関節運動させ得る。関節運動制御ノブ25の直径は、例えば、およそ2インチであり得る。このように、関節運動制御ノブ25は、第1の方向に回転されたときに第2のセグメント115を右に関節運動させ、第2の方向に回転させたときに第2のセグメント115を左に関節運動させ得る。
【0078】
図22に示すように、食道位置決め装置13のハンドル105は、関節運動ハンドルケース半体22上に及び/又はロックハンドルケース半体23上に位置する1つ以上のスナップフック26を含み得る。スナップフック26は、ハンドル105をアセンブリ5の真空ポートキャップ7に連動及び連結させるために使用され得る。
【0079】
図23~
図24に示すように、食道位置決め装置13のハンドル105は、例えば、上部ハンドルバンド保持器27、下部ハンドルバンド保持器28、プーリ歯車29、ケーブルプーリ30、入力歯車31、近位バンドハンドル保持器ピン32、ロックコーンクラッチ33、関節運動入力シャフト34、関節運動入力シャフトブッシング35、及び関節運動プーリシャフトブッシング36を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、上部及び下部ハンドルバンド保持器27、28は、近位バンド185のピン、ホール、及びスロット機構を介して複数の近位バンド185の近位端215を収容して、バンド185が屈曲しながら並進移動することを可能にする。上部及び下部保持器27、28は、例えば、ポリマー又はアルミニウムから作製され得る。上部及び下部保持器27、28は、関節運動ハンドルケース半体22上及びロックハンドルケース半体23上に見られるリブ230によって、適所に保持され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、プーリ歯車29は、2つのピンを介してケーブルプーリ30に取り付けられている大きい歯車を含む。いくつかの実施形態では、プーリ歯車29は、ロック制御ノブ24及びプーリシャフト235と同心である。いくつかの実施形態では、プーリ歯車29は、直径が入力歯車31の直径よりもおよそ2~3倍大きい。
【0082】
いくつかの実施形態では、関節運動ケーブル18は、右側ケーブル18が上部プーリ孔250に取り付けられている状態で、ケーブルプーリ30に取り付けられている。関節運動ケーブル18は、ケーブルプーリ30のピンの周りにルーティングされ得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、入力歯車31は、関節運動制御ノブシャフト255に及びプーリ歯車29に取り付けられている小さい歯車である。入力歯車31は、食道位置決め装置13を関節運動させるときにシステム1のユーザーが必要とする入力トルク量を低減するために使用される。入力トルクは、所与のプーリ歯車29に対する入力歯車31の比に基づいて、例えば、2~3倍低下され得る。このように、いくつかの実施形態では、操作者は、ノブ24、25を制御するために、インチ当たり80オンスを超えるトルクを加える必要はないか、又はそうすることを制限される。例えば、いくつかの実施形態では、予め設定されたトルク(例えば、インチ当たり80オンス超)を操作者が関節運動制御ノブ25に加えると関節運動制御ノブ25がロック状態になるように、フェイルセーフ機構が用いられ得る。したがって、ノブ25のロックアウトは、操作者への損傷を回避するのに役立ち得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、近位バンドハンドル保持器ピン32は、近位バンド積層アセンブリ19、並びに上部及び下部ハンドルバンド保持器27、28と連動して、近位バンド185を適所に保持する。近位バンドハンドル保持器ピン32は、上部及び下部ハンドルバンド保持器27、28の部分を一緒に組み立てられるときに整列させる。保持ピン32は、近位バンド185内のスロットと1つを除いて整列し、これにより、バンド185は、屈曲時に互いに対して滑動することが可能となる。
【0085】
いくつかの実施形態では、ロックコーンクラッチ33は、ねじ260及び干渉リブ265を介してロック制御ノブ24に取り付けられ得る。ロックコーンクラッチ33は、ロックハンドルケース半体23のねじ山と連動するねじ山を外径上に含み得る。ロックノブ24が捻られると、例えば時計方向に捻られると、ロックコーンクラッチ33は内側に移動し、ケーブルプーリ30上のコーンシャフトと干渉し、これにより、ケーブルプーリ30がその現在位置で効果的に緩徐化されるか、又はロックされる。
【0086】
いくつかの実施形態では、関節運動入力シャフト34は、例えば、D字形である平坦面を有する。平坦な面は、止めねじを介しての入力歯車31との連動を可能にする。入力シャフト34は、例えば、直径およそ25インチであり得る。いくつかの実施形態では、関節運動入力シャフトブッシング35は、関節運動入力シャフト34が自由に回転することを可能にする。同様に、いくつかの実施形態では、関節運動プーリシャフトブッシング36は、関節運動プーリシャフト34が自由に回転することを可能にする。関節運動入力シャフトブッシング35及び関節運動プーリシャフトブッシング36は、ハンドル105構成要素の適切な位置合わせを維持するのに更に役立つ。
【0087】
いくつかの実施形態では、食道位置決め装置13は、ユーザーによって加えられ得るトルクを制限するためのクラッチ及び/又は力ゲージシステムを含む。いくつかの実施形態では、センサ(例えば、サーミスタ又は温度センサ)は、食道位置決め装置13の遠位端190に位置する。いくつかの実施形態では、食道位置決め装置13は、食道の様々な解剖学的位置において同時に温度の測定を可能にするように、装置に沿って複数のセンサ(例えば、サーミスタ及び/又は温度センサ)を含む。いくつかの実施形態では、サーミスタ、温度センサ、又は他のセンサは、コンピュータに動作可能に接続されており、コンピュータは、マッピング画面を介してイントロデューサー2及び/又は食道位置決め装置13の仮想画像を表示する。いくつかの実施形態では、サーミスタ、温度センサ、又は他のセンサは、リアルタイム撮像ディスプレイ(例えば、MRI、超音波(心内、経食道、又は経胸)撮像又はCT撮像)で装置を表示するために、したがって、解剖学的構造及び装置の三次元撮像を達成するために、使用される。いくつかの実施形態では、イントロデューサー2又は食道位置決め装置13は、X線上で食道を輪郭化及び可視化するために使用されるガストログラフイン注射又は他の物質を受容するためのポートを含む。いくつかの実施形態では、ラチェット関節運動制御ノブの反時計方向の1クリックが、操作者にとってどちらが望ましいかに応じて、左に15度の関節運動又は左に1.5cmの並進移動を引き起こすことができるように、ラチェット関節運動制御が提供される。いくつかの実施形態では、可聴クリックが、ノブに送達されている張力の量に関する操作者へのフィードバックとして提供される。いくつかの実施形態では、食道への過剰な力を防止するために、安全解放機構が食道位置決め装置13に組み込まれている。
【0088】
いくつかの実施形態では、食道位置決め装置13は、可視化技術と共に使用するための他の撮像装置を含む。このような撮像装置としては、例えば、カメラ付き光ファイバー光源、超音波撮像(例えば、ドップラー)などを挙げることができる。これらの撮像装置は、アブレーションエネルギーの適用前、適用中、及び適用後、並びに処置中の他の時点において、食道を可視化するために使用され得る。超音波撮像は、例えば、カテーテルなどの心内物体、経中隔技術/装置、心内血栓の評価、心房中隔欠損などの心内欠損の評価を見るために食道を通して可視化及び測定し、肺静脈装置を可視化/測定し、マッピング装置(例えば、多電極バスケット)を可視化/測定し、左心耳及び左心耳閉鎖装置を可視化/測定し、心膜内に配置された装置、及び他の心臓関連製品を可視化/測定するために、使用され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、遠位又は近位バンドアセンブリ12、19のバンド積層体は、異なる幅を有する。
図25は、異なる幅を有する近位バンド210を有する近位バンドアセンブリ19の実施例を示す。遠位又は近位バンド185、210の幅は、イントロデューサー2の外側管125のプロファイル形状に応じて剛性を最大化するように成形され得る。例えば、イントロデューサー2の外側管125のプロファイル形状が円形である場合、遠位又は近位バンド185、210は、バンド185、210のプロファイルが円の形状をとるように切断され得る。異なる幅の使用は、バンド185、210と、イントロデューサー2の外側管又はケーブルバンドガイド20と、の間のより空間効率的な相互作用を提供することができる。更に、近位アセンブリ19(又は遠位アセンブリ12)のバンドを異なる幅で切断することは、外側管又はケーブルバンドガイド20の内側表面と接触している材料の量が増加するので、システム1の剛性を増大させ得る。
【0090】
アセンブリ5の様々な部品について多くの材料が開示されているが、いくつかの実施形態では、アセンブリ5の全ての部品は、高度なマッピングシステムとの併用又はMRI処置室内での使用を可能にするために非鉄材料から作製される。
【0091】
また、機械的食道変位システム1を使用する方法も提供する。例示的な方法は、口又は鼻腔を介して患者37の食道内にアセンブリ5を挿入することを含む(
図13)。アセンブリ5は、軟質周期外側管125と、真空ポート155と、管先端部4と、を有するイントロデューサー2を含む。軟質外側管125は、患者の口又は鼻腔を通って食道内へ入るようサイズ決めされており、軟質外側管125は、遠位端130、近位端135、管腔137(
図4及び
図25を参照)、及び本体140を含む。外側管125の本体140は、穿孔された外側表面150と、外側管125の本体140内で近位端135から遠位端130に向かって距離を延ばす1つ以上の内部真空通路21と、を含む。いくつかの実施形態では、穿孔された外側表面150は、
図1~
図3に見られるように、軟質外側管125の周囲で円周方向に離間配置され、かつそこから半径方向に延在する、複数の真空孔3を含む。複数の真空孔3は、軟質外側管125の周囲で円周方向に離間配置されているため、複数の真空孔3は管125の複数の側面上に位置し、複数の方向から食道を吸引することができる。1つ以上の内部真空通路21は、真空システムを介して食道壁に真空を適用するために、複数の真空孔3と流体連通している。管先端部4は、外側管125の遠位端130に位置する。真空ポート155は、真空ポート本体6と、真空ラインフックアップ170と、真空ポートキャップ7と、を含む。いくつかの実施形態では、本体は、連続した内側表面145を含む。
【0092】
例示的な方法は、イントロデューサー2の外側管を通じて食道位置決め装置13を前進させることを更に含み、食道位置決め装置13は、ハンドル105と、第1のセグメント110と、第2のセグメント115と、関節運動ピボットピン16と、関節運動駆動機構120と、を含む。第1のセグメント120は、ハンドル105に連結されている。第2のセグメント115は、関節運動ピボットピン16を介して第1のセグメント110に枢動可能に接続されている。関節運動駆動機構120は、関節運動時に第2のセグメント115を第1のセグメント110の周りで枢動させるように構成されている。
【0093】
例示的な方法は、食道位置決め装置13のハンドル105をイントロデューサー2の真空ポートキャップ7にスナップ嵌めすることと、真空システムを係合して外側管125の一部分を食道壁に接着することと、関節運動駆動機構120を関節運動させて第2のセグメント115を第1のセグメント110の周りで選択された角度に、例えば約45度の角度に枢動させることと、を更に含む。
【0094】
図26は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムを示す。機械的食道変位システムは、食道変位装置の一部分の周囲に巻かれた可撓性コイル410を含む。上述の
図1に見られる実施形態と同様に、
図26の例示的な機械的食道変位システムは、食道を約4センチメートル、例えば、3.992センチメートル変位させることができる。
【0095】
図27は、
図26の例示的な機械的食道変位システムの斜視拡大図である。この図は、食道位置決め装置のセグメントをピンの周りで関節運動させるようにコイルに動作可能に連結されている関節運動ピンを強調している。
図28は、
図26の例示的な機械的食道変位システムの上面拡大図であり、この図は、例示的な寸法を強調している。
【0096】
図29は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。上述の
図1に見られる実施形態と同様に、
図29の例示的な機械的食道変位システムは、食道位置決め装置の対応のセグメントを関節運動させるためのプーリ及びケーブルを含む。
【0097】
図30は、
図29の機械的食道変位システムの例示的なアセンブリの斜視図である。この図は、放射線不透過性マーカー414を有する長い尾部412を有する外側管125を示す。
【0098】
図31は、
図29の機械的食道変位システムの一部の斜視断面図である。この図は、真空通路21及びアセンブリの孔を強調している。
【0099】
図32は、
図29の機械的食道変位システムの一部の正面図である。この図は、食道位置決め装置のセグメント間の接続を強調している。この図は、クレビス515、ピン516、ケーブル518、クリンプ517、溶接部518、上部プーリ半体514、及び下部プーリ半体516を含む。
【0100】
図33は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。この図は、釣竿610、アイレット612、シンチワイヤ614、及びケーブル618を有する食道位置決め装置を示しており、ケーブルはアンカー616を収容している。
【0101】
図34は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視断面図である。
図34の機械的食道変位システムは、アセンブリに動作可能に連結されたばね710を圧縮するように回転する食道変位装置を含む。
【0102】
図35は、本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
図35では、アセンブリは、折り畳み可能部分810を有する管825を含み、折り畳み可能部分810は、ガイドワイヤ及び/又は真空圧によって作動され得る。
【0103】
図36は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
図36の機械的食道変位システムは、シャフト910、912、右ねじ式ロッド914、及び左ねじ式ロッド916を介して関節運動を提供する食道変位装置を含み、右ねじ式ロッド914及び左ねじ式ロッド916は、軸方向に一緒に連結されている。左ねじ式ロッドに接続されたケーブル920が回転されると、シャフト910、912内のねじ式開口部922、924は、それぞれ、ねじ式ロッド914、916を上及び下に移動し、シャフト910、912の反対側端部にヒンジ接続された関節運動プレート918を傾斜させる。
【0104】
図37は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
図37の機械的食道変位システムは、ウォーム歯車1012を介して関節運動を提供する歯車駆動部1010を含む。
【0105】
図38は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
図38の機械的食道変位システムは、板ばね1112を介して関節運動を提供する歯車駆動部1110を含む。
【0106】
図39は、本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
図39では、アセンブリは、湿潤時に特定の形状に変形する材料から作製された、外側管125と同様の外側管1210を含む。
【0107】
図40は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
図40の機械的食道変位システムは、一組の軸線方向隆起部1314、1316をそれぞれ介して合致する上部セクション1310及び下部セクション1312を含み、軸線方向隆起部1314、1316は回転を防止する。上部セクション1310及び下部セクション1312は、ワイヤ1318を介して緩く接続されている。ワイヤ1318が引き上げられると、下部セクション1312は適所にロックされる。
【0108】
図41は、本開示による、別の例示的な機械的食道変位システムの斜視図である。
図40の機械的食道変位システムは、角度付き面1414、1416をそれぞれ有する2つのピース1410、1412を有する食道変位装置を含み、2つのピース1410、1412の間の角度は、回転時に、整列されている状態から直角の状態に変化する。
【0109】
図42は、本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
図42のアセンブリは、一方の側1514のみに可撓性部分1512を有するストロー状の管1510を含み、したがって、真空は、適用されると、アセンブリの一方の側1514を偏向させる。
【0110】
図43は、本開示による、別の例示的なアセンブリの斜視図である。
図43のアセンブリは、アセンブリを所与の方向に偏向させるゲル液体部分1610を含む。
【0111】
アセンブリを偏向させるための手段のうちのいくつかが上述されてきたが、アセンブリはまた、例えば、ばね、流体/空気充填容器、磁石などを含む、当該技術分野において既知の任意の他の手段を使用して関節運動され得ることに留意されたい。
【0112】
本発明の少数の例示的な実施形態が上で詳細に説明されてきたが、当業者は、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、全てのそのような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図され、これは、以下の特許請求の範囲及びその全ての等価物で定義される。更に、いくつかの実施形態の利点の全てを達成するわけではない多くの実施形態が想到され得るが、特定の利点の非存在は、そのような実施形態が本発明の範囲外であることを必ずしも意味すると解釈されるべきではないことが認識される。
【0113】
開示された方法、システム、及び装置のために使用され得る、これらと共に使用され得る、これらを調製するために使用され得る、又はこれらの生成物である、物質、システム、及び装置が開示される。これら及び他の構成要素が本明細書で開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの構成要素のそれぞれの様々な個々及び集合的な組み合わせ及び順列の具体的な言及は、明示的に開示されていない場合があるが、それぞれが具体的に企図され、本明細書に記載されることが理解される。