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特許7216657粒子の単離及び/又は調製のための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】粒子の単離及び/又は調製のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20230125BHJP
   G01N 15/02 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B01J19/00 N
G01N15/02 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019554808
(86)(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018058673
(87)【国際公開番号】W WO2018185199
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】PA201700244
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ソガールド,スティーン
(72)【発明者】
【氏名】スコービー,トミー,カーステン,ルンド
(72)【発明者】
【氏名】モーテンセン,アスマス,リングルベルグ
(72)【発明者】
【氏名】ガド,ジェンス,アンダーセン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-042313(JP,U)
【文献】特開2009-179843(JP,A)
【文献】米国特許第06551368(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02
B01J 14/00-19/32
B01J 8/00- 8/46
B01J 2/00- 2/30
F26B 1/00-25/22
B01D 46/00-46/90
B01D 23/00-35/04
B01D 35/08-37/08
G01N 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の単離及び/又は調製のための方法であって、
a)単離及び/又は調製される粒子を含む供給材料を、フィルター表面を有するフィルターが設けられたチャンバー中に提供し、前記供給材料が前記チャンバー中に入れられる前、その間又はその後に液体を導入して前記チャンバー中の前記材料に液体を含有させるステップと、
)前記供給材料は、濾液のための出口を通して前記液体を排出し、前記フィルター表面上に保持物を残すことによって濾過される、ステップと、
c)1つ以上のガスジェットをステップa)からの前記供給材料又はステップb)からの前記保持物に向かって方向付け、前記粒子の目標粒度分布が得られるように前記フィルター表面の前記保持物の側から前記材料をほぐすステップと、
d)前記ほぐされた材料を、ほぐされた材料のための出口を通して取り出すステップとを含み、
少なくとも1つのガスジェットは、前記チャンバーの内部でガス及び粒子の渦を形成することに寄与する、方法。
【請求項2】
c)少なくとも1つのガスジェットは、前記チャンバー内部で渦を形成することに寄与しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のガスジェットは、前記フィルター表面に向かう角度において、又は前記フィルター表面とほぼ平行な角度で前記チャンバーの中心に向かう角度において前記フィルター表面に向かって方向付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
d)前記ほぐされた材料は、前記1つ以上のガスジェットからの前記ガス中に浮遊され、且つ前記1つ以上のガスジェットの前記ガスにより、前記フィルター表面から、前記ほぐされた材料のための出口に運搬される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a)液体は、前記供給材料の提供前、その間中又はその後に導入され、少なくとも1つガスジェットは、濾過される材料の液体懸濁物の撹拌を提供する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
c)少なくとも1つのガスジェットからのガスの流れ(F)は、0.3・rmin~0.9・rminの半径rを有する円の接線方向に加えられ、
前記r min は、前記チャンバーの中心軸Cと内壁との間の最小距離である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
チャンバー(1)を含む装置であって、前記チャンバー(1)は、スラリーの形態の単離及び/又は調製される供給材料のための入口(2)と、液体のための入口と、フィルター表面(3)であって、その上に材料(8)が少なくとも前記装置の使用中に配置される、フィルター表面(3)を有するフィルターと、濾液のための出口(4)と、前記チャンバー(1)の壁を通した通路への開口部(5a)を含む、調製された粒子のための出口(5)と、前記フィルターの保持物側に配置される1つ以上のガス入口(6)であって、それを通してガスジェットが提供される、1つ以上のガス入口(6)とを含む、装置において、前記1つ以上のガス入口(6)は、ガスジェットの形態のガスの流れ(F)を前記フィルター表面(3)上の前記材料(8)に向かって方向付け、それにより前記粒子の目標粒度分布が得られるように前記フィルター表面から前記材料をほぐすように構成され、
少なくとも1つのガス入口(6)は、前記チャンバー(1)の内部でガス及び粒子の渦を形成するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
1つ以上のガス入口(6)は、前記フィルター表面(3)から距離h内において、前記フィルター表面(3)とほぼ平行なガスジェットの形態のガスの流れ(F)を方向付け、且つ前記チャンバーの中心(C)であって、前記チャンバー(1)の中心軸として画定される中心(C)から十分に離れて前記ガスの流れ(F)を方向付けて、前記材料(8)が浮遊されたときに前記チャンバー(1)の内部で渦を形成するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記チャンバー(1)は、円筒状若しくは円錐台状に形成されるか、又は前記チャンバー(1)は、楕円形断面を有するか、又は前記チャンバー(1)の断面は、90°以下の角度を有するコーナーを有さない、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
乾燥ガスのための前記入口(6)は、前記チャンバー(1)の前記中心軸Cと内壁との間の最小距離rminよりも小さく、且つ0よりも大きい半径rを有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成される、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ガスのための前記入口(6)は、0.3・rmin~0.9・rminの半径rを有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成され、
前記r min は、前記チャンバーの中心軸Cと内壁との間の最小距離である、請求項7~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記チャンバー(1)は、前記フィルター表面(3)から種々の距離に配置される、乾燥生成物(5a)のための2つ以上の開口部(5a)を含み、且つ/又は前記チャンバー(1)は、1つ以上の開口部(5a)であって、軸方向に移動され、それにより前記出口(5)の前記開口部と前記フィルター表面(3)との間の距離を変動させることができる1つ以上の開口部(5a)を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記チャンバー(1)は、前記中心軸Cから種々の距離に配置される、乾燥生成物(5a)のための2つ以上の開口部(5a)を含み、且つ/又は前記チャンバー(1)は、1つ以上の開口部(5a)であって、半径方向に移動され、それにより前記出口(5)の前記開口部と前記チャンバー(1)の前記中心軸Cとの間の距離を変動させることができる1つ以上の開口部(5a)を含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
液体のための入口(2)を含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記チャンバー(1)は、ガスのための2つ以上の接線方向の入口(6)を含む、請求項7~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記チャンバー(1)の前記中心Cに方向付けられたガスジェットのための入口(9)がさらに設けられる、請求項7~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記入口(6)は、前記フィルター表面(3)に最も近い前記チャンバー(1)の末端において、任意選択的に前記フィルター表面(3)の上方の高さhにおける前記チャンバー(1)の前記壁を通して配置される、請求項7~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
ガスのための出口(7)は、前記チャンバーの前記中心において又はその中心を外して、前記フィルター表面(3)の上方に開口部を有して配置される、請求項7~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
2つ以上のチャンバー(1)を含む、請求項7~18のいずれか一項に記載の浮遊材料の単離及び/又は調製のための装置。
【請求項20】
目標乾燥度及び目標粒度分布を得るために、単一チャンバー(1)中又は複数の並列のチャンバー中のほぐされた粒子状材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを制御する方法であって、請求項7~19のいずれか一項に記載の装置を用いる方法。
【請求項21】
チャンバー(1)中又は複数の並列のチャンバー中のほぐされた粒子状材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを、渦を引き起こす少なくとも1つガスジェット(6)を提供し、且つ次に、前記ほぐされた粒子状材料の目標乾燥度及び目標粒度分布が得られるように前記ガスジェットの温度、前記チャンバー(1)中の前記ほぐされた粒子状材料の保持時間、ガス流の速度及び流入ガスの量を制御することによって制御する方法であって、請求項7~19のいずれか一項に記載の装置を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の単離及び/又は調製が単一チャンバー中又は例えば2つの連続するステップにおける複数の並列の単一チャンバー中で行われる装置及び方法に関する。チャンバー中の材料の内部移動のため、単離及び/又は調製中に材料の粉砕が生じ得る。この装置は、あらゆる特定の物質、すなわち固体の無機又は有機化合物をあらゆる液体、例えば水、又は有機溶媒、又は混合物から濾過し、続いて、得られた材料又は粒子を同じチャンバー中で乾燥及び粉砕するために使用され得る。この装置は、このような粒子が頻繁に取り扱われ、及び閉じ込められ且つ一体化された濾過、乾燥及び粉砕プロセスが特に歓迎される化学産業、製薬産業又はバイオテクノロジー産業に有用である。この装置は、自動化に適合され得る。
【背景技術】
【0002】
広範な単離及び濾過装置が既に存在する。典型的には、ファインケミカル産業及び製薬産業に使用される濾過装置は、多くの場合、バッチ方式で動作し、許容できるサイクル時間内で固体の懸濁液から液体の必要な除去を行うために非常に大きいフィルター表面積を必要とする。したがって、一般に、周知のバッチプロセスの代わりに使用される連続プロセスを提供するか、又は代わりに各バッチプロセスの保持時間を短縮するか若しくは濾過、乾燥及び粉砕などの一連のバッチプロセスを集約するかのいずれかが望ましい。
【0003】
国際公開第2015/033117号パンフレットは、5つの等間隔の円筒形チャンバーを含む回転式カルーセルが設けられた濾過装置を開示している。チャンバーに下に腎臓型のフィルター板が設けられ、下方向に延在する開口部も設けられる。チャンバーは、フィルター上又は開口部上に配置されるように選択的に移動可能であり、後者の位置では、材料は、開口部の上に配置されたピストン又はシリンダーにより、それぞれのチャンバーから排出され得る。
【0004】
国際公開第2015/033117号パンフレットに開示される装置は、連続プロセスに取り組んでいるが、この装置は、数個の可動部を含むため、メンテナンスの必要性及び操作を失敗する危険性が増加する。
【0005】
液体から粒子を単離するために当産業で広く使用される技術としては、開放型又は密閉型のヌッチェフィルター、フィルタープレス及び遠心機が挙げられる。こうして得られた湿潤濾過ケーキから残存液体を蒸発させるための複数の乾燥技術が存在する。このようなものとしては、トレイ乾燥機、ダブルコーン乾燥機及びパドル乾燥機が挙げられる。より最近では、フィルター-乾燥機及び遠心機-乾燥機など、濾過及び乾燥の単位操作を併せ持つ技術が当産業において広く使用されるようになってきた。多くの場合、解凝集が必要となるか、又は製品の特定の粒度が所望され、これを実現するために種々の粉砕及び微粉化技術が開発されている。
【0006】
既存の濾過、乾燥及び粉砕技術の全ては、幾つかの欠点を有する。その機械は、一般に大きく、費用がかかり、大きい空間を必要とする。大きい寸法により、好ましくない質量対フィルター面積比及び好ましくない熱伝達が生じ、濾過及び乾燥の両方のプロセス時間が長くなり、プロセス設備が加熱及びその後の冷却を必要とするため、エネルギーの使用が非効率的になる。各単位操作のため、各単位操作の終了時に手間のかかる材料の取り扱いが必要となり、すなわち、湿潤濾過ケーキは、濾過操作から取り出して乾燥機に投入し、次に粉砕操作に送るためにのみ乾燥機から再び取り出す必要がある。大部分の技術は、濾過、乾燥又は粉砕のチャンバーの内部に撹拌又は材料の取り扱いのための可動部を有し、技術的な複雑さが増し、これにより構成、メンテナンス及び洗浄のコストが高くなる。
【0007】
さらに、微粉化が必要とされる場合、通常、ミル又は粉砕器によって塊を分離することが必要であり、これにより最初に別に単位操作、材料の取り扱い及び全プロセスに対する技術的複雑さが増大する。
【0008】
さらに、それぞれの手作業のステップ及び周囲環境への曝露により、材料の汚染の危険性が生じ、材料を手作業で取り扱う場合、人が汚染される危険性が存在する。
【0009】
ベルトフィルター、連続遠心分離及び粉砕など、一部の技術の連続的に操作される種類のものが存在するが、通常、ファインケミカル産業及び製薬産業では、単位操作は、バッチ方式で行われる。この主な理由は、多くの場合、温度不安定性である化合物の保護のため、温度を制限するために操作が減圧下で行われることが多く、そのため、供給及び取り出しを連続的に行うことが技術的に困難であるためである。
【0010】
[発明の効果]
本発明は、例えば、液体からの粒子の濾過、必要に応じて濾過ケーキの洗浄、必要に応じて粒子の乾燥、必要な程度までの粒子の粉砕及び乾燥粉砕粒子の取り出しを伴うより迅速でより効率的なプロセスのための方法を開示する。このプロセスの全ての段階は、単純で洗浄が容易なチャンバー中で行われる。チャンバー中へのガス入口ノズルにより、関連する単位操作を行うために必要なエネルギー及び材料の移動を促進することができる。方向及びガス速度(流量)を調整するノズルを通過するガスを使用することで、圧力によって誘導される濾過、適切な液体での洗浄中の濾過ケーキの撹拌、粒子の加速された乾燥、粒子の粉砕、チャンバーの外への粒子の移送、及び加えて適切な液体を用いたチャンバーの支援された洗浄などのプロセスが促進される。
【0011】
高いガス温度及び/又は真空中の作業により、例えば乾燥時間を短くすることができる。装置を再び冷却するためにさらなるエネルギーが使用されるまで、加えられたエネルギーの多くがプロセス装置の熱容量によって貯蔵される従来の乾燥装置と比較すると、加熱ガス流を用いた液体の蒸発は、非常に効率的である。
【0012】
可動部が不要であるため、装置の構成、メンテナンス及び洗浄が単純化される。この単純さにより、装置の拡大縮小も容易になる。典型的なバッチ操作を支援する大きい寸法及び小型の構成により、小さいバッチサイズ又は連続流の生成物流のいずれかに適合させるために規模が変更されるマイクロバッチ操作の利点が得られる。
【0013】
本発明は、手作業の材料の取り扱いを最小限にする数個の連続する単位操作の取り扱いが可能な閉鎖系を記載し、これは、安全性、環境的、良好な製造の実施及びプロセスの経済的な観点から好ましい。
【発明の概要】
【0014】
第1の態様によると、本発明は、材料の単離及び/又は調製のための方法に関する。この方法は、
a)例えば、スラリー又は特定の材料の形態の単離及び/又は調製される粒子を含む供給材料を、フィルター表面を有するフィルターが設けられたチャンバー中に提供し、任意選択的に、供給材料がチャンバー中に入れられる前、その間又はその後に洗浄液又は懸濁液などの液体を導入するステップと、
b)ステップa)からのチャンバー中の材料が液体を含有する場合、供給材料は、濾液のための出口を通して前記液体を排出し、フィルター表面上に保持物を残すことによって濾過される、ステップと、
c)1つ以上のガスジェットをステップa)からの供給材料又はステップb)からの保持物に向かって方向付け、フィルター表面の保持物側から材料をほぐすステップと、
d)ほぐされた材料を、ほぐされた材料のための出口を通して取り出すステップと
を含む。
【0015】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップc)において、少なくとも1つのガスジェットは、チャンバーの内部でガス及び粒子の渦を形成することに寄与し得る。
【0016】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップc)において、少なくとも1つのガスジェットは、チャンバーの内部で渦を形成することに寄与せず、すなわち、このガスジェットは、フィルター表面に向かう角度において、又はフィルター表面とほぼ平行な角度でチャンバーの中心に向かう角度においてフィルター表面に向かって方向付けられ得る。ガスジェットがフィルター表面に向かうとは、ガスジェットが(x=0、y<0)又は(x>0及びy<-2x)の方向にガスの流れを発生させることを意味し、この座標系は、以下の「単語の定義」の段落で定義される。全てのガスジェットは、チャンバーの内面又はその付近からチャンバーに入り、通常、内部の側面、すなわち側面は、フィルター表面に全体的に直交するか又はほぼ直交する。
【0017】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップd)において、ほぐされた材料は、ガスジェットからのガス中に浮遊され、且つガスジェットのガスにより、フィルター表面から、ほぐされた材料のための出口に運搬され得る。
【0018】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップd)において、ほぐされた材料は、チャンバーから連続的に除去されるか、又は解凝集若しくは微粉化のいずれかによって適切な程度の乾燥若しくは適切な程度のグラニュロメトリーが得られたときに時間tbatch後に除去されるかのいずれかであり得る。
【0019】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップc)において、2つ以上のガスジェットは、フィルター表面から同じ距離の同じ点、例えばチャンバーの中心に対して方向付けられ、それにより、ほぐされた材料中に含まれる粒子の衝突を促進することができる。
【0020】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップc)において、ガスジェットは、ほぐされた材料に向かって時間tjetにわたって方向付けられ得るか、又はガスジェットは、ほぐされた材料に向かって連続的に方向付けられ得る。
【0021】
本発明のいずれかの実施形態によると、ガスは、1つ以上のステップにおいてのみフィルターを通して除去され、そにより、ほぐされた材料がチャンバーの保持物側から離れないようにすることができる。
【0022】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップa)中に導入された供給材料は、1つのバッチ若しくは連続する複数のバッチとして又は連続流としてのいずれかで導入され得る。例えば、複数のチャンバーを組合せて、順次運転することで、並列の複数のチャンバーのシステムから真の連続する入口及び出口に近づけることができる。
【0023】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップa)は、チャンバー中へのスラリーの形態の連続供給材料を含むことができ、次に、ステップb)は、スラリーから遊離した液体を連続的に排出するステップを含むことができ、次に、ステップc)は、前記粒子の連続的な乾燥及び粉砕のため、前記チャンバー中に一体化された1つ以上のガスジェットを介した同時に連続ガス流を含むことができ、且つ次に、ステップd)は、粒子の形態のほぐされた材料が排出に適している場合、ほぐされた材料を連続的に排出するステップを含むことができる。
【0024】
本発明のいずれかの実施形態によると、液体の排出は、重力若しくは高重力、圧力上昇又は真空によって行われ得る。
【0025】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップa)において、洗浄液又は懸濁液は、供給材料の導入前、その間又はその後に導入され得、及び少なくとも1つガスジェットは、濾過される材料の液体懸濁物の撹拌を提供し得る。
【0026】
洗浄液は、例えば、別個の洗浄液入口を介して、ステップb)中の濾過後に導入され得、洗浄を促進するために、適切な配置及び方向のガスノズルからのガスジェットを用いて、保持された粒子を撹拌することができる。
【0027】
本発明のいずれかの実施形態によると、ステップc)において、少なくとも1つのガスジェットからのガスの流れ(F)は、チャンバー(1)の中心軸Cと内壁との間の最小距離rminよりも小さく、且つ0よりも大きい半径rを有する円の接線方向に加えられ得る。乾燥ガスの流れ(F)は、0.3・rmin~0.9・rminの半径rを有する円の接線方向に加えられ得るか、又は0.4・rmin~0.8・rminの半径を有する円の接線方向に加えられ得る。
【0028】
第2の態様によると、本発明は、粒子の単離及び/又は調製に使用できる装置に関する。この装置は、チャンバーを含み、このチャンバーは、スラリー又は特定の材料の形態の単離及び/又は調製、例えば濾過、乾燥及び粉砕される供給材料のための入口と、任意選択的に洗浄液又は懸濁液などの液体のための入口と、フィルター表面であって、その上に材料が少なくとも装置の操作中に配置される、フィルター表面を有するフィルターと、濾液のための出口と、チャンバーの壁を通した通路への開口部を含む、調製された材料のための出口と、フィルターの保持物側に配置される1つ以上のガス入口であって、それを通してガスジェットが提供される、1つ以上のガス入口とを含み、1つ以上のガス入口は、ガスジェットの形態のガスの流れをフィルター表面上の材料に向かって方向付け、それによりフィルター表面から材料をほぐすように構成される。濾過後、フィルター表面上に配置された材料は、高さhを有する。
【0029】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、少なくとも1つのガス入口は、フィルター表面から距離h内において、フィルター表面とほぼ平行なガスジェットの形態のガスの流れを方向付け、且つチャンバーの中心であって、チャンバーの中心軸として画定される中心から十分に離れてガスの流れを方区付けて、材料(8)がガス中に浮遊されたときにチャンバーの内部で渦を形成するように構成され得る。この中心軸は、通常、鉛直方向である。
【0030】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、チャンバー(1)は、円形断面を有し得、すなわち、チャンバーは、円筒状若しくは円錐台状に形成され得るか、又はチャンバーは、楕円形断面を有し得るか、又はチャンバーの断面は、90°以下の角度のコーナーを有さなくてよく、例えば110°以下の角度のコーナーを有さなくてよい。チャンバーが円錐台状に形成されるか、又は同様に変化する断面を有する場合、そのチャンバーは、通常、上の方が最も幅広となる。
【0031】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、ガスのための入口は、チャンバー(1)の中心軸Cと内壁との間の最小距離rminよりも小さく、且つ0よりも大きい半径rを有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成され得る。
【0032】
一定の円形断面を有する、すなわち円筒形のチャンバーの場合、rmin=一定半径であり、減少又は増加する円形断面を有する、すなわち円錐台のチャンバーの場合、rmin=最小直径の末端における半径であり、楕円形の断面を有するチャンバーの場合、rmin=1/2・チャンバーの2つの最も近い互いに反対側の壁間の距離などである。当業者であれば、特定の断面形状の場合のrminを求めることができる。
【0033】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、ガスのための入口は、0.3・rmin~0.9・rmin、通常、0.4・rmin~0.8・rminの半径rを有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成され得る。
【0034】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、乾燥生成物のための出口の開口部は、軸方向に移動され、それにより出口の開口部とフィルター表面との間の距離を変動させ得る。装置の設置中又は操作前及び/若しくは操作中に垂直方向の適合を行うことができる。
【0035】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、乾燥生成物のための出口の開口部は、半径方向に移動され、それにより出口の開口部とチャンバーの中心軸Cとの間の距離を変動させ得る。装置の設置中又は操作前及び/若しくは操作中に水平方向の適合を行うことができる。
【0036】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、装置は、液体、例えば洗浄液のための入口を含むことができる。
【0037】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、チャンバーは、ガスのための2つ以上の接線方向の入口、例えばガスのための1~20個の入口、例えば2~8個の入口、例えば4~8個の入口を含むことができる。それぞれの入口は、1つのノズルに対応し得、入口の数は、特にチャンバーの直径によって決定される。チャンバーの直径と最適な入口数との間に関係が存在し、したがって、通常、より大きいチャンバーは、より多い数の入口を必要とする。
【0038】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、装置は、チャンバーの中心Cに方向付けられたガスジェットのための入口をさらに設けられ得る。
【0039】
チャンバーの中心線Cに方向付けられたガスジェット又は安定な渦を形成することに寄与しない別のガスジェットは、通常、1つ以上の接線方向の入口からのガスジェットが使用中でないか、又は1つ以上の接線方向の入口が使用中若しくは使用中でない場合のいずれかであるパルスである期間中に作動され得る。例えば、このようなガスジェットは、洗浄中又は乾燥若しくはほぐすプロセスの開始時に作動され得る。
【0040】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、ガス入口は、フィルター表面に最も近いチャンバーの末端において、通常、フィルター表面の上方の高さhにおけるチャンバーの壁を通して配置され得る。
【0041】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、ガスのための出口(7)は、チャンバーの中心において又はその中心を外して、フィルター表面の上方に開口部を有して配置され得る。通常、この出口は、チャンバーの最上部、すなわちチャンバーの最上部の壁を通して配置される。また、液体がフィルターを通して除去されない期間中、フィルターを通過してフィルターの濾液側に出たガスを除去することができる。
【0042】
本発明の第2の態様のいずれかの実施形態によると、装置は、2つ以上のチャンバーを含む。これらのチャンバーは、並列に接続され得る。複数のチャンバーにより、連続プロセスに近づくことが可能となり得る。この場合、それぞれのチャンバーは、供給材料のバッチを受け取り、調製された材料のバッチを送出し、したがって、複数のチャンバーから調製された材料の結果的な総量は、連続流のようになる。しかし、個別のチャンバー中で連続プロセスを行い、次に1つのチャンバーが供給材料の連続流を受け取り、単離及び/又は調製された材料の連続流を送出することも可能であるが、これは、例えば、濾過された材料の洗浄が必要となる場合に不可能であるか又は不適切であり得る。
【0043】
第3の態様によると、本発明は、単一チャンバー中又は複数のチャンバーの組合せ中のほぐされた材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを制御するための、装置の使用に関する。
【0044】
第4の態様によると、本発明は、チャンバー中のほぐされた材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを、渦を引き起こす少なくとも1つのガスジェットを提供し、且つ次に、ほぐされた保持物の乾燥及び粒度分布が制御されるようにガスジェットの温度、チャンバー(1)中のほぐされた保持物の保持時間、ガス流の速度及び流入するガスの量を制御することによって制御するための、装置の使用に関する。
【0045】
単語の定義
名詞の前に付けられる「1つの(an)」又は「1つの(a)」は、本明細書では「1つ以上」という表現と同義である。
【0046】
「粉砕」及び「微粉化」という単語は、凝集した粒子の解凝集及び粒子の小型化の両方を含むと理解される。
【0047】
「ガスジェット」は、周囲の媒体中へのまとまったストリームとして放出されるガスとして定義され、ガスジェットは、通常、十分に画定された方向及び速度を有する。通常、ガスジェットは、ノズルを通してガス流を提供することによって得られる。
【0048】
「ほぐされた材料」又は「ほぐされた特定の材料」は、材料が、凝集した又は少なくとも部分的に凝集した形態から、本質的に粒子の形態に変化したこと、すなわち材料が塊のある又は固体の形態から粉末の形態に変化することと定義される。
【0049】
「保持物」は、濾過後にフィルター表面上に残存する固体材料である一方、「濾液」は、濾過中にフィルターを通過する液体である。
【0050】
フィルターは、保持物側、すなわち濾過される懸濁液が触れる側と、濾液側、すなわち濾液が除去される側とを一般に有する。本明細書では、フィルター表面は、フィルターの保持物側に対応し、すなわち、フィルター表面は、チャンバーの内側に面する。
【0051】
本出願に関連して、「渦」は、円の中心に空隙又は真空を形成する回転又は円形の動きをする、ガス中に浮遊する液体又は粒子などの多量の流体として定義される。
【0052】
「スラリー」は、例えば、粒子の形態の不溶性物質の液体中の混合物である。
【0053】
「フィルター表面とほぼ平行」は、例えば、座標(x,y)によって定義される流れの方向が、浮遊する材料が上に静止する表面と平行、すなわち(x,0)であり、静止する表面と平行な方向から角度=0だけずれるか、方向が、静止する表面と平行な方向から45度未満ずれる、すなわち(x,│y│<│x│)であり、好ましくは静止する表面と平行な方向から20度未満ずれる、すなわち(x,│y│<│x・sin(20°)│)であるか、又はさらに静止する表面と平行な方向から10度未満ずれる、すなわち(x,│y│<│x・sin(10°)│)であるかのいずれかであることを意味する。
【0054】
本明細書によると、座標系は、浮遊する材料が静止する表面、例えばフィルター表面と平行なx軸と、x軸と直交するy軸とを有すると見なされる。上記系において、原点O(0,0)は、ガス入口開口部となるように選択される。
【0055】
本明細書に関連して、「単離及び/又は調製」は、単位操作の粉砕、すなわち粒度の減少を含むことが意図される。これは、例えば、単位操作の濾過、乾燥及び粉砕を意味することができる。代わりに、これは、例えば、濾過、次に洗浄、次に乾燥、次に粉砕からなる順序などの単位操作の濾過、乾燥、粉砕及び洗浄を意味し得るか、又は濾過、次に乾燥、次に粉砕からなる順序を意味し得る。これは、例えば、粒子の懸濁液(スラリー)を、所望の乾燥度及び所望の粒度分布を有する(任意選択的に)洗浄された粒子の集団にするために必要な単位操作を含む。したがって、本発明の方法及び装置は、例えば、顆粒化などのさらに下流のプロセスのための粒子の調製に使用され得る。一実施形態では、「単離及び/又は調製」は、単位操作の濾過、乾燥及び粉砕の組合せを示すことが意図される。一実施形態では、「単離及び/又は調製」は、単位操作の濾過、洗浄、乾燥及び粉砕の組合せを示すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】単離及び/又は調製、例えば供給材料の濾過、洗浄、乾燥及び粉砕を対象とする装置に関する本発明による一実施形態の概略垂直断面図を示す。
図2A-2B】乾燥ガスのためのそれぞれ1つ及び4つの接線方向の入口と、それぞれ乾燥ガスのための1つ又は2つの中心に方向付けられた入口とを有し、いずれも円形断面を有する本発明による実施形態の水平断面図を示す。
図2C】乾燥ガスのための2つの接線方向の入口と、楕円形断面とを有する本発明による一実施形態の水平断面図を示す。
図3(a)】未処理のボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す。
図3(b)】未処理のボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す。
図3(c)】図3(c)-(f)は、本発明により濾過、乾燥及び粉砕を行ったボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す(実施例10を参照されたい)。それぞれの写真の左上隅にスケールが示されている。(a)及び(c)は、500μmであり、(b)、(d)、(e)及び(f)は、100μmである。
図3(d)】本発明により濾過、乾燥及び粉砕を行ったボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す。
図3(e)】本発明により濾過、乾燥及び粉砕を行ったボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す。
図3(f)】本発明により濾過、乾燥及び粉砕を行ったボルチオキセチンHBrの顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の実施形態の説明において、明確にするために特定の用語が使用される。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、それぞれの特定の用語は、同様の目的を実現するために同様の方法で使用される全ての技術的均等物を含むことを理解されたい。
【0058】
図1は、本発明による装置の一実施形態の垂直断面図を開示し、この実施形態は、供給材料の濾過、乾燥及び粉砕に使用され得る。この装置は、濾過チャンバー1を含み、このチャンバーは、入口開口部2aを有する、濾過される供給材料のための入口2を含み、この開口部を通して濾過される材料がチャンバー中に流入する。通常、濾過される材料は、スラリーの形態であり、このスラリーは、例えば、製薬産業において通常使用される前段階の結晶化プロセス又は沈殿プロセスから得ることができる。入口の開口部2aは、通常、チャンバー1の上端、例えば上半分、任意選択的にチャンバー1の最上部に配置され、少なくとも部分的に重力によって供給材料を移送することができる。しかし、供給材料は、チャンバー1中に圧送することもでき、その場合、入口は、チャンバー1中のあらゆる位置に配置することができる。濾過される材料は、幾分乾燥した粒子状材料としてチャンバーに加えることもでき、次に液体、例えば洗浄液の形態の液体がチャンバー1の内側の粒子状材料に加えられる。
【0059】
チャンバー1は、チャンバー1の下端又は底部に位置するフィルター材料10をさらに含む。フィルター材料10は、チャンバー1内部に面するフィルター表面3を有し、フィルター材料10は、液体から濾過される材料のより大きい粒子がチャンバー1から排出されることを防止する。フィルター材料10を通過できる粒子のサイズは、フィルター材料10の細孔径及びフィルターの厚さによって決定され、これは、濾過される材料及び装置が関係するプロセスにより選択される。
【0060】
濾過されるスラリーがチャンバー1中に配置されると、その液体部分、すなわち濾液は、フィルター材料10を通過して除去され、濾液のための出口4中に入る。濾液が除去されると、凝集した特定の材料の塊、すなわち保持物8がフィルター表面3上に残る。保持物8は、粒子が濡れているため、互いに付着して、通常、ペーストを形成し、フィルター表面3上の特定の材料の塊は、高さhを有する。
【0061】
濾液は、重力によってフィルター材料10を通過することができるが、多くの場合、フィルター上の圧力差を増加させ、それによって濾過プロセスの速度を増加させるために、ガス流によってフィルター材料10上の圧力を増加させ、且つ/又は真空ポンプによってフィルター材料10の下の圧力を低下させる。
【0062】
濾過後、保持物8に対して洗浄プロセスを行うことができる。洗浄液は、濾過される材料のための入口2から加えることができるか、又はこれとは別に若しくはこれに加えて、洗浄液は、好都合な場合には別個の入口から加えることができる。このような洗浄液のための別個の入口は、チャンバー1中のあらゆる場所に配置することができるが、通常、保持物8の高さhの上に出口開口部を有するように配置される。チャンバー1中の保持物8に洗浄液を供給した後、保持物を完全に懸濁させ洗浄するために、その混合物撹拌することができる。撹拌は、乾燥ガスのガス入口、撹拌のためのガス入口からガス流若しくはガスジェットを懸濁液に供給することにより、又は単に高速で洗浄液を圧送することにより行うことができ、それによって保持物8を懸濁させて撹拌することができる。
【0063】
濾液が保持物8から排出されてから、ガスがチャンバーに供給される。図の実施形態に示されるように、ガスは、1つ以上のガス入口6及び9から加えることができ、ガス入口6によって接線方向のガスの流れFが提供され、ガス入口9によってチャンバー1の中心Cに方向付けられた流れが提供される。装置中に使用される全てのガスは、特定の材料を運搬する液体又は溶媒と特定の材料との両方に関して不活性であり得る。液体も特定の材料も酸素と反応しない場合、空気を不活性ガスとして使用することができる、しかし、窒素ガスは、一般に不活性と見なされているため、これが使用されることが多い。
【0064】
残存液体の一部を除去し、保持物8を形成する特定の材料の塊を任意選択的にほぐすために、ガス、任意選択的に加熱されたガスが任意の方向、例えば接線方向での水平方向、又は中心方向、又は垂直方向から保持物8に向かって方向付けられる予備乾燥及び/又はほぐす操作を保持物8に対して行うことができる。ガスは、予備乾燥段階で濾液出口4から除去することができる。ガスは、乾燥又は粉砕の段階で濾液出口4から除去することもできる。特に非接線方向のノズル、すなわち水平の中心方向に向かうノズルが使用される場合、このような状況における粒子の塊は、渦を形成しないが、チャンバー全体にわたって不規則に分布するため、画定されない粒子分布を有する粒子を、保持物側に配置された出口から排出することができる。
【0065】
濾過並びに任意選択的な予備乾燥及びほぐすプロセス後、フィルター表面3上にある保持物8は、ガスジェットの形態の接線方向の流れFに曝露される。チャンバー1は、ガスジェットを提供できるガスのための1つ以上の接線方向の入口6を有し、その流れは、1つ以上のノズルからチャンバー1に入ることができる。ガスがノズルから入る場合、十分に画定された方向及び速度のガス流を得ることができる。一般に、入口6及びノズルは、チャンバーに入るガスジェットが速度(m/s)及び方向(x,y)を有し、ガスがチャンバー1内で安定な渦を形成することができるような方法で配置され、x及びyは、x軸が、ガス入口6の開口部から、チャンバーの中心軸Cまでの半径を表す線に沿って位置し、y軸が、ガス入口6の開口部を通りx軸と直交する線に沿って位置する座標系に属する。直線の垂直な壁と、壁の表面におけるガス入口の入口開口部とを有する円筒形のチャンバーでは、y軸は、垂直方向でチャンバー1の内壁と平行になる一方、x軸は、水平方向である。安定な渦は、ほぼ静止したパターンでガスが移動することを意味する。安定な渦を形成するため、xは、通常、y以上となり、すなわち接線方向の入口6からのガス流は、水平のx軸から45°未満ずれた方向を有する。ガス入口6の開口部の垂直方向の位置により、yは、<0又は>0又は=0となることができ、y<0の場合、ガス流は、フィルター表面3の方向の「下方向」に向けられ、y=0の場合、ガス流は、x軸と平行、すなわち、通常、水平方向である。
【0066】
フィルター表面上の保持物8の所望の高さhは、通常、濾過操作が行われるプロセスを考慮して選択される。ガス入口6の垂直及び水平の位置並びにガスジェットの方向は、本発明による装置の設置の特定のプロセスに適合させることができる。
【0067】
操作中のガス入口6の開口部がフィルター表面上の保持物8の高さhよりも低い高さに位置する場合、ガス入口6の開口部におけるガスジェットの方向は、フィルター表面3とほぼ平行であり得、すなわち保持物8の高さhよりも低い高さhにおいてy=0であり得る。
【0068】
ガス入口6の開口部がフィルター表面上の保持物8よりも上に位置する場合、ガス入口6の開口部におけるガスジェットの方向は、フィルター表面3に向かって下方向であり得、すなわちy<0であり得る。任意選択的に、乾燥及び解凝集と同時にフィルター表面3の洗浄を行うために、ガスジェットは、フィルター表面3を通過するように又はフィルター表面3上に方向付けられ得る。
【0069】
また、ガスの接線方向の流れ、すなわち接線方向のガスジェットは、半径rを有する円の接線の方向を有する必要があり、rは、チャンバー1の中心軸Cと内壁との間の最小距離rminよりも小さく且つ0より大きい。通常、乾燥ガスの流れ(F)は、0.3・rminを超え、例えば0.3・rmin~0.95・rmin、代わりに0.4・rmin~0.9・rminの半径rを有する円の接線の方向を有し、代わりにrは、0.5・rminを超え、代わりに0.5・rmin~0.9・rmin、代わりに0.6・rmin~0.8・rminである。ガス流の方向の設定は、フィルター表面上のブラインドスポット、すなわちある領域内又はその周囲でガス流の速度が0になるか又は0に近づくために材料が蓄積され得るフィルター表面上の領域が回避されるように案内することができる。計算流体力学シミュレーションは、前述の指定のrによってこの目的が達成されることを示す。
【0070】
一般に、入口6は、保持物8が配置されるチャンバーの半分の部分のチャンバー1の壁を通過して延在し、すなわち、入口6は、前述の定義の方向で保持物8の高さhよりも低い高さhに開口部を有する。任意選択的に、ガス入口6は、2×高さh未満の高さhに位置し、高さhは、0.5×チャンバーの内部の高さh未満である。
【0071】
保持物8がほぐされ乾燥されるとき、ガスの接線方向の流れF、すなわち接線方向のガスジェットにより、チャンバーの高さhに向かって延在し、自由に流動する特定の材料を運搬するガスの渦がチャンバー1の内部で形成される。重力と、渦によって形成される粒子の慣性とにより、浮遊粒子は、流動するガスから分離され、次に、浮遊粒子から実質的に離れたガスは、中央出口7から排出することができる。渦がチャンバー1中で形成されると、浮遊する特定の材料の摩滅によって乾燥及び微粉化が起こる。チャンバー中の保持時間を変化させることにより、乾燥度及び微粉化度を制御することが可能である。
【0072】
一般に、チャンバー1の内部の高さhは、内径rminよりも大きい値であり、例えば、hは、少なくとも4・rmin、すなわち最小内径の2倍であり、任意選択的に少なくとも5・rminである。これらの寸法により、ガスによって運搬される特定の材料の処理及び分離が可能となる渦を形成することができる。
【0073】
渦が形成され、浮遊粒子の所望の水分レベル及び微粉化に到達した後、特定の材料の形態の得られた乾燥生成物は、開口部5aを有する乾燥生成物のための出口5を介して収集することができ、この開口部5aは、最初に形成された保持物8の湿塊の上に位置する。
【0074】
乾燥生成物のための出口5は、チャンバー1の内側の垂直方向に延在する管又は導管として構成することができ、特に、出口5は、チャンバーの最上部の壁を通過して入ることができるか、又は出口5の一部は垂直方向に移動することができ、それにより、装置の設置時又は操作前若しくは操作中のいずれかにおいて、乾燥及び粉砕された材料の除去を最適化するために出口5の開口部5aを所望の高さに配置することができる。任意選択的に、出口5は、チャンバー1の最上部付近又は少なくともチャンバー1の上半分に位置するチャンバー1の壁内の単なる開口部5aであり得る。
【0075】
生成物によっては、乾燥され且つ/又はほぐされた特定の材料の除去が最適化されるような方法で垂直及び水平の両方に乾燥生成物の開口部5aを配置することができる。乾燥生成物のための出口5を形成する少なくとも部分的に垂直の管の末端は、開口部5aが配置される管の末端付近に屈曲部を含むことができる。垂直の管材料と屈曲部との間の角度は、通常、20~90度である。開口部5aが管の末端に配置される場合、このような屈曲部は、管が回転する場合に種々の水平位置に開口部を配置できることを意味する。開口部5aを水平に移動させるためにチャンバーの壁に対して管の垂直部分を移動させる必要がないため、この解決策により、チャンバーの効果的な封止がより容易になる。
【0076】
出口5の管又は導管に開口部5aの末端において屈曲部が設けられる場合、装置の設置時又は装置の操作前若しくは操作中のいずれかにおいて、出口5を回転させることにより、乾燥生成物の開口部5aの水平位置を調整することができる。開口部5aとチャンバー1の中心Cとの間の水平距離を変動させることにより、所望のサイズ分布を有する浮遊粒子を収集するために開口部5aの位置を最適化することができる。一般に、最適位置の目的は、粒子の収集を適切にすることであり、すなわち、出口開口部の高さ/半径位置のため、ある値よりも小さい/軽い粒子のみを排出することができる。代わりに、水平及び垂直位置が変動する2つ以上の出口(5)を使用することで、所望の乾燥度及び所望の粒度分布を有する粒子を得ることができる。
【0077】
乾燥生成物は、ガス流によってチャンバー1の内部に移送され、例えばガス流を増加させることによってチャンバー1から除去することができ、したがって、生成物の移送及び除去に関してチャンバー1の内部に可動部を有する必要なない。一部のガスは、乾燥生成物のための出口5から常に排出されるが、出口5は、ガスの主要出口として機能することもでき、この場合、装置は、ガスのための別個の出口7を設けられなくてよく、粒子状材料がチャンバーを出た後に全体的な分離プロセスを行う必要がある。しかし、装置にガスのための別個の出口7が設けられると、分離プロセスは、チャンバー1の内部で行われ、乾燥生成物のための出口5に接続されたバルブを開き、ガスのための出口7に接続されたバルブを閉じ、通常、チャンバー壁付近に位置する開口部5aを通過するように浮遊粒子を方向付けることにより、乾燥生成物を収集することができる。
【0078】
ガス及び粒子の浮遊混合物がチャンバー1を出た後、混合物は、周知の方法、例えばサイクロン又はバッグフィルターによって分離される。
【0079】
図2Aは、円形断面を有する円筒形チャンバー1の断面図を示す。チャンバー1には、図1に示されるものと同一の入口及び出口が設けられる。供給材料のための入口2は、導管の形態であり、そのため、図2Aでは円として示されており、図1及び2Aに示されるように入口2が配置される場合、供給材料は、入口の開口部2aから流れて、重力によってフィルター表面3上に落ちることができる。操作中、フィルター表面3上に位置する保持物8に向かう接線方向のガスジェットの形態のガスの流れFを方向付けるように構成された1つの入口6が図2Aの装置に設けられる。入口6により、半径rを有する円の接線方向にガスジェットが方向付けられ、この実施形態では、rは、約0.65・rminであり、rminは、円筒形チャンバー1の半径と同じである。さらに、チャンバーは、チャンバー1の中心Cに方向付けられたガスジェットのための1つの入口9を設けられ、この入口は、接線方向の入口6とは反対側に配置される。
【0080】
出口5の開口部は、中心線Cから距離r付近に配置されるが、この位置は、装置に入るスラリー及び懸濁液の組成並びに単離及び/又は調製された材料の所望の乾燥度及び粒度分布により適合させることができる。
【0081】
図2Bも、円形断面を有する円筒形チャンバー1の断面図を示し、チャンバー1は、図1に示されるものと同一の入口及び出口が設けられた図2Aの実施形態と同様である。図2Bの装置は、接線方向のガスジェットを保持物8に向かって方向付けるように構成された4つの入口6を設けられる。4つの入口6により、約0.65・rminの半径rを有する円の接線方向にガスジェットが方向付けられ、rminは、円筒形チャンバー1の半径と同じである。さらに、チャンバーは、チャンバー1の中心Cに方向付けられたガスジェットのための4つの入口9を設けられ、これら4つの入口は、接線方向の入口6のそれぞれに隣接して配置される。
【0082】
図2Cは、2つの対称軸を有する楕円形断面を有するチャンバー1の断面図を示し、チャンバー1は、図1に示されるものと同一の入口及び出口が設けられた図2A及び2Bの実施形態と同様である。図2Cの装置は、接線方向のガスジェットを保持物8に向って方向付けるように構成された1つの入口6を設けられる。入口6により、約0.83・rminの半径rを有する円の接線方向にガスジェットが方向付けられ、rminは、チャンバー1の内壁と中心線Cとの間の最小距離と同じである。さらに、チャンバーは、チャンバー1の中心Cに方向付けられたガスジェットのための1つの入口9を設けられ、この入口は、接線方向の入口6とは反対側に配置される。
【実施例
【0083】
実験
内部半径(rmin)が50mmであり、内部の高さ(h)が308mmである1つの円筒形チャンバーを有する装置中で以下の実験を行った。出口(5)の開口部(5a)は、フィルター表面(3)の308mm上、チャンバーの内壁から5mmに配置した。出口の開口部(7a)は、フィルター表面3の263mm上、チャンバーの中心軸(C)において、チャンバーの内壁から50mmに配置した。入口(2)の開口部(2a)は、フィルター表面(3)の308mm上、チャンバーの内壁から5mmにおいて、出口(5)の反対側に配置した。さらなる入口をフィルター表面(3)から308mm、チャンバーの中心軸Cにおいて、チャンバーの内壁から5mmに配置した。
【0084】
装置には、フィルター表面の2mm上に配置された乾燥ガスのための4つの入口を設け(フィルター表面からノズルの中心まで2mm)、これら4つのノズルにより、フィルター表面(3)と平行な方向において、半径0.75・rminを有する円の接線方向に流れが方向付けられた。この装置には、フィルター表面(3)と平行な中心軸Cに流れを方向付けるノズルを有する、フィルター表面上の高さ2mmに配置された乾燥ガスのための4つの入口も設けた。
【0085】
実施例1 ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
20gの未粉砕の乾燥1-(2-((2,4-ジメチルフェニル)チオ)フェニル)ピペラジン臭化水素酸塩(ボルチオキセチンHBr)の結晶を円筒形上部の開口部から加え、続いて100mlのトルエンを加えた。次に、加えたトルエン中に粒子を懸濁させるために、窒素ガスの弱い流れを乾燥ガスのための4つの入口(6)から加え、湿潤ガスのための出口(7)から排出した。次に、ガス入口(2)から120℃における約42Nm/hの窒素流を加え、湿潤ガスのための出口(7)を閉じ、それによりフィルター表面(3)上に圧力差を生じさせることにより、母液を濾液のための出口(4)から排出した。チャンバー(1)中に液滴が検出できなくなるまで、窒素の供給を1分間続けた。次に、乾燥ガスのための4つの入口(6)から120℃における約42Nm/hの窒素流を加え、湿式ガスのための出口(7)からガスを排出することにより、濾過ケーキ(8)をフィルター表面(3)から引き離した。所望のレベルの摩滅及び乾燥度が得られるまで、粒子を窒素による渦中に1分間浮遊させ続け、その後、乾燥生成物のための出口(5)を開放し、湿式ガスのための出口(7)を閉鎖して、チャンバー(1)から粒子を効率的に排出した。乾燥生成物のための出口(5)に接続したサイクロン中で窒素から粒子を分離し、乾燥物質分析及び粒度分析のためのサンプル採取を行った。
【0086】
収集した粒子10gを計り取り、真空下において60℃で終夜乾燥させ、重量差を測定することにより、トルエン含有率を求めた。レーザー回折により、収集した試料の粒度分布を求めた。
【0087】
表1は、実験結果を開示し、表2は、供給材料と、実験でサンプル採取した粉砕材料との粒度分布を開示する。
【0088】
乾燥生成物は、0.7%w/wの残留トルエンを含み、装置中の材料の効率的な乾燥を示す。実現された粉砕は、供給材料比較した生成物の粒度分布から明らかであり、すなわちそれぞれ×10、×50及び×90の場合に20、15及び5の倍率である。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
実施例2 デンプンの乾燥及び粉砕
実質的に実施例1に記載される実験を行ったが、50mlのエタノール中に懸濁させた20gのデンプンを使用した。実施例1の条件との比較において、12Nm/hの流量で70℃の窒素を加えることで渦中にデンプンを浮遊させ、チャンバーが空になる前にその渦を90秒間維持した。
【0092】
60℃で終夜維持する前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。
【0093】
この実験に使用したデンプンは、約90%の乾燥物質を含むことが分かり、実験後に約93%まで増加した。
【0094】
表2は、処理後及び未処理のデンプンの粒度(レーザー回折によって求めた体積平均直径)を開示する。
【0095】
【表3】
【0096】
このデータは、本装置を用いてデンプンの有効な乾燥及び粉砕を実現できることを示す。
【0097】
実施例3 ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
実施例1に実質的に記載されるような一連の実験により、エタノール中の懸濁液(50ml中20g)からボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕を行った。渦中にボルチオキセチンを浮遊させるために70℃の窒素ガスを使用し、この渦は、チャンバーが空になる前に90秒間維持した。以下の表は、実験設定の種類を開示する。
【0098】
【表4】
【0099】
表3は、実験で得られた乾燥度及び粒度の減少を開示する。粒度分布は、レーザー回折によって体積平均直径として求め、%乾燥物質は、60℃で終夜維持する前後の試料を秤量することで求めた。
【0100】
【表5】
【0101】
このデータは、種々の実験設定(ガス流速及び使用するガス入口の数)を用いた装置により、粒度が顕著に減少した乾燥ボルチオキセチンHBrが得られることを示す。
【0102】
実施例4 糖の乾燥及び粉砕
渦中に材料が浮遊する時間(渦時間)及びチャンバー中の渦の位置の影響を調べるために一連の実験を行った。これらの実験は、実施例1に実質的に記載されるように行ったが、50mlのエタノール中の10gの糖(砂糖)を使用した。実施例1との比較において、渦中に糖を浮遊させるために20℃及び25Nm/hの流量の窒素を使用した。
【0103】
接線方向のガス入口(6)のみを開放しながら、糖を渦中に浮遊させると、渦は、チャンバーの上部に向かって配置される。直交するガス入口(9)も開放すると、渦が広がって、チャンバーの実質的に全長を占める。以下の表は、実験設定を開示する。
【0104】
【表6】
【0105】
表4は、実験で得られたもの及び粒度の減少を開示する。粒度分布は、レーザー回折による体積平均直径として求めた。
【0106】
【表7】
【0107】
このデータは、種々の実験設定(渦時間及び位置)を用いた装置により、粒度が顕著に減少した糖が得られることを示す。
【0108】
実施例5.ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
実施例1に実質的に記載されるように、トルエン中に懸濁させたボルチオキセチンHBr(50ml中20g)の濾過、乾燥及び粉砕の一連の5つの実験を行った。ボルチオキセチンHBrからトルエンを濾過するために、6Nm/hの流量及び20℃の窒素を使用して、フィルター上に2barの圧力差を発生させた。次に、同じガス流を使用して濾過ケーキを30秒間乾燥させた。47Nm/hの流量で約70℃の窒素ガスを使用して、渦中にボルチオキセチンHBrを浮遊させ、チャンバーが空になる前にこの渦を60秒間維持した。
【0109】
60℃のオーブン中に終夜入れる前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。供給材料及び粉砕したボルチオキセチンHBrの粒度分布(体積平均直径)をレーザー回折によって求めた。乾燥物質含有量及び粒度分布を表6に示す。
【0110】
【表8】
【0111】
このデータは、有効な乾燥及び粉砕が実現されることを示す。
【0112】
実施例6.ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
実質的に実施例1に記載されるように実験を行い、実験設定の相違点の概略を以下に示す。50mLのトルエン中に懸濁させた20gボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕のときに使用される接線方向のガスジェットの数及び位置の影響を調べるために一連の5つの実験を行った。ボルチオキセチンHBrをトルエンから濾過するために、6Nm/hの流量及び20℃の窒素を使用して、フィルター上に2barの圧力差を発生させた。次に、同じガス流を使用して濾過ケーキを30秒間乾燥させた。47Nm/hの流量で約70℃の窒素ガスを使用して、渦中にボルチオキセチンHBrを浮遊させ、チャンバーが空になる前にこの渦を60秒間維持した。
【0113】
表7は、5つの実験にいずれの接線方向のガスジェットを使用したかを示す。番号は、図2(b)を参照しており、6(1)は、最上部の接線方向のガス入口を示し、6(2)は、時計回りで次の接線方向のガス入口を示すなどである。
【0114】
60℃のオーブン中に終夜入れる前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。供給材料及び粉砕したボルチオキセチンHBrの両方の粒度分布(体積平均直径)をレーザー回折によって求めた。乾燥物質含有量及び粒度分布を表8に示す。
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
このデータは、1つのみの接線方向のガスジェットを用いて効率的な乾燥及び粉砕を実現可能であることを示す。使用する接線方向のガスジェットの数を増加させると、粉砕の程度が高まることも示す。
【0118】
実施例7.ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
実施例1に実質的に記載されるように実験を行い、実験設定の相違点の概略を以下に示す。乾燥及び粉砕中に種々の流動パターンを使用することの影響を調べるために一連の3つの実験を行った。50mLのトルエン中に懸濁させた20gボルチオキセチンHBrを装置に投入した。ボルチオキセチンHBrからトルエンを濾過するために、6Nm/hの流量及び20℃の窒素を使用して、フィルター上に2barの圧力差を発生させた。次に、同じガス流を使用して濾過ケーキを30秒間乾燥させた。47Nm/hの流量で約70℃の窒素ガスを使用して、チャンバーが空になる前に60秒間にわたってボルチオキセチンを浮遊させた。
【0119】
3つの異なる実験で使用した流動設定:
1.最初に4つ全ての接線方向のガス入口を開放して、渦中にボルチオキセチンHBrを浮遊させた。4つ全ての接線方向のガスジェットを短時間閉鎖することによってカオス流が発生し、これによって粒子を沈降させ再び流動させることができた。これらのパルスを60秒の乾燥時間中に6回発生させた(10秒ごと)。
2.最初に4つ全ての接線方向のガス入口を開放して、渦中にボルチオキセチンを浮遊させた。中心軸に向って方向付けられた4つのガスジェットを短時間開放することにより、カオス流を発生させた。これらのパルスを60秒の乾燥時間中に6回発生させた(10秒ごと)。
3.60秒の乾燥時間全体にわたって8つ全てのガスジェットを開放した。
【0120】
60℃のオーブン中に終夜入れる前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。原材料及び粉砕したボルチオキセチンの両方の粒度分布(体積平均直径)をレーザー回折によって求めた。乾燥物質含有量及び粒度分布を表9に示す。
【0121】
【表11】
【0122】
このデータは、乾燥及び粉砕の時間中に異なる流動パターンを使用して実現可能であることを示す。
【0123】
実施例8.ボルチオキセチンの乾燥及び粉砕
実施例1に実質的に記載されるように実験を行い、実験設定の相違点の概略を以下に示す。異なる長さの乾燥及び粉砕時間において、50mLのトルエン中に懸濁させた20gのボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕の影響を調べるために一連の1つの実験を行った。最初の2つの実験では乾燥時間を120秒まで延長し、第3及び第4の実験では180秒まで延長した。
【0124】
ボルチオキセチンからトルエンを濾過するために、6Nm/hの流量及び20℃の窒素を使用して、フィルター上に2barの圧力差を発生させた。次に、同じガス流を使用して濾過ケーキを30秒間乾燥させた。47Nm/hの流量で約70℃の窒素ガスを使用して、渦中にボルチオキセチンHBrを浮遊させ、チャンバーが空になる前にこの渦をそれぞれ120秒間及び180秒間維持した。
【0125】
60℃のオーブン中に終夜入れる前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。原材料及び粉砕したボルチオキセチンHBrの両方の粒度分布(体積平均直径)をレーザー回折によって求めた。乾燥物質含有量及び粒度分布を表10に示す。
【0126】
【表12】
【0127】
実施例9.ボルチオキセチンHBrの乾燥及び粉砕
実施例1に実質的に記載されるように実験を行い、実験設定の相違点の概略を以下に示す。トルエン中に懸濁させたより多い量のボルチオキセチンHBr(80mLのトルエン中に40g、60g、80g及び100gを懸濁させた)の乾燥及び粉砕を調べるために一連の4つの実験を行った。ボルチオキセチンHBrからトルエンを濾過するために、6Nm/hの流量及び20℃の窒素を使用して、フィルター上に2barの圧力差を発生させた。次に、同じガス流を使用して濾過ケーキを30秒間乾燥させた。47Nm/hの流量で約70℃の窒素ガスを使用して、渦中にボルチオキセチンHBrを浮遊させ、チャンバーが空になる前にこの渦を120秒間維持した。
【0128】
4つの異なる実験で使用したボルチオキセチンHBr及びトルエンの量:
1.40gのボルチオキセチンHBr及び80mLのトルエン。
2.60gのボルチオキセチンHBr及び80mLのトルエン。
3.80gのボルチオキセチンHBr及び80mLのトルエン。
4.100gのボルチオキセチンHBr及び80mLのトルエン。
【0129】
60℃のオーブン中に終夜入れる前及び後に試料を秤量することにより、乾燥物質含有量を求めた。供給材料及び粉砕したボルチオキセチンの両方の粒度分布(体積平均直径)をレーザー回折によって求めた。乾燥物質含有量及び粒度分布を表11に示す。
【0130】
【表13】
【0131】
実施例10 ボルチオキセチンHBrの粉砕の定性分析
図3は、上記実施例に記載のような濾過、乾燥及び粉砕前及び後のボルチオキセチンHBrの顕微鏡検査を示す。図3(a)及び(b)は、未処理のボルチオキセチン(原材料)の顕微鏡写真である。これらの写真は、未処理のボルチオキセチンが大きい粒子及び凝集体を含むことを示す。図3(c)、(d)、(a)及び(f)は、濾過、乾燥及び粉砕を行ったボルチオキセチンの顕微鏡写真である。これらの写真は、粒子のサイズが顕著に減少したことを示す。これらの写真は、供給材料が解凝集し微粉化したことを示す。
また、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)粒子の単離及び/又は調製のための方法であって、
a)単離及び/又は調製される粒子を含む供給材料を、フィルター表面を有するフィル ターが設けられたチャンバー中に提供し、任意選択的に、前記供給材料が前記チャンバー 中に入れられる前、その間又はその後に液体を導入するステップと、
b)ステップa)からの前記チャンバー中の前記材料が液体を含有する場合、前記供給 材料は、濾液のための出口を通して前記液体を排出し、前記フィルター表面上に保持物を残すことによって濾過される、ステップと、
c)1つ以上のガスジェットをステップa)からの前記供給材料又はステップb)からの前記保持物に向かって方向付け、前記フィルター表面の前記保持物の側から前記材料をほぐすステップと、
d)前記ほぐされた材料を、ほぐされた材料のための出口を通して取り出すステップとを含む方法。
(2)c)前記1つ以上のガスジェットは、前記チャンバーの内部でガス及び粒子の渦を形成することに寄与する、上記(1)に記載の方法。
(3)c)前記1つ以上のガスジェットは、前記チャンバー内部で渦を形成することに寄与しない、上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記1つ以上のガスジェットは、前記フィルター表面に向かう角度において、又は前記フィルター表面とほぼ平行な角度で前記チャンバーの中心に向かう角度において前記フィルター表面に向かって方向付けられる、上記(3)に記載の方法。
(5)d)前記ほぐされた材料は、前記1つ以上のガスジェットからの前記ガス中に浮遊され、且つ前記1つ以上のガスジェットの前記ガスにより、前記フィルター表面から、前記ほぐされた材料のための出口に運搬される、上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)a)液体は、前記供給材料の提供前、その間中又はその後に導入され、少なくとも1つガスジェットは、濾過される材料の液体懸濁物の撹拌を提供する、上記(1)~(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)c)少なくとも1つガスジェットからのガスの流れ(F)は、0.3・r min ~0.9・r min の半径r を有する円の接線方向に加えられる、上記(1)~(6)のいずれか一項に記載の方法。
(8)チャンバー(1)を含む装置であって、前記チャンバー(1)は、スラリー又は特定の材料の形態の単離及び/又は調製される供給材料のための入口(2)と、任意選択的に液体のための入口と、フィルター表面(3)であって、その上に材料(8)が少なくとも前記装置の使用中に配置される、フィルター表面(3)を有するフィルターと、濾液のための出口(4)と、前記チャンバー(1)の壁を通した通路への開口部(5a)を含む、調製された粒子のための出口(5)と、前記フィルターの保持物側に配置される1つ以上のガス入口(6)であって、それを通してガスジェットが提供される、1つ以上のガス入口(6)とを含む、装置において、前記1つ以上のガス入口(6)は、ガスジェットの形態のガスの流れ(F)を前記フィルター表面(3)上の前記材料(8)に向かって方向付け、それにより前記フィルター表面から前記材料をほぐすように構成されることを特徴とする装置。
(9)1つ以上のガス入口(6)は、前記フィルター表面(3)から距離h 内において、前記フィルター表面(3)とほぼ平行なガスジェットの形態のガスの流れ(F)を方向付け、且つ前記チャンバーの中心(C)であって、前記チャンバー(1)の中心軸として画定される中心(C)から十分に離れて前記ガスの流れ(F)を方向付けて、前記材料(8)が浮遊されたときに前記チャンバー(1)の内部で渦を形成するように構成される、上記(8)に記載の装置。
(10)前記チャンバー(1)は、円筒状若しくは円錐台状に形成されるか、又は前記チャンバー(1)は、楕円形断面を有するか、又は前記チャンバー(1)の断面は、90°以下の角度を有するコーナーを有さない、上記(8)又は(9)に記載の装置。
(11)乾燥ガスのための前記入口(6)は、前記チャンバー(1)の前記中心軸Cと内壁との間の最小距離r min よりも小さく、且つ0よりも大きい半径r を有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成される、上記(8)~(10)のいずれか一項に記載の装置。
(12)ガスのための前記入口(6)は、0.3・r min ~0.9・r min の半径r を有する円の接線方向にガスジェットを方向付けるように構成される、上記(8)~(11)のいずれか一項に記載の装置。
(13)前記チャンバー(1)は、前記フィルター表面(3)から種々の距離に配置される、乾燥生成物(5a)のための2つ以上の開口部(5a)を含み、且つ/又は前記チャンバー(1)は、1つ以上の開口部(5a)であって、軸方向に移動され、それにより前記出口(5)の前記開口部と前記フィルター表面(3)との間の距離を変動させることができる1つ以上の開口部(5a)を含む、上記(8)~(12)のいずれか一項に記載の装置。
(14)前記チャンバー(1)は、前記中心軸Cから種々の距離に配置される、乾燥生成物(5a)のための2つ以上の開口部(5a)を含み、且つ/又は前記チャンバー(1)は、1つ以上の開口部(5a)であって、半径方向に移動され、それにより前記出口(5)の前記開口部と前記チャンバー(1)の前記中心軸Cとの間の距離を変動させることができる1つ以上の開口部(5a)を含む、上記(8)~(13)のいずれか一項に記載の装置。
(15)液体のための入口(2)を含む、上記(9)~(14)のいずれか一項に記載の装置。
(16)前記チャンバー(1)は、ガスのための2つ以上の接線方向の入口(6)を含む、上記(8)~(15)のいずれか一項に記載の装置。
(17)前記チャンバー(1)の前記中心Cに方向付けられたガスジェットのための入口(9)がさらに設けられる、上記(8)~(16)のいずれか一項に記載の装置。
(18)前記入口(6)は、前記フィルター表面(3)に最も近い前記チャンバー(1)の末端において、任意選択的に前記フィルター表面(3)の上方の高さh における前記チャンバー(1)の前記壁を通して配置される、上記(8)~(17)のいずれか一項に記載の装置。
(19)ガスのための出口(7)は、前記チャンバーの前記中心において又はその中心を外して、前記フィルター表面(3)の上方に開口部を有して配置される、上記(8)~(18)のいずれか一項に記載の装置。
(20)2つ以上のチャンバー(1)を含む、上記(8)~(19)のいずれか一項に記載の浮遊材料の単離及び/又は調製のための装置。
(21)目標乾燥度及び目標粒度分布を得るために、単一チャンバー(1)中又は複数の並列のチャンバー中のほぐされた粒子状材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを制御するための、上記(8)~(20)のいずれか一項に記載の装置の使用。
(22)チャンバー(1)中又は複数の並列のチャンバー中のほぐされた粒子状材料の乾燥及び/又はグラニュロメトリーを、渦を引き起こす少なくとも1つガスジェット(6)を提供し、且つ次に、前記ほぐされた粒子状材料の目標乾燥度及び目標粒度分布が得られるように前記ガスジェットの温度、前記チャンバー(1)中の前記ほぐされた粒子状材料の保持時間、ガス流の速度及び流入ガスの量を制御することによって制御するための、上記(8)~(21)のいずれか一項に記載の装置の使用。
図1
図2A-2B】
図2C
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】