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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】建築材料を適用するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20230125BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20230125BHJP
   B28C 5/14 20060101ALI20230125BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B28C7/04
C04B28/02
B28C5/14
B28B1/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020501835
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018071637
(87)【国際公開番号】W WO2019030328
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】17185653.7
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】パトリック クーン
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ブールカン
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ブリュービーラー
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ ロータン
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3201809(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01529617(EP,A2)
【文献】中国実用新案第204354263(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0138608(KR,A)
【文献】特開平05-116130(JP,A)
【文献】特開昭61-149314(JP,A)
【文献】特開昭58-081117(JP,A)
【文献】特開2005-170723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00-1/54
C04B 7/00-28/36
B28C 1/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、建築材料を適用するためのシステム(1):
前記建築材料の第1の成分(3)であって、第1の原料(3.1)と第2の原料(3.2)とを含む第1の成分(3);
前記建築材料の第2の成分(4);
前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)と前記第2の原料(3.2)とを混合するための第1のミキサ(5.1);
前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)を前記第1のミキサ(5.1)に供給するための供給装置(29);
空間内の適用位置を変えるための移動装置(2);及び
前記第1の成分(3)と前記第2の成分(4)とを混合するための第2のミキサ(5.2)
ここで、前記第1のミキサ(5.1)及び前記第2のミキサ(5.2)は、第1の部分に攪拌要素(19)を備える攪拌シャフト(16)であって、攪拌シャフト(16)上の第2の部分に搬送要素(18)が配置されている攪拌シャフト(16)を含む
【請求項2】
前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)は、セメントと骨材とを含み、かつ前記第1の成分(3)の前記第2の原料(3.2)は、水を含む、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記第2の成分(4)は、硬化促進剤を含む、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記第1のミキサ(5.1)及び/又は前記第2のミキサ(5.2)は、モジュール式に構成され、且つここで、第1の結合要素(14)を有する駆動モジュール(10)と、第2の結合要素(15)を有する混合室モジュール(11)とを含み、前記モジュール(10、11)は、使用状態において、前記結合要素(14、15)を介して相互に動作可能に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記第1のミキサ(5.1)は、静止状態に配置され、かつ/又は
前記第2のミキサ(5.2)は、前記移動装置(2)上に配置され、前記第2のミキサ(5.2)は、前記移動装置(2)よって移動可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記供給装置(29)は、貯蔵装置(30)と計測装置(40)とを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記計測装置(40)は、重量測定計測装置として設計され、かつ/又は
前記貯蔵装置(30)は、ホッパ(31)とコンベヤ(32)とを含む、請求項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
第1のポンプ(33)及び/又は第2のポンプ(34)を含み、前記第1の成分(3)は、前記第1のミキサ(5.1)から前記第2のミキサ(5.2)に、前記第1のポンプ(33)によって送り込むことができ、かつ/又は前記第2の成分(4)は、前記第2のミキサ(5.2)に、前記第2のポンプ(34)よって送り込むことができる、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記移動装置(2)は、可動ヘッド(36)を有し、かつ前記第2のミキサ(5.2)は、前記可動ヘッド(36)上に配置され、それにより、前記第2のミキサ(5.2)は、適用位置の領域内にあるようにされている、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
以下を含む、建築材料から構造物を生成するための方法:
前記建築材料の第1の成分(3)の第1の原料(3.1)を提供すること;
前記建築材料の前記第1の成分(3)の第2の原料(3.2)を提供すること;
前記第1の成分の前記第1の原料(3.1)と前記第2の原料(3.2)とを第1のミキサ(5.1)内で混合すること;
前記建築材料の第2の成分(4)を提供すること;
前記第1の成分(3)と前記第2の成分(4)とを第2のミキサ(5.2)内で混合すること;
空間内の適用位置を変えるために移動装置(2)を移動させること;及び
前記建築材料を適用すること
ここで、前記第2のミキサ(5.2)が、毎分500回転を超える回転速度で動作する
【請求項11】
前記第1のミキサ(5.1)が、毎分500回転を超える回転速度で動作する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のミキサ(5.1)内での前記混合中、前記ミキサ(5.1、5.2)内の前記原料の平均滞留時間は、40秒未満であり、かつ/又は前記第2のミキサ(5.2)内での前記混合中、前記ミキサ(5.1、5.2)内の前記建築材料の前記成分の平均滞留時間は、20秒未満である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記建築材料の前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)の前記提供中、前記第1の原料(3.1)は、重量測定により計測され、かつ/又は
前記建築材料の前記第1の成分の前記第2の原料(3.2)の前記提供中、前記第2の原料(3.2)は、容量測定により計測される、請求項1012のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記建築材料を、少なくとも部分的に重複している層において適用し、それにより、構造物を、3Dプリンタの方式で構成するようになっている、請求項1013のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料を適用するためのシステムと、建築材料から構造物を生成するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料の自動適用のための様々なシステムがすでに提案されている。例えば、国際公開第2013/064826 A1号パンフレットは、セメント質材料を適用する方法及びそのための装置を開示している。液体セメント質材料は、ここで、所期の対象箇所に可動ロボットアームを介して適用される。このようなシステムの欠点は、建築材料が、多くの場合、様々な特性、特に成分の完全な混合に関して不十分に均一であることである。その結果、建築材料で生成された構造物に凹凸があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、建築材料を適用するためのシステムと、建築材料から構造物を生成するための方法とを提供することであり、ここで、建築材料は、適用に関するその特性に関してできるだけ均一である。特に、それにより、高品質の構造物が建築材料を用いて再現可能及び連続的に構成されることが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、まず、建築材料を適用するためのシステムであって、建築材料の第1の成分であって、第1の原料と第2の原料とを含む第1の成分;建築材料の第2の成分;第1の成分の第1の原料と第2の原料とを混合するための第1のミキサ;第1の成分の第1の原料を第1のミキサに供給するための供給装置;空間内の適用位置を変えるための移動装置;及び第1の成分と第2の成分とを混合するための第2のミキサ;とを含むシステムによって達成される。
【0005】
ここで提案される解決策は、まず、第1のミキサと第2のミキサとの使用により、建築材料がシステムから出る際の建築材料のより均一な特性が実現できるという利点を有する。ここで提案されるシステムは、特に、第1の成分の原料が第1のミキサを使用して混合されてから、第1の成分が第2のミキサを使用して第2の成分と混合されることを想定している。このような2段階の混合プロセスにより、建築材料の原料及び成分のすべての全体的なより完全な混合が可能となる。
【0006】
ここで提案されるシステムは、建築材料を適用する作業を2つのミキサの提供によってよりよく自動化できるという利点をさらに提供する。1つのミキサのみがあるシステムと対照的に、ここで提案されるシステムには、それ自体がそれぞれ保管中に安定しており、したがって簡単で自動化された方法でシステムに供給できる個別の原料及び成分を供給することが可能である。
【0007】
ここで提案されるシステムの別の利点は、2つのミキサの設置により、建築材料により多くのエネルギーを加え得ることを含む。これは、まず、より完全な混合、建築材料中のより少ないエアポケットにつながり、さらにそれによって建築材料のための水の消費量を削減できる。加えて、より多くのエネルギーを加えられることにより、使用する添加物をより少なくすることが可能であり、これは、より費用対効果の高い解決策につながる。全体として、ここで提案されるシステムのこれらの特性のすべては、例えば、建築材料から構造物を建築するための建築材料の自動適用にとっての建築材料のよりよい特性に寄与する。
【0008】
例示的な実施形態において、建築材料は、コンクリート又はモルタルを含む。建築材料の第1の成分の第1の原料は、セメントと骨材とを含み、建築材料の第1の成分の第2の原料は、水を含む。
【0009】
これには、第1のミキサにより、セメント及び骨材が水と混合されることにより、均一でポンプ圧送可能なコンクリート又はモルタルを生成できるという利点がある。
【0010】
特に、その結果、ポンプ圧送可能なコンクリート又はモルタルを建築材料の第1の成分として生成でき、それは、比較的より少ない水とより少ないエアポケットとを含み、したがって第2のミキサに供給され得る。
【0011】
例示的な発展形態において、建築材料の第1の成分の第1の原料は、乾燥混合物、特にセメントと骨材とを含む混合物である。
【0012】
例示的な発展形態において、建築材料の第1の成分の第2の原料は、水に添加される添加剤を含む。
【0013】
使用可能な添加物の例は、コンクリート混和材、及び/又はモルタル混和材、及び/又はプロセス薬品である。
【0014】
少なくとも1つの添加剤は、特に消泡剤、湿潤剤、染料、防腐剤、フロー剤、遅延剤、他の促進剤、ポリマー、空隙形成剤、レオロジー的助剤、粘度調整剤、ポンプ圧送助剤、収縮低減剤若しくは腐食抑制剤又はそれらの組合せを含む。
【0015】
例示的な実施形態において、建築材料の第2の成分は、硬化促進剤を含む。
【0016】
これは、それにより、硬化促進剤を、第2のミキサ内において、すでに混合された第1の成分と混合できるという利点を提供する。硬化促進剤をすでに完全に混合された第1の成分と混合することにより、建築材料がシステムから出る際の建築材料のよりよい特性を得ることができる。建築材料の第1の成分は、すでに第1のミキサによって可溶化されているため、第2のミキサ内で添加される硬化促進剤は、建築材料の第1の成分に対するよりよい効果を有することができる。それにより、使用する硬化促進剤を減らすことができ、これは、費用の削減につながり、また硬化促進剤による水の導入の減少にもつながり、したがって硬化がより急速に進むことになる。
【0017】
代替的な実施形態において、建築材料は、プラスチック系の多成分組成物である。この場合、第1の成分は、典型的に反応性ポリマー又はモノマーを含み、第2の成分は、前記ポリマー又はモノマーを架橋又は硬化させるための硬化剤又は促進剤を含む。このような組成物の例には、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シラン機能性ポリモノマー、シリコーン、アクリル酸塩及びその他が含まれる。
【0018】
例示的な実施形態において、第1のミキサ及び/又は第2のミキサは、モジュール式に構成され、ミキサは、ここで、第1の結合要素を有する駆動モジュールと、第2の結合要素を有する混合室モジュールとを含み、これらのモジュールは、使用状態において、結合要素を介して動作可能に接続されている。
【0019】
モジュール式の構成のミキサを提供することにより、ミキサのうち、建築材料と接触する部分のみを交換し、且つ/又は修理点検し、且つ/又はクリーニングすることができるという利点が提供される。したがって、システムに保守作業を行うために、ミキサのより軽量の部分のみを取り外すことができる。加えて、例えば特に異なる建築材料に使用するため、混合室モジュール全体を交換できる。
【0020】
例示的な発展形態において、第1の結合要素及び第2の結合要素の各々は、歯部を含み、したがって、使用状態において、駆動モジュールと混合室モジュールとは、機械的に相互に動作可能に接続される。
【0021】
例示的な実施形態において、第1のミキサは、静止状態に配置される。
【0022】
静止した第1のミキサを提供することにより、それにより、第1のミキサ内の第1の成分を、例えば第1の成分の原料を供給するための対応する手段によって費用効率のよい自動化された方法で生成できるという利点が得られる。
【0023】
例示的な実施形態において、第2のミキサは、移動装置上に配置され、第2のミキサは、移動装置によって移動可能である。
【0024】
移動装置上に移動可能に配置された第2のミキサの提供には、第2のミキサをそれにより適用位置の領域に配置でき、その結果、第1の成分と第2の成分とを、建築材料がシステムから出るわずかに前に混合できるという利点がある。その結果、例えば、硬化促進剤を第2のミキサ内でポンプ圧送可能なコンクリート又はモルタルと混合でき、ここで提案される第2のミキサの配置により、システムがシステム内の硬化したコンクリート又はモルタルで詰まるリスクが軽減される。
【0025】
例示的な実施形態において、第1のミキサ及び/又は第2のミキサは、第1の部分に攪拌要素を備える攪拌シャフトであって、その上の第2の部分に搬送要素が配置される、攪拌シャフトを含む。
【0026】
第1に、建築材料の第1の成分をそれによって第1のミキサから運び出すことができることと、特にそのような第2のミキサの配置により、建築材料を有利な方法で混合及び搬送できることとが示された。
【0027】
有利な発展形態において、攪拌要素は、ピンとして設計される。
【0028】
別の有利な実施形態において、攪拌要素は、雄ねじを有し、したがって、攪拌要素は、攪拌シャフト上の雌ねじを有する凹部に螺合させることができる。
【0029】
例示的な発展形態において、搬送要素は、スクリュコンベヤとして設計される。
【0030】
例示的な発展形態において、攪拌シャフトの第1の部分は、ミキサのドラムの第1の領域に配置され、この領域において、ドラムは、少なくとも1つの入口を有する。加えて、攪拌シャフトの第2の部分は、ドラムの第2の領域に配置され、その領域において、ドラムは、出口を有する。
【0031】
例示的な発展形態において、搬送要素は、攪拌シャフトから攪拌シャフトの軸の方向に引き抜くことができる。
【0032】
例示的な発展形態において、搬送要素は、搬送要素を攪拌シャフト上にロックするための固定要素を含む。
【0033】
例示的な発展形態において、ミキサのドラムは、一体に且つ/又は管状の形態で形成される。
【0034】
例示的な実施形態において、供給装置は、貯蔵装置と計測装置とを含む。
【0035】
別々の貯蔵装置及び計測装置の提供には、それにより建築材料をシステムで連続的に適用できるという利点がある。
【0036】
例示的な発展形態において、計測装置は、重量測定計測装置として設計される。
【0037】
重量測定計測装置を提供することにより、第1の成分の第1の原料、特にセメントと骨材とからなる乾燥混合物を正確な量だけシステムに供給できるという利点が得られる。建築材料の品質がそれによって均一に保持され得る。
【0038】
例示的な発展形態において、貯蔵装置は、ホッパとコンベヤとを含む。コンベヤは、特にスクリュコンベヤ又はコンベヤベルトとして設計できる。
【0039】
ホッパ及びコンベヤの提供には、それにより建築材料の第1の成分の第1の原料の大型ユニット、例えば大型容器又はサック(技術用語ではビッグバッグと呼ばれる)が貯蔵装置で使用されるという利点がある。例えば、第1の成分の第1の原料のこのような大型ユニットは、貯蔵装置内に吊るして、ホッパを介してコンベヤに供給できる。ホッパには、ここで、保管場所として使用でき、したがって建築材料の第1の成分の第1の原料の容器を交換するためにある期間のつなぎとすることができるという利点がある。コンベヤは、例えば、第1の成分を計測装置に供給できる。
【0040】
例示的な実施形態において、システムは、第1のポンプ及び/又は第2のポンプを含み、第1の成分は、第1のミキサから第2のミキサに第1のポンプによって圧送され得、第2の成分は、第2のミキサに第2のポンプによって圧送され得る。
【0041】
第1の成分及び/又は第2の成分を第2のミキサに供給するためのこのような第1のポンプ及び/又は第2のポンプを提供することにより、それにより第1の成分と第2の成分とを連続的に一定の流量で第2のミキサに供給できるという利点が得られる。
【0042】
例示的な実施形態において、移動装置は、可動ヘッドを有し、第2のミキサは、可動ヘッド上に配置され、それにより、第2のミキサは、適用位置の領域内にある。
【0043】
第2のミキサの移動装置のヘッド上への配置には、それにより第1一及び第2の成分が、建築材料がシステムから出る直前に相互に混合されるという利点がある。その結果、ポンプ圧送可能なコンクリート又はモルタルは、建築材料が、それがシステムから出た後にまもなく硬化するような方法で硬化促進剤と混合でき、その結果、建築材料から構造物を効率的に生成できる。特に、それにより、構造物を建築材料で3Dプリンタの方式で生成できる。
【0044】
例示的な実施形態において、移動装置は、クレーンのように設計できる。例示的な発展形態において、移動装置は、可動アームを有する。
【0045】
代替的な発展形態において、移動装置は、レール上に移動可能に配置された複数のアセンブリを含む。
【0046】
冒頭に記載の目的は、建築材料から構造物を生成するための方法によってさらに達成され、ここで、この方法は以下を含む:建築材料の第1の成分の第1の原料を提供すること;建築材料の第1の成分の第2の原料を提供すること;第1の成分の第1の原料と第2の原料とを第1のミキサ内で混合すること;建築材料の第2の成分を提供すること;第1の成分と第2の成分とを第2のミキサ内で混合すること;空間内の適用位置を変えるために移動装置を移動させること;及び建築材料を適用すること。
【0047】
ここで提案される、建築材料から構造物を生成するための方法は、システムについてすでに上述したものと同じ利点を与える。
【0048】
例示的な実施形態において、第1のミキサ及び/又は第2のミキサは、毎分500回転を超える回転速度、好ましくは毎分650回転を超える回転速度、特に好ましくは毎分800回転を超える回転速度、特に好ましくは毎分1000回転を超える回転速度で動作される。
【0049】
第1のミキサ及び/又は第2のミキサを速い回転速度で動作させることにより、高いか又は急速に増大する粘性を有する混合材料(例えば、ポンプ圧送可能なコンクリート若しくはモルタル又は硬化促進剤が添加されたコンクリート若しくはモルタル)は、それにより、できるだけ効率的且つ迅速に完全に混合され得、その後、ミキサから運び出され得、プロセス中のミキサの詰まり及びその機能の不良を生じさせないという利点が得られる。
【0050】
試験において、回転速度がより速いと、その結果として以下のような効果が得られることが示されている:第1に、コンクリート又はモルタルと硬化促進剤とがより完全に混合され、その結果、より制御可能な硬化挙動が得られる。第2に、コンクリート又はモルタルが砕ける程度がより大きく、したがって硬化促進剤がコンクリート又はモルタルのより大きい表面積に作用することができ、その結果、コンクリート又はモルタルと促進剤との間の反応がより迅速でよりよく制御可能となる。第3に、より多くのエネルギーが混合物に付与され、その結果、コンクリート又はモルタルと促進剤とがより加熱され、それは、したがって、硬化プロセスを促進する。
【0051】
上記の効果は、毎分2000回転の回転速度までより促進されることが観察されている。
【0052】
例示的な実施形態において、第1のミキサ内での混合中、ミキサ内の建築材料の原料又は成分の平均滞留時間は、40秒未満、特に好ましくは30秒未満、特に好ましくは20秒未満である。
【0053】
例示的な実施形態において、第2のミキサ内での混合中、ミキサ内の建築材料の原料又は成分の平均滞留時間は、20秒未満、特に好ましくは15秒未満、特に好ましくは10秒未満である。
【0054】
ドラム内の混合物の平均滞留時間は、粒子がドラム内(ドラムの入口からドラムの出口まで)で平均的に費やす期間である。
【0055】
最大わずか数秒間という上記の有利な平均滞留時間には、それにより高いか又は大きく増大する粘性を有する混合材料、例えばポンプ圧送可能なコンクリート若しくはモルタル又は硬化促進剤が添加されたコンクリート若しくはモルタルを運搬できるという利点がある。
【0056】
例示的な実施形態において、建築材料の第1の成分の第1の原料の提供中、第1の原料は、重量測定により計測される。
【0057】
建築材料の第1の成分の第1の原料、特にセメントと骨材との乾燥混合物の重量測定による計測には、均一な特性を有する建築材料がそれによって得られるという利点がある。
【0058】
例示的な実施形態において、建築材料の第1の成分の第2の原料の提供中に、第2の原料は容量測定により計測される。
【0059】
第2の原料、特に添加剤を含むか又は含まない水の容量測定による計測には、第1の成分の第2の原料を供給するための費用対効果の高いシステムがそれによって提供され得るという利点がある。
【0060】
第1の原料の乾燥混合物と対照的に、液体の第2の原料は、容量測定により十分に正確に計測される方法で提供できる。
【0061】
例示的な実施形態において、建築材料は、少なくとも部分的に重複している層において適用され、それにより、構造は、3Dプリンタの方式で構成される。
【0062】
層状に適用される建築材料の利点は、それによって構造物全体が建築材料から自動的且つ効率的に構成できることを含む。
【0063】
例示的な発展形態において、適用中、既存の層には、既存の層が新しい層の重量を受けたときに元の形状を保つのに十分に高い強度を有する場合にのみ建築材料の新しい層が重ねられる。
【0064】
建築材料を3Dプリンタの方式で適用することは、特に建築材料のための型枠工事が不要になることを意味する。加えて、建築材料から生成しようとする構造物の形状は、実質的により自由に選択できる。
【0065】
本発明の詳細及び利点を、例示的な実施形態を使用して下記の概略図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】建築材料を適用するための例示的なシステムの概略図を示す。
図2】例示的なミキサの概略図を示す。
図3】ミキサの例示的な駆動モジュール及び混合室モジュールの概略図を示す。
図4】混合室モジュールの例示的なシャフトモジュール及びドラムモジュールの概略図を示す。
図5】建築材料から構造物を生成する例示的な方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、建築材料を適用するための例示的なシステム1を概略的に示す。システム1は、空間内の適用位置を変えるための移動装置2を含む。この例示的な実施形態において、移動装置2は、可動アームを備えるクレーン状の装置として設計される。可動アームは、先端にヘッド36を有する。
【0068】
貯蔵装置30内において、建築材料の第1の成分3の第1の原料3.1は、ホッパ31を介して及びコンベヤ32を介して計測装置40に供給される。計測装置40と貯蔵装置30とは、一緒に供給装置29を形成し、これは、第1の成分3の第1の原料3.1を第1のミキサ5.1に供給することができる。第1の原料3.1は、第1のミキサ5.1の第1の入口7.1を介して供給される。
【0069】
第1の成分3の第2の原料3.2は、第1のミキサ5.1の第2の入口7.2を介して第1のミキサ5.1に供給される。
【0070】
第1のミキサ5.1内において、第1の原料3.1と第2の原料3.2とが混合されて建築材料の第1の成分3を形成する。第1のミキサ5.1の出口6.1を介して、第1の成分3は、第2のミキサ5.2に第1の管系27を介して供給される。第1のポンプ33は、第1の管系27を通して第1の成分3を搬送できる。
【0071】
さらに、システム1は、第2の成分4を含み、これは、第2の管系28を介して第2のミキサ5.2に供給できる。第2のポンプ34も、ここで、第2の管系28を通して第2の成分4を搬送するために提供できる。
【0072】
第1の成分3と第2の成分4とは、第2のミキサ5.2内で一緒に混合される。第1の成分3は、第1の入口7.1を介して第2のミキサ5.2に供給され、第2の成分4は、第2の入口7.2を介して第2のミキサ5.2に供給される。第2のミキサ5.2内で生成された建築材料は、第2のミキサ5.2の出口6.2を介して第2のミキサ5.2から出て、その後、出口開口38を介して適用される。
【0073】
この例示的な実施形態において、第1のミキサ5.1は、静止状態で配置され、第2のミキサ5.2は、移動装置2上に移動可能に配置される。第2のミキサ5.2は、移動装置2のヘッド36上に配置され、それにより、第2のミキサ5.2は、その都度、適用位置の領域内にある。
【0074】
図2は、例示的なミキサ5を概略的に示す。ミキサ5は、ドライブ8と、ドラム9と、基端側閉止手段12と、先端側閉止手段13と、出口6と、第1の入口7.1と、第2の入口7.2と、第3の入口7.3と、支持手段17とを含む。例えば、ミキサ5を第2のミキサ5.2として使用している間、第1の成分3は、第1の入口7.1を介して、及び第2の成分4は、第3の入口7.3を介して供給でき、第2の入口7.2は、洗浄液でドラム9を洗浄するために使用できる。
【0075】
代替形態として、ここに示されるミキサ5は、第1のミキサ5.1として使用されている間、第1の原料3.1と第2の原料3.2とを混合して第1の成分3を形成するために使用できる。したがって、例えば、第1の原料3.1は、第1の入口7.1を介して供給でき、第2の原料3.2は、第3の入口7.3を介して供給でき、第2の入口7.2は、洗浄液でドラム9を洗浄するために使用できる。
【0076】
この例示的な実施形態において、先端側閉止手段13は、支持手段17を介してドライブ8に接続され、したがって攪拌シャフト(この図では見えない)を基端側閉止手段12と先端側閉止手段13との両方に取り付けることができる。
【0077】
図3は、図2ですでに示したものと同じミキサ5を示すが、この図では駆動モジュール10と混合室モジュール11とが相互から分離されている。ここで、駆動モジュール10は、第1の結合要素14を含み、混合室モジュール11は、第2の結合要素15を含むことが明らかである。この例示的な実施形態において、結合要素14、15は、それぞれ歯部を有し、これらは、適用状態において噛み合う。
【0078】
混合室モジュール11と駆動モジュール10とを分離可能に配置することにより、特に混合室モジュール11にクリーニング及び/又は保守作業を実行するために混合室モジュール11をシステム1から取り外すことが可能となる。特に、ドラム9は、それにより、ミキサ5の全体をシステム1から取り外さずに簡単に洗浄できる。
【0079】
図4は、駆動モジュール10がないときの混合室モジュール11を示す。図4は、分離された状態の混合室モジュール11を示す。この例示的な実施形態において、混合室モジュール11は、シャフトモジュール21とドラムモジュール22とを含む。
【0080】
この例示的な実施形態におけるシャフトモジュール21は、第2の結合要素15と、基端側閉止手段12と、攪拌シャフト16と、コンベヤ要素18とを含む。
【0081】
この例示的な実施形態におけるドラムモジュール22は、一体に形成された管状ドラム9と先端側閉止手段13とを含む。ドラム9は、第1の入口7.1と、第2の入口7.2と、第3の入口7.3とを有し、これらは、すべてドラム9の第1の端領域に配置される。出口6は、ドラム9の第2の端領域に配置される。
【0082】
この例示的な実施形態における先端側閉止手段13は、先端側閉止手段13の、ドラム9と対面する側に配置された犠牲板23を有する。犠牲板23は、システムの動作中に摩耗し、必要に応じて交換できる。その結果、先端側閉止手段13は、より長期間にわたり使用できる。
【0083】
この例示的な実施形態におけるコンベヤ要素18は、スクリュコンベヤとして設計される。コンベヤ要素18は、攪拌シャフト16に取り付けて配置される。加えて、コンベヤ要素18は、攪拌シャフト16にロッキング要素(この図では見えない)で固定される。
【0084】
図5は、最後に、建築材料から構造物を生成するための方法を概略的に示す。様々な方法工程が以下のように分類される:
I 建築材料の第1の成分の第1の原料を提供すること
II 建築材料の第1の成分の第2の原料を提供すること
III 第1の原料と第2の原料とを混合して建築材料の第1の成分を形成すること
IV 建築材料の第2の成分を提供すること
V 第1の成分と第2の成分とを混合して建築材料を形成すること
VI 移動装置を移動させて空間内の適用位置を変えること
VII 建築材料を適用すること。
【0085】
言うまでもなく、ここに述べる方法工程は、同時に行うことができ、したがって建築材料を連続的に適用して建築材料から構造物を生成できる。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]以下を含む、建築材料を適用するためのシステム(1):
前記建築材料の第1の成分(3)であって、第1の原料(3.1)と第2の原料(3.2)とを含む第1の成分(3);
前記建築材料の第2の成分(4);
前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)と前記第2の原料(3.2)とを混合するための第1のミキサ(5.1);
前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)を前記第1のミキサ(5.1)に供給するための供給装置(29);
空間内の適用位置を変えるための移動装置(2);及び
前記第1の成分(3)と前記第2の成分(4)とを混合するための第2のミキサ(5.2)。
[2]前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)は、セメントと骨材とを含み、かつ前記第1の成分(3)の前記第2の原料(3.2)は、水を含む、上記[1]に記載のシステム(1)。
[3]前記第2の成分(4)は、硬化促進剤を含む、上記[1]又は[2]に記載のシステム(1)。
[4]前記第1のミキサ(5.1)及び/又は前記第2のミキサ(5.2)は、モジュール式に構成され、且つここで、第1の結合要素(14)を有する駆動モジュール(10)と、第2の結合要素(15)を有する混合室モジュール(11)とを含み、前記モジュール(10、11)は、使用状態において、前記結合要素(14、15)を介して相互に動作可能に接続されている、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[5]前記第1のミキサ(5.1)は、静止状態に配置され、かつ/又は
前記第2のミキサ(5.2)は、前記移動装置(2)上に配置され、前記第2のミキサ(5.2)は、前記移動装置(2)よって移動可能である、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[6]前記第1のミキサ(5.1)及び/又は前記第2のミキサ(5.2)は、第1の部分に攪拌要素(19)を備える攪拌シャフト(16)であって、その上の第2の部分に搬送要素(18)が配置される攪拌シャフト(16)を含む、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[7]前記供給装置(29)は、貯蔵装置(30)と計測装置(40)とを含む、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[8]前記計測装置(40)は、重量測定計測装置として設計され、かつ/又は
前記貯蔵装置(30)は、ホッパ(31)とコンベヤ(32)とを含む、上記[7]に記載のシステム(1)。
[9]第1のポンプ(33)及び/又は第2のポンプ(34)を含み、前記第1の成分(3)は、前記第1のミキサ(5.1)から前記第2のミキサ(5.2)に、前記第1のポンプ(33)によって送り込むことができ、かつ/又は前記第2の成分(4)は、前記第2のミキサ(5.2)に、前記第2のポンプ(34)よって送り込むことができる、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[10]前記移動装置(2)は、可動ヘッド(36)を有し、かつ前記第2のミキサ(5.2)は、前記可動ヘッド(36)上に配置され、それにより、前記第2のミキサ(5.2)は、適用位置の領域内にあるようにされている、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のシステム(1)。
[11]以下を含む、建築材料から構造物を生成するための方法:
前記建築材料の第1の成分(3)の第1の原料(3.1)を提供すること;
前記建築材料の前記第1の成分(3)の第2の原料(3.2)を提供すること;
前記第1の成分の前記第1の原料(3.1)と前記第2の原料(3.2)とを第1のミキサ(5.1)内で混合すること;
前記建築材料の第2の成分(4)を提供すること;
前記第1の成分(3)と前記第2の成分(4)とを第2のミキサ(5.2)内で混合すること;
空間内の適用位置を変えるために移動装置(2)を移動させること;及び
前記建築材料を適用すること。
[12]前記第1のミキサ(5.1)及び/又は前記第2のミキサ(5.2)が、毎分500回転を超える回転速度で動作する、上記[11]に記載の方法。
[13]前記第1のミキサ(5.1)内での前記混合中、前記ミキサ(5.1、5.2)内の前記原料の平均滞留時間は、40秒未満であり、かつ/又は前記第2のミキサ(5.2)内での前記混合中、前記ミキサ(5.1、5.2)内の前記建築材料の前記成分の平均滞留時間は、20秒未満である、上記[11]又は[12]に記載の方法。
[14]前記建築材料の前記第1の成分(3)の前記第1の原料(3.1)の前記提供中、前記第1の原料(3.1)は、重量測定により計測され、かつ/又は
前記建築材料の前記第1の成分の前記第2の原料(3.2)の前記提供中、前記第2の原料(3.2)は、容量測定により計測される、上記[11]~[13]のいずれか一つに記載の方法。
[15]前記建築材料を、少なくとも部分的に重複している層において適用し、それにより、構造物を、3Dプリンタの方式で構成するようになっている、上記[11]~[14]のいずれか一つに記載の方法。
【符号の説明】
【0086】
1 システム
2 移動装置
3 第1の成分
3.1 第1の原料
3.2 第2の原料
4 第2の成分
5 ミキサ
5.1 第1のミキサ
5.2 第2のミキサ
6 出口
6.1 第1のミキサの出口
6.2 第2のミキサの出口
7 入口
7.1 第1の入口
7.2 第2の入口
7.3 第3の入口
8 ドライブ
9 ドラム
10 駆動モジュール
11 混合室モジュール
12 基端側閉止手段
13 先端側閉止手段
14 第1の結合要素
15 第2の結合要素
16 攪拌シャフト
17 支持手段
18 コンベヤ要素
19 攪拌要素
21 シャフトモジュール
22 ドラムモジュール
23 犠牲板
27 第1の管系
28 第2の管系
29 供給装置
30 貯蔵装置
31 ホッパ
32 コンベヤ
33 第1のポンプ
34 第2のポンプ
36 移動装置のヘッド
38 出口開口
40 計測装置
I 第1の原料を提供すること
II 第2の原料を提供すること
III 第1の原料と第2の原料を混合すること
IV 第2の成分を提供すること
V 第1の成分と第2の成分を混合すること
VI 移動装置を移動させること
VII 建築材料を適用すること
図1
図2
図3
図4
図5