(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】直流電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230125BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20230125BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
H01L23/46 C
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2020510442
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2019006741
(87)【国際公開番号】W WO2019187846
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2018065542
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192337
【氏名又は名称】福本 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100206092
【氏名又は名称】金 佳恵
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉成 拓家
(72)【発明者】
【氏名】喜嶋 裕司
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山澤 宏
【審判官】篠原 功一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0036439(US,A1)
【文献】特開平11-69617(JP,A)
【文献】特開2017-131103(JP,A)
【文献】特開2008-277482(JP,A)
【文献】特開2011-077348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/467
H05K 7/20
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の交流電源から供給される交流を直流に変換及び変圧して電動工具に供給する直流電源装置であって、
内部に空間を形成する壁部を有するハウジングと、
前記壁部に形成され、前記ハウジング内外を連通させる第1開口及び第2開口と、
前記ハウジング内に固定される第1回路素子及び第2回路素子を含み、前記交流を前記直流に変換及び変圧する回路部と、
前記ハウジング内に固定され、前記壁部と協働して、前記ハウジング内に、前記第1開口と連通する第1空気通路と、前記第2開口と連通する第2空気通路と、前記第1空気通路と前記第2空気通路とを連通させる屈曲通路とを提供する規制壁部と、
前記屈曲通路を介して前記第1開口と前記第2開口との間を流れる空気流を発生させるファンと、を備え、
前記第1回路素子は、少なくとも1つのスイッチング素子からなり、
前記ファンは、前記第1開口または前記第2開口に対向して設けられ、
前記第1回路素子は前記第1空気通路内に配置され、
前記第2回路素子は前記第2空気通路内に配置され、
前記規制壁部は、前記第1回路素子に対し接触して放熱板として作用し、かつ、前記第2回路素子に対し絶縁距離を介して配置され、
前記壁部は、上壁と、下壁と、前記上壁と前記下壁とを接続する側壁と、を有し、
前記上壁は、所定方向に延び複数種類の前記電動工具と係合可能なレールを有し、
前記側壁は、前記所定方向と直交する方向において互いに対向する一対の第1対向壁と、前記所定方向において互いに対向する一対の第2対向壁と、を有し、
前記一対の第2対向壁のうちの一方の壁からは、前記外部の交流電源に接続可能な電源コードが延び、
前記第1開口は、前記一対の第1対向壁に形成され、
前記第2開口は、前記電源コードが延出する前記一方の壁に形成されていることを特徴とする直流電源装置。
【請求項2】
前記回路部は、前記交流を整流する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を変圧して直流にする変圧回路とを含み、
前記第1回路素子は、前記整流回路内に設けられ
ているブリッジダイオードを含み、
前記第2回路素子は、前記変圧回路内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
【請求項3】
前記第2回路素子は、トランスからなることを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
【請求項4】
前記回路部は、前記交流が入力される入力部と、前記直流を出力する出力部とを有し、
前記トランスは、前記入力部に含まれる1次巻線と、前記出力部に含まれる2次巻線とを有し、
前記少なくとも1つのスイッチング素子は、前記入力部内に設けられることを特徴とする請求項3に記載の直流電源装置。
【請求項5】
前記
ハウジングは、前記空気流の流れる方向に対し前記第2回路素子の下流側にて
、前記壁部から前記空気流の流れる方向に対し交差する方向に突出するリブを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の直流電源装置。
【請求項6】
前記ファンは、前記第2開口に対向して設けられて前記ハウジング内の空気を吸引し、前記第1開口は吸気口として機能し、前記第2開口は排出口として機能することを特徴とする請求項1から
4のいずれか一に記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記ファンは、前記第2開口に対向して設けられて前記ハウジング内に送風し、前記第1開口は排気口として機能し、前記第2開口は吸気口として機能することを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の直流電源装置。
【請求項8】
前記第1空気通路は、2つ
設けられ、前記第2空気通路は、前記2つの第1空気通路の間に位置し、
前記2つの第1空気通路は、前記屈曲通路を介して前記第2空気通路に合流することを特徴とする請求項1から7の何れか一に記載の直流電源装置。
【請求項9】
前記規制壁部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する規制板を有し、
前記第1面は前記第1空気通路の一部を構成し、前記第2面は前記第2空気通路の一部を構成することを特徴とする請求項1から8の何れか一に記載の直流電源装置。
【請求項10】
前記規制板は、前記屈曲通路側に前記第1空気通路と前記第2空気通路とを連通させる少なくとも1つの貫通孔を有することを特徴とする請求項9記載の直流電源装置。
【請求項11】
前記第1回路素子、前記第2回路素子及び前記規制壁部が実装されるとともに、前記第1空気通路、前記屈曲通路及び前記第2空気通路に面する第1基板をさらに有することを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の直流電源装置。
【請求項12】
前記第1回路素子の動作を制御する制御部が実装される第2基板と、
電動工具に対し電気的に接続される複数の端子を有する出力端子部と、をさらに有し、
前記第1基板は前記第2空気通路の下方に配置され、
前記第2基板は前記第2空気通路の側方に配置され、
前記出力端子部は、前記第2空気通路の上方に配置されることを特徴とする請求項11に記載の直流電源装置。
【請求項13】
前記第1基板は、前記下壁に設けられ、
前記側壁は、前記屈曲通路の一部を規定する屈曲通路画定部を有し、
前記第1開口と前記第2開口とは、前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に形成され、
前記規制壁部は、前記上壁と前記第1基板との間に位置するとともに、その一端が前記第1開口近傍の前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に接続され、その他端が前記屈曲通路画定部に向かって延びながらも前記屈曲通路画定部に至る途中に位置して前記屈曲通路を規定し、
前記第1回路素子及び第2回路素子は、前記第1基板から前記上壁に向かって起立していることを特徴とする請求項11または12に記載の直流電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の交流電源から供給される交流を直流に変換して出力する直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具用の直流電源装置は、外部の交流電源から供給される交流を直流に変換し、変換後の直流を、電源装置に接続された電動工具に出力する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動工具用の直流電源装置は、内部に、平滑回路、整流回路及び変圧回路等の多数の発熱素子を有している。これらの回路をハウジング内にコンパクトに配置して製品全体を小型に構成しながらも、内部の発熱素子を効率的に冷却することが求められている。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、発熱素子を効率良く冷却しながらも製品全体の小型化を実現した直流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の直流電源装置は、外部の交流電源から供給される交流を直流に変換して電動工具に供給する直流電源装置であって、内部に空間を形成する壁部を有するハウジングと、前記壁部に形成され、前記ハウジング内外を連通させる第1開口及び第2開口と、前記ハウジング内に固定される第1回路素子及び第2回路素子を含み、前記交流を前記直流に変換する回路部と、前記ハウジング内に固定され、前記壁部と協働して、前記ハウジング内に、前記第1開口と連通する第1空気通路と、前記第2開口と連通する第2空気通路と、前記第1空気通路と前記第2空気通路とを連通させる屈曲通路とを提供する規制壁部と、前記屈曲通路を介して前記第1開口と前記第2開口との間を流れる空気流を発生させるファンと、を備え、前記ファンは、前記第1開口または前記第2開口に対向して設けられ、前記第1回路素子は前記第1空気通路内に配置され、前記第2回路素子は前記第2空気通路内に配置される。
【0007】
上記構成によれば、ファンの駆動により、第1開口と第2開口との間に、第1空気通路、屈曲通路、第2空気通路とを連通させた風路が形成される。これにより、風路全体の長さが、規制壁部の無い場合にハウジング内に設けられる風路の長さに比較して長く形成される。この風路を構成する第1空気通路及び第2空気通路にそれぞれ第1回路素子及び第2回路素子を配置しているので、第1及び第2回路素子を効率良く冷却することができる。また、上記構成により、規制壁部の形状とハウジング内での配置とによっては、ハウジングの内部空間を略全体にわたり空気通路に含ませることができ、ハウジング内の何れの箇所に対しても略均一な風量の空気流を提供することができ、ハウジング内の回路素子を確実に冷却できる。
【0008】
好ましくは、前記回路部は、前記交流を整流する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を変圧して直流にする変圧回路とを含み、前記第1回路素子は、前記整流回路内に設けられているブリッジダイオードを含み、前記第2回路素子は、前記変圧回路内に設けられている。交流から直流への変換に伴い発熱する整流回路又は変圧回路に含まれる第1回路素子及び第2回路素子は、空気流により冷却されるので、整流回路又は変圧回路を冷却できる。
【0009】
好ましくは、前記第1回路素子は、少なくとも1つのスイッチング素子からなり、前記第2回路素子は、トランスからなる。直流電源装置の動作により発熱するスイッチング素子及びトランスを空気流に晒して効率良く冷却する。
【0010】
好ましくは、前記回路部は、前記交流が入力される入力部と、前記直流を出力する出力部とを有し、前記トランスは、前記入力部に含まれる1次巻線と、前記出力部に含まれる2次巻線とを有し、前記少なくとも1つのスイッチング素子は、前記入力部内に設けられる。直流電源装置の動作により発熱するスイッチング素子及びトランスを空気流に晒して効率良く冷却する。
【0011】
好ましくは、前記ハウジングは、前記空気流の流れる方向に対し前記第2回路素子の下流側にて、前記壁部から前記空気流の流れる方向に対し交差する方向に突出するリブを備えている。リブによって、空気流はトランスの外周面に沿うように流れるので、空気流が触れるトランスの表面積を増やして、トランスの冷却効率を向上させることができる。
【0012】
好ましくは、前記規制壁部は、前記少なくとも1つのスイッチング素子用の放熱板である。当該構成により、放熱板と空気流との両方を利用してスイッチング素子を放熱させることができ、スイッチング素子を効率良く冷却できる。また、規制板を放熱板と兼用することで、装置を構成する部品点数を削減することができる。
【0013】
好ましくは、前記ファンは、前記第2開口に対向して設けられて前記ハウジング内の空気を吸引し、前記第1開口は吸気口として機能し、前記第2開口は排出口として機能する。当該構成により、第1開口から、順に第1空気通路、屈曲通路及び第2空気通路を介して、第2開口に流れる空気流を発生でき、空気流は、第1回路素子及び第2回路素子の順で冷却する。従って、発熱量のより高い回路素子を第1回路素子とすることで、第1開口から取り込まれた直後の未だ温められていない空気流による第1回路素子の冷却が可能となる。
【0014】
好ましくは、前記ファンは、前記第2開口に対向して設けられて前記ハウジング内に送風し、前記第1開口は排気口として機能し、前記第2開口は吸気口として機能する。当該構成により、第2開口から、順に第2空気通路、屈曲通路及び第1空気通路を介して、第1開口に流れる空気流を発生でき、空気流は、第2回路素子及び第1回路素子の順で冷却する。従って、発熱量のより高い回路素子を第2回路素子とすることで、第2開口から取り込まれた直後の未だ温められていない空気流による第2回路素子の冷却が可能となる
【0015】
好ましくは、前記第1空気通路は、2つ設けられ、前記第2空気通路は、前記2つの第1空気通路の間に位置し、前記2つの第1空気通路は、前記屈曲通路を介して前記第2空気通路に合流する。当該構成により、ハウジング内に少なくとも3つの空気通路が形成されて、空気流の流れる風路の全長を長くできる。従って、第1空気通路に配置する回路素子の個数を増やして、直流電源装置の空気流による冷却効果を高めることができる。
【0016】
好ましくは、前記規制壁部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する規制板を有し、前記第1面は前記第1空気通路の一部を構成し、前記第2面は前記第2空気通路の一部を構成する。規制板の第1面と第2面とにより、ハウジングが第1空気通路と第2空気通路とに仕切られるので、ハウジングを小型に製造できる。
【0017】
好ましくは、前記規制板は、前記屈曲通路側に前記第1空気通路と前記第2空気通路とを連通させる少なくとも1つの貫通孔を有する。当該構成により、第1空気通路、屈曲通路及び第2空気通路によって形成される風路を流れる空気流の単位時間あたりの流量を増やすことができる。従って、第1及び第2回路素子の冷却効率を高めることができる。
【0018】
好ましくは、前記第1回路素子及び前記第2回路素子が実装される基板をさらに有し、前記壁部は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とを接続する側壁とを有し、前記基板は、前記下壁に設けられ、前記側壁は、前記屈曲通路の一部を規定する屈曲通路画定部を有し、前記第1開口と前記第2開口とは、前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に形成され、前記規制壁部は、前記上壁と前記基板との間に位置するとともに、その一端が前記第1開口近傍の前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に接続され、その他端が前記屈曲通路画定部に向かって延びながらも前記屈曲通路画定部に至る途中に位置して前記屈曲通路を規定し、前記第1回路素子及び第2回路素子は、前記基板から前記上壁に向かって起立している。当該構成により、第1回路素子及び第2回路素子は、第1空気通路及び第2空気通路を遮るように配置されるので、空気流に触れる回路素子の表面積を増やして、冷却効率を高めることができる。また、ハウジング内の略全空間を空気通路に含ませることができ、ハウジング内の隅々まで強さが略均一の空気流を提供できる。
本発明はさらに、外部の交流電源から供給される交流を直流に変換及び変圧して電動工具に供給する直流電源装置であって、内部に空間を形成する壁部を有するハウジングと、前記壁部に形成され、前記ハウジング内外を連通させる第1開口及び第2開口と、前記ハウジング内に固定される第1回路素子及び第2回路素子を含み、前記交流を前記直流に変換及び変圧する回路部と、前記ハウジング内に固定され、前記壁部と協働して、前記ハウジング内に、前記第1開口と連通する第1空気通路と、前記第2開口と連通する第2空気通路と、前記第1空気通路と前記第2空気通路とを連通させる屈曲通路とを提供する規制壁部と、前記屈曲通路を介して前記第1開口と前記第2開口との間を流れる空気流を発生させるファンと、を備え、前記第1回路素子は、少なくとも1つのスイッチング素子からなり、前記ファンは、前記第1開口または前記第2開口に対向して設けられ、前記第1回路素子は前記第1空気通路内に配置され、前記第2回路素子は前記第2空気通路内に配置され、前記規制壁部は、前記第1回路素子に対し接触して放熱板として作用し、かつ、前記第2回路素子に対し絶縁距離を介して配置され、前記壁部は、上壁と、下壁と、前記上壁と前記下壁とを接続する側壁と、を有し、前記上壁は、所定方向に延び複数種類の前記電動工具と係合可能なレールを有し、前記側壁は、前記所定方向と直交する方向において互いに対向する一対の第1対向壁と、前記所定方向において互いに対向する一対の第2対向壁と、を有し、前記一対の第2対向壁のうちの一方の壁からは、前記外部の交流電源に接続可能な電源コードが延び、前記第1開口は、前記一対の第1対向壁に形成され、前記第2開口は、前記電源コードが延出する前記一方の壁に形成されていることを特徴とする直流電源装置を提供している。
上記構成において、前記第1回路素子、前記第2回路素子及び前記規制壁部が実装されるとともに、前記第1空気通路、前記屈曲通路及び前記第2空気通路に面する第1基板をさらに有することが好ましい。
また、前記第1回路素子の動作を制御する制御部が実装される第2基板と、電動工具に対し電気的に接続される複数の端子を有する出力端子部と、をさらに有し、前記第1基板は前記第2空気通路の下方に配置され、前記第2基板は前記第2空気通路の側方に配置され、前記出力端子部は、前記第2空気通路の上方に配置されることが好ましい。
また、前記第1基板は、前記下壁に設けられ、前記側壁は、前記屈曲通路の一部を規定する屈曲通路画定部を有し、前記第1開口と前記第2開口とは、前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に形成され、前記規制壁部は、前記上壁と前記第1基板との間に位置するとともに、その一端が前記第1開口近傍の前記側壁のうち前記屈曲通路画定部以外の部分に接続され、その他端が前記屈曲通路画定部に向かって延びながらも前記屈曲通路画定部に至る途中に位置して前記屈曲通路を規定し、前記第1回路素子及び第2回路素子は、前記第1基板から前記上壁に向かって起立していることが好ましい。
本発明はさらに、外部の交流電源から供給される交流を直流に変換及び変圧して電動工具に供給する直流電源装置であって、前後方向に沿って延びる複数の長壁部と、前後方向に交差して延びる複数の短壁部を有し、前後方向に延びるとともに内部に空間を形成する略直方体形状を有するハウジングと、前記長壁部を前後方向と交差する方向に貫通するように形成され、前記ハウジング内外を連通させる開口と、前記ハウジング内に固定される回路素子を含み、前記交流を前記直流に変換及び変圧する回路部と、前記ハウジング内に固定され、前記ハウジング内を第1空間と第2空間とに仕切る規制壁部と、を備え、前記規制壁部は、前記長壁部と平行に延び、前記前後方向と交差する方向視で前記開口と重なるように配置されるとともに、前記回路部に接触する放熱板であることを特徴とする直流電源装置を提供している。
上記構成において、前記複数の長壁部は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とを接続する一対の側壁とを有し、前記上壁は、前記電動工具に対し電気的に接続される複数の端子を有する出力端子部を有し、前記一対の側壁の各々は前記開口を有し、前記規制壁部は、前記一対の側壁の各々に近接するように一対設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の直流電源装置によれば、ハウジング内の略全空間に対して空気流を提供することができる。また、第1及び第2空気通路に配置されて交流から直流への変換に伴い発熱する第1回路素子及び第2回路素子を効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるAC/DCアダプタの斜視図。
【
図4】
図1に示すAC/DCアダプタが取り付けられたインパクトドライバを示す図。
【
図5】
図1に示すAC/DCアダプタが取り付けられた携帯式電動丸鋸を示す図。
【
図7】基板に実装された回路素子及び放熱板の斜視図。
【
図8】基板に実装された回路素子及び放熱板の側面図。
【
図10】第1の実施の形態の変形例を示す縦断面図。
【
図11】
図1に示すAC/DCアダプタを示す概念図。
【
図12】
図11に示すAC/DCアダプタの変形例を示す概念図。
【
図13】本発明の実施の形態のさらなる変形例を示す概念図。
【
図14】本発明の実施の形態のさらなる変形例を示す概念図。
【
図15】本発明の実施の形態のさらなる変形例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態である直流電源装置を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1に、本発明の第1の実施の形態であるAC/DCアダプタ1を示す。AC/DCアダプタ1は、商用電源などの外部の商用電源CPから供給される交流を直流に変換し、直流をAC/DCアダプタ1に接続された電動工具2(
図4及び
図5参照)に向けて出力する装置である。AC/DCアダプタ1は、略直方体形状のハウジング3内に、交流を直流に変換する回路部4と、回路部4を冷却するファン5とを備えている。なお、図面において上下の方向については、特段の記載が無い限り、図面に示す方向とする。
【0023】
<ハウジング> ハウジング3は、
図1から
図3に示されるように、例えば絶縁性の樹脂製の上ハウジングと下ハウジングとを接合部にて接合して略直方体形状に構成され、上壁3Aと、下壁3Bと、上壁3Aと下壁3Bとを接続する側壁3C~3Fとを含む壁部によって、内部に空間を形成する。上壁3Aには、電動工具2と接続するための接続部31が設けられている。接続部31は、電動工具2と物理的に連結されると共に、電動工具2の回路部と電気的に接続される複数の端子を有する出力端子部32を有する。
【0024】
接続部31には、上壁3Aと平行に延びるレール33が設けられ、このレール33が電動工具2に設けられる図示しないレールと係合する。側壁3Cと、側壁3Cに対向する面である側壁3Dとには、ラッチ操作部34が設けられ、レール33には、ラッチ操作部34と連動して動くラッチ係合部35が設けられる。レール33と電動工具2に設けられた図示しないレールを係合させながら摺動させると、電動工具2に設けられた図示しない凸部がラッチ係合部35と係合し、電動工具2とハウジング3は相対移動不能に固定される。電動工具2とハウジング3とが相対移動不能に固定された状態でラッチ操作部34を操作すると、ラッチ係合部35が移動して電動工具2に設けられた図示しない凸部との係合が外れ、電動工具2とハウジング3は相対移動可能となる。このように、ラッチ操作部34の操作によって、ハウジング3と電動工具2との固定の有無が切り換え可能となる。
例えば、AC/DCアダプタ1が取り付けられる電動工具2としては、
図4に示されるようなインパクトドライバ、
図5に示されるような携帯式電動丸鋸などがある。インパクトドライバ及び携帯式電動丸鋸は、AC/DCアダプタ1からの電力供給により作業が可能になる。
【0025】
側壁3C~3Fは、
図3に示されるように、長辺方向に互いに略平行に対向する第1及び第2側壁3C,3Dと、短辺方向に互いに略平行に対向する第3及び第4側壁3E,3Fを有する。
図1に示されるように、第1側壁3Cには、各々が略長方形の小孔からなる複数の第1風窓3c1が形成されている。第2側壁3Dにも、各々が略長方形の小孔からなる複数の第1風窓3d1が形成されている。第3側壁3Eには、各々が略長方形の小孔からなる複数の第2風窓3eが形成されている。第4側壁3Fにおいて、第1及び第2側壁3C、3D近傍が後述する屈曲通路画定部3F1、3F2となる。第1風窓は第1開口の一例であり、第2風窓は第2開口の一例である。
【0026】
<回路部> 回路部4は、
図6に示されるように、入力側から出力側に向けて、整流回路と、平滑回路と、変圧回路43とを有する。外部の商用電源CPからの交流電力は、電源コード6(
図1)を介して整流回路に入力される。整流回路は、ブリッジダイオード41からなり、入力された交流を全波整流して出力する。平滑回路は、コンデンサ42からなり、整流回路の出力電圧を平滑化する。変圧回路43は、入力電圧を所望の電圧値に変圧して出力端子部32に直流電流を出力する。
【0027】
変圧回路43は、スイッチング素子44と、トランス45とを含む。トランス45は、一次巻線45Aと二次巻線45Bとがコア45Cにそれぞれ巻回されて構成される。スイッチング素子44は、トランス45の一次巻線45Aと直列に接続されて、一次巻線45Aに流れる電力を調整する。二次巻線45Bの一端と他端とは、それぞれダイオード49を介して出力端子部32の正極端子に接続される。また、二次巻線45Bの中性点は、接地され、且つ出力端子部32の負極端子に接続される。
【0028】
出力端子部32には、電動工具2が物理的且つ電気的に接続可能である。電動工具2は、例えば、ブラシレスモータ21を駆動源とし、図示せぬ先端工具による作業が可能であるインパクトドライバや携帯式電動丸鋸等などである。電動工具2は、スイッチ22によりオン・オフが制御され、ブラシレスモータ21は、6個のスイッチング素子23のスイッチング動作により駆動される。なお、整流回路、平滑回路、スイッチング素子44及びトランス45の一次巻線45Aは、回路部4の入力部を構成する。一方、トランス45の二次巻線45B、ダイオード49及び出力端子部32は、回路部4の出力部を構成する。
【0029】
回路部4は、出力電力を制御するためのマイコン50を有する。マイコン50は、補助電源51からの電力により動作する。さらに、回路部4には、出力電圧を検出する電圧検出回路52と、定電圧制御回路53と、スイッチング素子44のスイッチング動作を制御するスイッチング制御回路54とが設けられて、出力端子部32から所定電圧値の電力を出力するように構成される。さらに、マイコン50には、ファンモータ駆動回路55と、表示回路56とが接続される。ファンモータ駆動回路55は、ファン5を回転させるファンモータ57を駆動する。表示回路56は、AC/DCアダプタ1の状態を表示するLEDを有する。
【0030】
ファン5は、
図2に示されるように、ファンモータ57と共に第3側壁3E近傍に、回転軸(図示せず)がハウジング3の長手方向と略平行になるように、第2風窓3eと対向してハウジング3に固定される。ファン5は、ファンモータ57の駆動により回転されて、ハウジング3内部に空気流を発生させる。
【0031】
回路部4は、
図7に示されるように、基板7に、ブリッジダイオード41、コンデンサ42、スイッチング素子44、トランス45及びダイオード49が実装されて構成される。
【0032】
基板7は、略長方形の平板からなり、ハウジング3の下壁3Bにネジ71により固定される(
図3参照)。基板7の上壁3Aと対向する面には、
図2及び
図7に示されるように、回路部4を構成する回路素子としての、ブリッジダイオード41と、コンデンサ42と、スイッチング素子44と、トランス45とがそれぞれ実装される。なお、ブリッジダイオード41、スイッチング素子44及びトランス45は、第1回路素子及び第2回路素子の一例である。
【0033】
本実施の形態では、
図3及び
図7に示されるように、基板7に対し、第1放熱板72が、第1側壁3Cとは所定の距離を隔てて第1側壁3Cに沿うように、屈曲通路画定部3F1に向けて、屈曲通路画定部3F1より所定の距離を介した箇所まで延びると共に上壁3Aに向けて立つように固定されている。また、第2放熱板73が、基板7において、第2側壁3Dとは所定の距離を隔てて第2側壁3Dに沿うように、屈曲通路画定部3F2より所定の距離を介した箇所まで延びると共に上壁3Aに向けて立つように固定されている。第1放熱板72と第2放熱板73とは、例えばアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属製である。なお、第1放熱板72と第2放熱板73とは、規制壁部及び規制板の一例である。
【0034】
第1放熱板72には、第4側壁3F側の部分に、厚み方向を貫通する円形の貫通孔72aが複数形成されている。第1放熱板72に形成される複数の貫通孔72aと、第1側壁3Cに形成される第1風窓3c1との上下方向に対する位置関係は、
図8に示されるように、側壁3C,3Dの対向方向に見たときに重なるように、すなわち、基板から略同じ距離となるように形成されている。
【0035】
第1放熱板72には、第1側壁3Cに対向する面に、ブリッジダイオード41及びスイッチング素子44が直に取り付けられて、ブリッジダイオード41及びスイッチング素子44の放熱を促進するようになっている。第1放熱板72の第3側壁3E側の端部には、
図3に示されるように、第1側壁3Cに向けて折曲された折曲部72Aを有し、第1側壁3Cと第1放熱板72との間の間隙を塞ぐようになっている。
【0036】
第2放熱板73には、第2側壁3Dに対向する面にダイオード49が直に取り付けられ、ダイオード49の放熱を促進するようになっている。第2放熱板73の第3側壁3E側の端部には、
図3に示されるように、第3側壁3Dに向けて折曲された折曲部73Aを有し、第3側壁3Dと第2放熱板73との間の間隙を塞ぐようになっている。
【0037】
また、
図3及び
図7に示されるように、第1放熱板72と第2放熱板73とで区画される基板7上には、第3側壁3E側から第4側壁3F側に向けて、順に、ファン5、コンデンサ42、トランス45が実装されている。トランス45は、第1放熱板72及び第2放熱板73の各々とは、適切な絶縁距離を介して配置される。従って、トランス45の大きさによって、基板7に固定される第1放熱板72と第2放熱板73との間の距離が設定される。さらに、トランス45は、一次巻線45Aが第1放熱板72側に、二次巻線45Bが第2放熱板73側に位置するように配置される。
【0038】
さらに、第4側壁3F近傍には、第4側壁4Fに沿うように、マイコン50が実装された補助基板74が固定されている(
図2、
図3及び
図7参照)。
【0039】
<AC/DCアダプタ1の動作> 次に、AC/DCアダプタ1の動作について説明する。
【0040】
電動工具2にAC/DCアダプタ1を取り付け、電源コード6を商用電源CPに接続する。電動工具2のスイッチ22をオンに切り替えると、AC/DCアダプタ1にて交流から直流に変換された例えば出力電圧36Vの直流電力が、出力端子部32を介して電動工具2に供給される。この時、ハウジング3内でファン5が回転する。ファン5は、回転に伴い、第2風窓3eに向かう空気流を発生させるので、第1風窓3c1、3d1から空気がハウジング3内に取り込まれる。このように、空気流は、第1風窓3c1、3d1から、ハウジング3内に画定される風路に沿って流れて、第2風窓3eからハウジング3の外部に排気される。
【0041】
風路は、ハウジング3内に、第1風窓3c1、3d1から第2風窓3eに至るまで形成される。より詳しくは、風路は、
図3に示されるように、第1風窓3c1、3d1に連通する第1空気通路P11、P12と、第2風窓3eに連通する第2空気通路P2と、第1空気通路P1と第2空気通路P2とを連通させる屈曲通路Pcとに分けられる。なお、何れの空気通路も、上方はハウジング3の上壁3Aによって、下方はハウジングの下壁3B又は基板7によって規制される。
【0042】
本実施の形態では、第1風窓3c1、3d1がハウジング3の側壁3C,3Dにより形成されるため、第1空気通路P11,P12は、ハウジング3内を長手方向に延びる仮想中心線Xに対して略対称な位置に形成される。第1の第1空気通路P11は、ハウジング3の第1側壁3Cと第1放熱板72とによって画定され、一端部が第1風窓3c1に連通すると共に他端部が屈曲通路Pcに連通する。第2の第1空気通路P12は、ハウジング3の第2側壁3Dと第2放熱板73とによって画定され、一端部が第1風窓3d1に連通すると共に他端部が屈曲通路Pcに連通する。第2空気通路P2は、一端部が屈曲通路Pcに連通し、第1放熱板72と第2放熱板73とによって画定され、他端部が第2風窓3eに連通する。
【0043】
屈曲通路Pcは、第1及び第2の第1空気通路P11、P12と第2空気通路P2との間に両空気通路を連通するように設けられる。例えば、第1の第1空気通路P11と第2空気通路P2とを連通させる屈曲通路Pcは、ハウジングの上壁3Aと共に、第1放熱板72の端部と屈曲通路画定部3F1とによって画定される。また、第2の第1空気通路P12と第2空気通路P2とを連通させる屈曲通路Pcは、ハウジングの上壁3Aと共に、第2放熱板73の端部と屈曲通路画定部3F2とによって画定される。このように、第1及び第2の2つの第1空気通路P11,P12は、共に屈曲通路Pcを介して第2空気通路P2に合流する構成となっている。
【0044】
空気流は、第1風窓3c1、3d1から第1及び第2の第1空気通路P11,P12内を流れ、屈曲通路Pcを介して第2空気通路P2内に入り、次に、第2空気通路P2内を流れて第2風窓3eからハウジング3の外部に排出される。
【0045】
第1の第1空気通路内P11では、第1放熱板72に固定されたブリッジダイオード41及びスイッチング素子44が、この順に空気流に晒されるので、空気流によりAC/DCアダプタ1の動作により発熱したブリッジダイオード41及びスイッチング素子44が冷却される。第2の第1空気通路P12内では、第2放熱板73に固定されたダイオード49が、空気流に晒されるので、空気流によりAC/DCアダプタ1の動作により発熱したダイオード49が冷却される。
【0046】
第1及び第2の第1空気通路P11,P12を出た空気流は、次に、屈曲通路Pcに入り、第4側壁3Fにより進行方向を変えて第2空気通路P2内に流れ込む。第2空気通路P2内では、トランス45、コンデンサ42の順に空気流に晒され、空気流によりAC/DCアダプタ1の動作により発熱したトランス45及びコンデンサ42が冷却される。そして、ブリッジダイオード41、スイッチング素子44、トランス45、コンデンサ42からの熱を奪い温められた空気流は、第2風窓3eを介してハウジング3の外部に排気される。
【0047】
上記の如く空気通路P11,P12、P2が形成されることにより、発熱する回路素子の各々を、AC/DCアダプタ1の動作により各空気通路内に生じる空気流に包み込むように配置することが可能となる。このように、回路部4を構成する回路素子は、空気流の流れる方向において順に配置されるので、外周面の略全体を略均一な空気流に晒すことができる。従って、回路素子の略全表面からの放熱が促進される。すなわち、発熱する回路素子を効率良く冷却することができる。
【0048】
また、ハウジング3の側壁3C,3D,3Fと放熱板72、73とを利用してハウジング3内を仕切り空気通路を画定することによって所望の領域を風路に取り込むことが可能になる。具体的には、空気通路内に配置される回路素子を略全体的に空気流内に取り込む。従って、これらの回路素子を効率良く冷却することができる。
【0049】
また、放熱板72、73を利用してハウジング3を利用して空気通路を仕切っているので、空気通路を仕切るための専用部品を必要とせず、AC/DCアダプタ1の部品点数の増加を防ぐことができる。また空気通路の形成に放熱板72、73を利用し、放熱板72、73の表面にそって空気流が流れる。これにより、空気流が放熱板72、73からの放熱を促進するので、放熱板72、73による放熱効果を高めることもできる。
【0050】
さらに、ハウジング3内の放熱板72、73の配置場所によって各空気通路の長さ及び空気流の進行方向に直交する断面の大きさを調整できるので、回路素子の大きさに応じた基板上での回路素子のレイアウトの設計が容易になる。また、放熱板72、73の形状や大きさ、配置場所によっては、ハウジング3の略全領域に空気通路を設けて、略均一な強さの空気流を行き渡らせることが可能である。
【0051】
また、屈曲通路Pc近傍の第1放熱板72に円形の貫通孔72aが複数形成されているため、貫通孔72aを介して第1の第1空気通路P11から第2空気通路P2へ、屈曲通路Pcを介さずに直接空気流が流れることができる。この構成により、第1空気通路P11及から第2空気通路P2に流れ込む空気流の流量の低下を防いで、第2空気通路P2に配置されて発熱するトランス45などの回路素子を効率良く冷却できる。また、空気流が擦過する第1放熱板72の表面積を維持しつつも、第1の第1空気通路P11から第2空気通路P2への空気流の空気抵抗を低減させる。
【0052】
さらに、ハウジング3内に、第1放熱板72及び第2放熱板73によって空気流の流れる空気通路を積極的に調整することが可能になるので、ハウジング3をコンパクトに構成して、AC/DCアダプタ1を小型にすることができる。
【0053】
なお、ファン5による空気流の向きを
図3に示す方向とは反転させて、
図9に示すように、第2風窓3eから空気を吸い込み、風路P2,P11,P12を通過して第1風窓3c1、3d1からハウジング3の外部に排出させることもできる。この場合、空気流は、第2風窓3e、第2空気通路P2、屈曲通路Pc、第1空気通路P11,P12、第1風窓3c1、3d1の順に流れて、トランス45、スイッチング素子44、ブリッジダイオード41からなる回路素子を冷却する。より具体的には、第2風窓3eから第2空気通路P2に入った空気流は、第2空気通路P2を流れた後、屈曲通路Pcにより第1の第1空気通路P11と第2の第1空気通路P12とに分岐され、第1又は第2の第1空気通路P11,P12を流れた後、第1風窓3c1、3d1よりハウジング3の外部に排出される。第2風窓3eからハウジング3内に取り込まれて未だ温められていない空気流によって、比較的発熱量が高いトランス45を冷却できるため、トランス45の冷却効果を高めることができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、
図10に示されるように、トランス45に対し空気流の下流側となるハウジング3の上壁3Aから基板7に向けてリブ3Gを設けて、第4側壁3Fに向かう空気流をトランス45の外周面に沿わせるようにすることもできる。当該構成により、空気流に晒されるトランス45の外周面積が増やされるので、発熱するトランス45の冷却効果を高めることができる。
【0055】
図11は、上記実施の形態の構成を表した概念図である。電動工具2への電力供給に伴いファン5が回転すると、第1の第1空気通路P11に第1風窓3c1から空気流が流れ込むと共に、第2の第1空気通路P12に第1風窓3d1から空気流が流れ込み、各第1空気通路P11、P12に配置された回路素子A1,B1が冷却される。次に、空気流は、屈曲通路Pcを介して第2空気通路P2に流れ込み、第2空気通路P2に配置された回路素子C1を冷却して、第2風窓3eよりハウジング3の外に排出される。
【0056】
なお、
図12に示されるように、第2の第1空気通路P12には、回路素子が配置しない場合、第2の第1空気通路P12を流れた空気流は回路素子からの放熱により温められていないので、第2空気通路P2を流れ始めるときの温度が、
図11の場合に比べて低くなる。これにより、第2空気通路P2に配置された回路素子C1を、
図11に比べてより低温の空気流で冷却できるので、回路素子C1の冷却効果を高めることができる。
【0057】
<変形例> 上記実施の形態の変形例を
図13から
図15に示す。
【0058】
図13は、AC/DCアダプタ101を示す概略図である。ハウジング103の第1側壁103C及び第2側壁103Dは、それぞれ第4側壁103F近傍に第1及び第2開口103c1、103d1が形成されている。回路部104は、基板107上に設けられて第1面と第2面とを有する単一の放熱板172を有する。放熱板172は、一端部が第4側壁103Fに接続され、他端部が第3側壁103Eに向かって延びて、ハウジング103と共に屈曲通路Pc2を規定する。さらに、放熱板172は、ハウジング103と共に第1面側に第1空気通路P111を画定し、第2面側に第2空気通路P112を画定する。
【0059】
第1空気通路P111は、一端部側が第1開口103c1と連通し、他端部側が屈曲通路Pc2と連通する。第1空気通路P111では、発熱して冷却が必要な第1回路素子A2が基板107に実装されている。一方、第2空気通路P112は、一端部側がファン105を介して第2開口103d1と連通し、他端部側が屈曲通路Pc2と連通する。第2空気通路P112では、基板107上に発熱して冷却が必要な第2回路素子B2が実装されている。ファン105の回転により、第1開口103c1から、第1空気通路P111、屈曲通路Pc2、第2空気通路P112を流れ、第2開口103d1にまで達する空気流が発生する。これにより、第1回路素子A2及び第2回路素子B2は、各々が空気流によって外表面が略全体的に包囲されるので、効率良く冷却される。
【0060】
なお、第2回路素子は、
図14に示されるように、屈曲通路Pc2内に位置する基板107上に実装されていても、
図13に示す実施の形態と同様に、屈曲通路Pc2を流れる空気流によって外表面が略全体的に包囲されるので、効率良く冷却される。
【0061】
図13及び
図14に示す実施の形態においても、放熱板172を利用してハウジング103内の風路を規制しているので、AC/DCアダプタ101を構成する部品点数の増加を防ぐと共に、風路内の空気流が放熱板172の第1面及び第2面に沿って流れるので、放熱板172の放熱効果を高めることもできる。
【0062】
さらに、上記の如く、放熱板を利用してハウジング内を第1開口から第2開口に至るまでの風路を適宜区画して所望領域に空気流を行き渡らせる構成は、逆に利用すれば、
図15に示されるように、空気流が流れない空間Sを意図的にハウジング203内に設けることができる。ハウジング203は、長辺方向に互いに略平行に対向する第1及び第2側壁203C,203Dと、短辺方向に互いに略平行に対向する第3及び第4側壁203E,203Fとを有する。
図15において、例えば、第1放熱板272と第2放熱板273とは、共に一端部を第4側壁203Fに接続し、他端部側を平板274で連結して、ハウジング203内に閉じた空間Sを設ける。この空間S内に空気流による冷却が不要な回路素子C3を配置する。ファン205の回転により、第1開口203c1から第1空気通路、屈曲通路、第2空気通路を経て第2開口203d1に至る空気流が発生する。回路素子A3、B3は、第1空気通路又は第2空気通路に配置されているため、空気流によって冷却される。しかし、回路素子C3は、閉じた空間Sにあって空気流に晒されないので、空気流により冷却されない。
【0063】
このように、本発明の規制板によって、冷却を必要とする回路素子を集中的に効率良く冷却することができる。
【0064】
本発明を、AC/DCアダプタに適用して説明したが、本発明は、AC/DCアダプタに限定されず、冷却を必要とする回路素子を含む適宜の直流電源装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…AC/DCアダプタ、2…電動工具、3…ハウジング、3A…上壁、3B…下壁、3C,3D,3E,3F…側壁、3c1,3d1…第1開口、3e…第2開口、4…回路部、5…ファン、7…基板、41…ブリッジダイオード、42…コンデンサ、43…変圧回路、44…スイッチング素子、45…トランス、72,73…放熱板