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特許7216776窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法
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  • 特許-窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/12 20100101AFI20230125BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20230125BHJP
【FI】
H01L33/12
H01L33/32
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021122199
(22)【出願日】2021-07-27
(62)【分割の表示】P 2017208306の分割
【原出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2021170668
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松倉 勇介
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0083994(US,A1)
【文献】特開2015-035536(JP,A)
【文献】特開平11-068158(JP,A)
【文献】特開2003-115642(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0090801(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0015850(KR,A)
【文献】特開2013-165261(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002419(WO,A1)
【文献】特開2013-128103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00- 5/50
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、
前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層と
を含む窒化物半導体発光素子であって、
前記下地構造部は、前記基板上にAlNにより形成されたバッファ層を有し、
前記n型クラッド層は、
前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、
前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比以下の第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層と
を備え、
前記n型クラッド層は、前記緩衝層上に位置して、前記第3のAl組成比よりも小さい第4のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層をさらに含み、
前記第4のAlGaN層は、最も上側に位置する前記第3のAlGaN層に接している、
窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
基板を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、
前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層と
を含む窒化物半導体発光素子であって、
前記下地構造部は、前記基板上にAlNにより形成されたバッファ層を有し、
前記n型クラッド層は、
前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、
前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層と
を備え、
前記第2のAlGaN層は、前記第1のAlGaN層上に形成されており、
最も下側に位置する前記第2のAlGaN層は、前記第1のAlGaN層に接している、
窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
前記n型クラッド層は、前記緩衝層上に位置して、前記第3のAl組成比以下の第4のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層をさらに含む、
請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
前記第4のAlGaN層は、2.0マイクロメートル以下の厚さを有する、
請求項1又は3に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項5】
前記第4のAl組成比は、前記第3のAl組成比と等しい値である、
請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項6】
前記緩衝層は、
複数の前記第2のAlGaN層と、複数の前記第3のAlGaN層とを、前記第1のAlGaN層側から前記多重量子井戸層側に向かってこの順に交互にL層ずつ積層してなる多重層を含む、
請求項からのいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項7】
前記第2のAl組成比は、前記第1のAl組成比と等しい値である、
請求項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項8】
前記第3のAlGaN層は、前記第2のAlGaN層の厚さよりも大きい厚さを有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項9】
前記第1のAlGaN層は、1.5マイクロメートル以下の厚さを有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
前記緩衝層は、4.0マイクロメートル以下の厚さを有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項11】
基板及び前記基板上に位置するAlNにより形成されたバッファ層を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層を形成する工程と、
前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程と
を含む窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記n型クラッド層を形成する工程は、
前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層を形成する工程と、
前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比以下の第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層を形成する工程と、を備え、
前記n型クラッド層を形成する工程は、前記緩衝層上に位置して、前記第3のAl組成比以下の第4のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層を形成する工程をさらに備え、
前記第4のAlGaN層を形成する工程においては、前記第4のAlGaN層が、最も上側に位置する前記第3のAlGaN層に接するよう形成される、
窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
基板及び前記基板上に位置するAlNにより形成されたバッファ層を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層を形成する工程と、
前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程と
を含む窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記n型クラッド層を形成する工程は、
前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層を形成する工程と、
前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層を形成する工程と、を備え、
前記n型クラッド層を形成する工程においては、前記第1のAlGaN層上に前記第2のAlGaN層が形成されるとともに、最も下側に位置する前記第2のAlGaN層が、前記第1のAlGaN層に接するよう形成される、
窒化物半導体発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外光を出力する発光ダイオードやレーザダイオード等の窒化物半導体発光素子が提供されており、発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子の開発が進められている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4291960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の窒化物半導体発光素子は、窒化物半導体基板上に、活性層をp型クラッド層とn型クラッド層とで挟み込む構造を有する窒化物半導体発光素子において、該活性層は、井戸層の全積層数が2以下である、障壁層と井戸層とからなる量子井戸構造であり、n型クラッド層と活性層との間、およびp型クラッド層と活性層との間の両方にはAlGa1-cN(0≦c<1)からなる第2の窒化物半導体層を有し、さらに前記活性層と第2の窒化物半導体層との間に、Inを含む窒化物半導体からなる第1の窒化物半導体層を有し、該第1の窒化物半導体層は、InzGa1-zN(0<z≦1)を含む多層膜構造であり、前記活性層とp側の第1の窒化物半導体層の間には、AlγGa1-γN(0<γ<1)からなる電子閉じ込め層を有し、前記活性層は2層以上の障壁層を有し、最もp型層側に位置する障壁層は、活性層内で最もp側に形成され、n型不純物を実質的に含まず、p型不純物を含み、他の障壁層はアンドープ若しくはn型不純物を含み、前記p型クラッド層、n型クラッド層が、AlGa1-bN(0.05<b<1)とGaNの超格子からなることを特徴とする。
【0005】
ところで、窒化物半導体発光素子の表面の平坦性を向上するためには、超格子の積層数を多くすることが好ましい。しかしながら、超格子の積層数が多くなるにつれ、窒化物半導体発光素子の素材であるウエハの反りが大きくなり、発光素子の加工に支障が生じる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、窒化物半導体発光素子の素材であるウエハの反りを抑制し発光素子の加工に支障を生じにくくさせることができる窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層とを含む窒化物半導体発光素子であって、前記下地構造部は、前記基板上にAlNにより形成されたバッファ層を有し、前記n型クラッド層は、前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比以下の第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層とを備え、前記n型クラッド層は、前記緩衝層上に位置して、前記第3のAl組成比よりも小さい第4のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層をさらに含み、前記第4のAlGaN層は、最も上側に位置する前記第3のAlGaN層に接している、窒化物半導体発光素子を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層とを含む窒化物半導体発光素子であって、前記下地構造部は、前記基板上にAlNにより形成されたバッファ層を有し、前記n型クラッド層は、前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層と、前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層とを備え、前記第2のAlGaN層は、前記第1のAlGaN層上に形成されており、最も下側に位置する前記第2のAlGaN層は、前記第1のAlGaN層に接している、窒化物半導体発光素子を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板及び前記基板上に位置するAlNにより形成されたバッファ層を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層を形成する工程と、前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程とを含む窒化物半導体発光素子の製造方法であって、前記n型クラッド層を形成する工程は、前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層を形成する工程と、前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比以下の第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層を形成する工程と、を備え、前記n型クラッド層を形成する工程は、前記緩衝層上に位置して、前記第3のAl組成比以下の第4のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層を形成する工程をさらに備え、前記第4のAlGaN層を形成する工程においては、前記第4のAlGaN層が、最も上側に位置する前記第3のAlGaN層に接するよう形成される、窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板及び前記基板上に位置するAlNにより形成されたバッファ層を含む下地構造部上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層を形成する工程と、前記n型クラッド層上に位置する、複数の障壁層と複数の井戸層とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程とを含む窒化物半導体発光素子の製造方法であって、前記n型クラッド層を形成する工程は、前記下地構造部側に位置して、前記バッファ層のAl組成比よりも小さい第1のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層を形成する工程と、前記第1のAlGaN層及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比よりも小さい第2のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第2のAlGaN層と、前記第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比を有するn型AlGaNを含む第3のAlGaN層とが交互に積層された緩衝層を形成する工程と、を備え、前記n型クラッド層を形成する工程においては、前記第1のAlGaN層上に前記第2のAlGaN層が形成されるとともに、最も下側に位置する前記第2のAlGaN層が、前記第1のAlGaN層に接するよう形成される、窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウエハの反りを抑制して発光素子の加工に支障を生じにくくさせることができる窒化物半導体発光素子及び窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図2図2は、図1に示す発光素子のn型クラッド層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。
図3図3は、変形例に係る発光素子のn型クラッド層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。
図4図4は、比較例及び実施例に係る発光素子の構成と、測定結果とを示す図である。
図5図5は、比較例及び実施例に係る発光素子の素材であるウエハの反り及びウエハの面内発光割合を示すグラフである。
図6図6は、本発明の第2の実施の形態に係る発光素子のn型クラッド層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の窒化物半導体発光素子の寸法比と一致するものではない。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。窒化物半導体発光素子1(以下、単に「発光素子1」ともいう。)は、紫外領域の波長の光を発する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。本実施の形態では、特に、中心波長が280nm~360nmの深紫外光を発する発光素子1を例に挙げて説明する。
【0015】
図1に示すように、発光素子1は、基板10と、バッファ層22と、n型クラッド層30と、多重量子井戸層を含む活性層50と、電子ブロック層60と、p型クラッド層70と、p型コンタクト層80と、n側電極90と、p側電極92とを含んで構成されている。
【0016】
発光素子1を構成する半導体には、例えば、AlGaIn1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)にて表される2元系、3元系若しくは4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。また、これらのIII族元素の一部は、ホウ素(B)、タリウム(Tl)等で置き換えても良く、また、Nの一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置き換えても良い。
【0017】
基板10は、発光素子1が発する深紫外光に対して透光性を有している。基板10は、例えば、サファイア(Al)を含むサファイア基板である。基板10には、サファイア(Al)基板の他に、例えば、窒化アルミニウム(AlN)基板や、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)基板を用いてもよい。
【0018】
バッファ層22は、基板10上に形成されている。バッファ層22は、AlN層を含んで構成されている。基板10及びバッファ層22は、下地構造部2を構成する。なお、基板10がAlN基板またはAlGaN基板である場合、バッファ層22は必ずしも設けなくてもよい。
【0019】
n型クラッド層30は、下地構造部2上に形成されている。n型クラッド層30は、n型のAlGaN(以下、単に「n型AlGaN」ともいう。)により形成された層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされたAlGaNを含む層である。なお、n型の不純物としては、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)、炭素(C)等を用いてもよい。
【0020】
n型クラッド層30は、下地構造部2上に形成された第1のAlGaN層32と、この第1のAlGaN層32上に形成された緩衝層34とを備えている。換言すれば、n型クラッド層30は、n型クラッド層30内において、下地構造部2側に位置する第1のAlGaN層と、第1のAlGaN層32と後述する多重量子井戸層との間に位置する緩衝層34とを備えている。
【0021】
次に、図2を参照して、第1のAlGaN層32及び緩衝層34の詳細について説明する。図2は、図1に示す発光素子1のn型クラッド層30のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。なお、Al組成比には、別の表現として、「AlNモル分率」(%)を用いてもよい。図2の縦軸は、n型クラッド層30のAl組成比(%)を示し、横軸は、n型クラッド層30を構成する第1のAlGaN層32及び緩衝層34の位置を模式的に示している。図2内の符号「t」、「t」、「t」は、それぞれ、第1のAlGaN層32、第2のAlGaN層342(後述)、第3のAlGaN層344(後述)の厚さを示している。
【0022】
図2に示すように、第1のAlGaN層32は、第1のAl組成比qを有するAlGa1-qN(0<q≦1)に形成された層である。また、第1のAlGaN層32は、1.5μm(マイクロメートル)以下の厚さtを有している。
【0023】
緩衝層34は、第1のAl組成比以下のAl組成比を有するAlGaNにより形成された複数の層が交互に形成された層である。具体的には、緩衝層34は、第1のAl組成比以下の互いに相違するAl組成比を有するAlGaNによりそれぞれ形成された2種類の層342,344が交互に積層された多重層を含んでいる。より具体的には、緩衝層34は、2種類の層342,344が交互にL(Lは自然数)層ずつ積層してなる多重層を含んでいる。
【0024】
さらにより具体的には、緩衝層34は、2種類の層342,344のうち、相対的に大きいAl組成比(以下、「第2のAl組成比u」)を有するAlGa1-uN(0<u≦q≦1)により形成された第2のAlGaN層342と、相対的に小さいAl組成比(以下、「第3のAl組成比v」)を有するAlGa1-vN(0<v<u≦q≦1)により形成された第3のAlGaN層344とを含んでいる。
【0025】
換言すれば、緩衝層34は、第1のAl組成比以下の第2のAl組成比uを有するAlGaNを含む第2のAlGaN層342と、第2のAl組成比よりも小さい第3のAl組成比vを有するAlGaNを含む第3のAlGaN層344とを含んでいる。
【0026】
第2のAlGaN層342は、第1のAlGaN層32上に形成されている。また、第2のAlGaN342及び第3のAlGaN層344は、第1のAlGaN層32から後述する多重量子井戸層に向かってこの順に互いに交互にL層ずつ積層されている。Lは、適宜に選択することができ、例えば、15、20、30等である。
【0027】
好ましくは、緩衝層34の厚さ((t+t)xL)は、4.0μm以下である。また、好ましくは、第3のAlGaN層344の厚さtは、第2のAlGaN層342の厚さtよりも大きい。すなわち、t及びtは、t<tの関係を有する。個々の第2のAlGaN層342及び第3のAlGaN層344それぞれは、厚くても緩衝層34としての厚さが4.0μm以下になる程度に小さい厚さ(例えば、数十nm)を有する。第2のAlGaN層342及び第3のAlGaN層344は、超格子層であってもよい。
【0028】
多重量子井戸層を含む活性層50は、n型クラッド層30上に形成されている。活性層50は、AlGa1-rNを含んで構成される多重量子井戸層のn型クラッド層30側の障壁層52a、及び後述する電子ブロック層60側の障壁層52cを含む3層の障壁層52a,52b,52cとAlGa1-sNを含んで構成される3層の井戸層54a,54b,54c(0≦r≦1、0≦s≦1、r>s)とを交互に積層した多重量子井戸層を含む層である。活性層50は、波長360nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成されている。なお、本実施の形態では、活性層50に障壁層52a,52b,52c及び井戸層54a,54b,54cを各3層ずつ設けたが、必ずしも3層に限定されるものではなく、2層以下でもよく、4層以上でもよい。
【0029】
電子ブロック層60は、活性層50上に形成されている。電子ブロック層60は、p型のAlGaN(以下、単に「p型AlGaN」ともいう。)により形成されている。電子ブロック層60は、1nm~10nm程度の厚さを有している。なお、電子ブロック層60は、AlNにより形成された層を含んでもよい。また、電子ブロック層60は、必ずしもp型の半導体層に限られず、アンドープの半導体層でもよい。
【0030】
p型クラッド層70は、電子ブロック層60上に形成されている。p型クラッド層70は、p型AlGaNにより形成される層であり、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされたAlGaN層である。なお、p型の不純物としては、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を用いてもよい。p型クラッド層70は、300nm~700nm程度の厚さを有し、例えば、400nm~600nm程度の厚さを有する。
【0031】
p型コンタクト層80は、p型クラッド層70上に形成されている。p型コンタクト層80は、例えば、Mg等の不純物が高濃度にドープされたp型のGaN層である。
【0032】
n側電極90は、n型クラッド層30の一部の領域上に形成されている。n側電極90は、例えば、n型クラッド層30の上に順にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/Ti/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
【0033】
p側電極92は、p型コンタクト層80の上に形成されている。p側電極92は、例えば、p型コンタクト層80の上に順に積層されるニッケル(Ni)/金(Au)の多層膜で形成される。
【0034】
(製造方法)
次に、発光素子1の製造方法について説明する。基板10上にバッファ層22、n型クラッド層30、活性層50、電子ブロック層60、p型クラッド層70を、この順に、例えば、温度を段階的に下げながら連続的に高温成長させてウエハを形成する。ウエハは、一例として、例えば、直径約50mmの円形状の形状を有する。これら層の成長には、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシ法(Halide Vapor Phase Epitaxy:NVPE)等の周知のエピタキシャル成長法を用いて形成することができる。
【0035】
次に、p型クラッド層70の上にマスクを形成し、マスクが形成されていない露出領域の活性層50、電子ブロック層60、及びp型クラッド層70を除去する。活性層50、電子ブロック層60、及びp型クラッド層70の除去は、例えば、プラズマエッチングにより行うことができる。n型クラッド層30の露出面30a(図1参照)上にn側電極90を形成し、マスクを除去したp型コンタクト層80上にp側電極92を形成する。n側電極90及びp側電極92は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。このウエハを、所定の寸法に切り分けることにより、図1に示す発光素子1が形成される。
【0036】
(実施例)
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る実施例について説明する。図4は、比較例及び実施例に係る発光素子1の構成と、測定結果とを示す図である。図5は、比較例及び実施例に係る発光素子の素材であるウエハの反り及びウエハの面内発光割合を示すグラフである。なお、図4の「ループ数」は、第2のAlGaN層342及び第3のAlGaN層344の各層の数L(「積層数L」ともいう)を示す。
【0037】
図4に示すように、実施例の発光素子1は、第2のAlGaN層342及び第3のAlGaN層344を交互に複数積層させた緩衝層34を有しているのに対し、比較例の発光素子は、かかる緩衝層34を有していない点で両者は相違している。
【0038】
具体的に、図4に示すように、実施例1に係る発光素子1は、第1のAl組成比qとしてAl組成比39.3%を有するAlGaNにより形成された第1のAlGaN層32と、第2のAl組成比uとして第1のAl組成比qと等しいAl組成比39.3%を有するAlGaNにより形成された第2のAlGaN層344と、第3のAl組成比vとして第2のAl組成比uよりも小さいAl組成比25.8%を有するAlGaNにより形成された第3のAlGaN層344とを含む。
【0039】
実施例1に係る発光素子1は、第2のAlGaN層342及び第3のAlGaN層344が交互に20層ずつ積層した多重層を含む。また、第1のAlGaN層32の厚さtは、0.2μmであり、第2のAlGaN層342の厚さtは、0.035μmであり、第3のAlGaN層344の厚さtは、0.085μmである。すなわち、緩衝層34の厚さは、略2.4μm((0.035+0.085)x20)である。
【0040】
また、実施例2に係る発光素子1は、上述の実施例1に係る発光素子1と同様のAl組成比を有する第1から第3のAlGaN層32,342,344を含む。実施例2に係る発光素子1の緩衝層34の積層数Lは、15である。また、第1のAlGaN層32の厚さtは、0.4μmであり、第2のAlGaN層342の厚さtは、0.035μmであり、第3のAlGaN層344の厚さtは、0.11μmである。すなわち、緩衝層34の厚さは、略2.18μm((0.035+0.11)x15)である。
【0041】
上記の実施例1及び2に対して、比較例に係る発光素子は、第1のAlGaN層32に相当する層を含んでいない。また、積層数は、1である。また、第2のAlGaN層342の厚さtは、1μmであり、第3のAlGaN層344の厚さtは、2μmである。
【0042】
発光素子の素材であるウエハの反り及びウエハの面内発光割合に関する結果を、図4及び図5を参照して説明する。図5の記号Aは、後述する面内発光割合(左軸参照)を示し、記号Bは、ウエハの反り(右軸参照)を示す。図4及び図5に示すように、ウエハの反りは、比較例では、160km-1であったのに対し、実施例1では、77km-1まで抑制され、実施例2では、89km-1まで抑制された。
【0043】
また、ウエハの反りが抑制されたことに伴い、一つのウエハから取得できる発光素子の総数に対して、所定の発光強度以上の強度で発光する発光素子の数の割合(以下、「面内発光割合」ともいう。)は、比較例では、16%であったのに対し、実施例1では、55%に向上し、実施例2では、52%に向上した。なお、本実施例では、所定の発光強度を4.2mWとした。
【0044】
このように、実施例1の発光素子1の反りは、比較例の発光素子の反りの約48%に抑えられ、実施例2の発光素子1の反りは、比較例の発光素子の反りの約56%に抑えられた。また、実施例1の発光素子1の面内発光割合は、比較例の発光素子の面内発光割合の約3.8倍となり、実施例2の発光素子1の面内発光割合は、比較例の発光素子の面内発光割合の約3.2倍となった。以上のように、本発明により、発光素子1の反りが抑制され、発光強度の面内部分のバラツキが上昇することが明らかになった。これにより、発光素子の加工に支障を生じにくくさせることができるとともに、発光素子の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0045】
<変形例>
図3は、変形例に係る発光素子のn型クラッド層のAl組成比の一例を模式的に示すグラフである。図3に示すように、第2のAl組成比uは、第1のAl組成比qと等しい値になるようにしてもよい。
【0046】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る発光素子1のn型クラッド層のAl組成比の変形例を模式的に示すグラフである。第2の実施の形態に係る発光素子1は、後述する第4のAlGaN層36を備える点で、第1の実施の形態に係る発光素子1と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略するとともに、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0047】
図6に示すように、発光素子1のn型クラッド層30は、緩衝層34上に位置する第4のAlGaN層36をさらに備える。第4のAlGaN層36は、第3のAl組成比v以下の第4のAl組成比wを有するAlGa1-wN(0<w≦v<u≦q≦1)により形成されている。
【0048】
第4のAlGaN層36は、2.0μm以下の厚さtを有している。すなわち、tは、0≦t≦2.0μmの範囲の値をとり得る。
【0049】
なお、図示はしないが、第4のAl組成比wは、第3のAl組成比vと等しい値となるようにしてもよい。
【0050】
以上のようにしても、第1の実施の形態に係る発光素子1と同様に、ウエハの反りを抑制することができる。また、発光強度の面内分布を向上させることができる。この結果、発光素子の加工に支障を生じにくくさせることができるとともに、発光素子の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0051】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態及びその変形例並びに第2の実施の形態に係る発光素子1では、n型クラッド層30が、下地構造部2側に位置して、第1のAl組成比を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層32と、第1のAlGaN層32及び多重量子井戸層の間に位置して、第1のAl組成比以下のAl組成比を有するAlGaNにより形成された複数の層342,344が交互に積層された緩衝層34とを有している。これにより、発光素子1の素材であるウエハの反りが抑制され、発光強度の面内分布を向上させることが可能となる。
【0052】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0053】
[1]基板(10)を含む下地構造部(2)上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層(30)と、前記n型クラッド層(30)上に位置する、複数の障壁層(52a,52b,52c)と複数の井戸層(54a,54b,54c)とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層とを含む窒化物半導体発光素子(1)であって、前記n型クラッド層(30)は、前記下地構造部(2)側に位置して、第1のAl組成比(q)を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層(32)と、前記第1のAlGaN層(32)及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比(q)以下の第2のAl組成比(u)を有するAlGaNを含む第2のAlGaN層(342)と、前記第2のAl組成比(u)よりも小さい第3のAl組成比(v)を有するAlGaNを含む第3のAlGaN層(344)とが交互に積層された緩衝層(34)とを備え、前記n型クラッド層(30)は、前記緩衝層(34)上に位置して、前記第3のAl組成比(v)以下の第4のAl組成比(w)を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層(36)をさらに含む、窒化物半導体発光素子(1)。
[2]前記第2のAlGaN層(342)は、前記第1のAlGaN層(32)上に形成されている、前記[1]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[3]基板(10)を含む下地構造部(2)上に位置するn型AlGaNにより形成されたn型クラッド層(30)と、前記n型クラッド層(30)上に位置する、複数の障壁層(52a,52b,52c)と複数の井戸層(54a,54b,54c)とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層とを含む窒化物半導体発光素子(1)であって、前記n型クラッド層(30)は、前記下地構造部(2)側に位置して、第1のAl組成比(q)を有するn型AlGaNにより形成された第1のAlGaN層(32)と、前記第1のAlGaN層(32)及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比(q)よりも小さい第2のAl組成比(u)を有するAlGaNを含む第2のAlGaN層(342)と、前記第2のAl組成比(u)よりも小さい第3のAl組成比(v)を有するAlGaNを含む第3のAlGaN層(344)とが交互に積層された緩衝層(34)とを備え、前記第2のAlGaN層(342)は、前記第1のAlGaN層(32)上に形成されている、窒化物半導体発光素子(1)。
[4]前記n型クラッド層(30)は、前記緩衝層(34)上に位置して、前記第3のAl組成比(v)以下の第4のAl組成比(w)を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層(36)をさらに含む、前記[3]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[5]前記第4のAlGaN層(36)は、2.0マイクロメートル以下の厚さ(t)を有する、前記[1],[2]及び[4]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[6]前記第4のAl組成比(w)は、前記第3のAl組成比(v)と等しい値である、前記[1],[2],[4]及び[5]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[7]前記緩衝層(34)は、複数の前記第2のAlGaN層(342)と、複数の前記第3のAlGaN層(344)とを、前記第1のAlGaN層(32)側から前記多重量子井戸層側に向かってこの順に交互にL層ずつ積層してなる多重層を含む、前記[2]から[6]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[8]前記第2のAl組成比(u)は、前記第1のAl組成比(q)と等しい値である、前記[2]から[7]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[9]前記第3のAlGaN層(344)は、前記第2のAlGaN層(342)の厚さ(t)よりも大きい厚さ(t)を有する、前記[1]から[8]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[10]前記第1のAlGaN層(32)は、1.5マイクロメートル以下の厚さ(t)を有する、前記[1]から[9]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[11]前記緩衝層(34)は、4.0マイクロメートル以下の厚さを有する、前記[1]から[10]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[12]基板(10)を含む下地構造部(2)上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層(30)を形成する工程と、前記n型クラッド層(30)上に位置する、複数の障壁層(52a,52b,52c)と複数の井戸層(54a,54b,54c)とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程とを含む窒化物半導体発光素子(1)の製造方法であって、前記n型クラッド層(30)を形成する工程は、前記下地構造部(2)側に位置して、第1のAl組成比(q)を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層(32)を形成する工程と、前記第1のAlGaN層(32)及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比(q)以下の第2のAl組成比(u)を有するAlGaNを含む第2のAlGaN層(342)と、前記第2のAl組成比(u)よりも小さい第3のAl組成比(v)を有するAlGaNを含む第3のAlGaN層(344)とが交互に積層された緩衝層(34)を形成する工程と、を備え、前記n型クラッド層(30)を形成する工程は、前記緩衝層(34)上に位置して、前記第3のAl組成比(v)以下の第4のAl組成比(w)を有するn型AlGaNにより形成された第4のAlGaN層(36)を形成する工程をさらに備える、窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
[13]基板(10)を含む下地構造部(2)上に位置するn型AlGaNを有するn型クラッド層(30)を形成する工程と、前記n型クラッド層(30)上に位置する、複数の障壁層(52a,52b,52c)と複数の井戸層(54a,54b,54c)とをこの順に交互に積層してなる多重量子井戸層を形成する工程とを含む窒化物半導体発光素子(1)の製造方法であって、前記n型クラッド層(30)を形成する工程は、前記下地構造部(2)側に位置して、第1のAl組成比(q)を有するn型AlGaNを含む第1のAlGaN層(32)を形成する工程と、前記第1のAlGaN層(32)及び前記多重量子井戸層の間に位置して、前記第1のAl組成比(q)よりも小さい第2のAl組成比(u)を有するAlGaNを含む第2のAlGaN層(342)と、前記第2のAl組成比(u)よりも小さい第3のAl組成比(v)を有するAlGaNを含む第3のAlGaN層(344)とが交互に積層された緩衝層(34)を形成する工程と、を備え、前記n型クラッド層(30)を形成する工程においては、前記第1のAlGaN層(32)上に前記第2のAlGaN層(342)が形成される、窒化物半導体発光素子(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0054】
1…窒化物半導体発光素子(発光素子)
2…下地構造部
10…基板
22…バッファ層
30…n型クラッド層
30a…露出面
32…第1のAlGaN層
34…緩衝層
342…第2のAlGaN層
344…第3のAlGaN層
36…第4のAlGaN層
50…活性層
52,52a,52b,52c…障壁層
54,54a,54b,54c…井戸層
60…電子ブロック層
70…p型クラッド層
80…p型コンタクト層
90…n側電極
92…p側電極
L…積層数
…第1のAlGaN層の厚さ
…第2のAlGaN層の厚さ
…第3のAlGaN層の厚さ
…第4のAlGaN層の厚さ
q…第1のAl組成比
u…第2のAl組成比
v…第3のAl組成比
w…第4のAl組成比
図1
図2
図3
図4
図5
図6